説明

筒状体の内部検査装置及びその内部検査方法

【課題】チューブのような筒状体の搬送効率を低下させることなく、筒状体の内部について精密な品質検査を行うことができる技術を提供する。
【解決手段】内部検査装置1は、搬送されるチューブ10に対して撮像ユニット6を用いてチューブ10の内部を撮像し、撮像された画像からチューブ10の内部についての品質を検査する。チューブ10は、これを水平に寝かされた姿勢で支持部材14に支持されており、軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置が一様に揃えられている。撮像を開始する前にチューブ10は、位置決め機構4を用いてチューブ10の開口の位置が揃えられる。ボアスコープ34は、チューブ10の開口から内部へ向けて軸線に沿って移動しながらチューブ10の内面を撮像する。撮像して得られた画像に基づき、チューブ10の内面についての品質を検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体の内部を検査するのに適した筒状体の内部検査装置及びその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の検査装置又は検査方法に関して、例えば未充填のチューブのような筒状体を倒立させた姿勢で連続的に移送しつつ、その内部にボアスコープを挿入し、この間に内面を撮像して得た画像から異物や傷等の有無を検査する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、それまでチューブの製造過程でチューブの内面を検査する工程が人間の目視に依存して行われていたのに対し、これを画像処理の手法により自動化したものである。特にこの先行技術では、チューブ内に挿入したボアスコープをその内周面に極めて近接させることで、撮像(接写)時の解像度を向上して精密な品質検査を実現している。
【0003】
すなわち上記の先行技術(特許文献1)では、チューブの製造ライン上に予め円形状の搬送装置(例えばターレット状の搬送装置)が配置されており、この搬送装置には周方向に複数のボアスコープが環状をなして配列されている。成型された後のチューブは、例えばそのネック部分を下向きにした倒立の姿勢で一列に並べられ、この姿勢を維持したまま搬送装置に1本ずつ送られる。この段階でチューブの内部には未だ内容物(例えばペースト状物)が充填されておらず、倒立姿勢でみたチューブの上端は開口している。搬送装置は倒立姿勢でチューブを受け取ると、この姿勢を保持しながら個々のチューブを周方向に搬送する。このときチューブの搬送に同期してボアスコープも周方向に移動し、この移動過程で各ボアスコープは、搬送されるチューブに対して上方向から相対する。そして、搬送装置はチューブを搬送する過程でこれを上方へ押上げ、その上方向で相対しているボアスコープを相対的にチューブの内部へ進入させる。この間、ボアスコープはチューブの内周面の1部分を近接した位置から撮像するだけであるが、その過程で搬送装置がチューブ全体を軸線周りに約1回転させることにより、相対的に静止したボアスコープを用いてチューブの略内面全域を撮像することができる。
【0004】
このように先行技術(特許文献1)では、ボアスコープをチューブの内側面に近接させることで一度に撮像できる視野領域が狭くなる代わり、画像の解像度は向上するため、それだけ検査精度を向上させることができると考えられる。また、人間の目視によってチューブの内面を検査する場合に比べ、検査に要する時間を短縮することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−194732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述した先行技術は、既存の製造ラインとは別に検査用の搬送装置(例えば上記のターレット型搬送装置)をわざわざ設置する必要があるため、それだけ設備が大掛かりとなり、その分の設備費用を増大させてしまう。
【0007】
また先行技術では、検査対象となる筒状体のチューブをわざわざ倒立の姿勢に強制しているが、例えばラミネートチューブのように柔軟で軽量な筒状体を倒立させようとすると、様々な箇所に撓みが生じ、その形状や姿勢が不安定になりやすい。その上、さらにチューブを搬送途中で回転させるとなると、ただでさえ姿勢が不安定であるところへ追い打ちをかけてしまい、搬送中にあちこちでチューブの姿勢が乱れてしまう。このため先行技術の手法は、大量に成型されるチューブのような筒状体を安定して高速に検査する用途には適していない。
【0008】
そこで本発明は、特に大掛かりな設備を用いることなく、大量の筒状体を安定して検査することができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための第1の発明は、軸線方向でみた一端が開口した筒状体を水平に寝かせた姿勢で支持し、かつ、その軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置を一様に揃えた状態で複数の筒状体を径方向に等間隔で配列する支持部材と、支持部材を筒状体の配列方向へ移動させることで、支持部材とともに複数の筒状体をその配列方向に搬送する搬送機構と、搬送機構により複数の筒状体が搬送される過程で個々の筒状体が所定の準備位置に到達すると、支持部材に支持された筒状体をその軸線方向へスライドさせることにより、予め高さ方向の位置が一様に揃えられた軸線上で筒状体の一端の開口を位置決めする開口位置決め機構と、準備位置で一端の開口を位置決めされた筒状体がさらに搬送機構により所定の撮像位置まで搬送されると、その搬送方向に対して交差する方向へ一定の距離だけ撮像器具を往復移動させることにより、この往復移動の過程で筒状体の開口を通じて内部に進入させた撮像器具を筒状体の軸線に沿って移動させながらその内部を撮像した後に撮像器具を退出させて引き続き搬送機構による筒状体の搬送を可能とする撮像機構と、撮像器具により撮像して得られた画像に基づいて筒状体の内部を検査する検査ユニットとを備えている。
【0010】
第1の発明によれば、筒状体を水平に寝かせた姿勢で支持しながら搬送し、さらにその姿勢で搬送される全ての筒状体に対してその軸線の位置を一様に揃えた状態で搬送するため、搬送の過程で筒状体の姿勢が極端に不安定化することがない。特に筒状体のような円筒形の成型品は、これを最も安定的に支持できるのは水平に寝かせた姿勢であることから、本発明において水平な姿勢を採用していることの意義は極めて大きい。例えば、成型後の筒状体を次の工程を移送する際にも、筒状体を水平に寝かせた姿勢のまま移送する場合、これをわざわざ起立や倒立の姿勢に変化させる場合よりもはるかに効率的であることは自明である。また、本発明では筒状体の姿勢を倒立や起立等にいちいち変化させる必要がないことから、連続的に成型される筒状体を効率よく搬送しつつその間に内部の検査を高精度に実行することができる点で優位である。
【0011】
さらに第1の発明では、筒状体の内部についての撮像を開始する前に、筒状体の開口の位置が軸線上で揃えられているため、撮像器具を筒状体の内部に進入させる際に個々の筒状体に対して移動距離(ストローク)を調整する必要がない。これにより、予め決まったパターンで撮像器具を機械的に移動させるだけで、検査に適した画像を安定的に得ることができる。また撮像の終了後、撮像器具が筒状体の内部から退出して以降の搬送を可能とするため、筒状体の搬送速度を低下させることなく検査を実行することができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成において、搬送機構は、支持部材を所定速度で連続的に移動させることで複数の筒状体を所定速度で連続的に搬送するものである。その上で第2の発明は、撮像機構により撮像器具の筒状体の内部への進入とその退出が行われる間、搬送機構による筒状体の搬送に同期して撮像器具を撮像位置から筒状体の搬送方向へ所定速度で移動させた後、筒状体の内部から退出した撮像器具を撮像位置まで復帰させる移動機構をさらに備えている。
【0013】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、撮像器具は筒状体の搬送速度に同期してその搬送方向へ移動するため、所望の搬送効率を維持した状態で、筒状体の内部を撮像することができる。また移動機構は、撮像器具が筒状体の内部から退出した後、撮像器具を撮像(開始)位置に復帰させることで、後続に搬送される筒状体についても連続的な撮像を可能とする。これにより、搬送効率を低下させることなく、その間に並行して内部の検査を行うことで、筒状体の生産効率を高度に維持することができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明の構成において、撮像器具は、筒状体の軸線を中心としてその進入方向へテーパー形状に広がる範囲内を照明しながら撮像を行うものである。その上で第3の発明は、準備位置で開口を位置決めされた筒状体に対し、撮像位置で撮像器具の進入に伴う照明の範囲が筒状体の開口の内縁部にまで到達する以前に内縁部に向けて開口の外側から照明を付与する補助照明器具をさらに備える。
【0015】
第3の発明によれば、撮像器具は通常、その進入方向を照明しているので、筒状体の内部という狭い空間内で撮像された画像の品質を向上することができる。一方で撮像器具による照明の範囲は通常、筒状体の内部という狭い空間内に合わせて設定されているため、撮像器具が筒状体の外側から開口の内縁部を照明しようとしても、あまり所望の明るさが得られない場合がある。そこで第3の発明では、補助照明器具が筒状体の開口の外側から内縁部に対して照明を付与することで、不足する分の明るさを補償し、画像の品質を向上することができる。
【0016】
第4の発明は、第3の発明の構成において、一端の開口を通じて筒状体の内部に進入した撮像器具がその他端に向けて移動していく過程で、撮像器具による照明の明るさを調節する照度調節手段をさらに備える。
【0017】
第4の発明によれば、撮像器具が筒状体の内部を進行していく過程で、照明の明るさを調整することにより、例えば筒状体の内面からの反射によるハレーションの発生を防止することができる。これにより、撮像して得られる画像の品質を向上し、その検査精度の向上に寄与することができる。
【0018】
第5の発明は、筒状体の内部検査方法であって、以下の工程を有する。
〔搬送工程〕
この工程では、軸線方向でみた一端が開口した筒状体を水平に寝かせた姿勢で支持し、かつ、その軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置を一様に揃えた状態で複数の筒状体を径方向に等間隔で配列しつつ、その配列方向に搬送する。
【0019】
〔位置決め工程〕
この工程では、上記の搬送工程を通じて複数の筒状体が搬送される過程で個々の筒状体が所定の準備位置に到達すると、水平に寝かせた姿勢で支持された筒状体をその軸線方向へスライドさせることにより、予め高さ方向の位置が一様に揃えられた軸線上で筒状体の一端の開口を位置決めする。
【0020】
〔撮像工程〕
この工程では、準備位置で一端の開口を位置決めされた筒状体がさらに搬送工程を通じて所定の撮像位置まで搬送されると、その搬送方向に対して交差する方向へ一定の距離だけ撮像器具を往復移動させることにより、この往復移動の過程で筒状体の開口を通じて内部に進入させた撮像器具を筒状体の軸線に沿って移動させながらその内部を撮像する。
【0021】
〔退出工程〕
この工程は、先の撮像工程で筒状体の内部を撮像した後、撮像器具を筒状体の内部から退出させて引き続き搬送工程で行われる筒状体の搬送を可能とするものである。
【0022】
〔検査工程〕
そしてこの工程では、撮像工程で得られた画像に基づいて筒状体の内部を検査する。
【0023】
第5の発明によれば、搬送工程で複数の筒状体の搬送を行っても、筒状体の姿勢が極端に不安定化することがない。また、搬送工程において筒状体の姿勢を倒立や起立等にいちいち変化させる必要がないことから、連続的に成型される筒状体を効率よく搬送しつつその間に内部の検査を高精度に実行することができる点で優位である。
【0024】
さらに第5の発明では、筒状体の内部についての撮像(撮像工程)を開始する前に、位置決め工程で筒状体の開口の位置が軸線上で揃えられているため、撮像器具を筒状体の内部に進入させる際に個々の筒状体に対して移動距離(ストローク)を調整する必要がない。これにより、撮像工程において予め決まったパターンで撮像器具を機械的に移動させるだけで、検査に適した画像を安定的に得ることができる。また撮像の終了後、退出工程にて撮像器具が筒状体の内部から退出して以降の搬送を可能とするため、筒状体の搬送速度を低下させることなく検査工程を実行することができる。
【0025】
第6の発明は、第5の発明の構成において、搬送工程は、複数の筒状体を所定速度で連続的に搬送するものであって、さらに以下の工程を有する。
【0026】
〔同期移動工程〕
この工程では、上記の撮像工程及び退出工程を通じて撮像器具の筒状体の内部への進入とその退出が行われる間、搬送工程の進行に伴う筒状体の搬送に同期して撮像器具を撮像位置から筒状体の搬送方向へ所定速度で移動させる。
【0027】
〔復帰工程〕
次にこの工程は、上記の退出工程を経て筒状体の内部から退出した撮像器具を撮像位置まで復帰させるものである。
【0028】
第6の発明によれば、第5の発明の作用に加えてさらに、上述した撮像器具が筒状体の内部を軸線方向に往復移動する過程において、撮像器具は筒状体の搬送される速度に同期して搬送方向にも移動しているので、撮像器具は、筒状体の軸線上を安定的に移動することができ、画像品質の向上に寄与する。さらに撮像器具は、筒状体の内部から退出した後、撮像を開始した位置まで復帰することで、連続的に搬送される複数の筒状体に対して迅速に撮像を開始することができる。このため、精密な品質検査を迅速に実行することができる。
【0029】
第7の発明は、第5又は第6の発明の構成において、撮像工程では、撮像器具が筒状体の軸線を中心としてその進入方向へテーパー形状に広がる範囲内を照明しながら撮像を行うものであって、以下の工程を有する。
【0030】
〔補助照明工程〕
この工程では、先の位置決め工程を経て準備位置で開口を位置決めされた筒状体に対し、撮像工程の実行に伴い撮像位置で撮像器具の進入に伴う照明の範囲が筒状体の開口の内縁部にまで到達する以前に内縁部に向けて開口の外側から照明を付与する。
【0031】
第7の発明によれば、第5又は第6の発明の作用に加えてさらに、撮像工程で撮像器具が進入方向を照明することにより、筒状体の内部という狭い空間内で撮像された画像の品質を向上することができる。一方で撮像器具による照明の範囲は通常、筒状体の内部という狭い空間内に合わせて設定されているため、撮像器具が筒状体の外側から開口の内縁部を照明しようとしても、あまり所望の明るさが得られない場合がある。そこで第7の発明では、補助照明工程において筒状体の開口の外側から内縁部に対して照明を付与することにより、不足する分の明るさを補償して画像の品質を向上することができる。
【0032】
第8の発明は、第7の発明の構成において、さらに以下の工程を有する。
〔照度調節工程〕
この工程では、撮像工程にて一端の開口を通じて筒状体の内部に進入した撮像器具がその他端に向けて移動していく過程で、撮像器具による照明の明るさを調節する。
【0033】
第8の発明によれば、第7の発明の作用に加えてさらに、撮像器具が筒状体の内部に進入していく過程で照明の明るさを適宜に調節することにより、筒状体の他端に向けて照射された照明が反射して起こるハレーションを確実に防止できる。これにより、筒状体の内部における撮像器具の位置に関わらず均一な品質で撮像することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の筒状体の内部検査装置及びその内部検査方法は、製造ライン上で標準的な搬送機構により筒状体を最も安定的な水平に寝かせた姿勢で搬送しながら撮像器具を内部に挿入できるため、回転体のような大掛かりな設備を使用することなく、より低コスト化や省スペース化を実現することができる。また、筒状体の搬送に同期して撮像器具を移動させることにより、生産能力を下げることなく検査が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一実施形態の内部検査装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】内部検査装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図3】搬送方向の下流側からみた内部検査装置の正面図である。
【図4】内部検査装置の構成を概略的に示す側面図である。
【図5】内部検査装置1の制御に関する構成例を概略的に示すブロック図である。
【図6】位置決め機構によりチューブの開口を位置決めする動作を概略的に示す連続図である。
【図7】撮像ユニットによりボアスコープをチューブの内部へ進入させる動作を示す連続図である。
【図8】チューブの内部からボアスコープが退出する際の動作を示す連続図である。
【図9】撮像時にボアスコープがチューブの内部に進入していく過程を示す連続図である。
【図10】リング照明の構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は、一実施形態の内部検査装置1の構成を概略的に示す斜視図である。また図2は、内部検査装置1の構成を概略的に示す平面図である。ここでは先ず、検査対象のチューブ10とともに内部検査装置1の全体的な構成について説明する。なおチューブ10は、検査対象となる筒状体の一例である。
【0038】
検査の対象となるチューブ10は、例えば図示しない成型機によって円筒形状に成型された後、そのネック部分にキャップ12を被せた状態で検査される。この段階でチューブ10は内容物が充填されていない空の状態(未充填)であり、このためチューブ10は、その軸線方向の一端(キャップ12と反対側の一端)が全て開口している。図1では隠れているが、チューブ10の開口と反対側の端部には、キャップ12の内側にネック10a及びこれに連なる肩部10bが形成されている。またチューブ10の外周面には、例えば印刷やシュリンクフィルムによる外装(製品説明、意匠、商標等)が施されている。
【0039】
チューブ10(キャップ12を含む。以下同じ。)は合成樹脂製(例えばPET,PE等)の成型品である。このようなチューブ10は、その内部にペースト状やクリーム状、ゲル状等の内容物(例えば食品、医薬品、化粧品、化学品等)が充填された後、その開口端を封止(ヒートシール)されることで各種のチューブ製品となる。なお未充填の状態でチューブ10そのものは比較的軽量(例えば十数g〜数十g)であり、また、一端が開口した状態であるため比較的変形も容易である。
【0040】
内部検査装置1は主に、搬送ユニット2、撮像ユニット6及び図示しない検査ユニットから構成されている。内部検査装置1は、これら各種の構成要素を用いてチューブ10の内部(内面)の欠陥や汚れ、異物の有無等を検査する。以下、内部検査装置1の各種の構成要素について説明する。
【0041】
〔搬送機構〕
搬送ユニット2は、例えば多数の支持部材14を有したチェーンコンベア16により構成されている。すなわち搬送ユニット2は、水平な一方向へ多数の支持部材14を等間隔で平行に配列した状態で、これらを同時に配列の方向へ移動させることにより、各支持部材14に支持された状態のチューブ10をその移動に伴って搬送することができる。
【0042】
上記のチェーンコンベア16は、例えば搬送チェーン18、スプロケット20、駆動モータ22及びエンコーダ24を備えている(図2)。このうち搬送チェーン18は、チューブ10の搬送方向に沿って2条に平行をなして配置されており、これらは上記のスプロケット20に掛け回されている。スプロケット20は各条の搬送チェーン18別に一対をなしており、これら一対のスプロケット20はチェーンコンベア16の両端(搬送方向の両端)にそれぞれ配置されている。
【0043】
駆動モータ22は、搬送方向の下流側に位置するスプロケット20を駆動することで、2条の搬送チェーン18を走行させることができる。スプロケット20の駆動軸(図中参照符号なし)にはエンコーダ24(例えば、スリット板と一体のロータリエンコーダ)が取り付けられている。このエンコーダ24からは駆動軸の回転に伴うパルス信号(例えば2相パルス信号)が出力される他、スリット板を用いたインデックス信号が出力されるものとなっている。なおインデックス信号は、搬送チェーン18の走行に伴い支持部材14が1ピッチ分ずつ移動するごとに出力される。
【0044】
〔支持部材〕
支持部材14は、これを長手方向でみた断面が等辺の山形状(V字形状)をなしており、その全長はチューブ10の全長(キャップ12を含めた軸線方向の長さ)とほぼ同じか、これより僅かに長く設定されている。チェーンコンベア16の上面領域(水平方向に延びる領域)でみて、各支持部材14は、その山形状でみた頂点を下向きにした状態で2条の搬送チェーン18間を橋渡しするようにして配置されている。また各支持部材14は、各条で搬送チェーン18のリンク(詳細には図示していない)に取り付けられており、チェーンコンベア16の両端ではスプロケット20の外周に沿って搬送チェーン18とともに周回し、チェーンコンベア16の上面領域と下面領域との間を行き来することができる。
【0045】
各支持部材14は、チェーンコンベア16の上面領域では上方向に拡がったV字溝を形成する。チェーンコンベア16は、その上流位置でチューブ10を1本ずつ受け取ると、その上面領域で各支持部材14のV字溝内にて1本ずつチューブ10を水平に寝かせた姿勢で支持する。このとき複数の支持部材14は等間隔で平行に配列されており、これらが搬送方向に対して直交する方向に配置されているため、各支持部材14のV字溝内に受け入れられたチューブ10は、その径方向に等間隔で配列された状態となる。またチューブ10は、その軸線方向でみた開口の向き(又はキャップ12の向き)を一様に揃えた状態で各支持部材14のV字溝内に受け入れられている。
【0046】
これにより搬送ユニット2は、チェーンコンベア16により複数の支持部材14をその配列方向に移動させることで、支持部材14とともに複数のチューブ10をその配列方向に搬送することができる。
【0047】
〔位置決め機構〕
次に位置決め機構4は、チューブ10の内部について検査を開始する準備として、チューブ10の開口の位置をその軸線上で位置決めする。この位置決め機構4は、例えばエアノズル26及びストッパ28により構成されており、これらはチューブ10の搬送方向でみてチェーンコンベア16の両側の側壁にそれぞれ配置されている。また、これらは搬送方向の適宜位置で互いに対向して配置されている。以下の説明では、搬送方向で位置決め機構4が配置されている適宜位置を「準備位置」とする。
【0048】
位置決め機構4は、上記の準備位置にチューブ10が搬送されてくる度に、エアノズル26の噴射口からエアを噴射する。この噴射エアの圧力を受けてチューブ10は支持部材14上を軸線方向に勢いよくスライドし、その開口端がストッパ28に接する位置で停止する。これにより、搬送方向に対してチューブ10の開口の位置がその軸線上で位置決めされた状態となる。開口を位置決めされたチューブ10は、さらに撮像ユニット6に向けて搬送される。なお位置決め機構4の動作については、別の図面を用いてさらに詳しく後述する。
【0049】
撮像ユニット6は、搬送ユニット2に対して側方(搬送方向でみた側方)に設置されている。撮像ユニット6は、例えばX−Y型をなす2つのリニアシリンダ30,32とともに、撮像器具としてボアスコープ34を有している。リニアシリンダ30,32はそれぞれスライドブロック34,36を有しており、これらスライドブロック34,36は、対応するリニアシリンダ30,32により直線方向へ往復移動する。2つのリニアシリンダ30,32は互いに直交して配置されており、このうち一方(Y方向とする)のリニアシリンダ32は、他方(X方向とする)のリニアシリンダ30(移動機構)上を走行するスライドブロック36に固定されている。
【0050】
〔撮像器具〕
上記のボアスコープ34は、例えば工業用の内視鏡を利用した撮像器具であり、その先端からある程度の光量で前方を照明しつつ、その範囲内を有効に撮像することができる。ボアスコープ34は、Y方向のリニアシリンダ32上のスライドブロック38に対して固定されており、ここではその先端を搬送ユニット2に向けた状態で配置されている。この状態でボアスコープ34の先端(光軸)の位置は、高さ方向でみてチューブ10の軸線の高さに合わせて調整されている。
【0051】
撮像ユニット6は、X方向のリニアシリンダ30によりスライドブロック36を往復移動させることで、Y方向のリニアシリンダ32とともにボアスコープ34をチューブ10の搬送方向へ往復移動させることができる。さらに撮像ユニット6は、Y方向のリニアシリンダ32により、ボアスコープ34をチューブ10の搬送方向に対して直交する方向(チューブ10の軸線方向)へ往復移動させることができる。
【0052】
上記の位置決め機構4により、チューブ10の開口が支持部材14上で位置決めされた後、その下流側の位置(撮像位置とする)にチューブ10が到達すると、撮像ユニット6がボアスコープ34をチューブ10の軸線に沿ってその開口から内部へ進入させ、その内面をボアスコープ34による撮像する。なお撮像ユニット6の動作については、別の図面を用いてさらに後述する。
【0053】
〔補助照明器具〕
上記のリング照明8は、例えばボアスコープ34がチューブ10の内部へ進入する方向でみて、リニアシリンダ32の前端位置に固定されている。このためリング照明8は、X方向のリニアシリンダ30による往復移動に伴い、Y方向のリニアシリンダ32及びボアスコープ34とともにチューブ10の搬送方向へ往復移動する。リング照明8自体はスライドブロック38に固定されておらず、リニアシリンダ32に対して固定である。このためボアスコープ34は、リニアシリンダ32による往復動作に伴い、リング照明8の内側(環の内部)を通って往復移動する。なおリング照明8の構成については、別の図面を用いてさらに後述する。
【0054】
図3は、搬送方向の下流側からみた内部検査装置1の正面図である。上記のようにY方向のリニアシリンダ32は、スライドブロック36を介してX方向のリニアシリンダ30上に支持されている。またリング照明8は、例えばL字形状のブラケット32aを介してリニアシリンダ32の前端に取り付けられている。ボアスコープ34はスライドブロック38を介してY方向のリニアシリンダ32上に支持されており、このときボアスコープ34の移動経路(撮像時の光軸に合致)は、高さ方向でみてチューブ10の軸線に合致している。
【0055】
また上記のようにエアノズル26は、準備位置でキャップ12の天面に対向する位置に配置されており、そのエア噴射口は、高さ方向でみてチューブ10の軸線の高さに合わせて調整されている。またストッパ28は、チューブ10の開口に対向する位置に配置されている。さらにエアノズル26とストッパ28とは、上記のようにチューブ10を挟んだ軸線方向で互いに対向する位置に配置されている。
【0056】
図4は、内部検査装置1の構成を概略的に示す側面図である。図4に示されているように、各支持部材14はその長手方向でみた断面が山形状をなしており、チェーンコンベア16の上面領域では上向きに拡がったV字形の溝を形成している。
【0057】
このときチェーンコンベア16は、その上面領域において搬送チェーン18を水平に張り、かつ、その水平を維持した状態で水平方向へ案内している。これによりチェーンコンベア16は、その上面領域において個々の支持部材14を全て同じ高さで水平方向に移動させることができる。
【0058】
また、支持部材14は全て共通部品で構成されているため、同じ成型品であるチューブ10が各支持部材14のV字溝内で支持されることにより、個々のチューブ10は、これらを軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置が全て一様に揃えられていることが分かる。
【0059】
また図4に示されているように、各支持部材14は、そのV字溝内でチューブ10を寝かせた姿勢に支持するとともに、その傾斜した内面にてチューブ10の外面を長手方向のほぼ全域にわたって搬送方向の前後から支持している。これにより、チューブ10が可撓性の高い樹脂成型品であったとしても、その形状を崩すことなく安定して支持することができる。またこの状態でチェーンコンベア16により支持部材4をある程度の高速(チューブ10の時間あたり製造本数に応じた速度)で移動させた場合であっても、搬送方向の前後でチューブ10の外面が支持されているため、搬送中にチューブ10がふらついたり、転がったり、跳ねたりするのを確実に防止することができる。
【0060】
次に図5は、内部検査装置1の制御に関する構成例を概略的に示すブロック図である。内部検査装置1は制御部42を備えており、この制御部42は、内部検査装置1の動作を全体的に統括する。なお本実施形態において、制御部42が上述した検査ユニットを構成する。制御部42は、例えば中央処理装置(CPU)や半導体メモリ(例えばROM、RAM等)等を有したマイクロコンピュータとしてのハードウェア構成を有しており、これらリソースを用いて内部に記憶部42a及び判定部42cを構築している。また制御部42は外部インタフェース42bをはじめ、図示しない各種の周辺回路を有している。
【0061】
制御部42には上記のエンコーダ24が接続されており、このエンコーダ24は、例えば駆動モータ22の回転に応じた2相パルス信号を出力するほか、スリット板とフォトスイッチ(図示していない)の組み合わせによるインデックス信号を出力する。制御部42は、これらパルス信号やインデックス信号に基づいてチューブ10の搬送速度(さらには搬送方向)を検出するとともに、上記の位置決め機構4や撮像ユニット6に対する個々のチューブ10の相対位置を検出することができる。
【0062】
エンコーダ24からのインデックス信号は、例えば搬送中のチューブ10が上記の準備位置(エアノズル26の噴射口に対向する位置)に到達するタイミングで出力される。このときのパルスエッジ(立ち上がり)に基づき、制御部42はエアノズル26(制御弁)を作動させ、上記のエアノズル26からエアを噴出させる。これにより、個々のチューブ10が準備位置に到達するタイミングでエアが噴射され、その開口の位置決めが行われる。図5では上記のエアノズル26について、便宜上の制御対象を「制御弁」として示している。制御部24は制御弁に対する駆動信号を出力することで、エアノズル26によるエアの噴射タイミングを制御する。
【0063】
また、制御部42にはリニアシリンダ30,32がそれぞれ接続されており、各リニアシリンダ30,32は制御部42からの制御信号に基づいて動作する。例えば、制御部42は個々のチューブ10が撮像位置に到達するタイミングで2つのリニアシリンダ30,32に対する個別の制御信号を出力し、これらリニアシリンダ30,32をそれぞれの移動パターンで動作させる。移動パターンは予めチューブ10の長さや搬送間隔(配列ピッチ)に基づいて設定されており、リニアシリンダ30,32はそれぞれの移動パターンを例えば1ピッチ分の搬送サイクル内で完了させる。なお、移動パターンを含む動作の詳細については別の図面を参照しつつさらに後述する。
【0064】
制御部42には撮像ユニット44が接続されており、この撮像ユニット44からは、上記のボアスコープ34で撮像されたカラーの画像信号(例えば24ビットカラー画像信号)が入力されるものとなっている。制御部42は、例えば外部インタフェース42bを通じてカラー画像信号を処理し、これを記憶部42aのメモリ領域に展開して撮影画像を再現することができる。
【0065】
制御部42は、再現した撮影画像に基づいて画像処理を実行し、例えばエッジ抽出や色判定等を行う。また制御部42は、例えば画像処理の結果を判定部42cに提供し、これを受けて判定部42cは、専用の検査ロジックを用いてチューブ10の内部の異物や汚れ、欠陥等の有無を判定する。そして制御部42は、判定部42cにて行われた判定結果を記憶部42aに保存する。
【0066】
さらに制御部42は、撮像ユニット44に向けて制御信号を出力し、ボアスコープ34の照度(照明の明るさ)を調整する機能をも有する。なお、照度の調整例についてはさらに別の図面を参照しながら後述する。
【0067】
そして、制御部42には上記の駆動モータ22が接続されており、制御部42は駆動モータ22に対する駆動信号を出力する。制御部42は、駆動信号に基づいて駆動モータ22の回転速度をリアルタイムに制御することで、チューブ10を連続的に搬送する場合の搬送速度を調整したり、あるいは、チューブ10を間欠的に搬送したりする場合のタイミング等を制御することができる。
【0068】
以上が内部検査装置1の構成であるが、以下に内部検査装置1の具体的な動作について説明する。また、以下の説明を通じて、内部検査装置1を用いて実現される内部検査方法の各工程についてもまた明らかとなる。
【0069】
〔搬送工程〕
内部検査装置1は、搬送ユニット2を用いて多数のチューブ10を連続的に搬送する。このときチューブ10は、上記のように水平に寝かせた姿勢で支持部材14に支持され、その軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置を一様に揃えられている。またチューブ10は、その径方向に等間隔で配列された状態で、その配列方向に搬送されている(搬送工程)。このとき搬送ユニット2には、例えば既存の製造ラインの一部を利用することができるので、特に別途の設備として搬送ユニット2を設ける必要がない。
【0070】
〔位置決め工程〕
次に、内部検査装置1による各チューブ10の開口の位置決め手法(位置決め工程)について説明する。
【0071】
図6は、位置決め機構4によりチューブ10の開口を位置決めする動作を概略的に示す連続図である。チューブ10は、上記のようにエアノズル26から噴射されたエアの圧力を受けて支持部材14上を軸線方向に移動し、その開口の位置が軸線上で揃えられる。なお図6中、チューブ10の搬送方向を実線の矢印で示す。
【0072】
〔エア噴射前〕
図6中(A):チューブ10はその搬送工程を通じて、支持部材14に形成されたV字溝内にて支持されている。このとき、チューブ10の軸線方向でみた開口の位置は任意の位置にある。また個々のチューブ10は、それ自身が比較的軽量の成型品であることから、例えば搬送中の機械振動等により、その開口の位置が軸線方向へ任意に移動することがある。ただしチューブ10は、その搬送中に支持部材14により支持されているため、上記のようにその軸線の位置が径方向にずれることはない。
【0073】
そして、個々のチューブ10が上記の準備位置(エアノズル26及びストッパ28が配置されている位置)まで搬送されると、そこでエアノズル26からキャップ12の天面に向けてエアが噴射される。
【0074】
〔エア噴射後〕
図6中(B):エアが噴射されると、支持部材14上でチューブ10はその開口を先頭にして軸線方向にスライドする。そしてチューブ10は、その開口端がストッパ28に接する位置で停止し、その開口が軸線上で位置決めされることになる。このときエアは、チューブ10がストッパ28に衝突しても極端な変形を生じない程度の圧力で噴射される。
【0075】
上記の位置決め機構2(エアノズル26及びストッパ28)による位置決めの動作は、搬送ユニット2による搬送に伴い、個々のチューブ10が準備位置に到達する度に行われる。これにより全てのチューブ10は、その搬送過程で開口を軸線方向に位置決めされた状態で引き続き搬送される。
【0076】
〔撮像工程〕
次に図7は、撮像ユニット6によりボアスコープ34をチューブ10の内部へ進入させる動作を示す連続図である。以下、チューブ10の撮像工程について説明する。
【0077】
ボアスコープ34は、搬送方向でみてエアノズル26及びストッパ28の1ピッチ分下流側に配置されている。先の位置決め工程で開口の位置が揃えられたチューブ10は、引き続き搬送の過程でボアスコープ34によりチューブ10の内部を撮像される。なお図7中、リニアシリンダ32、ボアスコープ34及びチューブ10の搬送方向を矢印でそれぞれ示している。
【0078】
〔進入開始時〕
図7中(A):上記の位置決め機構4でストッパ28の方向に開口の位置が揃えられたチューブ10は、さらに1ピッチ分下流へ搬送される。これに合わせてY方向のリニアシリンダ30が作動し、それまで搬送方向の側方で待機していたボアスコープ34をチューブ10に向けて移動させる。これによりボアスコープ34は、チューブ10の開口を通じて内部への進入を開始する。また、このときX方向のリニアシリンダ30の作動に伴い、Y方向のリニアシリンダ32がチューブ10の搬送速度に同期しながら搬送方向に移動を開始する(同期移動工程)。
【0079】
〔進入完了時〕
図7中(B):ボアスコープ34は、チューブ10の内部をその奥に向かってさらに進入する。この進入に伴い、ボアスコープ34を用いてチューブ10の内面全域が撮像される(撮像機構)。なお、この間に得られる画像は静止画像又は動画像のいずれの形式でもよく、撮像ユニット44は、その後の画像処理(検査)に利便な画像を取得することができる。
【0080】
そして、ボアスコープ34がチューブ10の内部でその肩部10b及びネック10aを撮像領域とする位置まで到達すると、ここまででチューブ10及びリニアシリンダ32は、撮像位置(ボアスコープ34が移動を開始した位置)から約2分の1ピッチ分だけ下流へ移動している。
【0081】
〔退出工程〕
続いて図8は、チューブ10の内部からボアスコープ34が退出する際の動作を示す連続図である。
【0082】
〔退出開始時〕
図8中(A):上記の撮像工程を通じてチューブ10の内部の撮像を終えると、そこからボアスコープ34が後退を開始する。この場合も引き続き、Y方向のリニアシリンダ32はチューブ10の搬送される速度に同期しながらチューブ10の搬送方向に移動している。
【0083】
〔退出完了時〕
図8中(B):ボアスコープ34は、チューブ10が撮像位置から搬送方向へ1ピッチ分だけ移動し終わる前にチューブ10の内部から退出する。そしてボアスコープ34はチューブ10から退出すると、X方向のリニアシリンダ30(移動機構)の作動に伴い、チューブ10の搬送方向とは反対側(上流側)に移動を開始し、先の撮像位置に復帰する(復帰工程)。ボアスコープ34が撮像位置に復帰した時点で、チューブ10は撮像位置から搬送方向へ1ピッチ分だけ移動を完了する。
【0084】
リニアシリンダ30,32は、ここまでの移動パターンを1サイクル分として動作する。この1サイクルは、搬送ユニット2によるチューブ10の搬送の1ピッチ分に相当する。そして撮像ユニット6は、復帰後の撮像位置から後続のチューブ10に対して新たに撮像を開始し、上述した1サイクル分の移動パターンによる動作を繰り返し実行する。
【0085】
〔位置決めによる利便性〕
以上のように本実施形態では、搬送ユニット2が連続的にチューブ10を搬送する過程で、個々のチューブ10の開口を位置決めした上で内面を撮像することができる(図7)。また撮像後は、チューブ10の搬送を継続したままボアスコープ34を退出させることで、引き続きチューブ10の搬送が可能となる(図8)。
【0086】
この場合、撮像時にボアスコープ34の原点(待機位置)とチューブ10(開口の位置)との相対的な位置関係が常に安定しているため、撮像ユニット6は機械的にボアスコープ34を撮像位置から予め設定された距離(往復ストローク)内で移動させるだけでよい。この点、チューブ10ごとに開口の位置が不揃いであると、例えばボアスコープ34がチューブ10の内部にネック10aに突き当たってしまったり、逆に奧まで充分にボアスコープ34が到達できずに撮影が不充分になったりすることがあるが、本実施形態ではそのような不具合を防止することができる。
【0087】
また、ボアスコープ34の進入過程で複数の静止画像を連続的に取得する場合、その撮像(シャッタ)タイミングを予め一定に設定しておけば、全てのチューブ10について同じポイント(軸線方向の位置)で撮影されたの画像を取得することができる。これにより、検査の精度を高め、その信頼性を向上することができる。
【0088】
図9は、撮像時にボアスコープ34がチューブ10の内部に進入していく過程を示す連続図である。ボアスコープ34には、例えばその先端部分に撮像用の光学レンズや光ファイバ(図示しない)が内蔵されている。光学レンズは、例えば図9中に2点鎖線で示されているように、チューブ10の軸線を中心としてある程度の角度(例えば約100°)に広がる範囲を撮像視野(撮像範囲)としている。またボアスコープ34には、その撮像視野内を照明するための照明用ライト(図示しない)が内蔵されている。この照明用ライトは、チューブ10の軸線を中心として、その進入方向へテーパー形状に広がる範囲を照明している。なお、光学レンズによる撮像視野と照明用ライトによる照明の範囲が必ずしも一致している必要はない。
【0089】
〔照度調節機能〕
ボアスコープ34がチューブ10の内部に進入していく過程で、照明用ライトによる照明が内面で反射し、その明るさ(照度)が奧(ネック10a及び肩部10b)に近付くほど強くなる傾向にある。そして、反射の強さが過大になると、やがてハレーションを起こして画像がホワイトアウトし、充分な検査を行うことができない。
【0090】
本発明の発明者等は上記の知見に基づき、ボアスコープ34がチューブ10の内部に進入していく過程で照明用ライトによる照明の明るさを適宜に調節することにより、上記の問題点をクリアすることに成功している。そこで以下に、本実施形態において適切な明るさの調節を行う実施例を挙げ、発明の好適な実施に資するものとする。
【0091】
〔実施例〕
以下の実施例において、照明用ライトがチューブ10の開口部を照らす際の照度を100%とし、チューブ10の開口の直径を38mm、肩部10bの裾から開口までの長さを140mmとする。またチューブ10の軸線方向でみて、その肩部10bの裾からボアスコープ34の先端までの距離をLとする。
【0092】
〔L≧80mmの場合〕
図9中(A):ボアスコープ34は、チューブ10の開口から肩部10b及びネック10aまでの範囲内を、例えば約20割して静止画を撮像するものとする。そして、ボアスコープ34がチューブ10の内部に進入を開始してから、上記の距離Lとして80mm以上にある範囲内を移動している間、照明用ライトの照度を100%に調節する。このような調節は、例えば上記の制御部42から撮像ユニット6に対して制御信号(例えばデューティ信号)を出力することにより行うことができる。
【0093】
〔30mm≦L<80mmの場合〕
図9中(B):次に上記の距離Lが例えば30mm以上で、かつ80mm未満にある範囲内をボアスコープ34が移動している間は、照明用ライトの照度を約75%に調節するものとする。これにより、次第に反射強度が高まってくる分を考慮して、照度の上昇を適度に抑えることができる。
【0094】
〔L<30mmの場合〕
図9中(C):そして上記の距離Lが例えば30mm未満にある範囲内にまでボアスコープ34が進入すると、そこから照明用ライトの照度を約6%に調節するものとする。これにより、反射強度が極端に高まってくる分を補償し、過大な照度の上昇を確実に抑えることができる。
【0095】
このように、ボアスコープ34の照明用ライト(先端)が開口から肩部10bに近付くに連れて、その照度を次第に弱めることにより、撮像して得られた画像に生じるハレーションを防止し、安定した画質を確保することができる。
【0096】
〔リング照明〕
また図10は、補助照明器具としてのリング照明8の構成を概略的に示す断面図(水平断面図)である。リング照明8は、例えばリング形状(又はドーナツ形状)のフレーム体8aを備えており、このフレーム体8aに沿って複数の照明器具8b(例えば白色LED)を環状に配列した構造をなしている。なおリング照明8は、上記のようにボアスコープ34の進入方向でみて、リニアシリンダ32の先端部分に固定されている。
【0097】
環状に配列された照明器具40は、その環の中心方向へ向けて放射状に広がる領域を照明しており、その領域の一部はチューブ10の開口付近を照明している。チューブ10の開口付近を撮像する際、ボアスコープ34はチューブ10の外側からその開口付近を撮像する。
【0098】
〔補助照明工程〕
上記の実施例に挙げたように、肩部10bの裾からの距離Lが80mm以上となる位置でチューブ10の開口縁部を撮像する場合、照明用ライトの照度は100%に設定されている。ただし、チューブ10の外側からこの開口縁部を撮像する際、光学レンズによる撮像視野がチューブ10の開口縁部の全体を捉えていても、照明用ライトが有効に照明できる領域(図9中の1点鎖線)は、チューブ10の開口縁部の全域にまで到達しておらず、それだけでは明るさが不足している。
【0099】
そこで本実施形態では、上記のリング照明8を用いてチューブ10の開口縁部を照明し、不足した明るさを補償することとしている。これにより、チューブ10の開口縁部についても充分に明るい画像を取得することができ、それによって高精度な検査を実現することができる。
【0100】
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。例えば、一実施形態では、チューブ10を連続的に搬送する場合を例にあげているが、搬送機構2はチューブ10を間欠的に搬送してもよい。この場合、リニアシリンダ32は、チューブ10の間欠的な搬送に合わせて移動することができる。
【0101】
また一実施形態では、単一のボアスコープ34を用いて撮像を行っているが、例えば複数のボアスコープ34を搬送方向に並べて設置し、複数のチューブ10を並行して撮像及び検査することもできる。この場合、リニアシリンダ30の移動パターンは1サイクル内で2ピッチ分となるため、より高速な搬送に対応して検査を行うことができる。
【0102】
一実施形態では、検査対象となる筒状体の一例として未充填のチューブ10を挙げているが、本発明の内部検査装置は、チューブ10に限らず、例えば樹脂成型ボトルや樹脂パイプのような各種の筒状体の内部検査にも適用することができる。検査対象がボトル形状である場合、支持部材14上でボトルのネック部分をボアスコープ34に対向させて配置し、ネック部分の開口からボアスコープ34を進入させることで、一実施形態と同様に内部検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 内部検査装置
2 搬送ユニット
4 位置決め機構
6 撮像ユニット
8 リング照明
10 チューブ
14 支持部材
26 エアノズル
28 ストッパ
30 リニアシリンダ(移動機構)
32 リニアシリンダ(撮像機構)
34 ボアスコープ(撮像器具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向でみた一端が開口した筒状体を水平に寝かせた姿勢で支持し、かつ、その軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置を一様に揃えた状態で複数の筒状体を径方向に等間隔で配列する支持部材と、
前記支持部材を筒状体の配列方向へ移動させることで、前記支持部材とともに複数の筒状体をその配列方向に搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により複数の筒状体が搬送される過程で個々の筒状体が所定の準備位置に到達すると、前記支持部材に支持された筒状体をその軸線方向へスライドさせることにより、予め高さ方向の位置が一様に揃えられた軸線上で筒状体の一端の開口を位置決めする開口位置決め機構と、
前記準備位置で一端の開口を位置決めされた筒状体がさらに前記搬送機構により所定の撮像位置まで搬送されると、その搬送方向に対して交差する方向へ一定の距離だけ撮像器具を往復移動させることにより、この往復移動の過程で筒状体の開口を通じて内部に進入させた前記撮像器具を筒状体の軸線に沿って移動させながらその内部を撮像した後に前記撮像器具を退出させて引き続き前記搬送機構による筒状体の搬送を可能とする撮像機構と、
前記撮像器具により撮像して得られた画像に基づいて筒状体の内部を検査する検査ユニットと
を備えた筒状体の内部検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の筒状体の内部検査装置において、
前記搬送機構は、
前記支持部材を所定速度で連続的に移動させることで複数の筒状体を所定速度で連続的に搬送するものであり、
前記撮像機構により前記撮像器具の筒状体の内部への進入とその退出が行われる間、前記搬送機構による筒状体の搬送に同期して前記撮像器具を前記撮像位置から筒状体の搬送方向へ前記所定速度で移動させた後、筒状体の内部から退出した前記撮像器具を前記撮像位置まで復帰させる移動機構をさらに備えたことを特徴とする筒状体の内部検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の筒状体の内部検査装置において、
前記撮像器具は、
筒状体の軸線を中心としてその進入方向へテーパー形状に広がる範囲内を照明しながら撮像を行うものであり、
前記準備位置で開口を位置決めされた筒状体に対し、前記撮像位置で前記撮像器具の進入に伴う照明の範囲が筒状体の開口の内縁部にまで到達する以前に前記内縁部に向けて開口の外側から照明を付与する補助照明器具をさらに備えたことを特徴とする筒状体の内部検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の筒状体の内部検査装置において、
一端の開口を通じて筒状体の内部に進入した前記撮像器具がその他端に向けて移動していく過程で、前記撮像器具による照明の明るさを調節する照度調節手段をさらに備えたことを特徴とする筒状体の内部検査装置。
【請求項5】
軸線方向でみた一端が開口した筒状体を水平に寝かせた姿勢で支持し、かつ、その軸線方向でみた開口の向きと高さ方向でみた軸線の位置を一様に揃えた状態で複数の筒状体を径方向に等間隔で配列しつつ、その配列方向に搬送する搬送工程と、
前記搬送工程を通じて複数の筒状体が搬送される過程で個々の筒状体が所定の準備位置に到達すると、水平に寝かせた姿勢で支持された筒状体をその軸線方向へスライドさせることにより、予め高さ方向の位置が一様に揃えられた軸線上で筒状体の一端の開口を位置決めする位置決め工程と、
前記準備位置で一端の開口を位置決めされた筒状体がさらに前記搬送工程を通じて所定の撮像位置まで搬送されると、その搬送方向に対して交差する方向へ一定の距離だけ撮像器具を往復移動させることにより、この往復移動の過程で筒状体の開口を通じて内部に進入させた前記撮像器具を筒状体の軸線に沿って移動させながらその内部を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で筒状体の内部を撮像した後、前記撮像器具を筒状体の内部から退出させて引き続き前記搬送工程で行われる筒状体の搬送を可能とする退出工程と、
前記撮像工程で得られた画像に基づいて筒状体の内部を検査する検査工程と
を有する筒状体の内部検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の筒状体の内部検査方法において、
前記搬送工程は、
複数の筒状体を所定速度で連続的に搬送するものであり、
前記撮像工程及び前記退出工程を通じて前記撮像器具の筒状体の内部への進入とその退出が行われる間、前記搬送工程の進行に伴う筒状体の搬送に同期して前記撮像器具を前記撮像位置から筒状体の搬送方向へ前記所定速度で移動させる同期移動工程と、
前記退出工程を経て筒状体の内部から退出した前記撮像器具を前記撮像位置まで復帰させる復帰工程とをさらに有する筒状体の内部検査方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の筒状体の内部検査方法において、
前記撮像工程では、
前記撮像器具が筒状体の軸線を中心としてその進入方向へテーパー形状に広がる範囲内を照明しながら撮像を行うものであり、
前記位置決め工程を経て前記準備位置で開口を位置決めされた筒状体に対し、前記撮像工程の実行に伴い前記撮像位置で前記撮像器具の進入に伴う照明の範囲が筒状体の開口の内縁部にまで到達する以前に前記内縁部に向けて開口の外側から照明を付与する補助照明工程をさらに有する筒状体の内部検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載の筒状体の内部検査方法において、
前記撮像工程にて一端の開口を通じて筒状体の内部に進入した前記撮像器具がその他端に向けて移動していく過程で、前記撮像器具による照明の明るさを調節する照度調節工程をさらに有する筒状体の内部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−141122(P2011−141122A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−362(P2010−362)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】