管接続具及び管ブロック体
【課題】ハンドホールの壁に設置するための設置孔を簡単に形成し、また、配管変更に伴う前記設置孔の修正を簡単に行なうとともに、設置孔との隙間に対する充填材の充填量を少なくし、更に、運搬、取扱い時に破損等が生じ難い管接続具及び管ブロック体を提供する。
【解決手段】一定厚の円盤状のコンクリート製の基部2と、前記基部2の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部2内に埋設され、一方側に管接続口13を有する筒状体11とで形成した。
【解決手段】一定厚の円盤状のコンクリート製の基部2と、前記基部2の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部2内に埋設され、一方側に管接続口13を有する筒状体11とで形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中埋設箱であるハンドホールの壁に設けられ、地中に埋設されるケーブル等の配線や給水管、給湯管等の配管材を内部に収容して保護する管が接続され或いは連結される管接続具及び管ブロック体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に前記配線、配管材を収容してこれを保護する波付管等の管が地中に埋設され、その配管経路には管相互を接続したり、分岐するためのハンドホールが埋設されている。このハンドホールはコンクリート製或いは合成樹脂製で箱状に形成されており、その壁には管が接続されている。前記管は管接続具等を介してハンドホールの壁に接続されている。
【0003】
図17は従来の管接続具の一例を示す。図17において、コンクリート製のハンドホール61の壁62には四角形状の設置孔96が形成されている。一方、この設置孔96に設けられる管接続具91は、コンクリート等で形成された角型の基部92と、埋設部94及び地中埋設管である波付管31が接続される管接続口95からなる筒状体93とで構成されている。前記筒状体93の埋設部94は前記基部92内に埋設され、前記管接続口95は前記基部92の一方側の面から外方に突出している。なお、図17においては1個の基部92に4個の筒状体93が埋設された管接続具91を示す。
【0004】
前記角型の管接続具91は予め工場で製造され、施工現場でハンドホール61の壁62に形成された設置孔96内に載置された後、隙間にモルタル等の充填材が充填され、これにより前記ハンドホール61の壁62に設けられる。その後、前記管接続具91の管接続口95に波付管31が接続される。この管接続具に関する技術は、例えば、特許第3430396号公報に掲載されている。
【特許文献1】特許第3430396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の角型の管接続具91においては、施工現場においてこの管接続具91に対応してコンクリート製のハンドホール61の壁62に矩形状の設置孔96を形成する必要があるが、コンクリート製の壁62をはつって四角形状の設置孔96を形成しなければならないため、その作業には多大な労力と手間を要した。
【0006】
一方、ハンドホール61の製造時に予め設置孔96を形成することもできるが、その場合、汎用性の点から、通常、標準的な大きさ、形状の設置孔96を形成することになる。このため、設置孔96と管接続具91の基部92との間に大きな隙間を生ずる場合は、モルタル等の充填材の充填量が増し、その埋め戻し作業に負担が生じ、充填材が硬化するまでの時間も長くなる。逆に、管接続具91が設置孔96より大きければ、設置孔96の周縁をはつって拡張しなければならず、その作業に大きな手間が必要となる。また、途中で波付管31を増設する必要が生じて管接続具91の基部92が大型化することになったときなどにおいても同様に四角形状にはつって設置孔96を拡張しなければならない。このように、従来の管接続具91はコンクリート製の壁62を四角形状にはつらなければならないため、その作業に多大な負担を強いられていた。
【0007】
また、管接続具91の基部92が正方形でなく矩形状に形成されていた場合において、施工途中に現場の状況から管の分岐や合流の必要が生じることにより、設置孔96に対する管接続具91の基部92の挿入向きを横向きから縦向きに90度変更しなければならなくなったときには、前記設置孔96と管接続具91の基部92とで形状が縦横方向で90度ずれているため、設置孔96内に挿入することができないことになる。したがって、設置孔96に挿入するためには、結局、同様に、ハンドホール61の壁62をはつらなければならないし、生じた隙間に多量の充填材を充填しなければならなくなる。
【0008】
加えて、前記管接続具91は角型に形成され、角部が尖っているため、運搬、取扱い時に他の干渉物に当たって角部が欠けることがある。その場合には、ハンドホール61の設置孔96に挿入した後、隅部に生じた隙間に充填材を埋め戻す必要があり、余分な手間が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、ハンドホールの壁に設置するための設置孔を簡単に形成でき、また、配管変更に伴う前記設置孔の修正を簡単に行なうことができるとともに、設置孔との隙間に対する充填材の充填量を少なくすることができ、更に、運搬、取扱い時に破損等が生じ難い管接続具及び管ブロック体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の管接続具は、ハンドホールの壁に設けられるものであって、一定厚の円盤状のコンクリート基部と、前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、一方側に管接続口を有する筒状体とからなる。ここで、管接続口に接続される管は地中に埋設されるケーブル等の配線や給水管、給湯管等の配管材を内部に収容して保護するもので、角パイプ状、丸パイプ状のものがあって波付管などが用いられる。前記管は地中に1条或いは多条に埋設される。ハンドホールは前記管相互を接続したり分岐するために配管経路に地中埋設箱として埋設されるもので、他にマンホール等も含まれるが、便宜上これらをまとめてハンドホールと表現した。なお、「一方側」とは管が接続される側をいい、「他方側」とはハンドホールの内部側をいう。
【0011】
前記コンクリート基部は円盤状に形成されており、本発明の特徴とするところである。従来のコンクリート基部が角型のものと比較して後述する作用効果を奏する。コンクリート基部はコンクリートで形成されるが、モルタル等で形成されたものも含まれる。
【0012】
前記コンクリート基部に埋設された筒状体は一方側の開口が管接続口を形成し、これに地中に埋設される管が接続される。前記筒状体の他方側の開口はハンドホールの内部空間に臨み、この他方側の開口から配線、配管材がハンドホール内に引出される。
【0013】
前記管接続具はコンクリート基部が円盤状に形成されているので、管接続具が設けられるハンドホールの壁に設けられる設置孔も円形状となる。その結果、コアドリル等の穿孔具を使用して簡単かつ短時間にコンクリート製のハンドホールの壁に設置孔を形成できる。また、施工途中に設計変更によりコンクリート基部の外径の更に大きい管接続具を使用しなければならなくなったとしても、穿孔具を使用してハンドホールの設置孔を簡単に拡大修正することができる。更に、円盤状のコンクリート基部をその中心軸を中心に周方向に回動して任意の角度、向きでハンドホールの壁の設置孔に設置することができる。このため、施工中に現場の状況から管の分岐や合流の必要が生じて、設置孔に対するコンクリート基部の挿入向きを所定角度回動した方向に変更しなければならなくなったときでも、設置孔とコンクリート基部とで形状がいずれも円形状で一致しているため、既設の設置孔にそのまま挿入して設置することができ、コンクリートの壁をはつって設置孔を修正する必要はない。
【0014】
請求項2の管接続具及び請求項7の管ブロック体は、特に、基部が、ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたものである。
【0015】
請求項3の管接続具及び請求項8の管ブロック体は、特に、筒状体が、前記基部に複数配置されたものである。
【0016】
請求項4の管接続具及び請求項9の管ブロック体は、特に、筒状体の他方側が基部の他方側の面から突出することなく埋設されたものである。
【0017】
請求項5の管接続具は、特に、筒状体の一方側が前記基部の一方側の面から突出して埋設されたものである。
【0018】
請求項6の管ブロック体は、ハンドホールの壁に設けられるものであって、一定厚の円盤状のコンクリート基部と、前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、前記基部の一方側の面から、少なくとも管連結具によって他の管と連結可能な長さ分突出している管とからなる。即ち、請求項6の管ブロック体は請求項1の管接続具と比較して、管がコンクリート基部に直接埋設されたものであり、管の一部は基部の一方側の面から管軸方向に突出しており、その突出部において管連結具を介して他の管と連結されるものである。したがって、請求項1の管接続具と同様に作用する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の管接続具は、コンクリート基部が円盤状に形成されており、管接続具が取付けられるハンドホールの壁に設けられる設置孔もこれに対応して円形状となるから、前記設置孔を新設するときや拡大修正が必要となったときに、現場で穿孔具を使用して簡単かつ短時間にハンドホールの壁に設置孔を形成できる。また、施工中にハンドホールの壁の設置孔への取付方向が変更された場合でも、コンクリートの壁をはつって設置孔を修正する必要がなく、管接続具をそのまま取付向きを変えるだけで前記設置孔に挿入し、設置できる。以上の結果、管接続具をハンドホールに設置する作業性が向上する。
【0020】
そして、現場で穿孔具を使用して管接続具の基部の大きさに対応した設置孔を穿設すればよいから、予め工場で各種サイズ、形状の設置孔を設けたハンドホールを備える必要がない。その結果、ハンドホールを共通化でき、費用を軽減できる。
【0021】
加えて、コンクリート基部は円盤状であるから、コンクリート基部が角型の管接続具に比べて、運搬、取扱い時などにおいて破損することが少ない。
【0022】
請求項2及び請求項7は、特に、基部が、ハンドホールの壁と略同一厚に形成されているから、ハンドホールの壁より薄厚であることによる管接続具の基部とハンドホールの壁との間の接合強度の低下を防ぎ、所要の接合強度を確保できる。また、逆に、基部の厚さがハンドホールの壁より大きくなることによる基部の材料コストの上昇を回避できるとともに、壁面からの飛び出しによる見栄えの低下を防止できる。
【0023】
請求項3及び請求項8は、特に、筒状体が、基部に複数配置されているから、1個の管接続具で多数の管を接続できる。
【0024】
請求項4及び請求項9は、特に、筒状体の他方側が基部の他方側の面から突出することなく埋設されているから、ハンドホール内の見栄えを良くするとともに前記筒状体がハンドホール内に突出することによってその突出部に他の物体が当たって損傷を受けるのを防止できる。
【0025】
請求項5は、特に、筒状体の一方側が基部の一方側の面から突出して埋設されているから、その筒状体の突出部を利用し、各種手段により管を接続することができる。
【0026】
請求項6の管ブロック体は、基部が円盤状に形成され、請求項1の管接続具と比較して、管が基部に直接埋設され、管連結具によって他の管と連結されるものであるから、請求項1の管接続具と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の第一実施形態を図1乃至図11に基づいて説明する。この実施形態においては、コンクリート基部に2個の筒状体が並設された管接続具を示す。
【0028】
図1及び図2において、管接続具1はコンクリート製のハンドホールに取付けられ、地中に埋設された配線、配管材を保護する波付管31が接続されるものであり、コンクリート製の基部2と、該基部2に埋設された四角筒状の筒状体11とで構成されている。前記基部2は本発明の特徴とする円盤状に形成されているとともに、図5に示すように、ハンドホール61の壁62と略同一の一定厚に形成されている。ここで、略同一とは、寸法的に正確に同一であることまでは要求されず、壁面からの多少の突出または内部側への後退は許容する意である。前記基部2をコンクリート製としたのは、コンクリート製のハンドホール61及び隙間に充填されるモルタル等の充填材との接着性を考慮したものであり、また、季節変化に伴う基部2及びハンドホール61の膨張収縮率の違いから生ずるひび割れを防止すべく、同種素材で形成するのが好ましい点を考慮したものである。ここで、基部2の一方側の面3とは波付管31が接続される側の面であり、他方側の面4とはハンドホール61の内部に臨む面を意味する。
【0029】
前記筒状体11は基部2に2個並置して埋設されており、図3に示すように、合成樹脂により全体が四角筒体に形成され、前記基部2の厚さ方向の両側に開口している。前記筒状体11は前記基部2に埋設される埋設部12と、前記基部2の一方側の面3からこれに直交して外方に突出する管接続口13とで構成されており、更に、前記埋設部12の他方側の面4の開口14にはその開口面に平行して円板状の鍔部15が一体に設けられている。これらの埋設部12及び管接続口13からなる筒状体11は合成樹脂の一体成形により形成することができる。
【0030】
前記鍔部15の中央部に形成されている四角形状の開口14の周縁部はその全周に至って小さく湾曲するアールが形成されており、ケーブル等が引出されるときに開口14の周縁部で擦れてきずが生ずるのを防止している。また、前記鍔部15はアンカーとして筒状体11が基部2の一方側の面3から外方に抜け外れるのを防止する。更に、前記鍔部15はハンドホール61の内部側からの外観を良くしている。
【0031】
前記埋設部12は前記基部2の厚さと同一長さで四角筒状に形成され、内部に配線、配管材が挿通される。この埋設部12の外表面16には複数条の環状突条17が長さ方向に等間隔で環状に設けられており、基部2のコンクリート材との接着性を高めている。なお、埋設部12の外表面16全体を凹凸面に形成するなどして前記コンクリート材との接着性を高めてもよい。
【0032】
前記管接続口13は基部2の一方側の面3から所定長さ外方に突出し、波付管31の外形寸法、形状に対応して前記埋設部12より大きい四角筒状に形成され、開口18から内部に前記波付管31が挿入、接続されるようになっている。前記埋設部12と管接続口13との連結部には段部19が形成され、前記波付管31はこの段部19に突当たるまで挿入可能である。なお、前記埋設部12の内部寸法は波付管31と略同一に形成されており、管接続口13内に波付管31が挿入されたとき、前記埋設部12の内壁と波付管31の内壁との間に段差を生じないので、配線、配管材を前記埋設部12及び波付管31との間で連続して円滑に挿通させることができる。
【0033】
更に、前記管接続口13は外壁20の肉厚が長さ方向のほぼ中央部において変化し、この部分に段部21が形成されていて、開口18寄りの部分の内部寸法は前記段部21より奥側の部分より大きくなっている。この開口18寄りの部分の内部寸法は後述する抜止部材41が挿入可能な大きさに形成されており、前記段部21で該抜止部材41の先端部が突当たるようになっている。
【0034】
前記管接続口13の外壁20のうちの一面には、開口18側の端部の両側部に後述の係止ねじ64が外方から挿入される一対のねじ挿通孔22が設けられている。また、この一面に隣接する左右両隣の面には後述する抜止部材41の係合突起44が挿入されて係止する係合溝孔23が設けられているとともに、開口18の周縁部に後述する抜止部材41の嵌合突起45が嵌合する嵌合切欠24が形成されている。
【0035】
次に、前記管接続具1の管接続口13に接続される前記角型の波付管31は、図4に示すように、合成樹脂により断面四角形状に形成され、環状の外周山部32と外周谷部33とが長手方向に交互に形成された外周壁を備え、可撓性を有する。この波付管31の外周山部32は前記管接続具1の管接続口13に挿入されたとき、前記管接続口13の段部21より奥側の内壁にほぼ密接した状態で収容される。
【0036】
次に、前記管接続具1の管接続口13に前記波付管31を接続するための抜止部材41を説明する。図6において、抜止部材41は波付管31の外周壁に外方から嵌込まれ、その状態で前記管接続具1の管接続口13内に挿入されたとき、その管接続口13の外壁20に係止される。前記抜止部材41は前記波付管31を管接続口13に接続するアダプターとして作用する。
【0037】
前記抜止部材41は合成樹脂により全体が略コ字板状に形成され、左右の側面42には、前記管接続口13のねじ挿通孔22に挿通された係止ねじ64が螺刻しつつ取着される係止溝43が上下各1箇所、左右合計で4箇所形成されている。そして、前記左右の側面42には一方の端部寄りに前記管接続口13の係合溝孔23内に弾性的に係合する係合突起44が設けられており、更に、それから所定距離離間した他方の端部に前記管接続口13の嵌合切欠24に嵌合する嵌合突起45が設けられている。また、内壁において前記係止溝43の裏面側には内部側に突出する嵌合リブ46が上下方向に一体に設けられている。この嵌合リブ46は波付管31の外周谷部33に嵌合して波付管31と抜止部材41との相対移動を規制するものである。
【0038】
次に、上記のように構成された管接続具1を形成するには、図示しないが、有底円筒状の型枠の底面の所定位置に埋設部12の鍔部15を下側にして筒状体11を設置した後、管接続口13が外部に突出した状態で蓋材を取付け、或いは蓋材を取付けることなく直接に、コンクリート材を型枠内に流し込む。そして、硬化後、脱型すれば、管接続具1が形成される。このとき、筒状体11内にコンクリート材が侵入するのを防止するため、開口14にキャップ等の蓋材を取付けておいてもよい。なお、基部2を構成するコンクリート材は軽量かつ大きい強度の得られる素材を使用するのがよく、また、温度による膨張収縮に起因するひび割れを防止するため、ハンドホール61のコンクリート材に近い組成とすることを考慮して選定するのが望ましい。これにより形成された管接続具1は、埋設部12と管接続口13との間に段部19が形成されており、かつ、埋設部12の端部に鍔部15が形成されているので、筒状体11が基部2から抜脱するのが防止される。
【0039】
次に、管接続具1をハンドホール61の壁62に設置するには、まず、コアドリル等の穿孔具を使用して前記壁62に前記管接続具1の基部2の外径より少し大きい内径を有する設置孔63を穿設する。このとき、前記設置孔63は穿孔具を使用することにより現場で簡単に形成することができる。次いで、前記設置孔63内に管接続具1を載置し、壁62との隙間にモルタル等の充填材65を埋め込む。このとき、ハンドホール61の壁面に板材を当接し、管接続具1の筒状体11の開口14を前記板材に密接させた状態で充填材65を埋め込めば、管接続具1における基部2の他方側の面4及び筒状体11の開口14はハンドホール61の壁面と面一状態となり、ハンドホール61内の外観が向上する。一方、管接続具1の管接続口13はハンドホール61の壁面から外方に突出する状態となる。これにより、管接続具1をハンドホール61の壁62に設置した後に、管接続口13の外方から係止ねじ64を該管接続口13のねじ挿通孔22内に挿通して波付管31に係止させることができる。
【0040】
なお、基部2の周縁部に、ハンドホール61の設置孔63に対する管接続具1の設置向き、角度を調整するために目印となる罫書き線、刻印等を形成しておいてもよい。このようにすれば、ハンドホール61の壁62にも目印線を付けておいて、両目印を位置合わせすることにより、水平度、垂直度を出し、管接続具1を所定の角度、向きに正確に設置することができる。
【0041】
次に、ハンドホール61に管接続具1を設置した後、波付管31を接続するには、まず、抜止部材41の左右両側部を弾性的に側方に拡開しながら波付管31の外周壁に強制的に嵌め込む。このとき、前記抜止部材41の嵌合リブ46は波付管31の先端から3つ目ぐらいの外周谷部33内に嵌合させる。これにより、波付管31と抜止部材41とが相対移動するのが規制され、抜止部材41は波付管31の所定位置に固定される。また、波付管31の先端から1つ目ぐらいの外周谷部33内には波付管31の外周壁と管接続口13の内壁との隙間から水等が侵入するのを防止するため、環状のシールリング66を取付ける。
【0042】
次いで、図5に示すように、抜止部材41及びシールリング66が装着された状態で波付管31をそのまま管軸方向に移動させ、管接続具1の管接続口13内に強く押し込む。すると、前記抜止部材41の係合突起44は管接続口13の内壁で押圧されて内部側に弾性的に後退しつつ奥側に移動し、管接続口13の係合溝孔23に達した時点でその内部に入り込み、弾性的に拡開して前記係合溝孔23に係合する。同時に、抜止部材41の嵌合突起45は管接続口13の嵌合切欠24に嵌合する。これにより、波付管31は管接続口13内に安定して接続される。その後、管接続口13の外方からねじ挿通孔22内に係止ねじ64を挿入し、図7に示すように、これを抜止部材41の係止溝43に螺着すれば、更に強固に管接続口13と抜止部材41とが接続され、波付管31は確実に管接続口13に接続し、固定される。
【0043】
次に、本実施形態の管接続具の作用を説明する。
管接続具1は基部2が円盤状に形成されているため、ハンドホール61の壁62に設けられる設置孔63も円形状に形成できる。このため、現場においてコアドリル等の穿孔具を使用して簡単にかつ短時間で前記設置孔63を形成できる。また、その後に、波付管31が増設されることによって、より大径の基部2を取付ける必要が生じたときでも、前記穿孔具を使用することにより設置孔63を簡単に拡大修正することができる。その結果、現場で穿孔具を使用して管接続具の基部の大きさに対応する最適な設置孔63をハンドホール61の壁62に確実かつ的確に形成することができる。また、予め、ハンドホール61に各管接続具1の基部2の大きさに対応した設置孔63を設けておく必要がないため、ハンドホール61を共通化できて経済的である。但し、本実施形態の管接続具1は工場等で予めハンドホール61に設置孔63を設けておくことを妨げるものではない。
【0044】
更に、基部2が円盤状に形成されていることにより、ハンドホール61の壁62の設置孔63に対して管接続具1を円周方向の任意の角度、向きに取付けることができる。このため、施工中に、経路途中に障害物があるなどの現場の状況によって波付管31の分岐や合流等を生じることにより波付管31の配置状態に変更が生じ、そのために管接続具1も設置角度、向きを変更する必要が生じたとしても、管接続具1を円周方向に所定角度回動して向きを変えて載置するだけでよい。したがって、向き変更により改めてハンドホール61の壁62のコンクリートをはつって設置孔63を修正する作業が必要となる従来の矩形状の管接続具とは異なって、それらの作業が不要となり、向き変更に対して簡単に対処できる。
【0045】
加えて、基部2が円盤状であることにより、基部92が角型に形成されて尖った角部が破損し易い従来の管接続具とは異なって、運搬、取扱い時などにおいて障害物等に当たって隅部が欠けたりすることが少ない。
【0046】
ところで、上記実施形態では、波付管31は抜止部材41を介して管接続具1の管接続口13に接続しているが、他の手段によって接続することもできる。
【0047】
図8において、抜止リング51は一部に切欠を有し、全体が略馬蹄形状に形成されており、断面幅は波付管31の外周谷部33に嵌入できる大きさに形成されている。前記抜止リング51は合成樹脂により形成され、中央部52は波付管31の外周谷部33の形状に沿って直線状に形成されており、左右の側部53は円弧状に湾曲形成されている。
【0048】
この抜止リング51を使用して接続するには、左右の側部53を弾性的に両側方に拡開しつつ波付管31の外周壁に押込んで、先端から3つ目ぐらいの外周谷部33に嵌合させる。図9は嵌合後の状態を示し、前記抜止リング51の左右の側部53は湾曲する頂部が波付管31の外周山部32から外方に突出した状態となっている。
【0049】
この状態で、図10に示すように、波付管31を管軸方向に移動させて管接続具1の管接続口13内に強制的に押し込めば、外周山部32から突出している抜止リング51の側部53の頂部は前記管接続口13の内壁に押圧されて弾性的に外周谷部33内に格納され、波付管31は管接続口13内に進入可能となる。そこで、波付管31が移動して抜止リング51が管接続口13の外壁20に設けられた直状の係合溝孔25の位置に到達すると、前記抜止リング51の側部53は弾性的に開放されて前記係合溝孔25内に嵌入し、係止される。これにより、管接続口13への波付管31の接続が完了する。
【0050】
また、図示しないが、管接続口13の開口18寄りの端部に、一部が該管接続口13の外壁20に設けられた貫通孔を貫通して波付管31の外周谷部33に嵌入する止め具を取付け、係止ねじ64を止め具に設けられたねじ孔及び管接続口13のねじ挿通孔22に挿通した後、該係止ねじ64を波付管31の外周谷部33内に強制的に螺着することにより、管接続口13と波付管31とを接続することもできる。
【0051】
次に、前記管接続具1は、図11に示すように、筒状体11の埋設部12の外表面16に所定幅のブチルゴム等からなるテープ状の弾性材67を環状に巻着しておくことが望ましい。なお、前記ブチルゴムは止水効果も兼ね備える。
【0052】
従来、樹脂製の筒状体93をコンクリートの基部92に埋設した管接続具91は、樹脂材で形成した筒状体93とコンクリート材で形成した基部92とでは熱による膨張収縮率が異なるため、季節による温度変化によって熱応力が発生し、コンクリート製の基部92にひび割れを生じる恐れがあった。このため、コンクリートに繊維等を混練して成形することがあるが、粘度が高くなって流動性が低下し、円滑に成形できなかったり、成形に時間がかかるという不具合があった。
【0053】
そこで、基部2のコンクリート材と筒状体11の樹脂材との間に弾性材67を介在させると、コンクリート材と樹脂材との膨張収縮率の違いに基づいて生じる応力を前記弾性材67が吸収するため、コンクリート材からなる基部2のひび割れが防止される。
【0054】
なお、前記弾性材67は前記埋設部12の外表面16の長手方向の中央部或いは端部等の1乃至複数箇所に巻着されたり、前記外表面16の長手方向の全長に至って巻着されるが、外表面16の全長の少なくとも3割以上となる幅に巻着してあるのが効果の点から好ましいことが出願人の実験により証明されている。なお、前記弾性材67の幅方向の両側に更に止水部材を巻着しておいてもよい。
【0055】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の管ブロック体を図12乃至図15に基づいて説明する。この管ブロック体は第一実施形態の管接続具1と比較して、波付管31が基部に直接埋設されている。
【0056】
図12において、管ブロック体71は一定厚さの円盤状のコンクリート製の基部72に波付管31が直接埋設されており、前記波付管31の一部は前記基部72の一方側の面73から外方に突出し、この突出部分において、地中を配管されてきた他の波付管31とは後述する管連結具81によって連結されるようになっている。前記突出長さは少なくとも他の波付管31と連結可能な大きさに形成されている。前記基部72は第一実施形態の基部2と同様の構成となっているので、その説明を省略する。
【0057】
前記基部72に埋設された波付管31の先端部には、図13に示すように、ベルマウス75が取付けられ、波付管31内を挿通する配線等が該波付管31の先端部からハンドホール61内に引出されるとき或いはハンドホール61から波付管31に引込まれるときに、波付管31の先端の切断口の周縁部で擦られてきず付くのを防ぐとともに、ハンドホール61内における波付管31の先端部の見栄えを良くしている。前記ベルマウス75の端部開口面は基部72の他方側の面74と面一状態となっている。
【0058】
前記ベルマウス75は公知のものであり、その本体76は略八角筒状をなしている。前記本体76の外壁には1面おきの4面にそれぞれ波付管31の外周谷部33に嵌合する嵌合突部77が1個ずつ一体に設けられている。管軸方向における前記嵌合突部77と反対側の開口端部78はラッパ状に拡開し、周壁はアール状の湾曲面となっている。
【0059】
前記管ブロック体71を形成するには、まず、図13(a)、(b)に示すように、波付管31の先端開口内に前記ベルマウス75の本体76を、前記嵌合突部77が波付管31の内部空間の対角線上に位置する状態で挿入する。ここで、前記嵌合突部77は波付管31の対角線となる位置に挿入されるので、前記波付管31の外周谷部33と干渉することなく奥側に挿入される。そして、ラッパ状に拡開した開口端部78が波付管31の先端部と当接する位置或いはその近辺に到達したら、図13(c)に示すように、ベルマウス75を約45度回動してベルマウス75の嵌合突部77を波付管31の外周谷部33に嵌入させる。これにより、波付管31とベルマウス75とは一体化される。
【0060】
次いで、第一実施形態の管接続具1と同様にして、円筒状の有底型枠内の底面にベルマウス75側を下側にして波付管31を設置した後、コンクリート材を流し込み、硬化後、脱型する。これにより、管ブロック体71が簡単に製造される。
【0061】
次に、前記管ブロック体71の波付管31に、他の波付管31を連結するには、第一実施形態と同様の抜止部材41及び図15に示す管連結具81を使用する。前記管連結具81は図3に示した第一実施形態の管接続口13を2個背合わせに接合した形状をなし、内部中央には波付管31の先端が当接する中央隔壁82が形成されている。
【0062】
そこで、管ブロック体71を構成する波付管31の突出側端部における外周谷部33及び地中に配管されて該波付管31に連結される他の波付管31の端部の外周谷部33にそれぞれ、第一実施形態と同様の要領で、シールリング66を取付け、抜止部材41を嵌着する。次いで、図14に示すように、前記管連結具81を管軸方向に移動させ、その一端側を管ブロック体71に埋設された波付管31の突出側端部に取付け、強制的に押し込む。また、前記管連結具81の他端側の開口に他の波付管31の先端部を挿入し、強制的に押し込む。すると、各抜止部材41の係合突起44が管連結具81の係合溝孔83に係合し、各抜止部材41の嵌合突起45が管連結具81の嵌合切欠84に嵌合する。その後、必要に応じて、管連結具81の外方から係止ねじ64をねじ挿通孔85内に挿通し、更にその係止ねじ64を抜止部材41の係止溝43に螺着する。これによって、他の波付管31は前記管連結具81を介して管ブロック体71の波付管31に強固に連結される。
【0063】
ところで、上記第一実施形態の管接続具1及び第二実施形態の管ブロック体71は、前述のように、それぞれ筒状体11及び波付管31を基部に任意数埋設でき、その配置も任意に設定できる。例えば、図16(a)は、基部2に3個の筒状体11を配置した管接続具1を示し、図16(b)は4個の筒状体11を配置した管接続具1を示す。また、図示しないが、1個の基部に異なる大きさの筒状体11や波付管31を混在させて配置することもできるし、筒状体11或いは波付管31を1個のみ埋設することもできる。
【0064】
また、上記各実施形態においては、角型パイプ状の波付管31を管接続具1及び管ブロック体71に接続するものを示したが、本発明を実施する場合には、これに限られず、筒状体11の形状を変えることによって、例えば丸型パイプの波付管を接続することもできる。或いは、波付管31に限らず、接着その他の接続手段により、外周壁に凹凸のない直状管に適用してこれを接続することも可能である。なお、角型パイプの波付管31の場合は、隣同士を重ね合わせて複数を地中に埋設することができるため、波付管31相互の隙間をなくし、沈下防止用、ずれ防止用の砂等を管同士の隙間に詰め込む手間を不要とすることができ、砂、土砂の埋め戻し作業が楽になるという効果がある。勿論、複数の波付管31同士は相互に離間して配管されていてもよいことは言うまでもない。
【0065】
そして、第一実施形態では、図1、図2等において、上下2個の筒状体11は管接続口13のねじ挿通孔22がいずれも上向きに配置されたものを示しているが、両方の筒状体11を、図1、図2等の状態から管軸を中心に90度回動させて同一または正反対の横向きとし、或いは下側の筒状体11を180度反転して下向きとし、全てのねじ挿通孔22が外方に露出した状態で基部2に埋設したものとすると更によい。上側の筒状体11が邪魔になってその制約を受けることがないので、下側の筒状体11についても、側方または下方から前記ねじ挿通孔22に係止ねじ64を挿入する操作が可能となり、それにより、前記係止ねじ64を抜止部材41の係止溝43に係止させることができる結果、波付管31を強固に接続することができるからである。
【0066】
また、第二実施形態の管ブロック体71は、その波付管31に同種同大の波付管31を連結しているが、これに限られるものではなく、前記管ブロック体71に埋設された波付管31には、他の管として、異形連結具等を使用することにより、丸型の波付管や大きさの相異する異種のものを連結することもできる。また、管ブロック体71の波付管31の先端部のベルマウス75は必ずしも取付けを要するものでもない。ベルマウス75は工場での製造時では管ブロック体71に取付けず、管ブロック体71をハンドホール61に設置した後に波付管31の先端に取付けてもよい。なお、この場合、前記ベルマウス75の一部はハンドホール61の内部空間側に突出する。更に、他の管は、管連結具81以外の連結手段によって管ブロック体71の波付管31に連結してもよい。
【0067】
加えて、上記各実施形態において、筒状体11の埋設部12及び埋設される波付管31は、基部の他方側の面から外方に突出しないものであるが、本発明を実施する場合は、これに限定されるものではない。また、筒状体11の管接続口13は基部の一方側の面から外方に突出したものであるが、これに限定されるものでもない。
【0068】
更に、上記各実施形態の基部は、ハンドホール61の壁62と略同一厚に形成しているが、これに限られるものではない。
【0069】
なお、上記各実施形態の基部のコンクリート材には、各種補強材、添加材を混入してもよい。
【0070】
また、コンクリート材と樹脂材との接着性が問題ではあるが、管接続具1及び管ブロック体71は基部を樹脂で形成することを妨げるものではない。また、ハンドホール61が樹脂製のものに適用することを妨げるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一実施形態の管接続具を示す斜視図である。
【図2】図1の管接続具を示し、(a)は背面図、(b)は左側面図である。
【図3】図1の筒状体を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(c)のA−A切断線による断面図、(f)は(d)のB−B切断線による断面図である。
【図4】図1の管接続具に接続される波付管を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図5】図1の管接続具に波付管を接続する状態を示す側面図である。
【図6】図5の抜止部材を示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は正面図、(e)は斜視図、(f)は(b)のC−C切断線による断面図である。
【図7】図1の管接続具に波付管を接続した状態を示す断面図である。
【図8】図1の管接続具に波付管を接続する別の手段を示す斜視図である。
【図9】図8の波付管に抜止リングを嵌着した状態を示す正面図である。
【図10】図9の抜止リングを嵌着した波付管を図8の管接続具に接続する状態を示す側面図である。
【図11】図1の埋設部に弾性材を巻着した筒状体を示す側面図である。
【図12】本発明の第二実施形態の管ブロック体を示す断面図である。
【図13】図12の波付管にベルマウスを取付ける方法を示し、(a)は断面図、(b)はベルマウスを波付管に挿入する状態を示す斜視図、(c)はベルマウスを取付けた後の状態を示す斜視図である。
【図14】図12の管ブロック体に他の波付管を接続する状態を示す側面図である。
【図15】図14の管連結具の斜視図である。
【図16】図2(a)に示す管接続具の変形例を示す背面図であり、(a)は3個の波付管を配置した管接続具、(b)は4個の波付管を配置した管接続具を示す。
【図17】従来の管接続具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 管接続具
2、72 基部
3、73 一方側の面
4、74 他方側の面
11 筒状体
12 埋設部
13 管接続口
31 波付管
61 ハンドホール
62 壁
63 設置孔
71 管ブロック体
81 管連結具
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中埋設箱であるハンドホールの壁に設けられ、地中に埋設されるケーブル等の配線や給水管、給湯管等の配管材を内部に収容して保護する管が接続され或いは連結される管接続具及び管ブロック体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、内部に前記配線、配管材を収容してこれを保護する波付管等の管が地中に埋設され、その配管経路には管相互を接続したり、分岐するためのハンドホールが埋設されている。このハンドホールはコンクリート製或いは合成樹脂製で箱状に形成されており、その壁には管が接続されている。前記管は管接続具等を介してハンドホールの壁に接続されている。
【0003】
図17は従来の管接続具の一例を示す。図17において、コンクリート製のハンドホール61の壁62には四角形状の設置孔96が形成されている。一方、この設置孔96に設けられる管接続具91は、コンクリート等で形成された角型の基部92と、埋設部94及び地中埋設管である波付管31が接続される管接続口95からなる筒状体93とで構成されている。前記筒状体93の埋設部94は前記基部92内に埋設され、前記管接続口95は前記基部92の一方側の面から外方に突出している。なお、図17においては1個の基部92に4個の筒状体93が埋設された管接続具91を示す。
【0004】
前記角型の管接続具91は予め工場で製造され、施工現場でハンドホール61の壁62に形成された設置孔96内に載置された後、隙間にモルタル等の充填材が充填され、これにより前記ハンドホール61の壁62に設けられる。その後、前記管接続具91の管接続口95に波付管31が接続される。この管接続具に関する技術は、例えば、特許第3430396号公報に掲載されている。
【特許文献1】特許第3430396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の角型の管接続具91においては、施工現場においてこの管接続具91に対応してコンクリート製のハンドホール61の壁62に矩形状の設置孔96を形成する必要があるが、コンクリート製の壁62をはつって四角形状の設置孔96を形成しなければならないため、その作業には多大な労力と手間を要した。
【0006】
一方、ハンドホール61の製造時に予め設置孔96を形成することもできるが、その場合、汎用性の点から、通常、標準的な大きさ、形状の設置孔96を形成することになる。このため、設置孔96と管接続具91の基部92との間に大きな隙間を生ずる場合は、モルタル等の充填材の充填量が増し、その埋め戻し作業に負担が生じ、充填材が硬化するまでの時間も長くなる。逆に、管接続具91が設置孔96より大きければ、設置孔96の周縁をはつって拡張しなければならず、その作業に大きな手間が必要となる。また、途中で波付管31を増設する必要が生じて管接続具91の基部92が大型化することになったときなどにおいても同様に四角形状にはつって設置孔96を拡張しなければならない。このように、従来の管接続具91はコンクリート製の壁62を四角形状にはつらなければならないため、その作業に多大な負担を強いられていた。
【0007】
また、管接続具91の基部92が正方形でなく矩形状に形成されていた場合において、施工途中に現場の状況から管の分岐や合流の必要が生じることにより、設置孔96に対する管接続具91の基部92の挿入向きを横向きから縦向きに90度変更しなければならなくなったときには、前記設置孔96と管接続具91の基部92とで形状が縦横方向で90度ずれているため、設置孔96内に挿入することができないことになる。したがって、設置孔96に挿入するためには、結局、同様に、ハンドホール61の壁62をはつらなければならないし、生じた隙間に多量の充填材を充填しなければならなくなる。
【0008】
加えて、前記管接続具91は角型に形成され、角部が尖っているため、運搬、取扱い時に他の干渉物に当たって角部が欠けることがある。その場合には、ハンドホール61の設置孔96に挿入した後、隅部に生じた隙間に充填材を埋め戻す必要があり、余分な手間が必要となる。
【0009】
そこで、本発明は、ハンドホールの壁に設置するための設置孔を簡単に形成でき、また、配管変更に伴う前記設置孔の修正を簡単に行なうことができるとともに、設置孔との隙間に対する充填材の充填量を少なくすることができ、更に、運搬、取扱い時に破損等が生じ難い管接続具及び管ブロック体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の管接続具は、ハンドホールの壁に設けられるものであって、一定厚の円盤状のコンクリート基部と、前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、一方側に管接続口を有する筒状体とからなる。ここで、管接続口に接続される管は地中に埋設されるケーブル等の配線や給水管、給湯管等の配管材を内部に収容して保護するもので、角パイプ状、丸パイプ状のものがあって波付管などが用いられる。前記管は地中に1条或いは多条に埋設される。ハンドホールは前記管相互を接続したり分岐するために配管経路に地中埋設箱として埋設されるもので、他にマンホール等も含まれるが、便宜上これらをまとめてハンドホールと表現した。なお、「一方側」とは管が接続される側をいい、「他方側」とはハンドホールの内部側をいう。
【0011】
前記コンクリート基部は円盤状に形成されており、本発明の特徴とするところである。従来のコンクリート基部が角型のものと比較して後述する作用効果を奏する。コンクリート基部はコンクリートで形成されるが、モルタル等で形成されたものも含まれる。
【0012】
前記コンクリート基部に埋設された筒状体は一方側の開口が管接続口を形成し、これに地中に埋設される管が接続される。前記筒状体の他方側の開口はハンドホールの内部空間に臨み、この他方側の開口から配線、配管材がハンドホール内に引出される。
【0013】
前記管接続具はコンクリート基部が円盤状に形成されているので、管接続具が設けられるハンドホールの壁に設けられる設置孔も円形状となる。その結果、コアドリル等の穿孔具を使用して簡単かつ短時間にコンクリート製のハンドホールの壁に設置孔を形成できる。また、施工途中に設計変更によりコンクリート基部の外径の更に大きい管接続具を使用しなければならなくなったとしても、穿孔具を使用してハンドホールの設置孔を簡単に拡大修正することができる。更に、円盤状のコンクリート基部をその中心軸を中心に周方向に回動して任意の角度、向きでハンドホールの壁の設置孔に設置することができる。このため、施工中に現場の状況から管の分岐や合流の必要が生じて、設置孔に対するコンクリート基部の挿入向きを所定角度回動した方向に変更しなければならなくなったときでも、設置孔とコンクリート基部とで形状がいずれも円形状で一致しているため、既設の設置孔にそのまま挿入して設置することができ、コンクリートの壁をはつって設置孔を修正する必要はない。
【0014】
請求項2の管接続具及び請求項7の管ブロック体は、特に、基部が、ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたものである。
【0015】
請求項3の管接続具及び請求項8の管ブロック体は、特に、筒状体が、前記基部に複数配置されたものである。
【0016】
請求項4の管接続具及び請求項9の管ブロック体は、特に、筒状体の他方側が基部の他方側の面から突出することなく埋設されたものである。
【0017】
請求項5の管接続具は、特に、筒状体の一方側が前記基部の一方側の面から突出して埋設されたものである。
【0018】
請求項6の管ブロック体は、ハンドホールの壁に設けられるものであって、一定厚の円盤状のコンクリート基部と、前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、前記基部の一方側の面から、少なくとも管連結具によって他の管と連結可能な長さ分突出している管とからなる。即ち、請求項6の管ブロック体は請求項1の管接続具と比較して、管がコンクリート基部に直接埋設されたものであり、管の一部は基部の一方側の面から管軸方向に突出しており、その突出部において管連結具を介して他の管と連結されるものである。したがって、請求項1の管接続具と同様に作用する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の管接続具は、コンクリート基部が円盤状に形成されており、管接続具が取付けられるハンドホールの壁に設けられる設置孔もこれに対応して円形状となるから、前記設置孔を新設するときや拡大修正が必要となったときに、現場で穿孔具を使用して簡単かつ短時間にハンドホールの壁に設置孔を形成できる。また、施工中にハンドホールの壁の設置孔への取付方向が変更された場合でも、コンクリートの壁をはつって設置孔を修正する必要がなく、管接続具をそのまま取付向きを変えるだけで前記設置孔に挿入し、設置できる。以上の結果、管接続具をハンドホールに設置する作業性が向上する。
【0020】
そして、現場で穿孔具を使用して管接続具の基部の大きさに対応した設置孔を穿設すればよいから、予め工場で各種サイズ、形状の設置孔を設けたハンドホールを備える必要がない。その結果、ハンドホールを共通化でき、費用を軽減できる。
【0021】
加えて、コンクリート基部は円盤状であるから、コンクリート基部が角型の管接続具に比べて、運搬、取扱い時などにおいて破損することが少ない。
【0022】
請求項2及び請求項7は、特に、基部が、ハンドホールの壁と略同一厚に形成されているから、ハンドホールの壁より薄厚であることによる管接続具の基部とハンドホールの壁との間の接合強度の低下を防ぎ、所要の接合強度を確保できる。また、逆に、基部の厚さがハンドホールの壁より大きくなることによる基部の材料コストの上昇を回避できるとともに、壁面からの飛び出しによる見栄えの低下を防止できる。
【0023】
請求項3及び請求項8は、特に、筒状体が、基部に複数配置されているから、1個の管接続具で多数の管を接続できる。
【0024】
請求項4及び請求項9は、特に、筒状体の他方側が基部の他方側の面から突出することなく埋設されているから、ハンドホール内の見栄えを良くするとともに前記筒状体がハンドホール内に突出することによってその突出部に他の物体が当たって損傷を受けるのを防止できる。
【0025】
請求項5は、特に、筒状体の一方側が基部の一方側の面から突出して埋設されているから、その筒状体の突出部を利用し、各種手段により管を接続することができる。
【0026】
請求項6の管ブロック体は、基部が円盤状に形成され、請求項1の管接続具と比較して、管が基部に直接埋設され、管連結具によって他の管と連結されるものであるから、請求項1の管接続具と同様の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の第一実施形態を図1乃至図11に基づいて説明する。この実施形態においては、コンクリート基部に2個の筒状体が並設された管接続具を示す。
【0028】
図1及び図2において、管接続具1はコンクリート製のハンドホールに取付けられ、地中に埋設された配線、配管材を保護する波付管31が接続されるものであり、コンクリート製の基部2と、該基部2に埋設された四角筒状の筒状体11とで構成されている。前記基部2は本発明の特徴とする円盤状に形成されているとともに、図5に示すように、ハンドホール61の壁62と略同一の一定厚に形成されている。ここで、略同一とは、寸法的に正確に同一であることまでは要求されず、壁面からの多少の突出または内部側への後退は許容する意である。前記基部2をコンクリート製としたのは、コンクリート製のハンドホール61及び隙間に充填されるモルタル等の充填材との接着性を考慮したものであり、また、季節変化に伴う基部2及びハンドホール61の膨張収縮率の違いから生ずるひび割れを防止すべく、同種素材で形成するのが好ましい点を考慮したものである。ここで、基部2の一方側の面3とは波付管31が接続される側の面であり、他方側の面4とはハンドホール61の内部に臨む面を意味する。
【0029】
前記筒状体11は基部2に2個並置して埋設されており、図3に示すように、合成樹脂により全体が四角筒体に形成され、前記基部2の厚さ方向の両側に開口している。前記筒状体11は前記基部2に埋設される埋設部12と、前記基部2の一方側の面3からこれに直交して外方に突出する管接続口13とで構成されており、更に、前記埋設部12の他方側の面4の開口14にはその開口面に平行して円板状の鍔部15が一体に設けられている。これらの埋設部12及び管接続口13からなる筒状体11は合成樹脂の一体成形により形成することができる。
【0030】
前記鍔部15の中央部に形成されている四角形状の開口14の周縁部はその全周に至って小さく湾曲するアールが形成されており、ケーブル等が引出されるときに開口14の周縁部で擦れてきずが生ずるのを防止している。また、前記鍔部15はアンカーとして筒状体11が基部2の一方側の面3から外方に抜け外れるのを防止する。更に、前記鍔部15はハンドホール61の内部側からの外観を良くしている。
【0031】
前記埋設部12は前記基部2の厚さと同一長さで四角筒状に形成され、内部に配線、配管材が挿通される。この埋設部12の外表面16には複数条の環状突条17が長さ方向に等間隔で環状に設けられており、基部2のコンクリート材との接着性を高めている。なお、埋設部12の外表面16全体を凹凸面に形成するなどして前記コンクリート材との接着性を高めてもよい。
【0032】
前記管接続口13は基部2の一方側の面3から所定長さ外方に突出し、波付管31の外形寸法、形状に対応して前記埋設部12より大きい四角筒状に形成され、開口18から内部に前記波付管31が挿入、接続されるようになっている。前記埋設部12と管接続口13との連結部には段部19が形成され、前記波付管31はこの段部19に突当たるまで挿入可能である。なお、前記埋設部12の内部寸法は波付管31と略同一に形成されており、管接続口13内に波付管31が挿入されたとき、前記埋設部12の内壁と波付管31の内壁との間に段差を生じないので、配線、配管材を前記埋設部12及び波付管31との間で連続して円滑に挿通させることができる。
【0033】
更に、前記管接続口13は外壁20の肉厚が長さ方向のほぼ中央部において変化し、この部分に段部21が形成されていて、開口18寄りの部分の内部寸法は前記段部21より奥側の部分より大きくなっている。この開口18寄りの部分の内部寸法は後述する抜止部材41が挿入可能な大きさに形成されており、前記段部21で該抜止部材41の先端部が突当たるようになっている。
【0034】
前記管接続口13の外壁20のうちの一面には、開口18側の端部の両側部に後述の係止ねじ64が外方から挿入される一対のねじ挿通孔22が設けられている。また、この一面に隣接する左右両隣の面には後述する抜止部材41の係合突起44が挿入されて係止する係合溝孔23が設けられているとともに、開口18の周縁部に後述する抜止部材41の嵌合突起45が嵌合する嵌合切欠24が形成されている。
【0035】
次に、前記管接続具1の管接続口13に接続される前記角型の波付管31は、図4に示すように、合成樹脂により断面四角形状に形成され、環状の外周山部32と外周谷部33とが長手方向に交互に形成された外周壁を備え、可撓性を有する。この波付管31の外周山部32は前記管接続具1の管接続口13に挿入されたとき、前記管接続口13の段部21より奥側の内壁にほぼ密接した状態で収容される。
【0036】
次に、前記管接続具1の管接続口13に前記波付管31を接続するための抜止部材41を説明する。図6において、抜止部材41は波付管31の外周壁に外方から嵌込まれ、その状態で前記管接続具1の管接続口13内に挿入されたとき、その管接続口13の外壁20に係止される。前記抜止部材41は前記波付管31を管接続口13に接続するアダプターとして作用する。
【0037】
前記抜止部材41は合成樹脂により全体が略コ字板状に形成され、左右の側面42には、前記管接続口13のねじ挿通孔22に挿通された係止ねじ64が螺刻しつつ取着される係止溝43が上下各1箇所、左右合計で4箇所形成されている。そして、前記左右の側面42には一方の端部寄りに前記管接続口13の係合溝孔23内に弾性的に係合する係合突起44が設けられており、更に、それから所定距離離間した他方の端部に前記管接続口13の嵌合切欠24に嵌合する嵌合突起45が設けられている。また、内壁において前記係止溝43の裏面側には内部側に突出する嵌合リブ46が上下方向に一体に設けられている。この嵌合リブ46は波付管31の外周谷部33に嵌合して波付管31と抜止部材41との相対移動を規制するものである。
【0038】
次に、上記のように構成された管接続具1を形成するには、図示しないが、有底円筒状の型枠の底面の所定位置に埋設部12の鍔部15を下側にして筒状体11を設置した後、管接続口13が外部に突出した状態で蓋材を取付け、或いは蓋材を取付けることなく直接に、コンクリート材を型枠内に流し込む。そして、硬化後、脱型すれば、管接続具1が形成される。このとき、筒状体11内にコンクリート材が侵入するのを防止するため、開口14にキャップ等の蓋材を取付けておいてもよい。なお、基部2を構成するコンクリート材は軽量かつ大きい強度の得られる素材を使用するのがよく、また、温度による膨張収縮に起因するひび割れを防止するため、ハンドホール61のコンクリート材に近い組成とすることを考慮して選定するのが望ましい。これにより形成された管接続具1は、埋設部12と管接続口13との間に段部19が形成されており、かつ、埋設部12の端部に鍔部15が形成されているので、筒状体11が基部2から抜脱するのが防止される。
【0039】
次に、管接続具1をハンドホール61の壁62に設置するには、まず、コアドリル等の穿孔具を使用して前記壁62に前記管接続具1の基部2の外径より少し大きい内径を有する設置孔63を穿設する。このとき、前記設置孔63は穿孔具を使用することにより現場で簡単に形成することができる。次いで、前記設置孔63内に管接続具1を載置し、壁62との隙間にモルタル等の充填材65を埋め込む。このとき、ハンドホール61の壁面に板材を当接し、管接続具1の筒状体11の開口14を前記板材に密接させた状態で充填材65を埋め込めば、管接続具1における基部2の他方側の面4及び筒状体11の開口14はハンドホール61の壁面と面一状態となり、ハンドホール61内の外観が向上する。一方、管接続具1の管接続口13はハンドホール61の壁面から外方に突出する状態となる。これにより、管接続具1をハンドホール61の壁62に設置した後に、管接続口13の外方から係止ねじ64を該管接続口13のねじ挿通孔22内に挿通して波付管31に係止させることができる。
【0040】
なお、基部2の周縁部に、ハンドホール61の設置孔63に対する管接続具1の設置向き、角度を調整するために目印となる罫書き線、刻印等を形成しておいてもよい。このようにすれば、ハンドホール61の壁62にも目印線を付けておいて、両目印を位置合わせすることにより、水平度、垂直度を出し、管接続具1を所定の角度、向きに正確に設置することができる。
【0041】
次に、ハンドホール61に管接続具1を設置した後、波付管31を接続するには、まず、抜止部材41の左右両側部を弾性的に側方に拡開しながら波付管31の外周壁に強制的に嵌め込む。このとき、前記抜止部材41の嵌合リブ46は波付管31の先端から3つ目ぐらいの外周谷部33内に嵌合させる。これにより、波付管31と抜止部材41とが相対移動するのが規制され、抜止部材41は波付管31の所定位置に固定される。また、波付管31の先端から1つ目ぐらいの外周谷部33内には波付管31の外周壁と管接続口13の内壁との隙間から水等が侵入するのを防止するため、環状のシールリング66を取付ける。
【0042】
次いで、図5に示すように、抜止部材41及びシールリング66が装着された状態で波付管31をそのまま管軸方向に移動させ、管接続具1の管接続口13内に強く押し込む。すると、前記抜止部材41の係合突起44は管接続口13の内壁で押圧されて内部側に弾性的に後退しつつ奥側に移動し、管接続口13の係合溝孔23に達した時点でその内部に入り込み、弾性的に拡開して前記係合溝孔23に係合する。同時に、抜止部材41の嵌合突起45は管接続口13の嵌合切欠24に嵌合する。これにより、波付管31は管接続口13内に安定して接続される。その後、管接続口13の外方からねじ挿通孔22内に係止ねじ64を挿入し、図7に示すように、これを抜止部材41の係止溝43に螺着すれば、更に強固に管接続口13と抜止部材41とが接続され、波付管31は確実に管接続口13に接続し、固定される。
【0043】
次に、本実施形態の管接続具の作用を説明する。
管接続具1は基部2が円盤状に形成されているため、ハンドホール61の壁62に設けられる設置孔63も円形状に形成できる。このため、現場においてコアドリル等の穿孔具を使用して簡単にかつ短時間で前記設置孔63を形成できる。また、その後に、波付管31が増設されることによって、より大径の基部2を取付ける必要が生じたときでも、前記穿孔具を使用することにより設置孔63を簡単に拡大修正することができる。その結果、現場で穿孔具を使用して管接続具の基部の大きさに対応する最適な設置孔63をハンドホール61の壁62に確実かつ的確に形成することができる。また、予め、ハンドホール61に各管接続具1の基部2の大きさに対応した設置孔63を設けておく必要がないため、ハンドホール61を共通化できて経済的である。但し、本実施形態の管接続具1は工場等で予めハンドホール61に設置孔63を設けておくことを妨げるものではない。
【0044】
更に、基部2が円盤状に形成されていることにより、ハンドホール61の壁62の設置孔63に対して管接続具1を円周方向の任意の角度、向きに取付けることができる。このため、施工中に、経路途中に障害物があるなどの現場の状況によって波付管31の分岐や合流等を生じることにより波付管31の配置状態に変更が生じ、そのために管接続具1も設置角度、向きを変更する必要が生じたとしても、管接続具1を円周方向に所定角度回動して向きを変えて載置するだけでよい。したがって、向き変更により改めてハンドホール61の壁62のコンクリートをはつって設置孔63を修正する作業が必要となる従来の矩形状の管接続具とは異なって、それらの作業が不要となり、向き変更に対して簡単に対処できる。
【0045】
加えて、基部2が円盤状であることにより、基部92が角型に形成されて尖った角部が破損し易い従来の管接続具とは異なって、運搬、取扱い時などにおいて障害物等に当たって隅部が欠けたりすることが少ない。
【0046】
ところで、上記実施形態では、波付管31は抜止部材41を介して管接続具1の管接続口13に接続しているが、他の手段によって接続することもできる。
【0047】
図8において、抜止リング51は一部に切欠を有し、全体が略馬蹄形状に形成されており、断面幅は波付管31の外周谷部33に嵌入できる大きさに形成されている。前記抜止リング51は合成樹脂により形成され、中央部52は波付管31の外周谷部33の形状に沿って直線状に形成されており、左右の側部53は円弧状に湾曲形成されている。
【0048】
この抜止リング51を使用して接続するには、左右の側部53を弾性的に両側方に拡開しつつ波付管31の外周壁に押込んで、先端から3つ目ぐらいの外周谷部33に嵌合させる。図9は嵌合後の状態を示し、前記抜止リング51の左右の側部53は湾曲する頂部が波付管31の外周山部32から外方に突出した状態となっている。
【0049】
この状態で、図10に示すように、波付管31を管軸方向に移動させて管接続具1の管接続口13内に強制的に押し込めば、外周山部32から突出している抜止リング51の側部53の頂部は前記管接続口13の内壁に押圧されて弾性的に外周谷部33内に格納され、波付管31は管接続口13内に進入可能となる。そこで、波付管31が移動して抜止リング51が管接続口13の外壁20に設けられた直状の係合溝孔25の位置に到達すると、前記抜止リング51の側部53は弾性的に開放されて前記係合溝孔25内に嵌入し、係止される。これにより、管接続口13への波付管31の接続が完了する。
【0050】
また、図示しないが、管接続口13の開口18寄りの端部に、一部が該管接続口13の外壁20に設けられた貫通孔を貫通して波付管31の外周谷部33に嵌入する止め具を取付け、係止ねじ64を止め具に設けられたねじ孔及び管接続口13のねじ挿通孔22に挿通した後、該係止ねじ64を波付管31の外周谷部33内に強制的に螺着することにより、管接続口13と波付管31とを接続することもできる。
【0051】
次に、前記管接続具1は、図11に示すように、筒状体11の埋設部12の外表面16に所定幅のブチルゴム等からなるテープ状の弾性材67を環状に巻着しておくことが望ましい。なお、前記ブチルゴムは止水効果も兼ね備える。
【0052】
従来、樹脂製の筒状体93をコンクリートの基部92に埋設した管接続具91は、樹脂材で形成した筒状体93とコンクリート材で形成した基部92とでは熱による膨張収縮率が異なるため、季節による温度変化によって熱応力が発生し、コンクリート製の基部92にひび割れを生じる恐れがあった。このため、コンクリートに繊維等を混練して成形することがあるが、粘度が高くなって流動性が低下し、円滑に成形できなかったり、成形に時間がかかるという不具合があった。
【0053】
そこで、基部2のコンクリート材と筒状体11の樹脂材との間に弾性材67を介在させると、コンクリート材と樹脂材との膨張収縮率の違いに基づいて生じる応力を前記弾性材67が吸収するため、コンクリート材からなる基部2のひび割れが防止される。
【0054】
なお、前記弾性材67は前記埋設部12の外表面16の長手方向の中央部或いは端部等の1乃至複数箇所に巻着されたり、前記外表面16の長手方向の全長に至って巻着されるが、外表面16の全長の少なくとも3割以上となる幅に巻着してあるのが効果の点から好ましいことが出願人の実験により証明されている。なお、前記弾性材67の幅方向の両側に更に止水部材を巻着しておいてもよい。
【0055】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の管ブロック体を図12乃至図15に基づいて説明する。この管ブロック体は第一実施形態の管接続具1と比較して、波付管31が基部に直接埋設されている。
【0056】
図12において、管ブロック体71は一定厚さの円盤状のコンクリート製の基部72に波付管31が直接埋設されており、前記波付管31の一部は前記基部72の一方側の面73から外方に突出し、この突出部分において、地中を配管されてきた他の波付管31とは後述する管連結具81によって連結されるようになっている。前記突出長さは少なくとも他の波付管31と連結可能な大きさに形成されている。前記基部72は第一実施形態の基部2と同様の構成となっているので、その説明を省略する。
【0057】
前記基部72に埋設された波付管31の先端部には、図13に示すように、ベルマウス75が取付けられ、波付管31内を挿通する配線等が該波付管31の先端部からハンドホール61内に引出されるとき或いはハンドホール61から波付管31に引込まれるときに、波付管31の先端の切断口の周縁部で擦られてきず付くのを防ぐとともに、ハンドホール61内における波付管31の先端部の見栄えを良くしている。前記ベルマウス75の端部開口面は基部72の他方側の面74と面一状態となっている。
【0058】
前記ベルマウス75は公知のものであり、その本体76は略八角筒状をなしている。前記本体76の外壁には1面おきの4面にそれぞれ波付管31の外周谷部33に嵌合する嵌合突部77が1個ずつ一体に設けられている。管軸方向における前記嵌合突部77と反対側の開口端部78はラッパ状に拡開し、周壁はアール状の湾曲面となっている。
【0059】
前記管ブロック体71を形成するには、まず、図13(a)、(b)に示すように、波付管31の先端開口内に前記ベルマウス75の本体76を、前記嵌合突部77が波付管31の内部空間の対角線上に位置する状態で挿入する。ここで、前記嵌合突部77は波付管31の対角線となる位置に挿入されるので、前記波付管31の外周谷部33と干渉することなく奥側に挿入される。そして、ラッパ状に拡開した開口端部78が波付管31の先端部と当接する位置或いはその近辺に到達したら、図13(c)に示すように、ベルマウス75を約45度回動してベルマウス75の嵌合突部77を波付管31の外周谷部33に嵌入させる。これにより、波付管31とベルマウス75とは一体化される。
【0060】
次いで、第一実施形態の管接続具1と同様にして、円筒状の有底型枠内の底面にベルマウス75側を下側にして波付管31を設置した後、コンクリート材を流し込み、硬化後、脱型する。これにより、管ブロック体71が簡単に製造される。
【0061】
次に、前記管ブロック体71の波付管31に、他の波付管31を連結するには、第一実施形態と同様の抜止部材41及び図15に示す管連結具81を使用する。前記管連結具81は図3に示した第一実施形態の管接続口13を2個背合わせに接合した形状をなし、内部中央には波付管31の先端が当接する中央隔壁82が形成されている。
【0062】
そこで、管ブロック体71を構成する波付管31の突出側端部における外周谷部33及び地中に配管されて該波付管31に連結される他の波付管31の端部の外周谷部33にそれぞれ、第一実施形態と同様の要領で、シールリング66を取付け、抜止部材41を嵌着する。次いで、図14に示すように、前記管連結具81を管軸方向に移動させ、その一端側を管ブロック体71に埋設された波付管31の突出側端部に取付け、強制的に押し込む。また、前記管連結具81の他端側の開口に他の波付管31の先端部を挿入し、強制的に押し込む。すると、各抜止部材41の係合突起44が管連結具81の係合溝孔83に係合し、各抜止部材41の嵌合突起45が管連結具81の嵌合切欠84に嵌合する。その後、必要に応じて、管連結具81の外方から係止ねじ64をねじ挿通孔85内に挿通し、更にその係止ねじ64を抜止部材41の係止溝43に螺着する。これによって、他の波付管31は前記管連結具81を介して管ブロック体71の波付管31に強固に連結される。
【0063】
ところで、上記第一実施形態の管接続具1及び第二実施形態の管ブロック体71は、前述のように、それぞれ筒状体11及び波付管31を基部に任意数埋設でき、その配置も任意に設定できる。例えば、図16(a)は、基部2に3個の筒状体11を配置した管接続具1を示し、図16(b)は4個の筒状体11を配置した管接続具1を示す。また、図示しないが、1個の基部に異なる大きさの筒状体11や波付管31を混在させて配置することもできるし、筒状体11或いは波付管31を1個のみ埋設することもできる。
【0064】
また、上記各実施形態においては、角型パイプ状の波付管31を管接続具1及び管ブロック体71に接続するものを示したが、本発明を実施する場合には、これに限られず、筒状体11の形状を変えることによって、例えば丸型パイプの波付管を接続することもできる。或いは、波付管31に限らず、接着その他の接続手段により、外周壁に凹凸のない直状管に適用してこれを接続することも可能である。なお、角型パイプの波付管31の場合は、隣同士を重ね合わせて複数を地中に埋設することができるため、波付管31相互の隙間をなくし、沈下防止用、ずれ防止用の砂等を管同士の隙間に詰め込む手間を不要とすることができ、砂、土砂の埋め戻し作業が楽になるという効果がある。勿論、複数の波付管31同士は相互に離間して配管されていてもよいことは言うまでもない。
【0065】
そして、第一実施形態では、図1、図2等において、上下2個の筒状体11は管接続口13のねじ挿通孔22がいずれも上向きに配置されたものを示しているが、両方の筒状体11を、図1、図2等の状態から管軸を中心に90度回動させて同一または正反対の横向きとし、或いは下側の筒状体11を180度反転して下向きとし、全てのねじ挿通孔22が外方に露出した状態で基部2に埋設したものとすると更によい。上側の筒状体11が邪魔になってその制約を受けることがないので、下側の筒状体11についても、側方または下方から前記ねじ挿通孔22に係止ねじ64を挿入する操作が可能となり、それにより、前記係止ねじ64を抜止部材41の係止溝43に係止させることができる結果、波付管31を強固に接続することができるからである。
【0066】
また、第二実施形態の管ブロック体71は、その波付管31に同種同大の波付管31を連結しているが、これに限られるものではなく、前記管ブロック体71に埋設された波付管31には、他の管として、異形連結具等を使用することにより、丸型の波付管や大きさの相異する異種のものを連結することもできる。また、管ブロック体71の波付管31の先端部のベルマウス75は必ずしも取付けを要するものでもない。ベルマウス75は工場での製造時では管ブロック体71に取付けず、管ブロック体71をハンドホール61に設置した後に波付管31の先端に取付けてもよい。なお、この場合、前記ベルマウス75の一部はハンドホール61の内部空間側に突出する。更に、他の管は、管連結具81以外の連結手段によって管ブロック体71の波付管31に連結してもよい。
【0067】
加えて、上記各実施形態において、筒状体11の埋設部12及び埋設される波付管31は、基部の他方側の面から外方に突出しないものであるが、本発明を実施する場合は、これに限定されるものではない。また、筒状体11の管接続口13は基部の一方側の面から外方に突出したものであるが、これに限定されるものでもない。
【0068】
更に、上記各実施形態の基部は、ハンドホール61の壁62と略同一厚に形成しているが、これに限られるものではない。
【0069】
なお、上記各実施形態の基部のコンクリート材には、各種補強材、添加材を混入してもよい。
【0070】
また、コンクリート材と樹脂材との接着性が問題ではあるが、管接続具1及び管ブロック体71は基部を樹脂で形成することを妨げるものではない。また、ハンドホール61が樹脂製のものに適用することを妨げるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第一実施形態の管接続具を示す斜視図である。
【図2】図1の管接続具を示し、(a)は背面図、(b)は左側面図である。
【図3】図1の筒状体を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は(c)のA−A切断線による断面図、(f)は(d)のB−B切断線による断面図である。
【図4】図1の管接続具に接続される波付管を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【図5】図1の管接続具に波付管を接続する状態を示す側面図である。
【図6】図5の抜止部材を示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は正面図、(e)は斜視図、(f)は(b)のC−C切断線による断面図である。
【図7】図1の管接続具に波付管を接続した状態を示す断面図である。
【図8】図1の管接続具に波付管を接続する別の手段を示す斜視図である。
【図9】図8の波付管に抜止リングを嵌着した状態を示す正面図である。
【図10】図9の抜止リングを嵌着した波付管を図8の管接続具に接続する状態を示す側面図である。
【図11】図1の埋設部に弾性材を巻着した筒状体を示す側面図である。
【図12】本発明の第二実施形態の管ブロック体を示す断面図である。
【図13】図12の波付管にベルマウスを取付ける方法を示し、(a)は断面図、(b)はベルマウスを波付管に挿入する状態を示す斜視図、(c)はベルマウスを取付けた後の状態を示す斜視図である。
【図14】図12の管ブロック体に他の波付管を接続する状態を示す側面図である。
【図15】図14の管連結具の斜視図である。
【図16】図2(a)に示す管接続具の変形例を示す背面図であり、(a)は3個の波付管を配置した管接続具、(b)は4個の波付管を配置した管接続具を示す。
【図17】従来の管接続具を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1 管接続具
2、72 基部
3、73 一方側の面
4、74 他方側の面
11 筒状体
12 埋設部
13 管接続口
31 波付管
61 ハンドホール
62 壁
63 設置孔
71 管ブロック体
81 管連結具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホールの壁に設けられる管接続具であって、
一定厚の円盤状のコンクリート基部と、
前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、一方側に管接続口を有する筒状体と
からなることを特徴とする管接続具。
【請求項2】
前記基部は、前記ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の管接続具。
【請求項3】
前記筒状体は、前記基部に複数配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管接続具。
【請求項4】
前記筒状体は、その他方側が前記基部の他方側の面から突出することなく埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の管接続具。
【請求項5】
前記筒状体は、その一方側が前記基部の一方側の面から突出して埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の管接続具。
【請求項6】
ハンドホールの壁に設けられる管ブロック体であって、
一定厚の円盤状のコンクリート基部と、
前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、前記基部の一方側の面から、少なくとも管連結具によって他の管と連結可能な長さ分突出している管と
からなることを特徴とする管ブロック体。
【請求項7】
前記基部は、前記ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたことを特徴とする請求項6に記載の管ブロック体。
【請求項8】
前記管は、前記基部に複数配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の管ブロック体。
【請求項9】
前記管は、その他方側が前記基部の他方側の面から突出することなく埋設されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の管ブロック体。
【請求項1】
ハンドホールの壁に設けられる管接続具であって、
一定厚の円盤状のコンクリート基部と、
前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、一方側に管接続口を有する筒状体と
からなることを特徴とする管接続具。
【請求項2】
前記基部は、前記ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の管接続具。
【請求項3】
前記筒状体は、前記基部に複数配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管接続具。
【請求項4】
前記筒状体は、その他方側が前記基部の他方側の面から突出することなく埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の管接続具。
【請求項5】
前記筒状体は、その一方側が前記基部の一方側の面から突出して埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の管接続具。
【請求項6】
ハンドホールの壁に設けられる管ブロック体であって、
一定厚の円盤状のコンクリート基部と、
前記基部の厚さ方向の両側に開口するようにして該基部内に埋設され、前記基部の一方側の面から、少なくとも管連結具によって他の管と連結可能な長さ分突出している管と
からなることを特徴とする管ブロック体。
【請求項7】
前記基部は、前記ハンドホールの壁と略同一厚に形成されたことを特徴とする請求項6に記載の管ブロック体。
【請求項8】
前記管は、前記基部に複数配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の管ブロック体。
【請求項9】
前記管は、その他方側が前記基部の他方側の面から突出することなく埋設されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の管ブロック体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−175304(P2008−175304A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9551(P2007−9551)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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