説明

管状物の曲げ加工装置及び曲げ加工方法

【課題】管状物に対して、割れやしわ等の外観品質不良を生じさせず、より小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる管状物の曲げ加工装置を提供する。
【解決手段】本発明により、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う曲げ加工装置であって、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径での曲げ加工を行う第1曲げ加工手段と、曲げ加工中に曲率半径を変化させて、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行う第2曲げ加工手段とを備えてなることを特徴とする管状物の曲げ加工装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空断面を有する管状物に対して、割れやしわなどの外観品質不良を生じさせずに小さな曲率半径で曲げ加工を行うことができる曲げ加工装置及び曲げ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、中空断面を有する管状物には、円形断面を有するパイプ部材や、断面が非円形状となる異形管などがある。このような管状物に曲げ加工を行う場合には、例えば図14に示すような曲げ加工装置61が広く利用されている。この曲げ加工装置61は、所定の一定曲率半径を有し、単一の回転軸62を中心にして回転可能な回転ダイ63と、曲げ加工の加工ポイントとなる位置において回転ダイ63との間で管状物64を挟み込んで把持し回転するクランプダイ65と、曲げ加工時に管状物の断面形状の変形を防ぐために管状物内部に挿入されるマンドレル66と、管状物64を加工ポイント67より後段側で支持するとともに、管状物64が回転ダイ63及びクランプダイ65の回転に伴って引き出される方向に前進するプレッシャーダイ68と、加工ポイント67より後段側で前記プレッシャーダイ68と相対するように配設されたワイパーダイ69とを備えている。なお、ここでは、曲げ加工時に管状物64が引き出されていく方向を前方方向として、曲げ加工の加工ポイント67よりも前方方向の側を前段側とし、その反対方向の側を後段側とする。
【0003】
このような曲げ加工装置を用いて被加工物である管状物64に曲げ加工を行う際には、管状物64を回転ダイ63とクランプダイ65との間に挿入する。次に、回転ダイ63とクランプダイ65とで管状物64の一部を挟み込んで把持するとともに、プレッシャーダイ68により加工ポイント67の後段側で管状物64を支持する。また同時に、管状物64の内部にマンドレル66を挿入する。このとき、マンドレル66の先端部位が曲げ加工の加工ポイント67となる。
【0004】
管状物64の一部を回転ダイ63とクランプダイ65との間に把持した後、回転ダイ63の回転軸62を中心として回転ダイ63及びクランプダイ65を一体的に回転させる。また同時に、管状物64が引き出される方向にプレッシャーダイ68を前進させる。これにより、管状物64を回転ダイ63の周面に沿って引き出しながら、回転ダイ63が有する所定の一定曲率半径で曲げ加工を行うことができる。
【0005】
一般に、上記のようにして管状物に曲げ加工を行う場合、曲げ加工が施される管状物においては、曲げ加工時に管状物の中立線から内側に位置する曲げ内周部分で圧縮応力を受ける。また一方、中立線から外側に位置する曲げ外周部分では引張応力を受ける。このため、管状物に対して小さな曲率半径で曲げ加工を行うほど、管状物の曲げ内周部分では、圧縮応力を受けることになり「しわ」や「座屈」等の外観品質不良が発生しやすい。また、管状物の曲げ外周部分では減肉が引き起こされて、管状物に「割れ」が発生しやすいという問題があった。
【0006】
従来、上記のような管状物の曲げ加工における「割れ」や「しわ」等の発生を防ぐために、様々な工夫が為されてきた。例えば、曲げ加工時に「割れ」の発生を防ぐため、管状物の後段側の端部(後端部)にブースターを取り付けておき、曲げ加工の進行中に、ブースターにより管状物の後端部から、管状物が引き出される方向に向けて一定の推力を付与する。これにより、曲げ加工中に管状物の曲げ外周部分が受ける引張応力を緩和して、割れの発生を抑制することが可能となる。
【0007】
しかしながら、例えば上記のようにブースターから管状物に付与する推力を一定にして曲げ加工を行うと、曲げ加工時に加工ポイントに作用する軸力Sが、回転ダイの回転角度θ(すなわち、管状物の曲げ角度)に応じて変動する。このため、管状物の曲げ加工においては、管状物の曲げ内周部分及び曲げ外周部分の肉厚を曲げ加工工程の全体に渡って制御することが非常に難しく、曲げ内周部分に「しわ」を発生させたり、また曲げ外周部分に過大な減肉を生じさせることがあった。
【0008】
そこで、例えば特許文献1(特開平11−319957号公報)では、上記のようにブースターにより管状物の軸方向に推力を与えて曲げ加工を行う際に、曲げ加工の加工ポイントに作用する軸力Sを演算し、その演算された軸力が曲げ加工中に一定となるように、ブースターから管状物に付与する推力を調整する曲げ加工方法が開示されている。
【0009】
この特許文献1に記載されている曲げ加工方法によれば、曲げ加工時に、ブースターから管状物に付与する推力を管状物の曲げ角度に応じて適切に調整して、加工ポイントに作用する軸力Sが一定となるようにすることができる。これにより、管状物の外周部分において過大な減肉を防止でき、また内周部分では「しわ」の発生を抑制することができる。
【0010】
また、管状物の中で曲げ加工が困難な異形管に対して、より小さい曲率半径で曲げ加工を行う技術が特許文献2(特開2002−263738号公報)に開示されている。この特許文献2に開示されている曲げ加工方法は、非円形断面の管状物を回転ダイの回転により所要角度に曲げ加工するに際し、異形管の曲がり部分(被加工部分)における中立軸線より内側の一部に凹部を故意に形成しつつ、同異形管の後端部から管状物が引き出される方向に向けて推力を付加して曲げ加工を行うものである。
【0011】
すなわち、特許文献2は、異形管の曲げ加工時に、前記のように異形管の軸方向に推力を付与することにより、曲げ外周部分に引張り応力が過度に作用するのを防止する。また同時に、異形管の曲げ内周部分を強制的に塑性変形させて凹部を形成することにより、曲げ内周部分に生じる圧縮応力を集中させずに回避して、歪みの発生を防止する。このため、異形管に対して小さな曲率半径で曲げ加工を行っても、異形管に「割れ」や「しわ」が発生するのを抑制し、無理なく所要の回転角度で曲げ加工を行うことが可能になる。
【特許文献1】特開平11−319957号公報
【特許文献2】特開2002−263738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば前記図14に示したような曲げ加工装置61を用いて管状物に曲げ加工を行う場合、前述のように、周面が一定の曲率半径を有する回転ダイ63を単一の回転軸62を回転中心として回転させることにより、管状物64を引き出しながら曲げ加工が行われる。しかしながら、この場合、曲げ加工の開始時においては、管状物64とワイパーダイ69との間に大きな摩擦力が生じる。また、曲げ加工の加工ポイント67より後段側で管状物64を保持するプレッシャーダイ68は、曲げ加工の進行に伴って管状物64が引き出される速度に合わせて前進するが、曲げ加工の開始時においては、管状物64とプレッシャーダイ68とが動き出すタイミングに若干のずれが生じやすい。このため、管状物64とプレッシャーダイ68との間にも大きな摩擦力が生じていた。
【0013】
従って、回転ダイ63及びクランプダイ65により把持されている管状物64は、曲げ加工の開始時において、その把持部分の近傍で大きな引張応力が発生している。その結果、管状物64は、曲げ加工の開始時に、大きな引張応力を受けた状態で所定の曲率半径で急激に曲げられるため、曲げ外周部分において「割れ」が特に発生しやすいという問題があった。特に、曲げ加工の開始時における「割れ」の発生は、曲げ加工の曲率半径が小さくなるほど顕著となる傾向があった。
【0014】
また、管状物の曲げ外周部分に発生する「割れ」を防止するために、例えば上記特許文献1のように、管状物の後端からブースターにより推力を付与することができる。しかしながら、この場合も、曲げ加工の開始時においては、前記プレッシャーダイと同様に、管状物が動き出すタイミングと、ブースターにより推力を付与するタイミングとにずれが生じやすく、曲げ加工の開始時における「割れ」の発生を確実に防止することは難しかった。なお、曲げ加工の開始時における「割れ」の発生を防ぐために、ブースターにより推力を付与するタイミングを早めることが考えられる。しかしながら、この場合、曲げ加工開始時に管状物の曲げ内周部分が受ける圧縮応力が大きくなるため、同曲げ内周部分に「しわ」や「座屈」が発生してしまう。
【0015】
一方、前記特許文献2に記載されている曲げ加工方法では、前述のように、曲げ加工を行う際に管状物の曲げ内周部分を強制的に塑性変形させて凹部を形成することにより、より小さい曲率半径で曲げ加工を無理なく行うことが可能となる。しかしながら、この場合、管状物の一部の外観品質を犠牲にして凹部を故意に形成するため、得られた製品の使用範囲が大幅に制限されてしまうといった欠点があった。
【0016】
本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、管状物に対して、割れやしわ等の外観品質不良を生じさせず、また故意に外観品質を犠牲にすることもなく、より小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行って、優れた外観品質を有する曲げ加工品を得ることができる管状物の曲げ加工装置及び加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明により提供される管状物の曲げ加工装置は、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う曲げ加工装置であって、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径での曲げ加工を行う第1曲げ加工手段と、曲げ加工中に曲率半径を変化させて、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行う第2曲げ加工手段とを備えてなることを最も主要な特徴とするものである。
【0018】
上記本発明の管状物の曲げ加工装置は、前記管状物の一部を前記曲げ加工の加工ポイントでクランプダイとの間に挟み込んで把持し、前記管状物を引き出しながら回転を行うことにより、同管状物を引き曲げる回転ダイと、前記管状物を前記回転ダイとの間に挟み込んで把持し、前記回転ダイと共に回転する前記クランプダイと、前記管状物の内部に挿入され、前記曲げ加工時に管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工ポイントとなるマンドレルと、前記第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する回転機構とを備えてなり、前記第1曲げ加工手段が、前記回転ダイ及びクランプダイを前記大きな曲率半径で一体回転可能であり、前記第2曲げ加工手段が、前記第1曲げ加工手段による回転中に回転ダイの回転中心を変更し、さらに前記変更した回転中心にて前記回転ダイ及びクランプダイを回転可能であり、前記前記第1曲げ加工手段により、前記管状物を把持した回転ダイ及びクランプダイを回転させ、前記加工ポイントで前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、同曲げ加工中に前記第2曲げ加工手段を作動させて、前記回転ダイの回転中心を変更することにより、同曲げ加工における曲率半径を変化させて、前記加工ポイントでの前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行わせてなることが好ましい。
【0019】
またその他に、本発明の管状物の曲げ加工装置は、前記曲げ加工の加工開始ポイントで前記管状物を固定する管状物固定手段と、前記管状物の一部を前記管状物固定手段に隣接した位置でクランプダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持し、前記管状物に沿って摺動しながら回転を行うことにより前記管状物に曲げ加工を行う回転ダイと、前記管状物を前記回転ダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持し、前記回転ダイと共に回転する前記クランプダイと、前記管状物の内部に挿入され、前記曲げ加工時に管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工開始ポイントとなるマンドレルと、前記第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する回転機構とを備えてなり、前記第1曲げ加工手段が、前記回転ダイ及びクランプダイを前記大きな曲率半径で一体回転可能であり、前記第2曲げ加工手段が、前記第1曲げ加工手段による回転中に回転ダイの回転中心を変更し、さらに前記変更した回転中心にて前記回転ダイ及びクランプダイを回転可能であり、前記前記第1曲げ加工手段により、前記管状物を摺動可能に支持した回転ダイ及びクランプダイを回転させ、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、同曲げ加工中に前記第2曲げ加工手段を作動させて、前記回転ダイの回転中心を変更することにより、同曲げ加工における曲率半径を変化させて、前記加工開始ポイントでの前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行わせてなることが好ましい。
【0020】
前記本発明の管状物の曲げ加工装置においては、前記回転機構は、1つ以上の補助回動軸を有し、同各補助回動軸まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアームと、同複数のアームの一端側に配したアームに連結された固定回転軸と、前記アームの他端側に設けたアームの端部に前記回転ダイの固定部とを備えてなり、前記第1曲げ加工手段は、前記複数のアームを各補助回動軸まわりに固定可能として、前記固定回転軸まわりに複数のアームを一体で回動可能に形成され、前記第2曲げ加工手段は、前記固定回転軸まわりに固定可能とし、前記複数のアームを各補助回動軸の少なくとも1つの補助回動軸まわりに回動可能に形成されてなることが好ましい。
【0021】
またその他に、前記回転機構は、前記回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の内壁面又は外壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えてなり、前記第1曲げ加工手段は、前記レール部材の曲率半径が大きな部位から形成され、前記第2曲げ加工手段は、前記レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位から形成されてなることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明の管状物の曲げ加工装置では、前記回転ダイに、同回転ダイと共に前記管状物を把持又は支持する前記クランプダイ一体的に取り付けられてなることが好ましい。
【0023】
次に、本発明により提供される管状物の曲げ加工方法は、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う曲げ加工方法であって、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、前記曲げ加工中に曲率半径を変化させて、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
【0024】
上記本発明の管状物の曲げ加工方法は、前記管状物の一部を、前記曲げ加工の加工ポイントで、回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで把持すること、前記管状物の内部に、管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工ポイントとなるマンドレルを挿入すること、前記管状物を把持した回転ダイ及びクランプダイを回転機構により一体回転させ、前記加工ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、前記回転ダイの回転中に、同回転ダイの回転中心を変更して前記曲げ加工における曲率半径を変化させた後に、更に前記回転ダイ及びクランプダイを一体回転させ、前記加工ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでなることが好ましい。
【0025】
またその他に、本発明の管状物の曲げ加工方法は、前記管状物を、前記曲げ加工の加工開始ポイントより延設させた状態で、管状物固定手段を用いて前記加工開始ポイントで固定すること、前記固定した管状物の延設側を、前記管状物固定手段に隣接した位置で、回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持すること、前記管状物の内部に、管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工開始ポイントとなるマンドレルを挿入すること、前記管状物を摺動可能に支持した回転ダイ及びクランプダイを、回転機構により管状物の延設部位に沿って一体回転させ、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、前記回転ダイの回転中に、同回転ダイの回転中心を変更して前記曲げ加工における曲率半径を変化させた後に、更に前記管状物の延設部位に沿って一体回転させ、前記加工開始ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでなることが好ましい。
【0026】
前記本発明の管状物の曲げ加工方法においては、前記回転機構として、1つ以上の補助回動軸を有し、同各補助回動軸まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアームと、同複数のアームの一端側に配したアームに連結された固定回転軸と、前記アームの他端側に設けたアームの端部に前記回転ダイの固定部とを備えた回転機構を用いて、前記複数のアームを各補助回動軸まわりに固定可能として、前記固定回転軸まわりに複数のアームを一体で回動可能に形成することにより、前記回転ダイ及びクランプダイを前記固定回転軸を回転中心として回転させ、前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、前記回転ダイの回転中に、前記固定回転軸まわりに固定可能とし、前記複数のアームを各補助回動軸の少なくとも1つの補助回動軸まわりに回動可能に形成することにより、前記回転ダイの回転中心を前記固定回転軸から前記回動可能な補助回動軸に変更して、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことが好ましい。
【0027】
またその他に、前記回転機構として、前記回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えてなる回転機構を用いて、前記レール部材の曲率半径が大きな部位で前記駆動歯車を駆動することにより前記回転ダイを回転させ、前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、前記回転ダイの回転中に、前記レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位で前記駆動歯車を駆動することにより、前記回転ダイの回転中心を連続的に変更して、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことが好ましい。
【0028】
さらに、本発明の管状物の曲げ加工方法では、前記曲げ加工を、異形管に対して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の管状物の曲げ加工装置は、管状物に対して所定の曲率半径よりも大きな曲率半径での曲げ加工を行う第1曲げ加工手段と、曲げ加工中に曲率半径を変化させて、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う第2曲げ加工手段とを備えている。
【0030】
このような本発明の曲げ加工装置を用いて管状物に曲げ加工を行うことにより、管状物に対して、曲げ加工開始時においては、所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができる。これにより、曲げ加工がなされる管状物は、曲げ加工開始時に、前述のようにその把持部分の近傍で大きな引張応力を受けていても、緩やかに曲げられていくため、曲げ外周部分に「割れ」が発生するのを防止することができる。また、本発明の曲げ加工装置は、前記第2曲げ加工手段を備えていることにより、大きな曲率半径で曲げ加工を開始した後に、曲げ加工中に曲率半径を変化させることができる。これにより、管状物に対して、前記大きな曲率半径で曲げ加工を行った後に、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良を生じさせることなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことが可能となる。
【0031】
また、本発明の管状物の曲げ加工装置は、管状物を挟み込んで把持する回転ダイ及びクランプダイと、マンドレルと、第1曲げ加工手段及び第2曲げ加工手段を有する回転機構とを備えている。また、同曲げ加工装置は、前記回転機構の第1曲げ加工手段により、管状物を挟み込んで把持した回転ダイ及びクランプダイを一体回転させて管状物に対して所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行わせることができる。また第2曲げ加工手段により、曲げ加工中に回転ダイの回転中心を変更して曲げ加工における曲率半径を変化させ、さらに前記回転ダイ及びクランプダイを一体回転させることによって、管状物に対して所定の曲率半径で曲げ加工を行わせることができる。これにより、管状物に対して、曲げ外周部分に「割れ」を発生させずに曲げ加工を開始することができるとともに、同曲げ加工中に曲率半径を容易に変化させて、「割れ」や「しわ」等の不良を発生させずに所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことが可能となる。
【0032】
一方、本発明に係る別の態様における管状物の曲げ加工装置は、管状物固定手段と、管状物を摺動可能に支持する回転ダイ及びクランプダイと、マンドレルと、第1曲げ加工手段及び第2曲げ加工手段を有する回転機構とを備えている。また、同曲げ加工装置は、前記回転機構の第1曲げ加工手段により、管状物を摺動可能に支持した回転ダイ及びクランプダイを管状物に沿って摺動しながら一体回転させて、管状物に対して所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行わせることができる。また、回転機構の第2曲げ加工手段により、曲げ加工中に回転ダイの回転中心を変更して曲げ加工における曲率半径を変化させ、さらに前記回転ダイ及びクランプダイを一体回転させることによって、管状物に対して所定の曲率半径で曲げ加工を行わせることができる。これにより、管状物に対して、曲げ外周部分に「割れ」を発生させずに曲げ加工を開始することができるとともに、同曲げ加工中に曲率半径を容易に変化させて、「割れ」や「しわ」等の不良を発生させずに所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことが可能となる。
【0033】
また、本発明の管状物の曲げ加工装置では、前記回転機構が、各補助回動軸まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアームと、一端側のアームに連結された固定回転軸と、アームの他端側の端部に配した回転ダイの固定部とを備えている。このような回転機構において、第1曲げ加工手段は、複数のアームを各補助回動軸まわりに固定可能として、固定回転軸まわりに複数のアームを一体で回動可能にして形成されている。また、第2曲げ加工手段は、固定回転軸まわりに固定可能とし、複数のアームを各補助回動軸の少なくとも1つの補助回動軸まわりに回動可能にして形成されている。本発明における回転機構がこのような構成を有することにより、曲げ加工開始時においては、第1曲げ加工手段によって、回転ダイ及びクランプダイを固定回転軸を回転中心として所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で一体回転させることが可能となる。また、曲げ加工中には、第2曲げ加工手段によって、回転ダイの回転中心を固定回転軸から補助回動軸に変更し、所定の曲率半径で回転ダイ及びクランプダイを一体回転させることが可能となる。
【0034】
一方、本発明においては、前記回転機構が、回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の内壁面又は外壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えている。このような回転機構において、第1曲げ加工手段は、レール部材の曲率半径が大きな部位から形成されている。また、第2曲げ加工手段は、レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位から形成されている。本発明における回転機構がこのような構成を有することにより、曲げ加工開始時においては、第1曲げ加工手段によって、レール部材の曲率半径が大きな部位に形成されたラック上で駆動歯車を駆動して、回転ダイ及びクランプダイを所定曲率半径よりも大きな曲率半径で一体回転させることが可能となる。また、曲げ加工中には、第2曲げ加工手段によって、レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位に形成されたラック上で駆動歯車を駆動して、回転ダイ及びクランプダイを所定の曲率半径で一体回転させることが可能となる。
【0035】
さらに、本発明の曲げ加工装置は、回転ダイに、同回転ダイと共に前記管状物を把持又は支持するクランプダイが一体的に取り付けられている。これにより、回転ダイの回転中にその回転中心を変更しても、クランプダイを回転ダイと安定して一体回転させることができる。
【0036】
次に、本発明の管状物の曲げ加工方法は、管状物に所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、及び、曲げ加工中に曲率半径を変化させて、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでいる。このようにして管状物に曲げ加工を行うことにより、管状物は、曲げ加工開始時に緩やかに曲げられていくため、曲げ外周部分に「割れ」が発生するのを防止することができる。また曲げ加工中に、その曲率半径を変化させることにより、管状物に「割れ」や「しわ」等の外観品質不良を生じさせることなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0037】
また、本発明の管状物の曲げ加工方法は、管状物の一部を、曲げ加工の加工ポイントで回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで把持すること、管状物の内部にマンドレルを挿入すること、回転ダイ及びクランプダイを回転機構により一体回転させ、加工ポイントで管状物に所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、回転ダイの回転中にその回転中心を変更して曲率半径を変化させ、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでいる。このようにして曲げ加工を行うことにより、管状物に対して、曲げ加工の初期段階で曲げ外周部分に「割れ」や「しわ」等が発生するのを防止できる。また、曲げ加工中に、曲率半径を変化させることにより、管状物に「割れ」や「しわ」等の不良を発生させずに所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。従って、例えば前記特許文献2のように故意に管状物の外観品質を犠牲にせずとも、優れた外観品質を有し、所定の曲率半径で曲げ加工が為された曲げ加工品を容易に得ることができる。
【0038】
一方、本発明に係る別の態様における管状物の曲げ加工方法は、管状物を曲げ加工開始ポイントより延設させた状態で、管状物固定手段を用いて加工開始ポイントで固定すること、固定した管状物の延設側を回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持すること、管状物の内部にマンドレルを挿入すること、回転ダイ及びクランプダイを回転機構により管状物の延設部位に沿って一体回転させて、管状物に所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、回転ダイの回転中にその回転中心を変更して曲率半径を変化させ、管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行うことを含んでいる。このようにして曲げ加工を行うことにより、管状物に対して、曲げ加工の初期段階で曲げ外周部分に「割れ」や「しわ」等が発生するのを防止できる。また、曲げ加工中に、曲率半径を変化させることにより、管状物に「割れ」や「しわ」等の不良を発生させずに所定の小さい曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。従って、故意に管状物の外観品質を犠牲にせずとも、優れた外観品質を有し、所定の曲率半径で曲げ加工が為された曲げ加工品を容易に得ることができる。
【0039】
また、本発明の管状物の曲げ加工方法では、前記回転機構として、1つ以上の補助回動軸を有する複数のアームと、一端側のアームに連結された固定回転軸と、アームの他端側の端部に配した回転ダイの固定部とを備えた回転機構を用いて、曲げ加工の初期段階では各補助回動軸まわりに固定可能とした複数のアームを、固定回転軸まわりに回動可能に形成する。これにより、回転ダイを固定回転軸を回転中心として回転させて、管状物に対して所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができ、曲げ加工初期段階で曲げ外周部分に「割れ」や「しわ」等が発生するのを防止することができる。また、前記回転ダイの回転中に、回転ダイの回転中心を固定回転軸から補助回動軸に変更することにより、管状物に対して所定の小さな曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0040】
一方、本発明においては、前記回転機構として、回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の内壁面又は外壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えた回転機構を用いて、曲げ加工の初期段階ではレール部材の曲率半径が大きな部位に形成されたラック上で駆動歯車を駆動する。これにより、回転ダイを回転させて管状物に対して所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができ、曲げ加工初期段階で曲げ外周部分に「割れ」や「しわ」等が発生するのを防止することができる。また、前記回転ダイの回転中に、レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位で駆動歯車を駆動することにより、回転ダイの回転中心を連続的に変更することができる。これにより、管状物に対して、「割れ」や「しわ」等の不良を発生させずに所定の小さな曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0041】
また、本発明においては、従来では外観品質を犠牲にすることなく曲げ加工することが難しいとされていた異形管に対して、「割れ」や「しわ」等の外観不良を発生させずに所定の小さな曲率半径で安定した曲げ加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0043】
先ず、本発明の実施例1に係る管状物の曲げ加工装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施例1の曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。なお、以下に示す実施例においては、管状物の一つである異形管に対して曲げ加工を行う場合について説明する。しかし、本発明はこれに限定されず、円形断面を有する管状物等に対しても同様に曲げ加工を行うことができるものである。また、以下の実施例1〜3の説明において、曲げ加工時に管状物が引き出されていく方向を前方方向として、曲げ加工の加工ポイントよりも前方方向の側を加工ポイントの前段側とし、その反対方向の側を加工ポイントの後段側とする。
【0044】
図1及び2に示した曲げ加工装置1は、異形管2を間に挟み込んで把持する回転ダイ3及びクランプダイ4と、異形管2の内部に挿入されるマンドレル5と、回転ダイ3及びクランプダイ4を回転させる回転機構6と、異形管2を加工ポイント9の後段側で支持するプレッシャーダイ7と、プレッシャーダイ7と相対するように配設されたワイパーダイ8とを備えている。
【0045】
回転ダイ3は、その一部が回転機構6に固定されており、回転機構6によって回転可能に構成されている。この回転ダイ3は、曲げ加工の加工ポイント9及び加工ポイント9の前段側において、以下で説明するように、異形管2の一部をクランプダイ4との間に挟み込んで把持することができる。回転ダイ3は、このようにクランプダイ4との間に異形管2の一部を把持した状態で回転機構6によって回転させることができる。これにより、異形管2を連続的に引き出しながら、加工ポイント9において異形管2に対して曲げ加工を行うことができる。また、この回転ダイ3の上面には、シリンダ保持部10が取り付けられており、このシリンダ保持部10の先端に油圧シリンダ11が固定されている。さらに、油圧シリンダ11の先端部にはクランプダイ4が連結されている。
【0046】
クランプダイ4は、上記のように油圧シリンダ11の先端部に連結されているため、油圧シリンダ11を作動させることによって、クランプダイ4を回転ダイ3に向かって所定の圧力で押し付けて、異形管2の一部を回転ダイ3とクランプダイ4との間に挟み込んで把持することができる。また、クランプダイ4は、油圧シリンダ11及びシリンダ保持部10を介して回転ダイ3に一体的に取り付けられている。このため、上記回転ダイ3が回転機構6の作動により回転することにより、クランプダイ4も同時に回転ダイ3の回転軌道に沿って回転ダイ3と一体的に回転することができる。
【0047】
マンドレル5は、異形管2の内部断面形状よりも僅かに寸法が小さい外形を有している。また、マンドレル5の先端部位には、曲げ加工時に異形管2と接触しないように、曲げ加工における最終的な所定の曲率半径と同等の曲率半径を有する曲面が形成されている。このマンドレル5は、曲げ加工時に異形管2の内部に挿入されて、異形管2の断面形状を維持し、その先端部位は加工ポイント9となる。
【0048】
回転機構6は、補助回動軸12を有し、この補助回動軸12まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアーム13と、複数のアーム13の一端側に配したアーム13aに連結された固定回転軸14と、複数のアーム13の他端側に設けたアーム13bの端部に回転ダイの固定部15とを備えている。このとき、補助回動軸12から固定部15までの長さは、下記で説明する回転機構6の第2曲げ加工手段により曲げ加工を行った際に、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工できるような長さに形成されている。
【0049】
なお、実施例1における曲げ加工装置1では、回転機構6として2本のアーム13a、13bが1つの補助回動軸12によって連結されている場合を示している。しかし、本発明はこれに限定されず、3本以上の複数のアーム13を有し、各アーム13間に1つの補助回動軸12を介して、各補助回動軸12まわりに回動可能及び回動固定となるようにして回転機構6を構成することもできる。このように回転機構6が複数のアーム13を有する場合には、何れか一つの補助回動軸12(例えば、固定部15に最も近い位置に配された補助回動軸12)から固定部15までの長さが、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工できるような長さに形成されている。
【0050】
また、この回転機構6は、第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する。回転機構6における第1曲げ加工手段は、アーム13a、13bを補助回動軸12まわりに固定可能とし、固定回転軸14まわりにアーム13a、13bを一体で回動可能にして形成されている。このような第1曲げ加工手段によれば、アーム13bの固定部15に固定されている回転ダイ3を、固定回転軸14を回転中心とし、また固定回転軸14から固定部15までの長さを回転半径として、クランプダイ4とともに一体回転させることができる。
【0051】
回転機構6における第2曲げ加工手段は、アーム13aを固定回転軸14まわりに固定可能とし、アーム13bを補助回動軸12まわりに回動可能にして形成されている。このため、第2曲げ加工手段は、前記の第1曲げ加工手段による回転ダイ3の回転中に、その回転中心を固定回転軸14から補助回動軸12に変更することができる。このような第2曲げ加工手段によれば、回転中心を補助回動軸12に変更した後、回転ダイ3を、補助回動軸12から固定部15までの長さを回転半径として、クランプダイ4とともに一体回転させることができる。
【0052】
プレッシャーダイ7は、加工ポイント9で異形管2を把持したクランプダイ4と隣接した位置に配設されており、異形管2を加工ポイント9の後段側で支持する。このプレッシャーダイ7は、不図示の加圧装置により、異形管2が回転ダイ3の回転に伴って引き出される方向に、異形管2が引き出される速度に合わせて前進することができる。
【0053】
ワイパーダイ8は、加工ポイント9より後段側で、プレッシャーダイ7と相対するように配設されている。このようにワイパーダイ8を配設することにより、曲げ加工時に異形管2の曲げ内周部分に「しわ」が発生するのを抑制することができる。
【0054】
次に、上記実施例1における管状物の曲げ加工装置1を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行う方法について説明する。
先ず、回転ダイ3及びクランプダイ4を回転機構6により所定の曲げ加工開始位置まで回転移動させ、異形管2を回転ダイ3とクランプダイ4との間に挿入する。異形管2を所定の位置まで挿入した後、油圧シリンダ11を作動させて、異形管2の一部を回転ダイ3とクランプダイ4との間に挟み込んで把持する。また同時に、プレッシャーダイ7は、加工ポイント9より後段側で異形管2を支持する。
【0055】
回転ダイ3及びクランプダイ4で異形管2を把持した後、同異形管2の内部にマンドレル5を挿入する。このとき、マンドレル5の先端部位は、加工ポイント9となる。なお、マンドレル5は予め所定の位置に固定しておき、前記で異形管2を回転ダイ3とクランプダイ4との間に挿入する際に、マンドレル5が異形管2の内部に位置するようにしてもよい。
【0056】
続いて、異形管2を把持した回転ダイ3及びクランプダイ4を、前記回転機構6の第1曲げ加工手段によって一体回転させる。このように回転機構6の第1曲げ加工手段により回転を行うことにより、回転ダイ3を、固定回転軸14を回転中心とし、また固定回転軸14から固定部15までの長さを回転半径として、クランプダイ4とともに一体回転させることができる。
【0057】
これにより、異形管2は、回転ダイ3及びクランプダイ4によって少しずつ引き出されながら、加工ポイント9において、最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が行われる。このとき、プレッシャーダイ7は、回転ダイ3及びクランプダイ4によって引き出される異形管2の移動に合わせて前進する。
【0058】
このように回転機構6の第1曲げ加工手段を用いて、異形管2に対し所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことによって、曲げ加工の初期段階で異形管2の曲げ外周部分に「割れ」が発生するのを防止でき、また曲げ内周部分における「しわ」や「座屈」の発生も防止することができる。
【0059】
その後、回転機構6の第1曲げ加工手段による曲げ加工中に、回転機構6の第2曲げ加工手段を作動させて、図3に示すように回転ダイ3の回転中心を固定回転軸14から補助回動軸12に変更する。これにより、曲げ加工における曲率半径を変化させることができる。さらに第2曲げ加工手段は、回転中心を補助回動軸12に変更した後、回転ダイ3及びクランプダイ4を、補助回動軸12から固定部15までの長さを回転半径として一体回転させることができる。このとき、補助回動軸12から固定部15までの長さは、前記のように異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工できるように予め設定されている。従って、異形管2に対して、回転ダイ3及びクランプダイ4によって更に少しずつ引き出しながら、加工ポイント9において、最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0060】
なお、本発明において、回転機構6の第2曲げ加工手段により、回転ダイ3の回転中心を固定回転軸14から補助回動軸12に変更するタイミングは特に限定されず、必要に応じて任意に設定することができる。
【0061】
このようにして異形管2に対して曲げ加工を行うことにより、曲げ加工の初期段階では大きな曲率半径で曲げ加工を行い、その後、曲率半径を所定の小さな曲率半径に変化させて曲げ加工を行うことができる。これにより、異形管2の一部の範囲には所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が行われた領域が存在するものの、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良が発生してなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工が行われた異形管の曲げ加工品を安定して得ることができる。特に、上記の曲げ加工方法によれば、異形管に「割れ」や「しわ」等を発生させずに、従来よりも小さな曲率半径で曲げ加工を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0062】
次に、本発明の実施例2に係る管状物の曲げ加工装置について説明する。
図4は、実施例2における曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図であり、図5は、同曲げ加工装置の回転ダイを下方側から見た下面図である。また図6は、同曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。なお、以下の説明において、前記実施例1で説明した構成と同じ構成を備える部材については、前記実施例1と同じ符号を用いて表すことにより、当該部材の説明を省略する。
【0063】
図4〜6に示した曲げ加工装置21は、異形管2を間に挟み込んで把持する回転ダイ22及びクランプダイ4と、異形管2の内部に挿入されるマンドレル5と、回転ダイ22及びクランプダイ4を回転させる回転機構23と、異形管2を加工ポイント9の後段側で支持するプレッシャーダイ7と、プレッシャーダイ7と相対するように配設されたワイパーダイ8とを備えている。
【0064】
この曲げ加工装置21において、回転ダイ22は、図5に示すように、一箇所に角部が形成された底面を有する柱状体24で構成されており、同柱状体24の周面には曲げ加工時に異形管2を案内するための溝部25が異形管2の外形に合わせて形成されている。この回転ダイ22は、柱状体24に形成された角部において、異形管2の一部をクランプダイ4との間に挟み込んで把持することができる。このとき、回転ダイ22の柱状体24における角部を除く周面の曲率半径、及び同周面に形成された溝部25の曲率半径は、回転ダイ22が円滑な回転運動が行えるように、以下で説明するような異形管2に対して行う曲げ加工の曲率半径を考慮して適切に設計されていることが好ましい。なお、実施例2における回転ダイ22は、上記形状に限定されるものではなく、異形管2の一部をクランプダイ4との間に挟み込んで把持でき、また、異形管2の曲げ加工時に回転ダイ22が回転機構23により円滑な回転運動ができるように設計されたものであれば良い。
【0065】
また、この回転ダイ22は、柱状体24の上底面の角部にシリンダ保持部10が取り付けられており、このシリンダ保持部10の先端に油圧シリンダ11が固定されている。さらに、油圧シリンダ11の先端部にはクランプダイ4が連結されている。これにより、回転ダイ22を回転機構23により回転させることにより、クランプダイ4も回転ダイ22の回転軌道に沿って回転ダイ22と一体回転させることができる。
【0066】
このような回転ダイ22を回転させる回転機構23は、図5に示すように回転ダイ22の下底面に形成されている。この回転機構23は、回転ダイ22と一体的に形成された曲線状のレール部材26と、レール部材26の内壁面に形成されたラック27と、ラック27と噛合する駆動歯車28とを備えている。このとき、レール部材26は、第1の部位26a、第2の部位26b、及び第3の部位26cで構成されている。レール部材26の第1の部位26aは、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が可能なように第一の曲率半径で形成されている。また、レール部材26の第2の部位26bは、曲げ加工の曲率半径が最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に変更可能なように第一の曲率半径から第二の曲率半径まで曲率半径が連続的に変化するように形成されており、第3の部位26cは、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工が可能なように第二の曲率半径で形成されている。なお、本発明において、レール部材26に形成される第1〜第3の部位26a〜26cの長さは特に限定されず、必要に応じて任意に設定することができる。
【0067】
また、回転機構23は、第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する。回転機構23における第1曲げ加工手段は、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が可能な第1の部位26aから形成されている。さらに、第2曲げ加工手段は、曲げ加工の曲率半径が最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に変更可能な前記第2の部位26bと、最終的な所定の曲率半径で曲げ加工が可能な前記第3の部位26cとから形成されている。
【0068】
このような実施例2における曲げ加工装置21を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行う際には、先ず、回転ダイ22を回転させて、回転ダイ22の柱状体24に形成されている角部及びクランプダイ4を所定の曲げ加工開始位置に移動させる。続いて、異形管2を回転ダイ22とクランプダイ4との間に挿入し、油圧シリンダ11を作動させて回転ダイ22の角部とクランプダイ4との間に異形管2の一部を挟み込んで把持する。また同時に、プレッシャーダイ7により、加工ポイント9の後段側で異形管2を支持する。回転ダイ22とクランプダイ4とで異形管2を把持した後、同異形管2の内部にマンドレル5を挿入する。このとき、マンドレル5の先端部位は、加工ポイント9となる。
【0069】
続いて、異形管2を把持した回転ダイ22及びクランプダイ4を、前記回転機構23の第1曲げ加工手段によって一体回転させる。このように回転機構23の第1曲げ加工手段を用いて回転を行うことにより、例えば図7(a)に示したように、回転機構23の駆動歯車28がレール部材26における前記第1の部位26aの内壁面に形成されたラック27上を駆動するため、回転ダイ22及びクランプダイ4を大きな回転半径で一体回転させることができる。これにより、回転ダイ22及びクランプダイ4は、異形管2を少しずつ引き出しながら回転ダイ22の溝部25に案内し、異形管2に対して加工ポイント9において最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができる。このとき、プレッシャーダイ7は、前記実施例1と同様に、回転ダイ22及びクランプダイ4によって引き出される異形管2の移動に合わせて前進する。
【0070】
このように回転機構23の第1曲げ加工手段を用いて、異形管2に対し所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことによって、曲げ加工の初期段階で異形管2の曲げ外周部分に「割れ」が発生するのを防止でき、また曲げ内周部分に「しわ」や「座屈」が発生するのも防止できる。
【0071】
その後、回転機構23の第1曲げ加工手段による曲げ加工中に、回転機構23の第2曲げ加工手段を作動させて、例えば図7(b)に示したように、駆動歯車28をレール部材26における前記第2の部位26bの内壁面に形成されたラック27上で駆動させる。これにより、回転ダイ22及びクランプダイ4の回転中心を連続的に変更して、曲げ加工の曲率半径を最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に小さく変化させながら異形管2に対して曲げ加工を行うことができる。さらに、例えば図7(c)に示したように、駆動歯車28をレール部材26における前記第3の部位26cに形成されたラック27上で駆動させることにより、加工ポイント9において異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことができる。
【0072】
このように実施例2の曲げ加工装置21を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行うことにより、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良が発生してなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工が行われた異形管の曲げ加工品を安定して得ることができる。特に、実施例2の曲げ加工方法によれば、異形管に「割れ」や「しわ」等を発生させずに、従来よりも小さな曲率半径で曲げ加工を行うことが可能となる。
【実施例3】
【0073】
本発明の実施例3に係る管状物の曲げ加工装置について説明する。
実施例3の曲げ加工装置は、前記実施例2の曲げ加工装置21における回転機構を一部変更したものであり、それ以外の構成については前記実施例2と同様である。実施例3の曲げ加工装置は、回転機構として、図8に示すように、回転ダイ22と一体的に形成された曲線状のレール部材26と、レール部材26の外壁面に形成されたラック27’と、ラック27’と噛合する駆動歯車28’と、レール部材26の内壁面に接触して所定の位置で回転する固定ローラー29とを備えた回転機構23’が配設されている。この回転機構23’では、固定ローラー29の回転軸の位置が固定されている。これにより、固定ローラー29は、一定位置でレール部材26の内壁面に接しながら回転しているため、異形管2に対する曲げ加工の加工ポイント9を常に一定の位置に固定しておくことができる。
【0074】
また、回転機構23’は、前記実施例2と同様に、レール部材26が、第一の曲率半径で形成された第1の部位26aと、第一の曲率半径から第二の曲率半径まで曲率半径が連続的に変化するように形成された第2の部位26bと、第二の曲率半径で形成された第3の部位26cとで構成されている。さらに、この回転機構23’は、第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する。
【0075】
回転機構23’における第1曲げ加工手段は、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が可能なように第一の曲率半径で形成された第1の部位26aで構成されている。また、第2曲げ加工手段は、曲げ加工の曲率半径が最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に変化可能なように第一の曲率半径から第二の曲率半径まで曲率半径が連続的に変化するように形成された第2の部位26bと、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工が可能なように第二の曲率半径で形成された第3の部位26cとから構成されている。
【0076】
従って、異形管2を把持した回転ダイ22及びクランプダイ4を回転機構23’により回転させることによって、前記実施例2の回転機構23と同様にして、異形管2に対して曲げ加工を行うことができる。すなわち、回転機構23’の第1曲げ加工手段を用いることにより、例えば図8(a)に示したように、回転機構23’の駆動歯車28’がレール部材26’における前記第1の部位26aの外壁面に形成されたラック27’上を駆動するため、回転ダイ22及びクランプダイ4を大きな回転半径で一体回転させることができる。これにより、回転ダイ22及びクランプダイ4は、異形管2を少しずつ引き出しながら、異形管2に対して加工ポイント9で最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができる。
【0077】
また、回転機構23’の第1曲げ加工手段による曲げ加工中に、回転機構23’の第2曲げ加工手段を作動させて、例えば図8(b)に示したように、駆動歯車28’をレール部材26における前記第2の部位26bの外壁面に形成されたラック27’上で駆動させる。これにより、回転ダイ22及びクランプダイ4の回転中心を連続的に変更する。このため、曲げ加工の曲率半径を最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に小さく変化させながら異形管2に対して曲げ加工を行うことができる。さらに、駆動歯車28’をレール部材26における前記第3の部位26cに形成されたラック27’上で駆動させることにより、例えば図8(c)に示したように、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことができる。これにより、異形管2に対して、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良を発生させることなく、所定の小さな曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0078】
さらに、回転機構23’では、駆動歯車28’を曲線状のレール部材26の外壁面側に配設することができるため、駆動歯車28’の寸法を、レール部材26の形状や寸法に制限されることなく、大きな寸法で設計することが可能となる。このように駆動歯車28’の寸法を大きく設計できれば、異形管に対する曲げ加工の加工力をより大きく得ることができるため、曲げ加工装置の用途を大幅に広げることができる。
【実施例4】
【0079】
本発明の実施例4に係る管状物の曲げ加工装置について説明する。
図9及び10は、実施例4における曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。また、図11は、同曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。なお、以下の実施例4及び5の説明において、曲げ加工の加工開始ポイントを基準にして、管状物に曲げ加工を行う側を加工開始ポイントの前段側とし、その反対の側を加工開始ポイントの後段側とする。
【0080】
図9〜11に示した曲げ加工装置31は、曲げ加工の加工開始ポイント32及び加工開始ポイント32の後段側で異形管2を固定する管状物固定手段33と、異形管2の一部を管状物固定手段33に隣接した位置で挟み込んで摺動可能に支持する回転ダイ34及びクランプダイ35と、異形管2の内部に挿入されるマンドレル36と、回転ダイ34及びクランプダイ35を回転させる回転機構37とを備えている。
【0081】
管状物固定手段33は、図11に示したように、所定の位置まで挿入された異形管2を左右から挟み込み、不図示の加圧手段で押圧することによって、異形管2を加工開始ポイント32及び加工開始ポイント32の後段側で固定することができる。
【0082】
回転ダイ34は、その一部が回転機構37と固定されており、回転機構37によって回転可能に構成されている。この回転ダイ34は、断面が前記管状物固定手段33側から見てコの字形状を有する外枠38と、同外枠38の内部に回転可能に配設された支持ローラー39とを備えている。この支持ローラー39の周面には異形管2を収容して支持するための支持溝40が形成されている。また、回転ダイ34は、外枠38の上面にシリンダ保持部10が取り付けられており、シリンダ保持部10の先端には油圧シリンダ11が固定されている。さらに、油圧シリンダ11の先端部にはクランプダイ35が連結されている。
【0083】
クランプダイ35は、断面が前記管状物固定手段33側から見て逆コの字形状を有する外枠41と、同外枠41の内部に回転可能に配設された支持ローラー42とを備えている。この支持ローラー42の周面には異形管2を収容して支持するための支持溝43が形成されている。
【0084】
また、クランプダイ35は、前記のように油圧シリンダ11の先端部と連結されている。このため、油圧シリンダ11を作動させることによって、クランプダイ35を回転ダイ34に向かって所定の圧力で押し付けて、回転ダイ34の支持ローラー39及びクランプダイ35の支持ローラー42に形成された支持溝40、43の間に異形管2を摺動可能に支持することができる。また、クランプダイ35は、油圧シリンダ11及びシリンダ保持部10を介して回転ダイ34に一体的に取り付けられている。このため、回転ダイ34が回転機構37の作動により回転することにより、クランプダイ35も同時に回転ダイ34の回転軌道に沿って一体回転することが可能となる。
【0085】
マンドレル36は、異形管2の内部断面形状よりも僅かに寸法が小さい外形を有している。また、マンドレル36の先端部位には、曲げ加工時に管状物と接触しないように、曲げ加工における最終的な所定の曲率半径と同等の曲率半径を有する曲面が形成されている。このマンドレル36は、曲げ加工時に管状物の内部に挿入されて、管状物の断面形状を維持し、その先端部位は曲げ加工の加工開始ポイント32となる。
【0086】
回転機構37は、前記実施例1における回転機構6と同様の構成を有する。すなわち、回転機構37は、補助回動軸12を有し、この補助回動軸12まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアーム13と、複数のアーム13の一端側に配したアーム13aに連結された固定回転軸14と、複数のアーム13の他端側に設けたアーム13bの端部に回転ダイの固定部15とを備えている。このとき、回転機構37は、補助回動軸12から固定部15までの長さが、異形管2に対して第2曲げ加工手段で曲げ加工を行った際に、最終的な所定の曲率半径で曲げ加工できるような長さに形成されている。
【0087】
また、回転機構37は、第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する。回転機構37における第1曲げ加工手段は、アーム13a、13bを補助回動軸12まわりに固定可能とし、固定回転軸14まわりにアーム13a、13bを一体で回動可能にして形成されている。このような第1曲げ加工手段によれば、アーム13bの固定部15に固定されている回転ダイ34を、固定回転軸14を回転軸とし、また固定回転軸14から固定部15までの長さを回転半径として、クランプダイ35とともに一体回転させることができる。
【0088】
また、回転機構37における第2曲げ加工手段は、アーム13aを固定回転軸14まわりに固定可能とし、アーム13bを補助回動軸12まわりに回動可能にして形成されている。このため、第2曲げ加工手段は、前記の第1曲げ加工手段による回転ダイ34の回転中に、その回転中心を固定回転軸14から補助回動軸12に変更することができる。さらに、回転中心を補助回動軸12に変更した後、回転ダイ34及びクランプダイ35を、補助回動軸12から固定部15までの長さを回転半径として一体回転させることができる。
【0089】
次に、上記実施例4における管状物の曲げ加工装置31を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行う方法について説明する。
先ず、回転ダイ34及びクランプダイ35を回転機構37により所定の曲げ加工開始位置まで回転移動させ、異形管2を回転ダイ34とクランプダイ35との間に挿入する。異形管2を所定の位置まで挿入して、異形管2の曲げ加工が行われる部位を加工開始ポイント32より前段側に延設させた状態とする。そして、同異形管2を、管状物固定手段33により加工開始ポイント32及び加工開始ポイント32の後段側で挟み込んで固定する。
【0090】
異形管2を管状物固定手段33で固定した後、クランプダイ35に連結されている油圧シリンダ11を作動させる。これにより、異形管2の延設側を、管状物固定手段33に隣接した位置で、回転ダイ34の支持ローラー39及びクランプダイ35の支持ローラー42に形成された支持溝40、43の間に挟み込んで、摺動可能に支持することができる。その後、同異形管2の内部にマンドレル36を挿入する。このとき、マンドレル36の先端部位は、加工開始ポイント32となる。
【0091】
続いて、異形管2を摺動可能に支持した回転ダイ34及びクランプダイ35を、回転機構37の第1曲げ加工手段によって異形管2の延設部位に沿って摺動しながら一体回転させる。このように回転機構37の第1曲げ加工手段により回転を行うことにより、回転ダイ34を、固定回転軸14を回転中心とし、また固定回転軸14から固定部15までの長さを回転半径として、クランプダイ35とともに一体回転させることができる。
【0092】
これにより、異形管2の延設部位は、回転ダイ34及びクランプダイ35の回転軌道に沿うようにして曲げられていく。従って、異形管2における加工開始ポイント32から回転ダイ34及びクランプダイ35が摺動した範囲の延設部位に対して、最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができる。このように回転機構37の第1曲げ加工手段を用いて所定曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことによって、曲げ加工の初期段階で異形管2の曲げ外周部分に「割れ」が発生するのを防止でき、また曲げ内周部分における「しわ」や「座屈」の発生も防止できる。
【0093】
その後、回転機構37の第1曲げ加工手段による曲げ加工中に、回転機構37の第2曲げ加工手段を作動させて、図10に示すように回転ダイ34の回転中心を固定回転軸14から補助回動軸12に変更する。これにより、異形管2に対する曲げ加工の曲率半径を変化させることができる。
【0094】
回転中心を補助回動軸12に変更した後、更に回転ダイ34及びクランプダイ35を異形管2の延設部位に沿って摺動しながら一体回転させる。これにより、異形管2における加工開始ポイントから回転ダイ34及びクランプダイ35が摺動した範囲の延設部位に対して、さらに曲げ加工を行うことができる。その結果、加工開始ポイント32及びその延設側近傍において、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うことができる。
【0095】
このように実施例4の曲げ加工装置31を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行うことにより、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良が発生してなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工が行われた異形管の曲げ加工品を安定して得ることができる。特に、実施例4の曲げ加工方法によれば、従来よりも小さな曲率半径で曲げ加工を安定して行うことが可能となる。
【実施例5】
【0096】
本発明の実施例5に係る管状物の曲げ加工装置について説明する。
図12は、実施例5における曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。また、図13は、同曲げ加工装置における回転ダイ、クランプダイ、及び回転機構を模式的に表す斜視図である。
【0097】
図12及び13に示した曲げ加工装置51は、曲げ加工の加工開始ポイント58及び加工開始ポイント58の後段側で異形管2を固定する管状物固定手段33と、異形管2の一部を管状物固定手段33に隣接した位置で挟み込んで摺動可能に支持する回転ダイ52及びクランプダイ53と、異形管2の内部に挿入されるマンドレル36と、回転ダイ52及びクランプダイ53を回転させる回転機構54とを備えている。
【0098】
実施例5の曲げ加工装置51において、回転ダイ52は、断面が前記管状物固定手段33側から見てコの字形状を有する外枠38と、同外枠38の内部に回転可能に配設された支持ローラー39とを備えている。また、回転ダイ52は、外枠38の下面で、下記で説明する回転機構54のレール部材55に固定されている。なお、回転ダイ52及びクランプダイ53において、前記実施例4における回転ダイ34及びクランプダイ35と同様の構成部材については、前記実施例4と同じ符号を用いて表すことにより、当該部材の説明を省略する。
【0099】
回転機構54は、曲線状のレール部材55と、レール部材55の内壁面に形成されたラック56と、ラック56と噛合し、固定された回転軸まわりに回転する駆動歯車57とを備えている。なお、本実施例5では、ラック56をレール部材55の内壁面ではなく、外周面に形成することも可能である。
【0100】
このとき、レール部材55は、第1の部位、第2の部位、及び第3の部位で構成されている。このレール部材55の第1の部位は、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が可能なように第一の曲率半径で形成されている。また、レール部材55の第2の部位は、曲げ加工の曲率半径が最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に変更可能なように第一の曲率半径から第二の曲率半径まで曲率半径が連続的に変化するように形成されており、第3の部位は、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工が可能なように第二の曲率半径で形成されている。また、レール部材55は、前記第1の部位の先端部又はその近傍で、回転ダイ52の下面と固定されている。
【0101】
この回転機構54は、第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する。回転機構54における第1曲げ加工手段は、最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工が可能な前記第1の部位から形成されている。また、第2曲げ加工手段は、曲げ加工の曲率半径が最終的な所定の曲率半径となるまで連続的に変更可能な前記第2の部位と、最終的な所定の曲率半径で曲げ加工が可能な前記第3の部位とから形成されている。
【0102】
このような実施例5における曲げ加工装置51を用いて、異形管2に対して曲げ加工を行う方法について説明する。
先ず、回転ダイ52及びクランプダイ53を回転機構54により所定の曲げ加工開始位置まで回転移動させ、異形管2を回転ダイ52とクランプダイ53との間に挿入する。異形管2を所定の位置まで挿入して、異形管2の曲げ加工が行われる部位を加工開始ポイント58より前段側に延設させた状態とする。そして、同異形管2を、管状物固定手段33により加工開始ポイント58及び加工開始ポイント58の後段側で挟み込んで固定する。
【0103】
異形管2を管状物固定手段33で固定した後、クランプダイ35に連結されている油圧シリンダ11を作動させる。これにより、異形管2の延設側を、管状物固定手段33に隣接した位置で、回転ダイ52の支持ローラー39及びクランプダイ53の支持ローラー42に形成された支持溝40、43の間に挟み込んで、摺動可能に支持することができる。その後、同異形管2の内部にマンドレル36を挿入する。このとき、マンドレル36の先端部位は、加工開始ポイント58となる。
【0104】
続いて、異形管2を摺動可能に支持した回転ダイ52及びクランプダイ53を、回転機構54の第1曲げ加工手段によって一体回転させる。このように回転機構54の第1曲げ加工手段を用いることにより、回転機構54の駆動歯車57がレール部材55における前記第1の部位の内壁面に形成されたラック56上を駆動するため、回転ダイ52をクランプダイ53とともに大きな回転半径で管状物に沿って摺動しながら一体回転させることができる。
【0105】
これにより、異形管2の延設部位を、回転ダイ52及びクランプダイ53の回転軌道に沿うようにして曲げていくことができる。このため、異形管2における加工開始ポイント58から回転ダイ52及びクランプダイ53が摺動した範囲の延設部位に対して、最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うことができる。
【0106】
その後、回転機構54の第1曲げ加工手段による曲げ加工中に、回転機構54の第2曲げ加工手段を作動させて、駆動歯車57をレール部材55における前記第2の部位の内壁面に形成されたラック56上で駆動させる。これにより、回転ダイ52及びクランプダイ53の回転中心を連続的に変更して、曲げ加工の曲率半径を連続的に小さく変化させながら異形管2に対して曲げ加工を行うことができる。さらに、駆動歯車57をレール部材55における前記第3の部位に形成されたラック56上で駆動させることにより、異形管2における加工開始ポイント58から回転ダイ52及びクランプダイ53が摺動した範囲の延設部位に対して曲げ加工を行うことができる。その結果、加工開始ポイント58及びその延設側近傍において、異形管2に対して最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を安定して行うことができる。
【0107】
このように実施例5の曲げ加工装置51を用いて、異形管に対して曲げ加工を行うことにより、「割れ」や「しわ」等の外観品質不良が発生してなく、所定の小さい曲率半径で曲げ加工が行われた異形管の曲げ加工品を安定して得ることができる。特に、実施例5の曲げ加工方法によれば、従来よりも小さな曲率半径で曲げ加工を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、中空断面を有する異形管などの管状物に対して行われる曲げ加工に有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1の曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。
【図2】同曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。
【図3】同曲げ加工装置による曲げ加工を模式的に説明する断面図である。
【図4】実施例2の曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。
【図5】同曲げ加工装置の回転ダイを下方側から見た下面図である。
【図6】同曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。
【図7】同曲げ加工装置における回転ダイの回転状態を表す図である。
【図8】実施例3の曲げ加工装置における回転ダイの回転状態を表す図である。
【図9】実施例4の曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。
【図10】同曲げ加工装置による曲げ加工を模式的に説明する断面図である。
【図11】同曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。
【図12】実施例5の曲げ加工装置の断面を模式的に表す断面図である。
【図13】同曲げ加工装置における回転ダイ、クランプダイ、及び回転機構を模式的に表す斜視図である。
【図14】従来の曲げ加工装置の構成を模式的に表す斜視図である。
【符号の説明】
【0110】
1 実施例1の曲げ加工装置
2 異形管(管状物)
3 回転ダイ
4 クランプダイ
5 マンドレル
6 回転機構
7 プレッシャーダイ
8 ワイパーダイ
9 加工ポイント
10 シリンダ保持部
11 油圧シリンダ
12 補助回動軸
13 複数のアーム
13a,13b アーム
14 固定回転軸
15 固定部
21 実施例2の曲げ加工装置
22 回転ダイ
23,23’ 回転機構
24 柱状体
25 溝部
26 レール部材
26a 第1の部位
26b 第2の部位
26c 第3の部位
27、27’ ラック
28、28’ 駆動歯車
29 固定ローラー
31 実施例4の曲げ加工装置
32 加工開始ポイント
33 管状物固定手段
34 回転ダイ
35 クランプダイ
36 マンドレル
37 回転機構
38 外枠
39 支持ローラー
40 支持溝
41 外枠
42 支持ローラー
43 支持溝
51 実施例5の曲げ加工装置
52 回転ダイ
53 クランプダイ
54 回転機構
55 レール部材
56 ラック
57 駆動歯車
58 加工開始ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う曲げ加工装置であって、
前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径での曲げ加工を行う第1曲げ加工手段と、
曲げ加工中に曲率半径を変化させて、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行う第2曲げ加工手段と
を備えてなることを特徴とする管状物の曲げ加工装置。
【請求項2】
前記管状物の一部を前記曲げ加工の加工ポイントでクランプダイとの間に挟み込んで把持し、前記管状物を引き出しながら回転を行うことにより、同管状物を引き曲げる回転ダイと、
前記管状物を前記回転ダイとの間に挟み込んで把持し、前記回転ダイと共に回転する前記クランプダイと、
前記管状物の内部に挿入され、前記曲げ加工時に管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工ポイントとなるマンドレルと、
前記第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する回転機構と
を備えてなり、
前記第1曲げ加工手段が、前記回転ダイ及びクランプダイを前記大きな曲率半径で一体回転可能であり、前記第2曲げ加工手段が、前記第1曲げ加工手段による回転中に回転ダイの回転中心を変更し、さらに前記変更した回転中心にて前記回転ダイ及びクランプダイを回転可能であり、
前記前記第1曲げ加工手段により、前記管状物を把持した回転ダイ及びクランプダイを回転させ、前記加工ポイントで前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、同曲げ加工中に前記第2曲げ加工手段を作動させて、前記回転ダイの回転中心を変更することにより、同曲げ加工における曲率半径を変化させて、前記加工ポイントでの前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行わせてなることを特徴とする請求項1記載の管状物の曲げ加工装置。
【請求項3】
前記曲げ加工の加工開始ポイントで前記管状物を固定する管状物固定手段と、
前記管状物の一部を前記管状物固定手段に隣接した位置でクランプダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持し、前記管状物に沿って摺動しながら回転を行うことにより前記管状物に曲げ加工を行う回転ダイと、
前記管状物を前記回転ダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持し、前記回転ダイと共に回転する前記クランプダイと、
前記管状物の内部に挿入され、前記曲げ加工時に管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工開始ポイントとなるマンドレルと、
前記第1曲げ加工手段と第2曲げ加工手段とを有する回転機構と
を備えてなり、
前記第1曲げ加工手段が、前記回転ダイ及びクランプダイを前記大きな曲率半径で一体回転可能であり、前記第2曲げ加工手段が、前記第1曲げ加工手段による回転中に回転ダイの回転中心を変更し、さらに前記変更した回転中心にて前記回転ダイ及びクランプダイを回転可能であり、
前記前記第1曲げ加工手段により、前記管状物を摺動可能に支持した回転ダイ及びクランプダイを回転させ、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、同曲げ加工中に前記第2曲げ加工手段を作動させて、前記回転ダイの回転中心を変更することにより、同曲げ加工における曲率半径を変化させて、前記加工開始ポイントでの前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行わせてなることを特徴とする請求項1記載の管状物の曲げ加工装置。
【請求項4】
前記回転機構は、
1つ以上の補助回動軸を有し、同各補助回動軸まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアームと、同複数のアームの一端側に配したアームに連結された固定回転軸と、前記アームの他端側に設けたアームの端部に前記回転ダイの固定部とを備えてなり、
前記第1曲げ加工手段は、前記複数のアームを各補助回動軸まわりに固定可能として、前記固定回転軸まわりに複数のアームを一体で回動可能に形成され、前記第2曲げ加工手段は、前記固定回転軸まわりに固定可能とし、前記複数のアームを各補助回動軸の少なくとも1つの補助回動軸まわりに回動可能に形成されてなる
ことを特徴とする請求項2又は3記載の管状物の曲げ加工装置。
【請求項5】
前記回転機構は、
前記回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の内壁面又は外壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えてなり、
前記第1曲げ加工手段は、前記レール部材の曲率半径が大きな部位から形成され、前記第2曲げ加工手段は、前記レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位から形成されてなる
ことを特徴とする請求項2又は3記載の管状物の曲げ加工装置。
【請求項6】
前記回転ダイに、同回転ダイと共に前記管状物を把持又は支持する前記クランプダイが一体的に取り付けられてなることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の管状物の曲げ加工装置。
【請求項7】
管状物に所定の曲率半径で曲げ加工を行う曲げ加工方法であって、
前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、
前記曲げ加工中に曲率半径を変化させて、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うこと
を含んでなることを特徴とする管状物の曲げ加工方法。
【請求項8】
前記管状物の一部を、前記曲げ加工の加工ポイントで、回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで把持すること、
前記管状物の内部に、管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工ポイントとなるマンドレルを挿入すること、
前記管状物を把持した回転ダイ及びクランプダイを回転機構により一体回転させ、前記加工ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、
前記回転ダイの回転中に、同回転ダイの回転中心を変更して前記曲げ加工における曲率半径を変化させた後、更に前記回転ダイ及びクランプダイを一体回転させ、前記加工ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うこと
を含んでなることを特徴とする請求項7記載の管状物の曲げ加工方法。
【請求項9】
前記管状物を、前記曲げ加工の加工開始ポイントより延設させた状態で、管状物固定手段を用いて前記加工開始ポイントで固定すること、
前記固定した管状物の延設側を、前記管状物固定手段に隣接した位置で、回転ダイとクランプダイとの間に挟み込んで摺動可能に支持すること、
前記管状物の内部に、管状物の断面形状を維持し、先端部位が前記加工開始ポイントとなるマンドレルを挿入すること、
前記管状物を摺動可能に支持した回転ダイ及びクランプダイを、回転機構により管状物の延設部位に沿って一体回転させ、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行うこと、
前記回転ダイの回転中に、同回転ダイの回転中心を変更して前記曲げ加工における曲率半径を変化させた後に、更に前記管状物の延設部位に沿って一体回転させ、前記加工開始ポイントにおいて前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行うこと
を含んでなることを特徴とする請求項7記載の管状物の曲げ加工方法。
【請求項10】
前記回転機構として、1つ以上の補助回動軸を有し、同各補助回動軸まわりに回動可能及び回動固定とした複数のアームと、同複数のアームの一端側に配したアームに連結された固定回転軸と、前記アームの他端側に設けたアームの端部に前記回転ダイの固定部とを備えた回転機構を用いて、
前記複数のアームを各補助回動軸まわりに固定可能として、前記固定回転軸まわりに複数のアームを一体で回動可能に形成することにより、前記回転ダイ及びクランプダイを前記固定回転軸を回転中心として回転させ、前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、
前記回転ダイの回転中に、前記固定回転軸まわりに固定可能とし、前記複数のアームを各補助回動軸の少なくとも1つの補助回動軸まわりに回動可能に形成することにより、前記回転ダイの回転中心を前記固定回転軸から前記回動可能な補助回動軸に変更して、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行う
ことを特徴とする請求項8又は9記載の管状物の曲げ加工方法。
【請求項11】
前記回転機構として、前記回転ダイと一体的に形成された、曲率半径が連続的に変化した曲線状のレール部材と、同レール部材の壁面に形成されたラックと、同ラックと噛合する駆動歯車とを備えてなる回転機構を用いて、
前記レール部材の曲率半径が大きな部位で前記駆動歯車を駆動することにより前記回転ダイを回転させ、前記最終的な所定の曲率半径よりも大きな曲率半径で曲げ加工を行い、
前記回転ダイの回転中に、前記レール部材の曲率半径が小さく変化して所定の曲率半径となる部位で前記駆動歯車を駆動することにより、前記回転ダイの回転中心を連続的に変更して、前記管状物に前記最終的な所定の曲率半径で曲げ加工を行う
ことを特徴とする請求項8又は9記載の管状物の曲げ加工方法。
【請求項12】
前記曲げ加工を、異形管に対して行うことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の管状物の曲げ加工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−275929(P2007−275929A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105378(P2006−105378)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】