説明

管状部材受け機構

【課題】管状部材の軸方向の受け位置を安定させることができ、管状部材の損傷を防止することができるようにする。
【解決手段】可撓性を有する金属パイプ22の内部に湾曲可能な操作ワイヤ26を挿通させた状態で、金属パイプ22の端部を受ける管状部材受け機構10Aであって、金属パイプ22の端部を挿入して金属パイプ22の端部の径方向の位置を規制する穴部内周面20cと、穴部内周面20cに挿入される金属パイプ22の端部を軸方向に面受けする受け部端面23c、および金属パイプ22の内部に挿通された操作ワイヤ26を挿通させるワイヤ挿通孔23aを有し、穴部内周面20cの内部に位置が固定された受け部材23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に線状部材が挿通された可撓性を有する管状部材の端部を受ける管状部材受け機構に関する。例えば、先端湾曲機構の操作を行う線状部材が内部に挿通された管状部材の端部を受ける管状部材受け機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マニピュレータや内視鏡などの装置では、マニピュレータの端部や内視鏡の先端側の湾曲管を操作ワイヤ(線状部材)によって操作して湾曲させる先端湾曲機構を備えている。この操作ワイヤは湾曲管から離れた位置で操作を行うため、可撓管の内部では挿通長さが一定となるように、可撓性は有するが長さ方向にはほとんど伸縮しない管状部材の内部に挿通されている場合がある。この管状部材は、コイルパイプや薄肉金属管などの可撓性部材が用いられている。
例えば、特許文献1には、可撓管の先端に湾曲管を介して先端部を連結してなる挿入部内に、被走査部材を操作する操作ワイヤを案内するワイヤガイド管を挿通して設け、このワイヤガイド管の少なくとも可撓管内に配設されている部分を超弾性合金製のパイプによって形成したことを特徴とする内視鏡が記載されている。
また、特許文献2には、湾曲自在な可撓管部と、前記可撓管部と接続し、操作ワイヤを操作することによって湾曲操作を行う湾曲管部と、前記可撓管部内に組込まれ、前記沿い宇佐ワイヤを前記可撓管部内のほぼ全長にわたって挿通する金属パイプとを有することを特徴とする内視鏡が記載されている
これらの内視鏡の管状部材であるワイヤガイド管や金属パイプの端部は、端部において外周面が受け部材の貫通孔に挿通され、管状部材の外側部において受け部材と固定される管状部材受け機構を備えている。
管状部材の固定方法としては、摩擦嵌合、半田付け、溶接、あるいは接着などが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−57057号公報
【特許文献2】特開平1−277530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の管状部材受け機構には、以下のような問題があった。
特許文献1、2に記載の技術では、いずれも、管状部材が外側部において受け部材と固定されているため、操作ワイヤの操作を繰り返すことで管状部材の内周面に操作ワイヤから摩擦力が作用したり、装置の動作中に管状部材が湾曲したりすることによって、管状部材と受け部材との固定部がせん断力を受ける。このため、受け部材との固定部で管状部材が損傷したり、受け部材から外れたりし易いという問題がある。
特に、先端湾曲機構において、このように管状部材が受け部材から外れる場合には、可撓管内の操作ワイヤの挿通長さが変化して一定の操作量に対する湾曲量が変化したり、湾曲の操作そのものができなくなったりするという問題がある。
また、操作ワイヤと外れた管状部材の端部とが接触を起こして、操作ワイヤが損傷したりするといった問題もある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、管状部材の軸方向の受け位置を安定させることができ、管状部材の損傷を防止することができる管状部材受け機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、可撓性を有する管状部材の内部に湾曲可能な線状部材を挿通させた状態で、前記管状部材の端部を受ける管状部材受け機構であって、前記管状部材の端部を挿入して前記管状部材の端部の径方向の位置を規制する穴状受け部と、該穴状受け部に挿入される前記管状部材の端部を軸方向に面受けする受け面部、および前記管状部材の内部に挿通された前記線状部材を挿通させる貫通孔を有し、前記穴状受け部の内部に位置が固定された受け部材とを備える構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の管状部材受け機構において、前記管状部材の端部に向かって外周側から内周側に傾斜する傾斜面からなる構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の管状部材受け機構において、前記受け部材は、前記受け面部の前記傾斜面が円錐面状に設けられた構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の管状部材受け機構において、前記穴状受け部は、前記管状部材の端部が前記受け部材の前記傾斜面に沿うように変形を規制する変形規制部を備える構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項2〜4のいずれかに記載の管状部材受け機構において、前記穴状受け部は、前記管状部材の端部の外周面および前記受け部材の外周面を密着保持して、前記管状部材および前記受け部材を連結する連結部材で形成された構成とする。
【0011】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の管状部材受け機構において、前記連結部材は、前記管状部材および前記受け部材を弾性力によって連結させる弾性部材からなる構成とする。
【0012】
請求項7に記載の発明では、請求項5に記載の管状部材受け機構において、前記連結部材は、熱収縮された熱収縮部材からなる構成とする。
【0013】
請求項8に記載の発明では、請求項5に記載の管状部材受け機構において、前記連結部材は、前記受け部材に対して着脱可能に設けられた構成とする。
【0014】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載の管状部材受け機構において、前記連結部材は、前記受け部材の外周面に設けられた雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を内周面に備える構成とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の管状部材受け機構によれば、管状部材の軸方向の端部を受け部材の受け面部によって面受けして管状部材を受けるため、管状部材の軸方向の受け位置を安定させることができ、管状部材の損傷を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構を備える先端湾曲機構の一例を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図3】図2におけるB−B断面図およびC−C断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の管状部材受け機構に用いることができる受け部材の一例およびその変形例(第1変形例)を示す模式的な斜視図である。
【図5】図3におけるD−D(E−E)断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構の受け部の詳細の一例およびその変形例を示す図5におけるF部の部分拡大図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構において、外力を受けた管状部材が変形する様子を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る管状部材受け機構の主要部の構成を示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の第4変形例に係る管状部材受け機構の主要部の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構について、この管状部材受け機構を備える先端湾曲機構とともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構を備える先端湾曲機構の一例を示す模式的な斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構の概略構成を示す模式的な断面図である。図3(a)、(b)は、それぞれ図2におけるB−B断面図およびC−C断面図である。図4(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の管状部材受け機構に用いることができる受け部材の一例およびその変形例(第1変形例)を示す模式的な斜視図である。図5は、図3におけるD−D(E−E)断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構の受け部の詳細の一例およびその変形例を示す図5におけるF部の部分拡大図である。
なお、各図は模式図であり、見易さのために各部材の大きさや形状は誇張されている(以下の図面も同様)。
【0019】
先端湾曲機構1は、細長い可撓性の管状体の先端側を、基端側からの操作によって種々の方向に向けて湾曲あるいは屈曲させて先端部の位置や姿勢を変化させる(以下、これらをまとめて湾曲移動と称する)ものであり、例えば、内視鏡やマニピュレータなどに好適に用いることができるものである。
先端湾曲機構1の概略構成は、図1に示すように、全体として細長い管状をなしている挿入部3と、挿入部3の基端側に連結され、挿入部3の先端を湾曲移動させる駆動部2とからなる。
挿入部3は、先端側から基端側に向かって、先端部6、湾曲管部5、および可撓管部4を備える。
なお、以下では、誤解のおそれがない限り、先端湾曲機構1内の個々の部材の形状や配置位置などを表す場合に、挿入部3の延びる方向における相対的な位置関係を、挿入部3の先端側、基端側に合わせて、先端側、基端側と称する場合がある。
また、図2は、挿入部3の湾曲を解除して、全体を真直にした場合(真直状態)における挿入部3の中心軸Oを含む断面図である。以下では、簡単のため、特に断らない限り、このような真直状態において各部材の形状や位置関係を説明する。
【0020】
先端部6は、湾曲移動される部材であり、先端湾曲機構1が用いられる装置の目的に応じて適宜形状に形成される。例えば、マニピュレータとして用いられる場合には、鉗子などの処置部を着脱可能に取り付けるため処置部取付部、例えば、取付穴部、マウント、ねじ部、係合部などの形状を備える。また、例えば、内視鏡に用いられる場合には、円柱状の硬質部材からなり、先端面にライトガイドやイメージガイドの端部が埋め込まれたり、処置具などを進退させる開口部が設けられたりする。
先端部6の中心は、挿入部3の中心軸Oと同軸になるように配置されている。
図2に示すように、先端部6の基端側(図2の右側)の端面6aには、先端部6の湾曲移動を操作する操作ワイヤ26(線状部材)の端部が、先端部6の中心から半径rで描かれた円周を4等分する位置にそれぞれ1本ずつ固定されている。ただし、図2は中心軸Oを含む断面図のため、紙面手前側に設けられた1本は図示されていない。
【0021】
本実施形態では、図示された4本の操作ワイヤ26は、実際には、中央でU字状に屈曲され互いに平行な対をなして延ばされた2本の操作ワイヤ26からなり、それぞれの平行な対をなすワイヤ部分が見えているものである。そして、これらの対をなすワイヤ部分は、挿入部3の中心軸Oを挟んで径方向に対向する位置関係に配置されている。すなわち、図2で図示上下方向に対向する操作ワイヤ26A、26Bは、U字状に屈曲された1本の操作ワイヤ26における平行な対をなすワイヤ部分で構成されている。また、図2の紙面垂直方向に対向する操作ワイヤ26C、26D(図3参照)は、U字状に屈曲されたもう1本の操作ワイヤ26における平行な対をなすワイヤ部分で構成されている。
このように設けられた各操作ワイヤ26は、図2に示す挿入部3の真直状態では、湾曲管部5および可撓管部4の内部において互いに平行を保って真直に延ばされている。そして、2対の操作ワイヤ26のU字状の屈曲部は、駆動部2の内部に設けられたワイヤ駆動部29の内部において不図示の駆動プーリなどに巻き掛けられている。
なお、以下では、誤解のおそれのない限り、挿入部3内の2対のワイヤ部分である操作ワイヤ26A、26B、26C、26Dのことを、単に4本の操作ワイヤ26と称する場合がある。
操作ワイヤ26は、細長い線状部材であれば、適宜の材質、構成を採用することができる。例えば、操作ワイヤ26の材質としては、金属や合成樹脂などを採用することができ、操作ワイヤ26の構成としては、撚り線や単線のワイヤを採用することができる。
【0022】
湾曲管部5は、先端部6を湾曲移動させるものであり、図2に示すように、複数の環状の節輪24が軸方向に連結され、不図示の可撓性チューブでそれらの外周面が覆われている。これら節輪24の中心は、湾曲管部5が真直に延ばされた状態では、挿入部3の中心軸Oと同軸となるように配置されている。
各節輪24は、基端側の端面において、基端側に向かって突出され、径方向に互いに対向する1対の平板状の突片部24aを備える。また、先端側(図2の左側)の端面において、先端側に向かって突出され、1対の突片部24aが対向する径方向と直交する径方向において互いに対向する1対の平板状の突片部24bを備える。ただし、突片部24aは節輪24の外周面に略整列する位置で突出され、突片部24bは節輪24の外周面よりも節輪24の板厚程度、内側にずれた位置から突出されている。
また、各突片部24a、24bには、板厚方向に貫通する貫通孔24cが設けられている。
また、各突片部24a、24bが設けられた位置の軸方向反対側の内周面には、操作ワイヤ26を挿通させて操作ワイヤ26の径方向および周方向の通過位置を規制するワイヤガイド27がそれぞれ設けられている。
【0023】
各ワイヤガイド27の外形状は、それぞれ、節輪24の内周面から径方向内側に突出するブロック状とされており、突出方向の一定位置において、操作ワイヤ26の外径よりわずかに大きな内径を有するガイド孔27aが軸方向に貫通されている。
これらガイド孔27aの中心は、節輪24の中心から半径rで描かれた円周を4等分する位置に設けられている。
【0024】
このような構成の節輪24は、互いに軸方向に隣接しあう1対の節輪24の間では、一方の節輪24の各突片部24aの対向方向の内側に、他方の節輪24の各突片部24bがそれぞれ挿入されて各貫通孔24cが重なり合う位置関係に配置され、各貫通孔24cにおいて連結軸25を介して回動可能に連結されている。
また、先端部6の端面6aと、後述する可撓管部4の接続部21の先端側の端面21gとには、上記と同様の形状、位置関係を有する1対の突片部24aと1対の突片部24bが設けられている。これにより、湾曲管部5の最も先端側の節輪24、およびは最も基端側の節輪24は、それぞれ先端部6の基端側の端面および可撓管部4の接続部21の先端側の端面において、上記と同様にしてそれぞれ回動可能に連結されている。
先端部6の端面6aにおける各突片部24aは、先端部6の中心を挟んで図示の紙面垂直方向において対向する1対の操作ワイヤ26を間に挟んで、互いに対向するように設けられている。
【0025】
このような構成により、湾曲管部5は、連結された複数の節輪24によって、2軸方向に湾曲可能とされている。例えば、図2に示すように、先端側から順次連結された節輪24A、24B、24Cは、節輪24A、24Bは紙面垂直軸を中心として互いに回動可能、節輪24B、24Cは紙面内の上下方向軸を中心として互いに回動可能に連結されている。
また、節輪24の内周側に挿通される4本の操作ワイヤ26は、各節輪24に4箇所ずつ設けられたワイヤガイド27のガイド孔27aに挿通されているため、湾曲管部5の湾曲時でも、節輪24の各内周面から略一定の距離をおいて軸方向に沿って配回されている。
【0026】
また、特に図示しないが、各節輪24の内周側の空間、例えば、操作ワイヤ26と周方向に隣接する領域や、各操作ワイヤ26よりも内周側となる中心領域などは、軸方向に貫通する空間を構成しており、操作ワイヤ26以外に先端湾曲機構1の内部に軸方向に沿って挿通させる必要がある各種部材(以下、内部挿通部材と称する)を配置することができるようになっている。内部挿通部材の例としては、例えば、内視鏡に用いる場合には、先端部6に設けられたライトガイド、イメージガイドあるいはイメージガイドのCCD(Charge Coupled Device)用信号線、中空チューブ、中空チャンネル、および可撓性処置具などの部材を挙げることができる。
【0027】
可撓管部4は、図2に示すように、駆動部2に基端側の端部が接続され、可撓管部4の外周面を形成する中空で可撓性を有する可撓チューブ28と、可撓チューブ28の先端側の端部に設けられた管状部材受け機構10Bと、管状部材受け機構10Bによって一方の端部が受けられ可撓チューブ28内を基端側に延ばされた中空管状の4本の金属パイプ22(管状部材)とを備える。また、金属パイプ22の他方(基端側)の端部は、駆動部2の不図示の支持部材に位置が固定された4つの管状部材受け機構10Aによって受けられている。
なお、本実施形態の管状部材受け機構10A、10Bでは、金属パイプ22の受け部の形状は共通である。
【0028】
管状部材受け機構10Bは、図2、図3(a)に示すように、接続部21と4つの受け部材23とからなる。
接続部21は、可撓チューブ28と略同じ外径を有する円板部材の中心に孔部21eが貫通された円環形状を有し、可撓チューブ28と同軸に配置された状態で、基端側の端面21fの外縁部に可撓チューブ28の先端側端部が連結されている。孔部21eは、不図示の内部挿通部材を挿通できるような大きさに形成されている。
また、接続部21は、図2に示す真直状態では、挿入部3の中心軸Oと同軸に配置されている。
【0029】
端面21fには、穴部内周面21cおよび穴部底面21dを有する円筒穴状の4つの穴部21bが設けられている。これら穴部21bの中心は、接続部21の中心から半径rで描かれた円周を4等分する位置に配置されている。
各穴部内周面21c(穴状受け部)は、金属パイプ22の外径よりもわずかに大きい内径を有する円筒面からなる。このため、穴部内周面21cは、穴部21b内に挿入される金属パイプ22の端部の径方向の位置を規制している。
穴部内周面21cの内径は、金属パイプ22が、穴部内周面21cの内径の範囲で拡径する変形を起こしても、金属パイプ22の端部が破断しない大きさに設定する。例えば、金属パイプ22が弾性変形の範囲で拡径できるような大きさに設定することが好ましい。ただし、金属パイプ22が塑性変形しても、破断しない範囲であれば、塑性変形の範囲に設定してもよい。
各穴部底面21dは、端面21fから接続部21の軸方向に同一深さで設けられており、その中心部には、穴部内周面21cよりも小径で操作ワイヤ26よりも大径とされたワイヤ挿通孔21aが設けられている。
【0030】
なお、接続部21では、図3(a)に2点鎖線で示すように、各穴部21bの間に挟まれた領域において端面21f、21gの間に貫通する貫通孔21hを設けておき、この貫通孔21hに内部挿通部材を挿通できるような構成としてもよい。
【0031】
また、端面21gには、図2に示すように、湾曲管部5の最も基端側の節輪24の突片部24bと連結する突片部24bが設けられている。なお、図2は断面図のため示されていないが、図3(a)の破線に示すように、径方向に対向してもう1つの突片部24bが設けられている。
4つの穴部21b、ワイヤ挿通孔21aは、この端面21gに設けられた1対の突片部24bの対向方向、およびこの対向方向に直交する方向に合わせて、それぞれ1対ずつ配置されている。また、これら4つの穴部21b、ワイヤ挿通孔21aの径方向の位置は、節輪24の中心に対するガイド孔27aの径方向の位置に一致されている。
したがって、図2に示すように、湾曲管部5と可撓管部4とが連結され、最も基端側の節輪24と接続部21とが互いに同軸に位置する回動位置では、各ガイド孔27aは、接続部21の各ワイヤ挿通孔21aと対向されている。
【0032】
受け部材23は、本実施形態では、図4(a)に示すように、中心部に、操作ワイヤ26よりもわずかに大径であって接続部21のワイヤ挿通孔21aと略同径の円孔からなるワイヤ挿通孔23a(貫通孔)が形成され、外周部に、接続部21の穴部内周面21cに内嵌する外径を有するワイヤ挿通孔21aと同軸の円筒面からなる外周面23bが形成された硬質の環状部材からなる。
受け部材23の軸方向の一方の端部には、軸方向の直交する平面からなる固定部端面23dが形成され、軸方向の他方の端部には、先端に向けて外周面23bの外径からワイヤ挿通孔23aの内径まで縮径する円錐状の傾斜面である受け部端面23c(受け面部)が形成されている。
受け部材23の軸方向の全長は、穴部21bの深さよりも十分短い長さとする。これにより、穴部21b内の奥まで受け部材23を挿入したときに、穴部内周面21cが穴内周面となり、受け部端面23cが穴底面となるような適宜深さの穴部が形成されるようになっている。
受け部材23の材質は、金属パイプ22の端部が押圧されても傷ついたりしにくい硬質材料であれば、適宜の材質を採用することができる。
【0033】
金属パイプ22の詳細形状は、図5に示すように、外周面22bの外径が穴部内周面21cの内径より小径とされ、内周面22aの内径が操作ワイヤ26の外径よりも大径とされ、両端に設けられた受け部端面23cは、それぞれ、金属パイプ22の軸方向に直交する平面に形成されている。
金属パイプ22の管厚(管孔部の外半径から内半径を引いた寸法)や材質は、可撓管部4内に配置された金属パイプ22が受ける外力によって、金属パイプ22が折れたり、潰れたりしない程度の強度を有し、かつ可撓管部4を使用上必要な範囲で湾曲させることができるような可撓性を有している。
金属パイプ22が受ける外力としては、例えば、可撓管部4の湾曲に伴う外力、金属パイプ22内に挿通される操作ワイヤ26から受ける外力、金属パイプ22の固定部を通じて作用する外力を挙げることができる。
金属パイプ22の材質としては、例えば、ステンレス鋼、チタン、真鍮、銅合金を好適に用いることができる。
金属パイプ22の管厚寸法の一例としては、例えば、ステンレス鋼であるSUS304であれば、100μm以下が好ましく、50μm程度であることがより好ましい。
【0034】
また、金属材料は、結晶性の金属には限定されず、結晶構造を有しない金属材料も採用できる。
例えば、ジルコニウム基合金などからなる原材料合金を溶解後急冷することで非晶質化され、広いガラス遷移領域(例えば20K以上)を有するような非晶質合金である金属ガラスなどを採用することができる。金属ガラスは、型転写性が良好であるため、薄肉の金属パイプ22を容易に成形することができる。また、金属ガラスは高強度、高弾性を有しているため、薄肉であっても良好な可撓性を有する金属パイプ22を形成することができる。
また、結晶構造を有しない金属材料として、超弾性の性質を有する合金系、例えば、弾性限界が5%以上であるような超弾性合金を採用することができる。超弾性合金は、負荷が増大すると、弾性変形に続いて降伏を起こし、見かけ上の塑性変形が起きるが、除荷すると歪みが除去されてしまう性質を有しており、大きな弾性限界を示す。このため、耐久性の高い金属パイプ22を形成することができる。
【0035】
管状部材受け機構10Aは、図2および図3(b)に示すように、4つのストッパ20と、これらストッパ20にそれぞれ設けられた受け部材23とからなる。
ストッパ20は、駆動部2に接続された可撓チューブ28の基端部の近傍の駆動部2内部において、可撓チューブ28内を挿通された4本の金属パイプ22の基端側の端部を受けて、駆動部2にそれぞれ固定するためのブロック状部材であり、駆動部2内の不図示の支持部材に支持されている。
本実施形態のストッパ20は、可撓チューブ28の基端部から一定距離だけ離間された平面に端面20fを整列させた直方体ブロック状に設けられている。
端面20fには、接続部21の穴部21bと同形状の穴部20bが形成されている。すなわち、穴部20bは、接続部21の穴部内周面21cおよび穴部底面21dと同形状の穴部内周面20c(穴状受け部)および穴部底面20dを備えている。
また4つのストッパ20の各穴部20bの中心は、接続部21上の4つの穴部21bと同様、図2に示す真直状態における挿入部3の中心軸Oから半径rで描かれた円周を4等分する位置に配置されている。
【0036】
次に、管状部材受け機構10A、10Bにおける各部材の位置関係について図5を参照してまとめて説明する。
管状部材受け機構10A(10B)内における受け部材23は、ストッパ20(接続部21)の穴部20b(21b)内に、固定部端面23dを奥側に向けた状態で挿入され、固定部端面23dが穴部20b(21b)の穴部底面20d(21d)に密着して当接されている。また、受け部材23の外周面23bと穴部内周面20c(21c)とは、径方向にがたつくことなく嵌合されている。
このため、外周面23b、穴部内周面20c(21c)にそれぞれ同軸に設けられ、それぞれ略同じ内径を有する受け部材23のワイヤ挿通孔23aとストッパ20(接続部21)のワイヤ挿通孔20a(21a)とは、略段差なく軸方向に連接されている。
また、受け部材23の受け部端面23cは、穴部20b(21b)の端面20f(21f)に形成された開口部側に臨んで配置されている。
これにより、穴部20b(21b)の奥側には、受け部端面23cによって、中心に開口されたワイヤ挿通孔23aの内縁から穴部内周面20c(21c)に向かって斜めに傾斜する底面が形成されている。
受け部端面23cの傾斜角を、図5に示すように、受け部材23の中心軸を通る平面内で中心軸に直交する面からの角度θで表すと、角度θは、1°から45°が好適である。
【0037】
金属パイプ22の端部は、このように受け部材23が設けられた管状部材受け機構10A(10B)の穴部20b(21b)内に挿入され、金属パイプ22の端面22cが、受け部材23の受け部端面23cで面受けされた状態で、ストッパ20(接続部21)に固定されている。
また、本実施形態では、穴部20b(21b)の開口部近傍で、金属パイプ22の外周面22bとストッパ20(接続部21)を接着材40で接着することによって固定している。接着材40としては、樹脂接着剤、半田などを挙げることができる。
操作ワイヤ26は、このように固定された金属パイプ22の内周面22a、および受け部材23、ストッパ20(接続部21)のワイヤ挿通孔23a、20a(21a)の内側に挿通されている。
【0038】
本実施形態では、受け部端面23cは傾斜面からなるため、端面22cが受け部端面23cで面受けされた状態とは、図6(a)に詳細を示すように、端面22cのうち、内周面22aと端面22cとで形成された円状の稜線が、受け部端面23cの面上に当接して受けられた状態を意味する。この場合、ワイヤ挿通孔23aは、内周面22aよりもわずかに小径となっており、受け部端面23cが、内周面22aの内周側にわずかに潜りこむ位置関係で面受けされることになる。このため、金属パイプ22の端面22cの中心は、受け部端面23cの中心軸と同軸となる位置に位置合わせされることになる。
ただし、金属パイプ22は、図6(b)に示すように、内周面22aと端面22cとのなす稜線部分に、面取り部22dが形成されていてもよく、この場合、面取り部22dが受け部端面23c上に受けられていればよいので、ワイヤ挿通孔23aの内径と内周面22aの内径とを等しくしたり、ワイヤ挿通孔23aの内径をわずかに大径としたりすることも可能である。
また、この場合には、面取り部22dの角度が、受け部端面23c傾斜角θと同じであれば、面取り部22dの全体が受け部端面23cで面受けされることになる。
【0039】
本実施形態の管状部材受け機構10A、10Bの作用について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る管状部材受け機構において、外力を受けた管状部材が変形する様子を示す模式図である。
【0040】
先端湾曲機構1では、駆動部2のワイヤ駆動部29により各操作ワイヤ26を駆動して挿入部3内に挿通する操作ワイヤ26のワイヤ部分の量を変化させることで、湾曲管部5の湾曲移動量と湾曲移動の方向とを変化させることができる。
例えば、図2において、操作ワイヤ26Aを基端側に牽引して引き込み、操作ワイヤ26Bを先端側に繰り出すと、挿入部3内における操作ワイヤ26Aの長さよりも操作ワイヤ26Bの長さが長くなるため、挿入部3は、操作ワイヤ26A、26Bから、先端部6を図示上側に湾曲移動させようとする駆動力を受ける。
このとき、操作ワイヤ26A、26Bは、可撓管部4の内部では、軸方向にほとんど長さが変化しない金属パイプ22に挿通されているため、操作ワイヤ26A、26Bの長さの差が出るのは、湾曲管部5の内部である。このため、湾曲管部5の内部では、操作ワイヤ26A、26Bの長さの変化に応じて、紙面垂直軸回りに回動可能な各節輪24が回動されていく。これにより、湾曲管部5が湾曲され、その先端に設けられた先端部6が湾曲移動される。
また、同様に、ワイヤ駆動部29によって操作ワイヤ26C、26Dを駆動すれば、先端部6をこれと直交する方向にも湾曲移動させることもできる。このように、先端湾曲機構1では、各操作ワイヤ26の駆動量を変えることで、先端部6を互いに直交する2軸方向に湾曲移動させることができる。
【0041】
このような湾曲移動の動作において、先端部6や湾曲管部5には移動負荷が発生するため、基端側に引き込まれる操作ワイヤ26に張力が発生する。この張力は、操作ワイヤ26が挿通されるガイド孔27a、ワイヤ挿通孔21a、金属パイプ22の内周面22a、およびワイヤ挿通孔23a、20aとの接触部分で、これらに対する外力として作用する。
このため、基端側に引き込まれる操作ワイヤ26が挿通される金属パイプ22の両端部には、管状部材受け機構10A、10Bから金属パイプ22を圧縮する方向の外力が作用する。この外力が大きな外力であったり、小さい外力でも繰り返し回数が多くなったりすると、管状部材受け機構10A、10Bと金属パイプ22の側面である外周面22bとを固定する接着材40は、従来と同様、破損されたり、剥がれたりする場合がある。
【0042】
本実施形態の管状部材受け機構10A、10bによれば、このような場合、図7に示すように、内周面22aと端面22cとのなす稜線部分Q1で、受け部端面23cに面受けされていた金属パイプ22は面受けされた状態を保ちながら、受け部端面23cをすべっていく。その際、稜線部分は、受け部端面23cの傾斜角に応じて内径が拡径されていき、受け部材23の先端が内周面22aの内側に潜り込んでいく。
このように、本実施形態では、金属パイプ22が端面22cから圧縮力を受けても、受け部材23によって面受けされることで、内側に縮径されたりつぶれたりすることなく、確実に拡径して変形される。このため、ワイヤ挿通孔23aに挿通される操作ワイヤ26には、金属パイプ22の端面22cは一切接触せず、端面22cのエッジ部との接触によって、操作ワイヤ26が傷ついたりすることを防止できる。
したがって、管状部材受け機構10A、10Bによれば、操作ワイヤ26の耐久性を向上することができる。
【0043】
このような金属パイプ22の端部の変形は、図7に示すように、外周面22bと端面22cとのなす稜線部分S1が拡径されつつ移動して、稜線部分S2として穴部内周面20c(21c)に接触し、穴部内周面20c(21c)と受け部端面23cとの間のV字状の隙間に稜線部分S2と、内周面22aと端面22cとのなす稜線部分Q2とが、それぞれ面受け状態で挟まれると止まり、端面22cの位置も固定される。
このため、接着材40による固定が外れた場合でも、金属パイプ22は、穴部20b(21b)内に挿入された固定状態を維持することができる。
この間、金属パイプ22は、軸方向に移動しているが、移動量は最大でも受け部端面23cの軸方向寸法程度であるため、操作ワイヤ26の引き込み量などと比べて無視できる移動量に抑えることができる。すなわち、接着材40が外れた場合でも、金属パイプ22の軸方向の位置を経時的に安定させることができる。
したがって、接着材40が、従来のように、破損されたり、剥がれたりしても、本実施形態では、先端湾曲機構1の湾曲移動を支障なく続行することができる。
【0044】
また、この場合の金属パイプ22の拡径量は、穴部内周面20cの内径によって、少なくとも金属パイプ22が破損しない大きさに規制されているため、金属パイプ22の端部が破損されることを防止できる。
また、稜線部分S2、Q2は、面受けされているため、凸部やエッジ部などによって受けられている場合とは異なり、圧縮力が増大したり、衝撃的に作用したりしても、亀裂などが発生して破断に至る可能性を低減することができる。
したがって、管状部材受け機構10A、10Bによれば、金属パイプ22の耐久性を向上することができる。
【0045】
このように本実施形態の管状部材受け機構によれば、金属パイプ22の軸方向の端部を受け部材23の受け部端面23cによって面受けして金属パイプ22を受けるため、金属パイプ22の軸方向の位置を安定させることができ、金属パイプ22の耐久性を向上することができる。さらに、操作ワイヤ26を損傷することを防止できるため操作ワイヤ26の耐久性も向上することができる。
また、例えば、内視鏡やマニピュレータなどの先端屈曲機構1に用いることで、駆動中に外力によって接着材40がせん断されて金属パイプ22の接着が外れることがあっても駆動を継続することができる。また、先端屈曲機構1の耐久性を向上することができる。
【0046】
次に、本実施形態の管状部材受け機構10A、10Bの第1変形例について説明する。
本変形例は、上記第1の実施形態の受け部材23に代えて、図4(b)に示す受け部材23Aを備えるものである。
受け部材23Aは、上記第1の実施形態の受け部材23の受け部端面23cに代えて、多角錐状の受け部端面23eを備えるようにしたものである。
受け部端面23eとしては、複数の平面状の傾斜面の組合せからなる三角錐以上の多角錐の形状を採用することができる。図4(b)には一例として四角錐状の形状を図示している。なお、受け部材23Aの稜線部分は、適宜丸められた多角錐状であってもよい。
受け部端面23eの各傾斜面の傾斜角は、傾斜面の法線と受け部材23Aの中心軸とを含む断面において、図5と同様に測った傾斜角θを、上記第1の実施形態と同様の範囲に設定することが好ましい。
また、本変形例では、上記第1の実施形態の金属パイプ22に代えて、受け部端面23eの多角錐状の断面形状に合わせて金属パイプ22の内周面22aを少なくとも端面22cの近傍の範囲で多角柱状としたものを採用してもよい。すなわち、例えば、受け部端面23eが四角錐状である場合においては、金属パイプ22の内周面22aを少なくとも端面22cの近傍の範囲で四角柱状とした管状部材を好適に採用することができる。
また、受け部端面23eの多角錐状の断面形状に合わせて、金属パイプ22の全体を多角柱管状としてもよい。
【0047】
本変形例の受け部材23Aの受け部端面23eは、中心軸を含む断面では、図7に示すように、金属パイプ22に対して、上記第1の実施形態と同様な位置関係にあるため、上記第1の実施形態と受け部材23と同様の作用を備える。
【0048】
次に、本実施形態の管状部材受け機構10A、10Bの第2変形例について説明する。
本変形例は、上記第1の実施形態の受け部材23に代えて、受け部材23B(図2参照)を備えるものである。
受け部材23Bは、特に詳細形状は図示しないが、上記第1の実施形態の受け部材23の受け部端面23cの傾斜角θを0°としたものである。すなわち、受け部材23Bは、両端面が中心軸に直交する平面からなる円筒管状の部材である。
【0049】
本変形例によれば、受け部端面23cの傾斜角θが0°であるため、軸方向に圧縮されたときに確実に拡径するという作用を有しないが、金属パイプ22の端面22cが受け部端面23cによって面受けされるので、やはり凸部やエッジ部などによって受けられている場合とは異なり、圧縮力が増大したり、衝撃的に作用したりしても、亀裂などが発生して破断に至るおそれを低減することができる。
したがって、本変形例によれば、接着材40が外れた状態でも、金属パイプ22の軸方向の受け位置を安定させることができ、さらに使用を継続することができる。このため金属パイプ22の耐久性を向上することができる。
また、上記第1の実施形態とは異なり、金属パイプ22の端面22cの全面が、平面からなる受け部端面23cによって面受けされて係止される。また、径方向には、穴部内周面20c(21c)によって、金属パイプ22の外周面22bの径方向の位置が規制されるので、穴部内周面20c(21c)と外周面22bとの間の隙間を調整することで、金属パイプ22の端面22cと操作ワイヤ26とが接触しないようにすることができる。あるいは、接触したとしても、操作ワイヤ26に食い込んだりしない程度の接触量に設定することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る管状部材受け機構について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る管状部材受け機構の主要部の構成を示す模式的な断面図である。
【0051】
本実施形態の管状部材受け機構110A(110B)は、図8に示すように、上記第1の実施形態の管状部材受け機構10A(10B)の、ストッパ20(接続部21)に代えて、ストッパ120(接続部121)を備えている。そして、穴状受け部として、穴部内周面20c(21c)の代わりに連結部材30を備えたものである。つまり、管状部材受け機構10A(10B)とまったく同様にして、上記第1の実施形態の先端湾曲機構1に用いることができるものである。以下では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
ストッパ120(接続部121)は、上記第1の実施形態のストッパ20(接続部21)の穴部20b(21b)に代えて、穴部120b(121b)を備えるものである。
穴部120b(121b)は、上記第1の実施形態の穴部20b(21b)の軸方向長さを、受け部材23の外周面23bの軸方向長さよりも短くしたものである。それにともない、上記第1の実施形態の穴部内周面20c(21c)は、受け部材23の外周面23bの軸方向長さよりも短かい穴部内周面120c(121c)となっている。
このため、本実施形態では、受け部材23は、固定部端面23d側の外周面23bの一部が穴部120b(121b)に嵌め込まれ、受け部端面23cおよび受け部端面23c側の外周面23bの他の部分が端面20f(21f)から外部側に突出された状態で着脱可能に配置されている。
そして、穴状受け部として、短くなった上記第1の実施形態の穴部内周面20c(21c)の代わりに連結部材30を備えている。
【0053】
連結部材30は、受け部材23の受け部端面23cに上記第1の実施形態と同様の面受け状態で受けられた金属パイプ22の端部と、この受け部材23とを、それぞれの外周面22b、23bにおいて密着して保持することで連結する中空部材である。図8の連結部材30は、一例として、チューブからなる中空部材の場合の例を図示している。
連結部材30の端部には、一端側にストッパ120(接続部121)から突出された受け部材23の外周面23bを、チューブ内面30aによって密着して保持する連結部30Bが形成され、他端側に金属パイプ22の外周面22bを、チューブ内面30aによって密着して保持する連結部30Aが形成されている。
また、連結部30A、30Bの間の中間部には、端面22cおよび受け部端面23cの外周側を取り囲むように変形規制部30Cが形成されている。
すなわち、変形規制部30Cのチューブ内面30aは、連結部30Aから連結部30Bに向かって金属パイプ22の管厚程度の隙間から徐々に隙間が低減される断面V字状の空間を隔てて受け部端面23cを覆っている。
【0054】
連結部材30の材質としては、連結部30A、30Bでは、金属パイプ22および受け部材23を径方向内側に押圧でき、変形規制部30Cでは、金属パイプ22が外力を受けて受け部端面23c側に移動したときに金属パイプ22の拡径量を規制するとともに移動される金属パイプ22の端面22cを受け部端面23c上に係止できる材質であれば、特に限定されない。ただし、金属パイプ22の湾曲変形に合わせて変形できる程度の可撓性を備えることが好ましい。
このような連結部材30の材質としては、例えば、弾性力によって金属パイプ22および受け部材23に着脱可能に密着できるようにした弾性部材を挙げることができる。弾性部材としては、例えば、金属、ゴム、合成樹脂などを挙げることができる。
連結部材30の形状としては、自然状態で、金属パイプ22および受け部材23のいずれの外径よりも小径の内径を有する筒状のチューブ部材を採用することができる。
なお、連結部材30に用いる中空部材としては、筒状のチューブ部材には限定されず、例えば、弾性を有する線材がコイル状に巻かれてなるコイルパイプでもよい。
【0055】
本実施形態の管状部材受け機構110A(110B)によれば、金属パイプ22および受け部材23は、連結部材30によって互いに連結されている。
受け部材23は、金属パイプ22に比べて硬質の材料からなり、外径も大きいため、連結部30Bは、連結部30Aに比べてより堅固に連結される。
操作ワイヤ26が駆動されて、操作ワイヤ26から、金属パイプ22が受け部材23側に移動するような外力が作用し、この外力が連結部30Aにおける連結部材30の保持力を上回ると、金属パイプ22は受け部材23側に移動していくことになる。
この場合、金属パイプ22は、上記第1の実施形態と同様に、受け部端面23cをすべって移動し、金属パイプ22の端部は、受け部端面23cの傾斜角に応じて内径が拡径されていき、受け部材23の先端が内周面22aの内側に潜り込んでいく。
このため、上記第1の実施形態と同様に、ワイヤ挿通孔23aに挿通される操作ワイヤ26には、金属パイプ22の端面22cは一切接触せず、端面22cのエッジ部との接触によって、操作ワイヤ26が傷ついたりすることを防止できる。
【0056】
また、金属パイプ22は、連結部材30の変形規制部30Cにおけるチューブ内面30aによって、径方向外側の変形量が規制されるとともに、受け部材23の傾斜面である受け部端面23cに沿って変形するように、端部の変形が規制される。
このため、連結部30Aの連結が外れた場合でも、上記第1の実施形態と同様に、金属パイプ22は、穴部20b(21b)内に挿入された固定状態を維持することができる。
特に、連結部材30として弾性部材を採用し、弾性力によって連結部30Aを構成している場合、外力が作用して、一時的に金属パイプ22の移動が生じても、外力が弱まるなどして、移動が停止する場合には、移動後の位置で同様の弾性力が作用するため、連結部材30は再度金属パイプ22の外周面22bを密着して保持することができるので、より元の固定状態に近い状態を維持することが可能である。
また、金属パイプ22の移動量も操作ワイヤ26の引き込み量などと比べて無視できる移動量に抑えることができるため、金属パイプ22の軸方向の位置を経時的に安定させることができる。
したがって、先端湾曲機構1の湾曲移動を支障なく続行することができる。
【0057】
さらに、本実施形態によれば、万一、金属パイプ22が破損して交換することが必要になった場合、受け部材23とともにストッパ20(接続部21)から容易に取り外すことができるので、ストッパ20(接続部21)を代えることなく、破損した金属パイプ22を連結部材30ごと交換することができる。このため、先端湾曲機構1の交換や修理が容易となる。
また、連結部材30も、金属パイプ22や受け部材23に対して、例えば接着や溶接などによって固定されてはいないため、金属パイプ22や受け部材23から取り外しやすくなる。このため、受け部材23の再利用などが容易となる。
【0058】
次に、本実施形態の変形例(第3変形例)に係る管状部材受け機構について説明する。
本変形例は、図8に示すように、上記第2の実施形態の連結部材30に代えて、熱収縮部材31を備える。
熱収縮部材31は、熱収縮性樹脂からなる熱収縮チューブを採用することができる。そして、加熱することによって連結部材30と同様の形状に変形される。
熱収縮部材31は、金属パイプ22と受け部材23とを連結する際に、弾性力を要しない連結部材の例であり、弾性部材であってもよいが、例えば、熱収縮性樹脂を用いた熱収縮チューブの場合、熱収縮された部分は熱収縮前の形状には復元できないため、弾性力によって着脱可能に密着されるわけではない。
この場合、加熱前には金属パイプ22および受け部材23よりも大径の内径を有するチューブ内面30aの内部に金属パイプ22および受け部材23を挿通させてから、熱収縮部材31を加熱し、連結部30A、30Bを熱収縮させる。これにより、熱収縮後のチューブ内面30aが、金属パイプ22の端部の外周面22bと、受け部材23の外周面23bとにそれぞれ密着される。
このため、金属パイプ22および受け部材23よりも小径のチューブを拡径させる必要がないため、連結作業が容易となる。
【0059】
次に、本実施形態の他の変形例(第4変形例)に係る管状部材受け機構について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態の第4変形例に係る管状部材受け機構の主要部の構成を示す模式的な断面図である。
【0060】
本変形例の管状部材受け機構111A(111B)は、図9に示すように、上記第2の実施形態の管状部材受け機構110A(110B)の、受け部材23、連結部材30に代えて、それぞれ受け部材23C、ねじ込み連結部材32(連結部材、穴状受け部)を備えるものであり、管状部材受け機構110A(110B)とまったく同様にして、上記第1の実施形態の先端湾曲機構1に用いることができるものである。以下では、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
受け部材23Cは、上記第2の実施形態の受け部材23の受け部端面23cと外周面23bとの間の外周面に雄ねじ部23fが形成された部材である。
ねじ込み連結部材32は、中空筒体からなり、この中空筒体の一方の端部側の内周部に受け部材23Cの雄ねじ部23fに螺合する雌ねじ部32aが設けられ、他方の端部の内周部に他方の端部側の開口に向かってすぼまるテーパ内周面32bが設けられた部材である。
本変形例のテーパ内周面32bは、周方向に連続する円錐面から構成されている。テーパ内周面32bの最小内径は、受け部端面23cの最小外径よりわずかに大きな値とされる。また、テーパ内周面32bの傾斜角は、受け部端面23cの傾斜角θと略同じ傾斜角に設定する。
【0062】
なお、本変形例では、テーパ内周面32bの裏面側の外周面32dもテーパ内周面32bと同様、先端に向かって縮径する形状に設けられているが、外周面32dを単に円筒面としてもよい。
また、テーパ内周面32bは、軸方向に沿って径方向に貫通する溝によって周方向に分断された複数の円錐面からなり、それぞれ可撓性を有する複数の爪状に設けられていてもよい。
【0063】
このような構成によれば、ねじ込み連結部材32を、雌ねじ部32aが設けられた端部側から受け部材23Cの受け部端面23cが設けられた側に向かって挿入し、受け部材23Cの雄ねじ部23fと雌ねじ部32aとを螺合させることによって、受け部端面23cとテーパ内周面32bとの間に、図9に示すような可動隙間32cを形成することができる。
可動隙間32cは、受け部端面23cとテーパ内周面32bとが略均一な隙間をあけて対向し、奥側が雄ねじ部23fと雌ねじ部32aとの螺合部で塞がれた円錐筒状の空間であり、ねじ込み連結部材32のねじ込み量によって、隙間の大きさを変化させることができる
【0064】
本変形例の管状部材受け機構111A(111B)では、金属パイプ22を受け部材23Cに連結する場合、ねじ込み連結部材32を浅くねじ込んで可動隙間32cを広くしておき、可動隙間32c内に金属パイプ22の端部を挿入する。このとき、金属パイプ22の端部は受け部端面23cを潜り込ませておく。そして、ねじ込み連結部材32を螺進させて、可動隙間32cの隙間を狭め、図9に示すように、可動隙間32c内に金属パイプ22の端部を挟みこむ。金属パイプ22の端部は、受け部端面23cとテーパ内周面32bとの間に押圧状態に挟持される。これにより、金属パイプ22の端部と受け部材23Cとが連結される。
金属パイプ22の端面22cは、受け部端面23cの軸方向の中間部に位置し、端面22cと可動隙間32cの奥側との間に隙間ができるようにしておく。
この隙間の大きさは、金属パイプ22が奥側に突き当たるまで進んで拡径するような変形を起こしても、金属パイプ22の端部が破断しない大きさに設定する。例えば、金属パイプ22が弾性変形の範囲で拡径できるような大きさに設定することが好ましい。ただし、金属パイプ22が塑性変形しても、破断しない範囲であれば、塑性変形の範囲に設定してもよい。
【0065】
本実施形態の管状部材受け機構111A(111B)によれば、金属パイプ22および受け部材23Cは、ねじ込み連結部材32によって互いに連結されている。
操作ワイヤ26が駆動されて、操作ワイヤ26から、金属パイプ22が受け部材23B側に移動するような外力が作用し、この外力が、ねじ込み連結部材32および受け部材23Bから金属パイプ22に作用する押圧力を上回ると、金属パイプ22は可動隙間32cの奥側に移動していくことになる。
この場合、金属パイプ22は、上記第2の実施形態と同様に、受け部端面23cをすべって移動し、金属パイプ22の端部は、受け部端面23cの傾斜角に応じて内径が拡径されていき、受け部材23Bの先端が内周面22aの内側に潜り込んでいく。
このため、上記第1の実施形態と同様に、ワイヤ挿通孔23aに挿通される操作ワイヤ26には、金属パイプ22の端面22cは一切接触せず、端面22cのエッジ部との接触によって、操作ワイヤ26が傷ついたりすることを防止できる。
【0066】
また、金属パイプ22は、ねじ込み連結部材32のテーパ内周面32bによって、径方向外側の変形量が規制される。すなわち、ねじ込み連結部材32のテーパ内周面32bは、金属パイプ22の端部を挿入して金属パイプ22の端部の径方向の位置を規制する穴状受け部であって、金属パイプ22の端部が受け部材23Cの傾斜面である受け部端面23cに沿って変形するように変形を規制する変形規制部を構成している。
このため、最初の連結位置から奥側に押し込まれた場合でも、金属パイプ22は、可動隙間32c内に挿入されて、受け部端面23cに受けられた状態を維持することができる。また、金属パイプ22の移動量も操作ワイヤ26の引き込み量などと比べて無視できる移動量に抑えることができるため、金属パイプ22の軸方向の位置を経時的に安定させることができる。
したがって、先端湾曲機構1の湾曲移動を支障なく続行することができる。
【0067】
さらに、本変形例によれば、万一、金属パイプ22が破損して交換することが必要になった場合、上記第2の実施形態と同様にして、受け部材23Cとともにストッパ20(接続部21)から容易に取り外すことができる。このため、ストッパ20(接続部21)を代えることなく、破損した金属パイプ22をねじ込み連結部材32ごと交換することができる。したがって先端湾曲機構1の交換や修理が容易となる。
また、ねじ込み連結部材32は、受け部材23Cに螺合されているため、螺合を解除することで、金属パイプ22と受け部材23との連結を容易に解除することができ、金属パイプ22を取り外しやすくなる。また、金属パイプ22を取り外した後のねじ込み連結部材32や受け部材23Cは、破損した金属パイプ22のみを交換してストッパ20(接続部21)に再装着し、再利用することが可能である。
【0068】
なお、上記の説明では、可撓管部4内に設ける管状部材受け機構10B等と、駆動部2内に設ける管状部材受け機構10A等とで、穴部20b、21cや、受け部材23の形状がそれぞれ共通であるとして説明したが、それぞれの形状や大きさは、各受け部ごとに異なっていてもよい。
【0069】
また、上記第1の実施形態の説明では、ストッパ20(接続部21)と金属パイプ22とを接着材40を用いて固定しておく場合の例で説明したが、本発明では、接着材40の固定が外れた場合でも、管状部材受け機構によって金属パイプ22の端部を安定した固定位置に保つことができるので、例えば、摩擦嵌合など、さらに外れやすい固定方法を採用してもよい。あるいは接着材40による固定を行わない構成としてもよい。
【0070】
また、上記の説明では、受け部材の受け面部が、平面や円錐面などからなる場合の例で説明したが、受け面部は、母線が曲線で構成された回転体表面など、軸方向に沿う湾曲を有する湾曲面であってもよい。
【0071】
また、上記の各実施形態、各変形例で説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
例えば、第2の実施形態の管状部材受け機構110A、110Bの受け部材23に代えて、第1の実施形態の第1変形例の受け部材23Aを用いてもよい。
また、上記第2の実施形態では、受け部材23、23Cが、ストッパ120(接続部121)などから突出された場合の例で説明した。このようにすれば、受け部材23、23Cを、ストッパ120(接続部121)からより取り外しやすくなるが、第1の実施形態のストッパ20(接続部21)のように穴部20b(21b)の内側に金属パイプ22の端部が挿入される形態としてもよい。すなわち、連結部材30、ねじ込み連結部材32が、ストッパ120(接続部121)の内部に収容される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 先端湾曲機構
2 駆動部
3 挿入部
4 可撓管部
5 湾曲管部
6 先端部
10A、10B、110A、110B、111A、111B 管状部材受け機構
20、120 ストッパ
20a、21a ワイヤ挿通孔
20b、21b、120b 穴部
20d、21d 穴部底面
20c、21c 穴部内周面(穴状受け部)
21、121 接続部
22 金属パイプ(管状部材)
22c 端面
23、23A、23B、23C 受け部材
23a ワイヤ挿通孔(貫通孔)
23c、23e 受け部端面(受け面部)
23f 雄ねじ部
24、24A、24B、24C 節輪
26、26A、26B、26C、26D 操作ワイヤ(線状部材)
29 ワイヤ駆動部
30 連結部材(弾性部材、熱収縮部材、穴状受け部)
30C 変形規制部
32 ねじ込み連結部材(連結部材、穴状受け部)
32a 雌ねじ部
32b テーパ内周面(変形規制部)
32c 可動隙間
40 接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する管状部材の内部に湾曲可能な線状部材を挿通させた状態で、前記管状部材の端部を受ける管状部材受け機構であって、
前記管状部材の端部を挿入して前記管状部材の端部の径方向の位置を規制する穴状受け部と、
該穴状受け部に挿入される前記管状部材の端部を軸方向に面受けする受け面部、および前記管状部材の内部に挿通された前記線状部材を挿通させる貫通孔を有し、前記穴状受け部の内部に位置が固定された受け部材とを備えることを特徴とする管状部材受け機構。
【請求項2】
前記受け部材の前記受け面部は、前記管状部材の端部に向かって外周側から内周側に傾斜する傾斜面からなることを特徴とする請求項1に記載の管状部材受け機構。
【請求項3】
前記受け部材は、前記受け面部の前記傾斜面が円錐面状に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の管状部材受け機構。
【請求項4】
前記穴状受け部は、前記管状部材の端部が前記受け部材の前記傾斜面に沿うように変形を規制する変形規制部を備えることを特徴とする請求項2に記載の管状部材受け機構。
【請求項5】
前記穴状受け部は、
前記管状部材の端部の外周面および前記受け部材の外周面を密着保持して、前記管状部材および前記受け部材を連結する連結部材で形成されたことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の管状部材受け機構。
【請求項6】
前記連結部材は、前記管状部材および前記受け部材を弾性力によって連結させる弾性部材からなることを特徴とする請求項5に記載の管状部材受け機構。
【請求項7】
前記連結部材は、熱収縮された熱収縮部材からなることを特徴とする請求項5に記載の管状部材受け機構。
【請求項8】
前記連結部材は、前記受け部材に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする請求項5に記載の管状部材受け機構。
【請求項9】
前記連結部材は、前記受け部材の外周面に設けられた雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を内周面に備えることを特徴とする請求項8に記載の管状部材受け機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−125529(P2011−125529A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287628(P2009−287628)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】