説明

管理機

【課題】耕耘作業および培土作業を良好に行うことができる管理機を提供することを課題とする。
【解決手段】機体に回転自在に支持される車輪20と、前記機体に装着される耕耘装置30と、少なくとも一部(培土器40Aの前端)が車輪20の車軸21と耕耘装置30の耕耘軸31との間に位置するように配置される培土器40Aと、を具備する管理機1Aとして、耕耘装置30が上下方向へ移動する際、培土器40Aの少なくとも一部が同一方向へ移動するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培土器を具備する管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体に回転自在に支持される車輪と、車輪の前方に配置されて機体に装着される耕耘装置と、車輪の後方に配置される培土器と、を具備し、耕耘後の土壌を培土器によって培土する管理機は公知となっている。例えば特許文献1に示す如くである。
【0003】
このような管理機においては、耕耘装置の前方に配置した耕深調節輪(補助輪)の高さを調節することによって、耕耘装置の車輪に対する上下位置を変更し、耕深を調節する。この構成では、耕耘装置の上下位置を変更する際、培土器が耕耘装置に対して車輪を中心として上下反対方向に移動するため、耕耘装置を下げて耕深を深くする場合には培土器が上がって培土が意に反して浅くなったり、培土器を下げて培土を深くする場合には耕耘装置が上がって耕深が意に反して浅くなったりするという問題がある。そこで、前記管理機は、培土器を弾性部材(バネ)によって下方へ付勢し、培土器が耕耘装置に対して車輪を中心として上下反対方向に移動することを抑えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのような管理機においては、耕耘装置を下げて耕深を深くする場合、培土器は上昇しようとするが、弾性部材の付勢力により下方へ付勢される。つまり、この際には培土器は耕耘装置と同一方向へ移動する。一方、耕耘装置を上げて耕深を浅くする場合、培土器は下降し、その下降途中で地面に接してその上下位置で保持される。この際、培土器は、その上下位置にかかわらず弾性部材により常時一定の付勢力で下方へ付勢されていることから、地面から浮き上がりやすくなる。この浮き上がりにより耕耘装置が下降するため、調節した耕深を維持しにくくなるという問題があった。
【0006】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、耕耘作業および培土作業を良好に行うことができる管理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、機体に回転自在に支持される車輪と、前記機体に装着される耕耘装置と、少なくとも一部が前記車輪の車軸と前記耕耘装置の耕耘軸との間に位置するように配置される培土器と、を具備する管理機とするものである。
【0009】
請求項2においては、前記培土器は、前記車軸に設けられるものである。
【0010】
請求項3においては、前記培土器は、前記車軸回りに回転して、畝を形成する作業位置と、畝を形成しない非作業位置と、に配置変更可能に構成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記培土器に固定されるとともに前記車軸回りに回転可能に構成されて、前記車輪の外周の一部を覆うように配置されるフェンダを具備するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
即ち、請求項1においては、機体に回転自在に支持される車輪と、前記機体に装着される耕耘装置と、少なくとも一部が前記車輪の車軸と前記耕耘装置の耕耘軸との間に位置するように配置される培土器とを具備するため、耕耘装置が上下方向へ移動する際、培土器が耕耘装置と上下反対方向ではなく、同一方向に移動することになる。したがって、耕耘装置を上げて耕深を浅くする場合でも、調節した耕深を維持しやすくなり、耕耘作業と培土作業とを良好に行うことができる。
【0014】
請求項2においては、培土器を機体側に装着するための構造を簡易にして、装着のために必要なコストを低減化することができる。
【0015】
請求項3においては、培土器を機体側から外すことなく、培土器の位置を作業位置または非作業位置に変更することが可能となる。したがって、培土器の配置変更を容易に行うことができ、耕耘作業および培土作業時の作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項4においては、作業者から手の届きやすいフェンダを用いて、培土器の位置を作業位置または非作業位置に変更することが可能となる。したがって、培土器の配置変更をより容易に行うことができ、耕耘作業および培土作業時の作業性を向上させることができる。また、フェンダと培土器が一体的に構成されるため、これらの支持構成を共通化でき、部品点数を削減してコスト低減化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一実施形態に係る管理機を示した全体側面図。
【図2】本発明の第一実施形態に係る管理機の拡大側面図。
【図3】本発明の第一実施形態に係る管理機の拡大背面図。
【図4】本発明の第一実施形態に係る管理機の拡大側面図。
【図5】(a)本発明の第一実施形態に係る管理機の固定手段の拡大側面図、(b)本発明の第一実施形態に係る管理機の固定手段の拡大正面図。
【図6】本発明の第二実施形態に係る管理機の拡大側面図。
【図7】本発明の第二実施形態に係る管理機の拡大背面図。
【図8】本発明の第二実施形態に係る管理機の拡大側面図。
【図9】本発明に係る管理機の別実施例を示した拡大側面図。
【図10】本発明に係る管理機の別実施例を示した拡大背面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
本発明の第一実施形態に係る管理機1Aについて、図1から図5を用いて説明する。
【0020】
図1に示すように、管理機1Aは、エンジン10と、トランスミッションと、左右一対の車輪20・20と、土壌を耕耘する装置である耕耘装置30と、耕耘装置30による耕耘後の土壌を培土して畝を形成するための培土器40Aと、を具備する。
【0021】
エンジン10は、駆動源となり、トランスミッションのミッションケース12の上部より前方に突設したエンジンフレーム25上に載置固定される。エンジン10からの動力は、伝動ケース11内のプーリ、ベルトを介してミッションケース12内の動力伝達機構に伝達され、さらに、トランスミッションで変速された後に車軸21及び耕耘装置30へ伝達可能とされる。
【0022】
車輪20は、車軸21に固定され、機体の後下方に配置される。車軸21は、ミッションケース12の後下部に支持され、左右側方に突出される。
ミッションケース12の後部上にはハンドル台14が設けられる。ハンドル台14には、作業者が持って操作するためのハンドル15が上下方向へ回動可能に取り付けられる。このハンドル15は、斜め後上方に突出するように配置される。ハンドル15の後部には、主クラッチレバーやアクセルレバーや作業クラッチレバー等が配置される。ハンドル15下方には、変速レバー16が設けられる。この変速レバー16は、ミッションケース12から斜め後上方に突出するように配置される。
【0023】
耕耘装置30は、車輪20の前方に配置される。耕耘装置30は、耕耘軸31、耕耘爪32、ロータリカバー17、補助輪13等を備える。耕耘軸31は、ミッションケース12から前下方に延設された耕耘ケース部12aの下部に支持され、左右側方に突出される。耕耘軸31上には耕耘爪32・32・・が植設される。エンジン10からの動力が耕耘軸31に伝達され、これにより耕耘爪32・32・・が回転駆動される。
ロータリカバー17は、耕耘爪32・32・・・の一部を上方から覆うものである。ロータリカバー17は、その上面を耕耘爪32・32・・・先端の回転軌跡に沿って形成し、エンジンフレーム25及びミッションケース12に固定される。
補助輪13は、路上走行時に耕耘装置30を地面より浮かせて容易に走行できるようにしたり、耕深を調節したりするためのものである。補助輪13は耕耘装置30の前方に配置される。補助輪13を回転自在に支持する支持杆の上部は、ロータリカバー17の左右中央部に上下調節可能に支持される。
【0024】
前記ロータリカバー17の後部には、培土器40Aを作業位置に配置したときに固定するための固定部18が配設される。
固定部18は、平板状の部材を車軸21を中心とした円弧状に湾曲して形成され、ロータリカバー17の後端下部に上下方向に固定される。固定部18には、複数のピン孔18a・18a・・・が上下方向に所定間隔をあけて開口されている。各ピン孔18aに後述する培土器40Aの前上部に設けた固定ピン51が貫入可能に構成されている。
【0025】
培土器40Aは、耕耘装置30のすぐ後ろであって左右の車輪20・20の間付近に配置される。培土器40Aは、所謂、外盛り用の培土器であり、図2または図3に示すように、培土板41と取付用のアーム42・42を有する。培土板41は、平板状の部材が平面視略V字状に折り曲げられ、且つ、後上方に行くに従って左右外側に広がるような形状に形成される。
また、培土器40Aは、作業位置にある場合、車軸21と耕耘軸31との間に位置するとともに、前記折り曲げ側が前方を向くように、且つ、開放側が後方を向くように配置される。
このようにして、培土器40Aは、少なくともその一部(本実施形態においては全部)が車輪20の車軸21と耕耘装置30の耕耘軸31との間に位置するように配置される。
ここで、作業位置とは、耕耘後の土壌を培土して所定の畝を形成することができる培土器40Aの位置を示す。即ち、作業位置とは、補助輪13が上げられて耕耘装置30の耕耘爪32が土壌を耕耘しながら前進する際に、培土器40Aが当該耕耘土壌を両側へ押して培土する位置をいう。作業者が培土作業を行う場合、培土器40Aは作業位置に配置変更される。
【0026】
アーム42・42は、培土器40Aを車軸21に取り付けるためのものである。
アーム42・42の一端は、培土板41の内側の前下部に固定される。
アーム42・42は、培土板41から後上方へ延出される。このアーム42・42の延出端(他端)に軸支部42a・42aが設けられる。軸支部42a・42aは車軸21に回転自在に外嵌され取り付けられる。詳細には、軸支部42aは、リング状に形成されて、これに車軸21が貫入されることによって、車軸21回りに回転可能に車軸21に取り付けられる。
【0027】
このようにして、培土板41は、アーム42・42を介して車軸21に回転可能に取り付けられる。つまり、培土器40Aが車軸21回りに回転可能に構成される。
そして、培土器40Aは、図4に示すように、非作業位置においては、これを車軸21回りに回転させて、前記折り曲げ側が下方を、開放側が後方を向くように配置される。
ここで、非作業位置とは、耕耘後の土壌を培土せず畝を形成しない培土器40Aの位置を示す。作業者が培土作業を行わない場合、培土器40Aは非作業位置に配置変更される。
このようにして、培土器40Aは、車軸21回りに前方へ回転して、耕耘後の土壌を培土して畝を形成する作業位置と、この作業位置から車軸21回りに後方へ回転して、耕耘後の土壌を培土せず畝を形成しない非作業位置と、に配置変更可能に構成される。
【0028】
また、管理機1Aは、図2、図3または図5に示すように、固定手段50・60を具備する。固定手段50は、培土器40Aが作業位置にある場合に車軸21回りに回転することを防止して、培土器40Aを作業位置で所望の高さ(深さ)位置に保持するための手段である。固定手段60は、培土器40Aが非作業位置にある場合に車軸21回りに回転することを防止して、培土器40Aを非作業位置に保持するための手段である。
【0029】
固定手段50は、固定部18に形成されるピン孔18a・18a・・・と固定ピン51と付勢バネ53とによって構成される(図5(a)参照)。
固定ピン51は、培土板41の前上部に設けた支持板19に貫設される。固定ピン51は、支持板19に前後方向に摺動自在に設けられ、付勢バネ53により前方へ突出するように付勢されている。付勢バネ53は、固定ピン51に外嵌されて、その後端を固定ピン51に固定するとともに、その前端を支持板19に係合する。
一方、前記固定部18に前後方向に開口された複数のピン孔18a・18a・・・は、前記固定ピン51と一致可能なように配設される。
【0030】
このような構成において、培土器40Aにより培土作業を行う場合には、培土器40Aを前方へ車軸21回りに回転させて、所望の高さ(深さ)位置に達したとき、固定部18の複数のピン孔18a・18a・・・のうち、その高さ位置に対応するピン孔18aに固定ピン51を貫入する。これにより、培土器40Aがロータリカバー17(機体)に対して固定される。その結果、培土器40Aは、車軸21回りに後方へ回転することを防止されて、作業位置で所望の高さ(深さ)位置に保持される。
【0031】
固定手段60は、前記アーム42の軸支部42aから突設された固定杆61と、固定杆61に取り付けられた固定ピン62と、ミッションケース12の側面に設けられた固定部63と、付勢バネ64とからなる(図5(b)参照)。
固定杆61は軸支部42aからその半径方向に突設される。固定杆61の突出端部には、固定ピン62を取り付けるためのピン孔が左右方向に開口される。
固定ピン62は、固定杆61のピン孔に機体外側から機体左右中央側へ水平方向に貫入され、付勢バネ64により機体左右中央側へ突出するように付勢されている。付勢バネ64は、固定ピン62に外嵌されて、その一端を固定ピン62に固定するとともに、その他端を固定杆61に係合する。
固定部63は、ミッションケース12の側面に形成される。固定部63にはピン孔が穿設される。このピン孔は固定ピン62を貫入可能に構成している。
【0032】
このような構成において、培土器40Aにより培土作業を行わない場合、即ち通常の耕耘作業のみを行う場合または路上走行を行う場合には、培土器40Aを車軸21回りに後方へ回転させて、固定ピン62と固定部63の位置を合わせて、固定ピン62を固定部63のピン孔に貫入する。これにより、培土器40Aが、車軸21の後方に位置して地上よりも浮いた状態でミッションケース12(機体)に対して固定される。その結果、培土器40Aは、車軸21回りに前方へ回転することを防止されて、非作業位置に保持される。
【0033】
以上のように、管理機1Aは、少なくともその一部が車輪20の車軸21と耕耘装置30の耕耘軸31との間に位置するように配置される培土器40Aを具備する。
したがって、車輪20を中心として天秤のように作用することなく、耕耘装置30の深さ調節に対して培土器40Aが反対方向に回動することはなく、耕耘作業と培土作業とを良好に行うことができる。また、従来のような培土器がハンドルの下方に配置される管理機においては、作業者がハンドルを操作ながら歩く際に培土器が歩行の邪魔になっていたが、管理機1Aにおいては、培土器40Aがハンドル15の下方に配置されないため、耕耘装置30と車軸21と左右の車輪20の間の空間を有効に利用することができ、ハンドル15下方の空間を広くすることができ、培土器40Aが歩行の邪魔にならない。
【0034】
また、管理機1Aでは、培土器40Aは車軸21に設けられる。
したがって、培土器40Aを装着するための構造を簡易にでき、装着のためのコストを低減化できる。
【0035】
培土器40Aは、培土板41やアーム42・42などから構成され、培土板41をアーム42・42を介して車軸21に支持することによって、機体に取り付けられる。すなわち、アーム42・42の一端(前端)は、それぞれ培土板41における前端の内側に固定される。アーム42・42の他端(後端)は、それぞれ左右の車軸21に取り付けられる。
したがって、管理機1Aにおいては、培土器40Aの機体への取付構造を簡易な構造で実現することができる。
【0036】
管理機1Aでは、培土器40Aは、車軸21回りに回転して作業位置と非作業位置とに配置変更可能に構成される。
したがって、管理機1Aによれば、作業位置と非作業位置との配置変更は、培土器40Aを外すことなく、前後に回転させるだけなので、当該配置変更を容易に行うことができる。
【0037】
管理機1Aは、固定手段50を具備する。この固定手段50は、培土器40Aが作業位置にある場合に車軸21回りに回転することを防止して、培土器40Aを作業位置で所望の高さ(深さ)位置に保持するための手段である。
したがって、管理機1Aでは、従来の管理機のように弾性部材の付勢力によらずに、培土器40Aへの荷重を管理機1Aの作業者によって制御することができ、培土器40Aによる培土の深さ調節を容易に行うことが可能となる。
【0038】
管理機1Aは、固定手段60を具備する。この固定手段60は、培土器40Aが非作業位置にある場合に車軸21回りに回転することを防止して、培土器40Aを非作業位置に保持するための手段である。
したがって、管理機1Aでは、培土器40Aを非作業位置に変更配置することにより、培土器40Aを車軸21の後方に位置させ、地上よりも浮いた状態で固定することが可能となる。よって、管理機1Aでは、非作業位置の培土器40Aを固定した状態で機体を走行させることができるため、培土作業時以外の走行を円滑に行うことができる。
【0039】
固定手段50は、固定ピン51を固定部18に設けたピン孔18aに貫入させることにより、培土器40Aが車軸21回り(後方)に回転することを防止して、培土器40Aを作業位置に保持する。
固定手段60は、固定ピン62を固定部63のピン孔に貫入させることにより、培土器40Aが車軸21回り(前方)に回転することを防止して、培土器40Aを非作業位置に保持する。
したがって、管理機1Aによれば、培土器40Aを所定の位置に固定する構造を簡易な構造で実現することができる。
【0040】
さらに、管理機1Aでは、固定ピン51と固定ピン62の操作により、培土器40Aを機体に対して簡単に固定または固定解除して、培土器40Aの作業位置と非作業位置との配置変更を容易に行うことができる。
【0041】
次に、本発明の第二実施形態に係る管理機1Bについて、図6から図8を用いて説明する。なお、第二実施形態に係る管理機1Bは、第一実施形態に係る管理機1Aと同様の構成を有する部分があるため、管理機1Bの説明は、管理機1Aと同様の構成の部分については適宜省略し、管理機1Aと異なる部分を中心に説明する。
【0042】
管理機1Bは、図6または図7に示すように、機体に車輪20・20の外周の一部を覆うように配設されるフェンダ70・70を具備する。
【0043】
フェンダ70は、側面視において略60度に広がる扇状に形成される(図6参照)。
フェンダ70は、その外周端部が車輪20の外周端部よりも当該車輪20の径方向外側に位置するように、軸支部42aから扇形状に広がる構成とされて、最外部で車輪20のタイヤの一部を覆うように形成される(図7参照)。
【0044】
また、管理機1Bは、図6または図7に示すように、固定手段50・60に代えて、固定手段80を具備する。固定手段80は、培土器40Aを作業位置または非作業位置に保持するための手段である。
固定手段80は、フェンダ70(または軸支部42a)に形成されるピン孔84・84・・・と、ミッションケース12に固定される固定板83と、両者を固定する固定ピン85と、付勢バネ86とによって構成される。
【0045】
ピン孔84・84・・・は、フェンダ70におけるミッションケース12と車輪20との間の部分に、軸支部42aの外周に沿って所定間隔をあけて複数左右水平方向に開口される。
ミッションケース12の左右両側の車軸21近傍には固定板83・83が固設される。左右の各固定板83には、外側(ピン孔84側)に向かって案内部が延設される。この案内部に前記ピン孔84の位置に合わせて左右水平方向に開口するピン孔が設けられる。そして、固定ピン85が当該ピン孔に摺動自在に貫入可能とされる。
固定ピン85は、固定板83のピン孔に機体左右中央側から外側へ水平方向に貫入され、付勢バネ86により前記外側へ突出するように付勢されている。付勢バネ86は、固定ピン85に外嵌されて、その一端を固定ピン85に固定するとともに、その他端を固定板83に係合する。
【0046】
そして、フェンダ70が車軸21回りに回動されて後ろ寄りに配置されて、培土器40Aが作業位置にある場合、例えば、図6および図7に示すように、培土器40Aを所望の高さの位置に達したとき、軸支部42aの非作業位置用のピン孔84を除いた、いずれかのピン孔84に固定板83に設けた固定ピン85を貫入する。これにより、培土器40Aがフェンダ70を介してミッションケース12(機体)に対して固定される。その結果、培土器40Aは、車軸21回りに後方へ回転することを防止されて、作業位置で所望の高さ(深さ)位置に保持される。
【0047】
また、培土器40Aの非作業時においては、図7に示すように、培土器40Aおよびフェンダ70を逆時計回りに回転させて、当該周方向で最も後ろにある上方のピン孔84に固定ピン85を貫入させる。
【0048】
また、管理機1Bでは、固定ピン85をピン孔84から抜くことにより、作業位置または非作業位置に培土器40Aが固定されている状態を解除することができる。
【0049】
以上のように、管理機1Bは、培土器40Aに固定されるとともに車軸21回りに回転可能に構成されて、車輪20の外周の一部を覆うように配置されるフェンダ70を具備する。
このため、作業者によってフェンダ70を回転させた場合においても、培土器40Aが車軸21回りに回転して、作業位置と非作業位置とに培土器40Aの配置変更が可能となる。
したがって、管理機1Bによれば、作業位置と非作業位置との配置変更をより容易に行うことができる。また、フェンダ70と培土器40Aが一体的に構成されるため、支持構成を共通化でき、部品点数を削減してコスト低減化を図れる。
【0050】
管理機1Bは、培土器40Aを作業位置または非作業位置に保持するための固定手段80を具備する。
したがって、管理機1Bでは、従来の管理機のように弾性部材の付勢力によらずに、培土器40Aへの荷重を管理機1Bの作業者によって制御することができ、培土器40Aによる培土の深さ調節を容易に行うことが可能となる。また、管理機1Bでは、非作業位置の培土器40Aを固定した状態で機体を走行させることができるため、培土作業時以外の走行を円滑に行うことができる。
【0051】
固定手段80は、固定ピン85を内側から外側に向けてピン孔84に貫入させることにより、培土器40Aが車軸21回りに回転することを防止して、培土器40Aを作業位置または非作業位置に保持する。
したがって、管理機1Bによれば、培土器40Aを所定の位置に固定する構造を簡易な構造で実現することができる。
【0052】
また、管理機1Bでは、固定ピン85をピン孔84から抜くことにより、培土器40Aのミッションケース12に対する固定状態を解除して、培土器40Aの位置を作業位置または非作業位置から非作業位置または作業位置に配置変更することが可能となる。
したがって、管理機1Bでは、作業位置または非作業位置に保持された培土器40Aの固定状態の解除を容易に行うことができ、ひいては、培土器40Aを作業位置と非作業位置との配置変更を容易に行うことができる。
【0053】
さらに、固定手段80では、複数個形成されるピン孔84のうち所望の一つを選択してこれに固定ピン85を貫入することで、培土器40Aによる倍土深さを容易に調節することができる。
【0054】
なお、本発明に係る管理機の培土器は、外盛り用の培土器40Aであることに限定されず、図9または図10に示すように、所謂、内盛り用の培土器40Bであっても良いものとする。
内盛り用の培土器40Bは、耕耘装置30のすぐ後ろであって左右の車輪20・20の間付近に配置される。そして、培土器40Bは、少なくともその一部が車輪20の車軸21と耕耘装置30の耕耘軸31との間に位置するように配置される。
培土器40Bは、左右の培土板43a・43bと取付用のアーム45・45を有する。なお以下において、培土板43bは、培土板43aと左右対称に構成されて培土板43bと左右対称となるように配置されるため、培土板43bの説明は省略する。
【0055】
培土板43aは、平板状の部材であって、その長手方向が前後方向となるように、且つ、上方が内側に(下方が外側に)傾けられて配置される。
培土板43aにおける前後方向略中央部の外側上部には、取付部44が設けられる。
【0056】
そして、培土板43aは、アーム45を介して車軸21に取り付けられる。
アーム45の一端は、当該車軸21から車軸21と耕耘軸31との間(前下方に向かって)に延出して、培土器40Bにおける培土板43aの取付部44に固定される。
アーム45・45は、培土板43aから後上方へ延設される。このアーム45・45の延出端(他端)に軸支部45a・45aが設けられる。該軸支部45a・45aは車軸21に回転自在に外嵌され取り付けられる。詳細には、軸支部45aは、リング状に形成されて、これに車軸21が貫入されることによって、車軸21回りに回転可能に車軸21に取り付けられる。
【0057】
このようにして、培土板43aは、アーム45・45を介して車軸21に回転可能に取り付けられる。つまり、培土器40Bが車軸21回りに回転可能に構成される。
また、培土板43aはフェンダ70と一体的に構成することも可能である。この場合、培土器40Bの前上部とフェンダ70の前下部が一体的に連結される。固定手段は前記と略同じ構成とすることで、培土器40Bを作業位置または非作業位置に保持することができ、培土器40Bの位置を作業位置と非作業位置に容易に変更することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1A・1B 管理機
20 車輪
21 車軸
30 耕耘装置
31 耕耘軸
40A・40B 培土器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に回転自在に支持される車輪と、
前記機体に装着される耕耘装置と、
少なくとも一部が前記車輪の車軸と前記耕耘装置の耕耘軸との間に位置するように配置される培土器と、を具備する管理機。
【請求項2】
前記培土器は、前記車軸に設けられる、請求項1に記載の管理機。
【請求項3】
前記培土器は、前記車軸回りに回転して、畝を形成する作業位置と、畝を形成しない非作業位置と、に配置変更可能に構成される、請求項2に記載の管理機。
【請求項4】
前記培土器に固定されるとともに前記車軸回りに回転可能に構成されて、前記車輪の外周の一部を覆うように配置されるフェンダを具備する、請求項3に記載の管理機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−139639(P2011−139639A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−682(P2010−682)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】