管継手および管継手製造用消失模型
【課題】 使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を防止し得る管継手およびそれを製造するための消失模型の提供。
【解決手段】 集水部15の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aを平面に形成して、集水部15の内周下部隅部と中間部17の上部とを、段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続させることで、排水時の排水の流れを阻害する部分をなくした管継手およびその消失模型。
【解決手段】 集水部15の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aを平面に形成して、集水部15の内周下部隅部と中間部17の上部とを、段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続させることで、排水時の排水の流れを阻害する部分をなくした管継手およびその消失模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水集合管等の管継手および排水集合管等の管継手の鋳造に使用される管継手製造用消失模型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集合住宅等の多階層建築物の排水管系に使用される排水集合管等の管継手は、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を横枝管を介して管継手胴体内へ流入させ、下部に設けた接続口から排水立て管へ流下させるよう構成されている。このような管継手は、消失模型を用いて鋳造により製造される。図22および図23に示すように、消失模型100として、円筒状の胴体模型101の側部に、これとは別体の横枝管用模型部102を接続する接続座103を側方に突出するよう形成したものがある(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
上記のような消失模型100を用いて排水立て管用管継手を製造する場合、次のようにして行うのが一般的である。すなわち、消失模型全面を塗型剤で被覆し、乾燥固化した後に消失模型周囲を乾燥したバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型部分に金属溶湯を流し込むようにする。このようにすることで消失模型が熱分解し、金属溶湯と置換されることで消失して、代わりにこれと同じ形状の排水立て管用管継手を製造することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第2763671号公報
【特許文献2】特許第2601559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、円筒状の胴体模型101に横枝管用模型部102を一体に形成することは模型製造用金型の製作が難しく、したがって横枝管用模型部102は胴体模型101とは別体に形成して接続しなければならない。そのために胴体模型101の外周側部に、側方に突出する接続座103を形成し、この接続座103に横枝管用模型部102を嵌込んで組付けるようにしている。しかしこのようにして形成した消失模型100では、離型の都合上、図22の符号105で示す部分に相当する急激に傾斜が変わる異形の段部が内周面に形成される。したがって、このような消失模型100を用いて製造した排水立て管用管継手の内周面にも同様の段部が形成されることになる。そしてこのような内周形状を有する排水立て管用管継手を用いて排水を行うと、排水が段部に衝突して水流の乱れや跳ね返り等が発生したり、横枝管を通って排水立て管用管継手に進入する固形物等が段部に滞留して、排水立て管用管継手に詰りが発生したりし易いといった課題がある。
【0006】
そこで本発明は、水流の乱れや跳ね返り等を防止し得るとともに、固形物等の滞留を防止し得る管継手および、このような管継手を製造し得る消失模型の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管継手は、管軸方向一方側に流入口部が形成され管軸方向他方側に流出口部が形成された筒状の管継手胴体の側壁のうち、横枝管口部を設ける側壁部分に相当する胴体内壁面を、平面状に形成したことを特徴としている。
【0008】
上記構成のように、横枝管口部を設ける側壁部分の胴体内壁面を平面状に形成することで、当該胴体内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることができる。このため、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになり、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。また、排水等は傾斜面で案内されることにより水流の乱れを効果的に抑制することになるから、排水性を向上させることができる。なお、平面状とは、その面に急激に傾斜が変わる段部のような部分を有しない面を意味する。
【0009】
特に、管継手胴体を、角筒状に形成することにより、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、管継手の使用条件に伴う汎用性を向上させることができ、この場合も、側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることができ、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになり、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。
【0010】
特に、管継手胴体の断面形状は、略四角形または略八角形に形成することが好ましい。この場合も、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、管継手の使用条件に伴う汎用性を向上させることができ、かつ側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることで、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになる。したがって、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、かつ固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。特に、管継手胴体の断面形状を、略四角形または略八角形に形成することにより、管継手胴体の側壁に横枝管口部を、90°あるいは45°置きに等間隔で安定して設置することができる。
【0011】
本発明の管継手は、同一形状の消失模型を用いて製造される。特に、管継手の鋳造時には、金属溶湯によって消失模型が熱分解して金属溶湯と置換されるから、この消失模型と同一形状の管継手を容易に製造することができる。
【0012】
本発明は、管軸方向一方側に流入口が形成され管軸方向他方側に流出口が形成された管継手の製造用消失模型であって、管継手胴体形成用の胴体模型部の側壁のうち、横枝管口部形成用の管口模型部が接続される側壁部分に相当する胴体模型部内壁面を、平面状に形成したことを特徴としている。
【0013】
このような消失模型を用いて管継手を製造するには、次のようにして行う。すなわち、消失模型周囲をバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型部分に金属溶湯を流し込むようにすることで、消失模型が熱分解して金属溶湯と置換され、同じ形状の管継手を容易に製造することができる。上記構成のように、横枝管口部形成用の管口模型部を接続する側壁部分を平面状に形成した消失模型によれば、側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続した管継手を製造することができる。
【0014】
特に、胴体模型部を角筒状に形成すれば、消失模型によって製造された管継手の管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、汎用性に優れた管継手を製造することができる。
【0015】
特に、胴体模型部の断面形状が略四角形または略八角形に形成されることが好ましい。このような消失模型を用いて管継手を製造すれば、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、汎用性に優れた管継手を製造することができる。
【0016】
特に、流入口部模型が胴体模型部に別体として設けることにより、模型製造用金型の設計が簡素化できるので好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の管継手によれば、使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となり、本発明の消失模型により、使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能な管継手を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る管継手を、図面に基づいて説明する。この管継手は、集合住宅等の多層階建築物の排水設備に使用される集合排水管である。図1は管継手の正面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は管継手の全体縦断面図である。
【0019】
これらの図に示すように、管継手1Aは管継手胴体2と、この管継手胴体2の管軸方向Dの一方側(上側)に形成されて、不図示の家屋に敷設する上側立て管3を接続するための流入口部4と、管軸方向Dの他方側(下側)に形成されて下側立て管5を接続するための流出口部6と、管継手胴体2に設けられて、不図示の家屋に敷設する横枝管10を接続するための横枝管口部11,12,13を有する。
【0020】
管継手胴体2は、上部の集水部15と、下部の排水部16と、集水部15と排水部16とを連続する中間部17とから形成されている。集水部15は、断面略四角形状の角筒状に形成されている。具体的に集水部15は、管軸方向Dに沿って略同一の断面に形成されている。管継手胴体2の集水部15の四方の側壁20,21,22,23は矩形(略正方形)に形成され、四方の側壁20,21,22,23のうち、三方の側壁20,21,22に、管軸方向Dに直交する方向に前記横枝管口部11,12,13が一体的に形成されている。すなわち、三方の側壁20,21,22は横枝管口部11,12,13の形成領域となっており、三方の側壁20,21,22それぞれは、横枝管口部11,12,13より大きな面積(径)を有する。
【0021】
三方の側壁20,21,22それぞれの中心に、円形の開口28,29,30が形成されている。集水部15は四角筒状であるから、開口28,29,30は、管軸方向Dに直交する方向に、90°間隔で配置されている。四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに平行に沿う平面であり、開口28,29,30の周壁面以外には急激に傾斜が変化するような段部を有しない平板状(平面状)に形成されている。開口28,29,30は、横枝管口部11,12,13の導入口25,26,27に連通するよう、導入口25,26,27に同心に形成されている。なお、導入口25,26,27は途中で異径の断面となる。すなわち、管継手胴体2外方側の大径口部25a,26a,27aと、管継手胴体2内方側の小径口部25b,26b,27bによって形成されている。
【0022】
集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続している。集水部15の上端部に、流入口部4の導入口40に連通する円形の開口41が形成されている。導入口40は、管継手胴体2外方側の大径口部40aと、管継手胴体2内方側の小径口部40bによって形成されている。流入口部4の管継手胴体2側に、くびれ部52aが形成されている。このくびれ部52aのさらに管継手胴体2側で、流入口部4と管継手胴体2との連結部外周面に、管軸方向Dに直交する外方に突出する膨出部40cが形成されている。中間部17は、その側壁35が下方ほど小径になるよう順次縮径された円錐台筒状に形成され、その内壁面17aも円錐台面に形成されている。排水部16は、管軸方向Dに沿って同一断面の円筒状に形成されている。流出口部6は、排水部16に比べて大径断面に形成されている。図中の符号43は、管継手胴体2の中間部17に管軸に対して傾斜させて設けた整流羽根である。
【0023】
上記構成の管継手1Aは、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を上側立て管3、横枝管10を介して管継手胴体2内へ流入させ、下部に設けた流出口部6から下側立て管5へ流下させるよう建築物に設置される。ところで、上記のように、管継手胴体2の四方の側壁20,21,22,23は矩形の平板状に形成され、四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに沿う平面に形成され、集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続している。
【0024】
このように、集水部15の側壁20,21,22,23を平板状に形成してその内壁面20a,21a,22a,23aを平面に形成したから、横枝管口部11,12,13を管軸方向Dに直交する方向に形成したとしても、従来のように急激に傾斜が変わる異形の段部が内壁面20a,21a,22a,23aに存在せず、集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とを斜面31,32,33,34によって連続させることができる。したがって、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は集水部15で内壁面20a,21a,22a,23a、斜面31,32,33,34によって中間部17内部に円滑に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このように、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がないことから、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。
【0025】
次に、図4〜図8に基づいて、管継手1Aを製造するための消失模型501を説明する。図4は消失模型の正面図、図5は図4のY−Y線断面図、図6は消失模型の全体縦断面図、図7は消失模型の分解断面図、図8は消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図である。なお、図7,図8では、整流羽根43を形成するための模型部分を省略して表している。この消失模型501は、弾性を有する発泡性合成樹脂成形体から成る。この発泡性合成樹脂成形体は、発泡性の熱可塑性樹脂粒子(以下、樹脂粒子と称する)からなっており、上記樹脂粒子は、耐熱温度が低く、溶融金属の熱により容易に消失(分解)可能なことや、消失時に発生する分解ガス等が溶融金属に悪影響を及ぼさないこと等の性質が必要である。例えばポリメチルメタクリレート樹脂等のポリメタクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂等からなる粒子、あるいはこれら合成樹脂の混合物やモノマーの共重合体からなる粒子に発泡剤を含浸させ、所定倍率に予備発泡させたものが用いられる。そして、これら樹脂粒子は、例えば水蒸気による加熱で発泡させて所定形状の発泡性合成樹脂成形体とすることができる。
【0026】
なお、上記の発泡剤としては、沸点が熱可塑性樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適しており、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素、ジクロロフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物等が用いられる。これらの発泡剤は、一種類のみを使用してもよいし、また二種類以上併用してもよい。さらに、予備発泡の発泡倍率は、例えば樹脂粒子の材質等に応じた最適の倍率とすればよい。
【0027】
これらの図に示すように、消失模型501は、管継手胴体2を形成するための胴体模型51と、流入口部4を形成するための筒状の流入口部模型52と、横枝管口部11,12,13を形成するための筒状の横枝管口部模型53,54,55とから構成される。胴体模型51は、管継手胴体2と同様に筒状に形成されている。胴体模型51は、集水部15を形成するための集水模型部60と、中間部17を形成するための中間部17と同一形状の中間模型部61と、排水部16を形成するための排水部16と同一形状の排水模型部62とから一体に形成されている。集水模型部60は、四方の側壁65,66,67,68を有して断面略四角形状の角筒状に形成されている。四方の側壁65,66,67,68のうち、三方の側壁65,66,67の中心に、円形の枝管模型装着孔65a,66a,67aが形成されている。
【0028】
枝管模型装着孔65a,66a,67aの外周部に、管軸方向Dに直交する外方に突出する環状の接続座65A,66A,67Aがそれぞれ形成されている。そして、接続座65A,66A,67Aそれぞれの端部座面65c,66c,67cに横枝管口部模型53,54,55の小径の嵌合部70,71,72の段付き面70c,71c,72cがそれぞれ着座するよう、嵌合部70,71,72が枝管模型装着孔65a,66a,67aに嵌合して接着されている。なお、横枝管口部模型53,54,55の構成および形状はそれぞれ同一であるので、嵌合部70,71,72の段付き面71c,72cの符号については図7をもって代用するものとする。嵌合部70,71,72の中心に、管継手1Aの開口28,29,30となる横孔部70a,71a,72aが形成されている。横枝管口部模型53,54,55の中心に、横枝管口部11,12,13の大径口部25a,26a,27a、小径口部25b,26b,27bとなる孔部53A,54A,55Aが形成されている。
【0029】
集水模型部60の上部は解放されて、流入口部模型装着孔75が形成されている。この流入口部模型装着孔75は、流入口部模型52の嵌合部76が嵌合接着される孔である。嵌合部76の中心に開口41となるとなる立孔部76aが形成されている。また、流入口部模型52の中心には、大径口部40a、小径口部40bとなる孔部52Aが形成されている。流入口部模型52の集水模型部60側にくびれ部52aとなる縮径部52bが形成されている。この縮径部52bのさらに集水模型部60側で、集水模型部60の開口端部60aに嵌合する溝部60bを有して管軸方向Dに直交する外方に突出するとともに、膨出部40cとなる膨出模型部60cが形成されている。
【0030】
この消失模型501は、集水模型部60の四方の側壁65,66,67,68を矩形に形成し、内壁面65b,66b,67b,68bを平面に形成している。特に側壁65,66,67の内壁面65b,66b,67bを平面に形成した構成としているため、側壁65,66,67に管軸方向Dに直交する方向に接続座65A,66A,67Aを形成したとしても、従来の消失模型のように、集水模型部60の内周面に急激に傾斜が変化する異形な段部が形成されない形状となっている。また、集水模型部60の内周下部四隅部と中間模型部61の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34(図2と符号兼用)によって連続させることができる。
【0031】
発泡性合成樹脂成形体であるこれら胴体模型51、流入口部模型52、および横枝管口部模型53,54,55の成型方法は、それぞれ次の通りである。まず、樹脂粒子を成型用金型のキャビティに充填する。次に、この金型を水蒸気加熱等により加熱し、所定温度とする。そして、この金型の温度を所定温度に保ち、樹脂粒子を充分に加熱・発泡させて互いに融着させた後、金型を冷却し、金型の型開きを行って発泡性合成樹脂成形体を取出す。
【0032】
上記構成の消失模型501は、胴体模型51の接続座65A,66A,67Aそれぞれに横枝管口部模型53,54,55を接続し、集水模型部60の開口端部60aに流入口部模型52を接続することで組立てられる。この場合、接続座65A,66A,67Aそれぞれに、これら接続座65A,66A,67Aの端部座面65c,66c,67cに横枝管口部模型53,54,55の嵌合部70,71,72の段付き面70c,71c,72cそれぞれが当接するよう、横枝管口部模型53,54,55を接続座65A,66A,67Aに嵌合する。また、集水模型部60の開口端部60aに、溝部60bが嵌合するように、流入口部模型52を集水模型部60に組付けるようにして消失模型501を組立てる。そして、集水模型部60に側方に突出する接続座65A,66A,67Aを形成しているから、これら接続座65A,66A,67Aが補強部材の機能を有ることになる。したがって、側壁65,66,67に枝管模型装着孔65a,66a,67aを形成する分だけ低下する剛性を補うことができ、横枝管口部模型53,54,55を集水模型部60に組付ける場合にその破損を防止することができ、さらに、横枝管口部模型53,54,55を集水模型部60に確実に組付けることができる。また流入口部模型52は、集水模型部60の開口端部60aに溝部60bが嵌合するようにして組付けられるから、流入口部模型52を集水模型部60の開口端部60aに確実に組付けることができる。
【0033】
さらに、従来では集水模型部は円筒状で、これに流入口部模型を嵌合していたから、集水模型部に対する流入口部模型の回り止めが特別に必要になる場合があった。しかし、本発明の実施形態の消失模型501では、集水模型部60を四角筒状に形成してこれに流入口部模型52を嵌合することにより、互いの隅部が周方向で係止するから、特別に流入口部模型52の回り止めを設ける必要がないといった、構造の簡素化を達成できる。
【0034】
上記構成の消失模型501を用いて管継手1Aを製造するには、消失模型501全面を塗型剤で被覆し、乾燥固化した後に消失模型501周囲を乾燥したバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型501部分に金属溶湯を流し込む。このようにすることにより、金属溶湯によって消失模型501が熱分解して金属溶湯と置換されるように消失するから、消失模型501の代わりにこれと同じ形状の管継手1Aを容易に製造することができる。すなわち、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がなく、排水時の排水の流れを阻害せず、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる管継手1Aを容易に製造することができる。
【0035】
さらに、側壁65,66,67の内壁面65b,66b,67bを平面に形成したことにより簡素な形状の内壁面65b,66b,67bとなっているから、鋳造時の砂詰まりの発生を効果的に抑制することができ、したがって鋳造性が良好となる。また、消失模型501は、その製造にあたり、特に側壁65,66,67,68の内壁面65b,66b,67b,68bを平面に形成したことにより簡素な形状の内壁面65b,66b,67b,68bとなっているから、前記金型の離型性が向上する。
【0036】
図9および図10に別の実施形態を示す。図9は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図10は当該管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図を示す。図9に示す管継手1Bにおいて、図1〜図3に示す実施形態と異なる部分を説明する。図9の管継手1Bでは、管継手胴体2の集水部15の四方の側壁20,21,22,23が矩形(縦長の略長方形)に形成されることで、上記実施形態に比べて集水部15が管軸方向Dに長く形成されている。これにより、四方の側壁20,21,22,23のうち、三方の側壁20,21,22に、管軸方向Dに直交する方向に横枝管口部11,12,13が上下一対で一体的に形成されている。集水部15の管軸方向D中心外周部に、管軸方向Dに直交する方向で外方に突出するリブ15aが形成されている。横枝管口部11,12,13は、集水部15においてリブ15aを中心とした上下部分の管軸方向D中心位置に配置されている。
【0037】
四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに沿う平面であり、開口28,29,30の周壁面以外には急激に傾斜が変化するような異形な段部を有しない平板状(平面状)に形成されている。他の構成は上記図1〜図3に示した実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。このような管継手1Bは、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を上側立て管3、複数(この場合、二本)の横枝管10を介して管継手胴体2内へ流入させ、下部に設けた排水部16から下側立て管5へ流下させるよう建築物に設置される。そして、この実施形態の管継手1Bでも、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がないことから、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。また、側壁20,21,22,23が長方形に形成されることで集水部15の剛性が低下する分は、リブ15aを設けることによって補うことができる。他の作用効果は図1〜図3に示した実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0038】
次に、図10に基づいて、管継手1Bを製造するための消失模型502を、図4〜図8と異なる部分について説明する。集水模型部60は中間模型部61と一体の第一集水模型部601と、この第一集水模型部601の開口端部601aに嵌込まれる第二集水模型部602とから構成される。第一集水模型部601の第二集水模型部602側には、開口端部601aに嵌込まれて前記リブ15aとなる膨出部602aが形成され、膨出部602aの内方側に、第一集水模型部601の開口端部601aに嵌合する溝602bが形成されている。流入口部模型52は、第二集水模型部602に組込まれる。第一集水模型部601、第二集水模型部602に形成された枝管模型装着孔65a,66a,67aにそれぞれ組込まれる横枝管口部模型53,54,55が設けられている。また、第一集水模型部601、第二集水模型部602それぞれの枝管模型装着孔65a,66a,67aの外周部に接続座65A,66A,67Aが形成されている。他の構成は、図4〜図8に示した実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図10の消失模型502を用いて管継手1Bを製造する場合、金属溶湯によって消失模型502を熱分解して金属溶湯と置換され、消失模型502の代わりにこれと同じ形状の管継手1Aを容易に製造することができる。この場合、特に、第一集水模型部601と第二集水模型部602とは別体であるが、金属溶湯によって両者が熱分解すると、第二集水模型部602の膨出部602aと第一集水模型部601の開口端部601aとが一体になり、長方形の側壁20,21,22,23を有する集水部15が形成される。このように、集水部15を製造するための模型部を、別体の第一集水模型部601と第二集水模型部602とから形成し、第一集水模型部601に、リブ15aとなる膨出部602aを形成しておくことで、管軸方向Dに長尺の集水部15を容易に製造することができるとともに、膨出部602aがリブ15aとなって、必要な強度を確保し得る管継手1Bを容易に製造することができる。他の作用効果は上記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0040】
図11および図12に、さらに別の実施形態を示す。図11は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図12は当該管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図を示す。これらの図に示す管継手1C、消失模型503が図9の管継手1B、図10の消失模型502と異なる部分を説明する。図9の管継手1Bでは、横枝管口部11,12,13は、集水部15においてリブ15aを中心とした上下部分の管軸方向D中心位置に配置されている。しかしこの実施形態では、上方の横枝管口部11,12,13は、リブ15aを中心とした集水部の上部に位置している。したがって、このような管継手1Cを製造するための消失模型503では、第一集水模型部601に比べて第二集水模型部602の管軸方向Dの長さが長く形成されており、横孔部70a,71a,72aは第二集水模型部602の上部に形成され、これら横孔部70a,71a,72aに対応した位置に横枝管口部模型53,54,55が取付けられる。このような構成を有する消失模型503を用いて製造した管継手1Cは、建築物の配管の状態に応じて用いられる。そして、消失模型503において横孔部70a,71a,72aを変更することで、必要な位置に横枝管口部11,12,13を配置した管継手1Cを容易に製造することができる。他の構成および作用効果は上記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
図13および図14に、さらに別の実施形態を示す。図13は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図14は図13のZ1−Z1線断面図である。この実施形態における管継手1Dが図1〜図3に示した管継手1Aと異なる部分を説明する。管継手1Dでは、管軸方向Dに直交する外方に突出する膨出部40cを省略しており、流入口部4のくびれ部52aがそれより大きな寸法の集水部15に直接連続させた構成である。そして、横枝管口部11,12,13の集水部15とに、横枝管口部本体11a,12a,13aとが横枝管口部11,12,13に形成された台座部11b,12b,13bを介して接続されている。横枝管口部本体11a,12a,13aは、台座部11b,12b,13bに対して下方に偏心している。すなわち導入口25,26,27および開口28,29,30は、台座部11b,12b,13bに対して下方に偏心している。他の構成は図1〜図3に示した構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図15〜図19に、管継手1Dを製造するための消失模型80を示す。図15は消失模型の全体構成を示す正面図、図16は図15のZ2−Z2線断面図、図17は全体縦断面図、図18は分解断面図、図19は消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図である。この実施形態における消失模型504が、図4〜図8に示した消失模型501と異なる部分を説明する。消失模型504の集水模型部60は、側壁65,66,67に接続座65A,66A,67Aを有せず、したがって側壁65,66,67の外側面は平坦面に形成されている。
【0043】
側壁65,66,67に枝管模型装着孔65a,66a,67aが形成されている。横枝管口部模型53,54,55は、台座部11b,12b,13bとなる台座模型部53a,54a,55aと、枝管模型装着孔65a,66a,67aに嵌合する嵌合部70,71,72を有して横枝管口部本体11a,12a,13aとなる本体模型部53b,54b,55bとから構成されている。本体模型部53b,54b,55bは、台座模型部53a,54a,55aに対して下方に偏心した位置に配置されている。流入口部模型52は、集水模型部60の開口端部60aと同じ大きさに形成されて開口端部60aに載置される載置部52cを有する。他の構成は上記図4〜図8に示した消失模型501と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
上記構成の消失模型80で製造された管継手も、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は斜面31,32,33,34(図2参照)によって中間部17に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このため、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。さらに、消失模型504は、胴体模型51に、流入口部模型52および横枝管口部模型53,54,55を嵌合接着することで組立てられるから、従来設けていた横枝管用模型部102を接続するための接続座103を胴体模型51に形成する必要がなく、簡単な構成となる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されない。上記各実施形態では、管継手胴体2の集水部15および集水模型部60は、四角筒状の断面に形成したが、場合によっては、五角筒状あるいはそれ以上の多角筒状(例えば、八角筒状)の断面に形成することも可能である。この場合、横枝管口部11,12,13等間隔で安定して設置することができる。そして、横枝管口部(あるいは横枝管口部模型)を設ける側壁を、横枝管口部の導入口の面積(径)よりも大きな面積を有する平板状に形成することで、従来のように急激に傾斜が変わる異形の段部が内壁面20a,21a,22a,23aに存在しなくなるから、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は集水部15で内壁面20a,21a,22a,23aに沿って円滑に案内され、しかも集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とを斜面31,32,33,34によって連続させることができるから、排水や固形物等は斜面31,32,33,34によって中間部17内部に円滑に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このように、集水部15には排水時の排水の流れを阻害する部分がないから、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。
【0046】
管継手胴体2の集水部15および集水模型部60の断面を上記多角形の筒状に形成する場合、その隅部の形状として、図20,図21に示すような角丸め加工(R加工)や角カット加工(Cカット加工)とすることも可能であり、この場合も上記実施形態と同様の作用効果を奏し得る。なお、図20および図21は、管継手胴体2の集水部15および胴体模型51の集水模型部60の双方を兼用した概略図面としている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態を示す管継手の正面図。
【図2】同じく図1のX−X線断面図。
【図3】同じく管継手の全体縦断面図。
【図4】同じく消失模型の正面図。
【図5】同じく図4のY−Y線断面図。
【図6】同じく消失模型の全体縦断面図。
【図7】同じく消失模型の分解断面図。
【図8】同じく消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図。
【図9】別の実施形態の管継手を示す全体正面図。
【図10】同じく管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図。
【図11】さらに別の実施形態の管継手を示す全体正面図
【図12】同じく管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図
【図13】さらに別の実施形態の管継手を示す全体正面図
【図14】同じく図13のY−Y線断面図
【図15】同じく消失模型の全体構成を示す正面図
【図16】同じく図15のZ−Z線断面図
【図17】同じく全体縦断面図
【図18】同じく分解断面図
【図19】同じく消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図
【図20】同じく管継手胴体あるいは胴体模型の隅部の形状の一例を示す平面図。
【図21】同じく管継手胴体あるいは胴体模型の隅部の他の形状の一例を示す平面図。
【図22】従来例を示す消失模型の正面断面図。
【図23】同じく平面図。
【符号の説明】
【0048】
1…管継手、2…管継手胴体、4…流入口部、6…流出口部、11…〜13横枝管口部、15…集水部、16…排水部、17…中間部、20〜23…側壁、31〜34…斜面、50…消失模型、51…胴体模型、52…流入口部模型、53〜55…横枝管口部模型
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水集合管等の管継手および排水集合管等の管継手の鋳造に使用される管継手製造用消失模型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集合住宅等の多階層建築物の排水管系に使用される排水集合管等の管継手は、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を横枝管を介して管継手胴体内へ流入させ、下部に設けた接続口から排水立て管へ流下させるよう構成されている。このような管継手は、消失模型を用いて鋳造により製造される。図22および図23に示すように、消失模型100として、円筒状の胴体模型101の側部に、これとは別体の横枝管用模型部102を接続する接続座103を側方に突出するよう形成したものがある(例えば特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
上記のような消失模型100を用いて排水立て管用管継手を製造する場合、次のようにして行うのが一般的である。すなわち、消失模型全面を塗型剤で被覆し、乾燥固化した後に消失模型周囲を乾燥したバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型部分に金属溶湯を流し込むようにする。このようにすることで消失模型が熱分解し、金属溶湯と置換されることで消失して、代わりにこれと同じ形状の排水立て管用管継手を製造することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第2763671号公報
【特許文献2】特許第2601559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、円筒状の胴体模型101に横枝管用模型部102を一体に形成することは模型製造用金型の製作が難しく、したがって横枝管用模型部102は胴体模型101とは別体に形成して接続しなければならない。そのために胴体模型101の外周側部に、側方に突出する接続座103を形成し、この接続座103に横枝管用模型部102を嵌込んで組付けるようにしている。しかしこのようにして形成した消失模型100では、離型の都合上、図22の符号105で示す部分に相当する急激に傾斜が変わる異形の段部が内周面に形成される。したがって、このような消失模型100を用いて製造した排水立て管用管継手の内周面にも同様の段部が形成されることになる。そしてこのような内周形状を有する排水立て管用管継手を用いて排水を行うと、排水が段部に衝突して水流の乱れや跳ね返り等が発生したり、横枝管を通って排水立て管用管継手に進入する固形物等が段部に滞留して、排水立て管用管継手に詰りが発生したりし易いといった課題がある。
【0006】
そこで本発明は、水流の乱れや跳ね返り等を防止し得るとともに、固形物等の滞留を防止し得る管継手および、このような管継手を製造し得る消失模型の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管継手は、管軸方向一方側に流入口部が形成され管軸方向他方側に流出口部が形成された筒状の管継手胴体の側壁のうち、横枝管口部を設ける側壁部分に相当する胴体内壁面を、平面状に形成したことを特徴としている。
【0008】
上記構成のように、横枝管口部を設ける側壁部分の胴体内壁面を平面状に形成することで、当該胴体内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることができる。このため、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになり、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。また、排水等は傾斜面で案内されることにより水流の乱れを効果的に抑制することになるから、排水性を向上させることができる。なお、平面状とは、その面に急激に傾斜が変わる段部のような部分を有しない面を意味する。
【0009】
特に、管継手胴体を、角筒状に形成することにより、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、管継手の使用条件に伴う汎用性を向上させることができ、この場合も、側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることができ、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになり、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。
【0010】
特に、管継手胴体の断面形状は、略四角形または略八角形に形成することが好ましい。この場合も、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、管継手の使用条件に伴う汎用性を向上させることができ、かつ側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続させることで、流入口部や横枝管口部から流入した排水等は障害なく流出口部側に案内されることになる。したがって、管継手使用時の水流の乱れや跳ね返り、かつ固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となる。特に、管継手胴体の断面形状を、略四角形または略八角形に形成することにより、管継手胴体の側壁に横枝管口部を、90°あるいは45°置きに等間隔で安定して設置することができる。
【0011】
本発明の管継手は、同一形状の消失模型を用いて製造される。特に、管継手の鋳造時には、金属溶湯によって消失模型が熱分解して金属溶湯と置換されるから、この消失模型と同一形状の管継手を容易に製造することができる。
【0012】
本発明は、管軸方向一方側に流入口が形成され管軸方向他方側に流出口が形成された管継手の製造用消失模型であって、管継手胴体形成用の胴体模型部の側壁のうち、横枝管口部形成用の管口模型部が接続される側壁部分に相当する胴体模型部内壁面を、平面状に形成したことを特徴としている。
【0013】
このような消失模型を用いて管継手を製造するには、次のようにして行う。すなわち、消失模型周囲をバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型部分に金属溶湯を流し込むようにすることで、消失模型が熱分解して金属溶湯と置換され、同じ形状の管継手を容易に製造することができる。上記構成のように、横枝管口部形成用の管口模型部を接続する側壁部分を平面状に形成した消失模型によれば、側壁の内壁面と流出口部の内壁面とを段部のない連続面で連続した管継手を製造することができる。
【0014】
特に、胴体模型部を角筒状に形成すれば、消失模型によって製造された管継手の管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、汎用性に優れた管継手を製造することができる。
【0015】
特に、胴体模型部の断面形状が略四角形または略八角形に形成されることが好ましい。このような消失模型を用いて管継手を製造すれば、管継手胴体の側壁に横枝管口部を設ける領域部分を複数箇所設けることができ、汎用性に優れた管継手を製造することができる。
【0016】
特に、流入口部模型が胴体模型部に別体として設けることにより、模型製造用金型の設計が簡素化できるので好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の管継手によれば、使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能となり、本発明の消失模型により、使用時の水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留を効果的に防止することが可能な管継手を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る管継手を、図面に基づいて説明する。この管継手は、集合住宅等の多層階建築物の排水設備に使用される集合排水管である。図1は管継手の正面図、図2は図1のX−X線断面図、図3は管継手の全体縦断面図である。
【0019】
これらの図に示すように、管継手1Aは管継手胴体2と、この管継手胴体2の管軸方向Dの一方側(上側)に形成されて、不図示の家屋に敷設する上側立て管3を接続するための流入口部4と、管軸方向Dの他方側(下側)に形成されて下側立て管5を接続するための流出口部6と、管継手胴体2に設けられて、不図示の家屋に敷設する横枝管10を接続するための横枝管口部11,12,13を有する。
【0020】
管継手胴体2は、上部の集水部15と、下部の排水部16と、集水部15と排水部16とを連続する中間部17とから形成されている。集水部15は、断面略四角形状の角筒状に形成されている。具体的に集水部15は、管軸方向Dに沿って略同一の断面に形成されている。管継手胴体2の集水部15の四方の側壁20,21,22,23は矩形(略正方形)に形成され、四方の側壁20,21,22,23のうち、三方の側壁20,21,22に、管軸方向Dに直交する方向に前記横枝管口部11,12,13が一体的に形成されている。すなわち、三方の側壁20,21,22は横枝管口部11,12,13の形成領域となっており、三方の側壁20,21,22それぞれは、横枝管口部11,12,13より大きな面積(径)を有する。
【0021】
三方の側壁20,21,22それぞれの中心に、円形の開口28,29,30が形成されている。集水部15は四角筒状であるから、開口28,29,30は、管軸方向Dに直交する方向に、90°間隔で配置されている。四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに平行に沿う平面であり、開口28,29,30の周壁面以外には急激に傾斜が変化するような段部を有しない平板状(平面状)に形成されている。開口28,29,30は、横枝管口部11,12,13の導入口25,26,27に連通するよう、導入口25,26,27に同心に形成されている。なお、導入口25,26,27は途中で異径の断面となる。すなわち、管継手胴体2外方側の大径口部25a,26a,27aと、管継手胴体2内方側の小径口部25b,26b,27bによって形成されている。
【0022】
集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続している。集水部15の上端部に、流入口部4の導入口40に連通する円形の開口41が形成されている。導入口40は、管継手胴体2外方側の大径口部40aと、管継手胴体2内方側の小径口部40bによって形成されている。流入口部4の管継手胴体2側に、くびれ部52aが形成されている。このくびれ部52aのさらに管継手胴体2側で、流入口部4と管継手胴体2との連結部外周面に、管軸方向Dに直交する外方に突出する膨出部40cが形成されている。中間部17は、その側壁35が下方ほど小径になるよう順次縮径された円錐台筒状に形成され、その内壁面17aも円錐台面に形成されている。排水部16は、管軸方向Dに沿って同一断面の円筒状に形成されている。流出口部6は、排水部16に比べて大径断面に形成されている。図中の符号43は、管継手胴体2の中間部17に管軸に対して傾斜させて設けた整流羽根である。
【0023】
上記構成の管継手1Aは、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を上側立て管3、横枝管10を介して管継手胴体2内へ流入させ、下部に設けた流出口部6から下側立て管5へ流下させるよう建築物に設置される。ところで、上記のように、管継手胴体2の四方の側壁20,21,22,23は矩形の平板状に形成され、四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに沿う平面に形成され、集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34によって連続している。
【0024】
このように、集水部15の側壁20,21,22,23を平板状に形成してその内壁面20a,21a,22a,23aを平面に形成したから、横枝管口部11,12,13を管軸方向Dに直交する方向に形成したとしても、従来のように急激に傾斜が変わる異形の段部が内壁面20a,21a,22a,23aに存在せず、集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とを斜面31,32,33,34によって連続させることができる。したがって、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は集水部15で内壁面20a,21a,22a,23a、斜面31,32,33,34によって中間部17内部に円滑に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このように、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がないことから、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。
【0025】
次に、図4〜図8に基づいて、管継手1Aを製造するための消失模型501を説明する。図4は消失模型の正面図、図5は図4のY−Y線断面図、図6は消失模型の全体縦断面図、図7は消失模型の分解断面図、図8は消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図である。なお、図7,図8では、整流羽根43を形成するための模型部分を省略して表している。この消失模型501は、弾性を有する発泡性合成樹脂成形体から成る。この発泡性合成樹脂成形体は、発泡性の熱可塑性樹脂粒子(以下、樹脂粒子と称する)からなっており、上記樹脂粒子は、耐熱温度が低く、溶融金属の熱により容易に消失(分解)可能なことや、消失時に発生する分解ガス等が溶融金属に悪影響を及ぼさないこと等の性質が必要である。例えばポリメチルメタクリレート樹脂等のポリメタクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂等からなる粒子、あるいはこれら合成樹脂の混合物やモノマーの共重合体からなる粒子に発泡剤を含浸させ、所定倍率に予備発泡させたものが用いられる。そして、これら樹脂粒子は、例えば水蒸気による加熱で発泡させて所定形状の発泡性合成樹脂成形体とすることができる。
【0026】
なお、上記の発泡剤としては、沸点が熱可塑性樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適しており、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの炭化水素、ジクロロフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物等が用いられる。これらの発泡剤は、一種類のみを使用してもよいし、また二種類以上併用してもよい。さらに、予備発泡の発泡倍率は、例えば樹脂粒子の材質等に応じた最適の倍率とすればよい。
【0027】
これらの図に示すように、消失模型501は、管継手胴体2を形成するための胴体模型51と、流入口部4を形成するための筒状の流入口部模型52と、横枝管口部11,12,13を形成するための筒状の横枝管口部模型53,54,55とから構成される。胴体模型51は、管継手胴体2と同様に筒状に形成されている。胴体模型51は、集水部15を形成するための集水模型部60と、中間部17を形成するための中間部17と同一形状の中間模型部61と、排水部16を形成するための排水部16と同一形状の排水模型部62とから一体に形成されている。集水模型部60は、四方の側壁65,66,67,68を有して断面略四角形状の角筒状に形成されている。四方の側壁65,66,67,68のうち、三方の側壁65,66,67の中心に、円形の枝管模型装着孔65a,66a,67aが形成されている。
【0028】
枝管模型装着孔65a,66a,67aの外周部に、管軸方向Dに直交する外方に突出する環状の接続座65A,66A,67Aがそれぞれ形成されている。そして、接続座65A,66A,67Aそれぞれの端部座面65c,66c,67cに横枝管口部模型53,54,55の小径の嵌合部70,71,72の段付き面70c,71c,72cがそれぞれ着座するよう、嵌合部70,71,72が枝管模型装着孔65a,66a,67aに嵌合して接着されている。なお、横枝管口部模型53,54,55の構成および形状はそれぞれ同一であるので、嵌合部70,71,72の段付き面71c,72cの符号については図7をもって代用するものとする。嵌合部70,71,72の中心に、管継手1Aの開口28,29,30となる横孔部70a,71a,72aが形成されている。横枝管口部模型53,54,55の中心に、横枝管口部11,12,13の大径口部25a,26a,27a、小径口部25b,26b,27bとなる孔部53A,54A,55Aが形成されている。
【0029】
集水模型部60の上部は解放されて、流入口部模型装着孔75が形成されている。この流入口部模型装着孔75は、流入口部模型52の嵌合部76が嵌合接着される孔である。嵌合部76の中心に開口41となるとなる立孔部76aが形成されている。また、流入口部模型52の中心には、大径口部40a、小径口部40bとなる孔部52Aが形成されている。流入口部模型52の集水模型部60側にくびれ部52aとなる縮径部52bが形成されている。この縮径部52bのさらに集水模型部60側で、集水模型部60の開口端部60aに嵌合する溝部60bを有して管軸方向Dに直交する外方に突出するとともに、膨出部40cとなる膨出模型部60cが形成されている。
【0030】
この消失模型501は、集水模型部60の四方の側壁65,66,67,68を矩形に形成し、内壁面65b,66b,67b,68bを平面に形成している。特に側壁65,66,67の内壁面65b,66b,67bを平面に形成した構成としているため、側壁65,66,67に管軸方向Dに直交する方向に接続座65A,66A,67Aを形成したとしても、従来の消失模型のように、集水模型部60の内周面に急激に傾斜が変化する異形な段部が形成されない形状となっている。また、集水模型部60の内周下部四隅部と中間模型部61の上部とは段部のない滑らかな斜面31,32,33,34(図2と符号兼用)によって連続させることができる。
【0031】
発泡性合成樹脂成形体であるこれら胴体模型51、流入口部模型52、および横枝管口部模型53,54,55の成型方法は、それぞれ次の通りである。まず、樹脂粒子を成型用金型のキャビティに充填する。次に、この金型を水蒸気加熱等により加熱し、所定温度とする。そして、この金型の温度を所定温度に保ち、樹脂粒子を充分に加熱・発泡させて互いに融着させた後、金型を冷却し、金型の型開きを行って発泡性合成樹脂成形体を取出す。
【0032】
上記構成の消失模型501は、胴体模型51の接続座65A,66A,67Aそれぞれに横枝管口部模型53,54,55を接続し、集水模型部60の開口端部60aに流入口部模型52を接続することで組立てられる。この場合、接続座65A,66A,67Aそれぞれに、これら接続座65A,66A,67Aの端部座面65c,66c,67cに横枝管口部模型53,54,55の嵌合部70,71,72の段付き面70c,71c,72cそれぞれが当接するよう、横枝管口部模型53,54,55を接続座65A,66A,67Aに嵌合する。また、集水模型部60の開口端部60aに、溝部60bが嵌合するように、流入口部模型52を集水模型部60に組付けるようにして消失模型501を組立てる。そして、集水模型部60に側方に突出する接続座65A,66A,67Aを形成しているから、これら接続座65A,66A,67Aが補強部材の機能を有ることになる。したがって、側壁65,66,67に枝管模型装着孔65a,66a,67aを形成する分だけ低下する剛性を補うことができ、横枝管口部模型53,54,55を集水模型部60に組付ける場合にその破損を防止することができ、さらに、横枝管口部模型53,54,55を集水模型部60に確実に組付けることができる。また流入口部模型52は、集水模型部60の開口端部60aに溝部60bが嵌合するようにして組付けられるから、流入口部模型52を集水模型部60の開口端部60aに確実に組付けることができる。
【0033】
さらに、従来では集水模型部は円筒状で、これに流入口部模型を嵌合していたから、集水模型部に対する流入口部模型の回り止めが特別に必要になる場合があった。しかし、本発明の実施形態の消失模型501では、集水模型部60を四角筒状に形成してこれに流入口部模型52を嵌合することにより、互いの隅部が周方向で係止するから、特別に流入口部模型52の回り止めを設ける必要がないといった、構造の簡素化を達成できる。
【0034】
上記構成の消失模型501を用いて管継手1Aを製造するには、消失模型501全面を塗型剤で被覆し、乾燥固化した後に消失模型501周囲を乾燥したバラ砂で固めて鋳型を形成し、消失模型501部分に金属溶湯を流し込む。このようにすることにより、金属溶湯によって消失模型501が熱分解して金属溶湯と置換されるように消失するから、消失模型501の代わりにこれと同じ形状の管継手1Aを容易に製造することができる。すなわち、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がなく、排水時の排水の流れを阻害せず、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる管継手1Aを容易に製造することができる。
【0035】
さらに、側壁65,66,67の内壁面65b,66b,67bを平面に形成したことにより簡素な形状の内壁面65b,66b,67bとなっているから、鋳造時の砂詰まりの発生を効果的に抑制することができ、したがって鋳造性が良好となる。また、消失模型501は、その製造にあたり、特に側壁65,66,67,68の内壁面65b,66b,67b,68bを平面に形成したことにより簡素な形状の内壁面65b,66b,67b,68bとなっているから、前記金型の離型性が向上する。
【0036】
図9および図10に別の実施形態を示す。図9は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図10は当該管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図を示す。図9に示す管継手1Bにおいて、図1〜図3に示す実施形態と異なる部分を説明する。図9の管継手1Bでは、管継手胴体2の集水部15の四方の側壁20,21,22,23が矩形(縦長の略長方形)に形成されることで、上記実施形態に比べて集水部15が管軸方向Dに長く形成されている。これにより、四方の側壁20,21,22,23のうち、三方の側壁20,21,22に、管軸方向Dに直交する方向に横枝管口部11,12,13が上下一対で一体的に形成されている。集水部15の管軸方向D中心外周部に、管軸方向Dに直交する方向で外方に突出するリブ15aが形成されている。横枝管口部11,12,13は、集水部15においてリブ15aを中心とした上下部分の管軸方向D中心位置に配置されている。
【0037】
四方の側壁20,21,22,23の内壁面20a,21a,22a,23aは、管軸方向Dに沿う平面であり、開口28,29,30の周壁面以外には急激に傾斜が変化するような異形な段部を有しない平板状(平面状)に形成されている。他の構成は上記図1〜図3に示した実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。このような管継手1Bは、建築物の各階ごとに、汚水や雑排水を上側立て管3、複数(この場合、二本)の横枝管10を介して管継手胴体2内へ流入させ、下部に設けた排水部16から下側立て管5へ流下させるよう建築物に設置される。そして、この実施形態の管継手1Bでも、集水部15の内周面に急激に傾斜が変わる段部がないことから、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。また、側壁20,21,22,23が長方形に形成されることで集水部15の剛性が低下する分は、リブ15aを設けることによって補うことができる。他の作用効果は図1〜図3に示した実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0038】
次に、図10に基づいて、管継手1Bを製造するための消失模型502を、図4〜図8と異なる部分について説明する。集水模型部60は中間模型部61と一体の第一集水模型部601と、この第一集水模型部601の開口端部601aに嵌込まれる第二集水模型部602とから構成される。第一集水模型部601の第二集水模型部602側には、開口端部601aに嵌込まれて前記リブ15aとなる膨出部602aが形成され、膨出部602aの内方側に、第一集水模型部601の開口端部601aに嵌合する溝602bが形成されている。流入口部模型52は、第二集水模型部602に組込まれる。第一集水模型部601、第二集水模型部602に形成された枝管模型装着孔65a,66a,67aにそれぞれ組込まれる横枝管口部模型53,54,55が設けられている。また、第一集水模型部601、第二集水模型部602それぞれの枝管模型装着孔65a,66a,67aの外周部に接続座65A,66A,67Aが形成されている。他の構成は、図4〜図8に示した実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図10の消失模型502を用いて管継手1Bを製造する場合、金属溶湯によって消失模型502を熱分解して金属溶湯と置換され、消失模型502の代わりにこれと同じ形状の管継手1Aを容易に製造することができる。この場合、特に、第一集水模型部601と第二集水模型部602とは別体であるが、金属溶湯によって両者が熱分解すると、第二集水模型部602の膨出部602aと第一集水模型部601の開口端部601aとが一体になり、長方形の側壁20,21,22,23を有する集水部15が形成される。このように、集水部15を製造するための模型部を、別体の第一集水模型部601と第二集水模型部602とから形成し、第一集水模型部601に、リブ15aとなる膨出部602aを形成しておくことで、管軸方向Dに長尺の集水部15を容易に製造することができるとともに、膨出部602aがリブ15aとなって、必要な強度を確保し得る管継手1Bを容易に製造することができる。他の作用効果は上記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0040】
図11および図12に、さらに別の実施形態を示す。図11は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図12は当該管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図を示す。これらの図に示す管継手1C、消失模型503が図9の管継手1B、図10の消失模型502と異なる部分を説明する。図9の管継手1Bでは、横枝管口部11,12,13は、集水部15においてリブ15aを中心とした上下部分の管軸方向D中心位置に配置されている。しかしこの実施形態では、上方の横枝管口部11,12,13は、リブ15aを中心とした集水部の上部に位置している。したがって、このような管継手1Cを製造するための消失模型503では、第一集水模型部601に比べて第二集水模型部602の管軸方向Dの長さが長く形成されており、横孔部70a,71a,72aは第二集水模型部602の上部に形成され、これら横孔部70a,71a,72aに対応した位置に横枝管口部模型53,54,55が取付けられる。このような構成を有する消失模型503を用いて製造した管継手1Cは、建築物の配管の状態に応じて用いられる。そして、消失模型503において横孔部70a,71a,72aを変更することで、必要な位置に横枝管口部11,12,13を配置した管継手1Cを容易に製造することができる。他の構成および作用効果は上記実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
図13および図14に、さらに別の実施形態を示す。図13は別の実施形態の管継手を示す全体正面図、図14は図13のZ1−Z1線断面図である。この実施形態における管継手1Dが図1〜図3に示した管継手1Aと異なる部分を説明する。管継手1Dでは、管軸方向Dに直交する外方に突出する膨出部40cを省略しており、流入口部4のくびれ部52aがそれより大きな寸法の集水部15に直接連続させた構成である。そして、横枝管口部11,12,13の集水部15とに、横枝管口部本体11a,12a,13aとが横枝管口部11,12,13に形成された台座部11b,12b,13bを介して接続されている。横枝管口部本体11a,12a,13aは、台座部11b,12b,13bに対して下方に偏心している。すなわち導入口25,26,27および開口28,29,30は、台座部11b,12b,13bに対して下方に偏心している。他の構成は図1〜図3に示した構成と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図15〜図19に、管継手1Dを製造するための消失模型80を示す。図15は消失模型の全体構成を示す正面図、図16は図15のZ2−Z2線断面図、図17は全体縦断面図、図18は分解断面図、図19は消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図である。この実施形態における消失模型504が、図4〜図8に示した消失模型501と異なる部分を説明する。消失模型504の集水模型部60は、側壁65,66,67に接続座65A,66A,67Aを有せず、したがって側壁65,66,67の外側面は平坦面に形成されている。
【0043】
側壁65,66,67に枝管模型装着孔65a,66a,67aが形成されている。横枝管口部模型53,54,55は、台座部11b,12b,13bとなる台座模型部53a,54a,55aと、枝管模型装着孔65a,66a,67aに嵌合する嵌合部70,71,72を有して横枝管口部本体11a,12a,13aとなる本体模型部53b,54b,55bとから構成されている。本体模型部53b,54b,55bは、台座模型部53a,54a,55aに対して下方に偏心した位置に配置されている。流入口部模型52は、集水模型部60の開口端部60aと同じ大きさに形成されて開口端部60aに載置される載置部52cを有する。他の構成は上記図4〜図8に示した消失模型501と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
上記構成の消失模型80で製造された管継手も、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は斜面31,32,33,34(図2参照)によって中間部17に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このため、排水時の排水の流れを阻害する部分がなく、水流の乱れや跳ね返り、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。さらに、消失模型504は、胴体模型51に、流入口部模型52および横枝管口部模型53,54,55を嵌合接着することで組立てられるから、従来設けていた横枝管用模型部102を接続するための接続座103を胴体模型51に形成する必要がなく、簡単な構成となる。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定されない。上記各実施形態では、管継手胴体2の集水部15および集水模型部60は、四角筒状の断面に形成したが、場合によっては、五角筒状あるいはそれ以上の多角筒状(例えば、八角筒状)の断面に形成することも可能である。この場合、横枝管口部11,12,13等間隔で安定して設置することができる。そして、横枝管口部(あるいは横枝管口部模型)を設ける側壁を、横枝管口部の導入口の面積(径)よりも大きな面積を有する平板状に形成することで、従来のように急激に傾斜が変わる異形の段部が内壁面20a,21a,22a,23aに存在しなくなるから、上側立て管3、横枝管10から集水部15に排水が流入したとき、排水や固形物等は集水部15で内壁面20a,21a,22a,23aに沿って円滑に案内され、しかも集水部15の内周下部四隅部と中間部17の上部とを斜面31,32,33,34によって連続させることができるから、排水や固形物等は斜面31,32,33,34によって中間部17内部に円滑に案内され、下部の排水部16から、下側立て管5へ流下されることになる。このように、集水部15には排水時の排水の流れを阻害する部分がないから、排水の流れの乱れや跳ね返りの発生、固形物等の滞留の発生を効果的に抑制することができる。
【0046】
管継手胴体2の集水部15および集水模型部60の断面を上記多角形の筒状に形成する場合、その隅部の形状として、図20,図21に示すような角丸め加工(R加工)や角カット加工(Cカット加工)とすることも可能であり、この場合も上記実施形態と同様の作用効果を奏し得る。なお、図20および図21は、管継手胴体2の集水部15および胴体模型51の集水模型部60の双方を兼用した概略図面としている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態を示す管継手の正面図。
【図2】同じく図1のX−X線断面図。
【図3】同じく管継手の全体縦断面図。
【図4】同じく消失模型の正面図。
【図5】同じく図4のY−Y線断面図。
【図6】同じく消失模型の全体縦断面図。
【図7】同じく消失模型の分解断面図。
【図8】同じく消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図。
【図9】別の実施形態の管継手を示す全体正面図。
【図10】同じく管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図。
【図11】さらに別の実施形態の管継手を示す全体正面図
【図12】同じく管継手を製造するための消失模型の全体縦断面図
【図13】さらに別の実施形態の管継手を示す全体正面図
【図14】同じく図13のY−Y線断面図
【図15】同じく消失模型の全体構成を示す正面図
【図16】同じく図15のZ−Z線断面図
【図17】同じく全体縦断面図
【図18】同じく分解断面図
【図19】同じく消失模型のうち胴体模型を対角線方向で切断した断面図
【図20】同じく管継手胴体あるいは胴体模型の隅部の形状の一例を示す平面図。
【図21】同じく管継手胴体あるいは胴体模型の隅部の他の形状の一例を示す平面図。
【図22】従来例を示す消失模型の正面断面図。
【図23】同じく平面図。
【符号の説明】
【0048】
1…管継手、2…管継手胴体、4…流入口部、6…流出口部、11…〜13横枝管口部、15…集水部、16…排水部、17…中間部、20〜23…側壁、31〜34…斜面、50…消失模型、51…胴体模型、52…流入口部模型、53〜55…横枝管口部模型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管軸方向一方側に流入口部が形成され管軸方向他方側に流出口部が形成された筒状の管継手胴体の側壁のうち、横枝管口部を設ける側壁部分に相当する胴体内壁面を、平面状に形成したことを特徴とする管継手。
【請求項2】
管継手胴体の集水部が角筒状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
管継手胴体の角筒状に形成された集水部の断面形状が、略四角形または略八角形に形成されたことを特徴とする請求項2記載の管継手。
【請求項4】
同一形状の消失模型を用いて製造されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の管継手。
【請求項5】
管軸方向一方側に流入口が形成され管軸方向他方側に流出口が形成された管継手の製造用消失模型であって、管継手胴体形成用の胴体模型部の側壁のうち、横枝管口部形成用の管口模型部が接続される側壁部分に相当する胴体模型部内壁面を、平面状に形成したことを特徴とする管継手製造用消失模型。
【請求項6】
胴体模型部が角筒状に形成されたことを特徴とする請求項5記載の管継手製造用消失模型。
【請求項7】
胴体模型部の断面形状が略四角形または略八角形に形成されたことを特徴とする請求項6記載の管継手製造用消失模型。
【請求項8】
流入口部模型が胴体模型部に別体に設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れかに記載の管継手製造用消失模型。
【請求項1】
管軸方向一方側に流入口部が形成され管軸方向他方側に流出口部が形成された筒状の管継手胴体の側壁のうち、横枝管口部を設ける側壁部分に相当する胴体内壁面を、平面状に形成したことを特徴とする管継手。
【請求項2】
管継手胴体の集水部が角筒状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
管継手胴体の角筒状に形成された集水部の断面形状が、略四角形または略八角形に形成されたことを特徴とする請求項2記載の管継手。
【請求項4】
同一形状の消失模型を用いて製造されたことを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の管継手。
【請求項5】
管軸方向一方側に流入口が形成され管軸方向他方側に流出口が形成された管継手の製造用消失模型であって、管継手胴体形成用の胴体模型部の側壁のうち、横枝管口部形成用の管口模型部が接続される側壁部分に相当する胴体模型部内壁面を、平面状に形成したことを特徴とする管継手製造用消失模型。
【請求項6】
胴体模型部が角筒状に形成されたことを特徴とする請求項5記載の管継手製造用消失模型。
【請求項7】
胴体模型部の断面形状が略四角形または略八角形に形成されたことを特徴とする請求項6記載の管継手製造用消失模型。
【請求項8】
流入口部模型が胴体模型部に別体に設けられていることを特徴とする請求項5ないし請求項7の何れかに記載の管継手製造用消失模型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−52570(P2006−52570A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234311(P2004−234311)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(000187194)昭和電工建材株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(000187194)昭和電工建材株式会社 (36)
【Fターム(参考)】
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