説明

管継手方法及び管継手構造

【課題】 挿口管部の補強用被覆層のうち、先端から押輪装着領域を越えた広い範囲を剥離して、施工現場での作業性の向上を図る場合でも、圧力や衝撃力等に起因する変形や損傷を効果的に抑制することができ、しかも、このための構成を利用して両管部の離脱阻止機能の向上を図る。
【解決手段】 外周面側に補強用被覆層2を備えた合成樹脂製の挿口管部3を受口管部1に挿入接続する前に、挿口管部3の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層2を剥離するとともに、押輪装着領域に続く表層側の一部が剥離された残存被覆層に装着される補強挾持輪7を挾持状態で固定し、押輪4の固定連結後に、補強挾持輪7と受口管部1との間に設けた固定具8により、補強挾持輪7を受口管部1に対して離間移動不能に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受口管部に対して外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部を離脱阻止機能を付与した状態で接続する管継手方法及びそれに用いられる管継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製の挿口管部の一例であるポリエチレン管は、軽量で耐食性、耐震性に優れた特性を有するため、上下水道管やガス管等として広い分野で使用されているが、外圧や内圧に対する機械的強度が弱いため、これを補うべく、従来では、例えば、ポリエチレン管の外周面に、布テープ等を巻回して形成されるクッションテープ層と、このクッションテープ層の外周面に沿ってステンレス鋼等の金属帯(鋼帯)を巻回して形成される金属帯層(鋼帯層)と、この金属帯層の外面に沿って布テープ等を巻回して形成される押えテープ層と、この押えテープ層の外面側を円筒状に被覆する軟質合成樹脂製の保護層とからなる補強用被覆層を形成するなど、挿口管部の外周面に、少なくとも金属帯層と軟質合成樹脂製の保護層を備えた補強用被覆層が形成されている。
【0003】
そして、従来の管継手方法では、受口管部に、外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部を挿入接続し、この挿口管部に、これの外周面に喰込み可能な抜止め部材及び両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段を備えた分割構造の押輪を外装するとともに、押輪と受口管部の端部との間に架設した固定具の一例であるボルト・ナットの締付け操作により、押輪と受口管部の端部とを管軸芯方向から固定連結していた(特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】特公平6−10513号公報
【特許文献2】特公平6−10512号公報
【特許文献3】特許第3479354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の管継手方法では、地震や不同沈下等に起因して接続された両管部に離脱方向の外力が作用したとき、押輪に装備されている喰込み誘導手段による喰込み移動案内作用により、抜止め部材が両管部の相対離脱移動に連れて径方向内方側に喰込み移動するが、抜止め部材が最初に食い込むのは、挿口管部の外周面側に形成された補強用被覆層であり、特に、ステンレス鋼等の金属帯(鋼帯)を巻回して形成される金属帯層が存在する場合では、この金属帯層が喰込み阻止部材として機能するため、抜止め部材の喰込み代が浅くなり、しかも、挿口管部の外周面と補強用被覆層との間で層間剥離が生じることがあるため、両管部の離脱阻止機能が低下する不都合がある。
このような離脱阻止機能の低下を抑制する方法として、挿口管部を受口管部に挿入接続する前に、挿口管部の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層を剥離除去し、押輪に装備される抜止め部材を、両管部の相対離脱移動の初期において挿口管部の裸管部分の外周面に食い込ませることが考えられるが、これによる場合は、両管部の離脱阻止機能を高めることができるものの、施工現場での作業性を考慮すると、挿口管部の補強用被覆層の剥離領域が押輪装着領域を越えた広い範囲に及ぶため、挿口管部の押輪装着領域に続く裸管部分又は補強用被覆層の表層側の一部が剥離された残存被覆層が押輪から露出することになり、この機械的強度が弱い裸管部分又は残存被覆層の管部分に圧力や衝撃力等が作用したときに変形や損傷を招来する可能性がある。しかも、補強用被覆層の剥離端縁が他物と接触又は衝突して剥離が進行すると、前述の圧力や衝撃力等に起因する変形や損傷をより招来し易くなる。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、挿口管部の補強用被覆層のうち、先端から押輪装着領域を越えた広い範囲を剥離して、施工現場での作業性の向上を図る場合でも、圧力や衝撃力等に起因する変形や損傷を効果的に抑制することができ、しかも、このための構成を利用して両管部の離脱阻止機能の向上を図ることのできる管継手方法及び管継手構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、受口管部に、外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部を挿入接続し、この挿口管部の外周面に喰込み可能な抜止め部材及び両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段を備えた押輪を挿口管部に外装し、押輪を受口管部の端部に固定連結する管継手方法であって、
前記挿口管部を受口管部に挿入接続する前に、少なくとも挿口管部の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層を剥離するとともに、押輪装着領域に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に装着される補強挾持輪を挾持状態で固定し、押輪の固定連結後に、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に設けた固定具により、補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定する点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、挿口管部の補強用被覆層のうち、少なくとも挿口管部の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層を予め剥離してあるので、受口管部に挿口管部を挿入接続し、かつ、挿口管部に外装された押輪を受口管部の端部に固定連結した状態では、押輪に装備された抜止め部材が挿口管部の裸管部分に対応することになり、両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材が挿口管部の裸管部分に強力に食い込むことになる。
【0009】
しかも、挿口管部の補強用被覆層を剥離する際、挿口管部の先端からの剥離領域が押輪装着領域を越えた広い範囲に及ぶ場合でも、その押輪装着領域に続く裸管部分又は補強用被覆層の表層側の一部が剥離された残存被覆層に補強挾持輪を挾持状態で固定することにより、特に、押輪から突出する機械的強度の弱い裸管部分又は残存被覆層の管部分を補強することができるとともに、補強用被覆層の剥離端縁が他物と接触又は衝突して剥離が進行することを防止することができる。
【0010】
更に、押輪の固定連結後に、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に設けた固定具により、挿口管部に挾持固定されている補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定するので、この補強挾持輪と固定具とが、嵌合接続された両管部の離脱防止機構として機能することになる。
【0011】
従って、挿口管部の補強用被覆層のうち、先端から押輪装着領域を越えた広い範囲を剥離して、施工現場での作業性の向上を図る場合でも、圧力や衝撃力等に起因する変形や損傷を効果的に抑制することができるとともに、そのための補強挾持輪と固定具とを利用して両管部の離脱防止機能を良好に向上することができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記挿口管部の先端から設定剥離境界線までの範囲に存在する補強用被覆層を剥離するとき、その剥離境界線近くの残存側の補強用被覆層を押えバンドで挾持する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、押輪装着領域に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に対して補強挾持輪を挾持状態で固定するまでの間において、補強用被覆層の剥離端縁が他物と接触又は衝突しても、補強用被覆層の剥離端縁が剥離進行することを押えバンドで阻止することができるから、補強用被覆層の剥離端縁が剥離進行することに起因する挿口管部の変形や損傷等を防止することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記補強用被覆層に、挿口管部に螺旋状に巻回される金属帯から構成されている金属帯層とそれの外面側を被覆する軟質合成樹脂製の保護層とが備えられているとともに、前記残存被覆層が金属帯層である点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、挿口管部の先端からの剥離領域が押輪装着領域を越えた広い範囲に及ぶ場合、その押輪装着領域に続く補強用被覆層の表層側の一部が剥離された残存被覆層に分割構造の補強挾持輪を挾持状態で固定するのであるが、このとき、前記残存被覆層が、挿口管部に螺旋状に巻回される金属帯から構成されている金属帯層であるため、押輪から突出する管部分を、金属帯層自体でも補強することができるから、合成樹脂製の挿口管部の機械的強度を向上することができる。
【0016】
本発明による第4の特徴構成は、受口管部に、外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分を挿入接続し、この挿口管部の裸管部分に外装した状態で受口管部の端部に固定連結される押輪又は受口管部に、挿口管部の裸管部分の外周面に喰込み可能な抜止め部材と、両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段とを設けるとともに、挿口管部の裸管部分に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に、分割構造の補強挾持輪を径方向外方側から挾持状態で固定するとともに、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に亘って、補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定する固定具を設けた点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、挿口管部の補強用被覆層のうち、挿口管部の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層を予め剥離してある裸管部分を受口管部に挿入接続するので、この挿口管部の裸管部分に外装した状態で受口管部の端部に固定連結される押輪又は受口管部に装備される抜止め部材が挿口管部の裸管部分に対応することになり、両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材が挿口管部の裸管部分に強力に食い込むことになる。
【0018】
しかも、挿口管部の補強用被覆層を剥離する際、挿口管部の先端からの剥離領域が押輪装着領域を越えた広い範囲に及ぶ場合でも、その押輪装着領域に続く裸管部分又は補強用被覆層の表層側の一部が剥離された残存被覆層に補強挾持輪を挾持状態で固定することにより、押輪から突出する機械的強度の弱い裸管部分又は残存被覆層に対応する管部分を補強することができるとともに、補強用被覆層の剥離端縁が他物と接触又は衝突して剥離が進行することを防止することができる。
【0019】
更に、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に設けた固定具により、挿口管部に挾持固定されている補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定するので、この補強挾持輪と固定具とが、嵌合接続された両管部の離脱防止機構として機能することになる。
【0020】
従って、挿口管部の補強用被覆層のうち、先端から押輪装着領域を越えた広い範囲を剥離して、施工現場での作業性の向上を図る場合でも、圧力や衝撃力等に起因する変形や損傷を効果的に抑制することができるとともに、そのための補強挾持輪と固定具とを利用して両管部の離脱防止機能を良好に向上することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記固定具が、受口管部の外周面に少なくとも受口側への移動を阻止した状態で外嵌装着される分割構造の支持輪と前記補強挾持輪との間に架設されている点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、挿口管部が受口管部に嵌合接続されている場合でも、受口管部に対して分割構造の支持輪を簡単に外嵌装着することができ、しかも、この外嵌装着状態では、受口管部の外周面に対して受口管部の受口側への移動が阻止されているから、両管部の離脱移動力を、挿口管部に挾持固定されている補強挾持輪と固定具及び支持輪を介して受口管部に伝えることができるから、両管部の離脱防止機能を良好に向上することができる。
【0023】
本発明による第6の特徴構成は、前記固定具が、受口管部の他方側に嵌合接続された外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の他の挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に径方向外方側から挾持状態で固定された他の補強挾持輪と前記一方の挿口管部に挾持状態で固定されている補強挾持輪との間に架設されている点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、受口管部の一方側受口及び他方側受口に夫々、補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分を嵌合接続して、押輪又は受口管部に装備される抜止め部材を両管部の相対離脱移動に連れて各挿口管部の裸管部分に強力に食い込ませるとともに、各挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に補強挾持輪を挾持状態で固定することにより、機械的強度の弱い裸管部分又は残存被覆層に対応する管部分を補強することができるとともに、補強用被覆層の剥離端縁が他物と接触又は衝突して剥離が進行することを防止することができる。
【0025】
更に、各挿口管部に挾持状態で固定された両補強挾持輪間に設けた固定具により、両補強挾持輪が受口管部に対して離間移動不能に固定されているので、一方の挿口管部と受口管部との離脱移動力を、他方の挿口管部と受口管部との嵌合接続力が強くなる方向で伝えることができ、両管部の離脱防止機能を良好に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
図1〜図15は、流体配管系統の一例である水道配管系統に用いられる管継手構造を示し、鋳鉄製の継手管Aの管軸芯方向両端に一体形成された受口管部1の各々に、外周面側に補強用被覆層2を備えた合成樹脂製の水道管(流体管の一例)Pの端部側に形成される挿口管部3のうち、補強用被覆層2が剥離された先端側の裸管部分3Aが密封状態で挿入接続され、各挿口管部3の裸管部分3Aに外装した状態で受口管部1の端部側にネジ式締結具6で管軸芯X方向から固定連結される鋳鉄製の押輪4には、挿口管部3の裸管部分3Aの外周面に径方向から喰込み可能な抜止め部材5と、両管部1,3の相対離脱移動に連れて抜止め部材5を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段Bが設けられているとともに、各挿口管部3の裸管部分3Aに続く補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層2aには、これの外周面に対して径方向外方側から密着状態で装着可能な分割構造の鋳鉄製の補強挾持輪7が挾持状態で固定され、更に、両補強挾持輪7に間に亘って、両補強挾持輪7を継手管Aの両受口管部1に対して離間移動不能に管軸芯方向から引寄せ固定するネジ式の固定具8が設けられている。
【0027】
また、前記各挿口管部2の裸管部分3Aには、受口管部1の内周面と挿口管部3の外周面との間を密封可能な合成ゴム製の弾性シール材9が外装されているとともに、前記挿口管部2の外周面と押輪4の内周面との間には、挿口管部3の外周面に喰い込み可能な抜止め部材の一例で、管軸芯X方向視において弾性的に縮径変形可能なほぼCの字状に形成されたポリアセタール等の合成樹脂製又はステンレス鋼等の金属製の抜止めリング5が設けられている。
【0028】
前記挿口管部3は、合成樹脂管の一例である高密度ポリエチレン管から構成されているとともに、前記補強用被覆層2は、布テープ等を高密度ポリエチレン管の外周面に沿って螺旋状に巻回して形成されるクッションテープ層2Aと、このクッションテープ層2Aの外周面に沿ってステンレス鋼等の金属帯(鋼帯)を巻回して形成される金属帯層(鋼帯層)2Bと、この金属帯層2Bの外面に沿って布テープ等を巻回して形成される押えテープ層2Cと、この押えテープ層2Cの外面側を円筒状に被覆する軟質ポリエチレン等の軟質合成樹脂製の保護層2Dとの四層から構成されている。
【0029】
前記ネジ式締結具6は、受口管部1の外周面の周方向4箇所に一体的に突出形成された連結突起1Aと押輪4の外周面の周方向4箇所に一体的に突出形成された連結突起4Aとに亘って挿通されるT字ボルト6A・ナット6Bから構成されているとともに、前記喰込み誘導手段Bは、ネジ式締結具6の締付け操作に伴う押輪4と受口管部1との相対近接移動又は受口管部1に対する挿口管部3の相対離脱移動に連れて抜止めリング5を縮径側に弾性変形させるべく、押輪4の内周面に形成したテーパー状のカム面4aと抜止めリング5の外周面に形成したテーパー状のカム面5aとから構成されている。
【0030】
前記抜止めリング5の内径は、無負荷状態(自然状態)では挿口管部3の外径よりも大に構成されているとともに、この抜止めリング5の内周面には、挿口管部3の外周面に管径方向から喰い込み可能な多数の先鋭な抜止め突起5bが形成されている。
【0031】
更に、前記弾性シール材9とこれに対して管軸芯X方向で対向する押輪4及び抜止めリング5との間には、ネジ式締結具6のT字ボルト6A・ナット6Bによる締付け操作の前半で弾性シール材9のみを管軸芯X方向から押圧して圧縮し、該弾性シール材9が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止めリング5を喰い込み状態にまで弾性復元力に抗して縮径変形させる順次作動手段Cが設けられている。
【0032】
前記順次作動手段Cは、抜止めリング5と弾性シール材9との間に、押輪4と受口管部1との相対近接移動に連れて弾性シール材9を管軸芯X方向から押圧して圧縮する第1押圧面11aと、抜止めリング5を押輪4のカム面4a側に管軸芯X方向から押圧可能な第2押圧面11bとを備えたステンレス鋼等の金属製又は合成樹脂製の円環状の中間押圧体11を設け、この中間押圧体11と押輪4の内周面との管径方向で対向又はほぼ対向する部位に亘って、前記押輪4と受口管部1との相対近接移動に連れて弾性シール材9が設定圧縮状態になるまでは、押輪4のカム面4aと中間押圧体11の第2押圧面11bとの管軸芯X方向での対向間隔を非喰い込み状態にある抜止めリング5が縮径側に弾性変形しない間隔に規制し、かつ、弾性シール材9が設定圧縮状態になったとき、中間押圧体11の外周面と押輪4の内周面との間で剪断されて前記間隔規制を解除する、つまり、押輪4のカム面4aと中間押圧体11の第2押圧面11bとの管軸芯X方向での相対近接移動を許す間隔規制部材12を設けて構成されている。
【0033】
また、前記中間押圧体11の外周部で、かつ、周方向に180度偏位した二箇所の各々には、押輪4の内周面と抜止めリング5の外周面との間の間隙に対して管軸芯X方向から入り込む鍔部11cが突出形成されているとともに、この鍔部11cの各々には、間隔規制部材12を構成する銅合金製の頭付きシヤーピン12が内周面側から抜き差し自在に挿入される管径方向の貫通孔11dが形成され、更に、各鍔部11cの先端面11eは、締結具6が最大側に締付け操作された状態において、押輪4の内周面の奥側に形成されたストッパー面4bに対して管軸芯X方向から接当するように構成されている。
【0034】
前記抜止めリング5のテーパーカム面5aのうち、中間押圧体11の両鍔部11cに管径方向で相対向する部位の各々に、鍔部11cの内側面に対してシヤーピン12の頭部12aの厚みよりも少し大なる間隔を隔ててほぼ平行姿勢で相対向する偏平面5cを形成して、抜止めリング5と中間押圧体11とが特定位相にあるときのみ管軸芯X方向からの嵌合を許容する装着位置決め機能を持たせると同時に、中間押圧体11の両鍔部11cの貫通孔11dに対して内周面側から挿入されたシヤーピン12の抜け出し移動を、中間押圧体11の両鍔部11cに内嵌する抜止めリング5の偏平面5cをもって接当阻止するように構成されている。
【0035】
更に、前記押輪4の内周面で、かつ、中間押圧体11の両鍔部11cに管径方向で相対向する部位の各々には、両鍔部11cの貫通孔11dに挿入されたシヤーピン12の先端部が管軸芯X方向から係脱自在な係合溝4cが形成されている。
【0036】
そして、前記受口管部1に対して挿口管部3を設定長さ挿入した状態で締結具6のボルト6A・ナット6Bを締付け操作すると、その締付け操作に伴って押輪4と受口管部1とが管軸芯X方向で相対近接移動する。このとき、前記中間押圧体11の両鍔部11cの貫通孔11dに対して内周面側から挿入され、かつ、その先端部が押輪4の内周面に形成された係合溝4c内に係合されたシヤーピン12によって、押輪4のカム面4aと中間押圧体11の第2押圧面11bとの管軸芯X方向での対向間隔が設定間隔に保持されているため、抜止めリング5は挿口管部3の外周面に喰い込まない状態に維持されたまま、弾性シール材9のみが中間押圧体11の第1押圧面11aを介して管軸芯X方向から押圧して圧縮され、この押圧圧縮された弾性シール材9によって、受口管部1の内周面と挿口管部3の外周面との間が確実に密封される。
【0037】
次に、前記弾性シール材9が設定圧縮状態になると、シヤーピン12が締付け反力で中間押圧体11の外周面と押輪4の内周面との間で剪断されて、該シヤーピン12による間隔規制が解除されるため、それ以降の締結具6の締付け操作に伴って、中間押圧体11の第2押圧面11bと押輪4のカム面4aとが相対近接移動し、その相対近接移動に連れて抜止めリング5が弾性復元力に抗して縮径側に撓み変形して、抜止めリング5の抜止め突起5bが挿口管部3の外周面に喰い込む。
【0038】
前記各補強挾持輪7は、円周方向で二分割された略半円弧状の一対の分割挾持輪体7Aと、これの円周方向両端部に一体形成された連結フランジ部7Bのうち、各分割挾持輪体7Aの装着方向で相対向する連結フランジ部7B同士を脱着自在に締付け固定するボルト14・ナット15から構成されているとともに、前記各分割挾持輪体7Aの外周面の円周方向中央位置には、ネジ式固定具8を構成するボルト8A・ナット8Bに対するボルト挿通孔7Cを備えた連結片7Dが一体形成されている。
【0039】
また、前記各挿口管部3内のうち、それの先端から少なくとも抜止めリング5の喰込み作用箇所と補強挾持輪7の挾持固定箇所及び残存側の補強用被覆層2の軟質合成樹脂製の保護層2Dを緊締状態で押える押えバンド20の挾持固定箇所に相当する部位に亘って、抜止めリング5の縮径変形と補強挾持輪7及び押えバンド20の挾持固定に起因して挿口管部3に作用する締付け力を、挿口管部3を介して受止めることにより、この締付け力による挿口管部3の径方向内方への変形を抑制する金属製の補強筒体16を内嵌してある。
【0040】
次に、上述の如く構成された管継手構造を用いた管継手方法について説明する。
(1)まず、継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さ及び補強挾持輪7の管軸芯X方向での装着長さとの総和よりも若干長い設定剥離長さL1を算出し、図4に示すように、各挿口管部3の補強用被覆層2の外周面に、その先端から設定剥離長さL1に相当する剥離境界位置に円周方向に沿って剥離境界指標線(剥離境界線)M1をマーキングするとともに、その剥離境界指標線M1の非剥離側近傍箇所には、残存側の補強用被覆層2の軟質合成樹脂製の保護層2Dを円周方向に沿って緊縛するステンレス鋼製の押えバンド20を緊締状態で装着する。
【0041】
そして、押輪装着領域に続く補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層、つまり、表層側の押えテープ層2C及び保護層2Dが剥離された金属帯層(鋼帯層)2Bに対して補強挾持輪7を挾持状態で固定するまでの間において、補強用被覆層2の表層側に位置する押えテープ層2C及び保護層2Dの剥離端縁が他物と接触又は衝突しても、押えテープ層2C及び保護層2Dの剥離端縁が剥離進行することを押えバンド20で阻止することができるから、補強用被覆層2の剥離端縁が剥離進行することに起因した機械的強度の低下による挿口管部の変形や損傷等を防止することができる。
【0042】
(2)図5に示すように、補強用被覆層2の剥離境界指標線M1に沿って金属帯層2Bの外周面までの深さでカッターにて切り込みを入れるとともに、補強用被覆層2の剥離境界指標線M1から先端まで管軸芯方向に沿って金属帯層2Bの外周面までの深さでカッターにて切り込みを入れ、剥離作業領域にある分離された押えテープ層2C及び保護層2Dを剥離除去する。
【0043】
(3)継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さとの総和である完全剥離長さL2を算出し、図6〜図8に示すように、金属帯層2Bを構成する金属帯21及びクッションテープ層2Aを構成する布テープの一部を一時的に剥離し、各挿口管部3の裸管部分3Aの外周面に、その先端から完全剥離長さL2に相当する位置に円周方向に沿って押輪装着指標線M2をマーキングするとともに、金属帯21及び布テープをマーキングされた押輪装着指標線M2に沿って切断したのち、その切断端部をテープ22で止め付ける。
【0044】
尚、前記金属帯21は内外の二重巻きになっているため、まず、図6に示すように、内側の金属帯21を押輪装着指標線M2に沿って切断するとともに、図7に示すように、その切断端部をテープ22で止め付けたのち、図8に示すように、外側の金属帯21を押輪装着指標線M2に沿って切断し、その切断端部をテープ22で止め付ける。
【0045】
(4)図9、図10に示すように、外部に対して露出状態にある金属帯層2Bのうち、補強挾持輪7の挾持固定箇所を除く部位と押えバンド20とを含む領域を保護テープ23で被覆したのち、図11に示すように、前記各挿口管部3内の金属製の補強筒体16をプラスチックハンマー等で押し込み、挿口管部3のうち、それの先端から少なくとも抜止めリング5の喰込み作用箇所と補強挾持輪7の挾持固定箇所及び押えバンド20の挾持固定箇所に相当する領域に亘って補強する。
【0046】
(5)図12、図13に示すように、各挿口管部3の裸管部分3Aに、押輪4、抜止めリング5、中間押圧体11、弾性シール材9を外装したのち、受口管部1に対して挿口管部3の裸管部分3Aを設定長さ挿入し、受口管部1の外周面の周方向4箇所に一体的に突出形成された連結突起1Aと押輪4の外周面の周方向4箇所に一体的に突出形成された連結突起4Aとに亘って夫々締結具6のT字ボルト6A・ナット6Bを取り付け、この状態で締結具6のボルト6A・ナット6Bを締付け操作すると、図12に示すように、その締付け操作の前半で弾性シール材9のみが管軸芯X方向から押圧されて圧縮され、該弾性シール材9が設定圧縮状態になった以降の締付け操作で抜止めリング5が喰い込み状態にまで弾性復元力に抗して縮径変形される。
【0047】
(6)図14に示すように、各挿口管部3の裸管部分3Aに続く補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層2a、つまり、表層側の押えテープ層2C及び保護層2Dが剥離され、かつ、保護テープ23で被覆されていない領域Wの金属帯層(鋼帯層)2Bに対して、補強挾持輪7の両分割挾持輪体7Aを径方向外方側から密着状態で装着し、各分割挾持輪体7Aの装着方向で相対向する連結フランジ部7B同士をボルト14・ナット15にて締付け固定することにより、各挿口管部3の保護テープ非被覆領域Wの金属帯層2Bに対して補強挾持輪7を挾持状態で固定する。
【0048】
(7)次に、図14、図15に示すように、分割挾持輪体7Aの外周面の円周方向中央位置に固着された連結片7Dのうち、管軸芯X方向で相対向する両連結片7Dに亘ってネジ式固定具8を構成するボルト8A・ナット8Bを取付け、分割挾持輪体7Aと押輪4とが管軸芯X方向から当接する状態にまで、ボルト8A・ナット8Bを締め付け操作する。
【0049】
そして、前記挿口管部3を受口管部1に挿入接続する前に、挿口管部3の補強用被覆層2のうち、挿口管部3の先端から少なくとも押輪装着領域までの範囲(完全剥離長さL2に該当)に存在する補強用被覆層2を予め剥離してあるので、受口管部1に挿口管部3の裸管部分3Aを挿入接続し、かつ、挿口管部3の裸管部分3Aに外装された押輪4を受口管部1の端部に固定連結した状態では、押輪4に装備された抜止めリング5が挿口管部3の裸管部分3Aに対応することになり、両管部1,3の相対離脱移動に連れて抜止めリング5が挿口管部3の裸管部分3Aに強力に食い込むことになる。
【0050】
しかも、挿口管部3の補強用被覆層2を剥離する際、挿口管部3の先端からの剥離領域が押輪装着領域を越えた広い範囲に及ぶ場合には、その押輪装着領域に続く裸管部分3A又は補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層2aに分割構造の補強挾持輪7を挾持状態で固定することにより、特に、押輪4から突出する機械的強度の弱い裸管部分3A又は残存被覆層3aに対応する管部分を補強することができるとともに、補強用被覆層2の切断分離端縁が他物と接触又は衝突して剥離が進行することを防止することができる。
【0051】
更に、押輪4の固定連結後に、両補強挾持輪7の連結片7D間に設けたネジ式固定具8によって、各挿口管部3に挾持固定されている補強挾持輪7を受口管部1に対して離間移動不能に固定することにより、両補強挾持輪7とネジ式固定具8とが、嵌合接続された両管部1,3の離脱防止機構として機能することになる。
【0052】
〔第2実施形態〕
上述の第1実施形態では、継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さ及び補強挾持輪7の管軸芯X方向での装着長さとの総和よりも若干長い設定剥離長さL1を算出し、各挿口管部3の補強用被覆層2の外周面に、その先端から設定剥離長さL1に相当する剥離境界位置に円周方向に沿って剥離境界指標線M1をマーキングし、この剥離境界指標線M1で押えテープ層2C及び保護層2Dを剥離除去したが、図16に示すように、継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さ及び補強挾持輪7の管軸芯X方向での装着長さとの総和を設定剥離長さL1として設定してもよい。
【0053】
この実施形態の場合、挿口管部3の補強用被覆層2を剥離する際、その先端から剥離境界線までの剥離領域が補強挾持輪7の装着領域の境界相当位置で略正確に剥離されているので、その装着境界線に沿う補強用被覆層2の切断端縁に接する状態で分割構造の補強挾持輪7を挾持固定することになる。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0054】
〔第3実施形態〕
図17、図18に示すように、鋳鉄製の継手管Aの管軸芯方向一端側に一体形成された受口管部1に、外周面側に補強用被覆層2を備えた合成樹脂製の水道管(流体管の一例)Pの端部側に形成される挿口管部3のうち、補強用被覆層2が剥離された先端側の裸管部分3Aが密封状態で挿入接続され、この挿口管部3の裸管部分3Aに外装した状態で受口管部1の端部側にネジ式締結具6で管軸芯X方向から固定連結される鋳鉄製の押輪4には、挿口管部3の裸管部分3Aの外周面に径方向から喰込み可能な抜止め部材5と、両管部1,3の相対離脱移動に連れて抜止め部材5を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段Bが設けられているとともに、挿口管部3の裸管部分3Aに続く補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層2a、つまり、表層側の押えテープ層2C及び保護層2Dが剥離され、かつ、保護テープ23で被覆されていない領域Wの金属帯層(鋼帯層)2Bには、これの外周面に対して径方向外方側から密着状態で装着可能な分割構造の鋳鉄製の補強挾持輪7が挾持状態で固定され、更に、この補強挾持輪7と継手管Aの受口管部1の外周面に少なくとも受口側への移動を阻止した状態で外嵌装着される分割構造の支持輪25とに亘って、受口管部1対して離間移動不能に管軸芯X方向から引寄せ固定するネジ式の固定具8が設けられている。
【0055】
前記支持輪25は、円周方向で二分割された略半円弧状の一対の分割支持輪体25Aと、これの円周方向両端部に一体形成された連結フランジ部25Bのうち、各分割支持輪体25Aの装着方向で相対向する連結フランジ部25B同士を脱着自在に締付け固定するボルト26・ナット27から構成されているとともに、前記各分割支持輪体25Aの外周面の円周方向中央位置には、ネジ式固定具8を構成するボルト8A・ナット8Bに対するボルト挿通孔25Cを備えた連結片25Dが一体形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0056】
〔第4実施形態〕
図19に示すように、鋳鉄製の継手管A又は水道管の管軸芯方向一端側に一体形成された受口管部1に、外周面側に補強用被覆層2を備えた合成樹脂製の水道管(流体管の一例)Pの端部側に形成される挿口管部3のうち、補強用被覆層2が剥離された先端側の裸管部分3Aが密封状態で挿入接続され、受口管部1の内周面には、受口管部1の内周面と挿口管部3の外周面との間を密封可能な合成ゴム製の弾性シール材9と、挿口管部3の裸管部分3Aの外周面に径方向から喰込み可能な複数個の抜止め部材5とが設けられているとともに、両管部1,3の相対離脱移動に連れて各抜止め部材5を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段Bが設けられている。
【0057】
更に、前記受口管部1の受口から外部に突出し、かつ、挿口管部3の裸管部分3Aに続く補強用被覆層2の表層側の一部が剥離された残存被覆層2a、つまり、表層側の押えテープ層2C及び保護層2Dが剥離され、かつ、保護テープ23で被覆されていない領域Wの金属帯層(鋼帯層)2Bには、これの外周面に対して径方向外方側から密着状態で装着可能な分割構造の鋳鉄製の補強挾持輪7が挾持状態で固定されているとともに、この補強挾持輪7と継手管Aの受口管部1の外周面に少なくとも受口側への移動を阻止した状態で外嵌装着される分割構造の支持輪25とに亘って、受口管部1対して離間移動不能に管軸芯X方向から引寄せ固定するネジ式の固定具8が設けられている。
【0058】
前記支持輪25は、円周方向で二分割された略半円弧状の一対の分割支持輪体25Aと、これの円周方向両端部に一体形成された連結フランジ部25Bのうち、各分割支持輪体25Aの装着方向で相対向する連結フランジ部25B同士を脱着自在に締付け固定するボルト26・ナット27から構成されているとともに、前記各分割支持輪体25Aの外周面の円周方向中央位置には、ネジ式固定具8を構成するボルト8A・ナット8Bに対するボルト挿通孔25Cを備えた連結片25Dが一体形成されている。
【0059】
前記喰込み誘導手段Bは、受口管部1の内周面の周方向複数箇所の溝部1aを構成する外周壁部のうち、溝部1a内に配置された各抜止め部材5の周方向中央位置に対応する部位に、抜止め部材5の外側面5aに対する垂直方向に沿って貫通するネジ孔1bを形成するとともに、各ネジ孔1bには、溝部1a内に装着された抜止め部材5の外側面5aを管径方向内方側に押圧する押しボルト28を脱着自在に螺合し、更に、抜止め部材5の外側面5aを、受口管部1側ほど大径となる傾斜カム面に形成して、受口管部1と挿口管部3との相対離脱移動に連れて抜止め部材5を径方向内方側に喰込み移動案内するように構成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0060】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、補強用被覆層2の設定剥離長さL1を、継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さ及び補強挾持輪7の管軸芯X方向での装着長さとの総和又はそれよりも若干長い寸法に構成したが、この補強用被覆層2の設定剥離長さL1を、継手管Aの受口管部1に対する挿口管部3の設定挿入長さと押輪4の管軸芯X方向での装着長さとの総和に構成してもよい。
この場合、押輪装着領域に続く補強用被覆層2に対して径方向外方側から装着される分割構造の補強挾持輪7を挾持状態で固定することになる。
【0061】
(2)前記挿口管部3の補強用被覆層2としては、上述の各実施形態で説明した四層構造のものに限定されるものではなく、任意の材料の組合せが可能である。
【0062】
(3) 上述の各実施形態では、前記補強挾持輪7を周方向で二分割したが、三つ以上に分割構成してもよく、また、この補強挾持輪7を、径方向内方に移動操作可能な複数の挾持体を備えた円環状のものに構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施形態の管継手構造及び管継手方法を示す半断面側面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】図1のIII−III線断面図
【図4】剥離境界指標線をマーキングしたときの側面図
【図5】剥離境界指標線に沿って表二層を剥離除去したときの側面図
【図6】下二層の一部を剥離し、押輪装着指標線をマーキングしたときの側面図
【図7】内側の金属帯を剥離境界指標線に沿って切断してテープ止めしたときの側面図
【図8】外側の金属帯を剥離境界指標線に沿って切断したときの側面図
【図9】保護テープを巻き付けているときの側面図
【図10】補強筒体を装着する前の側面図
【図11】補強筒体を装着したときの断面側面図
【図12】押輪の前半固定連結時における要部の拡大断面側面図
【図13】押輪を固定連結したときの要部の拡大断面側面図
【図14】補強挾持輪を取り付けたときの側面図
【図15】両補強挾持輪を固定連結したときの側面図
【図16】本発明の第2実施形態の管継手構造及び管継手方法を示す半断面側面図
【図17】本発明の第3実施形態の管継手構造及び管継手方法を示す半断面側面図
【図18】図17の断面使用面図
【図19】本発明の第4実施形態の管継手構造及び管継手方法を示す半断面側面図
【符号の説明】
【0064】
B 喰込み誘導手段
L1 設定剥離長さ
L2 完全剥離長さ
M1 剥離境界線(剥離境界指標線)
M2 押輪装着指標線
X 管軸芯
1 受口管部
2 補強用被覆層
2a 残存被覆層
2B 金属帯層
2D 保護層
3 挿口管部
3A 裸管部分
4 押輪
5 抜止め部材(抜止めリング)
6 締結具(ネジ式締結具)
7 補強挾持輪
8 固定具(ネジ式固定具)
20 押えバンド
21 金属帯
25 支持輪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口管部に、外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部を挿入接続し、この挿口管部の外周面に喰込み可能な抜止め部材及び両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段を備えた押輪を挿口管部に外装し、押輪を受口管部の端部に固定連結する管継手方法であって、
前記挿口管部を受口管部に挿入接続する前に、少なくとも挿口管部の先端から押輪装着領域までの範囲に存在する補強用被覆層を剥離するとともに、押輪装着領域に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に装着される補強挾持輪を挾持状態で固定し、押輪の固定連結後に、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に設けた固定具により、補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定することを特徴とする管継手方法。
【請求項2】
前記挿口管部の先端から設定剥離境界線までの範囲に存在する補強用被覆層を剥離するとき、その剥離境界線近くの残存側の補強用被覆層を押えバンドで挾持する請求項1記載の管継手方法。
【請求項3】
前記補強用被覆層には、挿口管部に螺旋状に巻回される金属帯から構成されている金属帯層とそれの外面側を被覆する軟質合成樹脂製の保護層とが備えられているとともに、前記残存被覆層が金属帯層である請求項1又は請求項2記載の管継手方法。
【請求項4】
受口管部に、外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分を挿入接続し、この挿口管部の裸管部分に外装した状態で受口管部の端部に固定連結される押輪又は受口管部に、挿口管部の裸管部分の外周面に喰込み可能な抜止め部材と、両管部の相対離脱移動に連れて抜止め部材を径方向内方側に喰込み移動させる喰込み誘導手段とを設けるとともに、挿口管部の裸管部分に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に、補強挾持輪を径方向外方側から挾持状態で固定するとともに、補強挾持輪と受口管部又はこれの他端側に接続された他の挿口管部との間に亘って、補強挾持輪を受口管部に対して離間移動不能に固定する固定具を設けてある管継手構造。
【請求項5】
前記固定具が、受口管部の外周面に少なくとも受口側への移動を阻止した状態で外嵌装着される分割構造の支持輪と前記補強挾持輪との間に架設されている請求項4記載の管継手構造。
【請求項6】
前記固定具が、受口管部の他方側に嵌合接続された外周面側に補強用被覆層を備えた合成樹脂製の他の挿口管部のうち、補強用被覆層が剥離された先端側の裸管部分に続く補強用被覆層又はそれの表層側の一部が剥離された残存被覆層に径方向外方側から挾持状態で固定された他の補強挾持輪と一方の挿口管部に挾持状態で固定されている補強挾持輪との間に架設されている請求項4記載の管継手構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−112449(P2006−112449A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297571(P2004−297571)
【出願日】平成16年10月12日(2004.10.12)
【出願人】(396020361)株式会社水道技術開発機構 (113)
【Fターム(参考)】