説明

管継手

【課題】接続管の引き戻し動作が不要で、ロック後にロックリングの形状が復元することがないため、ロックリングによる接続管の係止力が低減しないワンタッチ式の管継手を提供することを目的とする。
【解決手段】管継手の接続管収容部の中に、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲したロックリングを円周方向には摺動自在に、軸方向には移動不可能に固定することにより、接続管挿入時、ロックリングの爪部が周囲のテーパー壁との相互作用により接続管の内周面及び/又は外周面を押し付けるように変位するワンタッチ式の管継手を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンタッチで接続管を接続する管継手に関し、特に管継手の接続管収容部の中に、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲したロックリングを備えることにより、接続管挿入時、ロックリングの爪部を有する自由端が周囲のテーパー壁との相互作用により、接続管の内周面及び/又は外周面を押し付けるように変位することを特徴とする管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワンタッチで接続管を接続するための管継手が知られている。例えば、実開平4−18793号公報(特許文献1)、特開2001−193883号公報(特許文献2)、特開2003−227592号公報(特許文献3)には、同心に配置された内側筒体と挿入口へ向けて縮径するテーパー面を備えた外側筒体との間に、接続管を係止するための歯または爪などの突起物を有する筒状のロックリングが軸方向に移動可能に内蔵されていることを基本構成とするワンタッチ式の管継手が開示されている。このタイプの管継手は、接続管を最深部まで挿入した後、引き戻すことにより、ロックリングを挿入口付近へ移動させ、そしてロックリングの突起部を外側筒体の挿入口付近に形成されたテーパー面との相互作用により、接続管の外周面に食い込ませるように縮径させることにより接続管の抜けを防止をするというものである。
【0003】
また、このタイプの管継手は、接続管挿入後、ロックリングが何らかの原因で挿入口内部へ移動し、そして歯または爪の食い込みが解除されることによる抜けを防止する必要があるため、通常ロックリングの後方には、常にロックリングを挿入口へ向けて付勢するバネなどの弾性体が配置されているという特徴がある。
【0004】
特開2005−172218号公報(特許文献4)には、上記特許文献1−3に記載された管継手と略同じ構成を有するものであるが、管継手の内部に挿入された接続管を内側から支持する内側筒体を具備していないタイプのワンタッチ式の管継手が開示されている。
【0005】
WO2006/135227号公報(特許文献5)には、上記特許文献1−3に記載された管継手の他の変形例であって、外側スリーブおよび内側スリーブは共に挿入口の間隙を狭める向きのテーパー面を有しており、そしてそれらの間には接続管を受け入れることができるように、歯を有する同心に配置された外側グリップリングおよび内側グリップリングと、そして両グリップリングを最深部で連結する底部とからなる筒状のロックリングが軸方向に移動可能に配置されていることを基本構成とするワンタッチ式の管継手が記載されている。
【0006】
したがって、特許文献5に記載の管継手の場合も、接続管の固定はロックリングを介して接続管を外側筒体と内側筒体との間隙の最深部まで挿入した後、引き戻すことにより、ロックリングを挿入口付近へ移動させ、そしてロックリングの歯を、外側筒体および内側筒体の挿入口付近に形成されたテーパー面との相互作用により接続管の抜けを防止するようにその内外周面に食い込ませることにより達成される。
【0007】
そして、このタイプの管継手においてもロックリングが挿入口内部へ移動することによる接続管の抜けを防止する必要があるため、ロックリングの底部後方には、常にロックリングを挿入口へ向けて付勢するためのバネリップが一体成形されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1−5に記載されるような軸方向に移動可能な筒状のロックリングと継手本体のテーパー面との相互作用を利用したタイプのワンタッチ式の管継手の場合、以下のような問題点があった。
【0009】
移動式のロックリングを有するタイプのワンタッチ式の管継手では、接続管挿入後、ロックリングの移動による接続管の抜けを防止するため、ロックリングをバネなどにより常に挿入口へ向けて付勢しなければならない。したがって接続管挿入前の自由状態では、ロックリングの端部は外側筒体若しくは内側筒体に設けられたテーパー面へ進入し、接続管挿入口の間隙を狭めるように縮径または拡径されている。このため接続管を挿入する際、接続管の外周面若しくは内周面はロックリングの歯または爪により損傷を受け、シールリングによるシール効果やロックリングによる係止力を十分に得られないという問題があった。
【0010】
また、ロックリングは、上述のようにバネなどにより付勢されているが、どのような力に対しても移動不可能に管継手に固定されている訳ではない。したがって、例えば接続管が熱膨張により伸びる場合などバネがその力に抗し切れなくなる時は、接続管が管継手から抜けて外れてしまうという本質的な問題があった。
【0011】
さらに、移動式のロックリングを有するタイプのワンタッチ式の管継手では、ロックリングの歯または爪を接続管に食い込ませるために、その構造上、一度接続管を管継手の最深部まで押し込んだ後、挿入口側へ引き戻すという操作をしなければならないため、接続作業に手間が掛かり、接続管を引き戻す配管スペース等も確保しなければならないといった問題があった。
【0012】
管継手の内部に軸方向に移動可能なロックリングを有するタイプ以外のワンタッチ式の管継手としては、特開平9−236190号公報(特許文献6)、特開2006−118704号公報(特許文献7)、特開2008−164074号公報(特許文献8)に記載されているような、接続管を受け入れるための収容部を形成するために同心に配置された外側筒体と継手本体から延びた内側筒体とからなり、内側筒体の外周面には、接続管の内周面に食い込ませることにより抜けを防止する複数の放射状に伸びた歯または爪を有する環状のロックリングが固定されているタイプのワンタッチ式の管継手が知られている。
【0013】
また、特開2002−106772号公報(特許文献9)、特開2003−307290号公報(特許文献10)に記載されているように、基本的に上記特許文献6−7に記載された管継手と同じ構造を有するものであるが、複数の歯または爪を有する環状のロックリングが内側筒体の外周面からではなく、外側筒体の内周面から接続管の外周面に食い込ませるように固定されているタイプのワンタッチ式の管継手も知られている。
【0014】
しかしながら、特許文献6−10に記載されているような環状のロックリングが内部に固定されているようなタイプのワンタッチ式の管継手の場合、ロックリングの歯または爪は、挿入される接続管の表面に対し十分に食い込ませる必要があるために内側筒体または外側筒体の表面から大きく突出させて配置しなければならない。このため、接続管を挿入する際、その内周面または外周面が受ける損傷は、通常、前述のテーパー面との相互作用を利用した移動式のロックリングを有するタイプの管継手よりも大きくなり、その結果、シールリングによる十分なシール効果を得られず、また、この問題を解消するためにシールリングを環状のロックリングの後方に取り付けなければならないなど設計上多くの制約が生じるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】実開平4−18793号公報
【特許文献2】特開2001−193883号公報
【特許文献3】特開2003−227592号公報
【特許文献4】特開2005−172218号公報
【特許文献5】WO2006/135227号公報
【特許文献6】特開平9−236190号公報
【特許文献7】特開2006−118704号公報
【特許文献8】特開2008−164074号公報
【特許文献9】特開2002−106772号公報
【特許文献10】特開2003−307290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明の一の目的は、接続管の引き戻し動作が全く不要で、ロック後にロックリングの形状が復元することがないため、ロックリングによる接続管の係止力が低減しないワンタッチ式の管継手を提供することにある。また、本発明の他の目的は、接続管を挿入するまでは接続管の表面と接触しない位置まで後退しているが、接続管の挿入後は接続管の表面にしっかりと食い込む位置へ変位することが可能な歯または爪などの突起物を有するロックリングを備えた管継手であって、シールリングとの配置の組み合わせにおいては、従来にない高いシール性も実現することができる簡易構造でかつ信頼性の高いワンタッチ式の管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、本発明者等は、管継手本体のテーパー面との相互作用を利用した筒状のロックリングを有するワンタッチ式の管継手について鋭意検討を重ねた結果、管継手の接続管収容部の中に、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲したロックリングを円周方向には摺動自在に、軸方向には移動不可能に固定することにより、接続管挿入時、ロックリングの爪部が周囲のテーパー壁との相互作用により接続管の内周面及び/又は外周面を押し付けるように変位するワンタッチ式の管継手を開発し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、本発明によれば、継手本体と、径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁とを外周面に有し、そして前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、そして径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を内側から係止するための爪部とを有し、かつ前記内筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記内筒体の外周面と摺接するように配置される筒状の内側ロックリングと、からなる管継手において、接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記内側ロックリングの膨らみ部は前記接続管の内周面により径方向内側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記内側ロックリングはその端部をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記内側ロックリングの端部は、前記内筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の内周面へ押し付けるように拡径されることを特徴とする内側ロックリング内蔵型の管継手が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、挿入された接続管を外側から係止する構造を採用してもよく、この場合は、継手本体と、前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁とを内周面に有し、そして前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、そして径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を外側から係止するための爪部とを有し、かつ前記外筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記外筒体の内周面と摺接するように配置される筒状の外側ロックリングと、からなる管継手において、接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記外側ロックリングのくびれ部は前記接続管の外周面により径方向外側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記外側ロックリングはその端部をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記外側ロックリングの端部は、前記外筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の外周面へ押し付けるように縮径されることを特徴とする外側ロックリング内蔵型の管継手が提供される。
【0020】
さらに、本発明によれば、挿入された接続管を内側および外側の両側から係止する構造を採用してもよく、この場合は、継手本体と、径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁とを外周面に有し、そして前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁とを内周面に有し、そして前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を内側から係止するための爪部とを有し、かつ前記内筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記内筒体の外周面と摺接するように配置される筒状の内側ロックリングと、そして径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を外側から係止するための爪部とを有し、かつ前記外筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記外筒体の内周面と摺接するように配置される筒状の外側ロックリングと、からなる管継手において、接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記内側ロックリングの膨らみ部は前記接続管の内周面により径方向内側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記内側ロックリングはその端部をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記内側ロックリングの端部は、前記内筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の内周面へ押し付けるように拡径され、かつ前記外側ロックリングのくびれ部は前記接続管の外周面により径方向外側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記外側ロックリングはその端部をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記外側ロックリングの端部は、前記外筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の外周面へ押し付けるように縮径されることを特徴とする内側および外側ロックリング内蔵型の管継手が提供される。
【0021】
本発明によれば、管継手本体、内筒体および外筒体はいずれも筒形の形状を有しており、このうち管継手本体は内筒体を含み一体的に成形することもできる。また、管継手本体および内筒体はその内部に流体を流すための通路開口部を有しており、その先端部は流体の抵抗を少なくするためにファンネル形状とすることが好ましい。さらに、管継手の生産性やコスト面などを重視する場合は、管継手本体、内筒体および外筒体のすべての部品を一体的に成形することもできる。
【0022】
本発明において継手本体、内筒体及び/又は外筒体の材料は比較的硬質なものであれば特に限定されるものではないが、プラスチック材料または金属材料から成形されていることが好ましい。特にプラスチック材料を使用する場合は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、内筒体を含む継手本体および外筒体は同心に配置され、そして内筒体と外筒体との間には接続管を受け入れるための収容部が形成される。そして、管継手の収容部の中には、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲したロックリングが、円周方向には摺動自在にそして軸方向には移動不可能に装着される。また、このロックリングは、内筒体の外周面または外筒体の内周面のいずれか一方に装着されていればよいが、管継手の落下、溶剤の付着、踏み付けなどにより片方のロックリングが破損した場合でも接続管を把持できるように、その両方に装着されていることが好ましい。
【0024】
このため、内筒体の外周面には、内側ロックリングを摺動自在に固定するための径方向に平行な固定壁と軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁とが形成される。また、外筒体の内周面には、外側ロックリングを摺動自在に固定するための径方向に平行な固定壁と軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁とが形成される。そして、内側ロックリング及び/又は外側ロックリングは、内筒体の外周面及び/又は外筒体の内周面の固定壁との関係で軸方向への移動が規制された固定端を形成し、かつテーパー壁との関係で軸方向への移動が可能な自由端を形成するように固定壁とテーパー壁との間に装着される。したがって、固定壁およびテーパー壁との関係で形成される内側ロックリング及び/又は外側ロックリングの固定端および自由端は、いずれの端部を軸方向外部側へまたは内部側へ位置するように装着してもよい。
【0025】
内筒体の外周面に配置される内側ロックリングは、径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして接続管を内側から係止するための爪部を備えている。
【0026】
また、内側ロックリングの膨らみ部は、その断面形状においていわゆる尺取虫のような形状を有しており、径方向内側へ向けて押圧されると内筒体の外周面に沿うように変形し伸長する。このため、内側ロックリングの周りには内外周面を貫通する軸方向に沿って延びた複数のスリットが形成されており、これにより、膨らみ部は材料の弾性領域内で破壊等することなく無理なく変形することができる。
【0027】
その結果、接続管が管継手の収容部の中へ挿入されると、内側ロックリングの膨らみ部は接続管の内周面により径方向内側へ向けて押圧され、そして内側ロックリングの自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形する。そして、内側ロックリングの自由端は内筒体のテーパー壁との相互作用により、その自由端に隣接して設けられている爪部を接続管の内周面へ押し付けるように拡径する。このため、本発明によれば、接続管を挿入口側へ引き戻すという無駄な操作をすることなく管継手の収容部の中に強固に係止することができる。また、ロック後に内側ロックリングの形状が復元することがないため、内側ロックリングによる接続管の係止力が低減することもない。
【0028】
したがって、内側ロックリングの膨らみ部は、接続管を管継手の収容部の中へ挿入する時、その内周面と当接するように内筒体の外周面から収容部の中へ突出している。すなわち、内側ロックリングの膨らみ部は、その装着により少なくとも収容部の間隙を部分的に占有するような形状を有している。
【0029】
一方、外筒体の内周面に配置される外側ロックリングは、上述された内側ロックリングと同様に径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして接続管を外側から係止するための爪部を備えている。
【0030】
また、外側ロックリングのくびれ部は、その断面形状においていわゆる尺取虫のような形状を有しており、径方向外側へ向けて押圧されると外筒体の内周面に沿うように変形し伸長する。このため、外側ロックリングの周りには内外周面を貫通する軸方向に沿って延びた複数のスリットが形成されており、これにより、くびれ部は材料の弾性領域内で破壊等することなく無理なく変形することができる。
【0031】
その結果、接続管が管継手の収容部の中へ挿入されると、外側ロックリングのくびれ部は接続管の外周面により径方向外側へ向けて押圧され、そして外側ロックリングの自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形する。そして、外側ロックリングの自由端は外筒体のテーパー壁との相互作用により、その自由端に隣接して設けられている爪部を接続管の外周面へ押し付けるように縮径する。このため、本発明によれば、接続管を挿入口側へ引き戻すという無駄な操作をすることなく管継手の収容部の中に強固に係止することができる。また、ロック後に外側ロックリングの形状が復元することがないため、外側ロックリングによる接続管の係止力が低減することもない。なお、接続管の取り外しを望む場合は、外筒体の取り外しを可能としておき、外筒体を内筒体から取り外すことによりロックリングの係止を解除してやればよい。
【0032】
したがって、外側ロックリングのくびれ部は、接続管を管継手の収容部の中へ挿入する時、その外周面と当接するように外筒体の内周面から収容部の中へ突出している。すなわち、外側ロックリングのくびれ部は、その装着により少なくとも収容部の間隙を部分的に占有するような形状を有している。
【0033】
また、本発明によれば、接続管の挿入前、内側ロックリングおよび外側ロックリングはそれらの自由端がテーパー領域へ進入しない長さの膨らみ形状またはくびれ形状を保持している。このため、内側および外側ロックリングの爪部は、接続管挿入前、内筒体の外周面または外筒体の内周面より奥まった位置へ、すなわち、挿入される接続管の内周面または外周面と係止しない位置まで径方向内側または径方向外側へ後退している。
【0034】
このため、本発明の管継手によれば、従来の移動式のロックリングを有するタイプの管継手や環状のロックリングが内部に固定されているタイプの管継手のように、接続管挿入時、接続管の内周面若しくは外周面がロックリングの爪部により損傷を受けることがない。また、本発明の管継手によれば、後述するシールリングとの相乗効果により高いシール効果や接続管の高い係止力を得ることができる。
【0035】
本発明において、内側ロックリングの膨らみ部または外側ロックリングのくびれ部は、対向する外筒体の内周面または内筒体の外周面と接するように大きく湾曲させてもよい。このような形状は、接続管を収容部の中へ挿入する際、接続管が膨らみ部またはくびれ部と確実に当接し、径方向へ押圧するのを容易にする。また、このような形状は湾曲部の断面長さを大きく取ることができるため、膨らみ部またはくびれ部が径方向に押圧される時、爪部を有する自由端を軸方向へ大きく変位させることができる。
【0036】
一方、内側ロックリングと外側ロックリングの両方を使用する場合、内側ロックリングの膨らみ部と外側ロックリングのくびれ部は、互いに対向する位置に配置することが好ましい。このような配置は、接続管を収容部の中へ挿入する際、接続管が膨らみ部およびくびれ部と確実かつ均等に当接するので、ガタつきの少ない挿入が可能となり、内側および外側ロックリングにより内周面および外周面の両面から均等な力で係止されるのを許容する。したがって、この場合、接続管の固定態様は、接続管の取り付け精度や製作精度によらず極めて安定した信頼性の高い接続を得ることができる。
【0037】
ただし、内側ロックリングの膨らみ部または外側ロックリングのくびれ部は、必ずしも対向する外筒体の内周面または内筒体の外周面と接している必要はなく、また、内側ロックリングと外側ロックリングの両方を使用する場合も、内側ロックリングの膨らみ部と外側ロックリングのくびれ部とが互いに接している必要はない。膨らみ部またはくびれ部は、少なくとも収容部の間隙の一部を占有するようにその中へ突出していればよい。
【0038】
本発明においてロックリングの材料は、硬質でかつ適度な弾性を有するものであれば特に限定されるものではないが、プラスチック材料または金属材料から成形されていることが好ましい。特にプラスチック材料を使用する場合は、ポリフェニルサルホン(PPSU)樹脂またはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることが好ましい。
【0039】
本発明において、内側ロックリングと外側ロックリングの両方を使用する場合、内側ロックリングの爪部と外側ロックリングの爪部は、軸方向において互いに対向する位置で接続管を係止するように配置してもよく、また、軸方向において互いに異なる位置で接続管を係止するように配置してもよい。
【0040】
前者の配置の場合、接続管を内周面および外周面の対向する同じ位置から係止することができるので、比較的強固な接続を望む場合に有利である。また後者の配置の場合、爪部と対向する位置にシールリングなどのシール部材を配置することができるので、高いシール性を望む場合に有利である。
【0041】
したがって、後者の爪部の配置においてシールリングを配設する場合、内筒体の外周面において外側ロックリングの爪部と対向する位置にシールリングと前記シールリングを固定するための溝部を設けるか、若しくは外筒体の内周面において内側ロックリングの爪部と対向する位置にシールリングと前記シールリングを固定するための溝部を設けることが好ましい。特に外筒体と接続管の隙間にはチリや埃が入り込み易くシールリングも劣化し易いので、恒久的なシール性の確保を望む場合、シールリングを接続管の内側である内筒体の外周面に設けることがより有利となる。
【0042】
さらにこの場合、シールリングと対向する外側ロックリングの爪部は、軸方向において内側ロックリングの爪部より外部側へ配置することがより好ましい。なぜなら、このような配置であれば、内筒体外周面上のシールリングは内側ロックリングの爪部より必然的に軸方向外部側へ配置されるため、シールリングによりシールされる接続管のシール面が内側ロックリングの爪部により損傷を受けることがなくなるからである。
【0043】
内筒体の外周面または外筒体の内周面に配設されるシールリングとその溝部は、必ずしもそれらと対向する爪部の位置と関連して配置する必要はなく、また内筒体または外筒体の片面につき複数個配置することもできる。
【0044】
例えば、内筒体の外周面には、内側ロックリングを挟んでその前後に2以上のシールリングとその溝部を配置してもよく、または内側ロックリングの爪部より軸方向外部側へ2以上のシールリングとその溝部を配置することもできる。また同様に、外筒体の内周面には、外側ロックリングを挟んでその前後に2以上のシールリングとその溝部を配置してもよく、または外側ロックリングの爪部より軸方向外部側へ2以上のシールリングとその溝部を配置することもできる。また、2以上のシールリングの一部を内側ロックリングまたは外側ロックリングの爪部と対向する位置に配置することもできる。
【0045】
ただし、少なくとも1つのシールリングは、そのシール性能を低下させることがないよう、ロックリングの爪部により損傷を受ける可能性のある接続管のシール面と当接することがない、ロックリングの爪部より軸方向外部側へ配置することが好ましい。
【0046】
管継手の外筒体は、円周方向において摺動自在に遊嵌することができる。外筒体を継手本体にこのような方法により取り付けると、接続時若しくは接続後に接続管が受ける曲げ応力や回転モーメントを容易に逃がすことができ、信頼性の高い接続を得ることができるようになる。
【0047】
管継手の外筒体の先端は、軸方向において内筒体の先端より外部側へ突出していることが好ましい。管継手が落下などにより外部衝撃を受けるような場合、交換が容易な外筒体でその衝撃を受け止めることが可能となり、その結果、内筒体などの内部部品が保護される。また、このような構造は、接続管に曲げ応力などが生じた場合でも内筒体が破損するのを効果的に防止する。
【0048】
本発明による管継手の外筒体は、接続管が収容部の所定の位置まで挿入されたことを確認するための挿入確認開口を備えることができる。挿入確認口は外筒体の表裏面を貫通する開口であって、軸方向において外側ロックリングより内部側へ配置されるのが好ましい。これにより、接続管の先端の挿入確認が可能となり、接続管が管継手の収容部の中へ完全に挿入されたことを確認できるようになる。また、挿入確認開口の中には、接続管の挿入確認をより一層容易にするため、棒状の部品であって、その先端部に接続管の先端が当接することにより径方向外側へ向けて突出させるためのテーパー面が形成されている挿入確認手段を取り付けることもできる。
【0049】
本発明による管継手の収容部には、環状の部品であって、その一の端面(側面)には接続管の先端を受け入れるための環状の溝部が形成されており、他の端面(側面)は、その縁部が面取りまたはRが施されている挿入ガイドリングを配設することができる。
【0050】
挿入ガイドリングは、接続管挿入の際、その先端を覆って管継手の収容部の中を軸方向外部側から内部側へ向けて案内するため、接続管の端部が鋭利に切り取られている場合であっても、内側および外側ロックリング若しくはシールリングなど管継手の収容部が接続管により損傷されるのを防止する。したがって、挿入ガイドリングはナイロン樹脂などの表面が滑らかな材料から成形されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、接続管の引き戻し動作が全く不要で、ロック後にロックリングの形状が復元することがないため、ロックリングによる接続管の係止力が低減しないワンタッチ式の管継手を提供することができる。
【0052】
また、本発明によれば、管継手の接続管収容部の中に、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲したロックリングを備えることにより、接続管挿入時、ロックリングの爪部を有する自由端が周囲のテーパー壁との相互作用により接続管の内周面及び/又は外周面を押し付けるように変位することを特徴とするワンタッチ式の管継手を提供することができる。
【0053】
さらに、本発明によれば、歯または爪などの突起物を有するロックリングは、接続管の挿入前は接続管の表面と接触しない位置まで後退しているため接続管の内周面若しくは外周面を損傷することはないが、接続管の挿入後は接続管の表面にしっかりと食い込む位置へ変位するため接続管に対し高い係止力を発揮する。また、本発明によれば、シールリングとの相乗効果により従来にない高いシール効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によるワンタッチ式管継手の好ましい実施例の全体を示す斜視図である。
【図2】図1の管継手を、中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図である。
【図3】図1の管継手の内筒体を部分的に示す斜視図である。
【図4】図3の内筒体を、中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図である。
【図5】図1の管継手の外筒体を示す斜視図である。
【図6】図5の外筒体を、中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図である。
【図7】図1の管継手の内側ロックリングを示す斜視図である。
【図8】図7の内側ロックリングを、中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図である。
【図9】図1の管継手の外側ロックリングを示す斜視図である。
【図10】図9の外側ロックリングを、中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図である。
【図11】図1の管継手の一部を、中心軸を通る断面で切り取った場合の部分断面図である。
【図12】本発明によるワンタッチ式管継手の好ましい他の実施例の一部を、中心軸を通る断面で切り取った場合の部分断面図である。
【図13】図1の管継手の使用方法を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の一実施形態に係るワンタッチ式管継手について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
図1には、本発明の好ましい一実施形態に係るワンタッチ式管継手1の全体が示されている。図1を参照して理解されるように、本発明の管継手1はI字型に2つの接続管挿入ソケット2を有している。しかしながら、本発明の管継手は2つの接続管挿入ソケット2を有する場合に限定されるものではなく、例えば一方には本発明の接続管挿入ソケット2が配置され、他方には通常の受口または差口が連結されているような1つの接続管挿入ソケット2のみを有する場合や、T字型、十字型のように3つ以上の接続管挿入ソケット2が連結されている場合も含まれる。また、異なる管径用の接続管挿入ソケット2を組み合わせた管継手も含まれている。
【0057】
管継手1は管継手本体3、内筒体4、外筒体5、内側ロックリング6および外側ロックリング7から形成されており、いずれの部品も略筒形の形状を有している。また、本実施例1では、管継手本体3は内筒体4を含み、射出成形により一体的に成形されている(図3参照)。管継手本体3および内筒体4はその内部に流体を流すための通路開口部30を有しており、その先端部31は流体の抵抗を少なくするためにファンネル形状を有している。さらに、管継手1の生産性やコスト面などを重視する場合は、管継手本体3、内筒体4および外筒体5のすべての部品を射出成形等により一体的に成形することもできる。
【0058】
継手本体3、内筒体4及び/又は外筒体5の材料は比較的硬質なものであれば特に限定されるものではないが、プラスチック材料または金属材料から成形されていることが好ましい。特にプラスチック材料を使用する場合は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることが好ましい。
【0059】
図2の中に示されるように、内筒体4の軸方向内部側にはフランジ41が形成されており、フランジ41の外縁42へ外筒体5の内周面50に形成された環状の連結溝51を遊嵌することにより、外筒体5は内筒体4を含む継手本体3に対し同心に摺動自在に装着される。そして内筒体4と外筒体5との間には接続管を受け入れるための収容部10が形成される。
【0060】
外筒体5を継手本体3および内筒体4へ上述の方法により装着すると、接続時若しくは接続後に接続管が受ける曲げ応力や回転モーメントを容易に逃がすことができ、信頼性の高い接続を得ることができるようになる。
【0061】
また、本実施例1の外筒体5の先端52は、軸方向において内筒体4の先端43より外部側へ突出している。管継手1が落下などにより外部衝撃を受けるような場合、交換が容易な外筒体5でその衝撃を受け止めることが可能となり、その結果、内筒体4などの内部部品が保護される。また、このような構造は、接続管1に曲げ応力などが生じた場合でも内筒体4が破損するのを効果的に防止する。
【0062】
そして、管継手1の収容部10の中には、径方向へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する湾曲した内側ロックリング6および外側ロックリング7が、円周方向には摺動自在にそして軸方向には移動不可能に装着される。ただし、本発明において、ロックリングは内筒体4の外周面40および外筒体5の内周面50の両方に装着されている必要はなく、そのいずれか一方に装着されていればよい。しかしながら、管継手1の落下、溶剤の付着、踏み付けなどにより片方のロックリングが破損し得ることを考慮すると、本実施例1のような形態を採用することが好ましい。
【0063】
図3,4の中に示されるように、管継手1の内筒体4の外周面40には、内側ロックリング6を摺動自在に固定するための径方向に平行な固定壁44と軸方向外部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁45とが形成される。このため、内側ロックリング6は、内筒体4の固定壁44との関係で軸方向への移動が規制された固定端60を形成し、かつテーパー壁45との関係で軸方向への移動が可能な自由端61を形成するように固定壁44とテーパー壁45との間に装着することができる(図2参照)。なお、図示しないが、内側ロックリングはテーパー壁を固定壁より軸方向内部側へ形成することにより、その自由端も固定端より軸方向内部側へ形成した、図2に示される内側ロックリングとは逆向きの配置とすることもできる。
【0064】
また、図5,6の中に示されるように、本実施例1の管継手1の外筒体5の内周面50には、外側ロックリング7を摺動自在に固定するための径方向に平行な固定壁54と軸方向外部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁55とが形成される。このため、外側ロックリング7は、外筒体5の固定壁54との関係で軸方向への移動が規制された固定端70を形成し、かつテーパー壁55との関係で軸方向への移動が可能な自由端71を形成するように固定壁54とテーパー壁55との間に装着することができる(図2参照)。また、外筒体5の外周面53には、接続管から伝わる曲げ応力などに対抗するための補強リブ56が設けられている。なお、図示しないが、外側ロックリングはテーパー壁を固定壁より軸方向内部側へ形成することにより、その自由端も固定端より軸方向内部側へ形成した、図2に示される外側ロックリングとは逆向きの配置とすることもできる。
【0065】
図7,8には、本実施例1の管継手1で使用される内側ロックリング6の斜視図および中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図が示されている。
【0066】
内筒体4の外周面40に配置される内側ロックリング6は、径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部62と、軸方向へ沿って延びた複数のスリット63と、そして接続管を内側から係止するための爪部64を備えている。
【0067】
内側ロックリング6の膨らみ部62は、その断面形状においていわゆる尺取虫のような形状を有しており、径方向内側へ向けて押圧されると内筒体の外周面に沿うように変形し伸長する(図13参照)。このため、内側ロックリング6の周りには内外周面を貫通する軸方向に沿って延びた複数のスリット63が形成されており、これにより、膨らみ部62は材料の弾性領域内で破壊等することなく無理なく変形することができる。
【0068】
また、内側ロックリング6の爪部64は、接続管の表面を押圧するより接続管の抜けを防止するような形状を有していればよく、通常は単一または複数の爪状、歯状または鉤状の突起物からなる。
【0069】
その結果、図13を参照して理解されるように、接続管8が管継手1の収容部10の中へ挿入されると、内側ロックリング6の膨らみ部62は接続管8の内周面80により径方向内側へ向けて押圧され、そして内側ロックリング6の自由端61をテーパー壁45領域へ進入させるように変形する。そして、内側ロックリング6の自由端61は内筒体4のテーパー壁45との相互作用により、その自由端61に隣接して設けられている爪部64を接続管8の内周面80へ押し付けるように拡径する。このため、本実施例1の管継手1によれば、接続管8を挿入口11側へ引き戻すという無駄な操作をすることなく管継手1の収容部10の中に強固に係止することができる。また、ロック後に内側ロックリング6の形状が復元することがないため、内側ロックリング6による接続管8の係止力が低減することもない。
【0070】
したがって、内側ロックリング6の膨らみ部62は、接続管8を管継手1の収容部10の中へ挿入する時、その内周面80と当接するように内筒体4の外周面40から収容部10の中へ突出している。すなわち、内側ロックリング6の膨らみ部62は、その装着により少なくとも収容部10の間隙を部分的に占有するような形状を有している(図11参照)。
【0071】
一方、図9,10には、本実施例1の管継手1で使用される外側ロックリング7の斜視図および中心軸を通る断面で切り取った場合の断面図が示されている。
【0072】
外筒体5の内周面10に配置される外側ロックリング7は、上述された内側ロックリング6と同様に径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部72と、軸方向へ沿って延びた複数のスリット73と、そして接続管8を外側から係止するための爪部74を備えている。
【0073】
また、外側ロックリング7のくびれ部72は、その断面形状においていわゆる尺取虫のような形状を有しており、径方向外側へ向けて押圧されると外筒体5の内周面50に沿うように変形し伸長する。このため、外側ロックリング7の周りには内外周面を貫通する軸方向に沿って延びた複数のスリット73が形成されており、これにより、くびれ部72は材料の弾性領域内で破壊等することなく無理なく変形することができる。
【0074】
また、外側ロックリング7の爪部74は、接続管の表面を押圧するより接続管の抜けを防止するような形状を有していればよく、通常は単一または複数の爪状、歯状または鉤状の突起物からなる。
【0075】
その結果、図13を参照して理解されるように、接続管8が管継手1の収容部10の中へ挿入されると、外側ロックリング7のくびれ部72は接続管8の外周面81により径方向外側へ向けて押圧され、そして外側ロックリング7の自由端71をテーパー壁55領域へ進入させるように変形する。そして、外側ロックリング7の自由端71は外筒体5のテーパー壁55との相互作用により、その自由端71に隣接して設けられている爪部74を接続管8の外周面81へ押し付けるように縮径する。このため、本実施例1の管継手1によれば、接続管8を挿入口11側へ引き戻すという無駄な操作をすることなく管継手1の収容部10の中に強固に係止することができる。また、ロック後に外側ロックリング7の形状が復元することがないため、外側ロックリング7による接続管8の係止力が低減することもない。なお、接続管8の取り外しを望む場合は、外筒体5の取り外しを可能としておき、外筒体5を内筒体4から取り外すことによりロックリング6,7の係止を解除してやればよい。
【0076】
したがって、外側ロックリング7のくびれ部72は、接続管8を管継手1の収容部10の中へ挿入する時、その外周面81と当接するように外筒体5の内周面50から収容部10の中へ突出している。すなわち、外側ロックリング7のくびれ部72は、その装着により少なくとも収容部10の間隙を部分的に占有するような形状を有している(図11参照)。
【0077】
また、図11を参照して理解されるように、本実施例1の管継手1によれば、接続管8の挿入前、内側ロックリング6および外側ロックリング7はそれらの自由端61,71がテーパー壁45,55領域へ進入しない長さの膨らみ形状62またはくびれ形状72を保持している。このため、内側ロックリング6および外側ロックリング7の爪部64,74は、接続管8挿入前、内筒体4の外周面40または外筒体5の内周面50より奥まった位置へ、すなわち、挿入される接続管8の内周面80または外周面81と係止しない位置まで径方向内側または径方向外側へ後退している。
【0078】
このため、本実施例1の管継手1によれば、従来の移動式のロックリングを有するタイプの管継手や環状のロックリングが内部に固定されているタイプの管継手のように、接続管挿入時、接続管8の内周面80若しくは外周面81がロックリングの爪部64,74により損傷を受けることがない。また、本実施例1の管継手1によれば、後述するシールリングとの相乗効果により高いシール効果や接続管8の高い係止力を得ることができる。
【0079】
本実施例1の管継手1では、内側ロックリング6の膨らみ部62と外側ロックリング7のくびれ部72は、互いに対向するように配置されている。これは、接続管8を収容部10の中へ挿入する際、膨らみ部62およびくびれ部72と確実かつ均等に当接させることによりガタつきの少ない挿入を可能とすると共に、接続管8が内側ロックリング6および外側ロックリング7により内周面80および外周面81の両面から均等な力で係止されるようにしているからである。したがって、この場合、接続管8の固定態様は、接続管8の取り付け精度や製作精度によらず極めて安定した信頼性の高い接続を得ることができる。
【0080】
ただし、接続管8の挿入容易性をより重視するような場合、内側ロックリング6の膨らみ部62と外側ロックリング7のくびれ部72とは互いに接している必要はなく、それぞれが少なくとも収容部10の間隙の一部を占有するようにその中へ突出していればよい。
【0081】
本実施例1の管継手1においてロックリング6,7の材料は、硬質でかつ適度な弾性を有するものであれば特に限定されるものではないが、プラスチック材料または金属材料から成形されていることが好ましい。特にプラスチックを使用する場合は、ポリフェニルサルホン(PPSU)樹脂またはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることが好ましい。
【0082】
本実施例1の管継手1では、内側ロックリング6の爪部64と外側ロックリング7の爪部74は、軸方向において互いに異なる位置で接続管8を係止するように配置されている(図11参照)。これは、図13(c)の中に示されるように爪部74と対向する位置にシールリング9を配置することができるので、高いシール性を望む場合に有利だからである。
【0083】
したがって、本実施例1の管継手1では、外側ロックリング7の爪部74と対向する位置にシールリング9を配設するため、内筒体4の外周面40にシールリング9を固定するための溝部46が設けられている。特に、外筒体5と接続管8の隙間にはチリや埃が入り込み易くシールリングも劣化し易いので、恒久的なシール性の確保を望む場合、本実施例1のようにシールリング9を接続管8の内側である内筒体4の外周面40に設けることが好ましい。
【0084】
さらに、シールリング9と対向する外側ロックリング7の爪部74は、軸方向において内側ロックリング6の爪部64より外部側へ配置することがより好ましい。なぜなら、このような配置であれば、内筒体外周面40上のシールリング9は内側ロックリング6の爪部64より必然的に軸方向外部側へ配置されるため、シールリング9によりシールされる接続管8のシール面が内側ロックリング6の爪部64により損傷を受けることがなくなるからである。
【0085】
ただし、内筒体4の外周面40または外筒体5の内周面50に配設されるシールリングとその溝部は、必ずしもそれらと対向する爪部の位置と関連して配置する必要はなく、また内筒体4または外筒体5の片面につき複数個配置してもよい。したがって、本実施例1の管継手では、外側ロックリング7の爪部74と対向する位置に配置される上述のシールリング9の他に、内側ロックリング6を挟んでその後方に2番目のシールリング9’とその溝部46’が配置されている(図11参照)。
【0086】
なお、本発明によれば、図12の中に示されるように内側ロックリング6の爪部64と外側ロックリング7の爪部74を軸方向において互いに対向する位置で接続管8を係止するように配置してもよく、この場合、接続管8を内周面80および外周面81の対向し合う同じ位置から係止することができるので、比較的強固な接続を望む場合に有利となる。
【0087】
図11,13に示されるように、本実施例1の管継手1の外筒体5は、接続管8が収容部10の所定の位置まで挿入されたことを確認するための挿入確認開口57を備えている。挿入確認口57は外筒体5の表裏面を貫通する開口であって、軸方向において外側ロックリング7より内部側へ配置される。また、挿入確認開口57の中には、接続管8の挿入確認をより一層容易にするための棒状の部品101であって、その先端部102に接続管8の先端が当接することにより径方向外側へ向けて突出させるためのテーパー面102が形成されている挿入確認手段100が取り付けられている。なお、挿入確認開口57および挿入確認手段100は、他の図面の中では省略している。
【0088】
さらに、本実施例1の管継手1の収容部10には、図11,13に示されるように環状の部品111であって、その一の端面(側面)112には接続管の先端を受け入れるための環状の溝部113が形成されており、他の端面(側面)114は、その縁部が面取りまたはRが施されている挿入ガイドリング110が配設されている。
【0089】
挿入ガイドリング110は、接続管8挿入の際、その先端を覆って管継手1の収容部10の中を軸方向外部側から内部側へ向けて案内するため、接続管8の端部が鋭利に切り取られている場合であっても、内側および外側ロックリング6,7若しくはシールリング9など管継手1の収容部10が接続管8により損傷されるのを防止する。したがって、挿入ガイドリング110はナイロン樹脂などの表面が滑らかな材料から成形されていることが好ましい。なお、挿入ガイドリング110は、他の図面の中では省略している。
【0090】
図13(a)〜(b)には、本発明の好ましい一実施形態に係るワンタッチ式管継手1の使用方法を示す概要図が示されている。(a)は接続管8の挿入前の状態を示し、(b)は挿入途中、接続管8の先端が内側ロックリング6の膨らみ部62および外側ロックリング7のくびれ部72と当接している状態を示し、そして(c)は、接続管の挿入および固定が完了した状態を示している。
【0091】
図13(a)および(b)の中に示されるように、接続管8の先端は管継手1の挿入口11に装着されている挿入ガイドリング110の環状の溝部113の中へ当接し受け入れられ、そして収容部10の中を軸方向外部側から内部側へ向けて案内される。そして、接続管8が収容部10の中へ挿入されると、収容部10の中で互いに接している内側ロックリング6の膨らみ部62および外側ロックリング7のくびれ部72は接続管8の先端およびそれを覆う挿入ガイドリング110と当接し、それらにより径方向へ押し広げられる。
【0092】
この時、内側ロックリング6の膨らみ部62は接続管8の内周面80により径方向内側へ向けて押圧され、そして内側ロックリング6の自由端61をテーパー壁45領域へ進入させるように変形する。また、内側ロックリング6と同様に、外側ロックリング7のくびれ部72は接続管8の外周面81により径方向外側へ向けて押圧され、そして外側ロックリング7の自由端71をテーパー壁55領域へ進入させるように変形する(図13(b),(c)参照)。
【0093】
そして、図13(b)および(c)の中に示されるように、内側ロックリング6の自由端61は内筒体4のテーパー壁45との相互作用により、その自由端61に隣接して設けられている爪部64を接続管8の内周面80へ押し付けるように拡径し、そして外側ロックリング7の自由端71は外筒体5のテーパー壁55との相互作用により、その自由端71に隣接して設けられている爪部74を接続管8の外周面81へ押し付けるように縮径する。
【0094】
この結果、本実施例1の管継手1によれば、接続管8は挿入口側11へ引き戻すという無駄な操作をすることなく管継手1の収容部10の中に強固に係止される(図13(c)参照)。また、ロック後に内側ロックリング6および外側ロックリング7の形状が復元することがないため、両ロックリング6,7による接続管8の係止力が低減することもない。
【0095】
また、接続管8の先端が収容部10の所定の位置まで挿入されると、外筒体5の挿入確認開口57に設けられた挿入確認手段100は、接続管8の先端がそのテーパー面102に当接することにより外部へ突出し、接続管8が本実施例1の管継手1の中へ強固に固定されたことをオペレータへ知らせる。
【符号の説明】
【0096】
1 ・・・・・・・・・・・・・ ワンタッチ式管継手
2 ・・・・・・・・・・・・・ ソケット
3 ・・・・・・・・・・・・・ 管継手本体
30・・・・・・・・・・・・・ 通路開口部
31・・・・・・・・・・・・・ 先端部
4 ・・・・・・・・・・・・・ 内筒体
40・・・・・・・・・・・・・ 外周面
41・・・・・・・・・・・・・ フランジ
42・・・・・・・・・・・・・ 外縁
43・・・・・・・・・・・・・ 先端
44・・・・・・・・・・・・・ 固定壁
45・・・・・・・・・・・・・ テーパー壁
46,46’・・・・・ 溝部
5 ・・・・・・・・・・・・・ 外筒体
50・・・・・・・・・・・・・ 内周面
51・・・・・・・・・・・・・ 連結溝
52・・・・・・・・・・・・・ 先端
53・・・・・・・・・・・・・ 外周面
54・・・・・・・・・・・・・ 固定壁
55・・・・・・・・・・・・・ テーパー壁
56・・・・・・・・・・・・・ 補強リブ
57・・・・・・・・・・・・・ 挿入確認開口
6 ・・・・・・・・・・・・・ 内側ロックリング
60・・・・・・・・・・・・・ 固定端
61・・・・・・・・・・・・・ 自由端
62・・・・・・・・・・・・・ 膨らみ部
63・・・・・・・・・・・・・ スリット
64・・・・・・・・・・・・・ 爪部
7 ・・・・・・・・・・・・・ 外側ロックリング
70・・・・・・・・・・・・・ 固定端
71・・・・・・・・・・・・・ 自由端
72・・・・・・・・・・・・・ くびれ部
73・・・・・・・・・・・・・ スリット
74・・・・・・・・・・・・・ 爪部
8 ・・・・・・・・・・・・・ 接続管
80・・・・・・・・・・・・・ 内周面
81・・・・・・・・・・・・・ 外周面
9,9’・・・・・・・・・ シールリング
10・・・・・・・・・・・・・ 収容部
11・・・・・・・・・・・・・ 挿入口
100・・・・・・・・・・・ 挿入確認手段
101・・・・・・・・・・・ 棒状の部品
102・・・・・・・・・・・ テーパー面
110・・・・・・・・・・・ 挿入ガイドリング
111・・・・・・・・・・・ 環状の部品
112,114・・・ 端面(側面)
113・・・・・・・・・・・ 環状の溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体と、
径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁とを外周面に有し、そして前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、
前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、そして
径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を内側から係止するための爪部とを有し、かつ前記内筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記内筒体の外周面と摺接するように配置される筒状の内側ロックリングと、からなる管継手において、
接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記内側ロックリングの膨らみ部は前記接続管の内周面により径方向内側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記内側ロックリングはその自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記内側ロックリングの自由端は、前記内筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の内周面へ押し付けるように拡径されることを特徴とする前記管継手。
【請求項2】
継手本体と、
前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、
径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁とを内周面に有し、そして前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、そして
径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を外側から係止するための爪部とを有し、かつ前記外筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記外筒体の内周面と摺接するように配置される筒状の外側ロックリングと、からなる管継手において、
接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記外側ロックリングのくびれ部は前記接続管の外周面により径方向外側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記外側ロックリングはその自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記外側ロックリングの自由端は、前記外筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の外周面へ押し付けるように縮径されることを特徴とする前記管継手。
【請求項3】
継手本体と、
径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に拡径するテーパー壁とを外周面に有し、そして前記継手本体から軸方向外部側へ向けて延びた内筒体と、
径方向に平行な固定壁と、軸方向外部側または内部側へ向けて連続的に縮径するテーパー壁とを内周面に有し、そして前記内筒体の外側に装着することにより、前記内筒体との間に接続管を受け入れるための収容部を形成する外筒体と、
径方向内側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向外側へ向けて湾曲した膨らみ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を内側から係止するための爪部とを有し、かつ前記内筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記内筒体の外周面と摺接するように配置される筒状の内側ロックリングと、そして
径方向外側へ向けて押圧されると軸方向へ伸長するように変形する、少なくとも前記収容部の間隙を部分的に占有するように径方向内側へ向けて湾曲したくびれ部と、軸方向へ沿って延びた複数のスリットと、そして前記接続管を外側から係止するための爪部とを有し、かつ前記外筒体の固定壁とテーパー壁との間で前記外筒体の内周面と摺接するように配置される筒状の外側ロックリングと、からなる管継手において、
接続管を前記収容部の中へ受け入れる時、前記内側ロックリングの膨らみ部は前記接続管の内周面により径方向内側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記内側ロックリングはその自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記内側ロックリングの自由端は、前記内筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の内周面へ押し付けるように拡径され、かつ前記外側ロックリングのくびれ部は前記接続管の外周面により径方向外側へ向けて押圧され、そしてそれにより前記外側ロックリングはその自由端をテーパー壁領域へ進入させるように変形するため、前記外側ロックリングの自由端は、前記外筒体のテーパー壁との相互作用により前記爪部を前記接続管の外周面へ押し付けるように縮径されることを特徴とする前記管継手。
【請求項4】
前記継手本体および前記内筒体は、一体的に成形されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手。
【請求項5】
接続管挿入前、前記内側ロックリングの爪部は挿入される前記接続管の内周面と係止しない位置へ径方向内側へ後退しており、及び/又は前記外側ロックリングの爪部は挿入される前記接続管の外周面と係止しない位置へ径方向外側へ後退していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項6】
前記内側ロックリングの膨らみ部と前記外側ロックリングのくびれ部は、互いに対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の管継手。
【請求項7】
前記内側ロックリングの爪部と前記外側ロックリングの爪部は、軸方向において互いに異なる位置で前記接続管を係止するように配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の管継手。
【請求項8】
前記外側ロックリングの爪部は、軸方向において前記内側ロックリングの爪部より外部側へ配置されていることを特徴とする請求項7に記載の管継手。
【請求項9】
前記内筒体の外周面は、前記外側ロックリングの爪部と対向する位置にシールリングと、前記シールリングを固定するための溝部とを備えていることを特徴とする請求項8に記載の管継手。
【請求項10】
前記内側ロックリングの爪部と前記外側ロックリングの爪部は、軸方向において互いに対向する位置で前記接続管を係止するように配置されていることを特徴とする請求項3または4に記載の管継手。
【請求項11】
前記外筒体は、前記継手本体に円周方向へ摺動自在に装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項12】
前記外筒体の先端は、軸方向において前記内筒体の先端より外部側へ突出していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項13】
前記内筒体の外周面または前記外筒体の内周面は、前記接続管との間隙をシールするためのシールリングと、前記シールリングを固定するための溝部とを備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項14】
前記シールリングは、前記内側ロックリングの爪部または前記外側ロックリングの爪部と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項13に記載の管継手。
【請求項15】
前記外筒体は、軸方向において前記外側ロックリングより内部側へ挿入確認開口を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項16】
前記挿入確認開口は、先端部に前記接続管の先端が当接することにより径方向外側へ向けて突出させるためのテーパー面が形成されている棒状の挿入確認手段を備えていることを特徴とする請求項15に記載の管継手。
【請求項17】
前記収容部は、前記接続管の先端を受け入れるための環状の溝部を有する一の端面と、前記外側および内側ロックリング若しくは前記シールリングを損傷させないように縁部が面取りまたはRが施されている他の端面とを備え、そして前記接続管挿入の際、前記接続管の先端を覆って前記収容部の中を軸方向外部側から内部側へ向けて案内する環状の挿入ガイドリングを備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項18】
前記ロックリングは、プラスチック材料または金属材料から成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項19】
前記プラスチック材料は、ポリフェニルサルホン(PPSU)樹脂またはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることを特徴とする請求項18に記載の管継手。
【請求項20】
前記継手本体、前記内筒体及び/又は前記外筒体は、プラスチック材料または金属材料から成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。
【請求項21】
前記プラスチック材料は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂であることを特徴とする請求項20に記載の管継手。
【請求項22】
前記継手本体、前記内筒体および前記外筒体は、一体的に成形されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−230094(P2010−230094A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78716(P2009−78716)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】