説明

管路の内径測定装置、及び、管路の内径測定方法

【課題】管路の周方向の任意の位置において内径の測定を行うことのできる、管路の内径測定装置、及び、内径測定方法を提供すること。
【解決手段】内径測定装置1は、装置本体10と、この装置本体10に回転自在に設けられ、管路の径方向に移動可能な測定子31を有する測定ユニット11と、測定ユニット11の回転中心を管路の中心軸線CL上に位置させるセンタリング機構12と、測定ユニット11を管路の周方向に沿って回転させるモータ14とを備えている。そして、測定ユニット11を装置本体10に対して管路の周方向に沿って回転させることにより、管路の内面の測定子31が当接する位置を周方向に変更し、管路内面の周方向複数位置について内径をそれぞれ測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管路の内径を測定する装置、及び、測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、老朽化した既設管路の内面をライニングしたり、新しい管を挿入したりして、管路を補修することが行われている。このような補修を行う際に、管路内に設置するライニング材や挿入管等の径や材質等、補修材の各種条件を決定するために、補修対象である管路の内径を事前に測定しておくことが好ましい。ここで、従来においては、特に、既設管路が、その内部に作業員が入ることができない小口径管である場合などに、管路両端の開口部において内径を実測するだけで済ませていることが多かった。しかしながら、既設管路の製作精度(品質)によっては、管路の長さ方向に内径が一定しておらず、管路の長さ方向途中部の内径が開口部における内径と異なっていることも多い。また、既設管路内の一部に補修がなされており、部分的に内径が小さくなっている場合もある。
【0003】
上記の場合に、開口部で測定された内径に基づいて補修を行うと、管路の途中部における実際の内径が大きかった場合には補修材と管路内面との間に隙間が生じるし、逆に、実際の内径が小さかった場合には補修材を挿入できなくなる、あるいは、挿入された補修材にしわが生じるといった、様々な補修不良が生じることになる。そのため、小口径管であっても管路の途中部における内径を測定することが好ましい。
【0004】
特許文献1には、既設管路内を移動可能な管路の内径測定装置が開示されている。この特許文献1の内径測定装置は、本体部と、この本体部を管路の中心軸線上に保持するパンタグラフ部(センタリング手段)と、本体部周囲の周方向複数箇所に配置され、それぞれバネによって管路の内面に押しつけられた複数個の接触子を備えている。この装置においては、本体部が管路の長さ方向に移動したときに、管路内の内径が変化している箇所を通過する際に、その内径の変化量に応じて接触子が径方向に移動する。そして、その接触子の径方向移動量は、管路の長さ方向の移動量に変換された上で、本体部に設けられた変位計によって検出される。これにより、管路全長にわたって管路の内径を測定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−214958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の内径測定装置において、管路の断面形状が真円形状で周方向に内径が一定である場合には、本体部の周囲に配された接触子が、管路内面の、周方向におけるどの位置で測定しても測定された内径の値は変わらないことから、管路の内径を正確に測定できる。しかし、実際の既設管路においては、製作されたときの真円度が元々低い場合や、長期間の使用によって管路が変形している場合があり、管路の断面形状が扁平状、あるいは、いびつな形状になっていることがある。このような場合には、接触子が、管路内面の、周方向のどの位置に接触するかによって、変位計で検出される値が異なってくる。特許文献1の装置では、本体部の周囲に接触子が複数(4つ)配されているが、これら複数の接触子の周方向の位置はそれぞれ固定であり、管路内面の接触位置(内径の測定位置)を周方向に変更できない。従って、内径が極端に大きい位置、あるいは、極端に小さい位置においてのみ測定を行ってしまう虞があり、管路の内径を正しく把握(測定)できるとは言い難い。
【0007】
本発明の目的は、管路の周方向の任意の位置において内径の測定を行うことのできる、管路の内径測定装置、及び、内径測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
第1の発明の管路の内径測定装置は、装置本体と、前記装置本体に前記管路の周方向に沿って回転自在に設けられた測定ユニットであって、前記管路の径方向に移動可能な測定子と、前記測定子を前記管路の径方向に移動させてその先端を前記管路の内面に当接させる径方向駆動手段とを有し、前記測定子が径方向に移動してその先端が前記管路の内面に当接したときの、前記測定子の移動量が検出されるように構成された測定ユニットと、前記測定ユニットの回転中心を前記管路の中心軸線上に位置させるセンタリング手段と、前記測定ユニットを、前記装置本体に対して前記管路の周方向に沿って回転させる回転駆動手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、測定子を管路の径方向に移動させてその先端が管路の内面に当接したときの測定子の移動量を検出することによって、管路の内径を測定することができる。尚、測定子の移動量は、本発明の内径測定装置に備えられた検出手段によって検出されてもよいし、装置とは別に設置されたカメラ等によって検出されてもよい。
【0010】
さらに、測定ユニットの回転中心が、センタリング手段によって管路の中心軸線上に維持された状態で、回転駆動手段により測定ユニットを管路の周方向に沿って回転させることで、測定子が当接する管路内面の位置を周方向に変更し、管路内面の周方向複数箇所において内径の測定が可能となる。従って、周方向に関して任意の位置で管路の内径測定を行えることから、管路の断面形状が真円でなく、周方向に関して内径が一定でない場合の内径測定に有効である。
【0011】
第2の発明の管路の内径測定装置は、前記第1の発明において、前記径方向駆動手段で駆動されるときの前記測定子の移動軌跡が前記管路の中心軸線と交わるように、前記測定子の移動方向と直交する方向に関する位置を調整する位置調整手段を有することを特徴とするものである。
【0012】
管路の断面形状が真円でない場合、センタリング手段によって測定ユニットの回転中心と管路の中心(かなりいびつな管路断面の場合は面積中心)を完全に一致させることができず、若干ずれてしまうことがある。ここで、前記回転中心が管路の中心軸線に対して測定子の移動方向と直交する方向にずれた場合、測定子の移動軌跡は管路の中心を通らなくなり、内径を正しく測定できなくなる。本発明によれば、測定子の移動方向と直交する方向に関して、測定ユニットの回転中心が管路の中心軸線からずれている場合でも、測定子の移動軌跡が管路の中心軸線と交わるように、測定子の位置を調整できることから、管路の内径を正しく測定することが可能となる。
【0013】
第3の発明の管路の内径測定装置は、前記第1又は第2の発明において、前記測定ユニットは、2つの前記測定子と、前記2つの測定子を管路の径方向に沿って互いに逆方向にそれぞれ独立して移動させる2つの前記径方向駆動手段を有することを特徴とするものである。
【0014】
管路の断面形状が真円でない場合には、前記第2の発明において説明したような、測定ユニットの回転中心が、測定子の移動方向と直交する方向において管路の中心からずれる場合の他、測定子の移動方向においてもずれる場合もある。この場合、内径を測定する前(径方向への移動前)の測定子の初期位置が、本来の初期位置に対してその移動方向に関してずれてしまっているため、測定子が径方向に移動して先端が管路の内面に当接したときの移動量を検出しても、内径を正しく測定したことにならない。本発明によれば、測定ユニットが2つの測定子を有し、これら2つの測定子が2つの径方向駆動手段によって、径方向に沿って互いに逆方向に独立して駆動される。従って、測定子の初期位置が基準位置に対して測定子の移動方向にずれていても、2つの測定子の間でそのずれは相殺される。従って、2つの測定子を独立して移動させて管路の内面に当接したときの移動量をそれぞれ検出し、これらの移動量の和を採用することで、測定ユニットの回転中心のずれが内径の測定に影響を及ぼすことがなくなり、管路の内径を正しく測定できることになる。
【0015】
第4の発明の管路の内径測定装置は、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記センタリング手段は、前記装置本体の外側において周方向に等間隔で配置された複数のアウトリガーと、これら複数のアウトリガーをそれぞれ径方向に移動させるアウトリガー駆動手段とを有することを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、装置本体の外側に周方向等間隔で配置された複数のアウトリガーをそれぞれ径方向外側に移動させ、広げることによって、装置本体に回転自在に設けられた測定ユニットの回転中心を、管路の中心軸線上に位置させることができる。
【0017】
第5の発明の管路の内径測定装置は、前記第1〜第4の何れかの発明において、前記測定子は、その移動方向に沿って目盛りが刻まれたスケールであることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、測定子が管路の径方向に移動したときに、この測定子に刻まれた目盛りも変化することから、測定子の先端が管路の内面に当接したときの目盛りを読み取ることにより、測定子の移動量を検出することができる。
【0019】
第6の発明の管路の内径測定方法は、前記第1の発明の内径測定装置を用いた管路の内径測定方法であって、
前記装置本体を前記管路内の長さ方向途中部に設置する設置工程と、前記センタリング手段により、前記測定ユニットの回転中心を前記管路の中心軸線上に位置させるセンタリング工程と、前記径方向駆動手段により前記測定子を径方向に移動させ、この測定子の先端が前記管路の内面に当接したときの、前記測定子の移動量を検出することにより、前記管路の内径を測定する測定工程を備え、
前記測定工程において、前記回転駆動手段により、前記測定ユニットを前記装置本体に対して前記管路の周方向に沿って回転させることにより、前記管路の内面の前記測定子が当接する位置を周方向に変更し、前記管路内面の周方向複数位置について内径をそれぞれ測定することを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、測定工程において、測定子を径方向に移動させてその先端が管路の内面に当接したときの、測定子の移動量を検出することによって、管路の内径を測定することができる。さらに、センタリング工程で、測定ユニットの回転中心を管路の中心軸線上に維持した上で、測定ユニットを管路の周方向に沿って回転させることで、測定子が当接する管路内面の位置を周方向に変更し、管路内面の周方向複数箇所において内径の測定が可能となる。従って、周方向に関して任意の位置で管路の内径測定を行えることから、管路の断面形状が真円でなく、周方向に関して内径が一定でない場合の内径測定に有効である。
【0021】
第7の発明の管路の内径測定方法は、前記第6の発明において、前記測定工程において、前記径方向駆動手段により駆動されるときの前記測定子の移動軌跡が前記管路の中心軸線と交わるように、前記測定子の移動方向と直交する方向に関する位置を調整することを特徴とするものである。
【0022】
本発明によれば、測定子の移動方向と直交する方向に関して、測定ユニットの回転中心が管路の中心軸線からずれている場合でも、測定子の移動軌跡が管路の中心軸線と交わるように、測定子の位置を調整することで、管路の内径を正しく測定することが可能となる。
【0023】
第8の発明の管路の内径測定方法は、前記第6又は第7の発明において、前記測定ユニットは、管路の径方向に沿って互いに逆方向に移動可能な2つの前記測定子を有し、前記測定工程において、2つの前記測定子を互いに逆方向にそれぞれ独立して移動させ、これら2つの測定子がそれぞれ前記管路の内面に当接するまでの移動量から、前記管路の内径を測定することを特徴とするものである。
【0024】
本発明によれば、2つの測定子を径方向に沿って互いに逆方向に独立して移動させることで、測定ユニットの回転中心が中心軸線に対して測定子の移動方向にずれている場合でも、2つの測定子の間でそのずれを相殺することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の内径測定装置を用いて管路内の内径測定を行っている状態を示す図である。
【図2】内径測定装置(アウトリガー縮径状態)を示す図であり、(a)は前面図、(b)は側面図、(c)は後面図をそれぞれ示す。
【図3】内径測定装置(アウトリガー拡径状態)を示す図であり、(a)は前面図、(b)は側面図、(c)は後面図をそれぞれ示す。
【図4】測定ユニットの側面図である。
【図5】測定ユニットの前面図である。
【図6】測定ユニットの上面図である。
【図7】測定ユニット(内径測定前の状態)の後面図である。
【図8】測定ユニット(内径測定時)の後面図である。
【図9】1つの測定子を用いた内径測定と2つの測定子を用いた内径測定とを比較した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態の内径測定装置を用いて管路P内の内径測定を行っている状態を示す図である。本実施形態の内径測定装置1は、内部に作業者が入ることができない、小口径の既設管路(例えば、内径250mm程度の下水道管)を対象とし、このような小口径の既設管路の内面をライニング材で被覆して補修する際に、事前に管路Pの内径を測定するために使用される。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の内径測定装置1は、管路P内に設置され、ワイヤ2で牽引されることによって管路P内を移動可能である。また、後ほど詳述するが、内径測定装置1は、複数のアウトリガー13を広げることによって管路Pの中心軸線CL上に位置(センタリング)された状態で、管路Pの径方向に測定子31を移動させて、測定子31の先端を管路Pの内面に当接させるように構成されており、そのときの測定子31の移動量が、管路P内において内径測定装置1の後方を走行するテレビカメラ3で検出されることで、管路Pの内径を測定することが可能になっている。尚、以下では、図1における左方を前方、右方を後方と定義して説明する。
【0028】
次に、内径測定装置1の具体的な構成について説明する。図2はアウトリガー縮径状態の内径測定装置1を示す図、図3はアウトリガー拡径状態の内径測定装置1を示す図である。また、図2、図3のそれぞれにおいて、(a)は内径測定装置1の前面図、(b)は側面図、(c)は後面図を示す。尚、図3においては、内径測定装置1の内部構造が理解しやすくなるように、(b)や(c)において、断面図や透過図で示している。
【0029】
図1〜図3に示すように、内径測定装置1は、筒状の装置本体10と、この装置本体10の後端部に回転自在に設けられた測定ユニット11と、装置本体10の外側に配されたアウトリガー13を含み、測定ユニット11の回転中心を管路Pの中心軸線CL上に位置させるセンタリング機構12等を備えている。
【0030】
筒状の装置本体10の内部には、後述する測定ユニット11を回転駆動するモータ14や、センタリング機構12のアウトリガー13を駆動するエアシリンダ15が収容されている。尚、エアシリンダ15のロッド15aの端部には連結部材16及びワイヤ連結具17が連結され、図1に示すように、ワイヤ連結具17に連結されたワイヤ2を図示しないウインチで引き取ることにより、装置本体10を管路Pの長さ方向(図中左方)へ移動させることが可能になっている。
【0031】
測定ユニット11は、筒状の装置本体10の中心軸線を中心に、周方向に回転可能である。この測定ユニット11の構造については後ほど詳細に説明する。そして、センタリング機構12は、装置本体10の中心軸線を、管路Pの中心軸線CLと一致させることによって、測定ユニット11の回転中心を、管路Pの中心軸線CL上に位置させるように構成されている。
【0032】
センタリング機構12は、装置本体10の外側において周方向に等間隔で配置された8つのアウトリガー13と、これら8つのアウトリガー13を管路Pの径方向にそれぞれ駆動するエアシリンダ15(アウトリガー駆動手段)を有する。
【0033】
各アウトリガー13は一方向に長い形状を有し、その長さは装置本体10の全長よりも長くなっている。また、装置本体10が管路P内を移動した際に、アウトリガー13の端部が管路P内面にひっかかって傷つけてしまうことを防止するため、各アウトリガー13の両端部はそれぞれ径方向内側に湾曲した形状に形成されている。また、8つのアウトリガー13を駆動するエアシリンダ15は、装置本体10の後側部分の内部に収容されている。
【0034】
エアシリンダ15の駆動力は、以下の構成を有する伝達機構によって、8つのアウトリガー13に伝達される。まず、装置本体10の外周部には、装置本体10の軸方向に相対移動可能な2つの筒状のスライダ18,19が装着されている。2つのスライダ18,19は連結部材20によって互いに連結された上、さらに、連結部材16を介してエアシリンダ15のロッド15aの先端部に連結されており、ロッド15aの進退に連動して2つのスライダ18,19は装置本体10の軸方向(前後方向)に一体的にスライド移動する。一方、各アウトリガー13は、前後2つのリンク機構21によって装置本体10の外周部と連結されている。各リンク機構21は2つのリンク部材22,23で構成され、一方のリンク部材22は装置本体10の外周部に直接枢支連結されて、この枢支連結部は装置本体10の軸方向には移動不能である。また、他方のリンク部材23は、スライダ18(19)に枢支連結されており、この枢支連結部はスライダ18(19)とともに装置本体10に対して軸方向に移動可能である。
【0035】
図2は、エアシリンダ15のロッド15aが進出した状態であって、8つのアウトリガー13が装置本体10の外周に近い位置にある(縮径状態)。この状態から、エアシリンダ15のロッド15aが退入すると、このロッド15aの退入動作に伴って2つのスライダ18,19が装置本体10に対して後方(図2(b)の右方)へスライドする。すると、アウトリガー13と装置本体10を連結しているリンク機構21の、2つのリンク部材22,23の枢支連結部の距離が狭まる。これによって、図3のように、アウトリガー13が径方向外側へ移動して装置本体10の外周から離れ、管路Pの内面に押しつけられる(拡径状態)。そして、図1に示されるように、8つのアウトリガー13がそれぞれ径方向外側に移動して管路Pの内面に当接することで、8つのアウトリガー13の内側に位置している装置本体10の中心(測定ユニット11の回転中心)が、管路Pの中心軸線CL上に位置することになる。
【0036】
尚、アウトリガー13の数は特に限定されるものではないが、アウトリガー13の数が少ないと、装置本体10を持ち上げて管路Pの中心部に維持することが難しくなり、測定ユニット11の回転中心が管路Pの中心軸線CLからずれやすくなるという問題がある。逆に、アウトリガー13の数が多すぎると内径測定装置1の重量が大きくなり、取り扱いに支障が出る。これらの点を考慮して、本実施形態ではアウトリガー13の数を8つにしている。
【0037】
次に、測定ユニット11について詳細に説明する。図4は測定ユニット11の側面図、図5は測定ユニット11の前面図、図6は測定ユニット11の上面図、図7、図8は測定ユニット11の後面図である。但し、図7は内径測定前の状態、図8は内径測定時の状態をそれぞれ示している。また、図4〜図8では、図2、図3で表されているケース部材34の図示は省略している。さらに、図6は内部構造が分かるように一部断面で示している。図4〜図8に示すように、測定ユニット11は、ベース部材30と、ベース部材30に対して管路Pの径方向に沿って互いに逆方向に移動可能な2つの測定子31a,31bと、これら2つの測定子31a,31bをそれぞれ独立して移動させる2つのエアシリンダ32(径方向駆動手段)と、2つの測定子31a,31bをそれらの移動方向と直交する方向に移動させるモータ33(位置調整手段)等を備えている。尚、図2、図3に示されるように、ベース部材30、エアシリンダ32、及び、モータ33等の測定ユニット11の構成要素は、ケース部材34内に収容されることによって保護されている。
【0038】
ベース部材30は、装置本体10の後端部に管路Pの周方向に沿って回転自在に取り付けられている。また、ベース部材30の回転中心(即ち、測定ユニット11の回転中心)は、装置本体10の中心軸線上に位置するように構成されている。具体的には、図3に示すように、筒状の装置本体10内に、同心状に回転軸24が回転自在に配されており、この回転軸24にベース部材30が連結されている。また、回転軸24は、装置本体10内に収容されたモータ14(回転駆動手段)に連結されており、モータ14の回転駆動力が回転軸24を介してベース部材30に伝達され、ベース部材30(測定ユニット11)が装置本体10に対して回転する。
【0039】
尚、ベース部材30には、エアシリンダ32やモータ33が取り付けられている。そして、装置本体10側から回転軸24の内部を通して、ベース部材30に取り付けられたエアシリンダ32へのエア供給を行うことができるように、装置本体10とベース部材30は、ロータリージョイントによって接続されている。また、回転軸24の内部には、ベース部材30に取り付けられたモータ33に電力を供給する給電配線も配されている。
【0040】
図4〜図8に示すように、ベース部材30には、筒状部材35を介して、2つの測定子31a,31bや測定子31a,31bを駆動する2つのエアシリンダ32がベース部材30に取り付けられている。図6に示すように、筒状部材35はその側面においてベース部材30に取り付けられるとともに、ベース部材30に対してその筒軸方向に移動可能となっている。尚、この筒状部材35の移動方向は、後で詳述する2つの測定子31の移動方向(図6の紙面垂直方向)と直交する方向である。筒状部材35は、その内部に配されたネジ軸36と螺合連結されており、また、ベース部材30にはネジ軸36を回転駆動するモータ33(位置調整手段)が固定されている。そして、モータ33によってネジ軸36が回転駆動されて筒状部材35が筒軸方向に移動することにより、この筒状部材35に取り付けられた2つの測定子31の、その移動方向と直交する方向の位置を調整可能となっている。尚、図4〜図8は、2つの測定子31の先端が、測定ユニット11の回転中心C(図7、図8参照)を通る直線上を移動するときの状態(以下、基準状態ともいう)を示す図である。後で詳しく説明するが、測定ユニット11の回転中心Cが管路Pの中心軸線CL(図1参照)に一致していれば、図7や図8の基準状態を維持することで、2つの測定子31は管路Pの中心を通って管路Pの径方向に移動するのであるが、管路Pの中心軸線CL(図1参照)に対してずれている場合にそのずれを補正するために、基準状態に対して、測定子31の位置を調整できるようになっている。
【0041】
次に、測定子31と測定子31を駆動するエアシリンダ32の構成について詳細に説明する。図4〜図6に示すように、筒状部材35のベース部材30と反対側の側部には、2つのエアシリンダ32が、筒状部材35の移動方向(筒軸方向)に並べられた状態で固定されている。尚、図5からわかるように、2つのエアシリンダ32のロッド32aの進出方向は互いに逆方向になっている。2つのエアシリンダ32のロッド32aには2つの移動部材37がそれぞれ連結され、これら2つの移動部材37は対応するロッド32aの進退動作に応じて移動する。尚、図8に示されているように、各エアシリンダ32のシリンダ本体32bの外側面には、ロッド進退方向に延び、移動部材37の移動をガイドするガイド溝38が形成されている。
【0042】
図4、図7、図8に示すように、2つの移動部材37の後面にはそれぞれ2つの測定子31(31a,31b)が固定されている。これら2つの測定子31a,31bは、共に一方向に長尺な形状を有し、その長手方向が移動部材37の移動方向と平行であって、且つ、点対称な位置関係となるように取り付けられている。2つの測定子31a,31bのうち、一方の測定子31aは長さ方向に沿って目盛り40が刻まれたスケールであり、他方の測定子31bには測定子31aに刻まれた目盛りの所定位置を指し示す指示部41が取り付けられている。尚、図1〜図3に示されるように、2つの測定子31はケース部材34から露出しており、後方から確認できるようになっている。
【0043】
また、2つのエアシリンダ32に連結された2つの移動部材37の移動方向は互いに逆方向であるので、2つの測定子31の移動方向も互いに逆方向となる。また、各測定子31の先端部には、測定子31の長手方向(図中上下方向)と直交する方向であって、もう一方の測定子31側(内側)に突出する突出部39(39a,39b)が設けられている。図7、図8に示す基準状態にあるときには、2つの測定子31の突出部39は測定ユニット11の回転中心Cを通る直線上に沿って、互いに逆方向に移動することになる。また、前述したように、センタリング機構12によって測定ユニット11の回転中心Cが管路Pの中心軸線CL上に位置されているため、2つの測定子31の突出部39は、管路Pの直径方向においてそれぞれ逆方向に移動する。
【0044】
2つの測定子31は、2つのエアシリンダ32の駆動によってそれぞれ独立して移動し、それらの先端(突出部39)が管路Pの内面にそれぞれ当接する。このときの測定子31の移動量を検出することによって、管路Pの内径の測定が可能となる。具体的には、図7に示すように、測定前の初期状態では、2つのエアシリンダ32のロッド32aがそれぞれシリンダ本体32b内に退入しており、このとき、測定子31bの指示部41は、測定子31aに刻まれた目盛り40の端の位置を指している状態である。尚、図7では、指示部41が指している目盛りの値は130mmであるが、この初期値は、図7の初期状態における、2つの測定子31の先端間の距離である。そして、図7の初期状態から、2つの測定子31が管路Pの径方向に移動して管路Pの内面に当接したときのそれぞれの移動量を、前記初期値に足し合わすことによって、実際の管路Pの内径が測定されることになる。
【0045】
図7の初期状態から2つの測定子31の先端がそれぞれ管路Pの内面に当接するまでの間に、図8に示すように、目盛り40が刻まれた測定子31aは下方に移動するとともに、指示部41が設けられた測定子31bは上方に移動し、指示部41が指す目盛り40の値は、初期状態からの2つの測定子31のそれぞれの移動量を足した量だけ変化する。従って、2つの測定子31がそれぞれ管路Pの内面に当接してそれ以上移動しなくなった図8の状態において、指示部41が指している目盛り40の値が管路Pの内径となる(図8の例では指示部41が指している目盛り40の値である「208mm」)。ここで、先にも述べたが、測定子31はケース部材34から外(後方)に露出していることから、内径測定装置1の後方に位置するテレビカメラ3を用いて、指示部41が指している目盛り40の値を検出する(読み取る)ことで、内径を測定することが可能となる。
【0046】
ところで、管路Pの断面形状が真円形状であれば、管路Pの周方向のどの位置に測定子31を当接させても、測定される内径の値は変わらないが、管路Pの断面形状が扁平状、あるいは、いびつな形状になっている場合には、周方向に径が一定ではないために周方向の1カ所のみで内径の測定を行うだけでは、実際の内径を正しく測定できているとは言い難い。これに対して、本実施形態の内径測定装置1は、測定ユニット11全体が駆動モータによって回転駆動されるように構成されている。そして、測定ユニット11の回転中心Cが、センタリング機構12によって管路Pの中心軸線CL上に維持された状態で、モータ14により測定ユニット11を管路Pの周方向に沿って回転させることで、2つの測定子31が当接する管路P内面の位置を周方向に任意に変更できるため、管路Pの周方向360°にわたって内径の測定を行うことが可能である。
【0047】
また、管路Pの断面形状が真円でない場合、センタリング機構12によって測定ユニット11の回転中心Cと管路Pの中心(中心軸線CL)を完全に一致させることができず、少しずれてしまうことがある。具体的には、8つのアウトリガー13をそれぞれ径方向外側に移動させて拡径させたときに、管路Pの断面形状が扁平形状やいびつな形状になっていると、8つのアウトリガー13が管路Pの内面に押しつけられる力がばらつき、場合によっては一部のアウトリガー13が管路Pの内面に当接しなくなり、装置本体10及び測定ユニット11を安定して管路Pの中心軸線CL上に維持することが難しくなる。そこで、本実施形態では、測定ユニット11の回転中心Cが、管路Pの中心軸線CLからずれてしまった場合でも、測定子31によって管路Pの内径を正確に測定するための構成を備えている。尚、測定ユニット11の回転中心Cの、管路Pの中心軸線CLに対するずれの方向によって、そのずれの影響をなくすための対策は異なる。以下、測定ユニット11の回転中心Cが測定子31の移動方向(測定子31の長さ方向)に沿ってずれた場合と、測定子31の移動方向と直交する方向にずれた場合とに分けて説明する。
【0048】
(測定子移動方向への中心ずれ対策)
上述したように、本実施形態では、2つの測定子31a,31bを管路Pの径方向において逆方向にそれぞれ独立して移動させて、管路Pの内面に当接させる構成を採用している。この構成により、測定ユニット11の回転中心Cが、管路Pの中心軸線CLに対して測定子31の移動方向に沿ってずれている場合であっても、正確な内径測定を行うことができるようになっている。
【0049】
図9は、1つの測定子31を用いた内径測定と2つの測定子31(31a,31b)を用いた内径測定とを比較した説明図である。1つの測定子31のみで管路Pの内径を測定する場合、図9(a)のように、測定ユニット11(測定子31)の回転中心Cが管路Pの中心に対してずれていないときには、測定前の初期位置から図中下方に移動して管路Pの内面に当接するまでの測定子31の移動量はX1となる。しかし、図9(b)のように、回転中心Cが測定子31の移動方向に沿って、例えば、図中下方にずれている場合には、その回転中心Cのずれによって、測定前の初期位置が本来の位置からずれてしまっているため、初期位置から管路Pの内面に当接するまでの測定子31の移動量はX2となり、(a)のときの移動量X1よりも小さくなってしまう。そのため、管路Pの内径を正確に測定したことにはならない。
【0050】
一方、本実施形態では、図9(c)のように、2つの測定子31a,31bをそれぞれ逆方向に独立して移動させる。この構成において、(b)と同様に、測定ユニット11の回転中心Cが管路Pの中心に対して測定子31の移動方向にずれている場合には、図中下方に移動する測定子31aの移動量はX2となり、(a)のときの移動量X1よりも小さくなる。しかし、この測定子31aの移動量Xが小さくなった分だけ、図中上方に移動するもう1つの測定子31bの移動量Yが大きくなる(Y2)。つまり、2つの測定子31a,31bの間で回転中心Cのずれが相殺されることから、2つの測定子31のそれぞれの移動量の和から、管路Pの内径を正しく測定できることになる。
【0051】
(測定子移動方向と直交する方向への中心ずれ対策)
測定ユニット11の回転中心Cが、管路Pの中心軸線CLに対して測定子31の移動方向と直交する方向にずれた場合には、測定子31の移動軌跡が管路Pの中心軸線CLを通らなくなり、内径を正しく測定できなくなる。そこで、エアシリンダ32により駆動されるときの測定子31の移動軌跡が管路Pの中心軸線CLと交わるように、測定子31の移動方向と直交する方向の位置を、図7や図8に示される基準状態から調整する。具体的には、図6に示すように、モータ33によって筒状部材35をその筒軸方向に移動させることにより、筒状部材35に取り付けられた測定子31の、その移動方向と直交する方向の位置を調整する。このようにして、測定子31の移動軌跡が管路Pの中心軸線CLと交わるように測定子31の位置が調整されることで、2つの測定子31が管路Pの直径方向に移動することになり、管路Pの内径を正しく測定できることになる。
【0052】
尚、上述した内径測定装置1において、センタリング機構12のアウトリガー13を駆動するエアシリンダ15(アウトリガー駆動手段:図3参照)、測定ユニット11を回転駆動するモータ14(回転駆動手段:図3参照)、測定子31を径方向に移動させるエアシリンダ32(径方向駆動手段:図4〜図6参照)、及び、測定子31の位置調整用モータ(位置調整手段:図6参照)のそれぞれの動作は、内径測定装置1と接続されたコントロールボックス(図示省略)の操作によって制御されるようになっている。
【0053】
次に、上述した内径測定装置1を用いた管路Pの内径測定方法について主に図1を参照して説明する。まず、8つのアウトリガー13の縮径状態(図2の状態)で、内径測定装置1のワイヤ連結具17にワイヤ2を連結し、さらに、図示外のウインチでワイヤ2を引き取ることにより、内径測定装置1を管路P内に引き込む。そして、管路Pの長さ方向途中部の所定の測定位置に設置する(設置工程)。また、管路P内において、内径測定装置1の後方においてテレビカメラ3を走行させる。
【0054】
内径測定装置1を所定の測定位置に設置したら、エアシリンダ15により8つのアウトリガー13をそれぞれ径方向外側に移動させて、管路Pの内面に押し当てた拡径状態とし、装置本体10の中心軸線(即ち、測定ユニット11の回転中心)を管路Pの中心軸線CL上に位置させて、その状態を維持する(センタリング工程)。
【0055】
次に、測定ユニット11の2つのエアシリンダ32(図4〜図6参照)により2つの測定子31をそれぞれ管路Pの径方向外側に移動させ、それぞれの先端部(突出部39)が管路Pの内面に当接するまでの移動量を検出することにより、管路Pの内径を測定する(測定工程)。本実施形態においては、図7、図8に示されるように、測定子31bの指示部41が指している、測定子31aの目盛り40の値を、後方に位置するテレビカメラ3を用いて読み取ることによって、管路Pの内径を測定する。
【0056】
この測定工程において、装置本体10内に収容されたモータ14により、測定ユニット11を装置本体10に対して管路Pの周方向に沿って回転させて、管路Pの内面の測定子31が当接する位置を周方向に変更し、管路P内面の周方向複数位置について内径をそれぞれ測定する。そして、これら複数の測定値から1つ(例えば、最大値)を選択する、あるいは、平均値を取るなどして、内径の代表値を決定する。または、周方向複数箇所で測定された内径の値から、管路の断面形状を推測することもできる。このように、周方向に関して任意の複数の位置で管路Pの内径測定を行うことで、管路Pの断面形状が真円でなく、周方向に関して内径が一定でない場合でも、内径を正確に把握できる。
【0057】
ここで、測定工程において、測定ユニット11の回転中心が管路Pの中心軸線CLに対して、測定子31の移動方向(長手方向)と直交する方向にずれている、即ち、測定子31の移動軌跡が管路Pの中心軸線CLから外れていることが、テレビカメラ3によって確認できた場合には、図6に示されるモータ33によって、測定子31の移動軌跡が管路Pの中心軸線CLと交わるように、測定子31の移動方向(長手方向)と直交する方向の位置を調整する。これにより、2つの測定子31が管路の中心を通って直径方向に移動することになり、管路Pの内径を正しく測定できる。尚、モータ33による測定子31の移動量(調整量)をデジタル信号にして管路P外に設置された表示機に取り出し、表示機によってその移動量を表示し、位置調整を行うようにしてもよい。
【0058】
また、測定ユニット11の回転中心が管路Pの中心軸線CLに対して、測定子31の移動方向(長手方向)にずれている場合であっても、2つの測定子31をそれぞれ独立して移動させることにより2つの測定子31の間でそのずれが相殺されるため、管路Pの内径を正しく測定できる。
【0059】
このようにして、ある測定位置での内径測定が終了すると、一旦、図2に示されるように8つのアウトリガー13を縮径状態にした後に、再び、内径測定装置1をワイヤ2で牽引して前方へ所定距離移動させ、別の測定位置において内径測定を行う。尚、管路P内の測定位置については管路Pの長さや種類等に応じて適宜決定すればよいが、複数本の管が長さ方向に接続されることによって既設管路Pが構成されている場合、管単位で内径のばらつきが生じていることも多いため、1つの管について内径測定を少なくとも1回は行うようにする。
【0060】
以上のように、管路Pの途中部における内径を正しく測定し、その測定結果に基づいて、管路Pの補修材の径や材質といった各種条件を決定することができるため、補修不良が生じるのを極力防止できる。
【0061】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0062】
1]前記実施形態では、測定子31が管路Pの内面に当接したときの移動量を、内径測定装置1の後を走行するテレビカメラ3により目盛り40を読み取ることで検出していたが、内径測定装置自身が、測定子31の移動量を検出する検出手段を備えていてもよい。例えば、測定子31が管路Pの内面に当接したときの、エアシリンダ32のロッド伸張量(ストローク)から、測定子31の移動量が検出されるように構成されてもよい。あるいは、光学式センサ等の公知のセンサによって測定子31の移動量が検出されてもよい。
【0063】
2]センタリング機構12のセンタリング精度が高い、あるいは、管路Pの断面形状の非真円度がそれほど大きくない場合など、測定ユニット11の回転中心の、管路Pの中心軸線CLに対するずれが小さい場合には、内径測定に及ぼす影響は小さく、回転中心のずれへの対策は不要となる。この場合には、1つの測定子31のみで内径を測定するように構成されてもよい。あるいは、測定子31の、その移動方向と直交する方向の位置を調整するための構成(図6のモータ33やネジ軸36等)が省略されてもよい。
【0064】
3]内径測定装置が管路P内をスムーズに移動できるように、装置の外周部に車輪やローラ等が設けられてもよい。例えば、前記実施形態の内径測定装置1において、装置本体10を取り囲むように配置されている8つのアウトリガー13にそれぞれ車輪が取り付けられて、各車輪が管路Pの内面を走行するように構成されてもよい。また、内径測定装置1が前記車輪等を駆動するモータ等の駆動源を有し、管路P内を自走するように構成されてもよい。
【0065】
4]前記実施形態では、測定ユニット11の回転中心が管路Pの中心軸線からずれている場合に、モータ33(図6参照)によって測定子31を一方向(移動方向と直交する方向)に移動させて位置を調整しているが、この調整機構をもう1組設けて、直交する2方向の位置をそれぞれ調整できるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 内径測定装置
10 装置本体
11 測定ユニット
12 センタリング機構
13 アウトリガー
14 モータ(回転駆動手段)
15 エアシリンダ(アウトリガー駆動手段)
31a,31b 測定子
32 エアシリンダ(径方向駆動手段)
33 モータ(位置調整手段)
40 目盛り
C 回転中心
CL 中心軸線
P 管路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に前記管路の周方向に沿って回転自在に設けられた測定ユニットであって、前記管路の径方向に移動可能な測定子と、前記測定子を前記管路の径方向に移動させてその先端を前記管路の内面に当接させる径方向駆動手段とを有し、前記測定子が径方向に移動してその先端が前記管路の内面に当接したときの、前記測定子の移動量が検出されるように構成された測定ユニットと、
前記測定ユニットの回転中心を前記管路の中心軸線上に位置させるセンタリング手段と、
前記測定ユニットを、前記装置本体に対して前記管路の周方向に沿って回転させる回転駆動手段と、
を備えていることを特徴とする管路の内径測定装置。
【請求項2】
前記径方向駆動手段で駆動されるときの前記測定子の移動軌跡が前記管路の中心軸線と交わるように、前記測定子の移動方向と直交する方向に関する位置を調整する位置調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の管路の内径測定装置。
【請求項3】
前記測定ユニットは、
2つの前記測定子と、前記2つの測定子を管路の径方向に沿って互いに逆方向にそれぞれ独立して移動させる2つの前記径方向駆動手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の管路の内径測定装置。
【請求項4】
前記センタリング手段は、前記装置本体の外側において周方向に等間隔で配置された複数のアウトリガーと、これら複数のアウトリガーをそれぞれ径方向に移動させるアウトリガー駆動手段とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の管路の内径測定装置。
【請求項5】
前記測定子は、その移動方向に沿って目盛りが刻まれたスケールであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の管路の内径測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の内径測定装置を用いた管路の内径測定方法であって、
前記装置本体を前記管路内の長さ方向途中部に設置する設置工程と、
前記センタリング手段により、前記測定ユニットの回転中心を前記管路の中心軸線上に位置させるセンタリング工程と、
前記径方向駆動手段により前記測定子を径方向に移動させ、この測定子の先端が前記管路の内面に当接したときの、前記測定子の移動量を検出することにより、前記管路の内径を測定する測定工程を備え、
前記測定工程において、前記回転駆動手段により、前記測定ユニットを前記装置本体に対して前記管路の周方向に沿って回転させることにより、前記管路の内面の前記測定子が当接する位置を周方向に変更し、前記管路内面の周方向複数位置について内径をそれぞれ測定することを特徴とする管路の内径測定方法。
【請求項7】
前記測定工程において、前記径方向駆動手段により駆動されるときの前記測定子の移動軌跡が前記管路の中心軸線と交わるように、前記測定子の移動方向と直交する方向に関する位置を調整することを特徴とする請求項6に記載の管路の内径測定方法。
【請求項8】
前記測定ユニットは、管路の径方向に沿って互いに逆方向に移動可能な2つの前記測定子を有し、
前記測定工程において、2つの前記測定子を互いに逆方向にそれぞれ独立して移動させ、これら2つの測定子がそれぞれ前記管路の内面に当接するまでの移動量から、前記管路の内径を測定することを特徴とする請求項6又は7に記載の管路の内径測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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