説明

管路式水力発電方法および管路式水力発電システム

【課題】本発明は、水車の効率が悪くなる、小水位差の場所。水位差が1メートル以下で、水車の利用が難しい場所。このような場所で利用できる、効率の良い管路式水力発電方法および管路式水力発電システムを提供することを課題とする。
【解決手段】課題を解決するために、パスカルの原理と、ピストン等を組み合わせて、水位差を増幅する機能を水力発電に応用することにより、小水位差、1メートル以下の水位差の場所でも発電できる管路式水力発電方法および管路式水力発電システムが提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来利用できない小水位差の場所、たとえば、水位差が1メートル以下の管路の流れでも利用できる、管路式水力発電方法および管路式水力発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、管路と水車の組み合わせで、効率の良い水力発電機が多数考案されている。たとえば、特開H05−157038号公報には、設備の小型簡素化、及び、運転効率の高い装置が開示されている。特開H09−137437号公報には、ダムを作らずに容易に建設できる装置が開示されている。また、特開H11−081288号公報には、設置場所の制約が少ない装置が開示されている。
【特許文献1】特開H05−157038号公報
【特許文献2】特開H09−137437号公報
【特許文献3】特開H11−081288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水位差が1メートル以下の管路の流れになると、水車の効率が悪くなる。しかし、水車を使用しない管路式水力発電方法がなかった。
【0004】
小水位差では、管路を流れる流水の力が小さく、エネルギーの質が低い。そのため、そのエネルギーを利用するのが難しかった。しかも、水車を利用した方法では、そのエネルギーの質を高くする方法がなかった。従来から、このエネルギーの質を高くして、そのエネルギーを利用する管路式水力発電方法がなかった。
【0005】
小水位差では、管路を流れる流水の力が小さく、エネルギーの質が低い。そのため、流量の多い流れでも、エネルギー密度が低く、流れの量が持つエネルギーを利用するのが難しかった。従来から、このエネルギーの密度を高くして、その流量の多い流れが持つエネルギーを利用する管路式水力発電方法がなかった。
【0006】
1メートル以下の小水位差になると水車の効率が悪くなる。しかし、水車を使用しない管路式水力発電システムがなかった。
【0007】
小水位差では、管路を流れる流水の力が小さく、エネルギーの質が低い。そのため、そのエネルギーを利用するのが難しかった。しかも、水車を利用した方法では、そのエネルギーの質を高くする方法がなかった。従来から、このエネルギーの質を高くして、そのエネルギーを利用する管路式水力発電システムがなかった。
【0008】
小水位差では、管路を流れる流水の力が小さく、エネルギーの質が低い。そのため、流量の多い流れでも、エネルギー密度が低く、流れの量が持つエネルギーを利用するのが難しかった。従来から、このエネルギーの密度を高くして、その流量の多い流れが持つエネルギーを利用する管路式水力発電システムがなかった。
【0009】
本発明は、管路式水力発電方法、または、管路式水力発電システムがエネルギーの質、または、エネルギー密度を高くする機能を持つことにより、小水位差の場所でも利用できる方法、または、システムになる。このエネルギーの質、または、密度を高める機能を持つ管路式水力発電方法および管路式水力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明の管路式水力発電方法は、入り口側水位と出口側水位に水位差がある管路を流れる流水によって、発電する管路式水力発電方法において、前記管路の途中に配置され、シリンダと前記シリンダの内部の往復運動可能なピストンから構成され、前記管路を流れる流水を前記ピストンで遮断する構造にすることにより、前記ピストンの両面間に圧力差を発生させる方法を特徴とするとともに、前記シリンダの両端の接続口に切換弁が接続され、前記切換弁で前記ピストンの両面間の圧力差の方向を変えることにより、前記ピストンを往復運動させ、前記ピストンで発電機を駆動することを特徴とする。
【0011】
(第3発明)
第3発明の管路式水力発電システムは、入り口側水位と出口側水位に水位差がある管路を流れる流水によって、発電する管路式水力発電システムにおいて、前記管路の途中に配置され、シリンダと前記シリンダの内部の往復運動可能なピストンから構成され、前記管路を流れる流水を前記ピストンで遮断する構造のシリンダ部と、前記ピストンを往復運動させるため、前記シリンダの両端の各接続口に切換弁が接続され、前記接続口の接続先を前記管路の入り口側、または、前記管路の出口側に切換える前記切換弁から構成される切換弁部と、前記ピストンにより駆動される発電機部とから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、管路の途中にシリンダ部が配置されている。シリンダ部は、シリンダとその内部の往復運動可能なピストンから構成されている。そして、管路を流れる流水をピストンで遮断する構造になっている。この構造により、ピストンの両面間に圧力差が発生する。そして、ピストンの動く力は、この圧力差とピストンの断面積との積に比例する。このため、ピストンの断面積を大きくすると、ピストンの力が大きくなる。この特徴は、水位差を増幅する機能、または、エネルギー密度を高くする機能になる。また、エネルギーの質を高くする機能になる。このエネルギーの質を高くする機能を利用した方法により、小水位差で流れる流水の力が小さい管路で、大きいピストンの力で水力発電ができる。このように、エネルギーの質を高くして、そのエネルギーを利用する管路式水力発電方法になる。
【0013】
本発明によれば、小水位差で流れの力が小さく、エネルギー密度の小さい管路の流れでも、ピストンの断面積を大きくすることにより、大きい力を取り出すことができる。また、管路を流れる流量が多くなれば、ピストンの動く速度が速くなる。この方法により、発電機を大きい力と速い速度で駆動できる。このことにより、小水位差でエネルギー密度の低い管路の流れでも、流量に比例したエネルギーを取り出すことができる。このように、エネルギーの密度を高くして、その流量の多い流れが持つエネルギーが利用できる管路式水力発電方法になる。
【0014】
本発明によれば、管路の途中にシリンダ部が配置されている。シリンダ部は、シリンダとその内部の往復運動可能なピストンから構成されている。そして、管路を流れる流水をピストンで遮断する構造になっている。この構造により、ピストンの両面間に圧力差が発生する。そして、ピストンの動く力は、この圧力差とピストンの断面積との積に比例する。このため、ピストンの断面積を大きくすると、ピストンの力が大きくなる。この特徴は、水位差を増幅する機能、または、エネルギー密度を高くする機能になる。また、エネルギーの質を高くする機能になる。このエネルギーの質を高くする機能を利用した方法により、小水位差で流れる流水の力が小さい管路で、大きいピストンの力で水力発電ができる。このように、エネルギーの質を高くして、そのエネルギーを利用する管路式水力発電システムになる。
【0015】
本発明によれば、小水位差で流れの力が小さく、エネルギー密度の小さい管路の流れでも、ピストンの断面積を大きくすることにより、大きい力を取り出すことができる。また、管路を流れる流量が多くなれば、ピストンの動く速度が速くなる。この方法により、発電機を大きい力と速い速度で駆動できる。このことにより、小水位差でエネルギー密度の低い管路の流れでも、流量に比例したエネルギーを取り出すことができる。このように、エネルギーの密度を高くして、その流量の多い流れが持つエネルギーが利用できる管路式水力発電システムになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の管路式水力発電方法の基本原理の特徴を図1により説明する。なお、図1は管路式水力発電方法の基本部分の原理と特徴を説明するための図であり、切換弁部、発電機部などは省略してある。
【0017】
本発明の管路式水力発電方法の基本原理の特徴は、入り口側水位1Aと出口側水位2Aの間に水位差3Aがある管路10Aの途中にシリンダ部11Aが配置されている。そのシリンダ部11Aは、シリンダ12Aとその内部の往復運動可能なピストン13Aから構成されている。そして、ピストン13Aにより、管路10Aの流れを遮断する構造になっている。この構造が本発明の管路式水力発電方法の特徴となる。
【0018】
この構造により、ピストン13Aの両面間(入り口側水位1A面側と出口側水位2A面側の間)に圧力差が発生する。この圧力差の大きさは、水位差3Aに比例する。また、ピストン13Aの動きを止めると、管路10Aの流れが止まる。管路10Aの流れが止まると、ピストン13Aの両面間の圧力差が最大になる。
【0019】
そして、この圧力差により、ピストン13Aに水の流れと同方向の力が発生する。この力の大きさは、この圧力差とピストン13Aの断面積との積に比例する。これにより、ピストン13Aの動く力が、ピストン13Aの断面積により大きくできる。このことが、エネルギーの質、または、エネルギー密度を高める機能になる。
【0020】
管路10Aの断面積を大きくすると、管路10Aを流れる流量が多くなる。それにより、ピストン13Aの動く速度が速くなる。
【0021】
本発明の特徴は、管路10Aの途中に配置された、シリンダ部11Aの構造により、ピストン13Aの両面間に圧力差が発生する。そして、ピストン13Aが動く力は、ピストン13Aの断面積により大きくできる。このことが、エネルギーの密度、または、エネルギーの質を高める機能になる。また、管路10Aを流れる流量が多くなると、エネルギーの質を高める機能が働いた状態で、ピストン13Aの動く速度が速くなる。
【0022】
本発明は、これらの特徴により、小水位差のエネルギーの質の低い流れでも、エネルギーの質を高めて発電機を駆動することができる。また、流れる流量が多くても、エネルギーの質を高めた状態で、そのエネルギーを取り出すことができる管路式水力発電方法になる。
【0023】
また、図1では省略してある、ピストン13Aを往復運動させる切換弁部について簡単に説明する。シリンダ12Aの両端の一方に接続口A14A、他の一方に接続口B15Aが形成されている。そして、接続口A14Aは、3方切換弁を介して、入り口側管路16Aと出口側管路17Aに接続されている。また、接続口B15Aは、3方切換弁を介して、入り口側管路16Aと出口側管路17Aに接続されている。この3方切換弁は、接続口A14Aと接続口B15Aを入り口側管路16A、または、出口側管路17Aのどちらかに接続する構造になっている。
【0024】
この構造により、接続口A14Aを3方切換弁により入り口側管路16Aに接続する。そして、接続口B15Aを3方切換弁により出口側管路17Aに接続する。これにより、ピストン13Aが入り口側管路16Aに接続された側から、出口側管路17Aに接続された側に動く。そして、センサー等で、ピストン13Aの位置を検知して、接続口A14Aを3方切換弁により出口側管路17Aに接続する。そして、接続口B15Aを3方切換弁により入り口側管路16Aに接続する。これにより、ピストン13Aが反対方向に動く。このように、シリンダ12Aの両端の接続口の接続先を切換弁により切り換えることにより、ピストン13Aが往復運動をする。
【0025】
また、本発明のサイホンを利用したサイホン管路式水力発電方法の基本原理の特徴を図2により説明する。なお、図2はサイホンを利用したサイホン管路式水力発電方法の基本部分の原理と特徴を説明するための図であり、切換弁部、発電機部などは省略してある。
【0026】
本発明のサイホン管路式水力発電方法の基本原理の特徴は、入り口側水位1Bと出口側水位2Bの間に水位差3Bがあるサイホン管路10Bの途中にシリンダ部11Bが配置されている。そのシリンダ部11Bは、シリンダ12Bとその内部の往復運動可能なピストン13Bから構成されている。そして、ピストン13Bにより、サイホン管路10Bの流れを遮断する構造になっている。この構造が本発明のサイホン管路式水力発電方法の特徴となる。
【0027】
この構造により、ピストン13Bの両面間(入り口側水位1B面側と出口側水位2B面側の間)に圧力差が発生する。この圧力差の大きさは、水位差3Bに比例する。また、ピストン13Bの動きを止めると、サイホン管路10Bの流れが止まる。サイホン管路10Bの流れが止まると、ピストン13Bの両面間の圧力差が最大になる。
【0028】
そして、この圧力差により、ピストン13Bに水の流れと同方向の力が発生する。この力の大きさは、この圧力差とピストン13Bの断面積との積に比例する。これにより、ピストン13Bの動く力が、ピストン13Bの断面積により大きくできる。このことが、エネルギーの質、または、エネルギー密度を高める機能になる。
【0029】
サイホン管路10Bの断面積を大きくすると、サイホン管路10Bを流れる流量が多くなる。それにより、ピストン13Bの動く速度が速くなる。
【0030】
本発明の特徴は、サイホン管路10Bの途中に配置された、シリンダ部11Bの構造により、ピストン13Bの両面間に圧力差が発生する。そして、ピストン13Bが動く力は、ピストン13Bの断面積により大きくできる。このことが、エネルギーの密度、または、エネルギーの質を高める機能になる。また、サイホン管路10Bを流れる流量が多くなると、エネルギーの質を高める機能が働いた状態で、ピストン13Bの動く速度が速くなる。
【0031】
本発明は、これらの特徴により、小水位差のエネルギーの質の低い流れでも、エネルギーの質を高めて発電機を駆動することができる。また、流れる流量が多くても、エネルギーの質を高めた状態で、そのエネルギーを取り出すことができるサイホン管路式水力発電方法になる。
【0032】
また、図2では省略してある、ピストン13Bを往復運動させる切換弁部について簡単に説明する。シリンダ12Bの両端の一方に接続口A14B、他の一方に接続口B15Bが形成されている。そして、接続口A14Bは、3方切換弁を介して、入り口側サイホン管路16Bと出口側サイホン管路17Bに接続されている。また、接続口B15Bは、3方切換弁を介して、入り口側サイホン管路16Bと出口側サイホン管路17Bに接続されている。この3方切換弁は、接続口A14Bと接続口B15Bを入り口側サイホン管路16B、または、出口側サイホン管路17Bのどちらかに接続する構造になっている。
【0033】
この構造により、接続口A14Bを3方切換弁により入り口側サイホン管路16Bに接続する。そして、接続口B15Bを3方切換弁により出口側サイホン管路17Bに接続する。これにより、ピストン13Bが入り口側サイホン管路16Bに接続された側から、出口側サイホン管路17Bに接続された側に動く。そして、センサー等で、ピストン13Bの位置を検知して、接続口A14Bを3方切換弁により出口側サイホン管路17Bに接続する。そして、接続口B15Bを3方切換弁により入り口側サイホン管路16Bに接続する。これにより、ピストン13Bが反対方向に動く。このように、シリンダ12Bの両端の接続口の接続先を切換弁により切り換えることにより、ピストン13Bが往復運動をする。
【0034】
サイホンを利用することにより、入り口側水位1Bより高い位置に、サイホン管路10Bの一部分、シリンダ部11B、などが設置できる。また、図示していない切換弁部、発電機部、なども同様に設置できる。これにより、川の流れの部分の工事が簡単になり、設置工事が容易になる。
【0035】
以上のように、本発明の管路式水力発電方法とサイホン管路式水力発電方法は基本原理と特徴が同等で、管路式水力発電方法にサイホン管路式水力発電方法が含まれる。
【実施例1】
【0036】
図3は、実施例1の管路式水力発電システム100Aを説明するための図である。
【0037】
実施例1の管路式水力発電システム100Aは、管路110Aの入り口側水位111Aと出口側水位112Aの間に水位差113Aがある。水はこの水位差113Aにより、管路110Aを入り口側から出口側に向かって流れている。管路110Aの途中に切換弁部120Aとシリンダ部130Aが配置されている。
【0038】
切換弁A121Aと切換弁B122Aは、シリンダ131Aの接続口A135Aに接続されている。また、切換弁C123Aと切換弁D124Aは、シリンダ131Aの接続口B136Aに接続されている。切換弁部120Aを介してシリンダ131Aが管路110Aに接続されている。
【0039】
そして、切換弁部120Aは、シリンダ131Aへ流れる流水の向きを切換えて、ピストン132Aを往復運動させる働きをする。
【0040】
シリンダ部130Aは、シリンダ131Aの内部にピストン132Aが形成されている。そして、ピストン132Aはピストン用軸137Aとともに往復運動するように形成されている。
【0041】
シリンダ131Aの上部に真空ポンプA150Aと真空ポンプB151Aが取り付けられている。この2機の真空ポンプは、サイホンを利用した管路のとき、ピストンA面133A側は真空ポンプA150Aで、ピストンB面134A側は真空ポンプB151Aでシリンダ131A内の空気抜きをして、サイホンが確実に作用するようにする。なお、サイホンを利用しない場合は空気抜き弁で代用できる。
【0042】
ピストン132Aは、切換弁A121Aと切換弁D124Aが開くことにより、ピストンA面133A側が入り口側水位111A、ピストンB面134A側が出口側水位112Aに接続される。このことにより、ピストンA面133AがピストンB面134Aより、圧力が高くなりピストン132Aは、ピストンB面134Aの方向へ移動する。
【0043】
また、ピストン132Aは、切換弁B122Aと切換弁C123Aが開くことにより、ピストンA面133A側が出口側水位112A、ピストンB面134A側が入り口側水位111Aに接続される。このことにより、ピストンB面134AがピストンA面133Aより、圧力が高くなりピストン132Aは、ピストンA面133Aの方向へ移動する。
【0044】
このように、切換弁A121Aと切換弁D124Aの組と、切換弁B122Aと切換弁C123Aの組を交互に作動させることにより、ピストン132Aが往復運動をする。
これらの切換弁の制御は、ピストン132Aの位置をセンサーで検知して制御コントローラー(図3に図示していない)で、これらの切換弁をタイミング良く作動させて、ピストン132Aを往復運動させている。
【0045】
発電機部140Aは、ピストン132Aとともに往復運動をするピストン用軸137Aから、連接棒142Aと弾み車付歯車141Aによって回転運動に変換して、弾み車付歯車141Aにより発電機144Aが回転する構造になる。
【0046】
なお、図3の図面では、管路110A、切換弁部120A、シリンダ部130A、発電機部140Aの各位置関係、及び高さ関係は、表示していない。
【実施例2】
【0047】
図4は、実施例2の管路式水力発電システム100Bを説明するための図である。
【0048】
実施例2の管路式水力発電システム100Bは、管路110Bの入り口側水位111Bと出口側水位112Bの間に水位差113Bがある。水はこの水位差113Bにより、管路110Bを入り口側から出口側に向かって流れている。管路110Bの途中に切換弁部120Bとシリンダ部130Bが配置されている。
【0049】
切換弁A121Bと切換弁B122Bは、シリンダA131Bの接続口A137Bに接続されている。また、切換弁C123Bと切換弁D124Bは、シリンダB132Bの接続口B138Bに接続されている。切換弁部120Aを介してシリンダA131BとシリンダB132Bが管路110Aに接続されている。
【0050】
そして、切換弁部120Bは、シリンダ部130Bへ流れる流水の向きを切換えて、ピストンA133BとピストンB134Bを往復運動させる働きをする。
【0051】
シリンダ部130Bは、シリンダA131BとシリンダB132Bがあり、各シリンダの内部にピストンA133BとピストンB134Bが形成されている。そして、ピストンA133BとピストンB134Bは、ピストン連結ワイヤ141Bで連結されている。ピストンA133BとピストンB134Bは、連結ワイヤ141Bと滑車A142Bと滑車B143Bとで往復運動可能に形成されている。
【0052】
シリンダ部130BのピストンA133BとピストンB134Bは、図3の実施例1のシリンダ部130Aのピストン132Aと異なり、実施例1のピストン132Aを2つに分割して、そのピストンを連結した構造になっている。シリンダとピストンを分割することにより、ピストンの往復運動を容易に回転運動にして、取り出すことができる。
【0053】
実施例1のピストン132Aの両面のピストンA面133AとピストンB面134Aは実施例2のピストンA133BのピストンA面135BとピストンB134BのピストンB面136Bは機能が同じになる。
【0054】
ピストンA133BとピストンB134Bの作動は、実施例1のピストン132Aと同じ原理で、ピストンA133BとピストンB134Bを一体と考えて問題ない。
【0055】
ピストンA133BとピストンB134Bの上部に真空ポンプA160Bと真空ポンプB161Bが取り付けられている。この2機の真空ポンプは、サイホンを利用した管路のとき、ピストンA面135B側は真空ポンプA160Bで、ピストンB面136B側は真空ポンプB161Bで空気抜きをして、サイホンが確実に作用するようにする。なお、サイホンを利用しない場合は空気抜き弁で代用できる。
【0056】
シリンダA131B側の切換弁A121Bと、シリンダB132B側の切換弁D124Bが開くことにより、ピストンA面135B側が入り口側水位111Bに、ピストンB面136B側が出口側水位112Bに接続される。このことにより、ピストンA面135BがピストンB面136Bより圧力が高くなる。この結果、ピストンA133Bは上昇して、ピストンB134Bは下降する。
【0057】
また、シリンダA131B側の切換弁B122Bと、シリンダB132B側の切換弁C123Bが開くことにより、ピストンA面135B側が出口側水位112Bに、ピストンB面136B側が入り口側水位111Bに接続される。このことにより、ピストンB面136BがピストンA面135Bより圧力が高くなる。この結果、ピストンB134Bは上昇して、ピストンA133Bは下降する。
【0058】
切換弁A121Bと切換弁D124Bの組と、切換弁B122Bと切換弁C123Bの組を交互に作動させることにより、ピストンA133BとピストンB134Bがピストン連結ワイヤ141Bとともに往復運動をする。これらの切換弁の制御は、ピストンA133BとピストンB134Bの各位置をセンサーで検知して制御コントローラー(図3に図示していない)で、これらの切換弁をタイミング良く作動させて、ピストンA133BとピストンB134Bを往復運動させている。
【0059】
発電機部140Aは、ピストン連結ワイヤ141Bにより滑車A142Bと滑車B143Bが正逆回転する。滑車A142Bに一方向クラッチA144Bと歯車A148Bが取り付けられている。滑車B143Bに一方向クラッチC146Bと歯車C150Bが取り付けられている。この構造により、歯車A148Bと歯車C150Bが一方向クラッチA144Bと一方向クラッチC146Bの機能により、歯車A148Bは正回転のとき、歯車C150Bは逆回転のとき回転する。
【0060】
また、歯車A148Bと歯車C150Bに、各噛み合っている歯車B149Bと歯車D151Bは、それぞれ一方向クラッチB145Bと一方向クラッチD147Bを介して発電機駆動用軸152Bに取り付けられている。この構造により、発電機駆動用軸152Bが一方向に回転する。
【0061】
発電機駆動用軸152Bは、弾み車153Bと発電機154Bを駆動する構造になっている。
【0062】
なお、図4の図面では、管路110B、切換弁部120B、シリンダ部130B、発電機部140Bの各位置関係、及び高さ関係は、表示していない。
【0063】
図5に本発明のサイホン管路式水力発電システム100の設置概要図を示している。サイホンを利用して、入り口側水位111より高い位置に、サイホン管路式水力発電システム100が配置できる。これにより、堤防の上115などにサイホン管路式水力発電システム100を容易に設置する事ができる。このため、川の流れの部分の工事が簡単になり、設置工事が容易にできる。また、管路に可とう性のあるチューブを使用することにより携帯型管路式水力発電システムになる。
【0064】
なお、図3の実施例1では、切換弁A121Aと切換弁B122Aは3方弁にすると1個の弁で代替できる。また切換弁C123Aと切換弁D124Aも3方弁にすると1個の弁になる。図4の実施例2では、切換弁A121Bと切換弁B122Bは3方弁にすると1個の弁で代替できる。また切換弁C123Bと切換弁D124Bも3方弁にすると1個の弁になる。
【0065】
なお、請求項のピストンの両面間とは、図1では、ピストン13Aの入り口側水位1A面側と出口側水位2A面側の間、図2では、ピストン13Bの入り口側水位1B面側と出口側水位2B面側の間、図3では、ピストン132AのピストンA面133AとピストンB面134Aの間、図4では、ピストンA133BのピストンA面135BとピストンB134BのピストンB面136Bの間になる。
【0066】
なお、請求項のシリンダの両端とは、図1では、接続口A14Aと接続口B15Aになる。図2では、接続口A14Bと接続口B15Bになる。図3の実施例1では、シリンダ131Aの接続口A135Aと、接続口136Aになる。また、図4の実施例2では、一端がシリンダA131Bの接続口A137Bで、他の一端がシリンダB132Bの接続口138Bになる。
【0067】
なお、本発明の明細書に記載される、エネルギーの密度とエネルギーの質について、位置エネルギーを例に説明する。位置エネルギーは重力加速度と質量と高さの積になる。このため、質量を2倍にして高さを半分にしても、位置エネルギーの大きさは変わらない。しかし、単位質量当りのエネルギーが小さくなる。このことを、本発明ではエネルギー密度が低いと表記している。また、本発明では高さの大きい位置エネルギーをエネルギーの質が高いと表記している。そして、エネルギーの密度が高いエネルギーをエネルギーの質が高いと表記している。他のエネルギーも同様に考える。
【0068】
なお、エネルギーの質が高い方が、そのエネルギーを利用するのが容易になる。水車を例にとると、落差(水位差)が少なくなると、使用できる水車の種類が少なくなる。条件を考えなければ、エネルギーの質が高ければ、どの水車でもその水車に応じた効率でエネルギーを取り出すことができる。しかし、エネルギーの質が低くなると、水車により、効率良くエネルギーを取り出すことができなくなる。
【0069】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例に記載されている水力発電機は、公知または周知のものを使用することができる。本実施例に記載されている管路式水力発電システムの各部は、錆びない部材が望ましく公知または周知の金属および合成樹脂部材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の管路式水力発電方法の基本原理の特徴を説明するための図である。
【図2】本発明のサイホンを利用したサイホン管路式水力発電方法の基本原理の特徴を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例1である管路式水力発電システムを説明するための図である。
【図4】本発明の実施例2である管路式水力発電システムを説明するための図である。
【図5】本発明のサイホンを利用したサイホン管路式水力発電システムの設置概要図である。
【符号の説明】
【0071】
100・サイホン管路式水力発電システム 111・・入り口側水位
112・・出口側水位 113・・水位差
114・・川底 115・・堤防の上
1A・・・入り口側水位 1B・・・入り口側水位
2A・・・出口側水位 2B・・・出口側水位
3A・・・水位差 3B・・・水位差
10A・・管路 10B・・サイホン管路
11A・・シリンダ部 11B・・シリンダ部
12A・・シリンダ 12B・・シリンダ
13A・・ピストン 13B・・ピストン
14A・・接続口A 14B・・接続口A
15A・・接続口B 15B・・接続口B
16A・・入り口側管路 16B・・入り口側サイホン管路
17A・・出口側管路 17B・・出口側サイホン管路
100A・管路式水力発電システム 100B・管路式水力発電システム
110A・管路 110B・管路
111A・入り口側水位 111B・入り口側水位
112A・出口側水位 112B・出口側水位
113A・水位差 113B・水位差
120A・切換弁部 120B・切換弁部
121A・切換弁A 121B・切換弁A
122A・切換弁B 122B・切換弁B
123A・切換弁C 123B・切換弁C
124A・切換弁D 124B・切換弁D
130A・シリンダ部 130B・シリンダ部
131A・シリンダ 131B・シリンダA
132A・ピストン 132B・シリンダB
133A・ピストンA面 133B・ピストンA
134A・ピストンB面 134B・ピストンB
135A・接続口A 135B・ピストンA面
136A・接続口B 136B・ピストンB面
137A・ピストン用軸 137B・接続口A
140A・発電機部 138B・接続口B
141A・弾み車付歯車 140B・発電機部
142A・連接棒 141B・ピストン連結ワイヤ
143A・発電機用歯車 142B・滑車A
144A・発電機 143B・滑車B
150A・真空ポンプA 144B・一方向クラッチA
151A・真空ポンプB 145B・一方向クラッチB
146B・一方向クラッチC
147B・一方向クラッチD
148B・歯車A
149B・歯車B
150B・歯車C
151B・歯車D
152B・発電機駆動軸
153B・弾み車
154B・発電機
160B・真空ポンプA
161B・真空ポンプB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入り口側水位と出口側水位に水位差がある管路を流れる流水によって、
発電する管路式水力発電方法において、
前記管路の途中に配置され、
シリンダと前記シリンダの内部の往復運動可能なピストンから構成され、
前記管路を流れる流水を前記ピストンで遮断する構造にすることにより、
前記ピストンの両面間に圧力差を発生させる方法を特徴とするとともに、
前記シリンダの両端の接続口に切換弁が接続され、
前記切換弁で前記ピストンの両面間の圧力差の方向を変えることにより、
前記ピストンを往復運動させ、前記ピストンで発電機を駆動する
ことを特徴とする管路式水力発電方法。
【請求項2】
前記管路が、サイホンを利用するサイホン管路になることを特徴とする、
請求項1に記載された管路式水力発電方法。
【請求項3】
入り口側水位と出口側水位に水位差がある管路を流れる流水によって、
発電する管路式水力発電システムにおいて、
前記管路の途中に配置され、
シリンダと前記シリンダの内部の往復運動可能なピストンから構成され、
前記管路を流れる流水を前記ピストンで遮断する構造のシリンダ部と、
前記ピストンを往復運動させるため、
前記シリンダの両端の各接続口に切換弁が接続され、
前記接続口の接続先を前記管路の入り口側、
または、前記管路の出口側に切換える前記切換弁から構成される切換弁部と、
前記ピストンにより駆動される発電機部と
から構成されることを特徴とする管路式水力発電システム。
【請求項4】
前記管路が、サイホンを利用するサイホン管路になることを特徴とする、
請求項3に記載された管路式水力発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−133632(P2008−133632A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319430(P2006−319430)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(395019993)
【Fターム(参考)】