説明

箱体

【課題】スムーズにカバー部材同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制できる箱体を提供する。
【解決手段】電気接続箱1は箱体2と電力分配ユニット3を備えている。箱体2は互いに組み付けられる二つのカバー4,5を備えている。アッパカバー4の内壁9に設けられた薄肉部39と薄肉部39の底面39aからロアカバー5の周壁11に向かって凸に形成されているとともに、ロアカバー5の周壁11に近づくのにしたがって徐々に薄肉となるように形成された先細部42を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動車などに搭載される電気接続箱などを構成する箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、一般に、ヘッドランプ及びテールランプなどのランプ類、スタータモータ及びエアコンディショナ用のモータ等のモータ類、などの多種多様な電子機器が搭載されている。
【0003】
前述した多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動車は、ジャンクションブロックを適宜箇所に配置してきた。前記ジャンクションブロックは、多数のヒューズやリレー等の各種の電気回路ユニットを集約して構成されている。
【0004】
なお、ジャンクションブロックは、ヒューズ、リレー、ブスバーなどを有することもあることから、ヒューズブロック、リレーボックス、又は総称して電気接続箱とも呼ばれる。本明細書では、前述したヒューズブロック、リレーボックス、ジャンクションブロックを、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0005】
従来から用いられてきた電気接続箱は、箱体と、この箱体内に収容される電力分配ユニットとを備えている。箱体は、扁平な箱状に形成されている。箱体は、互いに取り付けられるとともに、互いに取り付けられると前記電力分配ユニットを収容するロアカバーとアッパカバーとを備えている。ロアカバーとアッパカバーは、絶縁性の合成樹脂で構成されかつ射出成型により成型されるとともに、係止部が一方に設けられかつ係止部と係止する係止受け部が他方に設けられている。
【0006】
電力分配ユニットは、印刷配線板と、前記印刷配線板に実装された複数のコネクタと、前記印刷配線板に実装された複数のヒューズを保持するヒューズ保持部と、前記印刷配線板に実装された複数のリレーとを備えている。印刷配線板の導体パターンは、前記コネクタの各端子とヒューズとリレーとを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続している。
【0007】
コネクタは、箱体の外壁を貫通した貫通孔により箱体外に露出される。複数のコネクタのうちの少なくとも一つは、前記自動車に搭載されるバッテリや発電機などの電源に接続した電源ケーブルの端末に取り付けられたコネクタが嵌合する。残りのコネクタには、前記自動車に搭載される各種の電子機器に接続したワイヤハーネスの端末に取り付けられたコネクタが嵌合する。
【0008】
ヒューズ保持部は、箱体の外壁を貫通した貫通孔により箱体外に露出される。ヒューズ保持部は、複数のヒューズを保持する。リレーは、印刷配線板に実装されて、箱体内に収容される。
【0009】
前述した従来の電気接続箱は、電源からに接続されたコネクタから供給される電力を印刷配線板の導体パターンにより分岐し、前述したヒューズやリレーを通した後に、ワイヤハーネスの電線を介して、各種の電子機器に供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した従来の電気接続箱は、係止部と係止受け部とが互いに係止することで、アッパカバーとロアカバーとを互いに組み付けている。これら係止部と係止受け部とをスムーズに係止させるために、前述した従来の電気接続箱は、これらの間に適度な隙間を設けている。このために、前述した従来の電気接続箱は、自動車の走行中などの振動により互いに組み付けられたカバー同士が振動して、これらが衝突と離間を繰り返して、異音を生じてしまう。
【0011】
したがって、本発明の目的は、スムーズにカバー部材同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制できる箱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電気接続箱は、互いに組み付けられる二つのカバー部材を備えた箱体において、前記二つのカバー部材のうちの互いに重なる壁のうちの一方のカバー部材の壁に設けられた薄肉部と、前記薄肉部の底面から他方のカバー部材の壁に向かって凸に形成されているとともに、前記他方のカバー部材の壁に近づくのにしたがって徐々に薄肉となるように形成された先細部と、を備えたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の本発明の電気接続箱は、請求項1記載の電気接続箱において、前記薄肉部と前記先細部とが、前記一方のカバー部材の壁としての、前記一方のカバー部材の外壁との間に前記他方のカバー部材の外壁を挟み込む内壁に設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の本発明の電気接続箱は、箱体と、前記箱体に収容される電力分配ユニットとを備えた電気接続箱において、前記箱体として、請求項1又は請求項2記載の箱体を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載した本発明の箱体によれば、一方のカバー部材の壁に他方のカバー部材の壁に干渉する先細部を設けているので、これらのカバー部材同士を互いに組み付ける際に、先細部の先端部などが削れることとなる。
【0016】
また、先細部を薄肉部の底面に設けているので、カバー部材同士を組み付ける際に、先細部の先端部などが他方のカバー部材の壁に干渉すると、底面が他方のカバー部材の壁から離れるように、薄肉部が弾性変形することとなる。
【0017】
請求項2に記載した本発明の箱体によれば、薄肉部と先細部とが、互いに係止する係止部や係止受け部などが設けられていない内壁に設けられている。このために、カバー部材同士を組み付ける際に、先細部の先端部が他方のカバー部材の壁に干渉しても、係止部や係止受け部などが設けられている壁が撓むことを防止できる。
【0018】
請求項3に記載した本発明の電気接続箱によれば、前述した箱体を備えているので、カバー部材同士を互いに組み付ける際に、先細部の先端部などが削れたり、底面が他方のカバー部材の壁から離れるように薄肉部が弾性変形することとなる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、カバー部材同士を互いに組み付ける際に、先細部の先端部などが削れることとなるので、互いに組み付けられたカバー部材同士がかたつくことを防止できる。
【0020】
また、カバー部材同士を組み付ける際に、底面が他方のカバー部材の壁から離れるように、薄肉部が弾性変形することとなるので、カバー部材同士を近づけるのに必要とされる力を抑制でき、先細部を設けることにより、カバー部材同士が組みつけ難くなることを防止できる。
【0021】
よって、スムーズにカバー部材同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制することができる。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、カバー部材同士を組み付ける際に、係止部や係止受け部などが設けられている壁が撓むことを防止できるので、これらの係止部と係止受け部の係り代が少なくなることを防止でき、互いに組み付けられたカバー部材同士が不意に分離することを防止できる。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、前述した箱体を備えているので、スムーズにカバー部材同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
【図2】図1に示された電気接続箱が自動車に取り付けられた状態を示す説明図である。
【図3】図1に示された電気接続箱の分解斜視図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示された電気接続箱のアッパカバーを底側からみた平面図である。
【図6】図5中のVI部を拡大して示す平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図6中のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態にかかる電気接続箱を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施形態にかかる図1に示す電気接続箱1は、移動体としての自動車に搭載される。
【0026】
電気接続箱1は、図1及び図3に示すように、箱体2と、電力分配ユニット3(図3に示す)とを備えている。なお、本実施形態では、箱体2のアッパカバー4とロアカバー5とが互いに重なる方向を厚み方向Zとよび、この厚み方向Zに対して交差(図示例では直交)し後述する複数のヒューズ28同士が並ぶ方向を幅方向Xとよび、前記厚み方向Zと幅方向Xとの双方に対して交差(図示例では直交)する方向を長手方向Yとよぶ。
【0027】
本実施形態の電気接続箱1は、厚み方向Zが鉛直方向と略平行な状態で、図2に示すように、自動車のセンターコンソール6の下部に取り付けられる。なお、図示例では、電気接続箱1は、前記自動車の前方に向かうにしたがって徐々に下方に向かうように、厚み方向Zが鉛直方向に対して若干傾斜しているとともに、アッパカバー4が後述するメタル基板24の表面に対して直交する方向に沿ってロアカバー5の上方に重ねられる。
【0028】
箱体2は、扁平な箱状に形成され、互いに組みつけられるアッパカバー4と、ロアカバー5とを備えている。アッパカバー4及びロアカバー5は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成形により成形される。なお、これらのアッパカバー4及びロアカバー5は、特許請求の範囲のカバー部材に相当する。
【0029】
アッパカバー4は、略平坦な天井壁7と、この天井壁7の外縁それぞれから立設した四つの外壁としての周壁8と、内壁9(図4に示す)とを備えている。内壁9は、周壁8よりも内側に設けられかつ天井壁7から立設している。内壁9は、周壁8と間隔をあけて平行に設けられ、アッパカバー4の天井壁7の外縁部の略全周に亘って設けられている。
【0030】
ロアカバー5は、略平坦な底壁10と、この底壁10の外縁それぞれから立設した四つの外壁としての周壁11とを備えている。底壁10には、後述するコネクタ26を露出させるための図示しない孔が設けられている。
【0031】
また、アッパカバー4とロアカバー5の四つの周壁8,11のうちの図1及び図3中手前側の周壁8,11には、後述するヒューズプレート35及び当該ヒューズプレート35に取り付けられるヒューズ28を露出させるための切欠き15,16が設けられている。
【0032】
アッパカバー4と、ロアカバー5とは、天井壁7と底壁10とが互いに間隔をあけて平行に配置され、かつ、周壁11の外縁部の外側に周壁8の外縁部が重ねられるとともに、周壁11が周壁8と内壁9とに挟み込まれて、これらの周壁8,11及び内壁9が互いに重ねられて、互いに組みつけられる。なお、これらの周壁8,11及び内壁9は、特許請求の範囲に記載された壁をなしている。このとき、勿論、内壁9は、ロアカバー5の周壁11の内表面に重ねられる。本実施形態では、図4に示すように、ロアカバー5には、係止部としての係止突起17が設けられ、アッパカバー4には、係止受け部としての係止段部18が設けられている。
【0033】
係止突起17は、ロアカバー5の周壁11の外表面に間隔をあけて複数設けられている。係止突起17は、ロアカバー5の周壁11から凸に形成されている。係止突起17は、底壁10から離れた側の傾斜面19と、底壁10寄りの垂直面20などにより形成されている。傾斜面19は、底壁10から離れるのにしたがって徐々に周壁11の外表面に近づく方向に傾斜している。垂直面20は、周壁11の外表面に対して直交している。
【0034】
係止段部18は、アッパカバー4の周壁8の内表面に間隔をあけて複数設けられている。係止段部18は、アッパカバー4の周壁8の内表面から凹に形成されている。係止段部18は、アッパカバー4の周壁8の内表面の厚み方向Zの中央部から天井壁7にかけて設けられ、前述した厚み方向Zに直線状に延在している。係止段部18は、天井壁7から離れた側の垂直面21と天井壁7寄りの平行面22などにより形成されている。垂直面21は、周壁8の厚み方向Zの中央に設けられかつ周壁8の内表面に対して直交している。平行面22は、垂直面21と天井壁7とに亘って設けられかつ周壁8の内表面と平行である。また、アッパカバー4には、前記係止段部18を射出成型により形成するための孔23が設けられている。孔23は、係止段部18と厚み方向Zに並ぶ位置に設けられている。孔23は、天井壁7を貫通している。
【0035】
前述した係止突起17と係止段部18は、係止突起17が係止段部18内に侵入して、垂直面20,21が互いに重なることで、互いに係止する。こうして、係止突起17と係止段部18は、互いに係止して、アッパカバー4とロアカバー5とを互いに組み付ける。
【0036】
また、前述したアッパカバー4の内壁9には、図5及び図6に示すように、薄肉部39と、ガタ吸収凸部40とが一体に設けられている。薄肉部39は、互いに間隔をあけて複数内壁9に設けられている。また、薄肉部39は、係止段部18に対して、内壁9の表面に沿って間隔をあけて設けられている。薄肉部39は、内壁9の周壁8に相対する表面から凹に形成され、厚み方向Zに沿って直線状に延在している。また、薄肉部39における内壁9の厚みは、勿論、内壁9の薄肉部39以外の部分の厚みよりも薄く形成されている。さらに、薄肉部39における内壁9の厚みは、当該薄肉部39の全体に亘って一定となっている。
【0037】
ガタ吸収凸部40は、薄肉部39の周壁8と相対する底面39aから凸に形成されているとともに、図7及び図8に示すように、厚み方向Zに沿って直線状に延在している。ガタ吸収凸部40は、幅一定部41と、先細部42とを一体に備えている。幅一定部41は、薄肉部39の底面39aから凸に形成され、薄肉部39の厚み方向Zの略全長に亘って設けられている。先細部42は、幅一定部41の底面39aから離れた側の先端に連なっている。先細部42は、幅一定部41の長手方向の中央から天井壁7寄りの端とに亘って設けられている。先細部42は、薄肉部39の底面39aから離れるのにしたがって即ち周壁8に近づくのにしたがって徐々に幅が狭くなる即ち薄肉となるように形成されている。図示例では、先細部42は、周壁8に向かって凸の山形に形成されている。また、先細部42は、係止段部18に係止突起17が係止する際に、図4中の一点鎖線で示すように、その先端が周壁11と干渉するように形成されている。そして、先細部42は、係止段部18に係止突起17が係止する際に、その先端が周壁11により削られるなどして、カバー4,5同士ががたつくことを規制する。
【0038】
電力分配ユニット3は、図3に示すように、印刷配線板としてのメタル基板24と、複数のリレー25と、複数のコネクタ26と、ヒューズ保持部27と、複数のヒューズ28とを備えている。
【0039】
メタル基板24は、アルミニウム合金又は銅合金などの金属で構成されたメタル板29と、前記メタル板29を埋設した絶縁性の合成樹脂で構成された絶縁板30と、前記絶縁板30の外表面に形成された導体パターンとを備えている。また、メタル基板24には、その両表面に亘って貫通したスルーホールが複数設けられている。スルーホールの内面は、前記絶縁板30を構成する合成樹脂により被覆されている。メタル基板24の導体パターンは、前記コネクタ26の各端子とリレー25とヒューズ28とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続している。メタル基板24は、天井壁7及び底壁10と間隔をあけて平行な状態で、カバー4,5内に収容される。メタル基板24は、ロアカバー5に設けられたボスにねじ込まれるネジ32により当該ロアカバー5即ち箱体2に固定される。こうして、メタル基板24は、ロアカバー5即ち箱体2に収容されて、その表面が水平方向に沿って配置される。なお、本発明では、メタル基板24の表面と水平方向のなす角度が0度から数十度の範囲内の角度であることを、メタル基板24の表面が水平方向に沿うという。
【0040】
リレー25は、メタル基板24に実装されて、その端子が当該メタル基板24の導体パターンに接続している。コネクタ26は、絶縁性のコネクタハウジング33と、複数の導電性の端子34とを備えている。コネクタハウジング33は、メタル基板24に取り付けられるとともに、前記底壁10を貫通した孔を通してロアカバー5外即ち箱体2外に露出する。端子34は、コネクタハウジング33に保持されているとともに、メタル基板24の導体パターンに接続している。コネクタ26のうち一つのコネクタ26には、前記自動車の電源に接続された電源ケーブルの端末に取り付けられたコネクタが嵌合する。他のコネクタ26には、前記自動車の各種の電子機器に接続したワイヤハーネスの端末に取り付けられたコネクタが嵌合する。
【0041】
ヒューズ保持部27は、図3に示すように、ヒューズプレート35と、ヒューズ用端子ホルダ36と、複数の導電性の端子37とを備えている。ヒューズプレート35は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ、複数のヒューズ28が取り付けられる。ヒューズプレート35は、アッパカバー4及びロアカバー5の切欠き15,16を塞ぎ、かつヒューズ28が露出する格好で、これらのカバー4,5に取り付けられる。ヒューズ用端子ホルダ36は、絶縁性の合成樹脂で構成され、かつ、ヒューズプレート35に取り付けられる。
【0042】
また、端子37は、ヒューズ用端子ホルダ36に保持され、かつ、ヒューズプレート35に取り付けられるヒューズ28と接続する。端子37は、メタル基板24の導体パターンに接続している。ヒューズ保持部27は、端子37がメタル基板24の導体パターンに接続されて、当該メタル基板24に実装されている。複数のヒューズ28は、ヒューズ保持部27のヒューズプレート35に取り付けられる。
【0043】
前述した構成の電力分配ユニット3は、電源からの電力をメタル基板24の導体パターンにより分岐して、ヒューズ13やリレー14に通した後、各電子機器に供給する。
【0044】
また、前述した電気接続箱1は、アッパカバー4及びロアカバー5即ち箱体2を自動車の車体に固定するためのブラケット38を複数備えている。
【0045】
本実施形態によれば、アッパカバー4の内壁9にロアカバー5の周壁11に干渉する先細部42を設けているので、これらのカバー4,5同士を互いに組み付ける際に、先細部42の先端部などが削れることとなる。このために、互いに組み付けられたカバー4,5同士がかたつくことを防止できる。
【0046】
また、先細部42を薄肉部39の底面39aに設けているので、カバー4,5同士を組み付ける際に、先細部42の先端部などがロアカバー5の周壁11に干渉すると、底面39aがロアカバー5の周壁11から離れるように、薄肉部39が弾性変形することとなる。このために、カバー4,5同士を近づけるのに必要とされる力を抑制でき、先細部42を設けることにより、カバー4,5同士が組みつけ難くなることを防止できる。
【0047】
よって、スムーズにカバー4,5同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制することができる。
【0048】
薄肉部39と先細部42とが、互いに係止する係止突起17や係止段部18などが設けられていない内壁9に設けられている。このために、カバー4,5同士を組み付ける際に、先細部42の先端部がロアカバー5の周壁11に干渉しても、係止突起17や係止段部18などが設けられている周壁8,11が撓むことを防止できる。このために、これらの係止突起17と係止段部18の係り代が少なくなることを防止でき、互いに組み付けられたカバー4,5同士が不意に分離することを防止できる。
【0049】
前述した構成の電気接続箱1は、前述した箱体2を備えているので、カバー4,5同士を互いに組み付ける際に、先細部42の先端部などが削れたり、底面39aがロアカバー5の周壁11から離れるように薄肉部39が弾性変形することとなる。よって、スムーズにカバー4,5同士を組み付けることができ、かつ異音を生じることを抑制することができる。
【0050】
前述した実施形態では、印刷配線板としてメタル基板24を示しているが、本発明では、印刷配線板として、絶縁性の合成樹脂で構成された絶縁基板の外表面に導体パターンが形成された所謂プリント基板を用いてもよい。また、本発明では、ロアカバー5の周壁11に薄肉部39とガタ吸収凸部40とを設けてもよい。
【0051】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 電気接続箱
2 箱体
3 電力分配ユニット
4 アッパカバー(カバー部材)
5 ロアカバー(カバー部材)
8 周壁(外壁,壁)
9 内壁(壁)
11 周壁(外壁,壁)
39 薄肉部
39a 底面
42 先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み付けられる二つのカバー部材を備えた箱体において、
前記二つのカバー部材のうちの互いに重なる壁のうちの一方のカバー部材の壁に設けられた薄肉部と、
前記薄肉部の底面から他方のカバー部材の壁に向かって凸に形成されているとともに、前記他方のカバー部材の壁に近づくのにしたがって徐々に薄肉となるように形成された先細部と、
を備えたことを特徴とする箱体。
【請求項2】
前記薄肉部と前記先細部とが、前記一方のカバー部材の壁としての、前記一方のカバー部材の外壁との間に前記他方のカバー部材の外壁を挟み込む内壁に設けられていることを特徴とする請求項1記載の箱体。
【請求項3】
箱体と、
前記箱体に収容される電力分配ユニットとを備えた電気接続箱において、
前記箱体として、請求項1又は請求項2記載の箱体を備えたことを特徴とする電気接続箱。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−5675(P2013−5675A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137135(P2011−137135)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】