説明

箱詰め装置

【課題】箱詰め処理能力を向上することができるとともに、収容箱内における物品の位置の乱れを防止することができる、箱詰め装置を提供する。
【解決手段】箱詰め装置10は、一対の第2羽根車(物品支持部)60と第2回転手段(落下操作手段)とを有する第2羽根車装置(物品整列投下装置)42と、一対の第1羽根車90と第1回転手段とを有する第1羽根車装置46と、制御部50とを備え、一対の第1羽根車のそれぞれの第1羽根が複数の物品14を受ける回転位置にあるとき、第1羽根96における複数の物品を受ける物品受面Nは、移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜しており、物品受面の一方端部またはその近傍にはストッパ48が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰め対象たる物品(たとえば、ポテトチップ、豆、飴などの内容物が袋詰め、或いは、箱詰めにされた商品等)を箱の内部に収容する、箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された従来の箱詰め装置は、包装体を搬送する包装体送りコンベアと、包装体送りコンベアによって順次送られてきた複数の包装体を並べて停止させる整列停止台と、整列停止台の下方の箱詰め位置に収容箱を供給する収容箱送りコンベアとを備えている。そして、この箱詰め装置を用いて包装体を箱詰めする際には、収容箱送りコンベアによって収容箱を箱詰め位置に供給し、その後、開放手段で整列停止台を開くことによって、整列停止台上に並べられた複数の包装体を収容箱内に落下させるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−329112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の箱詰め装置では、箱詰め位置に収容箱を供給した後に、整列停止台を開くようにしていたので、収容箱が箱詰め位置に到達するまでは整列停止台を開くことができなかった。そのため、整列停止台の動作サイクルを高速化することができず、箱詰め処理能力を向上することが困難であった。
【0005】
また、整列停止台上において物品の位置を規制する手段がなかったので、整列停止台上における複数の物品の位置が乱れるおそれがあり、その場合には、整列停止台から落下された包装体が収容箱の開口部に当たるなどによって、収容箱内における包装体の位置が大きく乱れるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、箱詰め処理能力を向上することができるとともに、収容箱内における物品の位置の乱れを防止することができる、箱詰め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の箱詰め装置は、物品移送装置から移送された複数の物品を移送方向に並べて支持する物品支持部と、前記物品支持部で支持された前記複数の物品を落下させるように前記物品支持部を操作する落下操作手段とを有する物品整列投下装置と、前記物品支持部の下方に配置され、前記物品支持部から落下された前記複数の物品を受ける第1羽根を有し、その回転軸が前記移送方向に対して直交方向に並べて配置された一対の第1羽根車と、前記第1羽根で受けた前記複数の物品を落下させるように前記一対の第1羽根車を互いに逆方向に回転させる第1回転手段とを有する第1羽根車装置と、前記複数の物品を、前記物品支持部から前記第1羽根に落下させた後に前記第1羽根からその下方に位置する収容箱内に落下させるように、前記落下操作手段および前記第1回転手段を制御する制御部とを備え、前記一対の第1羽根車のそれぞれの前記第1羽根が前記複数の物品を受ける回転位置にあるとき、前記第1羽根における前記複数の物品を受ける物品受面は、前記移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜しており、前記物品受面の前記一方端部またはその近傍には、前記物品の移動を阻止するストッパが設けられている。
【0008】
この構成では、複数の物品を、物品支持部から第1羽根に落下させた後に、第1羽根から収容箱内に落下させるようにしているので、収容箱が第1羽根の下方の所定の箱詰め位置に到達するまで、複数の物品を第1羽根上で待機させることができる。したがって、収容箱の到達を待たずに物品支持部から物品を落下させることが可能であり、物品整列投下装置の動作サイクルを高速化して箱詰め処理能力を高めることができる。
【0009】
また、第1羽根における物品受面は、物品の移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜しており、当該一方端部またはその近傍にはストッパが設けられているので、物品支持部から第1羽根に落下した物品を物品受面で弾ませながら一方端部側に移動させることができるとともに、当該物品の移動をストッパによって所定位置で阻止することができる。したがって、第1羽根上における物品の位置の乱れを、特別な装置を用いることなく簡単に防止することが可能であり、第1羽根から落下した物品が収容箱の開口部に当たるのを防止して、収容箱内における物品の位置の乱れを防止することができる。
【0010】
前記物品整列投下装置は、前記物品移送装置から移送された複数の物品を移送方向に並べて支持する第2羽根を有する前記物品支持部としての一対の第2羽根車と、前記第2羽根で支持された前記複数の物品を落下させるように前記一対の第2羽根車を互いに逆方向に回転させる前記落下操作手段としての第2回転手段とを有する第2羽根車装置であってもよい。
【0011】
この構成では、複数の物品が一対の第2羽根車の互いに逆方向の回転に伴って第2羽根の間から落下されるとともに、一対の第1羽根車の互いに逆方向の回転に伴って第1羽根の間から落下されるので、物品の姿勢を保持しながら当該物品を収容箱内に収容することができる。
【0012】
前記第1羽根車は、水平方向に延びる回転軸を有する軸部を有しており、前記第1羽根は、前記回転軸に対して前記物品受面が傾斜するようにして前記軸部に取り付けられていてもよい。
【0013】
この構成では、軸部の回転軸が水平方向に延びているにもかかわらず、複数の物品を受ける際には、物品受面を移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜させることができる。
【0014】
前記第1羽根車は、水平方向に対して傾斜する方向に延びる回転軸を有する軸部を有しており、前記第1羽根は、前記回転軸に対して前記物品受面が平行になるようにして前記軸部に取り付けられていてもよい。
【0015】
この構成は、軸部の回転軸を傾斜させることによって、複数の物品を受ける際に、物品受面を移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、収容箱が所定の箱詰め位置に到達するまで、第1羽根上で物品を待機させることができるので、物品整列投下装置の動作サイクルを高速化して箱詰め処理能力を高めることができる。また、第1羽根上における物品の位置を、傾斜した物品受面とストッパとで規制することができるので、収容箱に対する物品の落下位置を規制することができ、収容箱内における物品の位置の乱れを防止することができる。さらに、第1羽根上における物品の位置を、特別な装置を用いることなく簡単に規制することができるので、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は第1実施形態に係る箱詰め装置を示す斜視図である。
【図2】図2は第1実施形態に係る箱詰め装置を示す正面図である。
【図3】図3は第2羽根車装置(物品整列投下装置)の一部と第2ストッパの構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は部分断面図である。
【図4】図4は第1羽根車装置の一部と第1ストッパの構成を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は部分断面図である。
【図5】図5は第1実施形態に係る箱詰め装置の動作を示す工程図であり、(A)は第2羽根車(物品支持部)で物品を支持した状態を示す正面図、(B)は第2羽根車(物品支持部)から落下された物品を第1羽根で受けた状態を示す正面図、(C)は第1羽根から落下された物品を収容箱内に収容した状態を示す正面図である。
【図6】図6は第2実施形態に係る箱詰め装置において、第2羽根車(物品支持部)から落下された物品を第1羽根で受けた状態を示す部分断面図である。
【図7】図7は第3実施形態に係る箱詰め装置において、第2羽根車(物品支持部)から落下された物品を第1羽根で受けた状態を示す部分断面図である。
【図8】図8は第4実施形態に係る箱詰め装置において、第2羽根車(物品支持部)から落下された物品を第1羽根で受けた状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る箱詰め装置10は、物品搬送装置12によって搬送されてきた箱詰め対象たる物品14を、収容箱搬送装置16によって搬送されてきた収容箱18内に整列させて収容するものであり、本実施形態では、箱詰め装置10、物品搬送装置12および収容箱搬送装置16が一体となって箱詰めシステム20が構成されている。
【0020】
物品14は、ポテトチップ、豆、飴などの内容物が縦ピロー袋、横ピロー袋および給袋式袋等の包装材で包装された商品であり、箱詰め時の落下による衝撃によって製品が破損しないものが箱詰め対象とされている。
【0021】
収容箱18は、ダンボール等からなる外装箱であり、収容箱18のサイズは、収容すべき物品14のサイズ、数、収容態様等に応じて設計されている。本実施形態の収容箱18は、合計12個の物品14を水平方向に2個並べて6段に積み重ねて収容するものであり、これら12個の物品の全体サイズに合わせて収容箱18のサイズが設計されている。また、収容箱18には、蓋18aが設けられており、箱詰め時には、蓋18aが開かれることによって開口部が開放される。
【0022】
[物品搬送装置の構成]
物品搬送装置12は、図1に示すように、複数の物品14を箱詰め装置10に向けて順次搬送するものであり、本実施形態では、一般的な「ベルトコンベア」が物品搬送装置12として用いられている。つまり、物品搬送装置12は、駆動モータ22によって駆動される主動ローラ24と、主動ローラ24に対して平行に配置された従動ローラ26と、主動ローラ24と従動ローラ26との間に掛け渡された環状の搬送ベルト28とを備えている。そして、箱詰めシステム20においては、物品搬送装置12が支持台(図示省略)によって所定の高さで水平に支持されており、搬送ベルト28における物品14の搬送方向の下流側端部近傍には、物品14が通過したことを検知する物品検知センサ30が設けられている。
【0023】
なお、物品搬送装置12は、単に物品14を搬送するだけではなく、物品14を支持する回転位置にある第2羽根66上に物品14を移送する「物品移送装置」としても機能する。このため、物品搬送装置12は、第1羽根66上を物品14が慣性で前方に移動するような搬送速度で運転される。ここでは、物品14の「移送方向」は、物品搬送装置12における物品14の「搬送方向」と一致する。以下の説明では、移送方向の前方を「前」といい、移送方向の後方を「後」という。したがって、以下の説明で用いる「前後方向」は「移送方向」と一致する。
【0024】
[収容箱搬送装置の構成]
収容箱搬送装置16は、図1に示すように、収容箱18を箱詰め装置10の下方に位置する箱詰め位置Pに向けて搬送するとともに、箱詰め位置Pにおいて停止させるものであり、本実施形態では、一般的な「ローラコンベア」が収容箱搬送装置16として用いられている。つまり、収容箱搬送装置16は、収容箱18の搬送方向(以下、「収容箱搬送方向」という。)に間隔を隔てて互いに平行に配置された複数の搬送ローラ32と、各搬送ローラ32の両端部を回転自在に支持する支持枠34と、各搬送ローラ32に回転力を付与する回転機構(図示省略)とを備えている。そして、箱詰めシステム20においては、収容箱搬送装置16が箱詰め位置Pを通るようにして水平に配置されており、収容箱搬送装置16における収容箱搬送方向の下流側端部またはその近傍には、収容箱18が箱詰め位置Pに到達したことを検知する収容箱検知センサ36が配置されている。本実施形態では、「物品14の移送方向」と「収容箱搬送方向」とが一致しているため、物品搬送装置12と収容箱搬送装置16とを上下方向において対向させることが可能であり、箱詰めシステム20をコンパクトに構成することができる。
【0025】
[箱詰め装置の構成]
箱詰め装置10は、図1および図2に示すように、フレーム40と、「物品整列投下装置」としての第2羽根車装置(上段フラップ機構)42と、第2ストッパ44と、第1羽根車装置(下段フラップ機構)46と、第1ストッパ48と、制御部50とを備えている。なお、以下では、説明の便宜上、「第1」および「第2」の記載にかかわらず、上段に位置する第2羽根車装置(上段フラップ機構)42および第2ストッパ44の構成を、下段に位置する第1羽根車装置(下段フラップ機構)46および第1ストッパ48の構成よりも先に説明する。
<フレームの構成>
フレーム40は、図1および図2に示すように、箱詰め装置10の骨格となる部分であり、脚部52と、脚部52に第2羽根車装置42を取り付ける第2取付板54と、脚部52に第1羽根車装置46を取り付ける第1取付板56とを有している。脚部52は、収容箱搬送装置16の収容箱搬送方向に対して直交する方向の一方側において、前後方向に間隔を隔てて上下方向に延びて配置された2本の棒材52aと、収容箱搬送方向に対して直交する方向の他方側において、前後方向に間隔を隔てて上下方向に延びて配置された2本の棒材52bとを有している。そして、前側に位置する2本の棒材52aおよび52b間に第2取付板54および第1取付板56が上下2段に架け渡されている。
【0026】
<第2羽根車装置(上段フラップ機構)の構成>
「物品整列投下装置」としての第2羽根車装置42は、図2に示すように、物品搬送装置12(図1)から移送された複数(本実施形態では2個)の物品14(図3(B))を移送方向(すなわち前後方向)に並べて支持する一対の「物品支持部」としての第2羽根車(second paddle wheel:第2フラップ回転体)60と、一対の第2羽根車60の第2羽根(second paddle:第2フラップ)66で支持された複数の物品14を落下(実質的には同時に落下)させるように一対の第2羽根車60のそれぞれを互いに逆方向に回転させる「落下操作手段」としての第2回転手段62とを有している。つまり、この第2羽根車装置42は、複数の物品14を並べて下方に投下する「物品整列投下装置」として機能する。
【0027】
一対の第2羽根車60のそれぞれは、図3に示すように、水平方向に延びる回転軸L1を有する軸部64と、物品14を支持する物品支持面Mを有し、軸部64に対して周方向に間隔(本実施形態では120度間隔)を隔てて取り付けられた複数(本実施形態では3枚)の第2羽根66とを備えている。ここで、「回転軸」とは、第2羽根車60の回転中心を通る観念的な「軸線」を意味する用語であり、本実施形態では、軸部64の回転中心を通る「軸線(図3中の一点鎖線)」が回転軸L1となっている。
【0028】
軸部64は、略6角形の断面形状を有する棒状部材であり、軸部64の6つの側面のうちの1つおきに位置する3つの側面には、ねじ部材72が螺合される複数(本実施形態では4個)のねじ穴(図示省略)が長手方向(すなわち回転軸L1の延びる方向)に間隔を隔てて形成されており、軸部64の長手方向の前端部には、第2回転手段62(図2)の出力軸80aまたは80bが接続される入力軸64aが形成されている。そして、一対の第2羽根車60のそれぞれの軸部64が、回転軸L1どうしが平行になるようにして、移送方向(すなわち前後方向)に対して直交方向に並んで配置されており、各軸部64の前端部が第2取付板54(図1、図2)に対して回転自在に取り付けられている。2本の軸部64間の間隔は、物品14の幅(すなわち前後方向に対して直交する方向の長さ)よりも十分に長く設計されており、2本の軸部64のそれぞれの長さは、2個の物品14の全体の前後方向長さよりも十分に長く設計されている。したがって、物品搬送装置12(図1)から移送された2個の物品14を、移送方向から2本の軸部64間に位置させることができる。そして、軸部64には、複数(本実施形態では3つ)の第2羽根66が回転軸L1に対して回転対称にかつ中央部から周辺部に延びるように取り付けられている。
【0029】
3つの第2羽根66のそれぞれは、図3に示すように、支持板68と取付部材70とを有している。支持板68は、他の第2羽根車60の支持板68と協働して複数(本実施形態では2個)の物品14(図3(B))を並べて支持する略長方形の板状部材であり、支持板68の一方面が物品支持面Mとなっている。支持板68の幅は、2本の軸部64間の距離の2分の1よりも短く設計されており、長さは、軸部64の長さとほぼ同じに設計されている。また、物品支持面Mは、物品搬送装置12から移送された物品14を適度に滑らせることができるように平滑に形成されている。したがって、2枚の支持板68によって物品14を支持する際には、2枚の支持板68を2本の軸部64の間に水平方向に並べて配置することが可能であり、物品搬送装置12から移送された2個の物品14を、2枚の支持板68によって移送方向(すなわち前後方向)に並べて支持することができる。
【0030】
取付部材70は、支持板68を軸部64に取り付けるための断面略L状の棒状部材であり、支持板68に取り付けられる支持板側取付片70aと、軸部64に取り付けられる軸部側取付片70bとを有している。また、軸部側取付片70bには、ねじ部材72が挿通される複数(本実施形態では4個)の貫通孔(図示省略)が形成されている。そして、支持板側取付片70aが支持板68に対して溶接等によって接合されており、軸部側取付片70bが軸部64に対して4個のねじ部材72によって接合されている。
【0031】
支持板側取付片70aおよび軸部側取付片70bのそれぞれの長さは、支持板68を軸部64に対して全長に亘ってほぼ均一な強度で取り付けるために、支持板68および軸部64の長さとほぼ同じに設計されており、支持板側取付片70aの幅は、溶接等による接合強度を十分に確保できるように設計されている。また、軸部側取付片70bの幅は、全長に亘って均一に設計されている。
【0032】
なお、本実施形態では、支持板68および取付部材70を独立した部品として別々に形成しているが、これらを1つの部品として一体的に形成してもよい。
【0033】
第2回転手段62は、図2に示すように、一対の第2羽根車60のそれぞれの入力軸64a(図3)に接続される2つの出力軸80a,80bと、モータ軸82aを有する駆動モータ82と、モータ軸82aに取り付けられた主動ギア84aおよび主動プーリ86aと、一方の出力軸80aに取り付けられた従動ギア84bと、他方の出力軸80bに取り付けられた従動プーリ86bと、主動プーリ86aと従動プーリ86bとの間に掛け渡されたベルト88とを有している。主動ギア84aの歯数と従動ギア84bの歯数とは同じ(1:1)に設計されており、主動プーリ86aの直径と従動プーリ86bの直径とは同じ(1:1)に設計されている。したがって、駆動モータ82を駆動して主動ギア84aおよび主動プーリ86aを回転させると、従動ギア84bおよび従動プーリ86bは、主動ギア84aおよび主動プーリ86aの回転速度と同じ回転速度で互いに逆方向に回転され、出力軸80a,80bおよびこれらに接続された2つの入力軸64aは、当該回転速度で互いに逆方向に回転される。
【0034】
モータ軸82aの回転方向および回転角度は、駆動モータ82に電気的に接続された制御部50によって制御可能であり、第2羽根66から物品14を落下させる際には、物品支持面Mが物品14を支持する位置から下方へ向けて120度回転するようにモータ軸82aの回転方向および回転角度が制御される。つまり、一対の第2羽根車60は、互いに逆方向であって物品14を落下させる方向に、360度を第2羽根66の数で除した角度毎に停止させられながら、互いに同期して回転される。なお、第2羽根車60の停止位置、すなわち、第2羽根66が物品14を支持する「回転位置」は、平面視における回転軸L1に垂直な方向において第2羽根66が実質的に水平になる回転角度位置である。
【0035】
<第2ストッパの構成>
第2ストッパ44は、図3に示すように、物品搬送装置12から移送された物品14を2枚の支持板68上に確実に停止させる円板状の部材であり、第2ストッパ44の中央部には、軸部64の入力軸64aが挿通される貫通孔44a(図3(A))が形成されている。そして、2つの第2ストッパ44のそれぞれが、ねじ止め、かしめ、溶接等の適宜な接合手段によって、一対の第2羽根車60のそれぞれの前端部に接合されている。なお、第2ストッパ44の形状は、特に限定されるものではなく、三角板状や六角板状であってもよい。また、本実施形態では、3つの物品支持面Mの全てに対して1つの第2ストッパ44を取り付けるようにしているが、3つの物品支持面Mのそれぞれに対して3つの第2ストッパ(図示省略)を個別に取り付けるようにしてもよい。
【0036】
<第1羽根車装置(下段フラップ機構)の構成>
第1羽根車装置46は、図2および図4に示すように、「物品支持部」としての第2羽根車60の下方に配置された一対の第1羽根車(first paddle wheel:第1フラップ回転体)90と、第1羽根96で受けた複数の物品14を同時に落下させるように一対の第1羽根車90のそれぞれを互いに逆方向に回転させる第1回転手段92(図2)とを有している。
【0037】
一対の第1羽根車90のそれぞれは、図4に示すように、水平方向に延びる回転軸L2を有する軸部94と、第2羽根66から落下された複数(本実施形態では2個)の物品14を受ける物品受面Nを有し、軸部94に対して周方向に間隔(本実施形態では120度間隔)を隔てて取り付けられた複数(本実施形態では3枚)の第1羽根(first paddle:第2フラップ)96とを備えている。
【0038】
軸部94は、略6角形の断面形状を有する棒状部材であり、軸部94の6つの側面のうちの1つおきに位置する3つの側面には、ねじ部材102が螺合される複数(本実施形態では4個)のねじ穴(図示省略)が長手方向(すなわち回転軸L2の延びる方向)に間隔を隔てて形成されており、軸部94の長手方向の前端部には、第1回転手段92(図2)の出力軸80aまたは80bが接続される入力軸94aが形成されている。そして、一対の第1羽根車90のそれぞれの軸部94が、回転軸L2どうしが平行になるようにして、移送方向(すなわち前後方向)に対して直交方向に並んで配置されており、各軸部94の前端部が第1取付板56(図1、図2)に対して回転自在に取り付けられている。2本の軸部94間の間隔は、物品14の幅よりも十分に長く設計されており、2本の軸部94のそれぞれの長さは、2個の物品14の全体の前後方向長さよりも十分に長く設計されている。したがって、第2羽根車60の第2羽根66から落下された2個の物品14を、一対の第1羽根車90の2本の軸部94間に収容することができる。そして、軸部94には、複数(本実施形態では3つ)の第1羽根96が回転軸L2に対して回転対称にかつ中央部から周辺部に延びるように取り付けられている。
【0039】
3つの第1羽根96のそれぞれは、図4に示すように、回転軸L2に対して物品受面Nが傾斜するようにして軸部94に取り付けられたものであり、受板98と取付部材100とを有している。受板98は、他の第1羽根車90の受板98と協働して複数(本実施形態では2個)の物品14(図4(B))を受ける略長方形の板状部材であり、受板98の一方面が物品受面Nとなっている。受板98の幅は、2本の軸部94間の距離の2分の1よりも短く設計されており、長さは、軸部94の長さとほぼ同じに設計されている。したがって、受板98によって物品14を受ける際には、2枚の受板98を2本の軸部94の間に並べて配置することが可能であり、第2羽根66から落下された2個の物品14を、2枚の受板98によってほぼ均等に受けることができる。
【0040】
取付部材100は、受板98を軸部94に取り付けるための断面略L状の棒状部材であり、受板98に取り付けられる受板側取付片100aと、軸部94に取り付けられる軸部側取付片100bとを有している。また、軸部側取付片100bには、ねじ部材102が挿通される複数(本実施形態では4個)の貫通孔(図示省略)が形成されている。そして、受板側取付片100aが受板98に対して溶接等によって接合されており、軸部側取付片100bが軸部94に対して4個のねじ部材102によって接合されている。
【0041】
受板側取付片100aおよび軸部側取付片100bのそれぞれの長さは、受板98を軸部94に対して全長に亘ってほぼ均一な強度で取り付けるために、受板98および軸部94の長さとほぼ同じに設計されており、受板側取付片100aの幅は、溶接等による接合強度を十分に確保できるように設計されている。また、軸部側取付片100bの幅は、後端側から先端側に向けて徐々に広くなっており、これにより、軸部94の回転軸L2から受板98の物品受面Nまでの距離が第1羽根車90の後端側から先端側に向けて徐々に長くなっている。したがって、2枚の受板98の側端縁どうしを対向させて2個の物品14を受ける際には、物品受面Nを移送方向に対する平行方向(すなわち前後方向)の一方端部(本実施形態では先端部)が他方端部(本実施形態では後端部)よりも低くなるように傾斜させることができ、物品受面N上に落下した物品14を物品受面Nで弾ませて前方へ移動させることができる。
【0042】
なお、回転軸L2に対する物品受面Nの傾斜角度α(図4(B))は、特に限定されるものではないが、2個の物品14の整列状態を乱すことなく、これらを効率よく前方に移動させるためには、5〜30度の範囲内であることが望ましい。また、本実施形態では、受板98および取付部材100を独立した部品として別々に形成しているが、これらを1つの部品として一体的に形成してもよい。
【0043】
第1回転手段92は、第2回転手段62と同様に構成されているので、第2回転手段62の構成要素と対応する箇所には、当該構成要素と同じ参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
一対の第1羽根車90は、互いに逆方向であって物品14を落下させる方向に、360度を第1羽根96の数(本実施形態では3)で除した角度毎に停止させられながら、互いに同期して回転される。第1羽根車90の停止位置、すなわち、第1羽根96が物品14を受け取る「回転位置」は、平面視における回転軸L2に垂直な方向において第1羽根96が実質的に水平になる回転角度位置である。なお、第2回転手段62および第1回転手段92の動作態様は、第2羽根車60および第1羽根車90のそれぞれの機能を有効に発揮させることができるように、制御部50によって個別に最適化されている。
【0045】
<第1ストッパの構成>
第1ストッパ48は、図4に示すように、物品受面N上を前方へ移動してきた物品14の移動を物品受面Nの前端部において阻止する円板状の部材であり、第1ストッパ48の中央部には、軸部94の入力軸94aが挿通される貫通孔48a(図4(A))が形成されている。そして、第1羽根96が物品14を受け取る回転角度位置(回転位置)は、2つの第1ストッパ48のそれぞれが、ねじ止め、かしめ、溶接等の適宜の接合手段によって、一対の第1羽根車90のそれぞれの前端部に接合されている。なお、第1ストッパ48の形状は、特に限定されるものではなく、三角板状や六角板状であってもよい。また、3つの物品受面Nのそれぞれに対して3つの第1ストッパ(図示省略)を個別に取り付けるようにしてもよい。
【0046】
<制御部の構成>
制御部50(図1、図2)は、収容箱18内に物品14を箱詰めするために、箱詰めシステム20(箱詰め装置10を含む。)の動作を一括して制御するものであり、図示していないが、各種の演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)と、各種のデータまたはプログラムを記憶する記憶装置(ROM、RAM)と、各種の条件を入力する入力装置とを備えており、これらの装置がケース50a内に収容されている。そして、物品検知センサ30、収容箱検知センサ36、第2回転手段62および第1回転手段92のそれぞれの駆動モータ82等が電気配線(図示省略)を介して制御部50に電気的に接続されている。
【0047】
[箱詰め装置の動作]
以下には、制御部50による箱詰め装置10の箱詰め動作について説明する。制御部50の開始スイッチを「ON」にすることによって箱詰め動作が開始されると、まず、図5(A)に示すように、物品搬送装置12(図1)から箱詰め装置10に対して複数の物品14が順次供給され、2個の物品14が第2羽根車装置42における一対の第2羽根車60のそれぞれの第2羽根66(物品支持面M)で移送方向に並べて支持される。このとき、箱詰め装置10に物品14が供給されたことは、物品検知センサ30(図1)によって検知される。
【0048】
物品搬送装置12(図1)から箱詰め装置10に2個の物品14が連続して供給されると、図5(B)に示すように、制御部50は、第2回転手段62を駆動し、一対の第2羽根車60を互いに逆方向に回転させて2個の物品14をこれらの間から同時に落下させる。第1羽根車90の物品受面Nに2個の物品14が落下されると、これら2個の物品14は、後端部から前端部に向けて低くなった物品受面N(図4(B))で弾んで前方に移動し、後方への不所望な移動が防止される。物品受面Nを前方に移動した物品14は、第1ストッパ48によってそれ以上の移動が阻止されるので、物品14は、物品受面Nにおける落下地点と第1ストッパ48との間に確実に位置決めされることになる。
【0049】
また、以上の工程と並行して、収容箱搬送装置16によって収容箱18が箱詰め位置Pに向けて搬送され、収容箱18が箱詰め位置Pに到達したことを収容箱検知センサ36が検知したとき、収容箱搬送装置16による収容箱18の搬送動作が停止される。なお、収容箱18の停止位置は、収容箱18の前端面に当接される停止ストッパ(図示省略)によって規定されてもよい。
【0050】
収容箱検知センサ36が収容箱18を検知すると、図5(C)に示すように、制御部50は、第1回転手段92を駆動し、一対の第1羽根車90を互いに逆方向に回転させて2個の物品14を同時に落下させる。本実施形態では、収容箱搬送装置16における収容箱搬送方向の下流側端部またはその近傍に収容箱検知センサ36が配置されているので、収容箱検知センサ36は、収容箱18の前端部を検知することになり、収容箱18のサイズにばらつきが生じている場合でも、当該前端部を箱詰め位置Pにおいて正確に位置決めすることができる。したがって、物品14が、物品受面Nにおける落下地点と第1ストッパ48との間に確実に位置決めされることと相俟って、2個の物品14を収容箱18内の所定位置に安定的に落下させることができる。
【0051】
物品14の1段目の収容が完了すると、上記工程により、2段目から6段目の収容動作が実行され、6段目の収容動作が完了すると、満杯となった収容箱18が収容箱搬送装置16によって箱詰め位置Pから排出され、空の収容箱18が箱詰め位置Pに供給される。空の収容箱18が箱詰め位置Pに到達するまでは、制御部50によって第1羽根車90の動作が停止され、2個の物品14が第1羽根96の物品受面N上で待機される。したがって、この間でも第2羽根車装置42の動作を停止させる必要がなく、箱詰め処理能力の低下を防止することができる。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る箱詰め装置は、第1実施形態に係る箱詰め装置10(図1、図2)の第1羽根車90を図6に示す他の第1羽根車110に変更したものであり、他の部分は箱詰め装置10と同様に構成されている。
【0053】
第1羽根車110(図6)は、水平方向に対して傾斜する方向に延びる回転軸L3を有する軸部112と、物品受面Nを有し、軸部112に取り付けられた第1羽根114とを備えており、第1羽根114の物品受面Nと軸部112の回転軸L3とは互いに平行になっている。したがって、第2実施形態によれば、上述の第2羽根車60(図3)と全く同じものを傾けて配置するだけで、第1羽根車110を構成することが可能であり、第1実施形態の第1羽根車90と同様に、第1羽根114が物品14を受ける回転位置にあるときには、第1羽根114における物品受面Nを、物品14の移送方向に対する平行方向(すなわち前後方向)の一方端部(前端部)が他方端部(後端部)よりも低くなるように傾斜させることができる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る箱詰め装置は、第1実施形態に係る箱詰め装置10(図1、図2)の第1ストッパ48を図7に示す他の第1ストッパ120に変更したものであり、他の部分は箱詰め装置10と同様に構成されている。
【0055】
第1ストッパ120(図7)は、第1羽根車90から独立して、フレーム40(図1、図2)に対して固定されている。したがって、第3実施形態によれば、物品14を受けるときの物品受面Nの前端部(すなわち低い方の端部)に対応する位置にだけ、第1ストッパ120を設けることが可能であり、第1ストッパ120のサイズを小さくして、製造コストを低減することができる。
【0056】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る箱詰め装置は、第1実施形態に係る箱詰め装置10(図1、図2)の第1羽根車90を図8に示す他の第1羽根車130に変更するとともに、第1ストッパ48の位置を変更したものであり、他の部分は箱詰め装置10と同様に構成されている。
【0057】
第1羽根車130(図8)は、第1羽根132が物品14を受ける回転位置にあるときに、物品受面Nが前方から後方へ向かうにつれて低くなるように傾斜するように構成されたものであり、第1ストッパ48は、第1羽根車130の後端部に接合されている。つまり、上述の各実施形態に係る箱詰め装置が、物品受面N上に落下した物品14を前方に移動させるものであるのに対し、第4実施形態に係る箱詰め装置は、当該物品14を後方に移動させるものであり、収容箱18の後端部を箱詰め位置Pにおいて正確に位置決めする場合に適する。
【0058】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、「物品整列投下装置」として第2羽根車装置42を用いているが、「物品整列投下装置」の構成は、「複数の物品14を並べて下方に投下する機能」を有する限り特に限定されるものではなく、たとえば、2枚の開閉板(すなわち物品支持部)を駆動部(すなわち落下操作手段)で互いに離間する方向に移動させることによって、2枚の開閉板の間に物品投下口を確保するようにした装置が「物品整列投下装置」として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
L1,L2,L3… 回転軸
M… 物品支持面
N… 物品受面
P… 箱詰め位置
10… 箱詰め装置
12… 物品搬送装置(物品移送装置)
14… 物品
16… 収容箱搬送装置
18… 収容箱
20… 箱詰めシステム
30… 物品検知センサ
36… 収容箱検知センサ
42… 第2羽根車装置(物品整列投下装置)
44… 第2ストッパ
46… 第1羽根車装置
48,120… 第1ストッパ
50… 制御部
60… 第2羽根車(物品支持部)
62… 第2回転手段(落下操作手段)
66… 第2羽根
80a,80b… 出力軸
82a… モータ軸
82… 駆動モータ
90,110,130… 第1羽根車
92… 第1回転手段
94a… 入力軸
94… 軸部
96… 第1羽根
98… 受板
100a… 受板側取付片
100b… 軸部側取付片
100… 取付部材
102… ねじ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品移送装置から移送された複数の物品を移送方向に並べて支持する物品支持部と、前記物品支持部で支持された前記複数の物品を落下させるように前記物品支持部を操作する落下操作手段とを有する物品整列投下装置と、
前記物品支持部の下方に配置され、前記物品支持部から落下された前記複数の物品を受ける第1羽根を有し、その回転軸が前記移送方向に対して直交方向に並べて配置された一対の第1羽根車と、前記第1羽根で受けた前記複数の物品を落下させるように前記一対の第1羽根車を互いに逆方向に回転させる第1回転手段とを有する第1羽根車装置と、
前記複数の物品を、前記物品支持部から前記第1羽根に落下させた後に前記第1羽根からその下方に位置する収容箱内に落下させるように、前記落下操作手段および前記第1回転手段を制御する制御部とを備え、
前記一対の第1羽根車のそれぞれの前記第1羽根が前記複数の物品を受ける回転位置にあるとき、前記第1羽根における前記複数の物品を受ける物品受面は、前記移送方向に対する平行方向の一方端部が他方端部よりも低くなるように傾斜しており、
前記物品受面の前記一方端部またはその近傍には、前記物品の移動を阻止するストッパが設けられている、箱詰め装置。
【請求項2】
前記物品整列投下装置は、前記物品移送装置から移送された複数の物品を移送方向に並べて支持する第2羽根を有する前記物品支持部としての一対の第2羽根車と、前記第2羽根で支持された前記複数の物品を落下させるように前記一対の第2羽根車を互いに逆方向に回転させる前記落下操作手段としての第2回転手段とを有する第2羽根車装置である、請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記第1羽根車は、水平方向に延びる回転軸を有する軸部を有しており、
前記第1羽根は、前記回転軸に対して前記物品受面が傾斜するようにして前記軸部に取り付けられている、請求項1または2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記第1羽根車は、水平方向に対して傾斜する方向に延びる回転軸を有する軸部を有しており、
前記第1羽根は、前記回転軸に対して前記物品受面が平行になるようにして前記軸部に取り付けられている、請求項1または2に記載の箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−126559(P2011−126559A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285150(P2009−285150)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】