説明

簡易型モイスチャ発生装置

【課題】小型のガストーチを用いてモイスチャを発生することができる簡易型モイスチャ発生装置を提供する。
【解決手段】燃料が封入されたガスボンベと、該ガスボンベと接続され、炎を発生させるためのバーナ本体であって、前記燃料に対して点火するための点火装置を作動させるためのトリガと、前記炎を噴出させる中空筒状の炎噴出筒6とを含むバーナ本体と、前記炎噴出筒6の軸線に沿って配設された中空筒状の延長筒4と、該延長筒4の周壁9内に形成され、水8を収容するための収容室7と、該収容室7内の水を前記延長筒4内に供給するための水供給手段11,13とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易型モイスチャ発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガストーチが特許文献1に開示されている。このようなガストーチは、一般的に炎を発生させるものである。特に特許文献1のようなガストーチは、小型であり、取扱い性がよいものであるが、モイスチャを発生させることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2599216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、小型のガストーチを用いてモイスチャを発生することができる簡易型モイスチャ発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1の発明では、燃料が封入されたガスボンベと、該ガスボンベと接続され、炎を発生させるためのバーナ本体であって、前記燃料に対して点火するための点火装置を作動させるためのトリガと、前記炎を噴出させる中空筒状の炎噴出筒とを含むバーナ本体と、前記炎噴出筒の軸線に沿って連続して配設され、前記炎噴出筒を延長する中空筒状の延長筒と、該延長筒の周壁内に形成され、水を収容するための収容室と、該収容室内の水を前記延長筒内に供給するための水供給手段とを備えたことを特徴とする簡易型モイスチャ発生装置を提供する。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記水供給手段は、前記収容室内から前記周壁の内側壁を貫通し、前記延長筒の軸線方向に延びる線材と、前記内側壁と前記線材との間に形成され、前記水が通過可能な隙間とを有することを特徴としている。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記収容室は前記周壁内の全域に形成され、前記線材は、前記内側壁に対向する位置にある内側壁を貫通していることを特徴としている。
【0007】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、前記線材は、前記延長筒の軸線に直交方向に複数本平行に配設され、線材ユニットを形成していることを特徴としている。
請求項5の発明では、請求項3の発明において、前記線材は、複数本交差して網状に配設され、線材ユニットを形成していることを特徴としている。
請求項6の発明では、請求項4又は5の発明において、前記線材ユニットは、前記延長筒の軸線方向に複数個並んで配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、水供給手段にて延長筒内に水を供給し、これがバーナ本体からの炎で蒸発され、炎を低温化し、モイスチャとなる。したがって、水の蒸発潜熱の高さを利用して高温の炎を簡便に温度低下させることができ、さらに水の蒸発によるモイスチャを利用して殺菌、消毒、乾燥、調理を行うことができる。
請求項2の発明によれば、収容室内に収容された水が隙間を通って線材を伝い、これがバーナ本体からの炎で蒸発され、モイスチャを発生する。したがって、水の蒸発潜熱の高さを利用して高温の炎を簡便に温度低下させることができ、さらに水の蒸発によるモイスチャを利用して殺菌、消毒、乾燥、調理を行うことができる。
【0009】
請求項3の発明によれば、線材は、内側壁に対向する位置にある内側壁を貫通しているため、その両端部が内側壁で保持される。したがって、線材を安定して保持することができる。
請求項4の発明によれば、線材は、延長筒の軸線に直交方向に複数本平行に配設され、線材ユニットを形成しているため、蒸発する水の量を増やしてモイスチャの発生量を増加させることができる。
【0010】
請求項5の発明によれば、線材は、複数本交差して網状に配設され、線材ユニットを形成しているため、蒸発する水の量を増やしてモイスチャの発生量を増加させることができる。
請求項6の発明によれば、線材ユニットは、延長筒の軸線方向に複数個並んで配設されているため、蒸発する水の量をさらに増やしてモイスチャの発生量をさらに増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る簡易型モイスチャ発生装置の概略図である。
【図2】本発明に係る簡易型モイスチャ発生装置の延長筒の付近を示す概略断面図である。
【図3】線材の配置例を示す概略図である。
【図4】線材の配置例を示す概略図である。
【図5】線材の配置例を示す概略図である。
【図6】線材ユニットの配置例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明に係る簡易型モイスチャ発生装置の概略図であり、図2は本発明に係る簡易型モイスチャ発生装置の延長筒の付近を示す概略断面図である。
図示したように、本発明に係る簡易型モイスチャ発生装置1は、ガスボンベ2と、バーナ本体3と、延長筒4で構成されている。ガスボンベ2は、液化燃料が封入されている。バーナ本体3には、ガスボンベ2の液化燃料が気化した燃料に対して点火するための点火装置(不図示)が備わり、この点火装置を作動させるためのトリガ5が備わっている。したがって、トリガ5を引くと、燃料が点火され、中空筒状の炎噴出筒6から炎12が噴出する。
【0013】
延長筒4は、炎噴出筒6と同様に中空筒状であり、炎噴出筒6の軸線に沿って配設されている。延長筒4の周壁9はその全域が中空に形成され、収容室7が形成されている。収容室7には、水8が収容されている。水8は、キャップ16を取り外して注水口17から注水される。なお、収容室7は後述する線材11の端部を配置していれば、周壁9の全域に設けなくてもよい。周壁9の内側壁10を貫通し、線材11が備わっている。図2を参照すれば、線材11は、その端部が収容室7内にあり、一方の内側壁10aを貫通して延長筒4の軸線方向に延び、さらに対向する内側壁10bを貫通して他方の端部が収容室7内に位置している。このように、線材11の両端が対向する内側壁10a、10bをそれぞれ貫通しているので、線材11は安定して保持される。なお、線材11は一方の端部のみが内側壁10aを貫通する構造とし、他方の端部をフリーとしてもよい。内側壁10aと線材11との間には、水8が通過可能な隙間13が形成されている。なお、隙間13は、線材11と水8との表面張力でのみ8水が通過可能な間隔が好ましい。上記線材11と隙間13が延長筒4内に水を供給するための水供給手段となる。
【0014】
これにより、収容室7内に収容された水8が自重又は毛細管現象により隙間13を通って線材11を伝い(図2の矢印方向)、これがバーナ本体3からの炎12で蒸発され、モイスチャ14を発生する。したがって、水8の蒸発潜熱の高さを利用して高温の炎12を簡便に温度低下させることができ、さらに水8の蒸発によるモイスチャ14を利用して殺菌、消毒、乾燥、調理を行うことができる。すなわち、ガスバーナ(ガストーチ)が炎発生装置としてだけでなくモイスチャ発生装置としても利用できることになる。
【0015】
線材11は、図3に示すように十字に交差させたり、あるいは図4に示すように延長筒4の軸線に直交方向に平行に複数本(図では3本)配設させたり、あるいは図5に示すように複数本交差させて網状に配設してもよい。このように複数本の線材11を用いて線材ユニット15を形成することにより、線材11を伝う水の量が増えるので、蒸発する水の量を増やしてモイスチャの発生量を増加させることができる。なお、図3〜図5では隙間13は省略している。
【0016】
また、図6に示すように、線材ユニット15は、延長筒4の軸線方向に複数個(図では2個)並べて配設してもよい。これにより、蒸発する水の量をさらに増やしてモイスチャの発生量をさらに増加させることができる。
【0017】
上記効果は延長筒4内に収容室7内の水を供給できれば、得ることができる。したがって、水供給手段として、上述した構成の他、超音波振動子や空気圧による微粒子化装置を用いてもよい。これらで収容室7内の水を延長筒4内に供給してもよい。具体的には、収容室7内に超音波振動子が配設され、当該超音波振動子を振動させ、周壁9の内表面に設けた微細な孔から前記超音波振動子で粒子化した水を延長筒4内に供給する。この粒子化した水が炎12を低温化させ、上記効果を得ることができる。同様の構成で、収容室7内に空気圧を加圧できる装置を接続し、収容室7内の水を加圧することで微粒子化し、これを周壁9の内表面に設けた微細な孔から延長筒4内に供給してもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 簡易型モイスチャ発生装置
2 ガスボンベ
3 バーナ本体
4 延長筒
5 トリガ
6 炎噴出筒
7 収容室
8 水
9 周壁
10 内側壁
11 線材
12 炎
13 隙間
14 モイスチャ
15 線材ユニット
16 キャップ
17 注水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料が封入されたガスボンベと、
該ガスボンベと接続され、炎を発生させるためのバーナ本体であって、
前記燃料に対して点火するための点火装置を作動させるためのトリガと、
前記炎を噴出させる中空筒状の炎噴出筒とを含むバーナ本体と、
前記炎噴出筒の軸線に沿って連続して配設され、前記炎噴出筒を延長する中空筒状の延長筒と、
該延長筒の周壁内に形成され、水を収容するための収容室と、
該収容室内の水を前記延長筒内に供給するための水供給手段とを備えたことを特徴とする簡易型モイスチャ発生装置。
【請求項2】
前記水供給手段は、前記収容室内から前記周壁の内側壁を貫通し、前記延長筒の軸線方向に延びる線材と、
前記内側壁と前記線材との間に形成され、前記水が通過可能な隙間とを有することを特徴とする請求項1に記載の簡易型モイスチャ発生装置。
【請求項3】
前記収容室は前記周壁内の全域に形成され、
前記線材は、前記内側壁に対向する位置にある内側壁を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の簡易型モイスチャ発生装置。
【請求項4】
前記線材は、前記延長筒の軸線に直交方向に複数本平行に配設され、線材ユニットを形成していることを特徴とする請求項3に記載の簡易型モイスチャ発生装置。
【請求項5】
前記線材は、複数本交差して網状に配設され、線材ユニットを形成していることを特徴とする請求項3に記載の簡易型モイスチャ発生装置。
【請求項6】
前記線材ユニットは、前記延長筒の軸線方向に複数個並んで配設されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の簡易型モイスチャ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−169545(P2011−169545A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35839(P2010−35839)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(505430838)有限会社創造舎 (8)
【出願人】(506120253)株式会社環境セラステクノ (8)
【Fターム(参考)】