説明

簡易CTIシステム

【課題】簡易型CTIシステムにて画面エスカレーション機能を実現する事により、小規模コンタクトセンターの業務効率を高めることのできる安価な簡易CTIシステムを提供すること。
【解決手段】CTIサーバ10、データベース11、CTI端末装置12、ビジネスホン主装置13、ビジネスホン14、CTI端末装置13とビジネスホン14とを接続するアダプタ15から構成され、電話転送時において、前記複数のCTI端末装置12のうち転送元となる端末装置では、入力中の受付情報を前記データベース11に保存するとともに受付IDを転送先端末装置に送信し、転送先となる端末装置では、受信した受付IDをもとに前記データベース11より、受付情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータテレフォニーインテグレーション(以下CTIと称する)機能のうち、一方の端末から他方の端末装置へ画面情報を転送する機能(以下画面エスカレーション機能)を持つ簡易CTIシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
CTI(Computer Telephony Integration)システムとはコンピュータと電話を統合する仕組みである。近年電話のデジタル化が進む中、システム化規模(オペレータ数、回線数)によりCTIサーバを中核とした本格CTIシステム、SIP(Session Initiation Protocol)サーバベースの中規模CTIシステム、ビジネスホンベースの簡易型CTIシステム等が存在する。本格CTIシステムではCTIサーバの基本機能として様々な業務効率化機能、管理機能が充実しおり、ネットワークに多大な負荷をかけることなく画面情報を転送(エスカレーション)する方法が考えられている。
【0003】
例えば、PBX(局内交換機)をベースとする本格CTIシステムにおいて、以下のようなものがある。転送元端末装置では入力済みの文字情報をネットワークに接続されたデータベースに格納し、このデータベースでは入力情報に固有の受付IDを生成する。転送元端末装置ではこの受付IDを前記データベースから受信して、この受付IDをCTIサーバ経由で転送先端末装置へ送信する。転送先端末装置ではCTIサーバから受信した受付IDをデータベースに送信する。データベースは転送先端末装置からの受付IDと対応付けられる転送情報を検索し、この情報を転送先端末装置へ送信する。転送先端末装置ではデータベースの情報をモニタ上に表示させるというものがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−164520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のようなPBXをベースとしたCTIシステムは非常に高価であり、オペレータが10名程度の規模では、安価なビジネスホンをベースとした簡易型CTIシステムを導入することが多いのが現状である。ビジネスホンをベースとした簡易型CTIシステムでは受電した発信者番号をアプリケーションシステムに受け渡す程度の機能のみが提供されている。電話とアプリケーションの連携機能が弱い為、受電したオペレータから上位オペレータへの引継ぎ(電話の転送)が発生した場合、電話のみの転送しかできず、それまで受付けていた問合せ情報は、転送先端末にて再度呼び出す必要があり非効率な仕組みとなっていた。このように従来の簡易型CTIシステムでは、電話転送時の画面エスカレーション機能を保有していないため、オペレータ引継ぎ業務に時間がかかり、顧客を待たせる事態が発生していた。
【0006】
そこで本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、簡易型CTIシステムにおいて、本格CTIシステムでしか実現できなかった画面エスカレーション機能を実現する事により、小規模コンタクトセンターの業務効率を高めることのできる安価な簡易CTIシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ネットワークに接続されたサーバ装置および複数の端末装置と、これらの端末装置にそれぞれ接続された複数の電話機とから構成され、
前記サーバ装置は、顧客情報を管理する顧客データベースと、顧客情報からの問合せ受付情報を管理する受付情報データベースと、前記複数の端末装置を操作するオペレータの業務状況を管理するオペレータ状況データベースとを備え、
前記複数の端末装置は、受電した発信者番号を取得する第1の手段と、前記発信者番号をもとに前記顧客データベースから顧客情報を取得する第2の手段と、入力中の受付情報を前記受付情報データベースに保存するとともに顧客の受付情報履歴を取得する第3の手段と、自端末装置のオペレータの業務状況を常時監視して前記オペレータ状況データベースに保存するとともに前記端末装置のすべてのオペレータの業務状況を取得する第4の手段とを備えたことを特徴とする簡易CTIシステムが提供される。
【0008】
さらに、電話転送時において、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、入力中の受付情報を前記受付情報データベースに保存するとともに受付IDを転送先端末装置に送信し、転送先となる端末装置では、受信した受付IDをもとに前記受付情報データベースより、受付情報を取得することを特徴とする簡易CTIシステムが提供される。
【0009】
さらに、電話転送前において、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、前記第4の手段により前記オペレータ状況データベースから前記端末装置のすべてのオペレータ業務状況を取得し、業務状況画面を表示させることを特徴とする簡易CTIシステムが提供される。
【0010】
さらに、電話転送直前に、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、転送先となる端末装置に対してオペレータの業務状況を直接的に問合せを行うことを特徴とする簡易CTIシステムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明による簡易CTIシステムによれば、電話転送時に転送元端末装置で入力していた受付情報の受付IDを転送先端末装置に引き渡す事により自動的に画面をエスカレーションすることができ、電話引継ぎ業務の効率化を図る事ができる。また、端末上で各オペレータの業務状況を確認する事ができるので、迅速で的確な転送が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの顧客データベースのデータ構造の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの受付情報データベースのデータ構造の例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムのオペレータ状況データベースのデータ構造を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムのオペレータの業務状況を示す表示画面の例である。
【図6】本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの各端末装置での処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの構成図である。
【0014】
本発明に係る、簡易CTIシステムでは、CTIサーバ10、データベース11、CTI端末装置12、ビジネスホン主装置13、ビジネスホン14、CTI端末装置13とビジネスホン14とを接続するアダプタ15から構成される。
【0015】
CTIサーバ10と複数のCTI端末装置12は、LAN16(Local Area Network)等の通信回線ネットワークに接続されており、ビジネスホン14は、ビジネスホン主装置13を介して公衆電話回線17に接続されている。各CTI端末装置12はアダプタ15を介して対応するビジネスホン14と1対1で接続されている。顧客からの問合せを聞きながら、文字入力を可能にするためにアダプタ15にはヘッドセット18を接続できる。
【0016】
各CTI端末装置12上では、顧客からの問い合わせなどの受付情報を入力するための受付情報入力アプリケーション200と、各端末装置のオペレータの業務状況(通話中、待機中、事後処理中、離席中、拒否など)を常時監視し、電話転送時にCTI端末装置間で、後述する受付IDを送受する機能を有する端末エージェントアプリケーション201が動作している。
【0017】
CTIサーバ10は、顧客情報を管理する顧客データベース100と、顧客からの問合せ情報を管理する受付情報データベース101と、各CTI端末装置12を操作するオペレータの業務状況を管理するオペレータ状況データベース102とを備える。
【0018】
顧客データベース100では、顧客情報を管理しており、受電したCTI端末装置12から顧客の発信者番号を取得して、登録済みの顧客であれば、発信者番号をキーとして検索して、受電したCTI端末装置にその顧客情報を提示する。
【0019】
受付情報データベース101では、各CTI端末装置12で入力される受付情報に受付IDを付番して受付情報を一元管理している。
【0020】
オペレータ状況データベース102では、各CTI端末12の端末エージェントアプリケーション201から取得したコールオペレータの業務状況(通話中、待機中、事後処理中、離席中、拒否など)を端末IDごとに管理している。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの顧客データベースのデータ構造の例を示す図である。顧客データベース100は、図2のようなデータ構造をしており、顧客ID、発信者番号、氏名、住所、性別、年齢などの顧客情報が登録され、ナンバーディスプレイで表示される発信者番号により、顧客を特定することが可能である。
【0022】
図3は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの受付情報データベースのデータ構造の例を示す図である。受付情報データベース101は、図3で示すようなデータ構造をしており、受付ID、顧客ID、受付日時、商品名、問い合わせ内容、担当者、顛末などの受付情報が登録され、顧客IDをもとに過去の履歴を検索するとともに、新たな受付IDが付番された新規レコードを生成し、受電したCTI端末装置12で入力する受付情報を保存することができる。
【0023】
図4は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムのオペレータ状況データベースのデータ構造を示す図である。オペレータ状況データベース102は、図4に示すようなデータ構造をしており、端末ID、オペレータ氏名、状況、転送先内線番号、IPアドレスなどのオペレータ情報が登録され、各CTI端末装置のオペレータの業務状況を取得して常時監視することが可能である。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムのオペレータの業務状況を示す表示画面の例である。顧客からの問い合わせ内容が本人の担当業務範囲を超えている場合、電話およびそれまで入力していた画面情報を転送する必要が生じる。その場合、転送元CTI端末装置12のオペレータは、図5に示す各オペレータの業務状況を確認し、待機中であるオペレータを選択し、転送ボタンを押すことによって、電話の転送と同時にCTI転送元端末装置12に表示されている画面情報を転送先端末装置12aに転送することが可能である。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態に係る簡易CTIシステムの各端末装置での処理フローを示す図である。まず、各CTI端末装置12において、受電かどうかを判断する(S60)。受電すれば、常時監視している端末エージェント201によって自端末装置の業務状況を「通話中」とし、アダプタ15から取得した発信者番号を、CTIサーバ10に送信し、発信者番号を検索キーとして顧客データベース100を検索した顧客情報結果を取得する(S61)。顧客データベース101に新規入力を行うとともに新規レコードに付番された受付IDを取得し、さらに顧客IDをもとに過去の受付情報の履歴を取得する(S62)。顧客からの問い合わせが、オペレータの業務範囲を超えている場合など転送の必要が生じた場合(S63)、オペレータ状況データベース102に問合せを行い、図5で示したオペレータの業務状況を示す表示画面から待機中であるオペレータを選択する(S64)。待機中のオペレータがいない場合は、顧客に対し現在対応できない旨を伝え、中止ボタンを押下して終了する。転送する場合には、転送ボタンを押下することにより(S65)、転送元CTI端末12から転送先CTI端末12aに対し、業務状況の問い合わせをCTIサーバ10を介すことなく直接行う(S66)。図4で示した端末のIPアドレスを参照することで転送先端末装置12aへ直接問い合わせが可能である。
【0026】
この直接問い合わせは、本実施形態がビジネスホンベースのCTIシステムであるため必要であり、転送ボタン押下中に転送先端末が受電する可能性があるためである。このような再確認を直接転送先CTI端末装置12aにすることにより、確実な転送が可能となる。直接問い合わせの結果、問題がなければ、電話転送と同時に、受付IDを直接転送する(S67)。
【0027】
転送先CTI端末装置12aでは、転送元端末装置12から直接送られた受付IDをもとに、CTIサーバ10へ問い合わせを行い、転送元端末装置12で表示されていた情報を取得することにより、画面のエスカレーション機能が達成される。
【0028】
本発明による簡易CTIシステムによれば、電話転送時に転送元端末装置で入力していた受付情報の受付IDを転送先端末装置に引き渡す事により自動的に画面をエスカレーションすることができ、電話引継ぎ業務の効率化を図る事ができる。また、端末上で各オペレータの業務状況を確認する事ができるので、迅速で的確な転送が可能となる。
【0029】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0030】
10…CTIサーバ
11…データベース
12、12a…CTI端末装置
13…ビジネスホン主装置
14…ビジネスホン
15…アダプタ
16…データ通信回線(LAN)
17…公衆電話回線網
18…ヘッドセット
100…顧客データベース
101…受付情報データベース
102…オペレータ状況データベース
200…受付情報入力アプリケーション
201…端末エージェントアプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたサーバ装置および複数の端末装置と、これらの端末装置にそれぞれ接続された複数の電話機とから構成され、
前記サーバ装置は、顧客情報を管理する顧客データベースと、顧客情報からの問合せ受付情報を管理する受付情報データベースと、前記複数の端末装置を操作するオペレータの業務状況を管理するオペレータ状況データベースとを備え、
前記複数の端末装置は、受電した発信者番号を取得する第1の手段と、前記発信者番号をもとに前記顧客データベースから顧客情報を取得する第2の手段と、入力中の受付情報を前記受付情報データベースに保存するとともに顧客の受付情報履歴を取得する第3の手段と、自端末装置のオペレータの業務状況を常時監視して前記オペレータ状況データベースに保存するとともに前記端末装置のすべてのオペレータの業務状況を取得する第4の手段とを備えたことを特徴とする簡易CTIシステム。
【請求項2】
電話転送時において、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、入力中の受付情報を前記受付情報データベースに保存するとともに受付IDを転送先端末装置に送信し、転送先となる端末装置では、受信した受付IDをもとに前記受付情報データベースより、受付情報を取得することを特徴とする請求項1記載の簡易CTIシステム。
【請求項3】
電話転送前において、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、前記第4の手段により前記オペレータ状況データベースから前記端末装置のすべてのオペレータ業務状況を取得し、業務状況画面を表示させることを特徴とする請求項1記載の簡易CTIシステム。
【請求項4】
電話転送直前に、前記複数の端末装置のうち転送元となる端末装置では、転送先となる端末装置に対してオペレータの業務状況を直接的に問合せを行うことを特徴とする請求項1記載の簡易CTIシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−244175(P2010−244175A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90032(P2009−90032)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】