説明

粉体供給装置

【課題】簡略な構成で継粉を解消する粉体供給装置を提供する。
【解決手段】
溶液が入る液槽100と、その上に粉体を空気と混合する攪拌する給粉部2と、液槽内の溶液102を攪拌する攪拌スクリュー41を回転するモータ40とを備えている。給粉部2は、ホッパ下部22と混合室21とが第1の側面24で仕切られ、その底にスリット状の連絡通路20を備えている。給粉部2の上には、給粉部2と連続して粉体を格納するホッパ上部6と、粉体に空気を供給して粉体を攪拌するホッパ内攪拌部5とを備えている。そして、混合室21には、バルブVCを介して、ノズル3に開けられたスリット状の噴射口31を備えており、スリット状の噴射口31から連絡通路20に圧縮空気を11Cの方向に吹き付けると、粉体飛散雰囲気103が開口部13から溶液102の表面全体に広くばら撒かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、細粒子の粉体を微小量ずつ供給することができる粉体供給装置に関し、特に、排水処理において溶解物質等を凝集するための高分子凝集剤を供給する粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水処理において、排水中の懸濁や溶解物質を除去して定められた基準水質の清澄水を得ると共に、この除去分離された汚泥を無害な形に処理・処分する方法として、薬剤による凝集法が広く使用されている。この汚泥と清澄水との分離(固液分離)を促進するための薬剤として高分子凝集剤が用いられる(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
特許文献1には、溶解槽に定量の粉体に対して定量の溶媒液を供給し、前記定量の粉体に対し前記溶媒液中の一部を分流して定量的に前記溶解槽内に供給中の前記粉体に接触させて該粉体を分散させるようにした粉体の溶解装置であって、給液口を通じて前記溶媒液が供給される定水位槽を前記溶解槽の上方に配置し、また、該定水位槽に、下端の流出口が前記溶媒液を前記粉体に接触させる導通路の上端を、前記給液口と前記定水位槽を構成する越流堰の上端間において配置し、前記越流堰から流下する前記溶媒液の分流路を前記溶解槽に連通させる構成が開示されている。
また、特許文献2には、タンク底部から上方へ向けて一次空気を送り出すと共に、この一次空気流に直交するように2次空気流を吹き込む構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−118732号公報
【特許文献2】特開昭62−21632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような高分子凝集剤は、処理対象の排水に攪拌する以前に継粉が生じて十分攪拌できない問題があった。また、高分子凝集剤は、常時継続的に供給されるものではなく、タイマなどの指示により間欠的に供給されるものであるから、係る問題を引き起こしやすい。
【0005】
上記特許文献1では、粉体の入ったタンク下部分について、供給停止時でも湿気などの流入を防止できる構造ではない上に、空気と攪拌してそれを広範囲に液体と混合する構造ではなく、継粉が生じうるおそれがないとはいえないと考えられる。
また、上記特許文献2では、上方から粉体を供給するのでかなりの高圧空気が必要になると考えられる。また、吹き上げられた粉体は少なくともU字型のパイプを引き回す必要があり、メンテナンスが容易でないと考えられる。
【0006】
そこで、この発明は、簡略な構成で継粉を解消する粉体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のように構成している。
【0008】
(1)
粉体を堆積貯留するホッパと、
粉体を粒子状に飛散させ、粉体飛散雰囲気を形成する混合室と、
を備えた粉体供給装置であって、
前記混合室と前記ホッパは、それぞれの側面が、スリット状の隙間からなる連絡通路を介して隣接しており、
前記混合室は、
前記混合室の下方に設けられた液槽に向けて前記粉体飛散雰囲気を供給する開口部と、
前記混合室の外部から内部へ圧縮空気を供給するノズルで形成され、前記連絡通路と略平行であって前記連絡通路に略対向配置されたスリット状の噴射口をノズル側面に有する圧縮空気供給ノズルと、
を有している。
【0009】
このように構成すれば、前記スリット状の隙間からなる連絡通路に、前記圧縮空気供給ノズルに設けたスリット状の噴射口から、圧縮空気が送り込まれる。そのとき、ホッパから、少量の粉体がかき出され、混合室で空気と十分に混合され、攪拌される。そして、前記粉体飛散雰囲気が、開口部から放出され、前記混合室の下方に設けられた前記液槽に対して、ぼた雪状の粉体がぼったり真下に落ちるのではなく、空気と混合したパウダー状の粉体が液槽上方に広くばら撒かれることになる。したがって、粉体が液槽の液体に接したときに、継粉が生ずるおそれを効果的に回避できる。
【0010】
なお、前記「圧縮空気」とは、文言どおり、少なくとも大気圧より高い圧力下にある空気をいう。
【0011】
(2)
前記混合室は、その側面のうち少なくとも一面以上が透明な材質で形成され、
前記圧縮空気供給ノズルは、前記圧縮空気供給ノズルを回転して、前記スリット状の噴射口の位置を前記混合室の外部から調整可能とする調整機構を備えている。
【0012】
このように構成すれば、前記透明な材質で形成された側面から、前記ノズルのスリット状の噴射口が容易に視認できる。さらに、前記スリット状の噴射口は、前記ノズルを回転することにより、噴射する方向を変えることができる。したがって、一回の噴射で、粉体がかき出される量を調整できる。また、混合室での攪拌状況が視認できるから、噴射方向を、最も効果的に粉体と空気とを攪拌できる向きになるよう調整できる。したがって、より効果的に、継粉を生ずるおそれを回避できる。一方、従来の装置は、係る粉体をホッパから出す際に、そもそも調整機能がない、または調整が困難であるというだけでなく、継粉が生じたときに、粉体を供給する部分が視認できるような構造となっていないので、その原因究明をすることが困難な場合があった。
【0013】
(3)
前記ホッパは、その側面周囲の複数の位置から前記ホッパの中心部の斜め上方に向けて空気を注入するホッパ内空気注入手段を備えている。
【0014】
このように構成すれば、ホッパ内の粉体が前記空気注入手段により押し上げられ、分解されるから、粉体が固まるのを防ぐことができる。
なお、上記特許文献2では、上方から吹き上げて粉体を供給するので、本発明とは、そもそも構成が全く異なる上に、この文献では、水平方向に2次空気流を注入している点が異なる。
【0015】
(4)
前記混合室に設けられた開口部は、
前記連絡通路が設けられた側面から隔離して設けられており、
前記開口部の口元外周の少なくとも一部には、前記開口部が設けられた面の開口部周囲から開口部の口元へ斜めに盛り上がる傾斜面が設けられている。
【0016】
このように構成すれば、連絡通路が設けられている側面から隔離した位置で、前記開口部が設けられているから、混合室でかき出された粉体が、空気と攪拌される前に、落下することが防止できる。また、前記傾斜面により、ホイッスルと同様の作用により、空気が回転することになる。したがって、これらの両作用により、粉体が十分空気と攪拌した上で、粉体飛散雰囲気を液槽に送り出すことができる。したがって、より効果的に、継粉が生ずるおそれを回避できる。
【0017】
なお、「連絡通路が設けられている側面から隔離した位置」とは、少なくとも、底面の前記スリットのある位置に隣接していないことが必要である。空気と攪拌される前に、粉体が落下することが防止する趣旨である。
「連絡通路が設けられている側面から隔離した位置」に相当する例として、例えば、前記「連絡通路が設けられている側面」を第1の側面として、この第1の側面に対向する第2の側面の下方の位置、または前記混合室の底面、第1、第2の側面以外の側面のいずれかの面(以下、この段落ではこれを「開口部取り付け面という。」)における前記第2の側面近傍の位置が挙げられる。そして、当該「前記第2の側面近傍」とは、少なくとも、前記開口部取り付け面の中央より、第2の側面寄りにあることをいう。さらに、第1の側面、第2の側面は、それぞれ、曲面であってもよい。第1の側面、第2の側面は、曲面でつながっていても、「対向している」部分であればよい。
【0018】
(5)
前記混合室の下方であって前記液槽の上方の位置に、降下する前記粉体飛散雰囲気に対して扇状に水流を噴射して散布するノズルが設けられている。
【0019】
このように構成すれば、水流を噴射することにより、液槽上の広い範囲を用いて、互いに粉体の間隔が開いた状態で水流71と粉体飛散雰囲気が混ざることができる。したがって、粉体は、粉体飛散雰囲気が液面に降り積もる前に水流と混ざりつつ、前記扇状に噴射しているので、広い範囲で、連続的に除去されることになる。よって、この2つの作用により、継粉が生じうるおそれを効果的に回避できる。
【0020】
なお、特許文献1では、前述のとおり「給液口を通じて前記溶媒液が供給される定水位槽を前記溶解槽の上方に配置」して、「前記粉体に接触させる導通路」を設けているが、本発明が空気で攪拌した粉体飛散雰囲気を供給するのに対して、粉体そのものを落下させる特許文献の構成とは、そもそも、構成が全く異なる。確かに、特許文献1では、水流により粉体が液面上で留まることを防ぐことができ、大量の液体を循環させることができる。しかし、それぞれの粉体粒子近傍を考えると、特許文献1が導通路の狭い範囲で水流と混合しているので、それぞれの粉体粒子近傍では、液体が接する液体量は、多く取れない。これに対し、本発明は、予め空気で攪拌しているがゆえに、液槽の液面上部全体の面積を使って、予め粉体同士の間隔を取り、前記扇状に噴射することにより、攪拌した粒子それぞれの近傍において、液体が接する量を相対的に多く取ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、粉体は、混合室で空気と十分に混合され、攪拌される。そして、液槽に対して、ぼた雪状の粉体がぼったり真下に落ちるのではなく、空気と混合したパウダー状の粉体が液槽上方に広くばら撒かれることになる。したがって、粉体同士が予め隔離した状態で液槽の液体に接するから、粉体が液槽の液体に接したときに、継粉が生ずるおそれを効果的に回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1を用いて、本実施形態に係る粉体供給装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る粉体供給装置の装置外観図である。粉体供給装置1は、高分子凝縮材でできた粉体を溶液に溶解する装置である。係る高分子凝縮材は湿ると継粉が生じやすいゆえ、継子を防いで能率よく粉体を溶液に溶解するため、粉体供給装置1は以下のような構成となっている。即ち、溶液が入る液槽100と、その上に粉体と空気とを混合して攪拌する給粉部2と、液槽100内の粉体溶液を攪拌する攪拌スクリュー41を回転するモータ40とを備えている。給粉部2の上には、給粉部2と連続して粉体を格納するホッパ上部6と、空気を粉体に供給して粉体を攪拌するホッパ内攪拌部5とを備えている。
【0023】
図1の給粉部2は、後に説明する図3の部品図で構成され、給粉部2は、その内部には、ホッパ内攪拌部5と連続して粉体が満たされたホッパ下部22(後述図2参照。)と、これに隣接して設けられた中空状の混合室21とを有している。なお、混合室内の部位は符号を点線で指示している。ホッパ下部22と混合室21とは、第1の側面24で隔てられ、第1の側面24の下に、水平に設けたスリット状の連絡通路20を介して隣接している。また、給粉部2には、開口部13が、混合室21の下であって、給粉部の底部25(後述図4にも図示。)の位置に開口しており、開口部13は、混合室21と液槽100とを連絡する通路となっている。この開口部13は、給粉部の底部25の位置であって、第1の側面に対向する第2の側面26近傍に設けている。即ち、開口部13を設けている位置は、連絡通路20近傍に設けておらず、連絡通路20から隔離した位置としている。また、この開口部13の側面には、底部25から開口部13の口元へ近づくに従い、斜めに盛り上がる傾斜部27を有している。この傾斜部27は、混合室2内の空気の流れを変えるためのものである(詳細は後述する)。
【0024】
また、給粉部2は、3つの空気注入口となるバルブVA、VB、VCを備えている。バルブVAは、混合室21内部に下方向へ乾燥した空気を注入して、液槽100内部の溶液から蒸発する水蒸気の流入を防ぐものである。バルブVBは、ホッパ内攪拌部5へ空気を供給するものであり、この供給された空気により、ホッパ内攪拌部5の内部の粉体に空気を送り込んで攪拌することができる。VCは、スリット状の連絡通路20と平行な方向に設けている筒状の噴射ノズル3に、圧縮空気を送り込むためのバルブである(詳細は後述する。)。
【0025】
次に図2を用いて、粉体供給装置1の構成をさらに詳しく説明する。図2は、図1の外観図をA−A断面で切断した断面図である。図2に示すように、ホッパ上部6とホッパ内攪拌部5と、給粉部2内のホッパ下部22は、内部が連続しており、粉体101で満たされている。そして、給粉部2は、第1の側面24で、ホッパ下部22と中空状の混合室21とが仕切られており、スリット状の連絡通路20を介して隣接している。混合室21には、前述図1の説明のとおり、バルブVCを介して、この連絡通路20に平行に、即ち紙面垂直方向に筒状の噴射ノズル3が取り付けられている。この筒状の噴射ノズル3には、連絡通路20に平行に、連絡通路20と対向して、スリット状の噴射口31が設けられており、このスリット状の噴射口31から、圧縮空気を連絡通路20に向けて噴射することができる(空気噴射方向11C)。
【0026】
次に、同じく図2を用いて粉体供給装置1の機能を説明する。この筒状の噴射ノズル3から圧縮空気を連絡通路20に向けて噴射すると、ホッパ下部22の連絡通路20近傍の粉体は、連絡通路20を介して、混合室21へ少量分かき出される。ノズル3から噴射した空気は、連絡通路20に当接した後、この粉体と混ざり合いながら、混合室21内部を回転する。開口部13は、前述のとおり、連絡通路20の真下に設けておらず、距離を離した位置としているから、粉体が十分空気と混合する前に直接液槽100へ落ちることを防止できる。また、混合室21内部には、前述のとおり、傾斜部27を設けているから、ホイッスルと同様の作用により、混合室21内部の空気を効果的に回転させることができる。したがって、粉体は、十分空気と混合した上で、粉体飛散雰囲気103が開口部から放出される。これらの作用によって、本実施形態の粉体供給装置1では、液槽100内部の溶液102表面に、粉体を広くばら撒くことができる。そして、モータ40は、攪拌スクリュー41を回転し、粉体と混合した溶液102を攪拌する。
【0027】
なお、粉体で満たされているホッパ上部6とホッパ内攪拌部5と、給粉部2内のホッパ下部22は、これらをすべて合わせて、本発明の「ホッパ」に相当する。
液槽100は、本発明の「液槽」に相当する。
連絡通路20は、本発明の「スリット状の隙間からなる連絡通路」に相当する。
混合室21は、本発明の「混合室」に相当する。
第1の側面24は、本発明の「連絡通路が設けられた側面」に相当する。
給粉部の底部25は、本発明の「底面」に相当する。ただし、給粉部の底部25自体は、第2の側面26近傍に限られない部分である。
傾斜部27は、本発明の「傾斜面」に相当する。
開口部13は、本発明の「開口部」に相当する。
筒状の噴射ノズル3は、本発明の「圧縮空気供給ノズル」に相当する。
スリット状の噴射口31は、本発明の「スリット状の噴射口」に相当する。
粉体飛散雰囲気103は、本発明の「粉体飛散雰囲気」に相当する。
また、筒状の噴射ノズル3に供給する空気は、断続的に、所定の時間に一度噴射される。
【0028】
次に、図3、図4を用いて、給粉部2をさらに詳しく説明する。図3は、給粉部2およびホッパ内攪拌部5とを一体化した部品の外観図であり、当該部品を(A)正面図と(B)背面図で表している。図4は、そのB−Bの線で切断した断面図と、筒状の噴射ノズル3の部品図を示す。なお、ホッパ内攪拌部5は、後述の図5で詳しく説明する。
まず、バルブVA、VB、VCについて説明する。図3(A)、図3(B)に示すように、バルブVBは、ホッパ攪拌部5に固定されており、バルブVA、VCは、混合室21の外側の位置に固定されている。バルブVAを介して供給する空気は、図4(A)の空気注入方向11Aに示すように、給粉部2本体の空気注入口28を通って開口部13へ向けて下方に流れる。これにより、下方の液槽100内の溶液102(図2で図示。)の水蒸気が流入して混合室21内が湿ることを防ぐことができる。また、バルブVCを介して供給する圧縮空気は、筒状の噴射ノズル3(図3(A)で図示。)のスリット状の噴射口31(図1、図4(B)で図示。)から、図4(A)の空気噴射方向11Cで示すように、連絡通路20に向けて噴射される。
【0029】
ここで、スリット状の噴射口31の形状について補足説明を行う。スリット状の噴射口31は、図4(A)に示すように、筒状の噴射ノズル3の一部を切り欠いたものとなっており、図4(B)に示すように細長いスリット状の切り込みとなっている。そして、同じく図4(B)に示すように、筒状の噴射ノズル3の先端は、キャップ33がはめ込まれて固定され、軸方向に空気が漏れないようになっている。
【0030】
次に、図3(A)を用いて、スリット状の噴射口31の位置の調整機構を説明する。図3(A)で示すように、給粉部2の正面には、混合室21の側面に透明のアクリル板で形成される視認窓23を設けており、筒状の噴射ノズル3のスリット状の噴射口31の位置を視認できるようになっている。そして、筒状の噴射ノズル3は、バルブVCに回転可能に取り付けられており、スリット状の噴射口31の位置を調整できる。係る調整は、筒状の噴射ノズル3が図3(B)に示すようなバルブVC内の雌ねじ29に図4(B)で示すような雄ねじ32で接続されており、この雄ねじ32を回転することにより可能となる。
【0031】
なお、雄ねじ32は、本発明の「前記混合室の外部から調整可能とする調整機構」に相当する。
【0032】
次に、図4(A)を用いて、既に図1で説明した開口部13、傾斜部27、連絡通路20の位置関係について補足説明を行う。図4(A)で示すように、開口部13が開口している位置は、給粉部の底部25の位置であって、図1の説明で前述した第2の側面26の近傍の位置である。そして、第2の側面26は、第1の側面24と対向している。傾斜部27は、開口部13の近傍に設けている。また、連絡通路20は、給粉部の底部25の真上にあって、混合室21とホッパ下部22を仕切る第1の側面24の下方に開口した隙間となっている。
【0033】
なお、給粉部の開口部2は、本実施形態の装置では、前述図1〜図4のように、給粉の底部25の位置であって、第1の側面に対向する第2の側面26近傍に設けているが、第2の側面26の下方の位置であってもよく、また、第2の側面26に隣接する第3の側面260、第4の側面261の位置であって、第2の側面26の近傍に設けてもよい。ただし、開口部2を、視認窓23がある第3の側面260に取り付けるときは、視認性を害しないようにする必要がある。
ここで、前述のように、この第1の側面24に「対向する」第2の側面26近傍に設けたのは、第1の側面の下にあるスリット状の連絡通路20から隔離して設けることにより、粉体が空気と混合する前に液槽に落下するのを防止するためであり、「対向する」こと自体に技術的意義はない。
【0034】
次に、図5を用いて、給粉部2の一部であるホッパ内攪拌部5の構成について説明する。図5は、図3のC−Cの線で切断した断面図である。まず、ホッパ内攪拌部5の構成について説明する。ホッパ内攪拌部5は、図3の部品の一部分を占める部分であり、ホッパ下部22と連続して粉体で満たされた管53と、これの周りを覆うリング状の中空部分51とを備えている。また、図5に示すように、中空部分51と管53との間には、中空部分51から管53へ斜め上方向(空気注入方向11B)に向いた孔52が管53の周囲に複数開いている。
【0035】
同じく図5を用いて、ホッパ内攪拌部5の作用について説明する。中空部分51には、バルブVBを介して、乾燥した空気が常時供給されるようになっている。孔52を通じて、斜め上方向に粉体を押し上げる作用が生じる。これにより、管53内の粉体は固まることなく攪拌される。
【0036】
なお、図5で示した前記ホッパ内攪拌部5は、本発明のホッパ内空気注入手段」に相当する。また、VBから供給するこの乾燥した空気は、常時供給するようにする。
【0037】
次に、図6を用いて、本実施形態の粉体供給装置の液槽100内に設ける、水流を噴射するノズルについて説明する。これまで、説明の容易のために図1〜5には、記載していなかったが、本実施形態の装置では、水流71を噴射するノズル70を、液槽100内に設けている。ノズル70は、扇型に水流71を発射するように形成している。例えば、ノズル70は、その先が中空状の扇型の形状となっており、数多くの孔が開いている形状とすることができる。このように水流を噴射することにより、液槽100上の広い範囲を用いて、互いに粉体の間隔が開いた状態で水流71と粉体飛散雰囲気103が混ざることができる。したがって、粉体は、粉体飛散雰囲気が液面に降り積もる前に、水流と混ざりつつ、連続的に除去されることになる。
【0038】
なお、図6で示した前記ノズル70は、本発明の「扇状に水流を噴射して散布するノズル」に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施形態に係る粉体供給装置の装置外観図を示す。
【図2】図1の外観図をA−A断面で切断した断面図を示す。
【図3】本実施形態の粉体供給装置の給粉部の部品の外観図を示す。
【図4】本実施形態の粉体供給装置の給粉部を図3のB−Bの線で切断した断面図と筒状のノズルの部品図を示す。
【図5】本実施形態の粉体供給装置の給粉部を図3のC−Cの線で切断した断面図を示す。
【図6】本実施形態の粉体供給装置に設ける、水流を噴射するノズルの概念図を示す。
【符号の説明】
【0040】
1−粉体供給装置
11A、11B−空気注入方向
11C−空気噴射方向
13−開口部
2−給粉部
20−連絡通路
21−混合室
22−ホッパ下部
23−視認窓
24−第1の側面
25−給粉部の底部
26−第2の側面
260−第3の側面
261−第4の側面
27−傾斜部
28−空気注入口
29−雌ねじ
3−筒状のノズル
31−スリット状の噴射口
32−雄ねじ
33−キャップ
40−モータ
41−攪拌スクリュー
5−ホッパ内攪拌部
51−中空部分
52−孔
53−粉体で満たされた管
6−ホッパ上部
70−ノズル
71−水流
100−液槽
101−粉体(高分子凝縮材)
102−溶液
103−粉体飛散雰囲気
VA、VB、VC−バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を堆積貯留するホッパと、
粉体を粒子状に飛散させ、粉体飛散雰囲気を形成する混合室と、
を備えた粉体供給装置であって、
前記混合室と前記ホッパは、それぞれの側面が、スリット状の隙間からなる連絡通路を介して隣接しており、
前記混合室は、
前記混合室の下方に設けられた液槽に向けて前記粉体飛散雰囲気を供給する開口部と、
前記混合室の外部から内部へ圧縮空気を供給するノズルで形成され、前記連絡通路と略平行であって前記連絡通路に略対向配置されたスリット状の噴射口をノズル側面に有する圧縮空気供給ノズルと、
を有している粉体供給装置。
【請求項2】
前記混合室は、その側面のうち少なくとも一面以上が透明な材質で形成され、
前記圧縮空気供給ノズルは、前記圧縮空気供給ノズルを回転して、前記スリット状の噴射口の位置を前記混合室の外部から調整可能とする調整機構を備えている請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記ホッパは、その側面周囲の複数の位置から前記ホッパの中心部の斜め上方に向けて空気を注入するホッパ内空気注入手段を備えている請求項1、2のいずれかに記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記混合室に設けられた開口部は、
前記連絡通路が設けられた側面から隔離して設けられており、
前記開口部の口元外周の少なくとも一部には、前記開口部が設けられた面の開口部周囲から開口部の口元へ斜めに盛り上がる傾斜面が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記混合室の下方であって前記液槽の上方の位置に、降下する前記粉体飛散雰囲気に対して扇状に水流を噴射して散布するノズルが設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の粉体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−341191(P2006−341191A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169185(P2005−169185)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(597018738)大阪精密株式会社 (1)
【Fターム(参考)】