説明

粉体供給設備

【課題】複数種類の原料粉体を所定の配合で所定の量容易に供給することができる、また粉体の残存による清掃の問題もない、粉体供給設備を提供する。
【解決手段】粉体の排出口4およびその開閉弁6を有した複数個の原料コンテナ8と、投入口10を有した複数個の製品コンテナ12と、原料コンテナ搬送装置14と、製品コンテナ搬送装置16と、所定の位置に搬送された原料コンテナ8の排出口4および製品コンテナ12の投入口10それぞれに着脱を自在に連結し開閉弁6を開閉し原料コンテナ8から製品コンテナ12に所定量の粉体を排出させる配合秤量装置18とを備え、1個以上の原料コンテナ8それぞれから所定量の粉体を1個以上の製品コンテナ12それぞれに順次に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器に収容された原料粉体を秤量配合し、配合した製品粉体を複数の容器にそれぞれ供給する、粉体供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば薬品、化学品などの粉体を、収容容器における圧密固化を防止し必要なときに必要量供給する粉体供給設備として、粉体を複数個のコンテナに分けて圧密を防ぎ、このコンテナを必要数順次に定量供給機付きの貯槽に連結し粉体を投入し、定量供給機によって所定量の粉体を供給先に供給する設備が、開発され実用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−018013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上述したとおりの形態の粉体供給設備には、次のとおりの改善の望まれている問題がある。
【0004】
この粉体供給設備による複数種類の粉体の配合供給、すなわち複数種類の原料粉体を複数個のコンテナに分けて収容し、これらの所定量をそれぞれ貯槽に投入し、配合した製品粉体を定量供給機により所定の量供給するのは、貯槽、定量供給機など供給設備に残存した異種の粉体の清掃が容易でないこともあり、実質上困難である。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、複数種類の原料粉体を所定の配合で所定の量容易に供給することができる、また粉体の残存による清掃の問題もない、粉体供給設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば上記技術的課題を解決する粉体供給設備として、下端部に粉体の排出口およびその開閉弁を有した複数個の原料コンテナと、上端部に粉体の投入口を有した複数個の製品コンテナと、原料コンテナを搬送する原料コンテナ搬送装置と、製品コンテナを搬送する製品コンテナ搬送装置と、所定の位置に搬送された原料コンテナの排出口および製品コンテナの投入口それぞれに着脱を自在に連結し該開閉弁を開閉し原料コンテナから製品コンテナに所定量の粉体を排出させる配合秤量装置とを備え、1個以上の原料コンテナそれぞれから所定量の粉体を1個以上の製品コンテナそれぞれに順次に供給する、ことを特徴とする粉体供給設備が提供される。
【0007】
好適には、配合秤量装置は、鉛直方向に伸び排出口に連結する上開口および投入口に連結する下開口を有した伸縮および昇降自在な供給管と、製品コンテナが載置される台秤と、開閉弁の弁軸に着脱を自在に連結される弁駆動手段とを備えている。また、原料コンテナは収容されている粉体の識別手段を備え、配合秤量装置はこの識別手段の情報を読み取る原料確認手段を備え、配合秤量装置は予め登録された粉体であることを確認したときにこの原料コンテナの粉体を製品コンテナに供給する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従って構成された粉体供給設備は、複数個の原料コンテナと、複数個の製品コンテナと、原料コンテナ搬送装置と、製品コンテナ搬送装置と、原料コンテナと製品コンテナを連結し原料コンテナから製品コンテナに所定量の粉体を排出させる配合秤量装置を備えている。したがって、原料コンテナそれぞれから所定量の粉体を製品コンテナそれぞれに直接、順次に供給するので、複数個の原料コンテナに異なった種類の粉体を収容しての複数種類の原料粉体の所定の配合による所定の量を、清掃の必要な残存粉体を供給設備に発生させることなく、製品コンテナに容易に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に従って構成された粉体供給設備について、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0010】
粉体供給設備の概要説明図である図1を参照して説明する。全体を番号2で示す粉体供給設備は、下端部に粉体の排出口4およびその開閉弁6を有した複数個の原料コンテナ8(図示は1個)と、上端部に粉体の投入口10を有した複数個の製品コンテナ12(図示は1個)と、原料コンテナ8を搬送する原料コンテナ搬送装置としてのコンベア14と、製品コンテナ12を搬送する製品コンテナ搬送装置としてのコンベア16と、鉛直軸線Xで示す所定の位置に搬送された原料コンテナ8の排出口4および製品コンテナ12の投入口10それぞれに着脱を自在に連結し開閉弁6を開閉し原料コンテナ8から製品コンテナ12に所定量の粉体を排出させる配合秤量装置18を備えている。
【0011】
粉体供給設備18はまた、コンベア14、16、配合秤量装置18などの一連の作動を制御する制御装置20を備えている。
【0012】
原料コンテナ8を載置し搬送するコンベア14は、上部フレーム22上に設置され、製品コンテナ16を載置し搬送するコンベア16は、上部フレーム22の下方に位置した下部フレーム24上に設置され、配合秤量装置18は下部フレーム24および上部フレーム22に設置されている。
【0013】
コンベア14は、電動モーター14aによって駆動され原料コンテナ8を配合秤量装置18の所定位置Xに搬入また位置Xから搬出する。搬送コンベア16は、電動モーター16aによって駆動され製品コンテナ10を配合秤量装置18の所定位置Xの台秤28上に搬入また台秤28上から搬出する。
【0014】
原料コンテナ8および製品コンテナ10は実質上同一のものでよく、コンベア14、16それぞれに載置される架台9、13それぞれに取り付けられた容器本体を備え、容器本体は上端に投入口10を有した上部円筒部と、下端に排出口4および開閉弁6を有した下部漏斗状部を備えている。原料コンテナ8および製品コンテナ10そのものは本発明の新規特徴を構成するものではないので、周知のものでよい。したがってその詳細な説明は省略する。
【0015】
原料コンテナ8および製品コンテナ10を同一のものとすることにより、後に述べるように粉体供給設備2を有効に稼働させることができる。
【0016】
配合秤量装置18は、鉛直方向に伸び、排出口4に連結する上開口および投入口10に連結する下開口を有した伸縮および昇降の自在な供給管26と、製品コンテナ12が載置される前記の台秤28と、開閉弁6の弁軸に着脱を自在に連結する弁駆動手段30を備えている。
【0017】
図2を参照してコンベア14について説明する。制御装置20によって制御されるコンベア14は、倉庫などに保管されている原料粉体の充填された複数個の原料コンテナの中から選択した原料コンテナ8を、図2(a)に示すように矢印Z方向に所定位置Xに向けて搬入する。コンベア14は、原料コンテナ8を所定位置Xに位置付けるための光センサ32を備えており、光センサ32によって原料コンテナ8の架台9の進行方向前端が検出されると、コンベア14の搬送速度は減速される。
【0018】
コンベア14は、原料コンテナ8が減速進行し図2(b)に示すように光センサ32によって開閉弁6の位置が検出されると停止する。かくして、原料コンテナ8は配合秤量装置18の所定位置Xに停止する。
【0019】
複数個の原料コンテナ8はそれぞれ識別情報を記録した識別タグ34を備えている。識別情報としては、粉体の品目、ロット、充填日、数量など、またコンテナの番号、重量、洗浄経歴などが、バーコード、ICチップなどによって記録されている。この識別タグ34の情報は、所定位置Xの近傍に備えられた読取機36によって読み取られ、制御装置20に送られる。
【0020】
図1に戻って説明すると、コンベア16は、制御装置20により制御され倉庫などに保管されている複数個の基本的に空の製品コンテナの中から選択した製品コンテナ12を所定位置Xに向けて搬入する。搬入の際、所定位置Xの手前においては、投入口10の蓋が蓋着脱装置38によって吸着され持ち上げられ取り外される。その後、投入口10の開放された製品コンテナ12は配合秤量装置18の所定位置Xに送られ停止する。
【0021】
図1とともに図3、主として図3を参照して供給管26について説明する。供給管26は排出口4に当接し連結する上開口26aを有した上部管26bと投入口10に当接し連結する下開口26c有した下部管26dとを鉛直方向に伸縮自在に嵌合させて備え、上部フレーム22に形成された上面から下部フレーム24側に抜ける貫通孔23を通して配設されている。
【0022】
上部管26bは、上部フレーム22の上面との間にエアシリンダ40を介して昇降自在に取り付けられている。下部管26dは、下部フレーム24に設けられたフレーム42にエアシリンダ44を介して昇降自在に取り付けられている。
【0023】
図4を参照して弁駆動手段30について説明する。弁駆動手段30は、上部フレーム22に設けられた基台46に、所定位置Xの原料コンテナ8に向けて進退作動(矢印Yで示す)を自在に取り付けられた電動アクチュエータ48を備えている。電動アクチュエータ48の出力軸48aは、開閉弁6の弁軸6aの軸線7と同一線上になるように配設され、出力軸48aの先端の一対の駆動板48b、48bの間に弁軸6aの先端の従動板6bが嵌合され、回転駆動を可能に連結される。
【0024】
かくして、電動アクチュエータ48への入力(例えば電流)を制御装置20によって制御することにより、入力に応じた開閉弁6の弁板6cの開度を得ることができる。
【0025】
弁軸6aの他端側には、振動機50が着脱を自在に取り付けられている。振動機50は加圧空気により作動する周知のものである。振動機50は、開閉弁6の弁軸6aを振動させ弁体6cを加振し、弁体6c上の粉体を振動させて流動化し、より正確に弁体6cの開度に応じた量の粉体を排出させる。
【0026】
主として図1を参照して説明する。制御装置20は、マイクロコンピュータを含み、原料コンテナ搬送装置のコンベア14、製品コンテナ搬送装置のコンベア16、配合秤量装置18などの一連の作動を制御し、下記のように原料コンテナ8から所定量の粉体を製品コンテナ12に供給する。
【0027】
コンテナの搬入:
原料コンテナ搬送装置であるコンベア14によって、また製品コンテナ搬送装置であるコンベア16によって、倉庫などに保管されている複数個の原料粉体の充填された原料コンテナおよび空の製品コンテナの中から所定のコンテナを選択し、配合秤量装置18の所定位置Xに搬入する。
【0028】
原料コンテナの識別:
原料コンテナ8の情報を記録した識別タグ34を読取機36によって読み取り、原料コンテナ8が所定のものでないときには、原料コンテナ8および製品コンテナ12への供給管26の連結、製品コンテナ12への粉体の投入を拒否し、原料コンテナ8を搬送元に送り返す。
【0029】
供給管の連結および弁駆動手段の連結:
所定位置Xの原料コンテナ8の排出口4と製品コンテナ12の投入口10とに供給管26を連結し、さらに原料コンテナ8の開閉弁6の弁軸6aに弁駆動手段30の出力軸48aを連結する。
【0030】
粉体の排出、秤量:
弁駆動手段30の電動アクチュエータ48によって開閉弁6の開度を制御し、製品コンテナ12へ原料コンテナ8の粉体を排出する。このとき配合秤量装置18の台秤28により製品コンテナ12の単位時間の重量を検出し、開閉弁6の開度を制御し、原料粉体の排出量を一定に保持し、所定量が排出されたら開閉弁6を閉じる。台秤28の単位時間当たりの重量増加が設定した重量値を超えた場合には、開閉弁6の開度を自動的に絞り込み製品コンテナ12への投入過量を防止する。
【0031】
粉体の配合:
複数個の原料コンテナ8および製品コンテナ12の組み合わせを選択することによって、製品コンテナ12に投入される粉体の配合を変える。すなわち、数種類の原料コンテナ8の原料粉体それぞれの所定量を1個の製品コンテナ12に投入することにより、所定の配合の粉体を生成する。
【0032】
搬出:
粉体が投入された製品コンテナ12を製品コンテナ搬送装置であるコンベア16によって倉庫などの保管場所に搬出する。
【0033】
上述したとおりの粉体供給設備2の作用について説明する。
【0034】
粉体供給設備2は、複数個の原料コンテナ8と、複数個の製品コンテナ12と、原料コンテナ搬送装置14と、製品コンテナ搬送装置16と、所定位置Xで原料コンテナ8と製品コンテナ12とを連結し原料コンテナ8から製品コンテナ12に所定量の粉体を排出させる配合秤量装置18を備えている。したがって、原料コンテナ8それぞれから所定量の粉体を製品コンテナ12それぞれに直接、順次に供給するので、複数個の原料コンテナ8に異なった種類の粉体を収容しての複数種類の原料粉体の所定の配合による所定の量を、清掃の必要な残存粉体を供給設備に発生させることなく、製品コンテナ12に容易に供給することができる。
【0035】
この粉体供給設備2は、原料コンテナ8および製品コンテナ12の個数を適宜に組み合わせることにより、1個以上の原料コンテナそれぞれから所定量の粉体を1個以上の製品コンテナそれぞれに供給することができる、種々のシステムを構成することができる。例えば、原料コンテナを一つに固定し複数の製品コンテナに配膳する、あるいは製品コンテナを一つに固定し複数の原料コンテナに配膳することができる。
【0036】
また、原料コンテナ8および製品コンテナ10を同一のものとすることにより、配合された粉体を収容した製品コンテナ12をそのまま原料コンテナ8として用いることも可能であり、粉体供給設備2をより有効に稼働させることができる。
【0037】
原料コンテナ8と製品コンテナ12とを供給管18により直接連結し、原料粉体の排出が完了すると開閉弁6は全閉になり、原料コンテナ8から製品コンテナ12までの配管中に原料の残量がない。したがって、製品粉体への異種粉体、異物などの混入が防止される。
【0038】
原料コンテナ8、製品コンテナ12に識別情報を記録した識別タグ34を備えることにより、粉体および容器に関する必要情報が管理されるため、間違いのない秤量システムを構築できる。
【0039】
さらに粉体供給設備2は、原料コンテナ8および製品コンテナ12の搬送に自由度があるので、この設備にコンテナの自動洗浄乾燥機を連結させることにより、コンテナの洗浄も含めて設備の稼働効率を向上させることができる。
【0040】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0041】
例えば、本発明の実施例においてはコンテナ搬送装置22,24としてコンベア14、16が用いられているが、コンテナ搬送装置は、無人搬送車(AGV)、スタッカなどの他の適宜の手段でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に従って構成された粉体供給設備の構成の概要説明図。
【図2】コンテナを所定位置に減速させ停止させる説明図。
【図3】供給管の説明図。
【図4】開閉弁を開閉する弁駆動手段の説明図。
【符号の説明】
【0043】
2:粉体供給設備
4:排出口
6:開閉弁
8:原料コンテナ
10:投入口
12:製品コンテナ
14:コンベア(原料コンテナ搬送装置)
16:コンベア(製品コンテナ搬送装置)
18:配合秤量装置
20:制御装置
26:供給管
28:台秤
30:弁駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に粉体の排出口およびその開閉弁を有した複数個の原料コンテナと、上端部に粉体の投入口を有した複数個の製品コンテナと、原料コンテナを搬送する原料コンテナ搬送装置と、製品コンテナを搬送する製品コンテナ搬送装置と、所定の位置に搬送された原料コンテナの排出口および製品コンテナの投入口それぞれに着脱を自在に連結し該開閉弁を開閉し原料コンテナから製品コンテナに所定量の粉体を排出させる配合秤量装置とを備え、1個以上の原料コンテナそれぞれから所定量の粉体を1個以上の製品コンテナそれぞれに順次に供給する、ことを特徴とする粉体供給設備。
【請求項2】
配合秤量装置が、鉛直方向に伸び排出口に連結する上開口および投入口に連結する下開口を有した伸縮および昇降の自在な供給管と、製品コンテナが載置される台秤と、開閉弁の弁軸に着脱を自在に連結される弁駆動手段とを備えている、
ことを特徴とする請求項1記載の粉体供給設備。
【請求項3】
原料コンテナは収容されている粉体の識別手段を備え、
配合秤量装置はこの識別手段の情報を読み取る原料確認手段を備え、
配合秤量装置は予め登録された粉体であることを確認したときにこの原料コンテナの粉体を製品コンテナに供給する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の粉体供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−290517(P2006−290517A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112062(P2005−112062)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【出願人】(591147786)赤武エンジニアリング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】