説明

粉体充填装置および粉体充填方法

【課題】充填粉体へのストレスを低減でき、且つメンテナンス負荷の低減、更には耐久性を向上させた粉体充填装置、粉体充填方法の提供である。
【解決手段】加圧ホッパ5が、粉体排出部5−2と、前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層4表面よりも上方に位置する気体導入部12とを有しており、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧し、前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を排出する粉体充填装置において、
前記排出部にはフィルター13と、脱気装置・加圧装置14とが配されており、前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止し、前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を再開することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電式複写機、プリンタ等の画像形成装置の現像装置に用いられるトナー等の微粉体を、被充填容器に充填する粉体充填装置並びに粉体充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー等の微粉体は、スクリューフィーダー、オーガー式充填機、粉体自身の重力による自由落下、若しくは、空気を用いて粉体を搬送する手段等により粉体を被粉体充填容器に充填している。
【0003】
例えば、特許文献1には、空気を用いて粉体を搬送する方法の一例が記載されている。
【0004】
特許文献1には、粉体供給機に貯留した粉体に気体を導入して粉体の流動性を高めた後、導入した気体の圧力を利用し粉体を被充填容器へ充填する構成が開示されている。本充填装置においては、導入した圧力により粉体供給機中の粉体を搬送チューブへと搬送し、その搬送チューブを介して被充填容器へと粉体を供給し、所望の充填量に達した後、粉体供給機中の圧力を開放することで粉体の搬送を停止している。
【0005】
また、特許文献2においても気体で搬送する充填方法の一例が記載されている。特許文献2には、粉体導入バルブを開放し、測定チャンバを減圧状態にすることで、粉体を測定チャンバに定量充填し、その後、粉体導入バルブを閉じ測定チャンバの粉体搬送方向上流側から圧力を導入し、その圧力導入後に排出バルブを開放することで粉体の充填を行う構成が開示されている。本充填装置における充填の制御は粉体導入バルブ及び粉体排出バルブを用いて行っており、その構成として搬送路を挟んで封止するピンチバルブを用いている。
【0006】
一方、特許文献3には、オーガスクリューを用いて粉体を搬送する方法の一例が記載されている。本充填装置においてはオーガスクリューの回転にて粉体の充填を行う一方で、オーガスクリュー停止後、オーガスクリュー部とそのケーシング部との間に介在する粉体のボタ落ちをケーシング部先端に設けた脱気装置によりケーシング内部を吸引することで防止している。
【0007】
【特許文献1】特開2002−293301号公報
【特許文献2】特公平6−062121号公報
【特許文献3】特開2000−247445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示されている構成では、粉体の搬送停止の制御を供給機中の圧力を開放することで制御しており、その場合、低圧で粉体をゆっくり搬送する場合は問題ない。しかし、高圧で粉体を搬送する場合、充填量のばらつきが大きくなり、精密な充填量制御が困難であるという問題があった。
【0009】
また、特許文献2に開示されている構成においては、排出バルブの開閉により充填の制御を行っているが、充填する粉体が電子写真画像形成装置に用いる現像剤の場合、バルブ開閉によるバルブの摺動により、現像剤が凝集して粗大粒子が生成してしまう懸念があった。また、前記バルブに粉体が付着することで、付着粉体の除去等のメンテナンスの負荷が発生したり、更には前記バルブを定期的に交換したりする必要があった。
【0010】
更に特許文献3に開示されている構成においては、粉体の搬送手段としてオーガスクリューを使用していることから、粉体への負荷が大きく、充填する粉体が電子写真画像形成装置に用いる現像剤の場合、オーガスクリューと粉体との摺動により現像剤に粗大粒子が生成してしまう懸念があった。特に充填の再開時においては、前記脱気装置により密度の高められた現像剤を強制的にオーガスクリューにて搬送されるため、更に粗大粒子生成の危険性は高まるものであった。
【0011】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、充填制御による粒大粒子の生成が抑制でき、充填制御性を高めることができる粉体充填装置及び粉体充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、加圧ホッパを有する粉体充填装置であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧し、圧力を利用して、前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填装置において、
前記排出部には、空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、
前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止し、前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を再開することを特徴とする粉体充填装置に関する。
【0013】
また、本発明は、加圧ホッパを有する粉体充填装置を用いて行う粉体充填方法であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧した後、前記加圧による圧力を利用して前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填方法において、
前記排出部には、空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、
前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を開始し、その後、所定量排出した後、前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止することを特徴とする粉体充填方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、充填制御による粒大粒子の生成が抑制でき、また、制御部の特別なメンテナンスも不要で、効果的に粉体の充填を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る第1の発明は、加圧ホッパを有する粉体充填装置であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧し、圧力を利用して、前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填機において、
前記排出部には、空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、
前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止し、前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を再開することを特徴とする。
【0016】
第1の発明の粉体充填装置を用いることで充填の停止と開始の制御を、粉体流路内の脱気、加圧の制御により行うため、前記制御による粉体の粗大粒子生成を抑制できる。また、充填の停止と開始の制御にバルブ等を用いないため、制御部の特別なメンテナンスが不要となり、また更には制御部の耐久性をも向上させることができる。
【0017】
また、第2の発明は、第1の発明に示した粉体充填装置において、前記加圧装置は前記粉体流路内を加圧することができるとともに、前記粉体流路内を脱気も加圧もせずに密閉した状態とすることができることを特徴とする。
【0018】
第2の発明の粉体充填装置を用いることで、必要以上に粉体の嵩密度を低下させずに充填が行えるため、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0019】
また、第3の発明は、第1の発明に示した粉体充填装置において、前記フィルターは前記排出部の後端側に設けられていることを特徴とする。
【0020】
第3の発明の粉体充填装置を用いることで、排出部から被充填容器への粉体の飛散を防止することができる。
【0021】
更に、第4の発明は、第1から第3のいずれか1つの発明に示した粉体充填装置において、前記フィルターは排出部と略同形状の中空の筒状フィルターであることを特徴とする。
【0022】
第4の発明の粉体充填装置を用いることで、充填中の粉体4の流れを阻害せずに効率的に充填を行うことができる。
【0023】
更に、第5の発明は、第4の発明に示した粉体充填装置において、前記フィルターは円筒形状であることを特徴とする。
【0024】
第5の発明の粉体充填装置を用いることで、フィルターを介した脱気、加圧を均一に行うことでき、その結果、より効率的に粉体の充填停止、開始の制御を行うことができる。
【0025】
更に、第6の発明は、第1から第5のいずれか1つの発明に示した粉体充填装置において、前記排出部の後端部は被充填容器の蓋の内面側形状と同様の形状を有していることを特徴とする。
【0026】
第6の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0027】
更に、第7の発明は、第1から第6のいずれか1つの発明に示した粉体充填装置において、前記排出部の後端部は被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を備えていることを特徴とする。
【0028】
第7の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0029】
更に、第8の発明は、第1から第5のいずれか1つの発明に示した粉体充填装置において、被充填容器への粉体の充填が、被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を用いて前記被充填容器の粉体収納部内を脱気しながら行われるものであり、被充填容器内に粉体を送り込む排出部の後端部が、前記被充填容器内を脱気する脱気装置の有する第二のフィルターで形成されており且つ被充填容器の蓋の内面側形状と同様の形状を有することを特徴とする。
【0030】
第8の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0031】
更に、第9の発明は、加圧ホッパを有する粉体充填装置を用いて行う粉体充填方法であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧した後、前記加圧による圧力を利用して前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填方法において、
前記排出部には空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を開始し、その後、所定量排出した後、前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止することを特徴とする。
【0032】
第9の発明の粉体充填方法を用いることで充填の停止と開始の制御を、粉体流路内内の脱気、加圧の制御により行うため、前記制御による粉体の粗大粒子生成を抑制できる。
【0033】
また、充填の停止と開始の制御にバルブ等を用いないため、制御部の特別なメンテナンスが不要となり、また更には制御部の耐久性をも向上させることができる。
【0034】
更に、第10の発明は、第9に示した粉体充填方法において、
前記加圧により粉体の排出を開始した後は、所定量排出するまで前記粉体流路内を脱気も加圧もせずに密閉した状態とすることを特徴とする。
【0035】
第10の発明の粉体充填方法を用いることで、必要以上に粉体の嵩密度を低下させずに充填が行えるため、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0036】
更に、第11の発明は、第9又は第10に示した粉体充填方法において、
前記排出部の後端部は被充填容器の蓋の内面側形状と同様の形状を有していることを特徴とする。
【0037】
第11の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0038】
更に、第12の発明は、第9又は第11に示した粉体充填方法において、
前記排出部の後端部は被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を備えており、被充填容器内を前記脱気装置により脱気しながら、前記粉体の搬送を行うことを特徴とする。
【0039】
第12の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【0040】
更に、第13の発明は、第9又は第10に示した粉体充填方法において、
被充填容器への粉体の充填が、被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を用いて、前記被充填容器の粉体収納部内を脱気しながら行われるものであり、被充填容器内に粉体を送り込む排出部の後端部が、前記被充填容器内を脱気する脱気装置の有する第二のフィルターで形成されており且つ被充填容器の蓋の内面側形状と同様の形状を有することを特徴とする。
【0041】
第13の発明の粉体充填装置を用いることで、被充填容器内に高密度に粉体を充填することができる。
【実施例1】
【0042】
次に第1の実施例について説明する。
【0043】
図1に本発明に係る充填装置を用いた充填装置側充填部の一例を示す。図1において、1が粉体貯留容器で、充填する粉体4を多量に貯留するものである。粉体貯留容器1の下方には、粉体4を定量的に搬送する搬送手段2が設けられている。搬送手段2は駆動手段3から駆動を受け、粉体貯留容器1に貯留された粉体4を、下方に設けた加圧ホッパ5へ搬送する。
【0044】
加圧ホッパ5にはコンプレッサ6、駆動制御装置8、搬送チューブ9、粉体導入バルブ10、加圧バルブ12、粉体フィルター13、粉体脱気・加圧装置14、内圧計15、ロードセル16がそれぞれ設けられている。
【0045】
粉体貯留容器1から搬送された粉体4は、粉体導入バルブ10を開放することにより、加圧ホッパ5の粉体導入口5−1から加圧ホッパ5内に導入される。この際、粉体脱気・加圧装置14により、粉体フィルター13内は脱気されており、粉体4は粉体フィルター13の内壁に吸着され、吸着された粉体4により搬送チューブ9がせき止められ、粉体4の搬送が停止されている。ロードセル16は加圧ホッパ5の質量をモニターしており、加圧ホッパ5内に所定量粉体4が導入されると、その情報はロードセル16から駆動制御装置8へ伝達される。そして、駆動制御装置8から駆動手段3へ停止信号が出され、駆動手段3は駆動を停止する構成となっている。
【0046】
加圧ホッパ5に所定量の粉体4が導入された後、導入バルブ10が閉じられ、加圧ホッパ5内は気密状態になる。その後、コンプレッサ6と加圧バルブ12の開放により、加圧ホッパ5内が加圧される。なお、加圧ホッパ5内が加圧されても、搬送チューブ9は粉体フィルター13の内壁に吸着された粉体4にせき止められているため、粉体4は搬送されずに停止している。この時のホッパ5内の圧力を導入圧とする。その後、加圧バルブ12を閉じ、粉体脱気・加圧装置14により粉体フィルター13内を加圧することで粉体4と粉体フィルター13との吸着が解除され、粉体4は粉体排出開口部(排出部)5−2から搬送チューブ9へと押し出される。搬送チューブ9の端部を被充填容器19に接続しておくことで被充填容器19に粉体4を充填することができる。
【0047】
以上が本充填装置の基本的な構成である。以下に各部分の詳細を説明する。
【0048】
まず、加圧ホッパ5について説明する。
【0049】
本実施例において、加圧ホッパ5はSUS製で上側が円筒形状、下側が円錐形状の容器である。加圧ホッパ5には、約600gの粉体を保持するためには1000乃至4000cm3の容量であることが好ましく、本実施例においては2000cm3の容量の加圧ホッパを用いた。また、導入圧は、10乃至150kPaが好ましく、より好ましくは35乃至120kPaである。尚、加圧時の加圧ホッパの内圧は、上記の導入圧に101.3kPa(大気圧)を加えた圧となる。また、加圧ホッパ5の上部には円筒状の粉体導入口5−1が設けられており、その内側に粉体導入バルブ10を設けている。なお、粉体導入口5−1と、粉体貯留容器1の開口部1−1とは接続せずに離間している。これは、加圧ホッパ5の質量をロードセル16によりモニターしているためで、質量を精度良く検知するためには、粉体導入口5−1と開口部1−1とを離間させることが必要である。加圧ホッパ5に粉体4を供給する際に、粉体4が前記離間部から飛散すること防止するため、粉体導入開口部5−1を開口部1−1よりも太くし、開口部1−1の先端の一部を粉体導入開口部5−1に挿入する構成としても良い。
【0050】
また、加圧ホッパ5の天面部には加圧バルブ12を介しコンプレッサ6が設けられている。
【0051】
本実施例において、コンプレッサ6は加圧ホッパ5の天面から接続しているが、加圧ホッパ5内の粉体層の粉面高さが低い場合は、前記粉面よりも高くなる位置の加圧ホッパ5の側面に設けてもよい。
【0052】
更に、加圧ホッパ5の側面下部には加圧ホッパ5の質量を検知するロードセル16が設けられており、ロードセル16により加圧ホッパ5内の粉体4の量を検知している。
【0053】
更に、加圧ホッパ5の円錐形状の最下端には粉体排出開口部(排出部)5−2が設けられており、粉体排出開口部(排出部)5−2と搬送路としての搬送チューブ9とが接続されている。その結果、粉体4は加圧ホッパ5内にて、加圧空気により押し出され、粉体排出開口部5−2から搬送チューブ9へと搬送される。粉体排出開口部5−2の内径は、粉体搬送チューブ9の内径と略等しくしている。
【0054】
次にコンプレッサ6の構成について説明する。
【0055】
コンプレッサ6は加圧ホッパ5に設定圧力までの圧力を与える装置であり、付属の圧調整手段(不図示)により、設定圧力を調整できるものを用いている。また、加圧ホッパ5内の粉体4を充填するに従い減少する加圧ホッパ5内の圧力を補うように、充填中においても圧力を加える制御を行えるものを用いてもよい。
【0056】
コンプレッサ6は加圧バルブ12を介して、加圧ホッパ5の天面部分に接続している。また、コンプレッサ6から注入する空気を加湿空気とすることで、特に静電式複写機若しくはプリンタ等の画像形成装置の現像装置に用いられる現像剤の場合、搬送に伴い高まる現像剤の帯電量の増加を抑制することができる。搬送に伴う帯電は制御が困難で粉体の一部が局所的に帯電されるため、その結果、電子写真における現像過程での粉体の帯電が不均一となる。現像中の粉体の帯電が不均一となることで、画像欠陥が起こり得るため、なるべく搬送で帯電はさせないほうが好ましい。
【0057】
次に、駆動制御装置8の構成について説明する。
【0058】
駆動制御装置8は本実施例においては粉体貯留容器1からの粉体4の搬送を制御している。即ち、先ず、駆動制御装置8から駆動手段3へ駆動開始の信号が送られる。すると、駆動手段3は駆動を開始し、粉体貯留容器1内の粉体4の搬送を開始する。その後、粉体4が搬送され加圧ホッパ5内の質量が所定量に達したら、駆動制御装置8から駆動手段3へ停止信号が送られ、粉体4の搬送が停止される。この制御により、加圧ホッパ5内の粉体4の質量をある程度一定にすることで、その結果、加圧ホッパ5内の粉体4の密度をある程度一定にすることができる。充填の制御において、加圧ホッパ5の質量をロードセル16により検知し制御を行っているが、必ずしも検知直後に充填の停止できるわけでなく、若干の差が生じる。充填の制御としては、前記差を勘案し、早めに停止させる制御を行うことで所定量の充填を達成している。加圧ホッパ5内の粉体4の密度がばらつくと、前記差のばらつきが大きくなり、その結果、充填量の精度が悪化する。従って、加圧ホッパ5内の密度を一定とすることで、結果的には被充填容器14への充填量の精度が向上させることができるのである。
【0059】
次にロードセル16について説明する。
【0060】
本実施例においてロードセル16は加圧ホッパ5の質量を検知するものであり、充填前には加圧ホッパ5内の粉体4の充填量を、充填時においては被充填容器19への粉体4の充填量を加圧ホッパ5の質量を測定することで検知している。
【0061】
充填時において、ロードセル16は加圧ホッパ5の充填開始時の質量と終了時の質量差を検知し、充填量の制御を行っている。
【0062】
次に搬送チューブ9の構成について説明する。
【0063】
搬送チューブ9は、加圧ホッパ5の排出部に連結され、被充填容器19へ粉体を搬送する搬送路となるものであり、本実施例においては、内径10mmのシリコーン樹脂製のチューブを用いた。加圧ホッパ5から押し出された粉体4は搬送チューブ9を通って被充填容器19へ搬送される。本チューブを採用することで、加圧ホッパ5に対する被充填容器19の位置を自由に配置することができる。
【0064】
次に粉体脱気・加圧装置14の構成について説明する。
【0065】
粉体脱気・加圧装置14は内圧計15からの信号で加圧を開始し、ロードセル16からの信号で脱気を開始する。即ち、充填開始時においては粉体フィルター13を介して粉体4の加圧を行い、充填停止時においては粉体フィルター13を介して粉体4の脱気を行う。具体的な構成としては、加圧源と真空源と密閉状態とを有し、その経路を切り替えることで加圧、脱気、密閉の制御を行っている。
【0066】
なお、本実施例においては、加圧を内圧計15からの信号により開始し、また、脱気をロードセル16からの信号で開始するとしたが、特に限定するものでなく、所定圧力、所定時間、所定質量での検知により、加圧の開始、及び脱気の開始を行ってもよい。
【0067】
次に粉体フィルター13の構成について説明する。
【0068】
粉体フィルター13は搬送チューブ9と略同径である内径φ10円筒形状のマイクロフィルター株式会社製の金属焼結フィルター(円筒型ステンレスエレメント)を用いた。なお、フィルターのろ過グレードは5μである。
【0069】
次に粉体4について説明をする。
【0070】
本発明の粉体充填装置及び粉体充填方法で充填される粉体4としては、例えば、電子写真画像形成装置に用いられる現像剤を挙げることができる。特に、非磁性一成分現像剤を充填する場合に好適に用いられる。本実施例において粉体4は、非磁性一成分のトナーであって、ゆるみ嵩密度0.46g/cm3、タッピング嵩密度0.60g/cm3、重量平均粒径が約6μmのスチレン−アクリル共重合トナーを用いた。
【0071】
次に本装置を用いた充填制御方法について同じく図1を用いて説明する。
【0072】
加圧ホッパ5内に充填された粉体4は粉体フィルター13内において、粉体脱気・加圧装置14の脱気により、粉体の嵩密度が上げられるとともに、粉体4は粉体フィルター13の内壁に吸着され、吸着された粉体4により搬送チューブ9がせき止められ、その結果、粉体4の搬送が停止される。
【0073】
加圧ホッパ5内がコンプレッサ6、加圧バルブ12の作用により、所定の圧力に到達した後、粉体脱気・加圧装置14により粉体フィルター13を介して粉体4が加圧される。すると、粉体フィルター13の内壁に吸着した粉体4は、粉体フィルター13が逆洗浄される形で加圧を受けるため、加圧により粉体フィルター13との吸着が解かれ、その結果、加圧ホッパ5内に導入した圧力により被充填容器19へ搬送される。充填を再開するための加圧時間については、充填継続中常に加圧している必要はなく、加圧10kPaでの加圧時間については0.3秒程度で十分で、その後は粉体フィルター13を密閉した状態としてもよい。充填中、常に粉体フィルター13の加圧を行っても良いが、加圧し続けると、粉体フィルター13内にて粉体4の嵩密度を低めてしまう結果となり、好ましくない。
【0074】
加圧ホッパ5内の圧力により、被充填容器19へ所定量の充填が行われたことをロードセル16により検知された後、粉体脱気・加圧装置14の脱気により粉体フィルター13内の粉体4が脱気され、粉体4は粉体フィルター13の内壁に吸着される。その結果、粉体4の搬送が停止されるとともに、その後、加圧ホッパ5内の残圧が開放される。
【0075】
その後、搬送チューブ9が被充填容器19から取り外され、被充填容器19の搬送チューブ9との接続部がシールされることで被充填容器19の充填が完了となる。
【0076】
一方、加圧ホッパ5は、充填した分の粉体4が粉体貯留容器1より供給されるとともに、再び、加圧ホッパ5内に所定圧力が導入される。その後、粉体脱気・加圧装置14により粉体フィルター13を介して粉体4が加圧されることで、再び充填が開始される。
【0077】
なお、加圧ホッパ5へ所定圧力が導入された時点では、粉体4は粉体フィルター13の内壁に吸着され、吸着された粉体4により搬送チューブ9がせき止められているため、被充填容器19へ粉体が漏れ出ることはない。
【0078】
本実施例において、粉体4として非磁性一成分のトナーであって、ゆるみ嵩密度0.46g/cm3、タッピング嵩密度0.60g/cm3、重量平均粒径が約6μmのスチレン−アクリル共重合トナーを用いた。搬送チューブ9の内径をφ10、加圧ホッパ内導入圧は100kPaとしたとき、粉体フィルター13の脱気量は−10kPaで封止することができ、加圧については50kPaで0.3秒加圧した後、粉体フィルター13内を密閉とすることで充填が行えた。
【0079】
一方、充填の制御方法として加圧ホッパ5内の導入圧を一定とすると、被充填容器19内の容積によって、充填できる粉体4の充填量が決まることが分かっており、粉体4の充填量の制御を被充填容器19の容積を調整することで行うこともできる。
【0080】
この場合、充填は加圧ホッパ5内の内圧と被充填容器19内との内圧とが等しくなることで充填は停止する。そしてその後、粉体脱気・加圧装置14の脱気により粉体フィルター13を介して粉体4が脱気され、粉体4は粉体フィルター13の内壁に吸着されるとともに、加圧ホッパ5内の残圧が開放される。その後、搬送チューブ9が被充填容器19から取り外され、被充填容器19の搬送チューブ9との接続部がシールされることで被充填容器19の充填が完了となる(以後、本制御を容積制御という)。
【0081】
本制御においては、厳密に言えば粉体脱気・加圧装置14の脱気により充填を停止させていないが、搬送チューブ9を被充填容器19より取り外す際、粉体脱気・加圧装置14により粉体フィルター13内の脱気を行わないと、粉体4が大量に飛散する結果となる。
【0082】
また、一方、充填の再開時においても、粉体フィルター13内の脱気を行わないと、加圧ホッパ5内に導入圧を導入するとともに粉体4が搬送されてしまい、充填の制御が行えない結果となってしまう。
【0083】
なお、本制御にて充填を行った場合、粉体4は非磁性一成分のトナーであって、ゆるみ嵩密度0.46g/cm3、タッピング嵩密度0.60g/cm3、重量平均粒径が約6μmのスチレン−アクリル共重合トナーを用いた。搬送チューブ9の内径をφ10、加圧ホッパ内導入圧は100kPaとしたとき、粉体フィルター13の脱気量は−5kPaで封止することができ、加圧については50kPaで0.3秒加圧した後、粉体フィルター13内を密閉とすることで充填が行えた。
【0084】
本充填装置における粉体フィルター13と粉体脱気・加圧装置14による充填の制御については、搬送チューブ9の内径、加圧ホッパ5への導入圧、粉体脱気・加圧装置14の脱気量、及び加圧量、更には粉体フィルター13の形状を適宜設定することで充填の制御が可能となる。
【0085】
即ち、搬送チューブ内径を大きくしたり、加圧ホッパ5の導入圧を高めた場合、脱気・加圧装置14の設定値を大きくする必要がある。また、粉体4の物性値によっても、圧力関係が変わってくるため、充填装置毎に条件出しを行い、好適な値を見つけ出し、上記値を設定する必要がある。
【0086】
以上説明したように、本充填装置を用いることで充填の停止、及び、開始の制御を搬送チューブ9内を脱気、若しくは加圧することで行えるため、従来使用していた充填制御バルブを廃止することができる。その結果、制御バルブの開閉に伴う粉体4への物理的なストレスを低減することができ、ストレスによる粉体4の凝集による粗大粒子の生成を抑制することができる。また、充填制御バルブへの粉体4の付着についても大幅に低減することができ、その結果、充填制御バルブのメンテナンス負荷の低減、更には耐久性を向上させることができた。
【0087】
本実施例における充填装置において、充填前に400メッシュ(目開き39μm)にて篩った粉体4を、充填後に同様に400メッシュ(目開き39μm)にて篩った結果、メッシュ上に残る粗大粒子は確認できなかった。また、粉体フィルター13についても、充填再開時に粉体脱気・加圧装置14からの加圧がかかるため、フィルター13への粉体4の目詰りや付着は見られなかった。
【0088】
また、図1に示した充填装置側充填部においては、粉体フィルター13は搬送チューブ9の途中に設けた構成を示したが、図2に示すように、搬送チューブ9の被充填容器19側端部に設けても良い。搬送チューブ9の粉体フィルター13と被充填容器19との挟まれる部分にある粉体4は、搬送チューブ9を被充填容器19から取り外す際に飛散し、充填制御中に充填装置を汚してしまう懸念があった。粉体フィルター13を搬送チューブ9の被充填容器19側に設けることで、粉体フィルター13と被充填容器19とで挟まれる搬送チューブ9の長さを短くすることができる。粉体フィルター13と被充填容器19との挟まれる搬送チューブ9の長さを短くすることで、粉体4の飛散を極力抑えることができ、その結果、充填装置への粉体4による汚れを低減させることができる。
【実施例2】
【0089】
次に第2の実施例について説明する。
【0090】
図3に第2の実施例に係る充填装置の一例を示す。図3において、粉体貯留容器1、加圧ホッパ5、コンプレッサ6、駆動制御装置8、搬送チューブ9、粉体導入バルブ10、加圧バルブ12、粉体フィルター13、粉体脱気・加圧装置14、内圧計15、ロードセル16等は実施例1と同じ構成であるので説明は省略する。尚、粉体4としては、実施例1で述べたものと同じ物を用いることができる。
【0091】
第2の実施例に係る充填装置の特徴的な部分は、被充填容器19内に粉体を送り込む排出部に連結された搬送路(搬送チューブ9)の後端部が、被充填容器19の粉体収納部に充填された粉体層の表面形状として求められる形状と同じ形状を有している脱気フィルターを有する脱気装置17で形成されていることである。なお、図3では、搬送チューブの後端部に後述の脱気装置17を設け、該脱気装置17の形状を所望の粉体層の表面形状とした例が記載されているが、被充填容器の粉体層の表面を成形するためだけであれば、脱気の機構を有さないものであっても良い。また、図3の如く、搬送チューブ9が連結されている必要はなく、加圧ホッパ5の排出部後端部が、そのまま脱気装置17を有する構成であっても良い。尚、搬送路の後端部が粉体層の表面形状として求められる形状と同じ形状を有するとは、全く同じ形状である場合に限定されるものではなく、充填に影響のない範囲で異なっていても良く、実質的に同じ形状であれば良い。
【0092】
このような粉体充填装置を用いて、粉体の充填を行う場合には、被充填容器19としては、蓋19−1と粉体収納部19−2から構成されたものが用いられる(図4右図参照)。
【0093】
充填時においては、被充填容器の蓋19−1を外して、被充填容器19の粉体収納部19−2に充填された粉体層の表面形状として求められる形状と同じ形状を有している搬送チューブ9の後端部を、粉体収納部19−2に接合し、粉体の充填が行われる。
【0094】
次に、脱気装置17の構成について図5を用いて説明する。
【0095】
脱気装置17は、脱気装置枠体17−1、粉体導入部17−2、脱気フィルター17−3(フィルター凹部17−6、凸部17−7)、負圧接続部17−4、脱気パッキン17−5とを有する。
【0096】
脱気装置枠体17−1は、被充填容器19の蓋19−1と粉体収納部19−2との接合部に沿った形状をしており、粉体収納部19−2に対して上方から嵌合する。なお、嵌合部には密閉するためのパッキン材17−5が設けられている。パッキン材17−5としてはゴム硬度40〜60のゴム部材が好ましい。脱気装置枠体17−1の接合部と反対側には負圧接続部17−4が設けられ、この部分と負圧源とが接続されており、脱気が行われる。
【0097】
また、粉体導入部17−2は本実施例においては中央部に1ヶ所設けているが、充填速度向上のため、粉体導入部17−2を複数設けても良いし、また、位置についても中央部ではなく端部であっても良い。
【0098】
更に脱気フィルター17−3については、五層の金属焼結フィルターを使用し、その目開きは粉体4と接する側から1層目:縦、横ともに目開き150μm(100メッシュ)、2層目:縦目開き7.5μm(2000メッシュ)、横目開き10.7μm(1400メッシュ)、3層目:縦、横ともに目開き150μm(100メッシュ)、4層目:縦目開き1400μm(12メッシュ)、横目開き234μm(64メッシュ)、5層目:縦目開き1400μm(12メッシュ)、横目開き234μm(64メッシュ)といったフィルターを用いた。但し、フィルター17−3の構成については上記構成に限定するものではなく、粉体4を通過せずに気体のみを通過できる構成であれば良い。
【0099】
このような脱気装置17を用いることで、主に被充填容器19内にて粉体層に含まれた気体を脱気することができ、その結果、粉体4を高密度に充填できる。
【0100】
次に蓋19−1の接合について図3及び図4を用いて説明する。
【0101】
粉体4が粉体収納部19−2に所定量充填されたことが検知されたら、粉体脱気・加圧装置14の脱気により粉体フィルター13を介して粉体4が脱気することで粉体4の排出を止める。
【0102】
その後、脱気装置17は粉体収納部19−2から外され、別途用意された蓋19−1と粉体収納部19−2とが接合される。例えば、この蓋19−1と粉体収納部19−2との接合は、公知の手段である超音波溶着により行われる。
【0103】
また、脱気装置17を用いることで、粉体収納部19−2に充填した粉体層の表面形状を蓋19−1の内面側形状と同じ形状に成形できる。凹部や凸部を有する蓋を用いる場合には、粉体収納部19−2に充填された粉体層の表面形状を成形しておくことが好ましい。例えば、蓋19−1に凹部19−1−1がある場合には、フィルター17−3に前記凹部に合わせた凹部17−6を設けることで、その凹部にまで粉体を充填可能となり、更に多くの粉体を充填することが可能となる。また、蓋19−1に凸部19−1−2がある場合においては、脱気装置17に前記凸部に合わせた凸部17−7を設けることで、次工程である蓋19−1を載せて接合する工程において、蓋19−1を載せることに伴う粉体4の飛散を少なくすることができる。なお、凸部17−7についてはフィルター17−3を加工して設けてもよく、脱気枠体17−1にフィルター機能を有さない凸部を設けても良い。
【0104】
図4には蓋19−1の中央部に凹部19−1−1がある構成を示している。このように蓋19−1に凹部19−1−1がある構成においては、凹部19−1−1に十分に充填を行うことは困難であるが、本構成のように、フィルター17−3に凹部19−1−1に実質的に合わせた凹部17−6を設けることで、脱気により粉体4をフィルター17−3の形状に成形できるため、凹部19−1−1にも十分に充填できる。
【0105】
一方、蓋19−1の側端部には凸部19−1−2が設けてある。このように蓋19−1の側端部に凸部19−1−2が設けてある構成においては、蓋19−1を粉体収納部19−2に装着する工程において、蓋19−1の凸部19−1−2により粉体4が押し出され、粉体4の飛散が発生しやすい。しかしながら、脱気装置17に蓋19−1に合わせた凸形状17−7を設けることで、蓋19−1の凸部19−1−2に対応する部分の粉体4を予め除くことができ、その結果、粉体4の飛散を軽減することができる。
【0106】
即ち、粉体4の飛散を軽減することで粉体4のムダを防止でき、更には蓋19−1と粉体収納部19−2との接合部への粉体4の巻き込みを防止でき、その結果、蓋19−1と粉体収納部19−2との溶着強度が安定する。
【0107】
なお、本実施例において、負圧源の負圧力は−5乃至−10kPa程度が好ましい。
【0108】
前記脱気装置17を用いて脱気処理を行うことで、単位容積あたりの粉体の充填量0.35g/cm3から0.50g/cm3に向上させることができた。即ち、860cm3の容積の被充填容器においては、粉体の充填量を約300gから430gに増量することができた。なお、粉体4として非磁性一成分のトナーであって、ゆるみ嵩密度0.46g/cm3、タッピング嵩密度0.60g/cm3、重量平均粒径が約6μmのスチレン−アクリル共重合トナーを用い、搬送チューブ9の内径をφ10、加圧ホッパ内導入圧は100kPaとしている。
【0109】
また、図3に示した充填装置側充填部においては、粉体フィルター13は搬送チューブ9の途中に設けた構成を示したが、図6に示すように脱気装置17の中に一体的に設けても良い。このように粉体フィルター13と脱気装置17とを一体的に設けることは従来のバルブの構成ではスペース的に困難であった。
【0110】
粉体フィルター13を一体的に設けた脱気装置17の構成を図7の(1)、(2)、(3)に示す。
【0111】
図7(1)は粉体フィルター13を一体的に設けた脱気装置17の正面図、(2)は粉体フィルター13を一体的に設けた脱気装置17の斜視図、(3)は粉体フィルター13を一体的に設けた脱気装置17の断面図である。
【0112】
図7に示した脱気装置17において、搬送チューブ9は内径10mmのウレタンチューブであり、その搬送チューブ9が脱気装置17の中央部に設けられた粉体導入部17−2に接続されている。
【0113】
また、粉体導入部17−2の周囲を囲むように粉体フィルター13に相当する内径φ10、高さ15mmの円筒形状のマイクロフィルター株式会社製の金属焼結フィルター(円筒型ステンレスエレメント)が設けられている。なお、フィルターのろ過グレードは5μmである。そして粉体フィルター13の背後から脱気及び加圧するため粉体脱気・加圧装置14へと接続されている。
【0114】
一方、脱気装置17には略中央部の粉体導入部17−2を境にして左右にフィルター17−3が設けられている。フィルター17−3については、前述した5層構造の金属焼結フィルターを用いている。なお、フィルター17−3は凹形状を有しており、その凹形状に沿って粉体4が充填されるため、被充填容器19(不図示)には凹形状分多く充填できる。各フィルター17−3の上部にはフィルターを介して被充填容器19内を脱気するための空間がそれぞれ2ヶ所設けられており、その空間は負圧接続部17−4から負圧源へ接続されている。また、粉体導入部17−2及びフィルター17−3の周囲には、充填の際、脱気装置17と被充填容器19との接合で内部の粉体の漏れを防止するために両者を密閉するパッキン材17−5が設けられている。
【0115】
なお、図6、図7に示した充填装置を用いて粉体4として非磁性一成分のトナーであって、ゆるみ嵩密度0.46g/cm3、タッピング嵩密度0.60g/cm3、重量平均粒径が約6μmのスチレン−アクリル共重合トナーを用い、搬送チューブ9の内径をφ10、加圧ホッパ内導入圧は100kPaとして容積制御にて充填確認を行った。その結果、実施例1同様に粉体フィルター13の脱気量は−5kPaで封止することができた。加圧については50kPaで0.3秒加圧した後、粉体フィルター13内を密閉とすることで単位容積あたりの粉体の充填量0.50g/cm3で充填が行え、更には、脱気装置17を充填容器19から取り外した際の粉体4のボタ落ちを無くすことができた。
【0116】
このように脱気装置17と粉体フィルター13とを一体的に設けることで、粉体フィルター13と脱気装置17との挟まれる搬送チューブ9の長さを短くすることができた。粉体フィルター13と脱気装置17との挟まれる搬送チューブ9内に滞留する粉体4は、被充填容器19から脱気装置17を取り外す際に飛散する場合があり、粉体フィルター13と脱気装置17との挟まれる搬送チューブ9の長さを短くすることで、粉体4の飛散を極力抑えることができ、その結果、充填装置への粉体4による汚れを低減させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】第1の実施例に係る充填装置の概略図である。
【図2】第1の実施例に係る充填装置の概略図である(粉体フィルター13を搬送チューブ9の被充填容器19側端部に設けた)。
【図3】第2の実施例に係る充填装置の概略図である。
【図4】第2の実施例に係る蓋19−1の装着工程を示した図である。
【図5】第2の実施例に係る脱気装置17の詳細図である。
【図6】第2の実施例に係る充填装置の概略図である(粉体脱気フィルター13を脱気治具17内に一体的に設けた)。
【図7】第2の実施例に係る脱気治具17の詳細図である。
【符号の説明】
【0118】
1 粉体貯留容器
1−1 粉体排出口
2 搬送手段
3 駆動手段
4 粉体
5 加圧ホッパ
5−1 粉体導入口
5−2 粉体排出口
6 コンプレッサ
8 駆動制御装置
9 搬送チューブ
10 ピンチバルブ
12 加圧バルブ
13 粉体フィルター
14 粉体脱気・加圧装置
15 内圧計
16 ロードセル
17 脱気装置
17−1 脱気装置枠体
17−2 粉体導入部
17−3 フィルター
17−4 負圧接続部
17−5 パッキン材
17−6 フィルター凹部
17−7 凸部
19 被充填容器
19−1 蓋部材
19−1−1 蓋凹部
19−1−2 蓋凸部
19−2 粉体収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧ホッパを有する粉体充填装置であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧し、圧力を利用して、前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填装置において、
前記排出部には、空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、
前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止し、前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を再開することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項2】
前記加圧装置は前記粉体流路内を加圧することができるとともに、前記粉体流路内を脱気も加圧もせずに密閉した状態とすることができることを特徴とする請求項1に記載の粉体充填装置。
【請求項3】
前記フィルターは前記排出部の後端側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体充填装置。
【請求項4】
前記フィルターは排出部と略同形状の中空の筒状フィルターであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体充填装置。
【請求項5】
前記フィルターは円筒形状であることを特徴とする請求項4に記載の粉体充填装置。
【請求項6】
前記排出部の後端部は被充填容器の蓋の内面側形状と同じ形状を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粉体充填装置。
【請求項7】
前記排出部の後端部は被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の粉体充填装置。
【請求項8】
被充填容器への粉体の充填が、被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を用いて前記被充填容器の粉体収納部内を脱気しながら行われるものであり、被充填容器内に粉体を送り込む排出部の後端部が、前記被充填容器内を脱気する脱気装置の有する第二のフィルターで形成されており且つ被充填容器の蓋の内面側形状と同じ形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の粉体充填装置。
【請求項9】
加圧ホッパを有する粉体充填装置を用いて行う粉体充填方法であって、
前記加圧ホッパが、粉体を排出する排出部と、少なくとも前記加圧ホッパ内の粉体により形成される粉体層表面よりも上方に位置する気体導入部とを有しており、
前記粉体層は加圧ホッパ内において前記排出部を塞ぐように形成されるものであり、
前記排出部を閉じた状態で、前記気体導入部より気体を導入して、前記加圧ホッパ内を加圧した後、前記加圧による圧力を利用して前記排出部を塞ぐように形成されている粉体層を被充填容器に排出する粉体充填方法において、
前記排出部には、空気を通し、粉体を遮断するフィルターと、前記フィルターを介して排出部を通過する粉体を脱気する脱気装置と、前記フィルターを介して排出部を加圧する加圧装置とが配されており、
前記加圧装置により排出部の粉体流路内を加圧することで粉体の排出を開始し、その後、所定量排出した後、前記脱気装置にて排出部の粉体流路内を脱気することで粉体の排出を停止することを特徴とする粉体充填方法。
【請求項10】
前記加圧により粉体の排出を開始した後は、所定量排出するまで前記粉体流路内を脱気も加圧もせずに密閉した状態とすることを特徴とする請求項9に記載の粉体充填方法。
【請求項11】
前記排出部の後端部は被充填容器の蓋の内面側形状と同じ形状を有していることを特徴とする請求項9又は10に記載の粉体充填方法。
【請求項12】
前記排出部の後端部は被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を備えており、被充填容器内を前記脱気装置により脱気しながら、前記粉体の搬送を行うことを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の粉体充填方法。
【請求項13】
被充填容器への粉体の充填が、被充填容器内を脱気する第二の脱気装置を用いて、前記被充填容器の粉体収納部内を脱気しながら行われるものであり、被充填容器内に粉体を送り込む排出部の後端部が、前記被充填容器内を脱気する脱気装置の有する第二のフィルターで形成されており且つ被充填容器の蓋の内面側形状と同じ形状を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の粉体充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−51544(P2009−51544A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220814(P2007−220814)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】