説明

粉体吸引装置

【課題】円筒容器内の粉体を効率良く吸引できる粉体吸引装置を提供することである。
【解決手段】円筒容器D内の粉体Pを吸引する粉体吸引装置100であって、負圧供給装置80と、負圧供給装置によって負圧が供給されるノズル10と、円筒容器Dを回転させる回転装置60と、を具備し、ノズル10は、偏平形状に形成され、第1開口部13と、第2開口部14と、を具備し、第1開口部13は、ノズル10の底面に形成され、第1開口部13の長手方向の長さは、円筒容器Dの半径と略同一長さであって、第1開口部13の短手方向の長さは、ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも長く、第2開口部14は、ノズル10の長手方向の側面に形成され、第2開口部14の高さは、ノズル10の長手方向における一側の部分が他側の部分よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒容器内の粉体を吸引する粉体吸引装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体吸引装置とは、粉体の空気輸送装置を構成する装置の1つとして公知である。粉体とは、粉、粒等が集まった集合体である。粉体の空気輸送装置とは、輸送元と輸送先とをホースや金属配管で接続し,その内部を流れる空気(窒素ガスまたは酸素ガス)によって、粉体を輸送するものである。例えば、特許文献1は、吸引式粉体輸送装置としての粉体吸引装置を開示している。さらに、図7を用いて、従来の粉体吸引装置300・400について開示する。
【0003】
図7(A)を用いて、従来の粉体吸引装置300について説明する。
粉体吸引装置300は、円筒容器D内の粉体Pを吸引する粉体吸引装置である。粉体吸引装置300は、円管ノズル301と、負圧供給装置(図示略)と、を具備している。円管ノズル301は、3方向に移動するように構成されている。負圧供給装置は、円管ノズル301の内部に負圧を供給し、粉体Pを吸引するように構成されている。
【0004】
しかし、粉体吸引装置300は、円管ノズル301の開口面積が小さく、限られた部分のみの吸引(スポット吸引)しかできない。そのため、架橋現象またはラットホール現象が発生し、粉体Pを効率良く吸引できない。なお、架橋現象とは、円筒容器D内で吸引力の及ばない範囲の粉体Pが残留する現象をいう。また、ラットホール現象とは、粉体吸引装置300が粉体Pを吸引せず空気のみを吸引する現象をいう。
【0005】
図7(B)を用いて、従来の粉体吸引装置400について説明する。
粉体吸引装置400は、円筒容器D内の粉体Pを吸引する粉体吸引装置である。粉体吸引装置400は、パイプ401と、ノズル402と、回転装置403と、負圧供給装置(図示略)と、を具備している。ノズル402は、偏平形状に形成され、円筒容器Dの半径と略同一長さの開口部が形成されている。パイプ401は、負圧供給装置とノズル402とを接続し、吸引する粉体Pを上方に輸送するものである。回転装置403は、円筒容器Dを矢印Rの向きに回転させる装置である。円筒容器Dが矢印Rの向きに回転することによって、ノズル402は、一側を中心として他側が円を描くように、粉体Pの表面を移動する。
【0006】
しかし、粉体吸引装置400は、粉体Pの凝集性が高い場合には、円筒容器Dの中心部分と内壁近傍部分の体積比の違いによって、円筒容器Dの中心部分を多く吸引することになる。そのため、円筒容器Dの内壁近傍部分では架橋現象が、円筒容器Dの中心部分ではラットホール現象が発生し、粉体Pを効率良く吸引できない。
【0007】
つまり、特許文献1に開示される粉体吸引装置、あるいは、上述した従来の粉体吸引装置300・400では、円筒容器D内の粉体Pを効率良く吸引できなかった。円筒容器D内の粉体Pを吸引する粉体吸引装置では、粉体を効率良く吸引することが課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−130743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、円筒容器内の粉体を効率良く吸引できる粉体吸引装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、円筒容器内の粉体を吸引する粉体吸引装置であって、負圧供給装置と、前記負圧供給装置によって負圧が供給されるノズルと、前記円筒容器を回転させる回転装置と、前記回転装置と、前記負圧供給装置と、を駆動制御する制御装置と、を具備し、前記ノズルは、偏平形状に形成され、第1開口部と、第2開口部と、を具備し、前記第1開口部は、前記ノズルの底面に形成され、前記第1開口部の長手方向の長さは、前記円筒容器の半径と略同一長さであって、前記第1開口部の短手方向の長さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも長く、前記第2開口部は、前記ノズルの長手方向の側面に形成され、前記第2開口部の高さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも高く、前記ノズルは、平面視において、前記ノズルの第1開口部の長手方向他側が前記円筒容器の中心に配置され、前記ノズルの第1開口部の長手方向一側が前記円筒容器の内壁側に配置され、前記制御装置は、前記回転装置を駆動して、前記円筒容器を回転させることによって、前記ノズルの長手方向他側を中心として、前記ノズルの長手方向一側が粉体表面において円を描くように、前記第2開口部が形成される側面を前方にして、前記ノズルを前記粉体の表面上にて移動させ、前記負圧供給装置によって負圧を供給し、円筒容器内の粉体を吸引するものである。
【0012】
請求項2においては、円筒容器内の粉体を吸引する粉体吸引装置であって、負圧供給装置と、前記負圧供給装置によって負圧が供給されるノズルと、前記円筒容器を回転させる回転装置と、前記ノズルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給装置と、前記ノズルと前記圧縮空気供給装置とを接続する供給管と、前記回転装置と、前記負圧供給装置と、前記圧縮空気供給装置と、を駆動制御する制御装置と、を具備し、前記ノズルは、偏平形状に形成され、開口部を具備し、前記開口部は、前記ノズルの底面に形成され、前記開口部の長手方向の長さは、前記円筒容器の半径と略同一長さであって、前記開口部の短手方向の長さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも長く、前記ノズルは、平面視において、前記ノズルの開口部の長手方向他側が前記円筒容器の中心に配置され、前記ノズルの開口部の長手方向一側が前記円筒容器の内壁側に配置され、前記制御装置は、前記回転装置を駆動して、前記円筒容器を回転させることによって、前記ノズルの長手方向他側を中心として、前記ノズルの長手方向一側が粉体表面において円を描くように、前記ノズルを移動させ、前記圧縮空気供給装置によって、前記供給管を介して圧縮空気を前記ノズルに供給し、前記負圧供給装置によって負圧を供給し、円筒容器内の粉体を吸引するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粉体吸引装置によれば、円筒容器内の粉体を効率良く吸引できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態である粉体吸引装置の構成を示す構成図。
【図2】同じくノズルの構成を示す平面図、側面図および正面図。
【図3】同じく粉体吸引装置の作用を示す模式図。
【図4】第二実施形態である粉体吸引装置の構成を示す構成図。
【図5】同じくノズルの構成を示す平面図、側面図および正面図。
【図6】同じく粉体吸引装置の作用を示す模式図。
【図7】従来の粉体吸引装置の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜3を用いて、粉体吸引装置100について説明する。
粉体吸引装置100は、本発明の粉体吸引装置の第一実施形態である。粉体吸引装置100は、粉体Pの空気輸送装置(図示略)を構成する装置の1つである。粉体の空気輸送装置とは、輸送元と輸送先とをホースや金属配管で接続し,その内部を流れる空気によって、粉体Pを輸送するものである。粉体吸引装置100は、円筒容器D内の粉体Pを吸引する装置である。なお、第一実施形態の円筒容器Dは、ドラム缶とされている。
【0016】
図1を用いて、粉体吸引装置100の構成について、説明する。
なお、図1では、2点鎖線は、電気信号線を示している。
粉体吸引装置100は、ノズル10と、パイプ30と、ホース40と、制御手段としてのコントローラ50と、回転装置60と、昇降装置70と、負圧供給装置80と、を具備している。
【0017】
ノズル10は、円筒容器Dから粉体Pを吸引するものである。ノズル10は、パイプ30の下端側に接続されている。なお、ノズル10について、詳しくは後述する。
【0018】
パイプ30は、ノズル10によって吸引された粉体Pを上方に輸送するものである。パイプ30は、鉛直方向に配置されている。パイプ30の下端側には、ノズル10が接続されている。パイプ30の上端側には、ホース40が接続されている。パイプ30の中途部は、後述する支持部73によって支持されている。
【0019】
ホース40は、パイプ30によって輸送された粉体Pを輸送先に輸送するものである。ホース40は、柔軟な素材で構成され、任意に曲がる構成とされている。ホース40の一端側には、パイプ30が接続されている。ホース40の他端側は、輸送先および負圧供給装置80に接続されている。
【0020】
回転装置60は、載置された円筒容器Dを回転させる装置である。回転装置60は、本体61と、載置台62と、を具備している。載置台62には、円盤形状に形成され、円筒容器Dが載置されている。本体61は、回転駆動機構によって、載置台62を回転する構成とされている。本体61は、コントローラ50に接続されている。
【0021】
昇降装置70は、支持するパイプ30およびノズル10を鉛直方向に昇降させる装置である。昇降装置70は、本体71と、支柱72と、支持部73と、を具備している。支柱72は、回転装置60の近傍に立設されている。本体71は、駆動機構によって、支柱72に沿って鉛直方向に上下移動するように構成されている。本体71は、コントローラ50に接続されている。支持部73は、パイプ30を側方から支持するものである。支持部73の一側は、本体71に接続されている。支持部73は、本体71の上下移動に伴って移動する。
【0022】
負圧供給装置80は、ノズル10、パイプ30およびホース40に負圧を供給する装置である。負圧供給装置80は、ホース40に接続されている。負圧供給装置80は、コントローラ50に接続されている。
【0023】
コントローラ50は、回転装置60と、昇降装置70と、負圧供給装置80と、を駆動制御する機能を有している。コントローラ50は、回転装置60と、昇降装置70と、負圧供給装置80と、に接続されている。
【0024】
図2を用いて、ノズル10の構成について説明する。
なお、図2(A)は、ノズル10の平面図を示し、図2(B)は、ノズル10の正面図を示し、図2(C)は、ノズル10の側面図を示している。
【0025】
ノズル10は、円筒容器Dから粉体Pを吸引するものである。ノズル10は、パイプ接続部11と、本体12と、第1開口部13と、第2開口部14と、を具備している。
【0026】
パイプ接続部11は、パイプ30に接続される部分である。パイプ接続部11は、ノズル10の上方に形成されている。
【0027】
本体12は、パイプ接続部11の下端から下方へ向かうに従って幅方向に拡径し、後述する幅方向の長さが、後述する奥行き方向の長さよりも長く形成される、扁平形状に形成されている。また、本体12の奥行き方向の長さは、パイプ接続部11の下端から下方へ向かうに従って縮小しており、本体12における奥行き方向の形状は下方が絞られた形状となっている。また、本体12においては、下端部における第1開口部13と第2開口部14との合計面積が、上端部の開口面積(パイプ接続部11の開口面積)と略同一となるように構成されている。このような構成とすることで、ノズル10において下端部から上端部にかけての吸引流速が略同一となるようにしている。
【0028】
ここで、本体12(ノズル10)の平面視における長手方向の一側を中心側と定義し、長手方向の他側を円周側と定義する。
【0029】
第1開口部13は本体12(ノズル10)の底面に開口する開口部である。第1開口部13は、ノズル10の底面に、本体12の扁平形状に沿った長尺形状にて形成されている。第1開口部13の幅を、第1開口部13の長手方向の長さとする。具体的には、第1開口部13の幅は、図2(A)および図2(B)の第1開口部13の水平方向の長さである。第1開口部13の幅は、円筒容器Dの半径と略同一の長さに形成されている。
【0030】
第1開口部13の奥行きを、第1開口部13の短手方向の長さとする。具体的には、第1開口部13の奥行きは、図2(A)の第1開口部13の鉛直方向の長さであって、図2(C)の第1開口部13の水平方向の長さとなる。第1開口部13の奥行きは、円周側13B(本体12の長手方向一側)の長さが中心側13A(本体12の長手方向他側)の長さよりも長くなるように形成されている。つまり、第1開口部13は、中心側13Aと比較して円周側13Bに近い部分が大きな開口面積に形成されていて、多くの粉体Pを吸引できる。
【0031】
第2開口部14は本体12(ノズル10)の一側面の下部に開口する開口部である。第2開口部14は、その下端部において第1開口部13と連通している。第2開口部14は、ノズル10の一側面に形成されている。第2開口部14は、ノズル10の一側面に下端から切り欠いたように形成されている。第2開口部14の高さを、図2(B)および図2(C)の第1開口部13の鉛直方向の長さとする。第2開口部14の高さは、円周側14B(本体12の長手方向一側)が中心側14A(本体12の長手方向他側)よりも長くなるように形成されている。つまり、第2開口部14は、中心側14Aと比較して円周側14Bに近い部分が大きな開口面積に形成されていて、多くの粉体Pを吸引できる。
【0032】
図3を用いて、粉体吸引装置100の作用について説明する。
粉体吸引装置100においては、昇降装置70がコントローラ50により駆動されて、ノズル10を円筒容器D内の粉体Pの表面に配置する。このとき、ノズル10は、平面視において、第1開口部13の中心側13Aが円筒容器Dの中心部分に位置し、第1開口部13の円周側13Bが円筒容器Dの内壁近傍部分に位置するように、配置されるものとする。
【0033】
負圧供給装置80は、コントローラ50により駆動され、ノズル10、パイプ30およびホース40に負圧を供給する。負圧が供給されたノズル10は、粉体Pの表面から粉体Pを吸引する。吸引された粉体Pは、パイプ30およびホース40によって、輸送先まで輸送される。
【0034】
回転装置60は、コントローラ50により駆動され、回転装置60によって、円筒容器Dを回転させる(図3の矢印Rの向き)。このとき、ノズル10およびパイプ30が水平方向の位置を固定した状態で支持されているため、ノズル10は、粉体Pの表面を相対的に移動することになる。より具体的には、ノズル10は、粉体Pの表面において第1開口部13の中心側13Aを中心として、第1開口部13の円周側13Bが円筒容器Dの内壁近傍に沿って円を描くように移動する。また、ノズル10は、第2開口部14が形成されている側面を前方にして粉体Pの表面を移動するものとする。
【0035】
このとき、第1開口部13では、中心側13Aと比較して円周側13Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。また、第2開口部14では、中心側14Aと比較して円周側14Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。
【0036】
円筒容器D内の粉体Pの高さは、粉体Pが吸引されるに伴って低くなる。昇降装置70はコントローラ50により駆動されて、低くなる円筒容器D内の粉体Pの高さにあわせてパイプ30を降下させ、ノズル10を粉体Pの表面に密着させる。
【0037】
粉体吸引装置100の効果について説明する。
すなわち、粉体吸引装置100によれば、円筒容器D内の粉体Pを効率良く吸引できる。
【0038】
従来、凝集性の高い粉体Pを粉体吸引装置によって吸引するとき、ノズルの開口部と、粉体Pの表面と、が平行でない場合には、架橋現象またはラットホール現象が発生し、粉体Pを効率良く吸引できなかった。なお、架橋現象とは、容器内で吸引力の及ばない範囲の粉体Pが残留する現象をいう。また、ラットホール現象とは、粉体吸引装置が粉体Pを吸引せず空気のみを吸引する現象をいう。
【0039】
粉体吸引装置100のノズル10によれば、第1開口部13では、中心側13Aと比較して円周側13Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。また、第2開口部14では、中心側14Aと比較して円周側14Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。つまり、円筒容器Dの中心部分と比較して、中心部分よりも外側に位置する内壁近傍部分が、多くの粉体Pが吸引される。そのため、円筒容器Dの中心部分と内壁近傍部分との体積比の違いに対応して、粉体Pの表面を平坦に吸引できる。
【0040】
言い換えれば、吸引中であっても、ノズル10の第1開口部13と、粉体Pの表面と、を平行にしながら、粉体Pを吸引できる。そのため、凝集性の高い粉体Pを吸引するときであっても、架橋現象またはラットホール現象が発生することがない。つまり、粉体吸引装置100によれば、円筒容器D内の粉体Pを効率良く吸引できる。
【0041】
図4および図5を用いて、粉体吸引装置200について説明する。
粉体吸引装置200は、本発明の粉体吸引装置の第二実施形態である。粉体吸引装置200は、粉体Pの空気輸送装置(図示略)を構成する装置の1つである。粉体吸引装置200は、円筒容器D内の粉体Pを吸引する装置である。なお、第二実施形態の円筒容器Dは、ドラム缶とされている。
【0042】
図4を用いて、粉体吸引装置200の構成について、説明する。
なお、図4では、2点鎖線は、電気信号線を示している。
粉体吸引装置200は、ノズル20と、パイプ30と、ホース40と、制御手段としてのコントローラ50と、回転装置60と、昇降装置70と、負圧供給装置80と、圧縮空気供給装置90と、を具備している。
【0043】
パイプ30、ホース40、コントローラ50、回転装置60、昇降装置70および負圧供給装置80については、第一実施形態の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
ノズル20は、円筒容器Dから粉体Pを吸引するものである。ノズル20は、パイプ30の下端側に接続されている。なお、ノズル20について、詳しくは後述する。
【0045】
圧縮空気供給装置90は、ノズル20に負圧を供給する装置である。圧縮空気供給装置90は、供給管91に接続されている。圧縮空気供給装置90は、コントローラ50に接続されている。
【0046】
供給管91は、圧縮空気をノズル20に供給するものである。供給管91は、柔軟な素材で構成され、任意に曲がる構成とされている。供給管91は、ノズル20の後述する供給口24と圧縮空気供給装置90とに接続されている。
【0047】
図5を用いて、ノズル20の構成について説明する。
なお、図5(A)は、ノズル20の平面図を示し、図5(B)は、ノズル20の正面図を示し、図5(C)は、ノズル20の側面図を示している。
【0048】
ノズル20は、円筒容器Dから粉体Pを吸引するものである。ノズル20は、パイプ接続部21と、本体22と、開口部23と、供給口24と、を具備している。
【0049】
パイプ接続部21は、パイプ30に接続される部分である。パイプ接続部21は、本体22の幅方向一側であって上方に形成されている。
【0050】
本体22は、略三角柱形状に形成されている。ここで、本体22(ノズル20)の平面視における長手方向(幅方向)の一側を円周側と定義し、長手方向(幅方向)の他側を中心側と定義する。
【0051】
開口部23は、本体22の底面に形成されている。開口部23の幅を、開口部23の長手方向の長さとする。具体的には、開口部23の幅は、図5(A)および図5(B)の開口部23の水平方向の長さとなる。開口部23の幅は、円筒容器Dの半径と略同一の長さに形成されている。
【0052】
開口部23の奥行きを、開口部23の短手方向の長さとする。具体的には、開口部23の奥行きは、図5(A)の開口部23の鉛直方向の長さであって、図5(C)の開口部23の水平方向の長さとなる。開口部23の奥行きは、円周側23Bが中心側23Aよりも長くなるように形成されている。つまり、開口部23は、中心側23Aと比較して円周側23Bに近い部分が大きな開口面積に形成されていて、多くの粉体Pを吸引できる。
【0053】
供給口24は、本体22の幅方向他側(パイプ接続部21が形成される側と対向する側)の側面に形成されている。供給口24には、供給管91が接続される。
【0054】
図6を用いて、粉体吸引装置200の作用について説明する。
粉体吸引装置100においては、昇降装置70がコントローラ50により駆動されて、ノズル20を円筒容器D内の粉体Pの表面に配置する。このとき、ノズル10は、平面視において、開口部23の中心側23Aが円筒容器Dの中心部分に位置し、開口部23の円周側23Bが円筒容器Dの内壁近傍に位置するように、配置されるものとする。
【0055】
負圧供給装置80は、コントローラ50により駆動されて、ノズル20、パイプ30およびホース40に負圧を供給する。このとき、ノズル20は、粉体Pの表面から粉体Pを吸引する。吸引された粉体Pは、パイプ30およびホース40によって、輸送先まで輸送される。
【0056】
同時に、圧縮空気供給装置90は、コントローラ50により駆動されて、ノズル20に圧縮空気を供給する。このとき、ノズル20の本体22内では、供給口24からパイプ接続部21に向かう(本体22の幅方向他側から一側へ向かう)空気の流れが形成され、粉体Pの吸引が促進される。吸引された粉体Pは、パイプ30およびホース40によって、輸送先まで輸送される。
【0057】
回転装置60はコントローラ50により駆動されて、円筒容器Dを回転させる(図6の矢印Rの向き)。このとき、ノズル20およびパイプ30が水平方向の位置を固定した状態で支持されているため、ノズル20は、粉体Pの表面を相対的に移動することになる。より具体的には、ノズル20は、粉体Pの表面において開口部23の中心側23Aを中心として、開口部23の円周側23Bが円筒容器Dの内壁近傍に沿って円を描くように移動する。このとき、開口部23では、中心側23Aと比較して円周側23Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。
【0058】
円筒容器D内の粉体Pの高さは、粉体Pが吸引されるに伴って低くなる。昇降装置70はコントローラ50により駆動されて、低くなる円筒容器D内の粉体Pの高さにあわせてノズル20を降下させ、粉体Pの表面に密着させる。
【0059】
粉体吸引装置200の効果について説明する。
すなわち、粉体吸引装置200によれば、円筒容器D内の粉体Pを効率良く吸引できる。
粉体吸引装置200のノズル20によれば、開口部23では、中心側23Aと比較して、中心側23Aよりも円筒容器Dの外側に位置する円周側23Bに近い部分が、多くの粉体Pを吸引する。つまり、円筒容器Dの内壁近傍部分は、中心部分と比較して、多くの粉体Pが吸引されることになる。そのため、円筒容器Dの中心部分と内壁近傍部分との体積比の違いに対応して、粉体Pの表面を平坦に吸引できる。
【0060】
言い換えれば、吸引中であっても、ノズル20の開口部23と、粉体Pの表面と、を平行にしながら、粉体Pを吸引できる。そのため、凝集性の高い粉体Pであっても、架橋現象またはラットホール現象が発生することがない。つまり、粉体吸引装置200によれば、円筒容器D内の粉体Pを効率良く吸引できる。
【0061】
また、ノズル20では、供給口24からパイプ接続部21に向かう空気の流れが形成され、粉体Pの表面から粉体Pの吸引が促進される。そのため、より多くの粉体Pを吸引できる。
【0062】
第二実施形態では、ノズル20に圧縮空気を供給する構成としたが、これに限定されない。例えば、粉体Pが吸湿性の高い粉体であれば、圧縮空気の代わりにドライエアを供給する構成であっても良い。このような構成とすることで、粉体Pが水分を吸収することを抑制することができる。
【0063】
第二実施形態では、ノズル20に圧縮空気を連続して供給する構成としたが、これに限定されない。例えば、粉体Pが凝集性の高い粉体であれば、圧縮空気を連続して供給する代わりに、圧縮空気を間欠して供給する構成としても良い。このような構成とすることで、粉体Pを粉砕しながら、さらに効率良く吸引することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 ノズル
13 第1開口部
13A 中心側
13B 円周側
14 第2開口部
14A 中心側
14B 円周側
30 パイプ
40 ホース
50 コントローラ(制御手段)
60 回転装置
80 負圧供給装置
100 粉体吸引装置
D 円筒容器
P 粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒容器内の粉体を吸引する粉体吸引装置であって、
負圧供給装置と、
前記負圧供給装置によって負圧が供給されるノズルと、
前記円筒容器を回転させる回転装置と、
前記回転装置と、前記負圧供給装置と、を駆動制御する制御装置と、
を具備し、
前記ノズルは、偏平形状に形成され、第1開口部と、第2開口部と、を具備し、
前記第1開口部は、前記ノズルの底面に形成され、
前記第1開口部の長手方向の長さは、前記円筒容器の半径と略同一長さであって、
前記第1開口部の短手方向の長さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも長く、
前記第2開口部は、前記ノズルの長手方向の側面に形成され、
前記第2開口部の高さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも高く、
前記ノズルは、平面視において、前記ノズルの第1開口部の長手方向他側が前記円筒容器の中心に配置され、前記ノズルの第1開口部の長手方向一側が前記円筒容器の内壁側に配置され、
前記制御装置は、
前記回転装置を駆動して、前記円筒容器を回転させることによって、前記ノズルの長手方向他側を中心として、前記ノズルの長手方向一側が粉体表面において円を描くように、前記第2開口部が形成される側面を前方にして、前記ノズルを前記粉体の表面上にて移動させ、
前記負圧供給装置によって負圧を供給し、円筒容器内の粉体を吸引する、
粉体吸引装置。
【請求項2】
円筒容器内の粉体を吸引する粉体吸引装置であって、
負圧供給装置と、
前記負圧供給装置によって負圧が供給されるノズルと、
前記円筒容器を回転させる回転装置と、
前記ノズルに圧縮空気を供給する圧縮空気供給装置と、
前記ノズルと前記圧縮空気供給装置とを接続する供給管と、
前記回転装置と、前記負圧供給装置と、前記圧縮空気供給装置と、を駆動制御する制御装置と、
を具備し、
前記ノズルは、偏平形状に形成され、開口部を具備し、
前記開口部は、前記ノズルの底面に形成され、
前記開口部の長手方向の長さは、前記円筒容器の半径と略同一長さであって、
前記開口部の短手方向の長さは、前記ノズルの長手方向における一側の部分が他側の部分よりも長く、
前記ノズルは、平面視において、前記ノズルの開口部の長手方向他側が前記円筒容器の中心に配置され、前記ノズルの開口部の長手方向一側が前記円筒容器の内壁側に配置され、
前記制御装置は、
前記回転装置を駆動して、前記円筒容器を回転させることによって、前記ノズルの長手方向他側を中心として、前記ノズルの長手方向一側が粉体表面において円を描くように、前記ノズルを移動させ、
前記圧縮空気供給装置によって、前記供給管を介して圧縮空気を前記ノズルに供給し、
前記負圧供給装置によって負圧を供給し、円筒容器内の粉体を吸引する、
粉体吸引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−201466(P2012−201466A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68413(P2011−68413)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】