説明

粉体接着剤塗布方法

【課題】具体的な材料処方から成る実用性のある粉体接着剤を作製してその実用的かつ具体的な塗布方法を提供する。
【解決手段】軟化点120℃のポリエステル樹脂を100質量%、帯電制御剤を1質量%、ポリエチレンワックスを3質量%を用意し、混合、溶融混練、冷却、粗砕、粉砕、分級して平均体積粒径9μmの粉体粒子とし、この粉体粒子を100質量%と外添剤の微粒シリカを1質量%とを混合し篩別して粉体接着剤を得る。プリンタのモノクロ印字が可能な画像形成ユニットの現像器のみを残して他を除去し、現像器に粉体接着剤を収容し、搬送ベルトで搬送される用紙に対し現像器の現像ローラで直接粉体接着剤を転写して定着器で定着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体接着剤塗布方法に係わり、更に詳しくはトナー状の粉体接着剤を紙面に塗布する粉体接着剤塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の個人のみへ文字情報を伝達するために、一般に、文字記載物を封書の形態にし、開封後に始めて当該個人が文字情報を確認できるようにしていた。
近年、個人情報保護が厳しく問われるようにもなり、各種事業所等では、例えば、個人の各種データ、成績表、給与明細書等の個人情報は、これを文字記載物の内部の印字箇所に記録して、印字箇所の周縁部もしくは文字記載物の全面を接着や圧着により封筒状やカード状にして配布したりしている。
【0003】
このうち、はがきサイズのカード状のものは圧着はがきと呼ばれており、通常の郵便はがきと同じ料金で利用できることから、情報提供者側の利便性が高い印字(印刷)情報秘匿システムとして、広告宣伝のダイレクトメール等にも汎用されている。
【0004】
このような圧着はがき等による印字情報秘匿システムを利用するには、従来、専門の製造業者に委託するか、高価な圧着はがき等製造・印刷装置を導入するかして秘匿情報を作成していた。
【0005】
これらの圧着はがき等製造・印刷装置を用いて秘匿情報を作成するには、接着剤を情報印字の後に塗布する方法や、情報印字の前に塗布する方法等があるが、いずれにしても秘匿情報を大量に作成するという前提が必須であり高価であった。
【0006】
また、そのような製造業者への委託は、個人情報の流出の問題も潜在的に存在しており好ましい秘匿情報の作成方法とはいえない。
ところで、近年、パソコンやプリンタの発達と相侯って、小規模事業所や個人でも利用できるように、少量単位でも簡易に圧着はがきを作成できるようにしたものも提案されている。
【0007】
例えば、感圧接着剤を予め塗布した剥離紙付きはがき用紙が販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、感圧接着剤部分を圧着して投函用の圧着はがきを完成させるものである。
【0008】
また、例えば、粘着フイルムとはがき用紙を一組にしたものが販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、2つ折り内部に粘着フイルムを挟むようにして圧着して、投函用の圧着はがきを作成できるようにしたものである。
【0009】
しかしながら、これでもコスト高は避けられず、取り扱いが煩雑であり、個人的に数枚の圧着はがきを作成するのなら良いが、ある程度の枚数単位で、安価で、迅速に、且つ対需要即応体制で作成できるものではない。
【0010】
そこで、粘着剤を内包したマイクロカプセルから成るトナー状粘着剤を静電印刷法により基材の表面に転写してフラッシュ定着させ、接着時には圧力によりマイクロカプセルを破壊しカプセル内の粘着剤を浸出させるようにして、圧着はがきを容易に作成できるとする提案がなされている。また、この提案では、粘着剤を溶融、混練、粉砕した粉砕トナーも示唆されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0011】
また、事務用プリンタや複写機の交換用の印字用カートリッジに圧着用物質を入れて、それら事務用プリンタ又は複写機による印字作業と同様の操作で圧着用物質を官製はがきや封筒に塗布し、その後、圧着専用機にかけるようにし、圧着専用機にかけるところまでを1台のプリンタ又は複写機で出来るとする提案がなされている。また、この提案では、二つ折りの片面、三つ折の中央両面に圧着用物質を塗布することが示唆されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0012】
また、感熱接着剤を含むトナーを用い、電子写真方式により画像を対需要即応式で作成する方法が提案されている。この提案では、感熱接着剤の軟化温度は電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高くなるように構成し、また、感熱接着剤の電子写真方式用トナーに占める割合を5〜60重量%とし、また、感熱接着剤の組成は熱接着性樹脂、ホットメルト及びワックス類からなる群より選ばれる1種類以上を含むようにすることが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
【特許文献1】特開平09−104849号公報(段落0005、0014、図1、図3、図6)
【特許文献2】特開2000−006553号公報(要約、図なし)
【特許文献3】特開2004−126231号公報(段落0085〜0087、図なし)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の技術は、マイクロカプセル式のトナーについては構成及び組成について記載されてはいるが、粉砕トナーについては単なる思い付き程度に示唆されているのみであり、具体的な組成、製法、及び用法についての記載がなく、これでは、この分野の当業者といえども有用な粉砕トナーを作成することは勿論、試作することさえ出来ない。
【0014】
また、特許文献2の技術は、圧着専用機にかける前までの官製はがきや封筒による印字情報秘匿書類を作成するものであり、投函用に完成するには圧着専用機にかけなければならない点で利便性と経済性に欠けるものであり、また対需要即応性には程遠いものと言わざるを得ない。
【0015】
また、特許文献3の技術では、単に感熱接着剤の軟化温度が電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高く設定されているというのみで、感熱接着剤を含むトナーの詳細な処方等の説明はない。
【0016】
ところで、対需要即応性のある圧着はがきの作成方法としては、個人的にも使用できる小型の電子写真式プリンタのトナーカートリッジに収容して使用可能な粉体接着剤を具体的に実現し、その粉体接着剤を現像、転写及び定着によって同プリンタで可変情報を印字(又は印刷、以下同様)した紙面に塗布できればよいと考えられる。
【0017】
但し、そのように印字後の用紙に対する接着剤の塗布を電子写真式プリンタを用いて行うものとすると、粉体接着剤は通常のトナーとほぼ同様の形態のものでないと、接着剤として塗布(現像、転写、及び定着)は出来ないと考えられる。
【0018】
しかしながら、トナー状の圧着はがき用粉体接着剤は、従来の提案技術である上記の各特許文献には思い付き程度に示唆されてはいるものの、既に述べたように具体的な材料処方も具体的な用法も開示されていない。
【0019】
また、そのようなトナー状の圧着はがき用粉体接着剤は今日まで市場に流通もしていない。流通している圧着はがき用粉体接着剤は液状または粘着シート状のものだけである。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、具体的な材料処方から成る実用性のある粉体接着剤を作製してその実用的かつ具体的な塗布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の粉体接着剤塗布方法は、トナー状の粉体接着剤を用紙に塗布する粉体接着剤塗布方法であって、静電気を用いて直接塗布装置から上記粉体接着剤を用紙に転写するように構成される。
【0021】
この粉体接着剤塗布方法は、例えば、上記用紙を転写シートの表面に載せて搬送し、該転写シートの裏面に当接させて転写ローラを配置し、該転写ローラに電圧を印加して印加電圧パターンを生成し、該印加電圧パターンを上記転写シートを介して上記用紙に印加して上記塗布装置より直接上記用紙に上記粉体接着剤を転写するように構成される。
【0022】
この場合、上記塗布装置は、転写部に上記用紙が無いときは上記転写シートから離れて退避位置に移動し、上記転写部に上記用紙があるときは上記退避位置から移動して上記転写シート上の上記用紙に当接するように構成される。
【0023】
また、この粉体接着剤塗布方法では、上記転写ローラは、例えば、ローラ長手方向に電気的に複数箇所に区分され、該区分ごとに個別に上記電圧を印加されて上記印加電圧パターンを生成するように構成してもよい。
【0024】
この場合、上記転写ローラに印加される印加電圧パターンは、例えば、上記用紙の非塗布部分においては少なくとも塗布部分の電位の1/10の電位又は逆極性の電位として形成されるのが好ましい。
【0025】
この粉体接着剤塗布方法において、上記用紙に転写された上記粉体接着剤は、定着装置により上記用紙に定着されて塗布を完了されるように構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、転写ローラに形成した印加電圧パターンを転写シートを介して用紙に印加し、その静電気により直接塗布装置から粉体接着剤を用紙に転写して定着させるので、用紙への塗布が容易な実用的かつ具体的な粉体接着剤の塗布方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
先ず、トナー状の熱可塑性樹脂粉体からなる粉体接着剤の材料処方及び具体的な作製方法について説明する。
【0028】
結着樹脂として軟化点120℃のポリエステル樹脂を100質量%、帯電制御剤として日本カーリット社製の帯電制御剤LR−147を1質量%、ワックスとして三井化学製のポリエチレンワックスNP−056を3質量%を用意する。
【0029】
これらをケミカルミキサーで混合し、その混合物を二軸押出機によって溶融混練してから冷却し、粗砕した。更に、その粗砕物をI式ジェットミルによって粉砕し、その粉砕物を分級して、平均体積粒径9μmの粉体粒子を得る。
【0030】
そして、この粉体粒子を100質量%と、流動性改良剤としての外添剤である日本アエロジル社製の微粒シリカRY−50を1質量%とを、へンシェルミキサーによって混合し、その混合物を篩別して、トナー状の粉体接着剤を得た。
【0031】
次に、上記の粉体接着剤を塗布する装置について説明する。
図1は、粉体接着剤塗布装置としての電子写真式画像形成装置(以下、塗布兼用プリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0032】
同図に示すように、塗布兼用プリンタ1は、画像形成部2、両面印刷用搬送ユニット3、及び給紙部4で構成されている。上記の画像形成部2は、4個の画像形成ユニット5(5−1、5−2、5−3、5−4)を多段式に並設した構成からなる。
【0033】
上記4個の画像形成ユニット5のうち用紙搬送方向上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3は、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、これら3色を用紙に塗り重ねてフルカラーの画像を形成する。
【0034】
用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4は、本来は、文字やカラー画像の暗黒部分等のクロ(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。但し、黒の画像はMCYの3色をベタ塗りで塗り重ねても得られるので、本例では、クロ(K)トナーを用いずに、画像形成ユニット5−4を、粉体接着剤の塗布専用に改装している。これについて詳しくは後述する。
【0035】
上記の各画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3は、現像ユニットに収容された現像剤(の色)を除き同じ構成である。したがって、以下、画像形成ユニット5−3を例にしてその構成を説明する。
【0036】
画像形成ユニット5は、感光体ドラム6と、この感光体ドラム6の周面に沿って配設されたクリーナ7、帯電ローラ8、現像ユニット9、この現像ユニット9の下部側面の開口部に組み付けられている現像ローラ11を備えている。
【0037】
感光体ドラム6の帯電ローラ8と現像ユニット9の間に位置する上面に近接して、本体装置側の光書き込みヘッド12が配置され、感光体ドラム6の下面に近接して転写シートとしての搬送ベルト13が配設されている。そして、この搬送ベルト13を間に挟んで転写器14が感光体ドラム6の下面に向けて押圧されている。
【0038】
搬送ベルト13は、導電性カーボン又はイオン伝導物質を含有した樹脂製の導電性のシート状部材からなり、駆動ローラ15と従動ローラ16に掛け渡されて、駆動ローラ15により駆動され、図の反時計回り方向に循環移動する。
【0039】
この搬送ベルト13の下循環移動部にはベルトクリーナ20のクリーニングブレード20aが当接している。
尚、本例の塗布兼用プリンタ1は、フルカラー印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が3つの画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3の感光体ドラム6に当接し、画像形成ユニット5−4は上方の退避位置に退避している。
【0040】
そして、モノクロ印字モードのときには、搬送ベルト13の上循環移動部が上流側の3つの画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3の感光体ドラム6から離れるように下方に移動し、通常では黒トナーの画像形成を受け持つ(本例では粉体接着剤の直接塗布を受け持つ)構成の画像形成ユニット5−4の現像ローラ11のみに当接するように構成されている。
【0041】
上記の感光体ドラム6は、図の時計回り方向に回転する。そして先ず帯電ローラ8からの電荷付与により、感光体ドラム6の周面が一様に帯電して初期化される。次に、印字情報に基づく光書き込みヘッド12からの光書き込みにより、感光体ドラム6の周面に静電潜像が形成される。
【0042】
そして、この静電潜像は、現像ローラ11による現像処理によって、現像ユニット9に収納したトナーによりトナー像化(現像)される。
このようにして感光体ドラム6の周面に現像されるトナー像は、感光体ドラム6の回転に伴われて、感光体ドラム6と転写器14とが対向する転写部に到達する。
【0043】
他方、給紙部4の給紙カセット17には多枚数のカット状の用紙18が収容されている。用紙18は、給紙コロ19の一回転によって給紙カセット17から搬出され、搬送案内路21を通って待機ローラ対22に給送される。あるいは、開成された装着部23に装着されたMPFトレイ24上から給紙コロ25によって待機ローラ対22に給送される。
【0044】
待機ローラ対22は、用紙18の印字開始位置が紙搬送方向最上流の画像形成ユニット5−1の感光体ドラム6のトナー像の先端に一致するタイミングで搬送ベルト13上に給送する。
【0045】
用紙18は、この循環移動する搬送ベルト13の上面に静電的に吸着されて搬送され、感光体ドラム6の直下を用紙搬送方向上流側から下流側へ搬送ベルト13と共に移動する。
【0046】
そして、用紙18は、画像形成ユニット5−1の転写部で最初の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−2の転写部で次の色のトナー像を転写され、画像形成ユニット5−3の転写部で3番目のトナー像を転写される。
【0047】
尚、本例における上記のフルカラー印字モードにおける印字処理では、画像形成ユニット5−1、5−2、及び5−3が印字状態に設定され、画像形成ユニット5−4は、搬送ベルト13への当接位置から上に離れるように移動する。
【0048】
上記のように3色のトナー像を重ねて転写された用紙18は、定着ユニット26に搬入される。定着ユニット26は、熱ローラ26a、押圧ローラ26b、及びクリーナ26cで構成され、用紙18を上述の熱ローラ26aと押圧ローラ26b間に挟持して搬送しながら、トナー像を溶融し紙面に圧着して定着する。また、クリーナ26cは熱ローラ26aに残留するトナーを除去する。
【0049】
このように、定着ユニット26によってトナー像を定着された用紙18は、切換板27が上に回動しているときは、搬出ローラ28によって画像形成面を上にして機外に排出され、切換板27が下に回動しているときは、搬送ローラ29により上に案内され排紙ローラ31によって画像形成面を下にして排紙部32に排出される。
【0050】
また、両面印刷用搬送ユニット3は、装置本体に対して着脱自在に構成され、本例の塗布兼用プリンタ1によって両面印刷を行う際に装着されるユニットである。この両面印刷用搬送ユニット3は、内部に複数の搬送ローラ33a〜33eが配設されている。
【0051】
両面印刷の場合には、上記切換板27によって一旦上方に用紙18が送られ、例えば用紙18の後端が搬送ローラ29に達した時、用紙18の搬送を停止し、更に用紙18を逆方向に搬送する。
【0052】
この制御によって、用紙18は点線で示す位置に設定された切換板27の左側を下方に搬送され、両面印刷用搬送ユニット3の用紙搬送路に搬入され、搬送ローラ33a〜33eによって用紙が返送される。
【0053】
返送された用紙18は、再び搬送案内路21を通って待機ローラ対22に達し、前述と同様トナー像と一致するタイミングで転写部に送られ、トナー像が用紙の裏面に転写される。
【0054】
そして、粉体接着剤の塗布では、モノクロ印字モードが設定されて、搬送ベルト13が画像形成ユニット5−1、5−2及び5−3から下方に離隔する。そして、粉体接着剤の塗布を受け持つ画像形成ユニット5−4が上方の退避位置から降下して、その現像ローラ11が搬送ベルト13に当接する。
【0055】
このような各構成部の動作を制御するための制御装置を搭載した回路基板が、両面印刷用搬送ユニット3と給紙部4との間の電装部34に装着されている。
制御装置は、特には図示しないが、プリンタコントローラとエンジンコントローラから成る。プリンタコントローラは、マイクロプロセッサ等からなるCPU(中央演算処理装置)と、そのCPUに接続するプログラムROM(Read Only Memory)、ページバッファ、画像メモリ、ビデオ転送回路、I/F(インターフェース)コントローラ等で構成される。
【0056】
上記のビデオ転送回路は外部回路であるプリンタエンジンに接続され、I/Fコントローラはホストコンピユータ等に接続される。
プログラムROMは、制御装置をホストコンピユータと連係して動作させるためのプログラムを格納し、CPUは、そのプログラムに基づいて、ホストコンピユータから送信される印字情報に基づく印字処理の制御を実行する。
【0057】
I/Fコントローラは、ホストコンピユータから送信される印字情報を入力する。ページバッファは、ホストコンピユータから入力する複数ページ分の印字情報をページ単位で一時的に記憶し、画像メモリは、用紙一枚分(1ページ分)のビットイメージを展開する。
【0058】
ビデオ転送回路は、画像メモリに展開されたビットイメージデータを線順次にエンジンコントローラに転送し、1ライン転送毎に、インタラプト信号をCPUに出力する。これにより、CPUは、画像メモリの転送済み領域を認識して、後続ページのイメージデータを展開する。
【0059】
また、CPUは、粉体接着剤の塗布処理のときは、前述したように印字モードをモノクロ印字モードに変更し、画像形成ユニット5−4を待機位置から下に降下させ、後述するように種々の転写パターンで粉体接着剤を用紙に塗布する。
【0060】
他方、エンジンコントローラも、特には図示しないが、CPUとプログラムROMを備えている。このエンジンコントローラのCPUには、上記プリンタコントローラのCPUから画像形成実行命令が入力される。
【0061】
エンジンコントローラのCPUは、画像形成実行命令を受け取ると、図1には図示を省略したモータのエンジン(駆動ドライバ)を制御してモータを回転駆動する。
モータの動力は、不図示のギア系を介して給紙コロ19又は25、感光体ドラム6又は誘電体ローラ34、現像ユニット9の各部(現像ローラ11、供給ローラ、撹拌部材等)、定着ユニット26の熱ローラ26aと押圧ローラ26b、搬出ローラ28、搬送ローラ29等に伝達される。これにより、上述した画像形成工程の駆動が開始される。
【0062】
図2は、上述した用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成を模式的に示す図である。尚、図2には、図1と同一構成又は同一機能の部分には図1と同一の番号を付与して示している。
【0063】
また、図2には、図1では説明を省略した現像ユニット9内のドクターブレード35、供給ローラ36も示している。また、転写器14を転写ローラ14´として示している。この転写ローラ14´の下面に、金属ローラ37が当接している。
【0064】
図2に示すように、画像形成ユニット5−4及びその近傍の構成では、他の画像形成ユニット5にはある感光体ドラム6、クリーナ7、帯電ローラ8及び帯電ローラ8と現像ユニット9の間に配置されていた光書き込みヘッド12が除去されている。すなわち現像ユニット9(以下、9−4)のみとなっている。
【0065】
この現像ユニット9−4の現像ローラ11と転写ローラ14´との対向部に転写部Tが形成されている。
この現像ユニット9−4の中には、前述した粉体接着剤が収容されている。現像ユニット9−4の供給ローラ36は、現像ローラ11と同一方向(矢印a及びbで示す反時計回り方向)に回転しながら、現像ローラ11に粉体接着剤を擦り付けるようにして供給する。
【0066】
これにより、粉体接着剤は摩擦電荷を帯びて帯電する(本例ではマイナスに帯電する)。この現像ローラ11に供給された粉体接着剤は、ドクターブレード35によって一定の層厚に規制され、その規制摩擦によって更に帯電を強化される。マイナスに帯電した粉体接着剤は、その帯電の静電気力により転写部Tにおいて用紙18に転写される。
【0067】
すなわち、転写ローラ14´には金属ローラ37からプラスの電圧が印加され、このプラス電圧は、転写ローラ14´の表面の導電層及び搬送ベルト13を介して用紙18の裏側に印加される。これにより、用紙18は現像ローラ11に対しプラス極性に帯電し、マイナス極性に帯電している粉体接着剤が用紙18に転写される。
【0068】
金属ローラ37からは、用紙18が現像ローラ11の下にあるときは、転写ローラ14´にプラスの電圧を印加される。そして、現像ローラ11の下に用紙18が無いときは、電圧印加が停止される。
【0069】
この場合、搬送ベルト13上にはプラスの電荷が残るため、現像ローラ11上の粉体接着剤が搬送ベルト13上に転写される場合がある。この不具合を防止するため、粉体接着剤塗布装置である現像ユニット9−4を、上方の退避位置に移動させ、物理的に搬送ベルト13から引き離す。これにより、余分な粉体接着剤が搬送ベルト13に転写されないような構造となっている。
【0070】
上記のようにして用紙18に転写された粉体接着剤像は、定着ユニット26に送り込まれて定着される。この定着では、用紙18に転写された粉体接着剤が熱ローラ26aからの加熱により溶融して用紙18に定着される。
【0071】
粉体接着剤像を定着された用紙18は、機外に排出される。すなわち、粉体接着剤の塗布が完了する。
(実施形態2)
ところで、三枚折り圧着はがきの場合は、この三枚折り圧着はがきへの粉体接着剤の塗布では、塗布パターンが2通りに分かれる。この場合の塗布方法を、実施形態2として以下に説明する。
【0072】
図3(a) は、転写ローラと、この転写ローラにより粉体接着剤を転写された三枚折り圧着はがきを示す図であり、同図(b) は、転写ローラを中心とした断面図、同図(c) は転写ローラへの印加電圧の例を示す図である。
【0073】
図3(a) に示すように、本例の転写ローラ38は、ローラ長手方向に電気的に複数箇所(本例では、区分領域38−1〜38−3の3箇所)に区分され、該区分ごとに個別に電圧の印加を制御されて、それぞれ印加電圧パターンを生成する。
【0074】
図3(a) に示すように、三枚折り圧着はがき39の切手を貼って宛名書きを記載する面39−1を有する表面は、三つ折りにする際に内側となる面39−2に粉体接着剤41を塗布することになる。
【0075】
そして、この場合は、転写ローラ38の区分領域38−2と38−3に、図3(c) に示すような転写電圧が印加される。尚、本例でも粉体接着剤41の帯電極性はマイナスになるように設定されている。
【0076】
ここで、転写ローラ38(区分領域38−1〜38−3)回りの構成について説明する。図3(b) に示すように、転写ローラ38は、シャフト42の周りを絶縁ゴムから成る絶縁層43で覆われ、更にその上に導電層44を被着されて構成される。
【0077】
その導電層44の上部面に搬送ベルト13の上循環移動部の内面が当接し、導電層44の下部面に金属ローラ37が当接して、この金属ローラ37から導電層44に電圧が印加される。
【0078】
上記の電圧が印加では、図3(c) に示すように、先行の三枚折りはがき39が転写部T(図2参照)にあるとき、つまり塗布状態のとき(時間t1〜t2)は、不図示のバイアス電源から供給される所定のプラス電圧が金属ローラ37から転写ローラ38に印加される。
【0079】
この転写電圧の印加により、粉体接着剤41が、三枚折り圧着はがき39に、図3(a) に示すように転写され、定着ユニット26で定着される。
そして、三枚折りはがき39が転写部Tを通過して、三枚折りはがき39が転写部Tに無いとき、つまり非塗布状態のとき(時間t2〜t3)は、転写ローラ38には、0V近傍又は逆極性の電位の電圧が印加される。
【0080】
これにより、非塗布状態のときに粉体接着剤41が搬送ベルト13に無用に転写される不具合の発生が防止される。
続いて次の三枚折りはがき39が転写部Tに搬送されて通過するまでの期間(時間t3〜t4)では、再びバイアス電源から供給される所定のプラス電圧が金属ローラ37から転写ローラ38に印加される。
【0081】
そして、三枚折りはがき39が転写部Tを通過すると(t4〜)、転写ローラ38には、0V近傍又は逆極性の電位の電圧が印加される。
三枚折りはがき39が連続して転写部Tに搬送されてくるときは、上記の印加電圧のパターンが繰り返される。
【0082】
続いて、三枚折り圧着はがき39の非秘匿情報を記載する面39−3を有する裏面は、三つ折りにする際に内側となる面39−4に粉体接着剤41を塗布することになる。
そして、この場合は、転写ローラ38の区分領域38−1と38−2に、図3(c) に示すような転写電圧が印加される。
【0083】
この転写電圧の印加により、粉体接着剤41が、三枚折り圧着はがき39に、図3(a) に示すように転写され、定着ユニット26で定着される。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施形態1における粉体接着剤塗布装置としての塗布兼用プリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施形態1における塗布兼用プリンタの用紙搬送方向最下流の画像形成ユニット及びその近傍の構成を模式的に示す図である。
【図3】(a),(b),(c) は実施形態2における転写ローラの構成及び粉体接着剤の塗布方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0085】
1 塗布兼用プリンタ
2 画像形成部
3 両面印刷用搬送ユニット
4 給紙部
5(5−1、5−2、5−3、5−4) 画像形成ユニット
6 感光体ドラム
7 クリーナ
8、8a、8b 帯電ローラ
9 現像ユニット
11 現像ローラ
12 光書き込みヘッド
13 搬送ベルト
14 転写器
14´ 転写ローラ
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 給紙カセット
18 用紙
19 給紙コロ
20 ベルトクリーナ
20a クリーニングブレード
21 搬送案内路
22 待機ローラ対
23 装着部
24 MPFトレイ
25 給紙コロ
26 定着ユニット
26a 熱ローラ
26b 押圧ローラ
26c クリーナ
27 切換板
28 搬出ローラ
29 搬送ローラ
31 排紙ローラ
32 排紙部
33a〜33e 搬送ローラ
34 電装部
35 ドクターブレード
36 供給ローラ
37 金属ローラ
38 転写ローラ
38−1〜38−3 区分領域
39 三枚折り圧着はがき
41 粉体接着剤
42 シャフト
43 絶縁層
44 導電層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー状の粉体接着剤を用紙に塗布する粉体接着剤塗布方法であって、
静電気を用いて直接塗布装置から前記粉体接着剤を用紙に転写することを特徴とする粉体接着剤塗布方法。
【請求項2】
前記用紙を転写シートの表面に載せて搬送し、
該転写シートの裏面に当接させて転写ローラを配置し、
該転写ローラに電圧を印加して印加電圧パターンを生成し、
該印加電圧パターンを前記転写シートを介して前記用紙に印加して前記塗布装置より直接前記用紙に前記粉体接着剤を転写する、
ことを特徴とする請求項1記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項3】
前記塗布装置は、転写部に前記用紙が無いときは前記転写シートから離れて退避位置に移動し、前記転写部に前記用紙があるときは前記退避位置から移動して前記転写シート上の前記用紙に当接する、ことを特徴とする請求項2記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項4】
前記転写ローラは、ローラ長手方向に電気的に複数箇所に区分され、該区分ごとに個別に前記電圧を印加されて前記印加電圧パターンを生成する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項5】
前記転写ローラに印加される印加電圧パターンは、前記用紙の非塗布部分においては少なくとも塗布部分の電位の1/10の電位又は逆極性の電位として形成されることを特徴とする請求項4記載の粉体接着剤塗布方法。
【請求項6】
前記用紙に転写された前記粉体接着剤は、定着装置により前記用紙に定着されて塗布を完了される、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粉体接着剤塗布方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−38178(P2007−38178A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227468(P2005−227468)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】