説明

粉体状ポリビニルアミンの製造方法

【課題】有機溶媒などの可燃性溶媒を使用せず、工業的に効率よく、取扱性に優れた粉体状ポリビニルアミンを得る方法を提供する。
【解決手段】N−ビニルカルボン酸アミドを水溶液重合して含水ゲル塊状物を得る重合工程、得られた含水ゲル塊状物を粒状化する解砕工程、得られた含水ゲル粒状物を含水率が5〜30質量%となるまで乾燥する乾燥工程、得られた粒状物を粉体化する粉砕工程を順次に包含して成り、粉砕工程において得られた粉体を酸または塩基と混合することでN−ビニルカルボン酸アミドをポリビニルアミンに変換する加水分解工程を設けた粉体状ポリビニルアミンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体状ポリビニルアミンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアミンは、凝集剤、製紙用薬剤、繊維処理剤、塗料添加剤などとして広く利用されている有用な物質である。ポリビニルアミンの製造法としては、N−ビニルホルムアミドの重合体を酸または塩基で加水分解する方法、ポリアクリルアミドをホフマン分解する方法などが知られている。
【0003】
ところで、特に製紙用内添薬剤として使用されるポリビニルアミンは、高いレベルでの溶解性が求められるため、殆ど水溶液状で市場に出回っている。一方、輸送コスト、保存安定性の面からポリビニルアミンは粉体化することが好ましい。通常、加熱脱水法や、メタノール、アセトン等の親水性溶媒による脱水法により、水溶液から粉体を回収することが出来る。しかしながら、斯かる脱水法では、多大な設備とエネルギーを必要とし実用的ではない。また、噴霧乾燥によって粉体を得る方法も挙げられるが、製造時の操作が煩雑で製造コストが掛かるといった問題がある。
【0004】
粉体状ポリビニルアミンの効率的な製造法としては、不活性懸濁剤中でN−ビニルホルムアミドを重合し、その重合体懸濁液に酸または塩基を添加して加水分解する方法(特許文献1)、粉体状のN−ビニルホルムアミド重合物にガス状のハロゲン化水素酸を導入して加水分解する方法(特許文献2)、N−ビニルカルボン酸アミドを含有する水溶液を静置重合し、得られた重合体の塊状ゲルを解砕して粒状物となし、当該粒状物を不溶化防止剤と混合した後、塩基により加水分解する方法(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−125109号公報
【特許文献2】特開昭61−133207号公報
【特許文献3】特開2006−257287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法では、不活性懸濁剤として使用する有機溶媒や乳化剤が大量に必要であり、臭気や引火性といった安全面での問題の他、製品の環境負荷が高いといった問題点がある。特許文献2の方法では、かなりの量のハロゲン化水素ガスが加水分解で生じる一酸化炭素と一緒に反応帯域から除去されるという不利益がある。また、特許文献3の方法では、付着性の強い水性ゲルを取り扱う必要があり、工業的に行うには操作が困難である。加えて、加水分解後の多量に水分を含んだ含水ゲルを粉体にするには高温度での乾燥が必要となり、熱による重合体劣化が懸念される。勿論、劣化により不溶解分が増加した重合体は高溶解性が必要な製紙用薬剤には使用できない。
【0007】
本発明は上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、有機溶媒などの可燃性溶媒を使用せず、工業的に効率よく、取扱性に優れた粉体状ポリビニルアミンを得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、N−ビニルカルボン酸アミドを水溶液重合して含水ゲル塊状物を得る重合工程、得られた含水ゲル塊状物を粒状化する解砕工程、得られた含水ゲル粒状物を含水率が5〜30質量%となるまで乾燥する乾燥工程、得られた粒状物を粉体化する粉砕工程を順次に包含して成り、粉砕工程において得られた粉体を酸または塩基と混合することでN−ビニルカルボン酸アミドをポリビニルアミンに変換する加水分解工程を設けたことを特徴とする粉体状ポリビニルアミンの製造方法に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機溶媒などの可燃性溶媒を使用せず、工業的に効率よく、取扱性に優れた粉体状ポリビニルアミンを得る方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
[重合工程]
重合工程では、N−ビニルカルボン酸アミドを水溶液重合して含水ゲル塊状物を得る。
【0012】
本発明で使用されるN−ビニルカルボン酸アミドは、一般式:CH=CH−NHCOR(式中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で示される。具体的には、N−ビニルホルムアミド(R=H)やN−ビニルアセトアミド(R=CH)の他、N−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル酪酸アミド等が例示される。これらの中では、ポリビニルアミンへの誘導の容易性からN−ビニルホルムアミドが好ましい。
【0013】
N−ビニルカルボン酸アミドは、必要に応じエチレン性不飽和結合を有する任意の単量体と共重合させることが可能である。共重合させ得る単量体としては、(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びその塩あるいは4級化物、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びその塩あるいは4級化物、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びその塩あるいはその4級化物、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル等が例示される。
【0014】
単量体組成物中のN−ビニルカルボン酸アミドの含有割合は、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、特に好ましくは90モル〜100モル%である。
【0015】
N−ビニルカルボン酸アミドの重合方法としては、例えば、特開昭61−118406号公報に示されるような水溶液重合、WO00/58378号パンフレットに示されるようなレドックス開始剤とアゾ開始剤を組み合わせて使用した水溶液断熱重合方法が挙げられる。また、特許3704660号公報に示されるような光重合法、すなわち、モノマー水溶液を薄層に展開し、薄層の片面および/または両面から除熱しながら光照射する光重合法(光シート重合法)が挙げられる。重合方法は、水溶液重合である限り限定されないが、操作が容易な水溶液断熱重合および光シート重合法が好ましい。
【0016】
重合の際、重合後の水性ゲルの装置などへの付着を緩和するためのゲル質改善剤を共存させてもよい。ゲル質改善剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、アルキレングリコールアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤;テトラアルキル4級アンモニウム塩、トリアルキルベンジル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン界面活性剤;シリコーンオイル、シリコーンエマルション等のシリコーン類などが例示される。これらゲル質改善剤は2種以上を併用してもよい。ゲル質改善剤の使用量は、単量体100質量部に対し、通常10質量部以下、好ましくは1質量部以下である。
【0017】
また、重合の際、緩衝液などの安定剤を使用してもよい。安定剤としては、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の使用量は、単量体100質量部に対し、通常0.1〜20質量部、好ましくは1〜15質量部である。
【0018】
更に、重合の際、重合速度と水性ゲルの取扱性を上げるため、公知の無機塩を使用してもよい。無機塩の使用量は、単量体100質量部に対し、通常5〜35質量部、好ましくは7〜30質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。
【0019】
重合は通常pH5〜9で行われる。pHがこの範囲を外れるとN−ビニルカルボン酸アミドの加水分解によるロスが増加する。重合開始温度は、通常0〜40℃、好ましくは0〜30℃、更に好ましくは0〜20℃である。
【0020】
水溶液断熱重合の場合、窒素曝気管の備え付けられた断熱槽に単量体を入れ、ラジカル重合開始剤を添加して窒素曝気することにより、または、窒素曝気後の該単量体にラジカル重合開始剤を添加して混合することにより、重合が開始される。この際、単量体水溶液の濃度は、通常20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%である。単量体濃度が20%質量未満の場合は、得られるゲルが柔らかくなり、小粒径化したゲルの合着が発生して乾燥工程に悪影響を及ぼしたり、運搬・移動といった取扱性が悪化する恐れがある。単量体濃度が40%質量より高い場合は、反応による発熱量が大きくなり沸騰重合となり、水溶液断熱重合を実現することが出来ない。
【0021】
水溶液断熱重合の場合の開始剤は、アゾ系開始剤、レドックス系開始剤、過酸化物系開始剤及びこれらの併用系である。
【0022】
水溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2、2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸塩、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩酸塩、4、4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。油溶性アゾ系開始剤の具体例としては、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4、4−アゾビス(4−メトキシ−2、4ジメチル)バレロニトリル等が挙げられる。
【0023】
レドックス系開始剤の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ペルオクソ二硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の組合せが挙げられる。
【0024】
過酸化物系開始剤の具体例としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ペルオクソ二硫酸アンモニウム或いはカリウム、過酸化水素、ベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、オクタノイルペルオキサイド、サクシニックペルオキサイド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエ−ト等が挙げられる。
【0025】
上記の開始剤の中ではレドックス系開始剤と水溶性アゾ系開始剤の併用系が好ましい。そして、レドックス系開始剤としてはt−ブチルハイドロパーオキサイドと亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウムを組合せ、水溶性アゾ系開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を併用することが好ましい。
【0026】
重合時に連鎖移動剤を使用して分子量を調節してもよい。連鎖移動剤としては、イソプロピルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類、チオグリコール酸、チオグリセロール等のメルカプタン類、次亜燐酸ソーダ等の亜燐酸塩類が挙げられる。
【0027】
反応容器から水性ゲルを取り出す方法としては、単量体組成物への重合開始剤の混合が完了した後に窒素曝気を停止して静置し、重合反応によって反応容器内の温度が最も高くなる時間を確認した後、更に60分間の熟成を行い、その後に反応容器から水性ゲルを取り出す方法が好ましい。
【0028】
水性ゲル中に残存N−ビニルカルボン酸アミド量が多い場合は、加水分解工程時に発生したアルデヒド基含有物質が加水分解後に生じるポリビニルアミンと反応することにより架橋構造が形成されて不溶化し易くなる。従って、N−ビニルカルボン酸アミドの重合転化率は高い方が好ましい。すなわち、転化率は、90質量%以上、好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
【0029】
光シート重合は、単量体を薄層に展開し、薄層の片面および/または両面から除熱しながら光照射することにより行われる。照射光としては250〜500μmの範囲に主波長を持つ光源が好ましい。具体的には、高圧水銀ランプ、蛍光ケミカルランプ、青色蛍光ランプ等が使用される。照射強度は、光開始剤量、重合温度などによって任意に変化させ得るが、照射面において0.1〜100W/mの範囲が好ましい。照射強度が弱すぎる場合は重合が遅く、強すぎる場合はポリマーの不溶化などの副反応を招く可能性がある。この際、単量体水溶液中の単量体の濃度は、通常20〜90質量%、好ましくは25〜80質量%である。単量体濃度が余りに低すぎる場合は、得られるゲルが柔らかくなり、小粒径化したゲルの合着が発生して乾燥に悪影響を及ぼしたり、運搬・移動といった取扱性が悪化する恐れがある。一方、単量体濃度が余りに高すぎる場合は、反応による発熱量が大きくなるため、大規模な冷却設備が必要になったり、重合速度を低下させる必要がある。
【0030】
また、重合時の薄層の厚さは、通常1〜50mm、好ましく、2〜30mm、更に好ましくは5〜20mmである。薄層の厚さが余りに薄すぎる場合は効率的に重合体を製造できず、薄層が余りに厚すぎる場合は重合時の発熱を充分に除熱できない。
【0031】
単量体水溶液は重合に先立って酸素を除くことが好ましい。酸素の除去は、工業的には、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを通気することにより行われる。また、単量体水溶液は重合に先立って適切な開始温度に調節される。開始温度は、通常−20〜70℃、好ましくは−10〜50℃、更に好ましくは0〜30℃である。
【0032】
光シート重合法で使用されるラジカル系光開始剤は、重合時に単量体水溶液中に共存させればよい。光開始剤としては、公知の化合物から適宜選定ることが出来る。例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル系、ベンジルジメチルケタール系、α−ヒドロキシケトン系、ビスアシルフォスフィンオキサイド系光開始剤などが挙げられる。具体的には、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−1−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニルフォスフィンオキサイド等が例示される。光開始剤の使用量は、単量体に対し、通常10〜10,000ppm、好ましくは20〜5,000ppm、更に好ましくは50〜2,000ppmである。
【0033】
また、光開始剤は適当な増感剤と併用することが出来る。増感剤としては、例えば、アミン類、ハロゲン化物、ヨードニウム塩、チオキサントン類が挙げられる。具体的には、メチルジエタノールアミン、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン等が例示される。更に、場合によっては、開始剤としてアゾ系開始剤を併用してもよい。具体的には、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]或いはその2塩酸塩又はその2酢酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビスイソブチル酸ジメチルエステル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)或いはその2ナトリウム塩又はその2カリウム塩などが例示される。これらアゾ系化合物は2種以上を併用することが出来る。アゾ系化合物の使用量は、単量体に対し、通常10,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下、更に好ましくは2,000ppm以下である。
【0034】
また、単量体水溶液中には、水性ゲルの装置などへの付着を緩和するため、ゲル質改善剤を共存させることが出来る。ゲル質改善剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、アルキレングリコールアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤;テトラアルキル4級アンモニウム塩、トリアルキルベンジル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン界面活性剤;シリコーンオイル、シリコーンエマルション等のシリコーン類などが例示される。これらゲル質改善剤は2種以上を併用することが出来る。ゲル質改善剤の使用量は、単量体に対し、通常10質量%以下、好ましくは1質量%以下である。
【0035】
水溶液断熱重合の場合と同様に、重合時に連鎖移動剤を使用することにより分子量を調節してもよい。該連鎖移動剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、アリルアルコール等のアルコール類、チオグリコール酸、チオグリセロール等のメルカプタン類、次亜燐酸ソーダ等の亜燐酸塩類が挙げられる。
【0036】
本発明において、水溶液重合で得られる重合体は、取扱性の面から、ある程度高分子量であることが好ましい。具体的には、1規定の食塩水中、25℃における0.1g/dl水溶液の還元粘度(以下[ηsp/C]と記載する)の値を指標とした場合、[ηsp/C]は、通常3以上、好ましくは5以上である。
【0037】
[解砕工程]
解砕工程では、上記で得られた含水ゲル塊状物(N−ビニルカルボン酸アミド重合体)を粒状化する。
【0038】
解砕して得られる粒状物の最長径は、通常5cm以下、好ましくは2cm以下、更に好ましくは1cm以下である。解砕方法としては、カッター等でゲルを裁断する方法、ミートチョッパー等で押し出してゲルを裁断する方法などがある。ミートチョッパーを使用する場合、ミートチョッパーのダイスの穴径は、上記の最長径に対応し、通常5cm以下、好ましくは2cm以下、更に好ましくは1cm以下である。粒子同士の付着を抑えるために助剤を使用してもよい。通常、ポリアルキレングリコール類、シリコーンオイル等の各種オイル類の他、界面活性剤などが使用される。
【0039】
[乾燥工程]
乾燥工程では上記で得られた含水ゲル粒状物を含水率が5〜30質量%となるまで乾燥する。
【0040】
乾燥機としては、公知の種々の装置、例えば、バンド乾燥機、振動流動乾燥機、ディスク乾燥機、コニカル乾燥機などが使用される。乾燥条件は適宜選択することが出来るが、温度が低すぎると乾燥効率が悪く、温度が高すぎると重合体劣化の原因となる。従って、乾燥温度は、通常50〜140℃、好ましくは60〜130℃、更に好ましくは70〜100℃である。
【0041】
乾燥後の粒状物の含水率が30質量%よりも高い場合は、重合体は、軟らかすぎるために次工程で粉体状にするための粉砕が困難となる。一方、含水率が5質量%よりも低い場合は、高温かつ長時間の加熱を必要として工業的に不利であり、しかも、水分量が低いことのために後述の加水分解反応の効率低下を招く。従って、乾燥されたN−ビニルカルボン酸アミド重合体の含水率は、5〜30質量%、好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。
【0042】
[粉砕工程]
粉砕工程では上記で得られた粒状物(乾燥されたN−ビニルカルボン酸アミド重合体)を粉体化する。
【0043】
粉砕の好ましい程度は次の通りである。すなわち、粉体粒子の平均粒子径が250μm以上である割合は、通常70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。また、粒子形状に制約はないが、粉体粒子が小さ過ぎる場合は、加水分解時に粉体同士の付着が生じて操作が困難となり、大き過ぎる場合は、加水分解に分布を生じて均一な品質の製品が得られ難い。従って、粉体の平均粒子径は、通常5000μm以下、好ましくは2000μm以下、更に好ましくは1700μm以下である。上記の平均粒子径は、後述の実施例に記載したように定義され且つ測定される平均粒子径を意味する。なお、粉砕方法は任意に選択することが出来る。
【0044】
[加水分解工程]
加水分解工程においては酸または塩基との接触によりN−ビニルカルボン酸アミドをポリビニルアミンに変換する。
【0045】
加水分解前に不溶化防止剤を使用して不溶化防止処理を行ってもよい。不溶化防止剤とは、加水分解に先立ち又は加水分解と平行してアルデヒド基とオキシム化反応や酸化還元反応などを起こす、アルデヒド基との反応性が高い物質を添加するものである。斯かる物質としては、特開平5−86127号公報や特開5−125109号公報に示されているようなヒドロキシルアミン又はその塩酸塩若しくは硫酸塩、過酸化水素、水素化硼素ナトリウム、アスコルビン酸、硫酸水素ナトリウム、二酸化硫黄、亜二チオン酸ナトリウム、アミノグアニジン、フェニルヒドラジン、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、アンモニア、塩化アンモニウム、或いは硫酸アンモニウム等が挙げられる。特に、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩、水素化硼素ナトリウム、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等が好適である。
【0046】
不溶化防止剤の使用量は、N−ビニルカルボン酸アミド重合体中に残存する単量体量によって異なるが、重合時の転化率が98%以上の場合、重合体100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。不溶化防止剤は、粉体状のN−ビニルカルボン酸アミド重合体と十分に混合するため、水溶液またはアルコール溶液(メタノール、エタノール等の溶液)として添加される。
【0047】
粉体状のN−ビニルカルボン酸アミドと不溶化防止剤との混合は、特別の装置などを必要とせず通常の混合方法で行うことが出来る。例えば、合成樹脂フィルム製袋に入れ振り混ぜ混合する方法、円筒、二重円錐、Y型などの容器が回転する回転容器型混合機、リボン混合機、スクリュー混合機、円盤回転型などの羽根回転型混合機などのブレンダーを使用して回分操作で混合する方法、スクリューコンベヤーを使用して移送中に途中で不溶化防止剤を添加し連続的に移送しつつ混合する方法などの混合方法が挙げられる。混合は、通常、20〜80℃で行われる。
【0048】
加水分解反応は不溶化防止処理効果が奏せられた後に開始するのが好ましい。そのため、通常、不溶化防止剤を混合後、少なくとも30秒経過後に加水分解を開始するのが好ましく、1分以上経過後に開始するのがより好ましく、5分以上経過後に開始するのが更に好ましい。混合後、これより短い時間で加水分解を開始させると、不溶化処理効果が十分奏せられる前に加水分解が進むこととなり好ましくない。他方、混合後あまりに長時間経過すると、不溶化処理の効果が減ずるので、通常96時間以内、好ましくは48時間以内に加水分解を開始する。
【0049】
加水分解に好適な酸は、例えば、無機酸の中では、例えば、ハロゲン化水素(水溶液中では塩酸)、硫酸、硝酸、燐酸、(オルト−、メタ−ポリ燐酸)である。有機酸の中では、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのC1〜C5−カルボン酸、例えば、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの脂肪族又は芳香族スルホン酸である。これらの中では塩酸が好ましい。
【0050】
加水分解に好適な塩基は、周期律表の第1及び第2主族の金属の金属水酸化物である。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等が挙げられる。また、アンモニア及びアンモニアのアルキル誘導体、例えば、アルキル−又はアリールアミンも好適である。斯かるアミン類としては、例えば、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン又はアニリンが挙げられる。これらの中では、アンモニア、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液が好ましい。
【0051】
酸または塩基の使用量は、所望する加水分解率によって異なるが、目的とするポリビニルアミン中のビニルアミンユニットに対し、通常0.8〜2倍当量、好ましくは1〜1.5倍当量である。原料単量体の種類により、加水分解反応系中にN−ビニルカルボン酸アミド基よりも加水分解され易い物質が共存する場合は、当然それを相殺する量を過剰に使用する必要がある。また、酸または塩基は、予め溶解して溶液として加水分解反応に供するのが好ましい。その場合、溶液の濃度は高い方が反応操作上好ましい。
【0052】
加水分解率は、N−ビニルカルボン酸アミド単量体単位に対する割合として、通常0.1〜100モル%、好ましくは1〜60モル%である。加水分解率が余りに高すぎる場合は、多量の酸または塩基溶液を使用する必要のため、得られるポリビニルアミンは、粉体同士の付着や粉体の溶解により粉体形状が維持できなくなる。
【0053】
本発明方法において、加水分解反応は、不溶化処理を行った粉体状の重合体と酸または塩基を混合し直接接触させることにより行われる。混合方法としては、特に制限されず、前記の不溶化防止処理における混合方法と同様の方法が適宜使用される。具体的には、袋に入れ振り混ぜ混合する方法、円筒、二重円錐、Y型などの容器が回転する回転容器型混合機、リボン混合機、スクリュー混合機、円盤回転型などの羽根回転型の混合機などのブレンダーを使用して回分操作で混合する方法、スクリューコンベヤーを使用して移送中の途中で酸または塩基を添加し連続的に移送しつつ混合する方法などが例示される。特に、流動又は移動中の固相状態の粉体状の重合体に酸または塩基を散布する方式が好ましい。
【0054】
加水分解は通常20〜90℃で行われる。反応時間は温度によって異なるが、通常1分から1週間である。反応物の撹拌は反応中続ける必要はなく、酸または塩基が粉体状の重合体に吸収されれば後は放置しておいてもよい。放置し得る時間は長くても24時間である。加水分解の条件によっては酸またはアルカリが残存している場合がある。これらの残存した酸またはアルカリは必要に応じて中和してもよい。
【0055】
加水分解後の粉体状ポリビニルアミンは、必要に応じて再度乾燥してもよい。乾燥機としては公知の種々の装置を使用し得る。具体的には、バンド乾燥機、振動流動乾燥機、ディスク乾燥機、コニカル乾燥機などが使用される。乾燥温度は、適宜選択することが出来るが、通常50〜140℃、好ましくは60〜130℃、更に好ましくは70〜100℃である。
【0056】
以上、説明した本発明の製造方法によれば、簡便な操作で溶解性に優れた粉体状のポリビニルアミンを製造することが可能である。従来の製造方法と比較して、特別な有機溶剤中で行う必要もなく臭気や引火性といった安全面、製品の環境負荷の面で有利である。また、最小限の加熱で乾燥するため、熱による重合体劣化を防ぎ、粉体状でありながら優れた溶解性を維持することが可能である。そして、得られた粉体状のポリビニルアミンはエマルジョンタイプや水溶液品と比較して輸送コストが安価であり、取扱性にも優れるため、有機汚泥の脱水用凝集剤及び製紙における濾水性向上剤、填料歩留向上剤として、廃水処理分野、製紙工業分野などの各種分野で広い応用が可能である。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において重合体の物性は、以下の方法により測定した。
【0058】
[含水率]
粉体状の重合体サンプルを105℃で90分加熱し、重量法で求めた減少分量を含水率とした。
【0059】
[平均粒子径]
先ず、目開き(単位:μm)1700、1000、710、500、250、75の各標準篩と受け皿の重量を測定し、それらを重ね合わせ、粉体状の重合体10gを最上段の篩上に投入した。次いで、電磁振動式篩分器にセットし、5分間振動させ、それぞれの篩と受け皿の重量を測定し、各重量差を求め、それぞれの篩上に残った重合体の割合を算出した。この粒度分布から積算分布曲線を求め、50%の積算値における粒径値を平均粒子径とした。
【0060】
[溶解性試験]
粉体中に含まれるビニルアミン重合体量が10gになるように粉体状ポリビニルアミンを採取し、脱塩水で希釈し470gとした。この希釈溶液に食塩20gを加え、4質量%食塩水中2質量%のビニルアミン重合体水溶液を調製し、水溶液を180μmの金網を通して濾過し、金網状の残物を水道水で洗浄した。金網上の残物である不溶解ゲル分の重量を測定した。
【0061】
(実施例1)
脱イオン水70重量部に対し、酢酸ナトリウム0.1重量部、ポリエチレングリコール0.3重量部を溶解し、N−ビニルホルムアミド30重量部を混合した。混合した単量体水溶液に工業用塩化ナトリウム30重量部を溶解した後、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、連鎖移動剤としてホスフィン酸ナトリウム200ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加した後、15分間窒素曝気を行った。その後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬製:V−50)1500ppm(対単量体)を12質量%水溶液として添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド200ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加し、更に、亜硫酸水素ナトリウム200ppm(対単量体)を10質量%水溶液として添加することにより重合を開始した。
【0062】
重合開始から2時間後に内温ピークを確認した後、更に1時間反応容器内に保持し、その後に反応容器より内容物を取り出すことにより、含水ゲル状の塊状物を得た。
【0063】
次いで、得られた塊状物ゲル(含水率が64.63質量%)をハサミで5cm角に切断し、切断した塊状物ゲルを精肉用ミートチョッパー(ダイス穴径:3mm)により解砕して粒状物とした。得られた粒状物の最長径は凡そ5mmであった。
【0064】
次いで、解砕して得た粒状物を80℃で2時間乾燥を行い、その後、2mmのメッシュを装備したウィレータイプの粉砕機により粉体化し、含水率8.84質量%の乾燥粉体Aを得た。乾燥粉体Aは、粒子径が250μm以上の割合が99.5質量%であり、平均粒子径が920μmであった。
【0065】
乾燥粉体A15gをポリエチレン製のビニール袋内に取り、25質量%水溶液状の硫酸ヒドロキシルアミン0.11g(対乾燥粉体A中の重合体純分:0.5質量%)を添加してよく振り混ぜ、5分間不溶化防止処理を行った。その後、35質量%塩酸水溶液6.15g(対乾燥粉体A中の重合体純分:塩酸40.0モル%)を添加してよく振り混ぜ、80℃で60分加熱して加水分解を行った。
【0066】
次いで、加水分解後の粉体を80℃で15分乾燥し、粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体の合着は特になく、粉体として操作よく取り扱うことが出来た。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0067】
(実施例2)
先ず、実施例1に示したのと同様の乾燥重合体Aを得た。次いで、乾燥粉体A15gをポリエチレン製のビニール袋内に取り、これに水素化ホウ素ナトリウム0.05g(対乾燥粉体A中の重合体純分:0.5質量%)を25質量%水酸化ナトリウム水溶液0.39g(対乾燥粉体A中の重合体純分:水酸化ナトリウム0.5モル%)に溶解した不溶化防止剤を添加してよく振り混ぜ、5分間不溶化防止処理を行った。その後、47質量%水酸化ナトリウム水溶液4.64g(対乾燥粉体A中の重合体純分:水酸化ナトリウム39.5モル%)を添加してよく振り混ぜ、80℃で60分加熱して加水分解を行った。
【0068】
次いで、加水分解後の粉体を80℃で15分乾燥し、粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体の合着は特になく、粉体として操作よく取り扱うことが出来た。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0069】
(実施例3)
先ず、実施例1の方法において、乾燥条件を80℃で60分間に変更した以外は同様の操作を行い、含水率18.7質量%の乾燥粉体Bを得た。乾燥粉体Bは水分を多く含んでおり柔らかかったが、粉砕は可能であった。乾燥粉体Bは、粒子径が250μm以上の割合が99.6質量%であり、平均粒子径が1200μmであった。
【0070】
次いで、実施例1と同様の加水分解操作を行い粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体は多少合着したものの、粉体として操作よく取り扱うことが出来た。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0071】
(実施例4)
先ず、実施例1の方法において、粉砕機に装備したメッシュを1mmに変更した以外は同様の操作を行い、含水率7.90質量%の乾燥粉体Cを得た。乾燥粉体Cは、粒子径が250μm以上の割合が75質量%であり、平均粒子径が500μmであった。
【0072】
次いで、実施例1と同様の加水分解操作を行い粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体は多少合着したものの、粉体として操作よく取り扱うことが出来た。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0073】
(実施例5)
先ず、実施例1の方法において、粉砕機に装備したメッシュを0.5mmに変更した以外は同様の操作を行い、含水率7.90質量%の乾燥粉体Dを得た。乾燥粉体Dは、粒子径が250μm以上の割合が60質量%であり、平均粒子径が310μmであった。
【0074】
次いで、実施例1と同様の加水分解操作を行い粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体は合着し、少量の塊状物が発生したが、取扱は可能であった。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0075】
(比較例1)
先ず、実施例1に示したのと同様の含水ゲル状の粒状物(含水率が64.63質量%、最長径は凡そ5mm)を得た。
【0076】
次いで、含水ゲル状の粒状物50gをポリエチレン製のビニール袋内に取り、25%水溶液状の硫酸ヒドロキシルアミン0.11g(含水ゲル中の重合体に対する割合0.5質量%)を添加してよく振り混ぜ、2分間不溶化防止処理を行った。その後、35%塩酸水溶液6.15g(含水ゲル中の重合体に対する塩酸の割合40.0モル%)を添加してよく振り混ぜ、80℃で60分加熱して加水分解を行った。
【0077】
次いで、加水分解後の粒状物を80℃で3時間乾燥し、2mmのメッシュを装備したウィレータイプの粉砕機により粉体化し、粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での含水ゲルは合着し、塊状物が生じたため取扱は困難であった。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0078】
(比較例2)
先ず、実施例1の方法において、乾燥条件を100℃で180分間に変更した以外は同様の操作を行い、含水率3.31質量%の乾燥粉体Eを得た。乾燥粉体Eは、粒子径が250μm以上の割合が98質量%であり、平均粒子径が850μmであった。
【0079】
次いで、実施例1と同様の加水分解操作を行い粉体状ポリビニルアミンを得た。加水分解工程での粉体の合着は特になく、粉体として操作よく取り扱うことが出来た。粉体状ポリビニルアミンの加水分解率の測定結果と溶解性試験の結果を表1に示す。
【0080】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−ビニルカルボン酸アミドを水溶液重合して含水ゲル塊状物を得る重合工程、得られた含水ゲル塊状物を粒状化する解砕工程、得られた含水ゲル粒状物を含水率が5〜30質量%となるまで乾燥する乾燥工程、得られた粒状物を粉体化する粉砕工程を順次に包含して成り、粉砕工程において得られた粉体を酸または塩基と混合することでN−ビニルカルボン酸アミドをポリビニルアミンに変換する加水分解工程を設けたことを特徴とする粉体状ポリビニルアミンの製造方法。
【請求項2】
粉砕工程において、平均粒子径が250μm以上である割合が70質量%以上であり、平均粒子径が250μm〜1700μmである粉体を得る請求項1に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−162671(P2011−162671A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27370(P2010−27370)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(301057923)ダイヤニトリックス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】