説明

粉末化粧料の製造方法及び粉末化粧料

【課題】使用感触及び化粧持ち効果と、生産効率に優れた粉末化粧料の製造方法を提供すること。
【解決手段】粉末成分と、油性成分と、下記(A)及び/又は(B)の処理粉末とを、揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、
前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と
を備え、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置により、前記乾燥粉末から粉末化粧料を得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末化粧料の製造方法及び当該製造方法により得られる粉末化粧料に関する。さらに詳しくは、使用感触と化粧持ちに優れた、ファンデーションや化粧下地等の粉末メーキャップの製造方法に関する。
【0002】
パウダリーファンデーションに代表される粉末化粧料は、従来、ヘンシェルミキサー(登録商標)、ナウターミキサー(登録商標)、リボンブレンダー、等の攪拌混合機を用いて、粉末成分と、結合剤としての油性成分等を混合し、該混合物をパルペライザー等の粉砕機にて解砕したのち、金属や樹脂製の中皿に充填、或いは、さらに乾式プレス成型することで製造を行っていた。
【0003】
この方法は、粉末成分と結合剤としての少量の油性成分との混合を、溶媒を添加することなく行う乾式混合、及び、乾燥粉末の状態で加圧成型を行う乾式成型の形態をとっており、乾式製法と呼ばれ、古くから採用されてきた。
【0004】
近年、粉末化粧料に対して、使用感触等の特性を改善すべく、混合や成型に関する様々な方法が開発されている。例えば、粉末成分と油性成分とを揮発性溶媒に添加してスラリー化する湿式混合を行い、次いで、スラリーの状態で容器に充填し、真空吸引等で溶媒を除去して粉末固形化する(湿式成型)と言った粉末化粧料の製造方法が提案されており、湿式製法と呼ばれている(特許文献1、2)。
【0005】
また、粉末成分と油分とを揮発性溶媒中で混合を行う湿式混合の際に用いる種々の装置に対する検討も広く行われている。具体的には、以下のような製造方法が挙げられる。
(1)湿式混合の際に媒体攪拌ミルを用いる。得られたスラリーを容器内に充填後、吸引プレスする湿式成型を行うか、若しくは、得られたスラリーから溶媒を除去して乾燥粉末とし、該乾燥粉末をさらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行うことで固形状の粉末化粧料を得る(特許文献3)。
(2)粉末と油分と溶媒とを噛み合い型二軸押し出し装置を用いて混合する。得られたスラリーから溶媒を除去して、乾燥粉末とし、該乾燥粉末をさらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る(特許文献4)。
(3)高分子粉末を揮発性溶媒中で媒体攪拌ミルを用いて粉砕した粉砕溶液を得た後、該粉砕溶液と顔料等の粉末をディスパー等の湿式混合機にて混合し、スラリーとする。得られたスラリーから揮発性溶媒を除去して、乾燥粉末とし、さらに粉砕機により解砕した後、乾式成型を行い、固形状の粉末化粧料を得る(特許文献5)。
【0006】
このように湿式混合を行う工程に関する検討は盛んに行われている。しかしながら、スラリーから乾燥粉末を得る工程、固形状の粉末化粧料を成型する工程に関してはそれほど検討が進んでおらず、スラリーを中皿容器に充填した後に吸引プレスする方法(湿式成型)や、スラリーを減圧乾燥機等の通常の乾燥機を用いて乾燥して乾燥粉末を得た後、該乾燥粉末をさらにヘンシェルミキサーやパルペライザー等によって解砕して乾式成型を行う方法が一般的である。
【0007】
しかしながら、湿式成型により得られた固形の粉末化粧料は、肌へ塗布したときの使用感触に関しては概ね良好な品質が得られるが、得られた粉末固形化粧料が堅くなりすぎてしまい、パフへのとれといった使用性に関しては、十分に満足がいくものではなかった。
【0008】
また、容器に充填する前にスラリーを乾燥して乾燥粉末とし、この乾燥粉末を容器に充填して乾式成型を行った場合には、乾燥時の粉末成分の凝集のため、肌へ塗付した際の使用感触が良くない。この乾燥粉末をさらに解砕した後、乾式成型を行った場合にも、やはり肌へ塗布した際の使用感触は、湿式製法で得られたものと比べて満足のいくものではなかった。さらに、スラリーを乾燥させ、さらに粉砕機にて解砕を行う必要があるため、生産性や作業環境の面でも優れているとは言えなかった。
【0009】
一方、湿式製法で得られる粉末化粧料は、揮発性溶媒中でスラリー混合することで油性成分が粉末に均一に被覆されるため、化粧料を塗布後、肌から分泌された皮脂となじみやすい。そのため、化粧膜が濡れて暗くなる、粉よれが起き易くなるといった化粧持ち効果が悪化するという欠点があった。
【0010】
粉末化粧料の化粧持ち向上の一つの解決策として、フッ素処理(パーフルオロアルキル基を有する化合物で処理)した粉末を配合することで、皮脂に対する耐性(濡れにくさ)を向上させ、濡れによる粉末の明度や彩度の低下(くすみ)を防止する技術が開発されている(特許文献6〜16)。
【0011】
しかしながら、フッ素処理粉末を特にファンデーションのような粉末固形化粧料に配合した場合、バインダーとして使用する油分となじみにくいことによる、商品としての耐衝撃性が不十分であったり、肌への親和性が低いことから肌への付着性が悪かったりする場合がある。
【0012】
なお、特許文献11には、パーフルオロアルキルシランで処理した粉末に関する一般的な記述があるものの、本発明で用いる(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I):以下、本明細書にて、単に化合物(I)と称する場合がある}による処理粉末に関する具体的記述は、一切存在しない。
【0013】
その後、これらを解決する方法として、特定のフッ素系油分を組み合わせたり(特許文献17〜20)、パーフルオロアルキル基を有する化合物と長鎖アシルアミノ酸類を一緒に表面処理したり(特許文献21)、酸化亜鉛を併用したり(特許文献22)することで、ある程度の改善が図られているが、未だ十分ではないのが実情である。
【0014】
一方、ヒドロキシアパタイトについては、その皮脂の吸着特性に着目して化粧料に配合した例(特許文献23)、メカノケミカル的に球状粉末上に複合化した例(特許文献24)が挙げられる。しかし、これらの特許文献には、本発明の化合物(I)による処理粉末と組み合わせた記述は一切存在しない。
【0015】
さらに、ヒドロキシアパタイトを板状粉末上に被覆した複合粉末と、他にパーフルオロアルキルリン酸エステル塩で処理した粉末類を配合した化粧料の例が記載されている(特許文献25)。しかし、本発明の化合物(I)による処理粉末に関する記述は一切存在しない。また、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩で処理した粉末は、化合物(I)による処理粉末と比べて、使用感触が悪い傾向に有り、好ましくない。
【0016】
また、特許文献26及び27には、ヒドロキシアパタイトを化粧料に配合した例が記載されている。さらに、特許文献28には、平均粒子径が1〜100μmの有機または無機球状粒子の表面に、当該球状粒子の1/5以下の平均粒子径を持つヒドロキシアパタイトを複合化した複合粉末が記載されている。
【0017】
【特許文献1】特公昭61−54766号公報
【特許文献2】特開平7−277924号公報
【特許文献3】特許第3608778号
【特許文献4】特開2004−67602号公報
【特許文献5】特開平9−30926号公報
【特許文献6】特公平5−86984号公報
【特許文献7】特許第2597492号
【特許文献8】特許第2597494号
【特許文献9】特許第2698819号
【特許文献10】特許第2646253号
【特許文献11】特開平2−218603号公報
【特許文献12】特開2000−186016号公報
【特許文献13】特開2000−336012号公報
【特許文献14】特開2001−64114号公報
【特許文献15】特開2001−152050号公報
【特許文献16】特表2003−518024号公報
【特許文献17】特公平6−102607号公報
【特許文献18】特公平7−119168号公報
【特許文献19】特公平8−25856号公報
【特許文献20】特許第2521398号
【特許文献21】特開平5−93153号公報
【特許文献22】特許第3073877号
【特許文献23】特開平8−133942号公報
【特許文献24】特許第2893541号
【特許文献25】特開2000−169122号公報
【特許文献26】特開平11−292524号公報
【特許文献27】特開2000-143443号公報
【特許文献28】特公平6−92288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、粉末化粧料の品質面を改善し、製造工程における生産性を改良した製造方法を提供することである。また、本発明の製造方法により、化粧持ち(化粧崩れ防止)に優れた粉末化粧料、特にはファンデーション又は化粧下地等の粉末メーキャップ化粧料を提供することを目的とする。
【0019】
本発明者等は、上述した背景技術を鑑みて、前記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、粉末成分及び油性成分と共に、ある種のパーフルオロアルキルシランによる処理粉末を使用して、特定の工程により得られた乾燥粉末を用いることにより、使用感触、化粧持ちに優れた粉末化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0020】
すなわち、本発明は、粉末成分と、油性成分と、下記(A)及び/又は(B)の処理粉末とを、揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、
前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と
を備え、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置により、前記乾燥粉末から粉末化粧料を得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法を提供するものである。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末
【化1】

【0021】
また、本発明は、上記の製造方法において、前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、
中空状の筐体と、
該筐体内に設けられたせん断部材によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、
前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、
前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給してこれと接触させる送風手段と、
前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段と
を備えた乾燥装置であることを特徴とする粉末化粧料の製造方法を提供するものである。
【0022】
さらに、本発明は、上記の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分と前記処理粉末とを混合し、該粉末成分を解砕及び/又は粉砕及び/又は分散してスラリーを得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、上記の製造方法において、前記乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えたことを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法を提供するものである。
【0024】
さらに、本発明は、上記の製造方法により得られたことを特徴とする粉末化粧料を提供するものである。
【0025】
また、本発明は、シリコーン油を含まない油性成分を配合することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0026】
さらに、本発明は、ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末を配合することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0027】
また、本発明は、酸化亜鉛を含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【0028】
さらに、本発明は、合成マイカを含有することを特徴とする上記の粉末化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、粉末成分が凝集することなく、かつ粉末成分表面に化粧持ちに影響を与えない程度に適度に均一に油性成分が被覆した乾燥粉末が得られ、この乾燥粉末を用いることにより、使用感触、特に肌への付着性、フィット感に優れながら、化粧持ちに非常に優れた粉末化粧料を提供することができる。
【0030】
また、前記乾燥粉末を容器に充填して固形化すれば、極めて使用し易く、使用感触と化粧料持ちに優れた固形状粉末化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、粉末化粧料の各種成分を揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、当該スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを有する、特定粉末成分による粉末化粧料の製造方法である。本発明者らは、特に湿式製法の中の溶媒除去工程に着目し、種々の乾燥プロセスについて鋭意検討を行った。
【0032】
その結果、通常の減圧ニーダーに代表される攪拌乾燥機や振動乾燥機では、乾燥中の攪拌により粉末が強凝集してしまい、パルペライザー等の解砕では極めて不十分であった。一方、ドラムドライヤーと呼ばれるタイプの乾燥機やスプレードライヤーによる乾燥も検討したが、いずれも乾燥時に凝集が起こってしまう。したがって、粉末化粧料を得るにはパルペライザー等の乾式粉砕機による解砕が必須であった。さらに、通常の棚式乾燥機では乾燥効率が著しく低いために、量産性の観点で劣っていた。また、スプレードライヤーは乾燥処理速度が著しく低く、大量生産を想定した場合装置の大型化は避けられないという問題点もあった。
【0033】
このような問題点を鋭意研究した結果、スラリーを微小液滴化するせん断機構を有し、微小液滴の状態で乾燥を行うことが可能な乾燥装置を用いると、得られる乾燥粉末は微粉化し、乾式粉砕機による解砕は不必要であることを発見した。
【0034】
そして、このような乾燥に供するスラリーの調製時に、特定のパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末を含む粉末成分と油性成分を用いて、揮発性溶媒中にてスラリー化しておくことにより、肌へ塗布した時のなめらかさ、均一な仕上がり、のびに優れ、特に肌への付着性、フィット感において非常に優れ、化粧持ち効果も非常に優れた粉末化粧料が得られることを見出した。
【0035】
また、本発明により、これらの品質面のみならず、生産性及び作業環境性に優れた粉末化粧料の製造が可能となった。さらに、この乾燥粉末に対して通常の乾式成型により成型を行うことにより、パフへのとれの良さといった使用性に関しても、極めて優れた固形状粉末化粧料を製造することが可能となった。
【0036】
本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の製造方法で用いる装置構成の一例を示した図である。本発明の製造方法は、粉末成分と油性成分と特定のパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末とを揮発性溶媒中で混合しスラリーとするスラリー調製工程と、前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程とを備える。
まず、スラリー調整工程では、図1に示した媒体攪拌ミル10を用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分とパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末とを混合し、該粉末成分を、解砕、粉砕、分散することでスラリーを得る(スラリー調製工程)。得られたスラリーは、貯蔵タンク12に一旦貯められ、乾燥装置14(乾燥工程)へ所定の流量で供給される。
【0037】
本実施形態で使用する乾燥装置14は、スラリーを機械的なせん断力、つまり、せん断手段18に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)の回転によるせん断力で微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風して前記スラリーの乾燥を行う。なお、せん断部材の形状は、その目的に合致している限り特に限定されるものではなく、例えば、上記のような板状の他、羽根状、円盤状等、どのような形状でもかまわない。
【0038】
このように、本実施形態ではスラリーを微細液滴にした状態で乾燥を行う乾燥装置14を用いて乾燥粉末を製造しているため、乾燥時に粉末成分の凝集をほとんど生じることなく、乾燥粉末を得ることができる。そのため、肌への塗付時における使用感触に優れた粉末化粧料を提供することが可能となる。また、乾燥後に再度解砕を行う必要がないため、生産性及び作業環境性にも極めて優れている。
【0039】
また、得られた乾燥粉末を容器に充填し、乾式プレス成型により固形化する工程をさらに備えることも好適である。得られた固形状の粉末化粧料は、使用感触のみならず、パフへのとれ具合といった使用性にも優れたものとなる。
【0040】
図1に示したように、スラリー調製工程においては、必須配合成分を揮発性溶媒中にて混合するために、媒体攪拌ミル10を用いることが好適である。媒体攪拌ミルを用いることで、粉末成分表面に化粧持ちに影響を与えない程度に適度に均一に油性成分でコートされたスラリーを得ることができ、このようなスラリーを用いることでより、使用感触、使用性がさらに優れた粉末化粧料を得ることができる。
【0041】
なお、パール顔料を含んだ粉末化粧料を製造する場合には、まず、スラリー調製工程にてパール顔料以外の粉末成分を用いてスラリーを調製し、乾燥工程ではこのスラリーを乾燥してパール顔料未含有の乾燥粉末を得る。そして、パール顔料とパール顔料未含有の乾燥粉末とを混合し、この混合粉末を用いて粉末化粧料を得ることが好適である。このような製造方法を採用することで、なめらかさ、肌へのフィット感、均一な仕上がり、うるおい感、のびの良さ等の品質面や生産性及び作業環境性に優れると同時にパール感にも優れた粉末化粧料を得ることができる。
【0042】
以下、各工程についてさらに詳しい説明を行う。
【0043】
<スラリー調製工程>
粉末成分と油性成分と特定のパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末とを揮発性溶媒中で混合してスラリーとする方法としては、次のような方法が挙げられる。
(A)粉末と油分とパーフルオロアルキルシランを含有する粉末とを、あらかじめヘンシェルミキサー(登録商標)やパルペライザー等により乾式混合/解砕したものを、揮発性溶媒中に添加し、ディスパーミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、二軸混練機等により混合/分散する方法。
(B)粉末と油分とパーフルオロアルキルシランを含有する粉末とを揮発性溶媒中に添加し、必要に応じてディスパーミキサー等で予備混合した後に、媒体攪拌ミルにより、解砕、粉砕、分散処理を行う方法。
(C)高分子弾性粉末や微粒子粉末等の凝集性の強い一部特定の粉末成分を揮発性溶媒中に添加し、これを必要があればディスパーミキサー等で予備混合した後、媒体攪拌ミルを用いて解砕、粉砕、分散させることで分散液を得て、該分散液とそのほかの粉末や油分、パーフルオロアルキルシランを含有する粉末を添加し、さらに湿式混合機や媒体攪拌ミルを用いて処理を行う方法。
【0044】
なお、スラリー調製工程においては、媒体攪拌ミルを使用することが好適である{例えば、上記(B)、(C)}。媒体攪拌ミルとは、粉末成分(および油性成分)と溶媒からなる分散液をビーズ等の固体分散媒体(メディア)が充填された容器内に収容し、該容器内の液体を攪拌することでメディアによる衝撃力、摩擦力等により、粉末成分の解砕、粉砕、分散を行うものである。
【0045】
図2、3は、それぞれ、本発明で好適に用いられる媒体攪拌ミルの例を示した概略構成図である。なお、本発明で好適に使用し得る媒体攪拌ミルとしては、これらに制限されず、本発明の目的を達成し得る限りどのようなものでもよい。
【0046】
図2に示した例の媒体攪拌ミル110は、略円筒状の容器112と、容器112内に挿通された駆動軸114と、駆動軸114を回転駆動する駆動モータ116と、駆動軸に取り付けられた複数枚の攪拌ディスク118a〜fと、を備えている。容器112内は、粉末成分の解砕、粉砕、分散を行う分散室120と、処理後の分散液を抽出する抽出室122とに分かれている。容器112の分散室120側には、処理対象の分散液を供給する供給口124が設けられ、また、抽出室122側には処理後の分散液を取り出す抽出口126が設けられている。分散室120と抽出室122との間には開口部128を設けた隔壁130が備えられており、この隔壁130に近接して、駆動軸114に取り付けられた分離ディスク132が隔壁130の開口部128を覆うように配置されている。隔壁130と分離ディスク132との間には隙間が設けられており、この隙間を固体分散媒体と処理対象の分散液とを分離する分離スリット134として使用する。
【0047】
粉末成分と溶媒とを含む分散液は、容器112内の分散室120へ供給口124から順次供給され、分散室内120の分散液は順次抽出室122の方向へ移動する。このとき、駆動モータ116によって駆動軸114が回転駆動され、撹拌ディスク118a〜fが回転している。分散室120内には多数の固体分散媒体136が充填されており、撹拌ディスク118a〜fの回転によって分散液とともに固体分散媒体136が攪拌される。分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体136からの衝撃力やズリ応力等によって、解砕、粉砕、分散される。
上記の解砕、粉砕、分散処理された分散液は、分散室120と抽出室122との間にある隔壁130と分離ディスク132との間の分離スリット134を通過して抽出室122に流入し、抽出口126から外部に抽出される。分離スリット134は、固体分散媒体136が分散室120内から抽出室122へ流出しない程度の大きさに取られている。そのため、分散液が分離スリット134を通過する際に、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体136との分離が行われ、抽出室には分散液のみが入ることになる。
【0048】
図3はアニュラー型の媒体攪拌ミルの概略構成図である。図3の媒体攪拌ミル210は、中心軸Aに関して対称な略W字型の断面を有する容器212と、容器212内に設けられ、中心軸Aを中心として回転可能な略逆U字型のロータ214と、ロータ214を回転駆動する駆動モータ216とを備えている。容器216内面とロータ214外面との間には、環状の空間218が形成されており、この環状空間218は中心軸Aの両側に略V字状の断面を有した形状をとっている。また、容器212には、環状空間218へ処理対象の分散液(粉末成分+溶媒)を送りこむ供給口220と、環状空間218から処理後の分散液を取り出すための抽出口222とが形成されている。環状空間218には固体分散媒体224が充填されており、環状空間218を、分散液中の粉末成分の解砕、粉砕、分散を行う分散室として使用する。
【0049】
供給口220から供給された分散液は入口スリット226を通って環状空間218へ送りこまれる。送り込まれた分散液は環状空間218内を移動し、出口スリット228を通って抽出口222から取り出される。このとき、環状空間218内で中心軸Aを中心としてロータ214を回転させることによって、環状空間218内の分散液および固体分散媒体224を攪拌する。すると、分散液中の凝集粉末成分は固体分散媒体224からの衝撃力やズリ応力等によって、解砕、粉砕、分散される。その後、分散液は出口スリット228を通過して、抽出口222から取り出される。
出口スリット228は固体分散媒体224が環状空間218内から流出しない程度の大きさに取られており、分散液(粉末成分+溶媒)と固体分散媒体224と分離する分離手段として機能する。また、ロータ214には固体分散媒体224を入口側へ戻すための戻し孔230が設けられており、固体分散媒体224が出口付近に留まらないようにされている。
【0050】
媒体攪拌ミルを用いて揮発性溶媒中で粉末と油分とパーフルオロアルキルシランを含有する粉末とを解砕、粉砕、分散する理由としては、粉末成分と油性成分との混合、分散状態を高めることができ、さらに粉末成分表面に化粧持ちに影響を与えない程度に適度に均一に油性成分でコートさせることができるため、使用感触のよい粉末化粧料を得ることができるからである。また、凝集性の強い粉末を容易に解砕し、揮発性溶媒中に均一に分散することもできる。
【0051】
また、媒体攪拌ミルの例としては、上で説明したものの他に、バスケットミル等のバッチ式ビーズミル、横型・縦型・アニュラー型の連続式のビーズミル、サンドグラインダーミル、ボールミル、マイクロス(登録商標)等が好適なものとして挙げられるが、その目的に合致していれば特に制限無く使用することができる。つまり、凝集状態にある粉末成分を配合した場合、これら粉末成分の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで攪拌、分散させ、油性成分を粉末表面に化粧持ちに影響を与えない程度に適度に均一に油性成分でコートさせ得るものであれば特に制限なく使用することができる。
【0052】
媒体攪拌ミルに用いるメディアとしては、ビーズが望ましく、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石等を原材料としたビーズが使用可能であり、特に、ジルコニア製が好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常直径0.5〜10mm程度のものが好ましく用いられるが、本発明では直径2mm〜5mm前後のものが好ましく用いられる。ビーズ径の大きさが小さすぎると、マイカ、タルク等の体質顔料の解砕が過度に進行し、使用感触に悪影響を及ぼしたり、成型後の硬度が硬くなるため取れが悪くなったり、ケーキング等を引きおこしやすくなる。一方、ビーズの大きさが大きすぎると粉末成分の凝集を十分に解くことができず、油性成分による均一な被覆が困難となる。
【0053】
スラリー調製工程で混合する粉末成分と油性成分と特定のパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末については後述する。また、スラリー調製工程にて、必須成分以外の粉末化粧料の配合可能成分についても後述する。
【0054】
粉末化粧料の配合成分を混合する揮発性溶媒としては、特に制限は無いが、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N−メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。これらの溶媒を、用いる配合成分の特性に応じて、1種または2種以上を混合して、適宜使い分けて用いる。
【0055】
スラリー調製工程において用いる揮発性溶媒の量は、使用する揮発性溶媒の極性、比重等にもよるため、規定はできないが、媒体攪拌ミルのよる処理が可能となる流動性を確保することが重要である。
【0056】
<乾燥工程>
次に、図1を参照して、本発明による実施形態の乾燥工程に用いる乾燥装置の一例について説明する。なお、本発明の製造方法で用いる乾燥装置は、図1のものに限定されず、スラリーを機械的に微細液滴化するせん断手段を備えているものであればよい。図1の乾燥装置14は、スラリーの乾燥を行う場となる中空状の筐体16と、前記筐体16内に設けられた回転するせん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーを微小液滴化するせん断手段18と、筐体16内のせん断部材(板状部材34a,34b,34c)へスラリーを供給する供給手段20と、筐体16内に乾燥ガスを送風し、せん断手段18により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給する送風手段22と、スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段24とを備えている。
【0057】
筐体16は縦型で中空の略円柱形状をしており、その上部に乾燥粉末および乾燥ガスを排出する排出口26、下部に送風手段22からの乾燥ガスを筐体16内に供給する送風口28が設けられている。また、スラリーを筐体16内へ供給する供給口30は、筐体16の上部に位置する排出口26と下部に位置する送風口28との間に位置している。
せん断手段18は筐体16底部から垂直方向に設けられた回転軸32と、該回転軸32に直角に設けられたせん断部材(板状部材34a,34b,34c)と、回転軸32を回転するための駆動部36と、を備える。駆動部36は筐体16の外に配置され、回転軸32を介してせん断部材(板状部材34a,34b,34c)に回転力を伝達する。図1で示したせん断部材は、上下方向に間隔を置いて、回転軸32に直角に設けられた3つの板状部材34a,34b,34cによって構成されている。これらのせん断部材はスラリーの供給口30の下方かつ乾燥ガスの送風口28の上方に位置している。モータ等で構成される駆動部36により回転軸32を回転させることで、板状部材34a,34b,34cが筐体16内で回転軸32を中心に水平方向に回転し、この機械的なせん断力によりスラリーを微小液滴にする。
【0058】
供給手段20は貯蔵タンク12から送られるスラリーを筐体16内に供給する。筐体16内に供給されたスラリーは、板状部材34a,34b,34cへ向って落下し、回転する板状部材34a,34b,34cによって微細液滴とされる。また、送風手段22から送られた乾燥ガスは送風口28より筐体16内に送風される。乾燥ガスは筐体16の水平断面の接線方向に向って供給されており、さらに板状部材34a,34b,34cが回転運動を行っているため、筐体内16に送風された乾燥ガス流は旋回流となる。この乾燥ガス流に微細液滴状のスラリーが接触することにより、スラリーはさらに微細化され、乾燥し乾燥粉末となる。この乾燥粉末は乾燥ガス流とともに筐体16内上部へ吹き上げられ、排出口26から排出される。排出口26から筐体16外に排出された乾燥粉末は捕集手段24によって捕集される。
また、筐体16内の排出口26の部分に分級手段38が設けられている。分級手段38は排出口26に設けられたオリフィスとして構成されており、大きな粒や塊、未乾燥品等が捕集手段24へと入ることを防止している。なお、分級手段の構成としてはこれに限られず、その他の構成でもかまわない。
【0059】
このように、せん断部材(板状部材34a,34b,34c)によりスラリーに機械的なせん断力を与え、スラリーを微細液滴の状態にして乾燥を行うことで、凝集の少ない乾燥粉末を得ることができる。凝集が少ない乾燥粉末となる理由としては、微細液滴としたことで液滴中に存在する粉末成分の量が少ないため乾燥時の凝集が起こりにくいこと、また乾燥過程で起こる粉末成分の凝集がせん断部材もしくは旋回流によるせん断力により解かれること、等が考えられる。
ここではせん断部材として水平方向に回転する板状部材で構成されるものを示したが、この他に垂直方向に回転(回転軸が水平方向)に回転する板状部材で構成されるものも設けてもよい。また、せん断部材の形状としては上記のものに限られず、例えば、羽根状(回転軸に垂直な棒状部材の先端に垂直にカッターを設けたもの等)、円盤状、等が挙げられる。また、せん断部材の個数等も特に限定されない。
【0060】
また、上記の乾燥装置はフラッシュドライヤーと呼ばれるタイプのもので、例えば、APV Nordic Anhyro社製のスピンフラッシュドライヤーや、ホソカワミクロン社製のドライマイスターや、月島機械社製のたて型攪拌乾燥機等が挙げられる。なお、本発明で好適に用いられる乾燥装置はこの限りではなく、システム中にせん断機構を有するものであれば良く、縦型/横型いずれでも良い。
また、乾燥の際に用いる乾燥ガスの温度は、用いる揮発性溶媒の沸点により変化させることが可能である。また、乾燥ガスの温度が高いほど乾燥効率は高くなるため、熱による乾燥粉末構成成分の変性等の悪影響が及ばない範囲で高温に設定することが望ましい。
また、筐体16内へ窒素ガス、Arガス等の不活性ガスを封入することで対防爆性に優れたものになるため、作業環境性も良くなる。また、コンデンサー等の溶媒回収機構を取り入れることで、溶剤の回収も可能である。
【0061】
<固形化工程>
本発明の製造方法において、固形状の粉末化粧料を製造する場合には、乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えることが好適である。固形化の方法としては従来公知の乾式プレス成型等を用いればよい。このようにして得られた粉末固形化粧料は湿式製法と同等あるいはそれ以上の優れた使用感触を発揮しながら、乾式成型の利点である使用性の良さ(パフへのとれ具合)も兼ね備えている。また、射出充填により容器内にスラリーを充填する工程を含む従来の湿式成型の場合はスラリーの充填性を考慮する必要があるため、用いる原料に制限があったが、通常の乾式プレス成型を行う限りにおいては、用いる原料の制限も無いことも利点として挙げられる。
【0062】
<パール顔料を配合する場合>
なお、雲母チタンやガラスパール等に代表されるパール顔料を添加した粉末化粧料を作成する場合には、まずパール顔料以外の部分の粉末成分を用いて、上記のスラリー調製工程、乾燥工程を経て乾燥粉末を得る。この乾燥粉末と、必要量のパール顔料をヘンシェルミキサーやナウターミキサー等のせん断力の弱い乾式混合機にて混合して混合粉末とし、該混合粉末を容器に充填、あるいはさらに乾式成型して粉末化粧料を得る。この方法で得られた粉末化粧料は、使用感触、使用性、化粧持ちに優れるだけでなく、パール感にも優れたものとなる。
【0063】
パール顔料としては特に限定されず、従来の化粧料で一般的に用いられるものを使用することができる。代表的なものとしては、例えば、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマス等を使用したもの等が挙げられる。さらには、被覆物として、酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミ等が挙げられる。また、優れた光学特性を有する機能性パール顔料としては、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの(特開平11-92688号公報)、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの(特開2002-146238号公報)、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの(特開2003-261421号公報)、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの(特開2003-61229号公報)等が挙げられる。これらのパール顔料表面を様々な粒子で被覆した機能性パール顔料は、被覆している粒子に強い力がかかった場合容易に欠落する傾向にある。しかしながら、上記の方法によれば、パール顔料に力がかかるのは、乾燥粉末との混合時だけであるため、それほど強い力で混合する必要がなく、パール顔料に被覆した粒子が欠落する可能性が小さい。そのため、上記の製造方法によれば、機能性パール顔料の機能を損なうことなく、粉末化粧料に配合することができる。
【0064】
本発明の製造方法は、ファンデーション、アイシャドウ、チークカラー、ボディーパウダー、パフュームパウダー、ベビーパウダー、プレスドパウダー、デオドラントパウダー、白粉等の粉末状又は固形状の粉末化粧料に好適に適用される。
【0065】
次に、本発明の製造方法により得られる粉末化粧料の配合成分を説明する。
<粉末成分>
粉末成分としては、化粧料に使用可能なものであれば特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、焼成タルク、焼成セリサイト、焼成白雲母、焼成金雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、窒化ホウ素、フォトクロミック性酸化チタン(酸化鉄を焼結した二酸化チタン)、還元亜鉛華、有機粉末(例えば、シリコーンエラストマー粉末、シリコーン粉末、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等)、無機白色顔料(例えば、二酸化チタン等)、無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等)、無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等)、無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等)、無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等)、無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等)、パール顔料{例えば、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、低次酸化チタン被覆雲母チタン、フォトクロミック性を有する雲母チタン、基板として雲母の代わりタルク、ガラス、合成フッ素金雲母、シリカ、オキシ塩化ビスマス等を使用したもの、被覆物として酸化チタン以外に、低次性酸化チタン、着色酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化コバルト、アルミ等を被覆したもの、機能性パール顔料として、パール顔料表面に樹脂粒子を被覆したもの(特開平11-92688号公報)、パール顔料表面に水酸化アルミニウム粒子を被覆したもの(特開2002-146238号公報)、パール顔料表面に酸化亜鉛粒子を被覆したもの(特開2003-261421号公報)、パール顔料表面に硫酸バリウム粒子を被覆したもの(特開2003-61229号公報)等}、金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等)、ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等)、天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。本発明においては、これらのうち1種又は2種以上の粉末成分を用いることができる。
【0066】
なお、パール顔料を配合する場合には、上記したように、まず、パール顔料以外の粉末成分を用いて、上記のスラリー調製工程、乾燥工程を経て乾燥粉末を得る。この乾燥粉末と、必要量のパール顔料をヘンシェルミキサーやナウターミキサー等のせん断力の弱い乾式混合機にて混合して混合粉末とし、該混合粉末を容器に充填、或いは、さらに乾式成型して粉末化粧料を製造することが好ましい。
【0067】
粉末成分の配合量(後述するパーフルオロアルキルシランによる処理粉末を含む全ての粉末成分の全量)は、粉末化粧料全量に対して、通常60質量%以上、好ましくは80質量%以上である。
また、パーフルオロアルキルシランによる処理粉末は、肌への付着性、化粧持ち効果から、粉末全成分に対して、5〜50質量%であることが好適である。
【0068】
<油性成分>
油性成分としては、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン等、化粧料に使用可能なものであれば特に制限されない。1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。油性成分は、固型粉末化粧料の結合剤として機能し得る。下記に具体的な油性成分を例示する。
【0069】
液体油脂としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0070】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0071】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0072】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0073】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0074】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0075】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0076】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0077】
なお、本発明の製造方法において、使用される油性成分は、シリコーン油を併用しないと、皮脂による色変化を抑制する粉末化粧料を製造することができるため、シリコーン油を使用しないことがより好ましい。
図4は、パーフルオロアルキルシランによる処理粉末を含む粉末成分を同一にし、使用する油性成分としてシリコーン系油分であるジメチコン、比較として炭化水素系油分であるスクワラン、エステル油であるオクチルメトキシシンナメートを配合した粉末化粧料へ人工皮脂を滴下したときの色変化である。
シリコーン油を配合した粉末化粧料の色変化が炭素系油分を配合したものに比較して大きいことがわかる。すなわち、シリコーン油を配合しないことで皮脂によるくすみを抑制し、化粧持ち効果をさらに高めることが可能である。
【0078】
油性成分の配合量は、粉末化粧料全量に対して、0.5〜40質量%、好ましくは2〜30質量%である。油分が少なすぎると、固化工程における成型性や、なめらかさ、肌へのフィット感、均一な仕上がり、うるおい感、のび等の使用感触が不十分となる。一方、油分が多すぎるとべたつく等粉末化粧料としての使用感触が損なわれたり、乾燥工程で凝集を生じたりすることがある。
【0079】
また、スラリー調製工程において、パーフルオロアルキルシランによる処理粉末を含む粉末成分と、油性成分の量比(質量比)は、使用する成分の種類にもよるが、粉末成分/油性成分=60/40〜99.5/0.5であることが好適である。粉末全成分中のパーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末の量は、肌への付着性、化粧持ち効果から5〜50質量%であることが好適である。
【0080】
<(A)及び/又は(B)の処理粉末>
本発明の必須成分であるパーフルオロアルキルシランによる処理粉末は、下記(A)及び/又は(B)の処理粉末である。この処理粉末は、スラリー調製工程にて揮発性有機溶媒中にて上記の粉末成分と混合される。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末
【0081】
処理に用いる粉末は、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、ベントナイト、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、ヒドロキシアパタイト、金属石鹸等が挙げられる。
【0082】
粉末の形状は、例えば、板状、塊状、鱗片状のものが良い。また、粉末の粒径は、特に制限されないが、好ましくは平均粒子径で1μm〜100μmである。
【0083】
化合物(I)を用いて上記粉末に常法により処理することにより、成分(A)の処理粉末が得られる。粉末の表面処理方法は後述する。
【0084】
処理粉末中に含まれる化合物(I)の含有量は、処理粉末全量に対して0.5〜20質量%が好ましい。0.5質量%未満では、十分な撥水・撥油効果が得られない場合がある。また、20質量%を超えると、撥水・撥油効果は得られるものの、使用感触が悪化する場合があり、好ましくない。
【0085】
処理粉末は、化合物(I)と一緒に、下記式(II)で表される共重合体によって処理することが好ましい。
【化2】

【0086】
式(II)の共重合体は、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸アリルのランダム共重合体に、末端にSi-H基が置換したメチルポリシロキサンを、メタクリル酸アリル中のアリル基部分とのヒドロシリル化反応により付加して得られる。その分子量は30,000〜300,000である。式(II)の共重合体は、市販品(信越化学工業社製KPシリーズ)を使用することができる。
【0087】
化合物(I)及び式(II)の共重合体により粉末を処理する場合、処理粉末中に含まれる式(II)の共重合体の含有量は、処理粉末全量に対して0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%未満では、同時に配合する他の成分との親和性向上効果が不足する場合がある。一方、10質量%を越えると、処理粉末の凝集を促進する場合があり、好ましくない。
【0088】
さらに、化合物(I)と式(II)の共重合体の含有質量比は、1:1〜10:1が好ましい。化合物(I)が1:1より少ない場合は、十分な撥油効果が得られない場合が有る。一方、化合物(I)が10:1より多い場合は、前述のように、同時に配合する他の成分との親和性向上効果が不足する場合があり、好ましくない。
また、上記比率の範囲内で、異なる粉末に対して異なる比率の処理をした処理粉末を2種以上配合しても、十分な効果が期待できる。複数の処理粉末を使用すると、それぞれの処理粉末の特性を目的の製品に応じて活かせるので好ましい。
【0089】
<処理粉末の表面処理方法>
核となる粉末に対する化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体による表面処理は、常法に従って行うことができる。
すなわち、化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を適当な溶媒に溶かした溶液の形態で、或いは、化合物(I)自体の液体の形態で直接、粉末と接触させた後、100〜150℃、好ましくは120〜140℃で、1〜12時間、好ましくは3〜9時間加熱することにより、表面処理粉末を製造することができる。
なお、加熱雰囲気として、含水分雰囲気下である空気中、または少なくとも空気に含まれる程度の水分を含有する他の気体中で行うことができる。その他、水分を含んでいない雰囲気下に調整後、処理中(加熱中)に水分を添加しながら加熱する方法、あるいは少量の水分に、アルミニウム(III)、錫(II)、錫(IV)、鉄(III)又はチタン(III)の金属塩を1種以上含有する溶液を、表面処理剤{化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体}と同時又は事前に添加して行うこともできる。
上述の金属塩の具体例としては、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、塩化第二鉄(それらの水和物を含む)等が挙げられる。
【0090】
化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を適当な溶媒に溶かした溶液の形態で粉末と接触させる場合は、例えば、アルコール類、水、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の溶媒中に、0.3〜50重量%を含有する溶液を調製する。そして、その溶液中に、粉末を分散後、加熱して、溶媒を蒸発させると共に、化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を、粉末の表面上で重合させることにより、処理粉末が得られる。この工程は、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー、ニーダー、媒体攪拌ミル(ビーズミル等)等を用いて行うことができる。
加熱に用いる装置としては、電気炉、トンネル炉、ローラハースキルン、ロータリーキルン等を用いることができる。
【0091】
化合物(I)、又は、化合物(I)及び式(II)の共重合体を、溶媒に溶解せずに、直接粉末と接触させる場合には、適切な混合機、例えば、回転ボールミル、振動式ボールミル、遊星型ボールミル、サンドミル、アトライター、バグミル、ポニミキサー、プラネタリーミキサー、らいかい機、ヘンシェルミキサー等により、粉末の接触を行って処理粉末が得られる。
【0092】
(A)及び/又は(B)の処理粉末の配合量は、粉末化粧料全量に対して5〜50質量%であり、好ましくは20〜50質量%である。
【0093】
<好ましい粉末成分>
以下に、上記処理粉末と共に本発明に用いる特に好ましい粉末成分を説明する。
【0094】
「ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末」
ヒドロキシアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2〕は、生物の骨や歯などを構成する成分でもあって生体適合性を有し、特に安全性の観点から注目されている。また、皮脂を吸着する効果にも優れていると言われており、化粧料の公知成分である(特開平11−292524号公報、特開2000-143443号公報)。
本発明の粉末成分には、ヒドロキシアパタイトの粉末、又は、ヒドロキシアパタイトを含む複合粉末を使用することも好ましい。これらの粉末の形状や平均粒子径は限定されないが、形状が板状、平均粒子径は1〜200μm程度が好ましい。
【0095】
平均粒子径が1〜100μmの有機又は無機球状粒子の表面に、当該球状粒子の1/5以下の平均粒子径を持つヒドロキシアパタイトを複合化した複合粉末も好ましい(特公平6−92288号公報)。
【0096】
ヒドロキシアパタイトを含む複合粉末のヒドロキシアパタイトの含有量は、複合粉末全量に対して0.1〜2質量%が好ましい。0.1質量%未満ではヒドロキシアパタイトの効果がほとんど期待出来ない可能性がある。一方、20質量%を越えると、複合化するヒドロキシアパタイト同士の結合による大粒子化や、複合粉末としての使用性が低下する可能性があり、好ましくない。
【0097】
ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末の配合量は、粉末化粧料全量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。
【0098】
「酸化亜鉛」
酸化亜鉛粉末の形状や製法は特に限定されないが、平均粒子径が0.1μm〜100μmの粉末が好ましい。
さらに、上述のヒドロキシアパタイトと同様、他の無機又は有機粉末と複合化した酸化亜鉛粉末も好ましい。また、有機表面処理した酸化亜鉛粉末も好ましい。有機表面処理は特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、1,3,5,7-テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、分岐型シリコーン(信越化学工業社製:KF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン))等のようなシリコーン類、アルキルアルコキシシラン類、パーフルオロアルキルアルコキシシラン類等のシランカップリング剤、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート等のようなチタネート系カップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルリン酸等のようなフルオロアルキルリン酸、ステアリン酸アルミニウム等のような金属石鹸、N-ラウロイル-L-リジン等のようなアミノ酸、ステアリン酸等のような脂肪酸、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0099】
酸化亜鉛粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して、3〜50質量%であり、好ましくは5〜30質量%である。
【0100】
「合成マイカ」
合成マイカの種類は、特に限定されないが、一般式:X0.5〜1.0Y2〜3Z4O10F2で示される合成マイカを好適に使用できる。ここで、Xは配位数12の陽イオン、Yは配位数6の陽イオン、Zは配位数4の陽イオンであり、それぞれ以下の1種又は2種以上のイオンで置換される(X :Na+, K+, Ca2+, Ba2+, Rb2+, Sr2+、Y :Mg2+, Fe2+, Ni2+, Mn2+, Al3+, Fe3+, Li+、Z :Si4+, Ge4+, Al3+, Fe3+, B3+)。合成マイカは、非膨潤系マイカ及び膨潤系マイカに分類され、非膨潤系マイカが好ましく用いられる。非膨潤系マイカとしては、フッ素金雲母:(KMg3(AlSi3O10)F2)、カリウム四ケイ素雲母:(KMg2.5(Si4O10)F2)が例示される。膨潤系マイカとしては、ナトリウム四ケイ素雲母:(NaMg2.5(Si4O10)F2)、ナトリウムテニオライト:(NaMg2Li(Si4O10)F2)、リチウムテニオライト:(LiMg2Li(Si4O10)F2)が例示され、特にフッ素金雲母が好ましい。
さらに、有機表面処理した合成マイカ粉末も好ましい。有機表面処理は、特に限定されないが、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・メチルハイドロジェンポリシロキサン共重合体、1,3,5,7-テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、分岐型シリコーン(信越化学工業社製:KF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン))等のようなシリコーン類、アルキルアルコキシシラン類、パーフルオロアルキルアルコキシシラン類等のシランカップリング剤、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート等のようなチタネート系カップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩、パーフルオロアルキルリン酸等のようなフルオロアルキルリン酸、ステアリン酸アルミニウム等のような金属石鹸、N-ラウロイル-L-リジン等のようなアミノ酸、ステアリン酸等のような脂肪酸、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のような四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0101】
合成マイカ粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。
【0102】
「球状粉末」
粉末成分には任意の球状粉末を配合することが好ましい。
球状粉末の化学組成や形状(長径と短径の比が1〜2程度でも良い)は、特に限定されない。例えば、球状ポリマー粉末としては、ポリメチルシルセスキオキサン(特開昭63−297313号公報及び特開平1−268615号公報参照)、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ポリスチレン、セルロース等の素材からなる球状粉末が挙げられる。東芝シリコーン(株)製のトスパール120及びトスパール145(球状ポリメチルシルセスキオキサン粉末)、東レ(株)製のSP−500(球状ナイロン粉末)、信越化学社製のKSP-100(シリコーンレジン被覆シリコーンゴム粉末)等の市販品を用いることができる。無機粉末としては、無水ケイ酸(シリカ)、無水ケイ酸を軟凝集させた加圧崩壊性球状シリカ(特開平3−197412号公報参照)、その他としてデンプン、シルク粉末等が挙げられる。
【0103】
球状粉末の配合量は特に限定されないが、通常、粉末化粧料全量に対して1〜30質量%であり、好ましくは3〜20質量%である。
【0104】
<その他の配合可能成分>
本発明の製造方法においては、本発明の効果を損なわない範囲において、上記必須成分以外に、通常、化粧料に用いる他の成分、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする製品に応じて常法により製造することが出来る。これらの成分は、通常、スラリー調製工程にて、上記必須成分と混合される。乾燥工程後の、乾燥粉末と混合する場合もある。
【0105】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0106】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N'-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0107】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0108】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0109】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0110】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0111】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0112】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0113】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0114】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0115】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0116】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0117】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0118】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0119】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0120】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0121】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0122】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0123】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル−1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0124】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、Eおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0125】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0126】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0127】
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、フルクトース、マンノース、エリスリトール、トレハロース、キシリトール等の糖類等も適宜配合することができる。
【実施例】
【0128】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。配合量は特に指定のない限り、質量%で示す。
【0129】
粉末化粧料の使用感触(なめらかさ、均一な仕上がり、うるおい感、肌への付着性、肌へのフィット感、のびの良さ)、使用性(パフへのとれ)、経時での化粧持ち効果(色くすみ、粉よれ)についての評価方法は、次の通りである。
【0130】
<評価方法>
評価専門パネル10名により、化粧料を実際に使用して、各評価項目に関して官能試験を行った。評価結果は下記の4水準で評価した。
◎:10名中8名以上が良好と判断
○:10名中6名〜7名が良好と判断
△:10名中4名〜5名が良好と判断
×:10名中3名以下が良好と判断
【0131】
下記表1の組成で、下記のように製造方法を変えて、実施例1及び比較例a〜cの製造方法により固形状粉末化粧料(ファンデーション)を製造し、評価を行った。評価結果を表2に示す。














【0132】
【表1】

【0133】
[実施例1]
1〜19の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてディスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕、粉砕、分散してスラリーを得た。次いで、スピンフラッシュドライヤー(APV Nordic Anhyro社製)を用いて該スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化しながら乾燥ガスを送風して乾燥した。得られた乾燥粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
【0134】
[比較例a]
1〜19の成分をヘンシェルミキサーにて乾式で攪拌混合した後、パルペライザーにて2回解砕した。得られた粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
【0135】
[比較例b]
1〜19の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてディスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕、粉砕、分散してスラリーを得た。このスラリーを中皿へ充填し、真空吸引によりエチルアルコールを除去して粉末固形化粧料を得た。
【0136】
[比較例c]
1〜19の成分をエチルアルコール(アウトパーツで50質量%)中にてディスパーミキサーを用いて混合し、媒体攪拌ミル(サンドグラインダーミル、2mmφのジルコニアビーズ使用)を用いて解砕、粉砕、分散してスラリーを得た。次いで、攪拌乾燥装置(減圧ニーダー)を用いて該スラリーを乾燥後、パルペライザーにて2回解砕した。得られた乾燥粉末を中皿へ充填し、公知の方法により乾式プレス成型を行い、粉末固形化粧料を得た。
【0137】
【表2】

【0138】
実施例1は、媒体攪拌ミルで湿式混合したスラリーを微細液滴化乾燥装置(スピンフラッシュドライヤー)により乾燥粉末としこれを乾式プレスした場合、
比較例aは、ヘンシェルミキサーで乾式混合した混合物をさらに解砕し、これを乾式プレスした場合、
比較例bは、媒体攪拌ミルで湿式混合したスラリーを乾燥させずに湿式成型(真空吸引)した場合、
比較例cは、媒体攪拌ミルで湿式混合したスラリーを通常の攪拌乾燥装置(減圧ニーダー:スラリーの乾燥勾配ができないように撹拌しながら乾燥する装置であるが、機械的なせん断力による微細液滴化はされない)により乾燥粉末としこれを乾式プレスした場合である。
【0139】
表2に示すように、媒体攪拌ミルを用いて湿式混合したスラリーを微細液滴化乾燥しこれを乾式成型した場合(実施例1)は、のびやパフへのとれが良好で、なめらかさ、うるおい感、均一な仕上がり感、しっとり感、肌へのフィット感が非常に高かった。さらに従来課題であった肌への付着性が非常に高かった。
これは、媒体攪拌ミルでスラリーを調製することにより、粉末成分の表面に化粧持ちに影響を与えない程度に適度に均一に油性成分が被覆され、この状態が乾燥粉末とした後も保たれているためであると考えられる。
この付着性に起因して経時での粉よれが起こりにくく、色変化も少ない化粧持ち効果に優れる粉末化粧料であることが確認された。
【0140】
これに対して、従来の乾式混合により得られた粉末を用いて製造した場合(比較例a)は、使用感触の評価が非常に低かった。これは、乾式混合では粉末成分の表面に油分が均一に被覆できないためであると考えられる。油分が均一に被覆されていないため、経時での色変化は少ないが、付着性が低いため粉よれが起こりやすいものであった。
また、実施例1と同様のスラリーを乾燥させずに湿式成型した場合(比較例b)では、化粧料が堅く固まりすぎてしまい、パフへのとれやのびが悪く、これに起因して使用感触、化粧持ちの評価も低かった。
さらに、実施例1と同様のスラリーを減圧ニーダーで乾燥した粉末を用いた場合(比較例c)においては、乾燥時に粉末が強凝集を起こしており、パルペライザーによる解砕後もブツが残存し、使用感触においてもざらつきがあり、均一な仕上がりが得られなかった。これに起因して経時での化粧持ち効果も低かった。使用感触の評価は何れも低く、これは粉末成分表面に被覆されていた油分の状態が乾燥後のパルベライザーによる解砕工程によって不均一な状態となってしまうことが一因と考えられる。
【0141】
本発明者等の検討によれば、スプレードライヤーやドラムドライヤー等でスラリーを乾燥した場合にも、減圧ニーダーを用いた場合と同様に、乾燥時に強凝集が認められ、粉末化粧料に用いるためには解砕が必要であった。
一方、ドライマイスターにより乾燥させた場合は、スピンフラッシュドライヤーを用いた場合と同様に、乾燥時の凝集は起こりにくく解砕が不要であった。
したがって、本発明においては、乾燥工程においてスラリーを微細液滴化しながら乾燥ガスで乾燥させることが好適である。
また、設置容積当たりの乾燥効率を考慮すると、本発明にて使用するスピンフラッシュドライヤーやドライマイスターは他の乾燥機より高効率であり、生産性にも優れる。すなわち、本発明の製造方法は生産性及び作業環境性でも優れたものである。
【0142】
「実施例2」
製造方法を微細液滴化乾燥装置(スピンフラッシュドライヤー)により乾燥粉末を得る方法に固定し、体質顔料の処理を変えて、表3の組成により粉末固形化粧料を製造した。使用感触の評価を表4に示した。






























【0143】
【表3】

【表4】

【0144】
表4に示すように、使用性、特に肌への付着性は全てにおいて確認され、本発明の製造方法の優位性が確認できた。
一方、化粧持ち効果については、オクチルトリエトキシシラン処理(比較例d)の場合は色くすみが大きく、粉よれも起こりやすい。比較例dは、粉末成分の表面にしっかり油分が均一被覆されてしまうために、皮脂となじみやすいことが原因と考えられる。これに対し、パーフルオロアルキルシランを含有する処理粉末で調整した実施例1、実施例2はいずれも化粧持ち効果が非常に高かった。
【0145】
以下、さらに本発明の製造方法による粉末化粧料の例を示す。
【0146】
「実施例3 白粉(おしろい)」
下記表5に示す処方及び製造方法により白粉を調製した。得られた白粉は使用感触及び使用性に非常に優れたものであった。
【表5】

【0147】
(製造方法)
1〜16の成分をエチルアルコール中にてディスパーミキサーを用いて混合し、二軸混練機を用いて、混合/分散してスラリーとした。次いで、該スラリーをドライマイスターにて、該スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化しながら乾燥ガスを送風して乾燥して白粉を得た。
【0148】
「実施例4〜6」
次に、下記表6の組成の粉末化粧料(ファンデーション)にて、パーフルオロアルキルシランによる処理粉末を含む粉末成分を同一にし、使用する油性成分としてシリコーン系油分であるジメチコン(実施例4)、実施例4の比較として炭化水素系油分であるスクワラン(実施例5)、エステル油であるオクチルメトキシシンナメート(実施例6)を配合した粉末化粧料を製造した。この粉末化粧料に人工皮脂を滴下した場合の色変化を検討した。
(製造方法)
製造方法を微細液滴化乾燥装置(スピンフラッシュドライヤー)により乾燥粉末を得る方法に固定し、油分の種類を変えて、表6の組成により粉末固形化粧料を製造した。
(色変化の測定方法)
皮脂成分の組成に似せて人工的に調製した人工皮脂を、得られた粉末化粧料へ一定量滴下し、ヘンシェルミキサーにて10秒間撹拌混合した。得られた混合粉末の色を測色計(CM2600d、ミノルタ社製)にて測色し、混合前粉末との色変化(色差)を求めた。


【表6】

【0149】
結果を図4に示す。シリコーン油を配合した粉末化粧料(実施例4)の色変化(色差)が炭素系油分を配合した場合(実施例5及び6)に比較して大きいことがわかる。すなわち、本発明の製造方法において、油性成分としてシリコーン油を配合しないことで、皮脂によるくすみをさらに抑制し、化粧持ち効果をさらに一層高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の実施形態で用いる装置の概略構成図である。
【図2】媒体攪拌ミルの一例を示した図である。
【図3】媒体攪拌ミルの一例を示した図である
【図4】油性成分の種類を変えた時の人工皮脂添加による粉末化粧料の色変化の比較を示すグラフである。
【符号の説明】
【0151】
10 媒体攪拌ミル
12 貯蔵タンク
14 乾燥装置
16 筐体
18 せん断手段
20 供給手段
22 送風手段
24 捕集手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末成分と、油性成分と、下記(A)及び/又は(B)の処理粉末とを、揮発性溶媒中で混合してスラリーとするスラリー調製工程と、
前記スラリーを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と
を備え、前記乾燥工程で用いる乾燥装置は、前記スラリーを機械的なせん断力により微細液滴化し、該微細液滴に乾燥ガスを送風することで前記スラリーの乾燥を行う乾燥装置により、前記乾燥粉末から粉末化粧料を得ることを特徴とする粉末化粧料の製造方法。
(A)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}による処理粉末
(B)1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン{化合物(I)}及び下記式(II)で表される共重合体による処理粉末
【化1】

【請求項2】
請求項1の製造方法において、前記乾燥工程にて用いる乾燥装置は、
中空状の筐体と、
該筐体内に設けられたせん断部材によりスラリーをせん断して微小液滴化するせん断手段と、
前記筐体内の前記せん断部材へスラリーを供給する供給手段と、
前記筐体内に乾燥ガスを送風し、前記せん断手段により微小液滴とされたスラリーに乾燥ガスを供給してこれと接触させる送風手段と、
前記スラリーを乾燥することで生じた乾燥粉末を捕集する捕集手段と
を備えた乾燥装置であることを特徴とする請求項1記載の粉末化粧料の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の製造方法において、前記スラリー調製工程にて、媒体攪拌ミルを用いて、揮発性溶媒中で粉末成分と油性成分と前記処理粉末とを混合し、該粉末成分を解砕及び/又は粉砕及び/又は分散してスラリーを得ることを特徴とする請求項1又は2記載の粉末化粧料の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法において、前記乾燥粉末を容器に充填し、乾式成型により固形化する固形化工程をさらに備えたことを特徴とする粉末固形化粧料の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法により得られたことを特徴とする粉末化粧料。
【請求項6】
シリコーン油を含まない油性成分を配合することを特徴とする請求項5記載の粉末化粧料。
【請求項7】
ヒドロキシアパタイト粉末又はヒドロキシアパタイトを含む複合粉末を配合することを特徴とする請求項5又は6記載の粉末化粧料。
【請求項8】
酸化亜鉛を含有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項記載の粉末化粧料。
【請求項9】
合成マイカを含有することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項記載の粉末化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−189642(P2008−189642A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28970(P2007−28970)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】