説明

粉末状の乳化増粘剤を含有する毛髪処理剤

【課題】適度な粘度を有し、安定性に優れ、調製が容易で、かつ処理後の毛髪にべたつきやごわつきを与えない毛髪処理剤を提供する。
【解決手段】(A)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和したモノマーのホモポリマー、分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和したモノマーのコポリマーから選択される80重量%〜99重量%の少なくとも1つのアニオン性高分子、(B)1重量%〜20重量%の少なくとも1つの乳化剤、(C)19重量%までの油、並びに(D)19重量%までの水、からなる組成物を粉末化した、粉末状の乳化増粘剤を配合させて毛髪処理剤を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアトリートメント剤、ヘアクリーム、染毛剤、染毛料、パーマネントウェーブ用剤等の毛髪処理剤に関し、さらに詳しくは、粘性が必要な毛髪処理剤において適度な粘度を有し、かつ調製時の操作が容易で、安定性に優れ、処理後の毛髪にごわつきやべたつきを与えることがない毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーム、ジェルクリーム、乳液等に粘性を付与させるために、一般的には天然又は合成の増粘剤であるキサンタンガム、ペクチン、アラビアゴム、マルトデキストリン、デンプン、ゼラチン、エチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等が用いられている。
【0003】
しかしながら、従来の増粘剤を用いて毛髪処理剤を調製する際には、増粘剤を水相等に分散させるのに時間を要したり、pHを調整する必要があり、操作性の面で不便に感じることがあった。
【0004】
また、染毛剤やパーマネントウェーブ用剤では、有効成分の効果を充分に発揮させるためにpH2〜9と幅広い領域においてそれぞれの製剤を安定に保つことが要求され、さらに、水との親和性、たれ落ち防止性、染色やパーマネント力に与える影響、処理後の毛髪の感触等を考慮する必要があるが、従来の増粘剤は、これらの要件を必ずしも十分に満たすものではなかった。
【0005】
さらに、従来の増粘剤は、単独では乳化力がないか十分な乳化力を有しないため、他の乳化剤を添加する等の組み合わせを工夫する必要があった。
【特許文献1】特開2002−80330
【特許文献2】特開2003−73237
【特許文献3】特開2003−95881
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記で述べたような問題点を解決するために、安定な増粘力を有し、調製が簡便で、染毛料やパーマネント剤等の本来の効果を損なうことなく、処理後の毛髪にごわつきやべたつきを与えることがない毛髪処理剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため研究を行った結果、水を加えることで簡単に増粘し、加温やpHの調整が必要でない特定の粉末状の乳化増粘剤を用いた毛髪処理剤は、安定性に優れ、毛髪にごわつきやべたつきを与えることがないため、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪処理剤は、適度な粘度を有し、安定性に優れ、調製が簡便で、かつ処理後の毛髪にべたつきやごわつきを与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
毛髪処理剤に含有させる粉末状の乳化増粘剤は、(A)下記(a)〜(f)、
(a)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマーのホモポリマー
(b)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマーのホモポリマー
(c)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマーのコポリマー
(d)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマーのコポリマー
(e)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマー及び部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有する少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つの中性モノマーのコポリマー
(f)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマー及び少なくとも1つの中性モノマーのコポリマー
から選択される80重量%〜99重量%の少なくとも1つのアニオン性高分子、(B)1重量%〜20重量%の少なくとも1つの乳化剤、(C)19重量%までの油、並びに(D)19重量%までの水、からなる組成物を粉末化したものである。
【0010】
(A)成分のアニオン性高分子について詳細を述べるが、まず、分岐したポリマーという表現は、このポリマーを水中に溶解させたときに、低速度勾配で非常に大きい粘度を得るためにペンダント鎖を有する非線状ポリマーを意味し、架橋したポリマーという表現は、水に不溶であるが水中で膨張し、それによって化学的なゲルをもたらす三次元網目構造の状態にある非線状ポリマーを意味する。そして、アニオン性高分子は、架橋ユニット及び/又は分岐ユニットを含んでいても良い。
【0011】
アニオン性高分子を形成するモノマーの強酸官能基は、特に部分的又は完全に中和したスルホン酸官能基又はホスホン酸官能基が好適である。強酸官能基を含有するモノマーは、例えば、部分的又は完全に中和したスチレンスルホン酸、好ましくは部分的又は完全に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸である。また、アニオン性高分子を形成するモノマーの弱酸官能基は、特に部分的又は完全に中和したカルボン酸官能基が好適である。弱酸官能基を含有するモノマーは、例えば、部分的又は完全に中和したアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又は3−メチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]ブタン酸から選択される。アニオン性高分子を形成するモノマーの強酸官能基及び弱酸官能基の中和は、アルカリ金属、例えば、ナトリウム若しくはカリウム、又はアンモニウム、アルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミンなどで行うのが好ましい。また、塩基性アミノ酸、例えばリシンを用いて行っても良い。
【0012】
アニオン性高分子を形成する中性モノマーは、特にアクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、(2−ヒドロキシエチル)アクリレート、(2,3−ジヒドロキシプロピル)アクリレート、(2−ヒドロキシエチル)メタクリレート、(2,3−ジヒドロキシプロピル)メタクリレート、ジアセトンアクリルアミド、又は400〜1000の間の分子量をもつこれらの各エステルのエトキシ化誘導体から選択される。
【0013】
アニオン性高分子としては、例えば、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和したアクリル酸及びアクリルアミドのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及びアクリルアミドのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及びナトリウムで部分的に中和したアクリル酸のコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー、ジアリルオキシ酢酸ナトリウムで架橋し、アンモニウム又はモノエタノールアミンで部分的に中和したアクリル酸のホモポリマー、又はトリアリルアミンで架橋し、アンモニウム又はモノエタノールアミンで部分的に中和したアクリル酸のホモポリマーから選択される。
【0014】
(B)の乳化剤は、油中水系型及び水中油型のどちらから選択されても良く、例えば、ポリエチレングリコールポリ(ヒドロキシステアリン酸)ブロックコポリマータイプの界面活性ポリマー、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、POE(2)オレオセチルエーテル、又はソルビタンセスキオレエート、エトキシ化ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンオレアート、ソルビタントリオレアート、ヒマシ油、ラウリルアルコール、オレオセチルアルコール、又はポリエトキシ化ソルビタンヘキサオレアート等から選択される。
【0015】
粉末状の乳化増粘剤は、モノマー及び適切な添加物を含む水溶液を、1種類以上の乳化剤の存在下で乳化し、この乳化物に重合開始剤を導入することによって重合反応を開始し、その後反応を促進させ、重合反応が完了したとき、エマルジョンを蒸留により反応媒体を濃縮後、スプレードライ又は凍結乾燥により得られたものである。
【0016】
本発明の毛髪処理剤に含有させる粉末状の乳化増粘剤の一つは、セピック社よりSEPINOV EMT 10の商品名で販売されている。
【0017】
毛髪処理剤に用いる粉末状の乳化増粘剤の含有量としては、好ましくは0.1〜20重量%であり、さらに好ましくは0.5〜10重量%である。すなわち、粉末状の乳化増粘剤の含有量が上記範囲以下では毛髪処理剤に充分な粘性を与えることができず、また、上記範囲以上であっても含有量の増加に見合う効果が得られないだけでなく、処理後の毛髪にごわつきやべたつき感が生じるおそれがある。
【0018】
本発明の毛髪処理剤は、従来のヘアトリートメント剤、ヘアクリーム、染毛剤、染毛料、パーマネントウェーブ用剤などに、アニオン性高分子化合物、乳化物、油および水からなる組成物を粉末化した、粉末状の乳化増粘剤を含有させることによって調製される。
【0019】
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、適宜他の成分を配合することができ、そのような成分としては、例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素類、エステル油、シリコーン油等の油性原料、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、界面活性剤類、加水分解タンパク質とその誘導体、アミノ酸、ポリペプチド類、糖類、高分子類、粉体、色剤類、紫外線防御剤類、ビタミン類、動植物抽出物、酸化防止剤、殺菌・防腐剤、酸、浸透促進剤、pH緩衝剤、抗炎症剤、金属封鎖剤、香料、育毛剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤等が挙げられる。
【0020】
油性原料の具体例としては、例えば、オリーブ油、マカデミアナッツ油、椿油、メドフォーム油、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイック紅花油、ひまし油、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、米糠ワックス、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセロール、トリイソステアリン酸グリセロール、トリイソパルミチン酸グリセロール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、セラミド類、シリコーンオイル類等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸類としては、例えば、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、樹脂酸、水素添加樹脂酸、アビエチン酸、ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、テトラヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
【0022】
低級及び高級アルコール類としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、コレステロール、フィトステロール等が挙げられ、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコ−ル、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール等が挙げられる。
【0023】
加水分解タンパク質とその誘導体のタンパク質部分は、シルク、コラーゲン、ケラチン、カゼイン、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、コメタンパク、ゴマタンパクなどが挙げられ、加水分解タンパク質の誘導体としては、加水分解タンパク質をそれぞれカチオン化、アシル化、エステル化、シリル化したものなどが挙げられる。
【0024】
界面活性剤の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルアルキルポリグリコシド、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルカンスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルN−メチルタウリン塩等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としてはテトラアルキルアンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキルエーテルオンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩、脂肪酸アミドプロピルベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルフォン酸塩、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、リゾレシチン、レシチン等が挙げられる。その他、高分子タイプ、天然系等の界面活性剤も挙げられる。
【0025】
高分子類としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アミノ変性シリコーン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、クインスシードガム、タマリンドガム、デンプン、デキストリン、ローカストビーンガム、キトサン、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0026】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル、4−t−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、パラジメチルアミノ安息香酸、サリチル酸ホモメンチル、ジパラメトキシケイヒ酸オクチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2−エチルヘキシル−1−オキシ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0027】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE及びそれらの誘導体類が挙げられ、植物抽出物としては、例えば、シャクヤク抽出液、ボタン皮抽出液等が挙げられる。
【0028】
以下に実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例中における各成分の配合量はいずれも重量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。
【実施例1】
【0029】
下記実施例1及び比較例1に示す組成で酸性染毛料を調製し、比較評価した。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示す実施例1及び比較例1について、調製の簡便性、増粘性、毛髪に塗布時の操作性(なめらかな付着性と塗布のしやすさ)を評価した。その評価の結果を表2に示すが、評価基準は下記に示す通りである。なお、増粘性の評価は、染毛料を染毛用コームに取ったときの染毛料の様相で判断した。
【0032】
〔評価基準〕
調製の簡便性;
○:短時間で調製できる
△:時間を要するが調製できる
×:調製できない
増粘性;
○:粘度がありコームに取った時、垂れ落ちがない
△:粘度があるが、コームから垂れ落ちる
×:コームから垂れ落ちる
塗布時の操作性;
○:毛髪になめらかに塗布でき、付着性が良い
△:毛髪に塗布できるが、付着性が悪い
×:毛髪に塗布する時に摩擦を感じる
【0033】
【表2】

【0034】
粉末状の乳化増粘剤を配合した酸性染毛料である実施例1は、比較例1に比べて容易に調製でき、適度な粘度を有し、毛髪へ塗布しやすく、染毛料の付着性が良好であった。
【実施例2】
【0035】
下記の組成の酸化型染毛剤第1剤及び第2剤を調製し、それぞれの粘度の安定性、第1剤と第2剤との混合のしやすさ、毛髪に塗布したときの操作性、染毛性を評価した。
【0036】
実施例2の酸化型染毛剤第1剤
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 3.5
パラフェニレンジアミン 0.5
パラアミノフェノール 0.2
オルトアミノフェノール 0.2
メタアミノフェノール 0.3
レゾルシン 0.6
ジメチルポリシロキサン 0.5
プロピレングリコール 10.0
イソプロパノール 10.0
エデト酸二ナトリウム 0.3
モノエタノールアミン液(80%) 6.0
アンモニア水(28%) 5.0
PROTESIL LH*3 0.1
プロモイス WK*4 5.0
防腐剤 適量
精製水 計100にする
【0037】
実施例2の酸化型染毛剤第2剤
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 2.0
プロモイス シルク−A*2 2.0
プロモイス WK*4 3.0
過酸化水素水(35%) 8.0
エタノール 5.0
フェナセチン 0.1
精製水 計100にする
【0038】
実施例2の酸化型染毛剤第1剤及び第2剤は、それぞれ適度な粘度を保ち、第1剤と第2剤を1:1(重量比)で混合したところ、均一に混合しやすく、毛髪に塗布したところ、なめらかに塗布することができ、酸化型染毛剤が本来有する染毛力に影響を与えることなく、さらに染毛後の毛髪にごわつきを与えずなめらかさを付与した。
【実施例3】
【0039】
下記の組成の縮毛矯正剤第1液及び第2液を調製し、それぞれの粘度の安定性を評価し、毛髪に塗布したときの操作性をそれぞれ評価し、処理後の毛髪について官能評価を行った。
【0040】
実施例3の縮毛矯正剤第1液
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 2.5
流動パラフィン♯70 10.0
ベヘニルアルコール 0.7
ジメチコン(100cs) 1.0
POE(40)セチルエーテル 2.0
POE(30)セチルエーテル 0.5
1,3−ブチレングリコール 5.0
チオグリコール酸アンモニウム液(50%) 12.0
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液 0.4
モノエタノールアミン液(80%) 2.0
アンモニア水(25%) 0.6
PROTESIL LH*3 0.1
精製水 計100にする
【0041】
実施例3の縮毛矯正剤第2液
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 2.4
流動パラフィン♯70 10.0
ベヘニルアルコール 0.6
セトステアリルアルコール 4.5
POE(40)セチルエーテル 2.0
POE(30)セチルエーテル 0.5
ジメチコン(100cs) 1.0
臭素酸ナトリウム 7.0
エデト酸四ナトリウム 0.2
無水クエン酸 0.05
クエン酸三ナトリウム二水和物 0.15
塩化アルキルトリメチルアンモニウム(80%) 0.6
プロモイス S−CAQ*5 1.0
セイセプトH 0.5
精製水 計100にする
【0042】
実施例3の縮毛矯正剤第1液と第2液をそれぞれ調製したところ、毛髪を処理するのに適度な粘度を有し、安定性に優れ、毛髪への付きが良く、縮毛矯正を施した後の毛髪はごわつきが無くしっとり感を有していた。
【実施例4】
【0043】
下記の組成のヘアクリームを調製し、調製のしやすさ、頭髪に塗布したときの使用感触を評価した。
【0044】
実施例4のヘアクリーム
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 0.1
モンタノブ 68*6 3.0
プロモイス ECP*7 0.3
プロモイス WU−32R*8 3.0
ステアリン酸2−ヘキシルデシル 8.0
ミリスチン酸イソプロピル 2.0
フェニルメチルポリシロキサン 0.5
ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 0.7
ステアリン酸 1.0
トリエタノールアミン 0.1
防腐剤 適量
精製水 計100とする
【0045】
実施例4のヘアクリームは、室温でそれぞれの原料を混合するのみで簡単に調製でき、これを手に取り毛髪に塗布したところ、指取れが良く手に伸ばしやすいために塗布しやすく、処理毛髪の感触はなめらかでまとまりが良かった。
【実施例5】
【0046】
下記の組成のパーマネント剤第1液を調製し、製剤の増粘性、パーマネントウェーブ処理した後のウェーブや毛髪の仕上がり状態を評価した。
【0047】
実施例5のパーマネント剤第1液
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 0.3
チオグリコール酸アンモニウム(50%) 12.0
モノエタノールアミン(80%) 1.0
イソプロパノール 5.0
ポリオキシエチレン(5)アルキルフェニルエーテル 3.0
エデト酸2ナトリウム 0.1
アンモニア水 3.0
PROTESIL LH*3 0.1
プロモイス ECS*9 0.5
水酸化ナトリウム 0.63
防腐剤 適量
精製水 計100とする
【0048】
実施例5のパーマネント剤第1液と、第2液として臭素酸ナトリウムの6%水溶液を使用して毛髪にパーマネントウェーブ処理を施したところ、調製した第1液は毛髪に塗布しやすい粘度を安定に保ち、パーマネントウェーブ処理後の毛髪はウェーブが均一で、なめらかさやしっとり感を有していた。
【実施例6】
【0049】
下記の組成のシャンプーを調製し、手に取って増粘性を評価し、次いで毛髪を洗浄し、泡立ちと洗い上がりを官能評価した。実施例6のシャンプーは、調製が容易で、適度な粘度を有し、泡立ちを損なうことなく、また泡切れ良く洗浄することができ、洗い上がりの毛髪はぱさつきがなかった。
【0050】
実施例6のシャンプー
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 0.5
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(27%) 64.0
ラウリン酸ジエタノールアミド 3.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.3
プロモイス EFLS*10 2.0
クエン酸水溶液(5%) pH5.0にする
防腐剤 適量
精製水 計100とする
【実施例7】
【0051】
下記の組成のヘアコンディショナーを調製し、手に取り、増粘性を評価し、毛髪に塗布して官能評価を行った。実施例7のヘアコンディショナーは、調製が容易で、手取りが良く、毛髪になめらかさ、まとまりやすさ、しっとり感を付与した。
【0052】
実施例7のヘアコンディショナー
(成分) (%)
SEPINOV EMT 10*1 2.5
プロモイス シルク−A*2 1.0
プロモイス WK−HSIG*11 1.0
プロモイス WU−32R*8 38.0
プロモイス WK−HCAQ*12 40.0
防腐剤 適量
精製水 計100とする
【0053】
上記実施例で使用した成分のうち、*印を付したものの詳細は下記の通りである。
*1:2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマーを含む粉末状の乳化増粘剤(セピック社製)
*2:加水分解シルクエチル20%のエタノール溶液(成和化成社製)
*3:(加水分解シルク/PG−プロピルメチルシランジオール)クロスポリマー75%の水分散液(成和化成社製)
*4:加水分解ケラチン25%の水溶液(成和化成社製)
*5:ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク20%の水溶液(成和化成社製)
*6:セテアリルグルコシド及びセテアリルアルコールの混合物(セピック社製)
*7:ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンカリウム35%の水溶液(成和化成社製)
*8:加水分解コラーゲン30%の水溶液(成和化成社製)
*9:ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲンナトリウム36%の水溶液(成和化成社製)
*10:ラウロイル加水分解シルクナトリウム20%の水溶液(成和化成社製)
*11:(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン25%の水溶液(成和化成社製)
*12:ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン30%の水溶液(成和化成社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状の乳化増粘剤を含有することを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
粉末状の乳化増粘剤が、(A)下記(a)〜(f)、
(a)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマーのホモポリマー
(b)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマーのホモポリマー
(c)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマーのコポリマー
(d)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマーのコポリマー
(e)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した強酸官能基を有するモノマー及び部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有する少なくとも1つのモノマー及び/又は少なくとも1つの中性モノマーのコポリマー
(f)分岐又は架橋した、部分的又は完全に中和した弱酸官能基を有するモノマー及び少なくとも1つの中性モノマーのコポリマー
から選択される80重量%〜99重量%の少なくとも1つのアニオン性高分子、(B)1重量%〜20重量%の少なくとも1つの乳化剤、(C)19重量%までの油、並びに(D)19重量%までの水、からなる組成物を粉末化したものである、請求項1に記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
(C)の油が、流動パラフィン、スクワラン、水素化ポリイソブテン、オクチルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、イソドデカン又はイソヘキサデカンから選択される、請求項2に記載の粉末状の乳化増粘剤を含有する毛髪処理剤。
【請求項4】
(A)のアニオン性高分子が、使用したモノマーのモル濃度を基準にしたモル%で、0.005%〜1%、好ましくは0.01%〜0.5%、より好ましくは0.01%〜0.25%のジエチレン又はポリエチレン化合物で架橋及び/又は分岐され、架橋剤及び/又は分岐剤は、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルオキシ酢酸又はその塩、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート又はメチレンビス(アクリルアミド)又はその化合物の混合物から選択される、請求項2〜3に記載の粉末状の乳化増粘剤を含有する毛髪処理剤。
【請求項5】
(A)のアニオン性高分子が、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和したアクリル酸及びアクリルアミドのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及びアクリルアミドのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及びナトリウムで部分的に中和したアクリル酸のコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸及び2−ヒドロキシエチルアクリレートのコポリマー、メチレンビス(アクリルアミド)で架橋し、ナトリウムで部分的に中和した2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー、ジアリルオキシ酢酸ナトリウムで架橋し、アンモニウム又はモノエタノールアミンで部分的に中和したアクリル酸のホモポリマー、又はトリアリルアミンで架橋し、アンモニウム又はモノエタノールアミンで部分的に中和したアクリル酸のホモポリマーから選択される、請求項2〜4に記載の粉末状の乳化増粘剤を含有する毛髪処理剤。
【請求項6】
粉末状の乳化増粘剤が、モノマー及び適切な添加物を含む水溶液を、1種類以上の乳化剤の存在下で油相中に乳化し、この乳化物に重合開始剤を導入することによって重合反応を開始し、その後反応を促進させ、重合反応が完了したとき、エマルジョンをスプレードライ又は凍結乾燥させたものである、請求項1〜5に記載の粉末状の乳化増粘剤を含有する毛髪処理剤。

【公開番号】特開2009−40686(P2009−40686A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341709(P2005−341709)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000147213)株式会社成和化成 (45)
【Fターム(参考)】