説明

粉砕片造粒装置

【課題】押込み孔に十分な押込み力で押し込み、全体を小型化する。
【解決手段】立置きのケーシング11に、投入口14から投入された破砕片を、回転駆動軸25に設けられたスクリュー41により圧縮して下方に押し込み、ケーシング11下部で、底部ダイ17の押出し孔17aから破砕片を押し出す底部成形部18Bと、周部ダイ16の押出し孔16aから破砕片を押し出す周部形成部18Aとが上下二段に配置された押込み成形機構18を設け、底部成形部18Bに、回転駆動軸25に取り付けられた底部旋回軸61の遊端部に、半径方向の横軸周りに回転駆動されかつ外周部に複数の加圧歯62aを有する底部押出しローラ62を設け、周部成形部18Aに、回転駆動軸15に取り付けられた周部旋回アーム51の遊端部に、縦軸52に周りに回転駆動されかつ外周部に複数の加圧歯53aを有する周部押出しローラ53を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や小規模農場、小規模工場などで、廃プラスチック(容器など)や樹脂コート紙を含む古紙、木屑(間伐材、建築廃材など)などの廃棄破砕片を造粒してRDF,PDFなどの粒状燃料を製造したり、野菜や穀物や魚粉などの廃棄食材を造粒して家畜用の粒状飼料を製造する小型の粉砕片造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばペットフードの造粒装置として特許文献1が開示されている。これは、攪拌槽の底部に小径の排出筒を接続し、攪拌槽から排出筒の軸心部に、回転駆動軸付きのスクリュウ羽根を配置し、排出筒の底部に複数の押出孔が形成されたダイを配置し、このダイの内面に、回転駆動軸に放射状に取り付けられた押し込み部材を設けたものである。
【0003】
特許文献2は、ケーシングに、互いに噛み合う一対の軸付き螺旋スクリュウを配置し、出口に多孔板を配置したものである。螺旋スクリュウは廃棄物を圧縮するために、螺旋スクリュウの軸方向のピッチを出口側ほど小さくするとともに、軸径を出口側ほど大きくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4154457号(図2、図3)
【特許文献2】特開2002−361492(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ダイの押出孔に造粒材料を押し込む押し込み部材は、回転駆動軸に120°ごとに伸びる翼状板を使用しているが、破砕片を押出孔に押し込むのに十分な押し込み力が得られない。
【0006】
また特許文献2では、二軸螺旋スクリュウを使用しているため、十分な押込力が得られるものの、ケーシングの径が大きくなり、大きい駆動力が必要で全体が大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解決して、造粒用の押込み孔にも十分な押込み力が得られ、かつ全体を小型化できる廃棄物燃料や飼料などの粉砕片造粒装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、
立置き円筒状ケーシングに、上部に形成された破砕片の投入口と、破砕片を下方に押し込む圧縮機構と、下部に形成された多数の押出し孔と、破砕片を粉砕しつつ前記押出し孔に押し込む押込み成形機構と、前記押出し孔から押し出された粉砕片を所定長さに切断する押出し材切断機構を具備した粉砕片造粒装置であって、
ケーシングの軸心位置に回転駆動軸を配置し、
前記押込み成形機構は、ケーシングの底部に設けられた底部成形部と、当該底部成形部の上部に設けられた周部成形部からなり、
前記底部成形部は、回転駆動軸に半径方向に取り付けられて軸心周りに回転自在に支持された底部旋回部材と、当該底部旋回部材の遊端部に固定されて外周部に複数の加圧歯を有する底部押出しローラと、回転駆動軸に連動されて前記底部押出しローラを回転駆動する底部カッタ連動装置と、ケーシングの底部に配置されて多数の前記押出し孔が形成された底部ダイと、を具備し、
前記周部成形部は、回転駆動軸に半径方向に取り付けられた周部旋回部材と、当該周部旋回部材の遊端部に、回転駆動軸に平行な軸心に周りに回転自在に支持されかつ外周部に複数の加圧歯を有する周部押出しローラと、回転駆動軸に連動されて前記周部押出しローラを回転駆動する周部カッタ連動装置と、ケーシングの外周部に沿って配置されて多数の前記押出し孔が形成された周部ダイと、を具備したものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
押出し材切断機構は、周部ダイの押出し孔の出口で押し出される破砕片を所定長さに切断する周部切断機構と、底部ダイの押出し孔の出口で押し出される破砕片を所定長さに切断する底部切断機構とが一体に形成され、
前記周部切断機構で周部ダイの出口に臨んで旋回移動される周部カッタと、前記底部切断機構で底部ダイの出口に臨んで回転移動される底部カッタとを連結するとともに、前記周部カッタと前記底部カッタとを回転駆動する1つのカッタ駆動装置を設けたものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、
周部ダイの押出し孔が、周部旋回部材の旋回移動方向の外周側前方に沿って傾斜され、 底部ダイの押出し孔が、底部押出しローラの旋回移動方向の下側前方に沿って傾斜されたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、圧縮機構により破砕片が圧縮されるケーシングの底部に設けられた底部成形部で、底部旋回部材を旋回するとともに底部押出しローラを回転駆動し、加圧歯により破砕片を破砕するとともに破砕片を回転方向前方に送り出し、底部ダイの押出し孔に押し込み成形する。また底部成形部の上部に設けられた周部成形部で、周部旋回部材を旋回させて遊端部に設けられた周部押出しローラを回転駆動し、加圧歯により破砕片を破砕するとともに回転方向前方に送り出し、破砕片を周部ダイの押出し孔に押し込み成形する。このように上下二段に配置した押出しローラにより、破砕片を底部と外周部の押出し孔にそれぞれ送り込むことができ、破砕片を効率よくかつ十分な押込み力で造粒することができ、ケーシング内に底部成形部と周部成形部とを設けたので、全体を小型化することができる。
【0012】
請求項2記載の構成によれば、周部切断機構の周部カッタと、底部切断機構の底部カッタとを連結して一体化したので、1つのカッタの駆動装置で周部カッタと底部カッタとを回転駆動することができ、コンパクトに構成できる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、周部ダイおよび底部ダイの押出し孔を、各押出しローラ旋回移動方向の前方に沿ってそれぞれ傾斜させたので、破砕片をスムーズに押出し孔に導入することができ、押し込み抵抗も小さくなって動力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る粉砕片造粒装置の実施例の全体を示す側面視の断面図である。
【図2】粉砕片造粒装置の全体を示す正面視の断面図である。
【図3】粉砕片造粒装置の平面図である。
【図4】図1に示すA−A断面図である。
【図5】図1に示すB−B断面図である。
【図6】底部成形部を示す拡大側面部分断面図である。
【図7】ケーシングと2つの押出しローラを示す分解斜視図である。
【図8】押出し材切断機構の周部カッタおよび底部カッタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
以下、本発明に係る廃棄物燃料の粉砕片造粒装置の実施例を図面に基づいて説明する。
図1および図2は、造粒装置の側面視の断面図および正面視の断面図で、11は立置き円筒状ケーシングで、このケーシング11の側方上部に配置されたホッパー12に、斜め下方に傾斜する投入シュート13を介してケーシング11に接続され、この接続部に廃棄燃料の破砕片をケーシング11内に投入する投入口14が形成されている。そしてケーシング11の上部に、破砕片を加熱しつつ下方に押し込む圧縮機構15が設けられている。さらにこの圧縮機構15の下部に配置され破砕片を破砕して周部ダイ16の押出し孔16aに押し込み、加熱造粒する周部成形部18Aと、周部成形部18Aの下部に配置され破砕片を破砕して底部ダイ17の押出し孔17aに押し込み、加熱造粒する底部成形部18Bからなる上下二段の押込み成形機構18が設けられている。また、ケーシング11の上部に押出し駆動装置21が設けられている。
【0016】
ここで投入される破砕片は、直径が約20〜100mm程度、約10〜50mm角程度に粉砕されている。
【0017】
(押出し駆動装置)
架構体19を介して床面に立設されたケーシング11は、天面にフランジを介して取り付けられた天板22により閉鎖され、底面が底部ダイ17により閉鎖されている。前記天板22に設置された架台23に押出し駆動装置21が配設されている。この押出し駆動装置21は、図1〜図3に示すように、架台23の側部に電動または油圧式の減速機付きの周部押出し駆動モータ24Aおよび底部押出し駆動モータ24Bがそれぞれ設置されている。一方、天板22上に下回転台27Aが軸受26Aを介して軸心O周りに回転自在に設置され、この下回転台27A上に上回転台27Bが軸受26Bを介して軸心O周りに回転自在に設置されている。そして上回転台27Aから天板22を貫通してケーシング11内に垂下された外筒軸25Aと、上回転台27Bから外筒軸25A内に同一軸心状に垂下されて回転自在に内嵌された内筒軸25Bとからなる二重筒形の回転駆動軸25が配設されている。そして周部押出し駆動モータ24Aの出力軸と下回転台27A周囲のスプロケットとの間にチェーンが巻張された周部巻き掛け伝動機構28Aにより、周部押出し駆動モータ24Aと外筒軸25Aが連動連結されている。また底部押出し駆動モータ24Bの出力軸と上回転台27B周囲のスプロケットとの間にチェーンが巻張された底部巻き掛け伝動機構28Bにより、底部押出し駆動モータ24Bと内筒軸25Bが連動連結されている。
【0018】
また上回転台27Bには、底部成形部18Bの、後述する底部押出しローラ62を回転駆動するギヤ式の分岐駆動装置31が設けられている。この分岐駆動装置31は、天板22の軸心位置に、リング形の固定ベベルギヤ32が上向きに固定され、この固定ベベルギヤ32の側方で上回転台27Bに立設されたギヤ支持体33に、固定ベベルギヤ32に噛み合う受動ベベルギヤ34が中間軸35を介して支持されている。さらに中間軸35に底部駆動スプロケット36が固定されている。したがって、底部押出し駆動モータ24Bにより上回転台27Bが回転されることで、固定ベベルギヤ32を介して受動ベベルギヤ34が回転され、中間軸35を介して底部駆動スプロケット36が回転駆動される。
【0019】
(圧縮機構)
前記外筒軸25Aの上半分には、投入口14から投入された破砕片を圧縮する螺旋状のスクリュー41が取り付けられ、このスクリュー41は、下方ほど外径が縮径されている。
【0020】
また前記周部成形部18A上部のケーシング11外周部に、圧縮部加熱ヒータ42が設けられている。43はケーシング11の上部に開口された点検口で、開閉扉44が開閉可能に装着されている。
【0021】
(周部成形部)
前記周部成形部18Aは、図2,図4,図7に示すように、外筒軸25Aに、上下方向に所定間隔をあけて取り付けられた上下一対のアーム部材51aからなる周部旋回アーム(周部旋回部材)51が半径方向に取り付けられ、これらアーム部材51aの遊端部に軸心O方向に平行な縦軸52が回転自在に支持され、これら縦軸52にそれぞれ周部押出しローラ53が固定されている。これら周部押出しローラ53は、破砕片をスムーズに下方に案内するために、上部が円錐形のテーパ面を有する円錐台形に形成され、下部外周面に、破砕片を破砕切断するとともに効果的に周部ダイ16の押出し孔16aに押し込むため、軸心O方向に平行な複数の加圧歯53aが所定ピッチで形成されている。
【0022】
これら周部押出しローラ53は、周部カッタ連動装置54により回転駆動軸25の内筒軸25Bに連動されて回転駆動される。周部カッタ連動装置54は、内筒軸25Bに取り付けられた駆動ギヤ55と縦軸52に取り付けられた受動ギヤ56とが噛み合わされている。したがって、外筒軸25Aが所定方向に回転されて周部旋回アーム51が同一方向に回転され、内筒軸25Aが外筒軸25Aと同一方向(または逆方向)に外筒軸25Aより低速で回転されると、駆動ギヤ55と受動ギヤ56により周部押出しローラ53が、旋回アーム51の回転方向と同一方向に回転させることができる。
【0023】
周部押出しローラ53に対応してケーシング11周囲に、周方向および上下方向に所定ピッチで多数の押出し孔16aが形成された周部ダイ16が設けられている。これら押出し孔16aは、図4に示すように、周部押出しローラ53により、周部旋回アーム51の旋回移動方向の外周側前方に押し出された破砕片がスムーズに導入されるように、半径方向の軸線(法線)に対して所定の押出し角:αだけ旋回方向の外周側前方に傾斜されている。また周部ダイ16の押出し孔16a間には、周部ダイ加熱ヒータ57が設けられ、破砕片を加熱して溶融を促し、押出し孔16aからスムーズに破砕片を押出すことができる。また周部ダイ16の押出し孔16aの出口で、押し出される破砕片を所定長さに切断する周部切断機構71Aが設けられている。
【0024】
(底部成形部)
底部成形部18Bは、図1,図5,図7に示すように、内筒軸25Bに底部旋回軸(底部旋回部材)61が半径方向に貫通されており、この底部旋回軸61は軸受を介して軸心回りに回転自在に支持されるとともに、両端側に底部押出しローラ62が固定されている。これら底部押出しローラ62の外周部には、底部旋回軸61に平行な複数の加圧歯62aが所定ピッチで形成されている。そして底部押出しローラ62は、底部カッタ連動装置63により回転駆動軸25に連動されて回転駆動される。
【0025】
底部カッタ連動装置63は、内筒軸25Bの中空部25aで底部旋回軸61に底部受動スプロケット64が取り付けられ、底部受動スプロケット64と分岐駆動装置31の底部駆動スプロケット36と間に、チェーン65が内筒軸Bの中空部25aを通って巻張されている。したがって、底部押出し駆動モータ24Bにより上回転台27Bおよび分岐駆動装置31を介して底部押出しローラ62を回転駆動することができる。
【0026】
ケーシング11の底部には、底部押出しローラ62に対応して周方向および半径方向に所定ピッチで多数の押出し孔17aが形成された底部ダイ17が設けられている。また底部ダイ17の押出し孔17a間に、底部ダイ加熱ヒータ66が設けられ、破砕片を加熱して溶融を促し、押出し孔17aからスムーズに破砕片を押出すことができる。これら押出し孔16aは、底部押出しローラ62により旋回移動方向前方に押し出された破砕片がスムーズに導入されるように、軸心Oに平行な軸線に対して所定の押出し角:βだけ回転方向下側前方に傾斜されている。また底部ダイ17の押出し孔17aの出口には、押し出される破砕片を所定長さに切断する底部切断機構71Bが設けられている。
【0027】
(押出し材切断装置)
前記周部切断機構71Aと前記底部切断機構71Bは、押出し材切断装置71にそれぞれ一体に組み込まれている。この押出し材切断装置71は、図1,図4,図8に示すように、周部ダイ16の上部でケーシング11の外周部に、支持リング体72が固定されている。このリング支持体72に、周部ダイ16の外周部に臨んで周部カッタ73が旋回軸受を介して回転自在に外嵌され、この周部カッタ73が軸心O周りに旋回されることにより、押出し孔16aの出口から押し出される押出し材を任意の長さに切断可能に構成されている。そしてこの周部カッタ73の下部に連結筒74が取り付けられており、連結筒74の下端部に底部ダイ17の底面に臨んで底部カッタ75が回転自在に配置され、内筒軸25Bの下端部に底部カッタ75が軸受を介して支持されている。そしてこの底部カッタ75が軸心O周りに旋回されることにより、押出し孔17aの出口から押し出される押出し材を切断して粒状物とするように構成されている。
【0028】
ここで周部カッタ73は、上下リング体73a,73b間に軸心O方向に沿う切断刃73cを一定角度ごとに連結して構成されている。また底部カッタ75は、中心部材75aと外周リング体75bとの間に半径方向の切断刃75cを一定角度ごとに連結して構成されている。
【0029】
周部カッタ73と底部カッタ75とを旋回駆動するカッタ駆動装置76は、リング形支持体72に電動式または油圧式のカッタ駆動モータ77が設置され、このカッタ駆動モータ77の出力軸に取り付けられたカッタ駆動ギヤ78aと、周部カッタ73の上端内周部に取り付けられてカッタ駆動ギヤ78aに噛み合うリング状の受動内歯ギヤ78bからなるギヤ式伝動機構78が設けられている。したがって、カッタ駆動モータ77によりギヤ式伝動機構78を介して周部カッタ73および底部カッタ75をそれぞれ回転駆動し、周部ダイ16および底部ダイ17の押出し孔16a,17aからそれぞれ押出される押出し材を所定長さに切断して粒状物を形成することができる。
【0030】
81は、周部ダイ16および底部ダイの下方に配置された傾斜式排出シュートで、排出コンベヤ82に送り出すものである。
【0031】
(作用)
上記構成において、廃プラスチックや古紙、材木の破砕片がホッパー12から投入シュート13を介して投入口14からケーシング11内に供給されると、押出し駆動装置21の周部押出し駆動モータ24Aおよび底部押出し駆動モータ24Bにより外筒軸25Aおよび内筒軸25Bがそれぞれ所定方向に回転駆動され、スクリュー41により破砕片が下方に押し出されて圧縮されるとともに、圧縮部加熱ヒータ42により加熱される。そして、ケーシング11の周部成形部18Aおよび底部成形部18Bで圧縮される。底部成形部18Bでは、回転駆動軸25の回転に従って底部旋回軸61を介して底部押出しローラ62が底部ダイ17の内面に沿って旋回移動されるとともに、分岐駆動装置31により巻き掛け伝動機構(底部駆動スプロケット36および底部受動スプロケット64)を介して半径方向の底部旋回軸61周りに回転駆動される。これにより、底部押出しローラ62の外周部に形成された加圧歯62aにより破砕片が破砕されるとともに回転方向下側前方に押し出され、破砕片が傾斜状の押出し孔17aにスムーズに押し込まれる。押出し孔17aでは、底部ダイ加熱ヒータ66により破砕片がさらに加熱されて出口から押し出され、出口で底部カッタ75により所定外径で所定長さの粒状に切断される。
【0032】
また周部成形部18Aでも、外筒軸25Aの回転に従って、周部旋回アーム51を介して底部押出しローラ62が周部ダイ16の内周面に沿って旋回移動されるとともに、底筒軸25Bに周部カッタ連動装置54を介して底部押出しローラ62が軸心Oに平行な垂直軸心周りに回転駆動される。これにより、周部押出しローラ53の外周部に形成された加圧歯53aにより破砕片が破砕されるとともに回転方向の外周側前方に押出され、破砕片が傾斜状の押出し孔16aにスムーズに押し込まれる。押出し孔16aでは、周部ダイ加熱ヒータ57により破砕片がさらに加熱されて出口から押出され、出口で周部カッタ73により切断されて所定外径で所定長さの粒状に切断される。
【0033】
ここで、圧縮部加熱ヒータ42および周部ダイ加熱ヒータ57ならびに底部ダイ加熱ヒータ66による破砕片の加熱温度は、材料の性質に対応して約100〜200℃程度であり、プラスチックの破砕片などは軟化点を越え、融点近傍まで加熱されて半溶融状態となる。
【0034】
また破砕片により成形された粒状物の外径は約20〜100mm程度で、長さは約20〜100mm程度で切断される。また粒状物の燃焼物の熱量は、木材や古紙の破砕片で約2000cal、樹脂コート紙では約3000cal、合成ゴムや廃タイヤの破砕片で約8000calとなる。
【0035】
周部ダイ16および底部ダイ17から排出された粒状物は、傾斜式の排出シュート81から排出コンベヤ82に送り出される。
【0036】
(実施例の効果)
上記実施例によれば、圧縮機構15により破砕片が圧縮されるケーシング11の底部に底部成形部18Bを設け、この底部成形部18Bで底部旋回軸61を旋回させてその遊端部に設けられた底部押出しローラ62を回転駆動し、加圧歯62aにより破砕片を破砕するとともに、破砕片を旋回方向の下側前方に送り出し、底部ダイ17の押出し孔17aに押し込んで成形する。また底部成形部18Bの上部に設けられた周部成形部18Aでは、周部旋回アーム51を旋回させてその遊端部に設けられた周部押出しローラ53を回転駆動し、加圧歯53aにより破砕片を破砕するとともに旋回方向の外周側前方に送り出し、破砕片を周部ダイ16の押出し孔16aに押し込んで成形する。このように上下二段に配置した押出しローラ53,62により、破砕片を周部ダイ16と底部ダイ17の押出し孔16a,17aにそれぞれ押し込むことができ、破砕片を効率よくかつ十分な押込み力で造粒することができる。このようにケーシング11内に底部成形部18Bと周部成形部18Aとを設けたので、全体を小型化することができる。
【0037】
また周部切断機構71Aの周部カッタ73と、底部切断機構71Bの底部カッタ75とを連結筒74により連結して一体化したので、1つのカッタ駆動装置76により周部カッタ73と底部カッタ75とを回転駆動することができ、コンパクトに構成できる。
【0038】
さらに、周部ダイ16および底部ダイ17の押出し孔16a,17aを、周部押出しローラ53および底部押出しローラ62の旋回移動方向の前方に沿ってそれぞれ傾斜させたので、破砕片をスムーズに押出し孔16a,17aに導入することができ、押し込み抵抗も小さくなって動力を削減することができる。
【0039】
なお、上記実施例では、圧縮機構を、回転駆動軸25の外筒軸25Aにより回転駆動されるスクリュー41としたが、液圧式のシリンダ装置を使用してもよい。
また、実施例では、廃棄物燃料の粉砕片を粒状物に形成したが、野菜、穀物くずや魚類などの廃棄食材の破砕片を造粒して、家畜の飼料などに供することができる。この造粒装置を使用することで、保存や搬送に嵩張らない飼料を提供することができる。
【符号の説明】
【0040】
O 軸心
α 押出し孔傾斜角
β 押出し孔傾斜角
11 ケーシング
14 投入口
15 圧縮機構
16 周部ダイ
16a 押出し孔
17 底部ダイ
17a 押出し孔
18 押込み形成機構
18A 周部成形部
18B 底部成形部
21 押出し駆動装置
24A 周部押出し駆動モータ
24B 底部押出し駆動モータ
25 回転駆動軸
25A 外筒軸
25B 内筒軸
25a 中空部
27A 上回転台
27B 下回転台
28A 周部巻き掛け伝動機構
28B 底部巻き掛け伝動機構
31 分岐駆動装置
41 スクリュー
42 圧縮部加熱ヒータ
51 周部旋回アーム(周部旋回部材)
52 縦軸
53 周部押出しローラ
53a 加圧歯
54 周部カッタ連動装置
57 周部ダイ加熱ヒータ
61 底部旋回軸(底部旋回部材)
62 底部押出しローラ
62a 加圧歯
63 底部カッタ連動装置
66 底部ダイ加熱ヒータ
71 押出し材切断機構
71A 周部切断機構
71B 底部切断機構
73 周部カッタ
75 底部カッタ
76 カッタ駆動装置
81 排出シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立置き円筒状ケーシングに、上部に形成された破砕片の投入口と、破砕片を下方に押し込む圧縮機構と、下部に形成された多数の押出し孔と、破砕片を粉砕しつつ前記押出し孔に押し込む押込み成形機構と、前記押出し孔から押し出された粉砕片を所定長さに切断する押出し材切断機構を具備した粉砕片造粒装置であって、
ケーシングの軸心位置に回転駆動軸を配置し、
前記押込み成形機構は、ケーシングの底部に設けられた底部成形部と、当該底部成形部の上部に設けられた周部成形部からなり、
前記底部成形部は、回転駆動軸に半径方向に取り付けられて軸心周りに回転自在に支持された底部旋回部材と、当該底部旋回部材の遊端部に固定されて外周部に複数の加圧歯を有する底部押出しローラと、回転駆動軸に連動されて前記底部押出しローラを回転駆動する底部カッタ連動装置と、ケーシングの底部に配置されて多数の前記押出し孔が形成された底部ダイと、を具備し、
前記周部成形部は、回転駆動軸に半径方向に取り付けられた周部旋回部材と、当該周部旋回部材の遊端部に、回転駆動軸に平行な軸心に周りに回転自在に支持されかつ外周部に複数の加圧歯を有する周部押出しローラと、回転駆動軸に連動されて前記周部押出しローラを回転駆動する周部カッタ連動装置と、ケーシングの外周部に沿って配置されて多数の前記押出し孔が形成された周部ダイと、を具備した
ことを特徴とする破砕片造粒装置。
【請求項2】
押出し材切断機構は、周部ダイの押出し孔の出口で押し出される破砕片を所定長さに切断する周部切断機構と、底部ダイの押出し孔の出口で押し出される破砕片を所定長さに切断する底部切断機構とが一体に形成され、
前記周部切断機構で周部ダイの出口に臨んで旋回移動される周部カッタと、前記底部切断機構で底部ダイの出口に臨んで回転移動される底部カッタとを連結するとともに、前記周部カッタと前記底部カッタとを回転駆動する1つのカッタ駆動装置を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の破砕片造粒装置。
【請求項3】
周部ダイの押出し孔が、周部旋回部材の旋回移動方向の外周側前方に沿って傾斜され、 底部ダイの押出し孔が、底部押出しローラの旋回移動方向の下側前方に沿って傾斜された
ことを特徴とする請求項1または2記載の破砕片造粒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−78752(P2013−78752A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231140(P2011−231140)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(599172472)株式会社サカモト (8)
【Fターム(参考)】