説明

粉砕装置、トナーの製造装置及び製造方法

【課題】より省エネに適した微粉砕装置を提供することにある。
【解決手段】被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口311と、固定子310と、中心回転軸に取り付けられた回転子314と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口302とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷媒流路を具備していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕機を用いて微粉砕物を製造する装置及びその装置を用いた製造方法に関し、特に電子写真法、静電記録法、静電印刷法、又はトナージェット方式記録法の如き画像形成方法に用いられるトナーを製造する装置及びその装置を利用してトナーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法、静電写真法及び静電印刷法の如き画像形成方法では、静電荷像を現像するためのトナーが使用される。
【0003】
一般にトナーの製造方法としては、被転写材に定着させるための結着樹脂、トナーとしての色味を出させる各種着色剤、粒子に電荷を付与させるための荷電制御剤を原料とし、更に必要に応じて、例えば、離型剤及び流動性付与剤等の他の添加剤を加えて乾式混合する。しかる後、ロールミル、エクストルーダー等の汎用混練装置にて溶融混練し、冷却固化した後、混練物をハンマーミル、ピンミル、スピードミル等の粗粉砕機により粗粉砕し、得られた粗粉砕物をジェット気流式粉砕機、機械衝突式粉砕機等の各種粉砕装置により微粉砕することでトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は、必要に応じて各種風力分級機を用いて所望の粒径に揃えられたトナー粒子とした後、更に、必要に応じて流動化剤や滑剤等を添加して乾式混合して、画像形成に供するトナーとしている。また、二成分現像方法に用いるトナーの場合には、各種磁性キャリアと上記トナーとを混ぜ合わせた後、画像形成に供される。
【0004】
微粉砕手段としては、各種粉砕装置が用いられるが、特に、ジェット気流を用いたジェット気流式粉砕機、特に衝突式気流粉砕機や高速回転する回転子と回転子の周囲に配置された固定子との間に形成された環状空間に粉体原料を導入することにより粉砕する機械式粉砕機が用いられている。
【0005】
しかしながら、近年、複写機やプリンター等の高画質化、高精細化に伴い、現像剤としてのトナーに要求される性能も一段と厳しくなり、トナーの粒子径は小さくなり、トナーの粒度分布としては、粗大な粒子が含有されず且つ超微粉体の少ないシャープなものが要求される様になってきている。
【0006】
更に、環境問題への対応として、トナー製造にかかわるエネルギー自体の削減も重要であり、この対応としては、低消費電力での装置運転、トナー単位時間あたりの生産量の増加等が要求される。
【0007】
ジェット気流の如き高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機では、粉体原料を高圧気体とともに噴出して衝突部材の衝突面に衝突させ、その衝撃によって粉砕するという構成のため、微粒径のトナーを生産するためには、多量のエアーを必要とする。或は、エアー量を変えない場合には、粉砕に供する粗粉砕品の供給量自体を少なくする等の処置が必要となる。そのため電力消費の増加や、単位時間あたりの生産量の減少といった面において問題を抱えている。
【0008】
高速回転する回転子と回転子の周囲に配置された固定子との間に形成された環状空間に粉体原料を導入することにより粉砕する機械式粉砕機を用いて微粒径のトナーを生産するためには、回転子と固定子の間隔(ギャップ)を狭くしたり、回転子の回転数を上げる等の対応が必要となる。しかし、これら対応により、装置内の温度は上昇し、融着といった弊害が発生する。このトナー融着防止を目的として、装置内の温度を低下させる提案がなされている。例えば、ケーシング外周にジャケットを設け、ケーシング内面に熱伝導率の高い加熱硬化性の合成樹脂を介して固定子を取り付けることにより、冷却或いは加熱効率を向上させた微粉砕機(特許文献1参照)や回転子内に直接冷却水を導入することにより冷却効果を高めた微粉砕機(特許文献2参照)等が開示されている。
【0009】
また、現在、トナーの生産に用いられている機械式粉砕機では、装置内トナー融着を未然に防止する為、装置内の排気温度をコントロールすることが一般的である。この方法の一つとして、装置内にトナーとともに、除湿した冷風を導入する製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
【0010】
しかし、実際のトナー融着は排気温度で考えた場合、トナーの融点よりも遥かに低い温度(70℃程度)で発生することがわかっている。これは、トナーが通過する環状空間の温度ではなく、回転子と固定子自体の表面温度が影響していると考えられる。特に固定子側は近傍に付着或いは滞留したトナーに対して、回転して引き剥がす機会を持つ回転子よりも不利と考えられる。
【0011】
そのような中、機械式粉砕機を用いて、微粒子の単位時間辺りの処理量を増加させる場合には、冷水、冷風が従来以上に必要となる。そのために従来以上の巨大な冷水、冷風設備の導入による設置スペースの拡大や、電力消費の増加といった面において問題を抱えており、更に改良の余地はある。
【0012】
【特許文献1】特開平11−276916号公報
【特許文献2】特開2004−42029号公報
【特許文献3】特開平8−6290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、より省エネに適した微粉砕装置を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、微粒子化に対応した、低エネルギーでの粉砕方法を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、既存の製造プラントに大幅なレイアウト変更を必要としない低エネルギーでのトナー製造方法及び製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する為に、本出願に係る第一の発明は、被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷媒流路を具備していることを特徴とする。
【0017】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第二の発明は、該冷媒流路容積A(m3)は固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して下記式(1)の関係になることを特徴とする。
30.0%≦A/B×100≦90.0% 式(1)
【0018】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第三の発明は、該固定子は複数枚の部材により構成されており、且つ、該固定子は独立した冷媒流路を個々に有していることを特徴とする。
【0019】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第四の発明は、該固定子は少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより処理されていることを特徴とする。
【0020】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第五の発明は、該粉砕機は少なくとも回転子の凹凸が回転軸に対して平行に設けられており、且つ、該回転子が内部に冷媒流路を具備したことを特徴とする。
【0021】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第六の発明は、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕し、得られた粉砕物を分級手段によって分級する工程を少なくとも有するトナーの製造方法に用いられるトナー製造装置において、
該粉砕手段に用いられる粉砕機は少なくとも被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、所定の間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷媒流路を具備していることを特徴とする。
【0022】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第七の発明は、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕し、得られた粉砕物を分級手段によって分級する工程を少なくとも有するトナーの製造方法において、
該粉砕手段に用いられる粉砕機は、少なくとも被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、所定の間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷却用の冷媒流路を具備し、
該冷媒流路に流す冷媒の温度TL(℃)が
−20.0≦TL≦20.0
であることを特徴とする。
【0023】
更に、上記目的を達成する為に、本出願に係る第八の発明は、該固定子内部に導入された冷媒温度TLin(℃)と該固定子外部に排出された冷媒温度TLout(℃)の関係が
1.0≦TLout−TLin≦30.0
であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シャープな粒度分布を有する微粒子を効率的に低エネルギーで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
粉砕における、微粒子化と省エネルギー化は相反するものである。微粒子化する為には従来以上の製造エネルギーを必要とするか、生産能力を低下させることが必要である。装置に導入する、圧縮エアーや冷水、冷風を強化することは製造時の消費エネルギー増大に直結する。また、生産能力自体が低下した場合も、単位時間あたりに消費されるエネルギーは従来同等であるが、生産量ベースで考えた場合には必要とされるエネルギーは増加することになる。
【0026】
今回我々は、微粒子化に対する製造に関して研究を進めた結果、機械式粉砕機の能力に影響する装置内融着を防止し、且つ低エネルギー化する為には、固定子の冷却は、ジャケット式ケーシングから直接冷却、即ち、固定子内に直接冷媒の流路を設けることが必要であることが判明した。
【0027】
つまり、従来のジャケット式ケーシングでは、導入される冷媒の入り口側温度と出口側温度の差は小さく、粉砕条件によるところもあるが、概ね5℃程度の上昇である。これは、粉砕領域にさらされる凹凸の粉砕歯とジャケット中を流れる冷媒の距離が影響している。更に、ケ−シング自体に強度を持たせる為の厚みも影響しており、これは密着性を高めるコーキング剤を用いても大差は無い。
【0028】
そこで、固定子自体を肉厚に設計し、冷媒流路を設けたところ、導入される冷媒の入り口側温度と出口側温度の差は大きくなり、粉砕条件によるところもあるが、概ね15℃程度の上昇となった。これは、粉砕領域において、粉砕物との間に生じる摩擦熱を凹凸の粉砕歯近傍を流れる冷媒が効率良く熱交換した為と考えられる。
【0029】
また、該冷媒流路容積A(m3)は固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して30.0%以上90.0%以下であることが重要である。A/Bが30.0%未満となる場合には、固定子の一部が冷却不足を起こすことで、融着の原因となる場合がある。また、90.0%を超える場合には、対象とする被粉砕物にもよるが、固定子自体の強度確保の面、及び歯の凹凸との成型性の面で好ましくない。
【0030】
更に、該固定子は複数枚の部材により構成し、且つ、該固定子は独立した冷媒流路を個々に有していることにより、冷媒の流路を短くすることで冷却効率を更に向上させることが出来、更に、設置やメンテナンス性を向上させることが出来る。また、本構成により、必要時には粉砕機内の負荷状況に応じて、導入する冷媒の温度自体を該固定子毎に調整することも可能であり、無駄なエネルギーを省くことが出来る。
【0031】
更に、該固定子は少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより処理されていることが重要である。対象とする被粉砕物に依存する面もあるが、金属物質や金属物質を含有する樹脂等を長時間粉砕すると、固定子自体が磨耗してしまい、内部に冷媒流路がある為、亀裂等が生じると装置内に冷媒が流出する場合がある。また、本対策として固定子の交換頻度を上げてしまうと、冷媒流路加工等で通常の固定子に比べ、コスト面で不利な部分が拡大してしまう。そこで、固定子を耐磨耗処理し、めっきの厚み管理を実施する。めっき厚みが薄くなってきたら再生処理を施すことでコスト面でも有利に使用が可能となる。
【0032】
更に、該粉砕機は少なくとも回転子の凹凸が回転軸に対して平行に設けられており、且つ、該回転子が内部に冷媒流路を具備することが重要である。これは、先にも述べた通り、装置内融着を防止する為には粉砕ゾーンにある凹凸の粉砕歯を直接冷却することが冷却効率の面から優れているからである。
【0033】
ここで、回転子の凹凸を回転軸に対して平行に設ける理由は粉砕物の流れを出口方向に促すことで装置内の昇温がより抑えられるからである。本発明の固定子が、内部に冷媒流路を具備した粉砕装置に、内部に冷媒流路を具備した回転子を用いた場合、装置内に除湿冷風を導入すること無く、粉砕効率を10%以上向上させることが出来る。
【0034】
更に、本粉砕機はトナー用微粉砕装置として用いることが好ましい。近年、トナーを用いる複写機やプリンター等の本体に対しても、省エネの動きは活発である。その対応の一つとして、トナーの定着性温度を下げる活動がなされている。その手法は多々あるが、トナーに低融点成分を含有させたり、トナー自体の融点を下げる設計等がなされ、粉砕機内での融着に対しては不利な方向になってきている。
【0035】
その為、冷風の導入により、間接的に冷却する従来の方法では粉砕性と処理量、製造エネルギー低減には限界がある。
【0036】
また、トナー製造に用いる場合には、導入する冷媒の温度TLは−20.0℃以上20.0℃以下が好ましい。更に、好ましくは−10.0以上10.0℃以下である。−20.0℃を下回る場合には装置の運転状態によっては、装置内に結露し、粉砕物へ影響を与える場合がある。20.0℃超えとなる場合には固定子の冷却が不十分となり、融着等の問題を起こす場合がある。
【0037】
更に、該固定子内部に導入された冷媒温度TLin(℃)と該固定子外部に排出された冷媒温度TLout(℃)の差(TLout−TLin)が1.0℃以上30.0℃以下であることが好ましい。更に、好ましくは10.0℃以上20.0℃以下である。粉砕物の粉砕性によるところもあるが、差が1.0℃未満となる場合には、固定子内の冷媒で適切な冷却が行われていない場合があり、装置内融着を起こす場合がある。30.0℃超えとなる場合には、固定子の凹凸による粉砕歯が冷却されていない場合があり装置内融着を起こす場合がある。
【0038】
次に、本発明においてその目的を達成するに好ましい装置の構成を以下に詳述する。
【0039】
図1は本発明に用いた、機械式粉砕装置を示した概略図である。
【0040】
本発明では、概機械式粉砕機のケーシング内側のジャケットを取り、ケーシングへ直接固定子を装着できるように改造した。
【0041】
冷媒流路を設けた固定子はケーシング内に装着可能であれば、中心回転軸に取り付けられた回転子を内包可能な円柱状の一体成型されたものでも良いが、取り扱い上及び冷却効果の面で、少なくとも開放可能なケーシングの上下毎に分割することが好ましい。更に、より効果を発揮させる為に、4分割、6分割、8分割することが好ましい。図2、図3は8分割タイプ(上下各4枚構成)とした場合の、冷媒流路を設けた固定子の一例を示す。図2は固定子の断面から内面に流路となる穴を掘ったものである。この時、流路の断面積を変化させることで、固定子の概算容積に対して流路容積を変化させることが出来る。尚、調整時は凹凸歯の近傍の流路上面位置は変化せせず、下面への深さを調整するようにすることで、最適な冷却設計を達成できる。図3は固定子の凹凸歯面から見た時の流路の設計を説明している。装置の粉砕物投入方向から、ケーシングと固定子を貫通させた冷媒導入路から固定子内の冷媒入り口11から入った冷媒は、冷媒流路規制板12によって仕切られた流路を矢印の方向に進み、固定子内の冷媒出口13からケーシングと固定子を貫通させた冷媒排出路から排出され、冷却水装置内へ戻される。本発明では、かまぼこ状に切り抜いた固定子内面に流路規制板を溶接する事により、成型したが、ドリルホール等を連通させる事で、流路を成型しても良い。
【0042】
尚、流路を作製した後、開放面は同材質の部材を嵌め込み、溶接処理して、冷媒が漏れないように加工した。
【0043】
次に、固定子に、炭化クロムを含有するクロム合金を厚さ50μmめっきし、耐磨耗処理を施した。
【0044】
上記の固定子を8枚準備して、機械式粉砕機の回転子の周りにケーシング内面に取り付けることで検討用粉砕機とした。
【0045】
また、固定子に導入する冷媒は使用時の温度により、冷水機とブラインチリングユニットを切り替え可能なように配置した。切り替えは、入り口と出口の冷媒温度差や装置内排気温度をモニターしながら対象となる粉砕物毎に決定することが好ましく、−20.0℃以上20.0以下の範囲で使用できる。
【0046】
尚、本発明では固定子及び回転子の凸部と凸部との繰り返し距離は3.0mm以上10.0mm以下、固定子表面と回転子表面との間隙は0.8mm以上2.5mm以下の範囲とすることが好ましい。
【0047】
更に、本発明の効果をより、発揮する構成としては、以下に説明する水冷回転子と組み合わせて用いることが好ましい。
【0048】
回転子は図4に示す通り、内部に冷却用の冷媒流路を具備し、回転子の表面積をA(回転子凸部頂点と回転子の中心点pを半径とした円柱として算出)、該冷媒流路によって形成される冷却面積をB、回転子の中心点pから回転子の凹部底面rまでを直線で結んだ長さをDpr、回転子の中心点pから該冷媒流路の最外殻qまでを直線で結んだ長さをDpqとした場合、以下の式(2)、(3)となるように、冷却用の冷媒流路を設けたことを特徴とする。
式(2)75.5≦B/A×100≦300.0
式(3)1.0mm≦Dpr−Dpq≦25.0mm
【0049】
次に、本発明においてその目的を達成するに好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
【0050】
本発明に用いられる結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でもビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性でより好ましい。特にポリエステル系樹脂を用いた場合には本装置の導入による効果は大きい。
【0051】
本発明において、ビニル系モノマーの単重合体または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
【0052】
2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂として用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
【0053】
結着樹脂のガラス転移温度は好ましくは45乃至80℃、より好ましくは55乃至70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500乃至50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000乃至1,000,000であることが好ましい。
【0054】
結着樹脂としては以下に示すポリエステル樹脂も好ましい。
【0055】
ポリエステル樹脂は、全成分中45乃至55mol%がアルコール成分であり、55乃至45mol%が酸成分である。
【0056】
ポリエステル樹脂の酸価は好ましくは90mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下であり、OH価は好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下であることが良い。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナーの帯電特性において環境依存性が大きくなる為である。
【0057】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は好ましくは50乃至75℃、より好ましくは55乃至65℃であり、さらに数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500乃至50,000、より好ましくは2,000乃至20,000であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000乃至100,000、より好ましくは10,000乃至90,000であることが良い。
【0058】
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0059】
具体的には、磁性材料としては、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0060】
これらは結着樹脂100質量部に対して、磁性体20乃至150質量部、好ましくは50乃至130質量部、更に好ましくは60乃至120質量部使用するのが良い。
【0061】
本発明で使用される非磁性の着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0062】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
【0063】
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
【0064】
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
【0065】
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの如きの塩基性染料。
【0066】
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0067】
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
【0068】
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
【0069】
結着樹脂に着色剤を混合し、マスターバッチ化させる場合は、多量の着色剤を用いても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが可能となる。
【0070】
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1乃至30質量部であり、より好ましくは0.5乃至20質量部であり、最も好ましくは3乃至15質量部である。
【0071】
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.5乃至10質量部使用するのが好ましい。0.5質量部未満となる場合には、十分な帯電特性が得られない場合があり好ましくなく、10質量部を超える場合には、他材料との相溶性が悪化したり、低湿下において帯電過剰になったりする場合があり好ましくない。
【0072】
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0073】
トナーを負荷電性に制御する負荷電性制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0074】
トナーを正荷電性に制御する正荷電性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
【0075】
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させてもかまわない。離型剤としては次のものが挙げられる。
【0076】
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0077】
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1乃至20質量部、好ましくは0.5乃至10質量部が好ましい。
【0078】
また、該離型剤の示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の最大吸熱ピーク温度で規定される融点は、65乃至130℃であることが好ましい。より好ましくは80乃至125℃であることがよい。融点が65℃未満の場合は、トナーの粘度が低下し、感光体へのトナー付着が発生しやすくなり、融点が130℃超の場合は、低温定着性が悪化してしまう場合があり好ましくない。
【0079】
本発明のトナーには、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得る微粉体を流動性向上剤として用いてもかまわない。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ等をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施し、疎水化処理したものであり、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すように処理したものが特に好ましい。
【0080】
流動化剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
【0081】
本発明のトナーには、研摩効果に加え、帯電性付与性及び流動性付与、クリーニング助剤として、上述以外の無機微粉体を添加しても良い。無機微粉体は、トナー粒子に外添することにより、添加前後を比較するとより効果が増加し得るものである。本発明に用いられる無機微粉体としては、マグネシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、ストロンチウム、セリウム、カルシウム、バリウム等のチタン酸塩及び/又はケイ酸塩が挙げられる。
【0082】
本発明における無機微粒子は、トナー100質量部に対して、0.1乃至10質量部、好ましくは0.2乃至8質量部用いるのが良い。
【0083】
本発明のトナーは、磁性一成分、非磁性一成分、キヤリアと混合使用するニ成分に用いることが出来るが、より本発明の効果を発揮させる為には、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。
【0084】
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)、一般に公知のものを使用できる。
【0085】
本発明のトナーを磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
【0086】
次に、以下の実施例中で測定した各種物性データの測定方法に関して以下に説明する。
【0087】
(1)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールター・カウンターのマルチサイザーを用いて行った。
【0088】
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
【0089】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0090】
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
【0091】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
【0092】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0093】
具体的な測定法は以下の通りである。
【0094】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
【0095】
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
【0096】
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
【0097】
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
【0098】
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
【0099】
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
【0100】
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【0101】
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、以下のようにして算出する。
【0102】
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、前記のMultisizer 3の測定を行なった後、(1)専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「<」にチェック、その下の粒径入力部に「4」を入力する。そして、(3)分析/個数統計値(算術平均)画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
【0103】
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、以下のようにして算出する。
【0104】
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、前記のMultisizer 3の測定を行なった後、(1)専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とし、(2)書式/粒径/粒径統計画面における粒径設定部分の「>」にチェック、その下の粒径入力部に「10」を入力する。そして、(3)分析/体積統計値(算術平均)画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
【0105】
(2)トナー粗砕品粒度分布の測定
測定装置としてはベックマン・コールター社製 LS230 を用いて、以下の条件で乾式測定する。
【0106】
光学系等の調整を空吸引状態で自動調整した後、トナー粗砕品をサンプルホルダーからバイブレーションの設定15(サンプル濃度が7乃至12%となるように設定)とし、20秒間測定し、解析メソッド(フランフォーファー)にてデータ−解析する事で平均粒子径を算出する。本テスト時には吸引用掃除機としてはナショナル製MC−G600WDを用いた。
【0107】
(3)ワックスの融点測定
示差熱分析測定装置(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定する。測定はASTM D3418−82に準じておこなう。測定試料2乃至10mgを精秤してアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30乃至200℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。この吸熱メインピークの温度をもってワックスの融点とする。
【0108】
(4)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0109】
測定試料は5乃至20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0110】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。
【0111】
この昇温過程で、温度40乃至100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0112】
このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0113】
(5)結着樹脂及の分子量分布の測定
GPCによるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0114】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05乃至0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50乃至200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0115】
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組合せや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組合せが好ましい。
【0116】
(6)樹脂の酸価の測定
結着樹脂の「酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0117】
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
【0118】
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
【0119】
(2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
【0120】
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
【0121】
【数1】

[A:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g) ]
【0122】
(7)結着樹脂の水酸基価の測定
結着樹脂の「水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS=K0070に準ずる。
【0123】
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、つぎの試薬、操作および計算式によって試験を行う。
【0124】
(1)試薬
(a)アセチル化試薬 無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスおよび酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS K 8006によって行う。
【0125】
(2)操作
試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度が上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
【0126】
(3)計算式 つぎの式によって水酸基価を算出する。
【0127】
【数2】

[A:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価 ]
【0128】
(8)磁性酸化鉄粒子の分析方法。
(a)平均粒子径
走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、フェレ径にて算出した。
(b)磁気特性
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用して、外部磁場796kA/mにて測定した。
【実施例】
【0129】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0130】
(トナーの製造例:T−1)
・結着樹脂(ポリエステル樹脂):100質量部
(Tg56℃、酸価18mgKOH/g、水酸基価27mgKOH/g、分子量:Mp6500、Mn2800、Mw55000)
・酸化鉄粒子:90質量部
(平均粒子径0.16μm、795.8kA/m磁場での特性Hc11.2kA/m、σs82.3Am2/kg、σr13.5Am2/kg)
・アゾ系鉄錯体化合物:2質量部
(保土ヶ谷化学社製、商品名T−77)
・フィッシャートロプシュワックス:3質量部
(日本精蝋社製、商品名FT−100、融点98℃)
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)にて100kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕して、平均粒径300μmのテスト用粗砕物(T−1)を得た。
【0131】
(トナーの製造例:T−2)
・結着樹脂(ポリエステル樹脂):100質量部
(Tg58℃、酸価25mgKOH/g、水酸基価20mgKOH/g、分子量:Mp5500、Mn2800、Mw50000)
・C.I.ピグメントブルー15:3:5質量部
・1,4−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:0.5質量部
・フィッシャートロプシュワックス:5質量部
(日本精蝋社製、商品名FT−100、融点98℃)
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75J型、三井鉱山(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−45型、池貝鉄鋼(株)製)にて80kg/hrのFeed量で混練(吐出時の混練物温度は約150℃)した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗砕して、平均粒径270μmのテスト用粗砕物(T−2)を得た。
【0132】
<実施例1>
図1の機械式粉砕機を改造し、固定子部分を冷媒流路容積A(m3)が固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して75%になるように、冷媒流路を設計した後、炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより、めっき厚20μmに処理した固定子8枚に変更した。又、冷水機はオリオンユニットクーラーの方に接続し、以下の条件でテスト用粗砕物(T−1)を粉砕した。
【0133】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.0mmに設定した。
【0134】
(粉砕条件)
粗砕物(T−1)供給量:100kg/hr
固定子冷媒温度(入り口):5.0℃
冷媒流量:1.0 l/min
除湿冷風設定温度:10.0℃
回転子回転数:135m/s、
ブロワ風量:13.0(m3/min)
【0135】
(結果)
機械式粉砕機内の排気温度は45.0℃、冷媒の出口温度は、8枚の固定子で、8.5℃以上22.3℃以下の上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が7.2μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が48.8個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を2.6体積%であった。
【0136】
<比較例1>
図1の機械式粉砕機を改造前の状態で、冷水機はオリオンユニットクーラーの方に接続し、以下の条件でテスト用粗砕物(T−1)を粉砕した。
【0137】
(粉砕条件)
粗砕物(T−1)供給量:80kg/hr
ジャケット冷媒温度(入り口):5.0℃
冷媒流量:3.0 l/min
除湿冷風設定温度:−20.0℃
回転子回転数:135m/s、
ブロワ風量:13.0(m3/min)
【0138】
(結果)
機械式粉砕機内の排気温度は48.0℃、冷媒の出口温度は、2.5℃上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が7.4μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が49.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を5.8体積%であった。
【0139】
<比較例2>
比較例1において、除湿冷風設定温度を実施例1同様10.0℃とした以外は同様にテスト用粗砕物(T−1)を粉砕したところ、粉砕開始から5分経過した時点で機械式粉砕機内の排気温度は68.0℃となり、融着の危険性がある為、テストを中止した。
【0140】
因みに、この時の冷媒の出口温度は、5.5℃上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が7.6μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が47.3個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を8.8体積%であった。
【0141】
<実施例2>
図1の機械式粉砕機を改造し、固定子部分を冷媒流路容積A(m3)が固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して30%になるように、冷媒流路を設計した後、炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより、めっき厚20μmに処理した固定子8枚に変更した。また、冷水機はブラインチリングユニットの方に接続し、以下の条件で、機械式粉砕機内の排気温度を43.0℃以上47.0℃以下の範囲となるように供給量を調整しながら、テスト用粗砕物(T−2)を粉砕して、重量平均径(D4)が5.5μm以上6.0μm以下の微粉砕物を得た。
【0142】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.2mmに設定した。
【0143】
(粉砕条件)
固定子冷媒温度(入り口):−5.0℃
冷媒流量:3.0 l/min
除湿冷風設定温度:10.0℃
回転子回転数:150m/s、
ブロワ風量:13.5(m3/min)
【0144】
(結果)
粗砕物(T−2)供給量を20kg/hrとしたところ、機械式粉砕機内の排気温度は43.9℃、冷媒の出口温度は、8枚の固定子で、10.8℃以上29.3℃以下の上昇となった。又、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が5.9μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が53.8個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.4体積%であった。
【0145】
<実施例3>
図1の機械式粉砕機を改造し、固定子部分を冷媒流路容積A(m3)が固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して60%になるように、冷媒流路を設計した後、炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより、めっき厚20μmに処理した固定子8枚に変更した。また、冷水機はブラインチリングユニットの方に接続し、以下の条件で、機械式粉砕機内の排気温度を43.0℃以上47.0℃以下の範囲となるように供給量を調整しながら、テスト用粗砕物(T−2)を粉砕して、重量平均径(D4)が5.5μm以上6.0μm以下の微粉砕物を得た。
【0146】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.2mmに設定した。
【0147】
(粉砕条件)
固定子冷媒温度(入り口):−5.0℃
冷媒流量:3.0 l/min
除湿冷風設定温度:10.0℃
回転子回転数:150m/s、
ブロワ風量:13.5(m3/min)
【0148】
(結果)
粗砕物(T−2)供給量を43kg/hrとしたところ、機械式粉砕機内の排気温度は44.2℃、冷媒の出口温度は、8枚の固定子で、10.8℃以上26.3℃以下の上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が5.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が54.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.3体積%であった。
【0149】
<実施例4>
図1の機械式粉砕機を改造し、固定子部分を冷媒流路容積A(m3)が固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して90%になるように、冷媒流路を設計した後、炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより、めっき厚20μmに処理した固定子8枚に変更した。また、冷水機はブラインチリングユニットの方に接続し、以下の条件で、機械式粉砕機内の排気温度を43.0℃以上47.0℃以下の範囲となるように供給量を調整しながら、テスト用粗砕物(T−2)を粉砕して、重量平均径(D4)が5.5μm以上6.0μm以下の微粉砕物を得た。
【0150】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.2mmに設定した。
【0151】
(粉砕条件)
固定子冷媒温度(入り口):−5.0℃
冷媒流量:3.0 l/min
除湿冷風設定温度:10.0℃
回転子回転数:150m/s、
ブロワ風量:13.5(m3/min)
【0152】
(結果)
粗砕物(T−2)供給量を81kg/hrとしたところ、機械式粉砕機内の排気温度は45.3℃、冷媒の出口温度は、8枚の固定子で、12.7℃以上31.3℃以下の上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が5.8μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が53.9個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.4体積%であった。
【0153】
<比較例3>
図1の機械式粉砕機を改造前の状態で、冷水機はブラインチリングユニットの方に接続し、実施例2,3,4と同様に以下の条件で、機械式粉砕機内の排気温度を43.0℃以上47.0℃以下の範囲となるように供給量を調整しながら、テスト用粗砕物(T−2)を粉砕して、重量平均径(D4)が5.5μm以上6.0μm以下の微粉砕物を得た。
【0154】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.2mmに設定した。
【0155】
(粉砕条件)
ジャケット冷媒温度(入り口):−5.0℃
冷媒流量:3.0 l/min
除湿冷風設定温度:10.0℃
回転子回転数:150m/s、
ブロワ風量:13.5(m3/min)
【0156】
(結果)
粗砕物(T−2)供給量を11kg/hrとしたところ、機械式粉砕機内の排気温度は47.0℃、冷媒の出口温度は、8.4の上昇となった。また、この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が6.0μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が54.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を2.3体積%であった。
【0157】
<実施例5>
実施例1において、回転子を図4の水冷式に変更して、冷水機はブラインチリングの方に接続し、以下の条件でテスト用粗砕物(T−1)を粉砕した。
【0158】
尚、この時の固定子及び回転子の凸と凸との距離は3.5mmとし、固定子と回転子の間隙は1.2mmに設定した。また、回転子も固定子同様のめっき処理を施した。
【0159】
(粉砕条件)
粗砕物(T−1)供給量:120kg/hr
固定子冷媒温度(入り口):−5.0℃
回転子冷媒温度(入り口):−5.0℃
固定子冷媒流量:3.0 l/min
回転子冷媒流量:5.0 l/min
除湿冷風設定温度:使用せず、大気開放(室温:27℃/湿度45%)
回転子回転数:160m/s、
ブロワ風量:13.5(m3/min)
【0160】
(結果)
機械式粉砕機内の排気温度は40.2℃、固定子冷媒の出口温度は、8枚の固定子で、14.1℃以上28.3℃以下の上昇となった。また、回転子冷媒の出口温度は32.2℃となった。この時得られた微粉砕物は重量平均径(D4)が5.7μmであり、粒径4.0μm以下の粒子が57.1個数%、且つ粒径10.1μm以上の粒子を0.8体積%であった。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】機械式粉砕装置の概略図である。
【図2】例愛流路を設けた固定子の説明図である。
【図3】例愛流路を設けた固定子の説明図である。
【図4】回転子の説明図である。
【符号の説明】
【0162】
212 渦巻室
219 パイプ
220 デイストリビュータ
222 バグフィルター
224 吸引ブロワー
229 捕集サイクロン
240 ホッパー
301 機械式粉砕機
302 粉体排出口
310 固定子
311 粉体投入口
312 回転軸
313 ケーシング
314 回転子
315 定量供給機
316 ジャケット
317 冷却水供給口
318 冷却水排出口
319 冷風発生装置
320 後室
321 冷水機
322 ブラインチリングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷媒流路を具備していることを特徴とする粉砕装置。
【請求項2】
該冷媒流路容積A(m3)は固定子の凸と凸を結んだ線を上辺とした場合の固定子容積B(m3)に対して下記式(1)の関係になることを特徴とする請求項1に記載の粉砕装置。
30.0%≦A/B×100≦90.0% 式(1)
【請求項3】
該固定子は複数枚の部材により構成されており、且つ、該固定子は独立した冷媒流路を個々に有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉砕装置。
【請求項4】
該固定子は少なくとも炭化クロムを含有するクロム合金めっきにより処理されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の粉砕装置。
【請求項5】
該粉砕機は少なくとも回転子の凹凸が回転軸に対して平行に設けられており、且つ、該回転子が内部に冷媒流路を具備したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の粉砕装置。
【請求項6】
結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕し、得られた粉砕物を分級手段によって分級する工程を少なくとも有するトナーの製造方法に用いられるトナー製造装置において、
該粉砕手段に用いられる粉砕機は少なくとも被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、所定の間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷媒流路を具備していることを特徴とするトナーの製造装置。
【請求項7】
結着樹脂および着色剤を少なくとも含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物からなる粉体原料を粉砕手段によって粉砕し、得られた粉砕物を分級手段によって分級する工程を少なくとも有するトナーの製造方法において、
該粉砕手段に用いられる粉砕機は、少なくとも被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、固定子と、中心回転軸に取り付けられた回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とは、所定の間隙を有するように該回転子は配置されて粉砕ゾーンを形成しており、
該粉砕ゾーンにおいて、該回転子の回転に伴って被粉砕物が粉砕され、該固定子及び回転子は、複数の凸部と凹部とを有し、
該固定子が、内部に冷却用の冷媒流路を具備し、
該冷媒流路に流す冷媒の温度TL(℃)が
−20.0≦TL≦20.0
であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項8】
該固定子内部に導入された冷媒温度TLin(℃)と該固定子外部に排出された冷媒温度TLout(℃)の関係が
1.0≦TLout−TLin≦30.0
であることを特徴とする請求項7に記載のトナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−95790(P2009−95790A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270958(P2007−270958)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】