説明

粉粒体の供給方法および供給装置

【課題】粉粒体の供給投入路を設けることなく供給側の容器から受給側の容器に粉粒体を直接供給可能とした方法および装置を提供する。
【解決手段】胴部本体2の下部に円錐状排出部3を有し、排出部3には開閉可能な排出口4を形成し、常態では下部支持台により立設可能な供給側容器1から下部支持台を分離して中空位置に定置可能とした粉粒体供給部と、投入口を有し、計量器を介して供給側容器1に対して昇降可能とした受給側容器を粉粒体受給部とし、供給部から受給部に直接決められた重量の粉粒体供給を可能としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状物、粒状物、顆粒状物等(以下、総称して粉粒体と称する)を供給部から受給部へコンタミネーション(汚染)を生ずることなく決められた量を供給するための供給方法と供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品、化学品等を取り扱う広い産業分野では多種類の粉粒体が製品製造のための原料として使用されている。
粉粒体は、メーカーから、例えば、紙や布等の袋に密封された状態で出荷され、粉粒体を使用する業者側では粉粒体をコンテナやホッパー等の容器に収容して、必要に応じてこの容器から他の容器に必要量を移し替え使用している。
【0003】
通常は供給部側容器からコンテナ、ホッパーその他の適当な受給部側容器に粉粒体を、必要量移し替え、所定の場所まで搬送しているが、供給部から受給部への移し変えに際しては間にシュートを使用し、シュートによって粉粒体の投入路を形成するとともに粉塵の発生を防止している。
【0004】
例えば、特開平11−348902に開示される技術では、粉粒体供給コンテナ11と袋14との間に上部シュート34、下部シュート35および投入シュート39等の粉粒体投入のためのシュートが設置されており、これらのシュートによって粉粒体の投入路が形成されている。
【特許文献1】特開平11−348902公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シュートを介して粉粒体の供給を繰り返し行っていると、シュート内壁面に粉粒体が少しずつ付着するので、定期的にあるいは必要に応じてシュートを交換したり洗浄する必要がある。特に、一台の受給側容器に内容成分を異にする複数種類の粉粒体の供給を行う場合には、その都度、シュートを交換するかシュート内を洗浄する必要があり、交換あるいは洗浄作業を怠ると異質の粉粒体が混ざり合ってコンタミネーション(汚染)現象を生じていた。
【0006】
シュートを交換あるいは洗浄するには、供給容器や受給容器からシュートを取り外したり、新たなシュートを供給容器や受給容器に取り付ける必要があり、これらの交換作業に時間を要し、作業員の負担が大きいものであった。また、シュートを取り外した時に粉塵が発生して回りを汚し、作業員が粉粒体を吸って健康を害することがあった。
【0007】
本発明は、上記する従来技術の問題点に鑑み、粉粒体の供給側容器と受給側容器との間にシュートを設置することなく、供給側容器と受給側容器とを直接接続することにより粉粒体の定量供給および異種粉粒体の連続供給を可能とする粉粒体の供給方法および供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記する目的を達成するために本発明方法は、粉粒体を収容して立設可能な下部支持台を有する容器から下部支持台を分離し、中空位置で保持する供給側容器下端の排出口と、粉粒体受け入れ側の容器の投入口とを直接接続し、計量しつつ粉粒体供給を行い、必要に応じて分離された下部支持台を連結して供給側容器を立設可能としたものである。
【0009】
また、本発明装置は、胴部本体の下部に円錐状排出部を有し、排出部には開閉可能な排出口を形成した容器を下部支持台により立設して支持するとともにこの下部支持台は分離して粉粒体供給を可能としたものである。更に、胴部本体の下部に円錐状排出部を有し、排出部には開閉可能な排出口を形成し、下部支持台により立設可能とした容器から下部支持台を分離して中空位置に定置可能な容器を粉粒体供給部とし、投入口を有する受給側容器を粉粒体受給部として供給部から受給部に直接粉粒体の供給を可能としたものである。そして、受給側容器は計量器を保持する昇降装置によって供給側容器に昇降可能としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明粉粒体の供給方法および供給装置によれば、通常は容器全体を立設させ、保管や搬送時に使用する下部支持台を容器本体から分離可能とし、排出部下端のバルブを露出状態とすることができるので、下部支持台を分離した容器を中空位置に保持することで粉粒体供給部を構成し、粉粒体を受け入れる側の容器を所定の位置に定置し、容器の排出口と受給側容器の投入口とを直接連結することで計量しつつ決められた値の供給が可能である。そして、粉粒体の供給後は、下部支持台を上部支持台とを連結することで供給側容器は立設可能である。
【0011】
しかも、供給側容器と受給側容器との間には投入路を形成するシュートを必要としないので、シュートの交換や洗浄のための作業がなく、効率よく粉粒体供給作業を行うことができ、粉粒体を汚染したり、無駄な消費をすることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に従って本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明方法や装置に使用する粉粒体の供給部を構成する容器を示すものであり、粉粒体を収容して排出可能な構造を有するコンテナ、ホッパーのような容器1は、胴部本体2の下部に円錐状排出部3を形成し、排出部3の下端にはバルブ10によって開閉可能な粉粒体の排出口4を設け、また、供給側容器1の上部には二つの開閉口を設け、少なくとも一方の開閉口は粉粒体の投入口5としたものである。
【0013】
供給側容器1の下部には、例えば、方形状に配設した4本の支持脚6からなる上部支持台7を一体に設け、この上部支持台7には下側から下部支持台8を設置し、常態では容器1全体を立設して支持するようになっている。下部支持台8は、上部支持台7と同じ形状を有しており、下部支持台8の各脚9の上端部9a(点線で示している)を上部支持台7の支持脚6内に挿通することで上部支持台7と下部支持台8とは連結可能である。また、図2に示すように、脚9の上端部9aを支持脚6から抜き取ることで分離可能となっている。尚、排出口4は、下部支持台8内に位置しているので、容器1全体は立設可能である。
【0014】
容器1内には前記の排出口4を開閉可能なコーン型バルブ10が設置してあり、このバルブ10にはロッド11が垂直方向に連結してある。ロッド11は容器1の中心を通って容器1の上方に突出しており、常態では排出口4はバルブ10で閉じているが、ロッド11は適宜の手段で垂直方向に昇降させることで排出口4を開閉するようになっている。また、排出口4は外側からキャップ12で覆われている。
【0015】
本発明に使用する粉粒体供給部側の容器1は上記の構成であり、次に、この供給側容器1を使用して受給部側の容器に粉粒体を供給する場合について説明する。
図3に示すように、容器1は、図示しないローラコンベア、ベルトコンベア等の適宜の搬送装置を使用して保管場所から粉粒体の排出位置まで搬送される。排出位置において、図2、図3に示すように、下部支持台8が上部支持台7から取り外され、排出口4を覆っているキャップ12が取り払われ、上部支持台7は図示しない固定台に設置し、容器1自体は中空位置に定置されることになる。
【0016】
容器1の定置位置上方にはバルブ制御装置13があり、また、容器1の下方には粉粒体受け側の容器14が搬送され、ロードセルまたは電子天秤等の計量器15を介して昇降装置16上に設置される。尚、受給側の容器14は、前記の供給側容器1と同じ構造のものが示してあるが、他の構造の容器であってもよい。
【0017】
容器14の上部にある粉粒体の投入口17および集塵口18を閉じているキャップ19をそれぞれ取り外し、昇降装置16によって受給側容器14全体を持ち上げ、投入口17と供給側容器1の排出口4とを直接接続し、集塵口18には公知の集塵装置20を取り付ける(図3d参照)。
【0018】
バルブ制御装置13の下部にはロッド11を昇降させるための作動部21が設置してある。この作動部21をシリンダ22で下降させ、ロッド11上端の頭部23を掴み、作動部21を引き上げることでロッド11およびバルブ10を上昇させ、排出口4を開口して粉粒体を容器14内に供給する。粉粒体の供給中、集塵装置20により受給側容器14内の排気を行い、同時に粉塵を集めて粉粒体が外部に流出しないようになっている。
【0019】
受給側容器14自体の重量はあらかじめ計量してあり、容器14内に供給された粉粒体重量が決められた値に達すると作動部21によりロッド11およびバルブ10を下降させて排出口4を閉じ、粉粒体の供給を停止する。
【0020】
粉粒体の供給を停止すると、図4(a)に示すように、受給側容器14を少し下降させる。そして、供給側容器1の排出口4および受給側容器14の投入口17にエアーブローノズル24を取り付け、口部に付着している粉粒体を取り除く。この時、バルブ制御装置13の作動部21はロッドの頭部23から離れて定位置に復帰しており、また、集塵装置20は集塵口18から取り外されている。
【0021】
その後、受給側容器14は所定の位置まで下降させ、投入口17および集塵口18にキャップ19を被せ、他の位置に搬送する。供給側容器1の排出口4にはキャップ12を被せ、上部支持台7に下部支持台8を連結し、立設した状態で他の場所に搬送する。
【0022】
製品製造に際しては内容成分を異にする複数種類の粉粒体を決められた重量ずつ混合することが行われている。このような場合には、ある種類の粉粒体を受け入れた容器14を搬送装置を使用して他の場所にある供給側容器1まで移動させて他の種類の粉粒体を投入するか、粉粒体を投入後、同じ位置に定置した受給側容器14に供給側容器1を搬送して他の種類の粉粒体を投入すればよい。
【0023】
昇降装置16による受給側容器14の昇降、バルブ制御装置13によるバルブ10の昇降、計量器15による供給重量の計量、排出口4の開閉等は、コンピュータによって管理されており、自動操作が可能となっている。尚、バルブ制御装置13は公知の技術、例えば、本願出願人の提供する特開平11−100091で示される昇降部材8と昇降機構9とからなる昇降装置7を使用することができる。
【0024】
更には、バルブ制御装置13によるバルブ10の昇降によって排出口4を開閉するだけではなく、例えば、シリンダで開閉可能なダンパーを排出口4に付設することで粉粒体の供給や停止を行うようにしてもよい。決められた重量の粉粒体を供給可能であれば排出口4の開閉手段は問うものではない。また、粉粒体受け入れ側の容器14として図示以外の容器を使用する場合、例えば、集塵口を有することなく投入口17が一個の場合の容器を使用する場合には、投入口に適宜手段で集塵装置を設置する必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、各種の粉粒体を取り扱う業界において、コンタミネーションを生ずることなく効率よく粉粒体の供給を行うことができ、粉塵の発生を無くし、かつ、粉粒体を無駄にすることがなく、作業負担を軽減して作業能率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に使用する粉粒体供給側の容器の正面図である。
【図2】本発明に使用する粉粒体供給側の容器の基体を取り除いた状態の正面図である。
【図3】供給側の容器から受給側の容器に粉粒体を供給する連続動作を示す図である。
【図4】粉粒体供給後の供給側の容器と受給側の容器の処理状態の連続動作を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 供給側容器
2 胴部本体
3 円錐状排出部
4 排出口
5 粉粒体投入口
6 支持脚
7 上部支持台
8 下部支持台
9 脚
10 バルブ
11 ロッド
12 キャップ
13 バルブ制御装置
14 受給側容器
15 計量器
16 昇降装置
17 投入口
18 集塵口
19 キャップ
20 集塵装置
21 ロッドの作動部
22 シリンダ
23 ロッド頭部
24 エアーブローノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容して立設可能な下部支持台を有する容器から下部支持台を分離し、中空位置で保持する供給側容器下端の排出口と、粉粒体受け入れ側の容器の投入口とを直接接続し、計量しつつ粉粒体供給を行い、必要に応じて分離された下部支持台を上部支持台に連結して供給側容器を立設可能としたことを特徴とする粉粒体の供給方法。
【請求項2】
胴部本体の下部に円錐状排出部を有し、排出部には開閉可能な排出口を形成した容器を下部支持台により立設して支持するとともに、この下部支持台は分離して粉粒体供給を可能としたことを特徴とする粉粒体の供給装置。
【請求項3】
胴部本体の下部に円錐状排出部を有し、排出部には開閉可能な排出口を形成し、下部支持台により立設可能とした容器から下部支持台を分離して中空位置に定置可能な容器を粉粒体供給部とし、投入口を有する容器を粉粒体受給部として供給部から受給部に直接粉粒体を供給を可能としたことを特徴とする粉粒体の供給装置。
【請求項4】
受給側容器は計量器を保持する昇降装置によって供給側容器に昇降可能としたことを特徴とする粉粒体の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−96353(P2006−96353A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281035(P2004−281035)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】