説明

粉粒体の定量フィーダ装置

【課題】ブリッジ防止のため収容容器内で対象となる粉粒体を攪拌するが、ペレット等の大粒の場合、適合せず、かえって、対象物を損傷してしまう虞や、供給盤への対象物の供給がその中心からずれた外周へとなされたとき、片寄りが生じてしまうという点を改善する。
【解決手段】粉粒体の収容容器2を有し、その収容容器2の下方に設置された駆動部と、その駆動部と連動される回転軸23に取り付けられ、粉粒体を回転搬送する供給盤20と、その供給盤20の外方端下に形成された排出シュート7より成る粉粒体の定量フィーダ装置において、前記収容容器2はその下端開口を供給盤20の中心部分に対応させた小径とし、その収容容器2の下端開口縁と供給盤20の間に粉粒体の通過する隙間を形成してあることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体、特にペレット等の大粒の粉粒体を整列させて、1粒づつもしくは数粒づつの定量で供給していくことのできる粉粒体の定量フィーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な粉体の定量フィーダは、流動性が特に優れた特性をもっている場合を除いて、粉体を微量域で定量搬送し供給していくことはその粉体の物性、例えば比重、粒子、粒度の相違、水分や静電気に起因する付着性や凝集性等に影響を受け、非常に困難な作業となっている。
【0003】
従来、粉体の微量フィーダとして振動フィーダ、スクリューフィーダ、テーブルフィーダが知られているが、このうち、振動フィーダは流動性の良い粉体には使用可能であるが、適用できる粉体は限られてしまい、また、人手をもって流れを制御してやることが微量域で要求され十分なコントロールができず、ムラが生じて精度が悪くなってしまう。人手に頼らなければならないという点も大きなネックとなっている。
【0004】
また、スクリューフィーダの場合は、横型でもオーガタイプのものであっても搬送する粉体の量が微量となると、螺旋状のスクリューの溝が、幅、深さとも必然的に小さくなり、その溝に粉体の付着、固着を起こし易くなり、溝が埋まって棒状となってしまったり、逆に粉体の量が少ないため、粒子同士の摩擦力が不足し、スリップしてしまい、排出不能となってしまうケースが多くなる。
【0005】
さらに、テーブルフィーダの場合は、最も有効、効果的であることが実験により解ったが、時として供給盤の計量溝に粉体が残ったまま排出しない事態や、再びそのまま容器内に戻ってきてしまうという事態が生じてしまう。ここで、エアの吹き付けで払い落とす方法も考えられるが、こうすると粉体が周囲に飛散して雰囲気を悪化させたり、機械構成部に粉体が侵入して故障を生じてしまう原因となることもある。
【0006】
かかる点に鑑みて、出願人は先行特許文献に示したような技術を開発した。これを従来技術として図6乃至図8に示す。この図6乃至図8にあって9は架台を示し、この架台9上にはディスクフレーム10が設けられている。また、図中8はモータを示し、このモータ8の下方に連接された減速機8aの軸には回転力伝達用のギア8bが設けられている。
【0007】
一方、図中2は上方に対象物である粉体の投入口1が開口された粉体の収容容器(ホッパー)であり、ブリッジ防止を目的としてストレートな円筒形としている。この収容容器2はディスクフレーム10に取り付けられている。この収容容器2の下方には駆動部が設けられ、この駆動部は上端を収容容器2内に突出した攪拌軸11を有し、この攪拌軸11の下端には、前記したギア8bからの回転力を伝達して、攪拌軸11を回転させるギア13が備えられており、このギア13と前記ギア8bの間には伝達ギア14が介在される。
【0008】
この攪拌軸11の一部で、収容容器2内には略L字状とした丸棒状の攪拌棒3が取り付けられており、この攪拌棒3が攪拌軸11と同期回転することで、収容容器2内にあって、粉体がブリッジや付着の現象が生じることがないようにしている。この攪拌棒3の下方には収容容器2の内壁面とやや隙間を設けて半月形の仕切板12が設けられ、仕切板12を隔壁として収容容器(ホッパー)2内部を分離し、供給手段4に供給する粉圧を一定に保ち、収容容器2内部の材料の残量の変化に伴う供給量の変動を最小限に抑え、より精度よく定量供給を可能にする。
【0009】
また、攪拌軸11の下端側には、後述する供給盤の計量溝内に定量の粉体を送り、供給するための供給手段4が取り付けられている。この供給手段は攪拌軸11の接線方向に沿って複数設けられた羽根体4a、4a‥とされ、その羽根体4aの接線側の縁が粉体を回転による押し送りを行い、収容容器(ホッパー)2内部の材料を残さないことと、計量溝5b、5b‥に供給されにくい材料を強制的に送り込む効果があることとする。
【0010】
さらに、攪拌軸11の前記した回転力を受けるギア13は伝達ギア15を介在して上端に供給盤5を設けた回転軸5aのギア16に回転力を伝達し、この回転軸5a、強いては供給盤5を攪拌軸11と同方向に回転させるものとしている。
【0011】
前記した供給盤5は円板によって形成されており、その周縁には等ピッチで計量溝5b、5b‥が連続形成された略平歯車状の形態をしている。前記した羽根体4a、4a‥は一部がこの供給盤5の上面と摺接する構成となっており、この羽根体4a、4a‥で送られた粉体が逐次供給盤5の計量溝5b、5b‥内に送られ、この計量溝5b、5b‥を粉体で埋めていくこととなる。
【0012】
一方、図中7は排出シュートを示しており、供給盤5の計量溝5b、5b‥に入れられた粉体は順次、この排出シュート7の上方から落下させられ排出される。即ち、供給盤5の計量溝5b、5b‥のうち一つが排出シュート7の上面開口を摺接通過していくこととなる。
【0013】
この排出シュート7の上方にはディスクフレーム10には強制排出部6が設けられている。本実施例にあってこの強制排出部6はスクレーパギアを用いてあり、このスクレーパギアはその突歯6a、6a‥が供給盤5の計量溝5b、5b‥と噛合するものとなっている。
【0014】
このスクレーパギアは供給盤5の計量溝5b、5b‥とその突歯6a、6a‥を噛合させることで供給盤5と同期回転するものとなっている。即ち、スクレーパギア自体には格別の回転駆動源は必要としない。突歯6a、6a‥が計量溝5b、5b‥と噛合する際に、計量溝5b、5b‥内に残存する粉体を排出シュート7に強制的に押し出し、あるいは掻き落とすことになる。
【0015】
この作用によって、計量溝5b、5b‥内には粉体が残ってしまうことがなくなり、精巧に定量を排出することが持続して行われる。この作用は粉体の物性にかかわりなく行われるため、粉体の種類によって、その使用を限定されてしまうことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−184778号公報
【特許文献2】特開2010−189073号公報
【特許文献3】特願2011−48628号出願書類
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決しようとする問題点は、収容容器内で対象となる粉粒体を攪拌するが、この作業は主としてブリッジ防止のためであり、ペレット等の大粒の場合、適合せず、かえって、対象物を損傷してしまう虞もあるという点であり、供給盤への対象物の供給がその中心からずれた外周へとなされるため、片寄りが生じてしまうという点である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した問題点を解決するために、本発明に係る粉粒体の定量フィーダ装置は粉粒体の収容容器を有し、その収容容器の下方に設置された駆動部と、その駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、粉粒体を回転搬送する供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートより成る粉粒体の定量フィーダ装置において、前記収容容器はその下端開口を供給盤の中心部分に対応させた小径とし、その収容容器の下端開口縁と供給盤の間に粉粒体の通過する隙間を形成してあることを特徴とし、前記した収容容器は円筒状とした第二の収容容器の下端に接合されると共に、前記隙間を保持、調整するスペーサが設けられていることを特徴としている。
【0019】
また、本発明に係る粉粒体の定量フィーダ装置は前記した供給盤の上面中心部分には供給盤押えが備えられており、その供給盤押えの排出シュート側には粉粒体の漏れ防止部材が備えられており、その漏れ防止部材は収容容器の下端外面に上方を固定してあることを特徴とし、前記した供給盤押えの一部に粉粒体の供給用溝が形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る粉粒体の定量フィーダ装置は上記のように構成されている。そのため、既存のテーブルフィーダを使用しながら、ペレット等の大粒の粉粒体を良好に1粒づつ、もしくは数粒づつを連続して定量で供給することができる。また、スペーサの介在によって粒径に対しての調整も行なうことができ、供給盤の中心部分から対象物を供給するので、片寄りが生じてしまうこともなく、噛み込みや、滑りを防止することができる。加えて、攪拌作業や、摺り切り作業は必要ないものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る粉粒体の定量フィーダ装置を示す機構図である。
【図2】平面図である。
【図3】要部拡大図である。
【図4】材料漏れ防止部材を備えた他の実施例を示す図である。
【図5】要部平面図である。
【図6】従来例を示す機構図である。
【図7】ギア部を示す平面図である。
【図8】搬送系を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
【実施例1】
【0023】
次に、本願発明の好ましい実施の例を図1乃至図5を参照して説明する。尚、従来例と共通する部分については同一符号を付して詳しい説明は省略する。図中9aは架台を示し、この架台9aはリンクアームを組み合わせた構造となっており、ハンドル9bを操作することで上下動を可能としている。
【0024】
ディスクフレーム10の表面にはカバープレート10aが重合されており、回転軸23と対応する部分には、ディスクフレーム10及びカバープレート10aに円孔が形成され、その円孔の内壁は立壁22aとして、後述する対象物Gが周囲に溢れ出ないよう抑制する。
【0025】
回転軸23の上端には供給盤20の中心部が嵌め付けられており、この供給盤20の中心には供給盤押え24が取り付けられている。この供給盤押え24は回転軸23の先突端に嵌着されるものでも、回転軸23の上端面に螺着される有頭ネジでもよい。また、供給盤20は図にあっては周端を下方に向かうテーパとしてあるが、フラットなディスクを用いることもでき、格別に対象物Gを送るための歯の存在は必要としない。
【0026】
また、図中30はカバーケーシングを示しており、このカバーケーシング30は下方に向かって徐々に径が小さくなる円筒状のものとされ、その上下開口縁にはフランジ30a、30bが一体に成形されている。このカバーケーシング30は下方のフランジ30aが前記した立壁22aの外周部分でカバープレート10a上に設置され固定される。
【0027】
このカバーケーシング30内には収容容器(テーパーインナーホッパー)31が設けられている。この収容容器31は上部位置をカバーケーシング30よりやや高くなる構成となっており、上方から下方途中までを徐々に径が小さくなる円筒状とし、そのテーパ部分の最下位置から下端にかけてはストレートな円筒とし、その下端開口は供給盤20の中心部分に対応され、供給盤押え24を被冠する構成となっている。
【0028】
この収容容器31の上面開口にはフランジ31aが一体形成されており、このフランジ31aはカバーケーシング30の上部フランジ30bの上方へ位置され、このフランジ31a、30b間にはリング状をしたスペーサ32が介在されている。このスペーサ32の厚さによって、収容容器31の下端開口縁と供給盤20との隙間距離を保持し、対象物Gの粒径に応じて、その隙間距離を調整することができる。
【0029】
また、収容容器31上には従来例として使用される円筒状の第二の収容容器2が重ねられ、その接合フランジの上方からネジ等の締結要素によってスペーサ32を貫通して、カバーケーシング30の上部フランジ30bと接合固定されている。この第二の収容容器2の連結は、対象物Gの収容量を増加させることを可能とする。
【0030】
さらに、駆動系は従来既存のものを応用使用すると、攪拌軸11は回転することとなるが、この実施例では不使用であるので、事故防止、安全性確保のため、この攪拌軸11を攪拌軸カバー11aによって覆っておく。尚、図中28は回転軸23の軸受を示している。
【0031】
かかる実施例にあって、収容容器31内に投入された対象物Gは、この収容容器31の下端開口縁と供給盤20との隙間から供給盤20の外周方向へ流れ出す。これを供給盤20の回転で排出シュート7まで順次搬送していくが、いきなり、供給盤20の上面から排出シュート7へ行くことを制御するため、供給盤押え24の一部に対象物Gの粒径と合った底面アール状の供給溝24aを形成しておき、対象物Gをガイドすることもできる。この供給溝24aは、当初に供給盤20を回転状態としておき、その後に収容容器31内に対象物Gを投入することでよりよく作用する。
【0032】
一方、図4乃至図5として示すのは他の実施例であり、第二の収容容器2は格別に示していないが、必要に応じて用いることは可能である。この場合、収容容器31と供給盤20との隙間を形成、保持、調整するためのスペーサ32はディスクフレーム10とカバープレート10aの間に介在されている。
【0033】
この場合、供給盤押え24の排出シュート7側には対象物Gの漏れ防止部材33が収容容器31の下端と供給盤20との隙間を塞ぐように設けられている。この漏れ防止部材33はハーフパイプ状のものとされて収容容器31の直管部分の外壁面に固定され、供給された対象物Gがいきなり排出シュート7へ入り込んでしまうことを抑制する。
【0034】
実施例における粉粒体の定量フィーダ装置は上記のように構成されている。格別に図示はしていないが、この装置には収容容器31のテーパ部分内に対象物Gの圧力分散部材を取り付けることもできる。この圧力分散部材としては、錐状あるいは球面状をした笠体の下縁に複数本の支持脚を設け、その支持脚の間を対象物Gが通過するものとする。そして、支持脚をテーパ部分の内壁に当接させる。これによって供給盤20の中心部にかかる圧力は軽減され、供給盤20の回転もスムーズなものとなる。
【0035】
加えて、カバーケーシング30の内面に、排出シュート7の開口近くで、供給盤20の回転二次側に、対象物Gの排出補助板を設けることもできる。この排出補助板は、供給盤20の外形に沿った形状として、供給盤20の回転方向に対し、鈍角に設置することで、排出シュート7に入り損ねた対象物Gを押しとどめ、排出シュート7へと落下させることとなり、排出できずに回転盤20に乗ったまま通過してしまうことを防止する。
【符号の説明】
【0036】
2 収容容器
7 排出シュート
10 ディスクフレーム
10a カバープレート
11a 攪拌軸カバー
20 供給盤
23 回転軸
24 供給盤押え
24a 供給溝
30 カバーケーシング
31 収容容器
32 スペーサ
33 漏れ防止部材
G 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体の収容容器を有し、その収容容器の下方に設置された駆動部と、その駆動部と連動される回転軸に取り付けられ、粉粒体を回転搬送する供給盤と、その供給盤の外方端下に形成された排出シュートより成る粉粒体の定量フィーダ装置において、前記収容容器はその下端開口を供給盤の中心部分に対応させた小径とし、その収容容器の下端開口縁と供給盤の間に粉粒体の通過する隙間を形成してあることを特徴とする粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項2】
前記した収容容器は円筒状とした第二の収容容器の下端に接合されると共に、前記隙間を保持、調整するスペーサが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項3】
前記した供給盤の上面中心部分には供給盤押えが備えられており、その供給盤押えの排出シュート側には粉粒体の漏れ防止部材が備えられており、その漏れ防止部材は収容容器の下端外面に上方を固定してあることを特徴とする請求項1または2に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。
【請求項4】
前記した供給盤押えの一部に粉粒体の供給用溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の粉粒体の定量フィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−246111(P2012−246111A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120019(P2011−120019)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(508038806)株式会社アイシンナノテクノロジーズ (11)
【Fターム(参考)】