説明

粉粒体供給機

【課題】 材料の供回りを防止し、材料の偏析を生ずることなく定量排出できる粉粒体供給機を提供すること。
【解決手段】 底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を支持し、上記底板の回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設け、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、上記内筒の内面に内筒中心方向に突出する二面を有する略三角柱形状の複数の供回り防止突起を設け、上記各供回り防止突起の上記二面のなす角度が鈍角であり、上記供回り防止突起の最大高さが、内筒の半径に対して2%〜3%となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原料の供回りを防止する機能を有する粉粒体供給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体の供給される内筒と外筒を有し、内筒と外筒間に材料の環状通路を設け、外筒底面上で回転する攪拌翼により材料を攪拌しながら、材料通路上に設けた排出口より粉粒体を排出する粉粒体供給機が存在する。
【0003】
かかる供給機では、上記外筒底面上で回転する攪拌翼により、内筒外の材料通路に所定の安息角にて拡がった粉粒体を上記排出口まで運搬して定量排出を可能とするものである(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】実開平6−35235号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の粉粒体供給機は、ホッパー(内筒)内の粉粒体原料が少なくなった場合、粉粒体の物性によっては粉粒体と粉粒体が接触している壁面(底面、内筒内面等)との摩擦抵抗が、攪拌翼による攪拌力より小さくなり、内筒内において粉粒体全体が攪拌翼と共に回転する現象、いわゆる供回りが発生する場合がある。
【0006】
この供回り現象が発生すると、内筒内の粉粒体を材料通路へ誘導する力が無くなり、材料を排出口から機外へ排出することができなくなる。
【0007】
この粉粒体の供回り防止対策として、従来、内筒の内面の対向位置に突起(邪魔板)30を2か所に設け(図11参照)、この邪魔板により供回りする粉粒体に抵抗を与え、供回りを阻止することが提案されている(図11、特許文献1、図5参照)。
【0008】
ところが上記邪魔板30は、内筒内面2aより邪魔板の左右板面が大きく内部に突出する形状であるため(図11参照)、供回りを阻止して粉粒体を材料通路へ誘導する効果は大きいが、攪拌翼の回転方向Aに対して対向面30aが大きな傾斜角度を以って交差するため、供回りする粉粒体が対向面30aに衝突することにより粉粒体に大きな圧力が作用し、邪魔板30近傍の粉粒体に粗密を生ずる場合があった。そしてこれは、内筒2内の対向2箇所でのみ生ずるため、粉粒体材料が、物性の異なる混合材料の場合は、偏析(材料の物理的性質の違いによる成分の偏在)が生ずる可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、ホッパー内の材料の供回りを防止すると共に、材料の偏析を生ずることなく定量排出することのできる粉粒体供給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、上記内筒の内面に、その内周に沿う均等間隔毎に、内筒中心方向に突出する二面を有する縦方向の略三角柱形状の複数の供回り防止突起を設け、上記各供回り防止突起の上記二面のなす角度が鈍角であり、かつ上記供回り防止突起の最大高さが、内筒の半径に対して2%〜3%であることを特徴とする粉粒体供給機により構成されるものである。
【0011】
供回り防止突起の二面は例えば供回り防止突起(10)の突出面(10a,10b)により構成することができる。縦方向とは攪拌翼の回転方向に直交する方向をいう。このように構成すると、供回り防止突起の二面の傾斜が攪拌翼の回転方向に対して小さな角度で交差する緩やかな傾斜面となり、またその最大高さも低いため、1つの供回り防止突起により粉粒体に与えられる圧力を小さくすることができ、その結果、内筒の内周に沿って粉粒体に与える圧力を均等に分散することができ、粉粒体の供回りを防止することができると共に、材料の偏析をも防止することができる。
【0012】
第2に、底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、上記内筒の内面に、その内周に沿う均等間隔毎に、内筒中心方向に突出する円弧面を有する縦方向の柱状の複数の供回り防止突起を設け、かつ上記供回り防止突起の最大高さが、内筒の半径に対して2%〜3%であることを特徴とする粉粒体供給機により構成される。
【0013】
このように構成すると、供回り防止突起の円弧面が攪拌翼の回転方向に対して小さな角度で交差する緩やかな傾斜面(曲面)となり、またその最大高さも低いため、1つの供回り防止突起により粉粒体に与えられる圧力を小さくすることができ、その結果、内筒の内周に沿って粉粒体に与える圧力を均等に分散することができ、粉粒体の供回りを防止することができると共に、材料の偏析をも防止することができる。また、円弧面であるため粉粒体の急激な乱れを抑制して材料の偏析を効果的に抑制し得る。
【0014】
第3に、上記供回り防止突起の円弧面に代えて、内筒中心方向に突出する曲面としたものであることを特徴とする上記第2記載の粉粒体供給機により構成される。
【0015】
上記曲面とは、筒状の面が円弧面以外の縦方向曲面をいい、湾曲面等を含む概念である。
【0016】
第4に、上記各供回り防止突起は、上記内筒の下端から内筒上端方向の所定範囲に設けられているものであることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載の粉粒体供給機により構成される。
【0017】
このように構成すると、供回りが生じやすい粉粒体の減少時に、当該粉粒体に効果的に圧力を作用させることができる。
【0018】
第5に、上記供回り防止突起は、内筒の内周に沿って均等間隔で6個又は8個設けられているものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の粉粒体供給機により構成される。
【0019】
このように構成すると、供回り防止のために粉粒体に与える圧力を内筒の内周に沿って均等に分散することができ、供回りを効果的に防止し得ると共に偏析をも防止し得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したので、供回り防止突起による粉粒体の供回りを防止するための抵抗が内筒内周全体に略均一に分散されるため、粉粒体の供回りを効果的に防止することができると共に、材料の乱れが少ないため材料の偏析をも防止することができ、安定した材料の定量排出を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係る粉粒体供給機の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明に係る粉粒体供給機の基本的構成について図1、図2に基づいて説明する。図1、図2に示すように、底板1’を有する外筒1(有底外筒)の内部に同心円の内筒2を配置し、内筒2の下端2’と底板1’との間に粉粒体の排出間隙tを介在させた状態で内筒2の外周に設けた環状蓋3を外筒1の上端に支持することによって外筒1の環状上端開口部1”を閉鎖し、かつ上記間隙tを保持し、内外筒1,2間に排出粉粒体の環状通路4を形成し、該通路4に排出口5を穿設する。
【0023】
そして上記底板1’の中心に突設した直立回転軸6の上端部に底板上面1aに沿って配置された回転羽根(攪拌翼)7の基部7bを固定して粉粒体フィーダFを形成し、上記有底外筒1を粉粒体供給ケースとするものである。
【0024】
上記回転羽根7は、図1に示すように、その基部7bから外筒1内周に向けて90度毎の4本のスポーク7aにより構成されており、その先端部には外筒1の内周に沿う回転リング(筒状外縁)8が設けられている。この回転リング8には上記スポーク7aと同一高さにおいて内筒2方向に向けて12本の材料移送用スクレーパ(内向回転羽根)9が設けられている。
【0025】
上記粉粒体Pは上記内筒2内に収容されており、上記間隔tから環状通路4に向けて所定の安息角qを以って環状通路4側に広がり、かかる状態で上記直立回転軸6を矢印A方向に駆動することにより、上記粉粒体P内で上記スポーク7a及びスクレーパ9が矢印A方向に回転し、これにより上記内筒2内の粉粒体Pが環状通路4側に掻き出され、掻き出された粉粒体は上記スクレーパ9により環状通路4内を矢印A方向に移動し、排出口5から外部に一定量ずつ排出される。
【0026】
上記回転羽根7の各スポーク7aは、その回転により粉粒体を外周部(環状通路4)側に半強制的に送り出す作用を行う。7a’は、上記各スポーク7aの回転方向A側(進行方向側)の縁部(エッジ)であり、その回転方向(進行方向)Aに沿って縁部7a’方向にその厚みを減少させたテーパ面を形成している。
【0027】
10は、上記内筒2の内面に設けられた供回り防止突起であり、これら供回り防止突起10は、上記内筒2の内面2aにおいて、その内周に沿う均等間隔毎(図1では60度毎)に6箇所に設けられている(図7参照)。
【0028】
これらの供回り防止突起10は同一形状なので、その1つに着目すると、図4に示すように、当該供回り防止突起10は、内筒2の内面2aにおいて内筒半径上の仮想線Rに直交する鉛直中心線Sの方向に、左右方向から緩やかな同一傾斜角度で立ち上がる2つの突出面10a,10bを有している。この供回り防止突起10の上面10cと底面10c’は何れも閉鎖されており、全体として上記中心線Sを内筒2の中心に向けた縦方向(回転翼7の回転方向Aに直交する縦方向)の略三角柱形状をなしている。そして、上記突出面10a,10bは、上記内筒の上端2”から下端2’に至る長さを有しており、その横断面形状は頂点のなす角度θが約140度(鈍角)の略二等辺三角形状をなしている(図9(a)参照)。
【0029】
即ち、上記内筒2の内周には、その内筒中心方向に突出する縦方向の突出面(二面)10a,10bを有する縦方向の略三角柱形状の複数の供回り防止突起10が設けられており、上記各供回り防止突起10の上記突出面10a,10bのなす角度θは鈍角となるように構成されている。
【0030】
また、この供回り防止突起10の突出面10a,10bは、図9(a)に示すように、回転羽根7の回転方向(A方向、回転方向の接線m)に対して小さな角度(図のθ=約20度)で交差する緩やかな傾斜を有するように構成されており、これにより粉粒体Pに及ぼす突起10の1個当たりの圧力は従来の突起より小さくなるように構成している。
【0031】
上記内筒2は、図2に示す上端部2”の上方にさらに延長し、内筒2の容量を増加させることができるが、この場合においても、供回りは粉粒体Pの量が少なくなってきたときに生ずるので、上記各供回り防止突起10は、上記内筒2の下端2’から内筒上端方向の所定範囲(図2の下端部2’から上端部2”に至る範囲)設けることが好ましい。
【0032】
そして、この供回り防止突起10の上記内筒2の内面2aからの最大高さT、即ち、上記内筒2の内面2から上記中心線S(横断面の二等辺三角形の頂点)までの高さTは、当該内筒2の半径rに対して2〜3%(=T/r(%))となるように構成されている(図7参照)。
【0033】
このように供回り防止突起10の高さを従来の供回り防止突起に比較して低く形成すると共に、内筒2の内面に60度毎に6箇所に形成することにより、1つの供回り防止突起10が供回りしようとする粉粒体に及ぼす圧力は小さくなるが、供回り防止突起を6箇所に設けることにより、内筒2の内周の6箇所において粉粒体に均等に分散して上記圧力を及ぼすことができ、従来と同様に粉粒体の供回りを防止することができる。
【0034】
また、このように供回り防止突起10を内筒2の内面2aの全周に亙り均等間隔で6箇所に設けることにより、1箇所の突起10当たりの粉粒体Pに与える圧力は小さく、当該圧力が内筒2の内面全周に亙り均等に分散されているので、供回り防止突起10近傍の粉粒体Pの乱れK(粉粒体の粗密部分)を少なくすることができる(図3、図7参照)。即ち、粉粒体Pの乱れKが少なく、しかも乱れKは内筒2の内周面の均等間隔毎に分散して生ずるため、混合材料の場合であっても偏析を生ずることを防止し得る。
【0035】
尚、上記供回り防止突起10の傾斜面10aはその長手方向が上記仮想線Rに直交する方向(又は長手方向が攪拌翼7の回転方向Aに直交する方向)の縦方向の緩やかな傾斜面であれば良く、突起10の横断面形状は上記二等辺三角形状に限らず、他の横断面三角形状であっても良い。このように上記突起10の傾斜面は、上記仮想線Rに直交する方向(垂直方向)には傾斜のない面をなし、上記垂直方向に直交する方向(水平方向)には斜面(10a,10b)を形成する形状とすることが好ましい(図9(a)参照)。
【0036】
図6に示す供回り防止突起11は、本発明の他の実施形態であり、横断面形状が円弧となるように形成されたものである。この供回り防止突起11は、内筒2の内面2aにおいて、該内面2aの上端から下端に至る長さの円弧面11aにより縦方向(回転翼7の回転方向Aに直交する縦方向)の柱形状に設けられている。即ち、上記内筒2の内面2aに、その内周に沿う均等間隔毎に、内周方向に突出する円弧面11aを有する縦方向の柱状の複数の供回り防止突起が設けられている。また、上記突起11の上面11c、底面11c’は閉鎖されており、全体として縦方向の円弧柱形状となっている。この供回り防止突起11も、図8に示すように、上記突起10と同様に内筒2の内面2aの内周に沿って60度毎に6箇所に形成されている。
【0037】
この供回り防止突起11の円弧面11aにおける円弧は、内筒2の半径r上の仮想線Rの延長線上にある一点を中心とする円弧により形成されており、その最大高さT、即ち、内面2aから円弧の最大高さまでの距離Tは、上記供回り防止突起10と同様に、内筒2の半径の2〜3%(T/r(%))となるように構成されている(図8参照)。
【0038】
この供回り防止突起11の円弧面11aは、図9(b)に示すように、その円弧面上の接線nが回転羽根7の回転方向(矢印A方向、回転方向の接線m)に対して小さな角度(図9(b)のθ=約20度)で交差する緩やかな傾斜(曲面)を有するように構成されており、これにより粉粒体に及ぼす突起11の1個当たりの圧力は従来の突起より小さくなるように構成している。また、円弧面であるため粉粒体Pの急激な乱れKを抑制して材料の偏析をより効果的に抑制し得る作用を有する。
【0039】
また、上記内筒2は、図2に示す上端部2”の上方にさらに延長し、内筒2の容量を増加させることができるが、この場合においても、上記実施形態と同様、上記各供回り防止突起11は、上記内筒2の下端2’から内筒上端方向の所定範囲(図2の下端部2’から上端部2”に至る範囲)設けることが好ましい。
【0040】
このように供回り防止突起11の高さを従来の供回り防止突起に比較して低く形成すると共に、内筒2の内面に60度毎に6箇所に形成することにより、上記突起10と同様に、1つの供回り防止突起11が供回りしようとする粉粒体Pに及ぼす圧力は小さくなるが、供回り防止突起11を6箇所に設けることにより、内筒2の内周2aの6箇所において粉粒体に均等に上記圧力を及ぼすことにより、従来と同様に粉粒体の供回りを防止することができる。
【0041】
また、このように供回り防止突起11を内筒2の内面2aの全周に亙り均等間隔で6箇所に設けることにより、1箇所の突起11当たりの粉粒体に与える圧力は小さく、当該圧力が内筒の全周に亙り均等に分散されているので、供回り防止突起11近傍の粉粒体の乱れK(粉粒体の粗密部分)を少なくすることができる(図5参照)。即ち、粉粒体Pの乱れKが少なく、しかも乱れKは内筒2の内周面の均等間隔毎に分散して生ずるため、混合材料の場合であっても偏析の発生を防止し得る。
【0042】
上記円弧面11aは、上記円弧面を円弧以外の湾曲面とした縦方向の曲面としても良い。即ち、上記供回り防止突起11の突出面の長手方向が上記仮想線Rに直交する方向(又は長手方向が攪拌翼7の回転方向Aに直交する方向)の縦方向の緩やかな円弧面又は曲面であれば良く、上記円弧面又は曲面とは、突起11の長手方向に直交する円弧、曲線を包含する面をいう。このように上記突起11の円弧面又は曲面は、上記仮想線Rに直交する方向(垂直方向)には直線状をなし、上記垂直方向に直交する方向(水平方向)にはある曲率を持った曲面を形成する形状とすることが好ましい。
【0043】
上記各実施形態では、供回り防止突起10,11を60度毎に6個設けた例を示したが、図10に示すように、当該突起10,11を45度毎に8個設けても良い。
【0044】
尚、図2中12は減速機、13は攪拌翼駆動用の電動機、14は粉粒体の流量調節リングである。
【0045】
本発明の粉粒供給機は上述のように構成されているので、次にその動作を説明する。
【0046】
内筒2内に収納された粉粒体Pは、上記排出間隙tから材料通路4内に安息角qを以って拡散している。かかる状態で電動機13を回転させると、スポーク7aが矢印A方向に回転し、同時に材料移送用スクレーパ9が回転する。
【0047】
すると、上記スポーク7aの回転に伴って内筒2内の粉粒体が材料通路4に移行して行き、同時に上記材料通路4内の粉粒体は、スクレーパ9の回転によって矢印A方向に運搬され、排出口5まで運ばれ、当該排出口5から一定量ずつ排出されて行く。
【0048】
このとき、内筒2内の材料が少なくなる等して、粉粒体Pと底板1’との摩擦抵抗、或いは、粉粒体と内筒2内面2aとの摩擦抵抗が比較的小さくなったとしても、粉粒体Pは内筒2の内面2aの内周に均等間隔で6箇所に設けられた供回り防止突起10における6箇所の突出面10a,10bから均等に抵抗(圧力)を受けるため、上記内筒2の内周の均等な6箇所において、粉粒体Pと上記突起10(6箇所)との間の摩擦抵抗が大きくなり、当該摩擦抵抗がスポーク7aの攪拌力より小さくなることはなく、結果として粉粒体Pの供回りを防止することができる。
【0049】
よって、内筒2に均等に配置された6個の供回り防止突起10により、粉粒体に均等に抵抗を分散して与えることができ、これにより材料の供回りを効果的に防止することができる。
【0050】
また、供回り防止突起10の最大高さTは、内筒2の半径rの2〜3%と非常に低く、また供回り防止突起10の突出面10aが攪拌翼7の回転方向に対して緩やかに傾斜しているので(図9(a)参照)、1つの供回り防止突起10の近傍で粉粒体Pに与える圧力は小さく、当該突起10近傍での粉粒体Pの乱れKは非常に少ないので、粉粒体Pの偏析をも防止することができる。
【0051】
即ち、1個の供回り防止突起10近傍での粉粒体Pの乱れKを少なくすると共に、当該供回り防止突起10を内筒2の内周面に均等間隔で6個に分散して設けることにより、粉粒体Pに与える抵抗を分散しつつ、粉粒体Pの乱れKを少なくすることにより、全体として粉粒体Pの偏析をも防止することができる。
【0052】
上記供回り防止突起11を用いた場合においても、同様であり、粉粒体Pと底板1’との摩擦抵抗、或いは、粉粒体と内筒2内面2aとの摩擦抵抗が比較的小さくなったとしても、粉粒体Pは内筒2の内面2aの内周に均等間隔で6箇所に設けられた供回り防止突起11における6箇所の円弧面11aから均等に抵抗(圧力)を受けるため、粉粒体Pと上記突起10(6箇所)との間の摩擦抵抗が大きくなり、当該摩擦抵抗がスポーク7aの攪拌力より小さくなることはなく粉粒体Pの供回りを防止することができる。
【0053】
即ち、内筒2に均等に配置された6個の供回り防止突起11により、粉粒体に均等に抵抗を分散して与えることができ、これにより材料の供回りを効果的に防止することができる。また、供回り防止突起11の高さTは、内筒2の半径rの2〜3%と非常に低く、また供回り防止突起11の円弧面11a(回転方向の対向面)が攪拌翼7の回転方向に対して緩やかに傾斜しているので(図9(b)参照)、1つの供回り防止突起11の近傍で粉粒体Pに与える圧力は小さく、当該突起11近傍での粉粒体の乱れKは非常に少ないので、粉粒体Pの偏析をも防止することができる。
【0054】
即ち、1個の供回り防止突起11近傍での粉粒体Pの乱れKを少なくすると共に、当該供回り防止突起11を内筒2の内周面に均等間隔で6個に分散して設けることにより、粉粒体Pに与える抵抗を分散しつつ、粉粒体Pの乱れKを少なくすることにより、全体として粉粒体Pの偏析をも防止することができる。
【0055】
以上のように、本発明は、供回り防止突起10,11による粉粒体Pの供回りを防止するための抵抗が内筒2の内周2a全体に略均一に分散されるため、粉粒体Pの供回りを効果的に防止することができると共に、粉粒体材料の乱れが少ないため、物理的性質の異なる複数の材料が混在するような混合材料を用いた場合であっても、材料の偏析を効果的に防止することができ、安定した材料の定量排出を可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は粉粒体材料の供回り及び偏析を効果的に防止し得るものであるから、各種の物理的性質の粉粒体材料を定量供給するための粉粒体供給機として各種の分野にて利用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る粉粒体供給機の一部切り欠き平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】同上装置の供回り防止突起近傍の断面図である。
【図4】同上装置の供回り防止突起近傍の斜視図である。
【図5】同上装置の供回り防止突起の断面図である。
【図6】同上装置の供回り防止突起の斜視図である。
【図7】同上装置の供回り防止突起を有する内筒の概略平面図である。
【図8】同上装置の供回り防止突起を有する内筒の概略平面図である。
【図9】(a),(b)共に同上装置の供回り防止突起と攪拌翼の回転方向との関係を示す説明図である。
【図10】同上装置の供回り防止突起を有する内筒の他の実施形態の概略平面図である。
【図11】従来の粉粒体供給機の供回り防止突起近傍の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 外筒
1’ 底板
2 内筒
2a 内面
4 環状通路
5 排出口
6 直立回転軸
7 攪拌翼(回転体)
7a スポーク
8 回転リング(筒状外縁)
9 材料移送用スクレーパ
10 供回り防止突起
10a 突出面
10b 突出面
11 供回り防止突起
11a 円弧面
P 粉粒体
T 最大高さ
r 半径
t 粉粒体排出間隔
q 安息角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、
上記内筒の内面に、その内周に沿う均等間隔毎に、内筒中心方向に突出する二面を有する縦方向の略三角柱形状の複数の供回り防止突起を設け、
上記各供回り防止突起の上記二面のなす角度が鈍角であり、
かつ上記供回り防止突起の最大高さが、内筒の半径に対して2%〜3%であることを特徴とする粉粒体供給機。
【請求項2】
底板に外筒を立設して粉粒体供給ケースとし、上記底板の上方に粉粒体排出間隙を介して内筒を同心に支持し、上記底板の中心に直立回転軸を設け、該回転軸に上記底板上に位置する複数のスポークを設けて回転体を形成し、該回転体の筒状外縁を外筒の内周に近接して内外筒間の環状通路を形成し、上記筒状外縁に上記環状通路方向の材料移送用スクレーパを複数設け、上記粉粒体排出間隙から所定の安息角にて上記環状通路に拡散した粉粒体を上記スクレーパにより粉粒体排出口に移送する粉粒体供給機において、
上記内筒の内面に、その内周に沿う均等間隔毎に、内筒中心方向に突出する円弧面を有する縦方向の柱状の複数の供回り防止突起を設け、
かつ上記供回り防止突起の最大高さが、内筒の半径に対して2%〜3%であることを特徴とする粉粒体供給機。
【請求項3】
上記供回り防止突起の円弧面に代えて、内筒中心方向に突出する曲面としたものであることを特徴とする請求項2記載の粉粒体供給機。
【請求項4】
上記各供回り防止突起は、上記内筒の下端から内筒上端方向の所定範囲に設けられているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粉粒体供給機。
【請求項5】
上記供回り防止突起は、内筒の内周に沿って均等間隔で6個又は8個設けられているものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粉粒体供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−256026(P2009−256026A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105641(P2008−105641)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(592096111)株式会社ヨシカワ (19)
【Fターム(参考)】