説明

粉粒体投入装置、および廃水処理装置

【課題】多湿雰囲気中に粉粒体を効率よく投入する粉粒体投入装置、および廃水処理装置を提供する。
【解決手段】廃水処理装置は、第二気体導入口922から導入される乾燥空気でフィーダ92からシュータ91に過硫酸カリウムの粉粒体を導入し、第一気体導入口912から導入される乾燥空気で粉粒体投入口911から過硫酸カリウムの粉粒体を多湿雰囲気である分解槽本体81の内部に投入する。これにより、粉粒体投入口911の近傍の蒸気が乾燥空気により除去され、粉粒体の湿気による凝固も防止できる。したがって、効率よく粉粒体を多湿雰囲気中に投入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を多湿雰囲気中に投入する粉粒体投入装置、および粉粒体投入装置を備えた廃水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃水中のダイオキシン類などの化学物質を浄化する処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、調整槽にダイオキシン類を含む焼却灰などの固形物を水に添加したスラリーを調整槽に貯留し、このスラリーに薬液槽から金属酸素酸塩や過硫酸塩などの酸素酸塩の溶液を添加する。このとき、汚水物中の固形物の全有機物量の3〜10倍当量の酸素酸塩の容器を加える。また、調整槽には攪拌機が設けられ、常時スラリーと酸素酸塩が攪拌混合されている。そして、調整槽には、紫外線照射槽が接続され、この紫外線照射槽に設けられた管にスラリーを通しつつ紫外線を照射し、化学反応を促進させる構成が採られている。
【0004】
また、特許文献2に記載の方法は、ダイオキシンなどの化学物質を含む化学汚染物質の温度を30度以上100度未満に保ったうえで、1〜80重量%のリン酸水溶液および0.1〜60重量%の過酸化水素水溶液を混合させた酸化剤で化学物質を酸化分解させる方法が採られている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−93999号公報(第4頁ないし第6頁、および図1参照)
【特許文献2】特開2003−285043号公報(第2頁ないし第4頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1および特許文献2に記載のような構成では、水に溶解させた水溶液を添加するため、添加する酸素酸塩水溶液に対して、含有される酸素酸塩の量が少なくなる。このため、ダイオキシン類を効率的に酸化分解するためには、大量の酸素酸塩水溶液が必要となり、装置が大型化してしまうという問題がある。これに対して、酸素酸塩の粉粒体を直接調整槽などの反応槽に添加することも考えられるが、複数の粉粒体が反応槽に添加する添加口近傍で水蒸気により凝固してしまい、粉粒体を投入する粉粒体投入口を塞いでしまうおそれがある。特に特許文献2に示すように、酸化分解反応を効率的に実施するためには、スラリーを30度以上100度未満に加熱することが好ましいが、このようにスラリーを過熱処理すると水蒸気がより多く発生してしまい、この問題がさらに深刻になる。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑み、多湿雰囲気中に粉粒体を効率よく投入する粉粒体投入装置、および廃水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、多湿雰囲気中に粉粒体を投入する粉粒体投入装置であって、前記粉粒体を前記多湿雰囲気に投入する粉粒体投入口が設けられるとともに、この粉粒体投入口に向かって気体を導入する第一気体導入口を備えたシュータと、内部に前記粉粒体が格納されるとともに、前記シュータの内部と連通する略筒状の粉粒体導入部、およびこの粉粒体導入部に向かって気体を導入する第二気体導入口を備えたフィーダと、前記第一気体導入口および前記第二気体導入口の双方に所定の流速の気体を導入する気体導入装置と、を具備したことを特徴とした粉粒体投入装置である。
【0009】
この発明によれば、第二気体導入口から導入される気体でフィーダからシュータに粉粒体を導入し、第一気体導入口から導入される気体でシュータの粉粒体投入口から粉粒体を多湿雰囲気中に投入する。これにより、多湿雰囲気中の蒸気がシュータの粉粒体投入口に進入して粉粒体を湿らせて凝固させることがなく多湿雰囲気中に投入することが可能となる。また、シュータには直接粉粒体が入れられず、フィーダから気体によって送られてくる粉粒体が導入される。これにより、シュータ内に貯留された粉粒体が自重により多湿雰囲気中に大量に投下されたり、粉粒体で粉粒体投入口を塞いでしまったりすることを防止できる。したがって、シュータから投下される粉粒体の量を一定にすることができる。
【0010】
また、本発明では、前記シュータは、撥水材または表面が撥水処理された部材にて形成されることが好ましい。
【0011】
このような発明では、多湿雰囲気に隣接して設けられるシュータが撥水材または表面が撥水処理された部材にて形成されている。これにより、蒸気によりシュータの粉粒体投入口の表面などに水滴が付着しにくくなる。したがって、シュータの粉粒体導入口が濡れて、粉粒体が水滴により凝固してしまうことを防止できる。
【0012】
さらに、本発明では、前記気体導入装置は、前記気体として除湿された乾燥空気または不活性ガスのうち少なくともいずれか一方を前記第一気体導入口および前記第二気体導入口から前記シュータおよび前記フィーダに導入することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、気体導入装置は乾燥空気または不活性ガスのうちいずれか一方を導入する。このため、乾燥空気を導入すると、気体により粉粒体の湿りを防止できる。また、乾燥空気でフィーダおよびシュータ内部を除湿することができ、粉粒体の凝固をより確実に防止できる。また、気体導入装置にて不活性ガスを導入すると、粉粒体と気体との化学反応を防止できる。特に、本発明の粉粒体投入装置を化学反応槽に取り付ける場合などにおいて、反応槽に投入される前の粉粒体の化学変化を防止できる。
【0014】
さらに、本発明では、前記多湿雰囲気は、難分解性物質を含む廃水が貯留される反応槽内部であり、前記粉粒体は、前記難分解性物質を酸化分解する酸化剤であることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、反応槽内部の難分解性物質に粉粒体の酸化剤を投入することで、反応槽内の酸性をより強めることができ、効率よく難分解性物質を酸化分解することが可能となる。
【0016】
特に、粉粒体として過硫酸塩の粉粒体が用いられると、過硫酸塩から重硫酸イオンラジカル、硫酸イオンラジカル、ヒドロキシラジカルが発生して、酸化電位が特に強くなり、廃水中のダイオキシン類をも効率よく酸化してダイオキシン類の濃度を低下させることができる。これにより、ダイオキシン類が含まれる廃水を効率よく浄化することができる。
【0017】
そして、本発明は、前記粉粒体は、粒径が1μmないし1000μmであることが好ましい。
【0018】
この発明よれば、粉粒体の粒径が1μmないし1000μmに形成されている。このため、フィーダからシュータに効率よく粉粒体を導入することができ、特に粉粒体が湿気により凝集することも防止できる。また、反応槽内に投入された後、粉粒体がイオン化しやすく、反応速度を早めることができる。
【0019】
また、本発明は、前記気体導入装置は、0.1vvm(volume per volume per minute)ないし20vvmの流速で前記気体を導入することが好ましい。
【0020】
この発明によれば、気体導入装置は、0.1vvmないし20vvmの流速で気体を導入する。気体の導入流速が0.1vvm未満である場合、気体で多湿雰囲気中の蒸気を除去できず、粉粒体が凝集するおそれがある。また、気体の導入流速が20vvmより大きい場合、導入された気体に対して水分を供給するために分解槽の液レベルが低下してしまうおそれがある。すなわち、分解槽内において、導入される気体に対して、分解槽中の液体が気化してこの気体に水蒸気が供給するが、導入される気体の流量が多い場合、分解槽内の液体の気化量も多くなってしまい、この結果分解槽内の液レベルが低下してしまう。これに対して、0.1vvmないし20vvmの流速で気体を導入することで、粉粒体を効率よくフィーダからシュータ、シュータから多湿雰囲気中に投入することが可能となる。
【0021】
また、本発明の粉粒体投入装置では、前記シュータが前記粉粒体を投入可能に接続されるとともに、内部に前記多湿雰囲気が形成される反応槽を備え、前記シュータは、口径40cm以上の前記反応槽に対して5cmないし10cmの口径に形成されることが好ましい。
ここで、シュータの口径が、口径40cm以上の反応槽に対して5cmよりも小さい場合、ブリッジが形成されやすくなり、このブリッジによりシュータの口が塞がれてしまうため、粉粒体の導入効率が低下してしまうという問題がある。また、このブリッジの形成を回避するために、大量の空気を吹き付けると、例えば粉粒体導入後に分解槽から余分な空気を系外に排出する工程を実施するなどの際に、分解槽中の水分も空気と同時に系外に排出されてしまうおそれがある。このような場合、分解槽中の液レベルが低下して、分解槽内での分解効率が低下してしまう。また、分解槽内に液レベルセンサが設けられた場合などでは、液レベルの低下によりシステムが分解槽破損と判断してシステムを停止してしまうなどのおそれがあり、これを避けるために分解槽内に液を追加するなど、煩雑な作業が必要となる。
一方、シュータの口径が、口径40cm以上の反応槽に対して10cmよりも大きい場合、気体導入装置から多くの空気を吹き付ける必要があるため、前記した口径が5cmよりも小さい場合に起こる問題点のほか、気体導入装置が大型化してしまったり、気体導入装置の駆動に必要な電力が大きくなったり、装置上の問題で限定されてしまったりするという問題がある。
これに対して、上記のように本発明では、シュータの口径が、口径40cm以上の反応槽に対して5cmないし10cmに形成されることで、ブリッジの形成を良好に防止でき、導入する空気も多くならないため、気体導入装置の大型化なども回避することができる。
なお、反応槽の上部に設けられる蓋には、前記シュータの他にも、温度ヒータ、液レベルセンサ、電導度計、攪拌翼などが設置される。このため、反応槽の口径を40cmよりも小さくした場合、蓋の面積も小さくなり、これらの他の装置との配置バランスが悪化したり、反応槽へのこれらの装置の取り付けが困難になったりするおそれがある。このような配置バランスや反応槽への取り付け安さ、その他、実際の装置における反応槽での反応効率などを考慮すると、反応槽の口径としては45cmないし55cmに設定することが好ましい。
【0022】
そして、本発明の廃水処理装置は、上記のような粉粒体投入装置と、内部に廃水が貯留されて廃水の蒸気により多湿雰囲気を形成し、前記粉粒体投入装置から投入される前記粉粒体により前記廃水を処理する反応槽と、を具備したことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、上述のように、反応槽の多湿雰囲気中でも、効率よく粉粒体を凝固させることなく投入することができ、粉粒体の投入効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る一実施の形態の廃水処理装置について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る一実施の形態の廃水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。図2は、本実施の形態の化学分解工程を実施する分解槽の構成の概略を示す模式図である。
【0025】
[廃水処理設備の構成]
図1において、1は廃水処理装置であり、この廃水処理装置1は、工業廃水や生活廃水などの廃水中に含まれるダイオキシン類などの難分解性物質を分解し、無害化する装置である。ここで、難分解性物質のダイオキシン類としては、例えば、ハロゲン化ジベンゾオキシン類やハロゲン化ジベンゾフラン類、PCB類(特にオルト位以外に塩素原子が置換したコプラナーPCB類)などが挙げられる。ダイオキシン類以外の難分解性物質をしては、例えば、アルキルフェノール類や、ハロゲン化フェノール類や、多環芳香族炭化水素、フタル酸エステルなどが挙げられる。また、これらのダイオキシン類、PCB類のほか、ジクロロプロパン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロエチレンなどの難分解性有機ハロゲン化合物なども、本実施の形態は廃水処理装置1で分解および除去処理することができる。そして、廃水処理装置1は、還元性物質投入部10と、膜濃縮処理工程20と、吸着処理工程30と、膜濾過処理工程40と、光分解工程50と、凝集分離工程60と、固液分離工程70と、化学分解工程80と、などを備えている。
【0026】
還元性物質投入部10は、ダイオキシン類などの難分解性物質を含有する廃水に還元剤を投入し、廃水中の遊離塩素を中和する。具体的には、還元性物質投入部10は、図示しない貯留タンクを備えており、この貯留タンクに廃水を貯留する。そして、図示しない還元剤投入装置により廃水中に還元剤として例えば重亜硫酸ナトリウム水溶液が投入される。また、貯留タンクは、図示しない攪拌手段を備え、この攪拌手段により重亜硫酸ナトリウム水溶液と廃水とが攪拌され、中和反応が促進される。そして、還元性物質投入部10により中和された廃水は、図示しないポンプにより膜濃縮処理工程20に送られる。なお、還元剤としては、本実施の形態では重亜硫酸ナトリウムの水溶液を用いるが、これに限らず、例えばメタ重亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄などが挙げられる。
【0027】
膜濃縮処理工程20は、還元性物質投入部10にて還元剤の投入により中和された廃水をプレフィルター21、逆浸透膜(RO膜)22により濾過処理する。
【0028】
プレフィルター21は、還元性物質投入部10から送られてくる廃水を最初に濾過し、廃水中の懸濁物質を除去する。ここで懸濁液を除去された廃水は、図示しないポンプによりRO膜22に送られる。
【0029】
RO膜22は、プレフィルター21で濾過された廃水をさらに膜処理する。このRO膜22の材料としては、例えばポリアミド系、脂肪族アミン縮合系、複素環ポリマー系、酢酸セルロース系、ポリエチレン系、ポリビニルアルコール系、ポリエーテル系などの樹脂材料が用いられる。そして、このRO膜22では、廃水に高圧をかけることで、RO膜22を浸透する膜透過水と、浸透しなかった濃縮水とを分離する。ここで、RO膜22を浸透した膜透過水は、水質排出基準値(10pg−TEQ/L)以下であれば、外部に排出することができる。また、浸透しなかった濃縮水は、図示しないポンプにより吸着処理工程30に送られる。
【0030】
吸着処理工程30は、膜濃縮処理工程20から送られた廃水に吸着剤として酸化チタンを添加し、この酸化チタンにダイオキシン類などの難分解性物質を吸着させる。すなわち、吸着処理工程30は、微細な難分解性物質を比較的サイズの大きい酸化チタンに吸着させ、膜濾過処理工程40にて濾過可能なサイズにする。なお、吸着剤として、本実施の形態では酸化チタンを用いる例を示すが、これに限らず、例えばゼオライト、珪藻土、酸性白土、活性白土、カーボンブラックなどの無機質多孔体、金属酸化物、金属粉末などの無機系吸着剤、活性炭やイオン活性樹脂、これらを組み合わせたものなどを用いてもよい。また、吸着処理工程30には、図示しない攪拌手段が設けられ、この攪拌手段にて廃水を攪拌することで効率よく酸化チタンに難分解性物質を吸着することが可能となる。そして、吸着処置工程30にて処理された廃液は、図示しないポンプなどにより膜濾過処理工程40に送られる。
【0031】
膜濾過処理工程40は、限外濾過膜(UF膜)41を備え、このUF膜41により吸着処理工程30から送られた廃水をさらに膜処理する。そして、UF膜41を透過した膜透過水は、水質排出基準値(10pg−TEQ/L)以下であれば、外部に排出することができる。一方、UF膜を透過しなかった濃縮水は、光分解工程50に送られる。
【0032】
光分解工程50は、膜濾過処理工程40から送られた廃水に、紫外線を照射して難分解性物質の一部を分解する。この分解処理により、廃水処理装置1による廃水処理後の排水中の難分解性物質の濃度をより低濃度に低下可能となる。この光分解工程50は、図示しない攪拌手段と、紫外線ランプと、を備え、紫外線ランプにより紫外線を照射しつつ、攪拌手段にて廃液を攪拌することでより分解能を向上させている。そして、光分解工程50にて一部の難分解性物質が分解された廃水は、図示しないポンプにより凝集分離工程60に送られる。
【0033】
凝集分離工程60は、光分解工程50から送られた廃水に凝集剤を添加する。具体的には、この凝集分離工程60は、図示しないフィーダを備え、このフィーダから凝集剤が添加される。また、凝集分離工程60は攪拌手段を有し、廃液を攪拌することで難分解性物質の凝集を促進する。なお、凝集剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ塩化アルミニウム、ゼオライトなどの無機系凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、各種アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤などの有機系凝集剤などが使用できる。そして、凝集分離工程60は、図示しないポンプにて、凝集剤が添加された廃液を固液分離工程70に送る。
【0034】
固液分離工程70は、凝集分離工程60から送られた廃液における凝集剤により凝集された難分解性物質を沈降させ、沈降した廃液(スラリー)と、上澄み液とに分離する。また、固液分離工程70は、図示しない攪拌手段を備えている。この攪拌手段は、沈降したが固まらないように低速で緩やかにスラリーを攪拌する。そして、固液分離工程70は、沈降したスラリーを化学分解工程80に送り、上澄み液を吸着処理工程30に送る。
【0035】
化学分解工程80は、固液分離工程70で沈降したスラリーを酸化分解する工程である。この化学分解工程80は、図2に示すように、反応槽としての分解槽本体81と、分解槽本体81の上部に設けられる粉粒体投入装置90と、を備えた化学分解槽にて実施される。
【0036】
分解槽本体81は、固液分離工程70から送られる廃水(スラリー)を槽内部に導入する廃水導入口と、分解槽本体81の天面を覆う蓋部82と、を備えている。この分解槽本体81は、略円筒状に形成され、口径Lが例えば45cmないし55cmに形成されている。
また、分解槽本体81の内部には、攪拌手段813が設けられ、貯留されたスラリーを攪拌している。さらに、分解槽本体81の蓋部82には、ベント熱交換83が設けられている。このベント熱交換83は、分解槽本体81内部の蒸気を図示しないフィルターを介して外部に放出する。
さらに、分解槽本体81には、図示しないヒータが設けられている。このヒータは、分解槽本体81内部のスラリーを常時40度以上100度未満に加熱している。これにより、分解槽本体81内部はスラリーから蒸発した水蒸気により多湿雰囲気となる。
【0037】
さらには、分解槽本体81には、図示しない液レベルセンサが設けられている。この液レベルセンサは、分解槽本体81内に貯留されたスラリーの液量を検出する。この液レベルセンサは、図示しない制御装置に電気的に接続されており、分解槽本体81内のスラリーの液量が所定の液レベル以上および所定の液レベル以下になると、制御装置に所定の信号を出力する。そして、制御装置は、液レベルセンサから所定の信号が入力されたことを認識すると、例えば廃水導入口に設けられる図示しない開閉弁を閉状態にするなどしてスラリーの導入を停止させ、例えば図示しない警報装置などを起動させるなどして、化学分解工程80において異常が発生したことを報知する。
【0038】
粉粒体投入装置90は、分解槽本体81の上部の蓋部82の一部に取付けられている。この粉粒体投入装置90は、分解槽本体81内部のスラリーに酸化剤として過硫酸カリウムの粉粒体を投入する装置である。そして、この粉粒体投入装置90は、シュータ91と、フィーダ92と、気体導入装置93と、などを備えている。
【0039】
シュータ91は、略筒状に形成され、この筒の一端面が分解槽本体81の内部に臨む状態に蓋部82に固定されている。このシュータ91の口径Mは、口径Lの分解槽本体81に対して、5cmないし10cmに形成されている。ここで、シュータ91の口径Mが5cm未満に形成されている場合、過硫酸カリウムの粉粒体が詰まるなどして、いわゆるブリッジを形成されやすくなり、過硫酸カリウムの粉粒体の分解槽本体81への移送が困難となる。一方、シュータの口径Mが10cmよりも大きくなると、後述の気体導入装置93でより大量の乾燥空気を導入する必要が生じ、気体導入装置93をより高性能したり、大型化したりする必要がある。また、乾燥空気の導入量を増加させると、ベント熱交換83から分解槽本体81内の乾燥空気だけではなく、分解槽本体81中の水分も排出されるおそれがあり、この場合、分解槽本体81中の水分の液レベルが低下してしまい、分解槽本体81での分解効率が低下してしまったり、液レベルの低下により液レベルセンサが異常を検出して廃水処理動作が停止されてしまったりするなどの問題も発生する。さらに、この問題を解決するために、分解槽本体81中に液を追加する必要性も生じ、廃水処理動作が煩雑になってしまう。
これに対して上記のように、シュータ91の口径Mを5cmないし10cmに形成することで、過硫酸カリウムの粉粒体のブリッジ化を防止でき、大型の気体導入装置93を用いる必要性もなく、良好に粉粒体を分解槽本体81内に投入することが可能となる。
【0040】
また、このシュータ91は、テフロン(登録商標)などの撥水材にて形成されている。また、シュータ91は、分解槽本体81の内部に臨む前記一端面に粉粒体投入口911が形成されている。また、シュータ91の他端面には、第一気体導入口912が設けられ、さらにシュータ91の側面には、連結管921が接続される連結孔913が形成されている。このシュータ91は、フィーダ92から連結管921を通って送り込まれる過硫酸カリウムの粉粒体を、第一気体導入口から導入される所定流速の乾燥空気(気体)により粉粒体投入口911に吹き付ける。そして、粉粒体投入口911の近傍の水蒸気をこの乾燥空気で除去しつつ、過硫酸カリウムの粉粒体を分解槽本体81内部に投入する。
【0041】
なお、本実施の形態では、シュータ91の素材として撥水材であるテフロンを用いるが、これに限らず、例えば、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂、ノボラック系ビニルエステル樹脂、変性ノボラック系ビニルエステル樹脂、臭素化ビスフェノール系ビニルエステル樹脂、イソフタル酸不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂、ヘット酸系不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの各撥水材を用いてもよい。
【0042】
フィーダ92は、内部に過硫酸カリウムの粉粒体を格納している。また、フィーダ92は、シュータ91の連結孔913と粉粒体導入部としての連結管921で連結され、フィーダ92の内部とシュータ91の内部とが連通されている。また、フィーダ92は、第二気体導入口922が形成され、この第二気体導入口から導入される乾燥空気(気体)によりフィーダ92内に格納される過硫酸カリウムの粉粒体が連結管921に向かって吹き付けられる。
【0043】
ここで、フィーダ92に格納される粉粒体として、過硫酸塩である過硫酸カリウムを用いる例を示したが、これに限られず、過硫酸塩として、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸水素カリウム、過硫酸鉛、過硫酸ルビジウムなどを利用してもよい。また、酸化剤としては、過硫酸塩に限らず、例えば過マンガン酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過酸化亜鉛、過酸化カドミウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化クロムなどの各種金属塩、過酸化水素、オゾンおよび金属触媒と水素供給体の併用系などを用いてもよい。これらの中でも、特に過硫酸塩、過マンガン酸塩は他の酸化剤よりも強い酸化電位を持つため、本実施の形態では、過硫酸塩、または過マンガン酸塩を用いることが好ましい。
【0044】
さらに、過硫酸カリウム粉粒体の粒子径としては、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上800μm以下である。ここで、過硫酸カリウムの粒子が1μm未満である場合、少量の湿度で容易に粉粒体が湿ってしまうため、過硫酸カリウム粉粒体が凝集しやすくなる。一方、粒子径が1000μmよりも大きい場合、粉粒体を分解槽本体81に投入した後、スラリーに溶解しにくく、酸化作用の効率が低下するおそれがある。
【0045】
そして、本実施の形態の粉体投入装置90では、連結管921に図示しないスクリュが挿通され、スクリュの回転により過硫酸カリウムの粉粒体がシュータ91に導入される。すなわち、第二気体導入口922から吹き付けられる乾燥空気により過硫酸カリウムの粉粒体がスクリュに圧縮され、スクリュが回転することでシュータ91の内部に過硫酸カリウムの粉粒体を所定量ずつ送り出す。また、第二気体導入口922から導入される乾燥空気の圧力は、第一気体導入口912からから導入される乾燥空気の圧力を同圧であるため、シュータ91からフィーダ92に粉粒体が逆流することはない。
【0046】
気体導入装置93は、第一気体導入口912および第二気体導入口922に接続される気体導入管931を備えている。そして、気体導入装置93は、所定流速の乾燥空気を常時気体導入管931に導入し、第一気体導入口912および第二気体導入口922からシュータ91内およびフィーダ92内に乾燥空気を送り出している。ここで乾燥空気の導入流速としては、0.1vvm(volume per volume per minute)以上20vvm以下であることが好ましく、0.5vvm以上10vvm以下であることが好ましい。ここで乾燥空気の流速が0.1vvm以下である場合、シュータ91の粉粒体投入口911からの乾燥空気の吹きつけ量が少なくなるため、粉粒体投入口911近傍の水蒸気を充分に除去できず、シュータ91内に水蒸気が進入して粉粒体が凝固してしまうおそれがある。一方、乾燥空気の流速が分解槽本体81に対して20vvm以上である場合、導入される乾燥空気に分解槽本体81内のスラリーから多くの水分が気化してしまうため、分解槽本体81の液レベルが著しく低下してしまう。なお、乾燥空気の流速は、0.1vvm以上20vvm以下の範囲内であれば、スラリーに含まれる難分解性物質の濃度により適宜変更すればよいが、0.5vvm以上20vvm以下の流速であれば、難分解性物質を産業廃棄物の処理排出基準値(3000pg−TEQ/g)以下まで安定して酸化分解することができる。
【0047】
そして、化学分解工程80では、上記のように過硫酸カリウムの粉粒体が兼ねるにより分解され、重硫酸イオンラジカル、硫酸イオンラジカル、ヒドロキシラジカルが発生し、これらのラジカルがダイオキシンなどの難分解製物質を酸化分解する。また、化学分解工程80は、図示しない排出機構から酸化分解された難分解性物質を無害化されたスラリーとして排出する。
【0048】
[廃水処置装置の動作]
(廃水処理装置の全体の動作)
次に廃水処理装置1の動作について図1に基づいて説明する。
【0049】
廃水処理装置1に、例えば汚水用配水管から工業廃水や生活廃水が導入されると、これらの廃水はまず還元性物質投入部10に貯留される。そして、この還元性物質投入部10において、廃水に還元剤である重亜硫酸ナトリウム水溶液が投入され、廃水中の遊離塩素が中和される。
【0050】
次に、廃水処理装置1は、還元性物質投入部10の廃水を膜濃縮処理工程20に送り出す。そして、この膜濃縮処理工程20において、先ずプレフィルター21により廃水中の懸濁物質を除去する。この後、プレフィルター21を通過した廃水はRO膜22にて膜処理され、RO膜22を透過しなかった濃縮水を吸着処理工程30に送り出す。一方、RO膜22と透過した膜透過水は、産業廃棄物の排出基準値を満たす無害な水として排出される。
【0051】
この後、廃水処理装置1は、吸着処理工程30に貯留された廃水に酸化チタンを投入し、廃水中の難分解性物質を酸化チタンに吸着させる。そして、酸化チタンに難分解性物質を吸着させた廃水を膜濾過処理工程40のUF膜41にて膜処理する。ここでUF膜41を透過した膜透過水は産業廃棄物の排出基準値を満たす無害な水として排出される。一方、UF膜41を透過しなかった濃縮水は光分解工程50に送り出される。
【0052】
そして、廃水処理装置1は、光分解工程50で廃水(濃縮水)に紫外線を照射し、廃水中の難分解性物質の一部を光分解させる。この後、廃水処理装置1は、廃水を凝集分離工程60に送りだし、凝集剤を投入する。そして、凝集材により、酸化チタンに吸着された難分解性物質が凝集されると、固液分離工程70にてこの凝集された廃水(スラリー)を沈降させる。ここで沈降したスラリーは化学分解工程80に送られる。一方、沈降しなかった上澄み液は、再び吸着処理工程30に送り出される。
【0053】
この後、化学分解工程80において、過硫酸カリウムの粉粒体がスラリーに投入され、40度以上100度未満の温度において難分解性物質が酸化分解される。難分解性物質が酸化分解されたスラリーは、産業廃棄物の排出基準値を満たす無害化されたスラリーとして排出される。
【0054】
(化学分解工程における処理)
次に、化学分解工程80における分解槽本体81の難分解性物質の酸化分解の動作について説明する。
【0055】
化学分解工程80では、まず、図示しないヒータによりスラリーの温度が40度以上100度未満に加熱される。この後、気体導入装置93を駆動させて所定流速の乾燥空気をシュータ91およびフィーダ92に導入する。そして、乾燥空気がフィーダ92に導入されると、連結管911に挿通されるスクリュの回転数に応じた量の過硫酸カリウムの粉粒体が連結管921を通ってシュータ91に送り出される。さらに、シュータ91に送り出された粉粒体は、第一気体導入口912から導入される乾燥空気により粉粒体投入口が分解槽本体81に投入される。この際、乾燥空気により粉粒体投入口911近傍の水蒸気が除去され、粉粒体が水蒸気により凝集することがなく分解槽本体81に投入される。
【0056】
ここで、ダイオキシン濃度が100000pg−TEQ/gである10%スラリー50Lに、図2に示すような粉粒体投入装置90を用いて、平均粒子径が5μmないし800μmの過硫酸カリウム粉体を50g/hr、2時間/日添加し、5日間反応させる実験を実施した。この時、乾燥空気の通気量を0.001vvm、10vvm、20vvmとして、それぞれにおいて反応実験を実施した。なお、乾燥空気の導入により液レベルが低下した場合には、スラリー中に水を追加して上記50Lの液量を保った。
【0057】
この実験において、乾燥空気の通気量を0.001vvmをした場合のみ、反応後のスラリーのダイオキシン濃度が28000pg−TEQ/gとなり、処理排出基準値(3000pg−TEQ/g)に処理することができなかった。これは、乾燥空気の流速が0.1vvm以下である場合、粉粒体投入口911に分解槽本体81中の水蒸気が浸入し、硫酸カリウムの粉粒体が凝集することにより、分解槽本体81中に投入される過硫酸カリウムの粉粒体の投入量が減少するためである。また、乾燥空気の流速が10vvm、20vvmの場合には、粉粒体の凝集はないことが確認でき、反応後のダイオキシン濃度は950pg−TEQ/gであった。ただし、乾燥空気の流速が10vvmの場合にくらべ、20vvmの場合では、分解槽本体81に追加する水が多く必要となった。すなわち、乾燥空気の流速が20vvmである場合に比べて、乾燥空気の流速が10vvmである場合の方が、より効率よくダイオキシンを分解できることが確認できた。
【0058】
次に、ダイオキシン濃度が100000pg−TEQ/gである10%スラリー50Lに、図2に示すような粉粒体投入装置90を用いて、過硫酸カリウム粉体を50g/hr、2時間/日添加し、70℃で5日間反応させる実験を実施した。なお、乾燥空気の流量は、1vvmとした。この時、過硫酸カリウム粉体の平均粒子径を5μmないし800μm、および1μm未満として、それぞれの場合について実験した。
【0059】
上記実験において、過硫酸カリウムの平均粒子径が5μmないし800μmである場合、反応後のスラリー中のダイオキシン濃度は、950pg−TEQ/gであった。また、過硫酸カリウムの平均粒子径が0.1μm未満である場合、粉体投入口911で過硫酸カリウムの粉粒体が凝集した。これは、過硫酸カリウム粉体の粒子径が小さすぎるため、分解槽本体81中の水蒸気により過硫酸カリウム粉体が分解槽本体81中に投入される前に湿ってしまい、粉体投入口911にて凝集したと考えられる。なお、過硫酸カリウム粉体が0.1μm未満である場合においても、ダイオキシン濃度は処理排出基準値以下となることが確認できた。
【0060】
[本実施の形態の作用効果]
上述したように、上記一実施の形態の廃水処理装置1は、第二気体導入口922から導入される乾燥空気でフィーダ92からシュータ91に過硫酸カリウムの粉粒体を導入し、第一気体導入口912から導入される乾燥空気で粉粒体投入口911から過硫酸カリウムの粉粒体を多湿雰囲気である分解槽本体81の内部に投入する。このため、粉粒体投入口911の近傍の蒸気が乾燥空気により除去されるので、粉粒体投入口911に水蒸気が進入することがなく、粉粒体の湿気による凝固も防止できる。また、フィーダ92の第二気体導入口922から導入される乾燥空気の圧力、および第一気体導入口912から導入される乾燥空気の圧力が略同圧力となるため、過硫酸カリウムの粉粒体がシュータ91からフィーダ92に逆流することがない。したがって、シュータ91から投下される粉粒体の量を一定にすることができる。
【0061】
また、シュータ91は、テフロンにて形成されている。このため、分解槽本体81内の蒸気により粉粒体投入口911への水滴の付着を防止できる。したがって、シュータ91の粉粒体投入口911が濡れて、粉粒体が凝集してしまうことを防止できる。また、テフロンは、外部衝撃に強く、製造性も良好であるため、分解槽本体81の図示しない取り付け口に合わせて容易に製造加工することができ、乾燥空気の噴きつけにより内部圧力が増大したとしても破損することがなく、良好に粉粒体を分解槽本体81内に導入することができる。
【0062】
さらに、気体導入装置93は乾燥空気を送り出している。このため、粉粒体の湿気を防止でき、シュータ91内およびフィーダ92内をも乾燥空気により乾燥させることができる。したがって、粉粒体の湿気による凝集をより確実に防止できる。
【0063】
さらに、分解槽本体81に難分解性物質を含むスラリーが貯留され、この難分解製物質を分解するための酸化剤の粉粒体を投入する。このため、難分解性物質に対して粉粒体の酸化剤を投入することで、スラリー中の酸化電位を強くすることができ、効率よく難分解性物質を酸化分解することができる。
【0064】
また、分解槽本体81に貯留されるスラリーにはダイオキシン類の難分解製物質が含まれ、これに対して、過硫酸カリウムの粉末を投入している。過硫酸カリウムは、スラリー中に投入されると、重硫酸イオンラジカル、硫酸イオンラジカル、ヒドロキシイオンラジカルを発生して、高い酸化電位を発生させる。このため、効率よくダイオキシン類を含む難分解性物質を酸化分解することができる。
【0065】
さらに、分解槽本体81の内部には、スラリーを攪拌する攪拌手段が設けられているので、上記のような酸化分解反応をより早めることができ、より効率よく難分解性物質を分解することができる。
【0066】
そして、過硫酸カリウムの粉粒体は、粒径が1μmないし1000μmに形成されている。このため、過硫酸カリウムの粉粒体が湿気により凝集することが防止できる。また、分解槽本体81内に投入された後、過硫酸カリウムの粒径が大きすぎないので、イオン化しやすく、反応速度を早めることができる。
【0067】
また、気体導入装置は、0.1vvmないし20vvmの流速で乾燥空気を導入する。このため、効率よくフィーダ92からシュータ91に適量の粉粒体を導入することができ、粉粒体投入口近傍の水蒸気を効率よく除去することができる。また、乾燥空気による分解槽本体81内のスラリーの液レベルの過剰な低下をも防止できる。したがって、分解槽本体81内のスラリーに対して適量の過硫酸カリウムの粉粒体を投入することができ、効率よく難分解性物質を酸化分解することができる。
【0068】
そして、シュータ91の口径Mは、口径Lが45cmないし55cmの分解槽本体81に対して、5cmないし10cmに形成されている。
このため、シュータ91内に過硫酸カリウムの粉粒体のブリッジが発生せず、気体導入装置93から導入させる乾燥空気の量も増加させる必要がないため、良好に粉粒体をシュータ91から分解槽本体81の内部に投入することができる。
【0069】
[実施の形態の変形]

なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0070】
例えば、上記実施の形態では、廃水処理装置1の化学分解工程80に本発明の粉粒体投入装置90を設ける構成を示したが、これに限らない。例えば、粉粒体投入装置90を、凝集分離工程60、吸着処理工程30、還元性物質投入部10などに取付けてもよい。粉粒体投入装置90を凝集分離工程60に取付ける場合、粉粒体として凝集材をフィーダ92に格納すればよい。また、吸着処理工程30に取付ける場合は、粉粒体として酸化チタンを用いればよい。さらに、還元性物質投入部10に取付ける場合には、粉粒体として還元性物質を用いればよい。さらには、廃水処理装置1に限らず、その他の装置に粉粒体投入装置90を設ける構成としてもよい。例えば、粉粒体として小麦粉を用いたパン生地作成装置などの食料用の粉粒体を扱う装置など、粉粒体を多湿雰囲気中に投入するいかなる装置に適用してもよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、気体導入装置93は、乾燥空気をシュータ91およびフィーダ92に導入したが、不活性ガスを導入する構成としてもよい。さらに、乾燥した不活性ガスを導入する構成としてもよい。この構成では、例えば炭素やナトリウムなどの粉粒体が空気に接触することで化学反応してしまうような場合に特に有効であり、これらの粉粒体を化学反応させることなく、多湿雰囲気中に投入することができる。
【0072】
さらに、上述したように、分解槽本体81に投入される粉粒体として、過硫酸カリウムに限らず、例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのその他の過硫酸塩であってもよく、過マンガン酸塩などのその他の酸化剤と用いてもよい。
【0073】
また、過硫酸カリウムの粒子径を1μm以上1000μm以下であることが好ましいとしたが、粉粒体投入装置90を用いる装置により適宜変更することができる。例えば、粉粒体として吸着剤として用いる酸化チタンを投入する場合、粒子径を大きくしてもよい。これらは投入する粉粒体および粉粒体投入装置を取付ける装置により適宜変更することができる。このような場合でも、粉粒体の粒子径を大きくする場合、気体導入装置から導入される気体の流速を大きくしたり、シュータ91の容積や粉粒体投入口911の大きさを大きくしたり、攪拌手段による攪拌を効率よく実施したりすることで、粉粒体の凝集や過剰投入を回避することができる。また、粒子径が小さい場合でも、乾燥空気の流速を大きくするなどして、過硫酸カリウムの湿りを防止することで、過硫酸カリウムの凝集を防止することができる。
【0074】
また、気体導入装置93の気体の流速についても同様であり、投入する粉粒体および粉粒体投入装置を取付ける装置により適宜変更することができる。
【0075】
そして、上記実施の形態において、シュータ91は、テフロンにて形成されている例を示したが、上述したように、テフロンに限らず、例えば、ビスフェノール系ビニルエステル樹脂、ノボラック系ビニルエステル樹脂、変性ノボラック系ビニルエステル樹脂、臭素化ビスフェノール系ビニルエステル樹脂、イソフタル酸不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂、ヘット酸系不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの各撥水材にて形成されていてもよく、撥水材をシュータ91に塗布するものであってもよい。また、上記したアクリル樹脂などの透明性の高い撥水材を用いた場合、テフロン(登録商標)の場合と同様に撥水性に優れ、粉粒体が凝集してしまうことを防止できるほか、シュータ91内の粉粒体の状態を容易に視認することができ、シュータ91内でブリッジなどが発生しているか否かを容易に確認することができる。
【0076】
さらに、反応槽本体80は、液レベルを検出するセンサと、水補充口とを備え、センサにてスラリーの液量が所定の液レベル以下となったことが検出されると、水補充口から水がスラリー中に補充される構成としてもよい。このような構成であれば、気体導入装置93から導入される乾燥空気の流量が大きい場合であっても、スラリーの液レベルの低下を防止することができる。
【0077】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の粉粒体投入装置は、粉粒体を多湿雰囲気中の反応槽に投入する化学分解槽、食料用粉粒体を多湿雰囲気中の製造装置に導入する装置など、粉粒体を多湿雰囲気中に投入するいかなる装置に対しても広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る一実施の形態の廃水処理装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】本実施の形態の化学分解工程を実施する分解槽の構成の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
【0080】
1 …廃水処理装置
81 …反応槽としての分解槽本体
90 …粉粒体投入装置
91 …シュータ
92 …フィーダ
93 …気体導入装置
911…粉粒体投入口
912…第一気体導入口
921…粉粒体導入部としての連結管
922…第二気体導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多湿雰囲気中に粉粒体を投入する粉粒体投入装置であって、
前記粉粒体を前記多湿雰囲気に投入する粉粒体投入口が設けられるとともに、この粉粒体投入口に向かって気体を導入する第一気体導入口を備えたシュータと、
内部に前記粉粒体が格納されるとともに、前記シュータの内部と連通する略筒状の粉粒体導入部、およびこの粉粒体導入部に向かって気体を導入する第二気体導入口を備えたフィーダと、
前記第一気体導入口および前記第二気体導入口の双方に所定の流速の気体を導入する気体導入装置と、
を具備したことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒体投入装置であって、
前記シュータは、撥水材または表面が撥水処理された部材にて形成された
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉粒体投入装置であって、
前記気体導入装置は、前記気体として除湿された乾燥空気または不活性ガスのうち少なくともいずれか一方を前記第一気体導入口および前記第二気体導入口から前記シュータおよび前記フィーダに導入する
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粉粒体投入装置であって、
前記多湿雰囲気は、難分解性物質を含む廃水が貯留される反応槽内部であり、
前記粉粒体は、前記難分解性物質を酸化分解する酸化剤である
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉粒体投入装置であって、
前記難分解性物質は、ダイオキシン類化合物であり、
前記酸化物は、過硫酸塩の粉粒体である
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の粉粒体投入装置であって、
前記粉粒体は、粒径が1μmないし1000μmである
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項7】
請求項4または請求項5に記載の粉粒体投入装置であって、
前記気体導入装置は、0.1vvmないし20vvmの流速で前記気体を導入する
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の粉粒体投入装置であって、
前記シュータが前記粉粒体を投入可能に接続されるとともに、内部に前記多湿雰囲気が形成される反応槽を備え、
前記シュータは、口径40cm以上の前記反応槽に対して5cmないし10cmの口径に形成された
ことを特徴とした粉粒体投入装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の粉粒体投入装置と、
内部に廃水が貯留されて廃水の蒸気により多湿雰囲気を形成し、前記粉粒体投入装置から投入される前記粉粒体により前記廃水を処理する反応槽と、
を具備したことを特徴とした廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−152343(P2007−152343A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301949(P2006−301949)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】