説明

粉粒物の搬送装置

【課題】保守管理が容易で長期間安定して水添石油樹脂ペレットを搬送できる搬送装置を提供する。
【解決手段】造粒部から水添石油樹脂ペレットを供給するシュートの下方に、ベルトコンベヤ62Bと、回収ホッパー部62Cと、スクリューコンベヤ62Dとを順次配置する。ベルトコンベヤ62Bに水添石油樹脂ペレットを供給した際、こぼれ落ちたり舞い上がったりしても、下方に配置する回収ホッパー部62Cで回収し、スクリューコンベヤ62Dで確実に外部に搬出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒物を搬送する粉粒物の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつの製造や製本、各種包装などにホットメルト接着剤が広く普及している。例えば、ホットメルト接着剤として、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(Styrene-Butadiene-Styrene block copolymer:以下、SBSと称す。)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(Styrene-Isoprene-Styrene block copolymer:以下、SISと称す。)、エチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene Vinyl Acetate block copolymer:以下、EVAと称す。)、非晶性ポリアルファオレフィン(Amorphous PolyAlpha-Olefin:以下、APAOと称す。)などが挙げられ、ホットメルト接着剤として使われている。該ベースポリマーに、粘着性付与剤としての水添石油樹脂が配合されている。
水添石油樹脂は、例えば特許文献1に記載のように、ジシクロペンタジエンにスチレンモノマーを重合させて得られた重合物を水素化する水添処理により生成される。取り扱いの点から、半球状ペレットに製造されることがある。
該水添石油樹脂ペレットの造粒方法としては、例えば、溶融した水添石油樹脂を金属製の冷却ベルトコンベヤ上に滴下することで造粒することが考えられる。そして、冷却された樹脂ペレットは、薄片状の掻き取り部材により冷却ベルトコンベヤから剥ぎ取られ、ベルトコンベヤやシュートなどを介してホッパーまで搬送され、ホッパーに投入されて貯蔵される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/056882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造粒された水添石油樹脂ペレットは、比較的に硬質で脆い。このことから、水添石油樹脂ペレットが造粒装置からシュートを介してベルトコンベヤへ投下される際、投下の際の衝撃などにより破損して、破砕物や粉体が発生する。これら破砕物や粉体は、水添石油樹脂ペレットとともにシュートからベルトコンベヤへ投下されるが、特に粉体は、投下時に周囲に舞い上がり、ベルトコンベヤの構成部品や周囲に付着したり堆積したりする。このため、付着物や堆積物によるベルトコンベアの搬送障害が生じないように、付着物や堆積物を除去する必要がある。
しかしながら、このような付着物や堆積物は、容易に舞い上がるので、除去作業の環境は悪く、作業も極めて煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、保守管理が容易で長期間安定して粉粒物を搬送できる粉粒物の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粉粒物の搬送装置は、粉粒物を供給するシューターの下方に、ベルトコンベヤまたはバケットコンベヤである第一コンベヤと、ホッパーと、第二コンベヤとが順次配置されたことを特徴とする。
本発明では、シューターから供給された粉粒物は、下方に位置するベルトコンベヤまたはバケットコンベヤの第一コンベヤに投下され、搬送される。該粉粒物が第一コンベヤ上に投下された際にこぼれ落ちたり、一旦舞い上がったりした粉粒体は、さらに下方に位置するホッパーに回収され、ホッパーの底部からさらに下方に位置する第二コンベヤにて搬送される。このことにより、シューターからこぼれ落ちたり舞い上がったりした粉粒物が堆積することで第一コンベヤの駆動が阻害されることを防止でき、長期間安定して粉粒物を搬送できる。
【0007】
本発明では、第一コンベヤの上方を覆うドーム形状を有する部材を備えた構成とすることが好ましい。
該構成では、ドーム形状を有する部材により、第一コンベヤ上に供給された粉粒物が跳ね上がったり、舞い上がったりして周囲に拡散することを防止でき、搬送環境を向上できる。
【0008】
本発明では、第二コンベヤは、スクリューコンベヤである構成とすることが好ましい。
該構成では、ホッパーに回収された粉粒物は、スクリューコンベヤの第二コンベヤにて確実にこぼれ落ちることなく搬出される。このため、第一コンベヤからこぼれ落ちたり舞い上がった後に堆積したりした粉粒物を排除する作業を大きく低減でき、保守管理が極めて容易となる。
【0009】
本発明では、前記ホッパーは、少なくとも前記シューターから前記第一コンベヤへの粒状物の供給位置の下方に設けられた構成とすることが好ましい。
該構成では、第一コンベヤに供給された粉粒物が跳ね上がったり、舞い上がったりする位置の下方に、ホッパーを設けて、跳ね上がったり舞い上がった粉粒物を回収する。このことにより、必要最小限の構成で、効率よく第一コンベヤからこぼれ落ちる粉粒物を回収できる。
【0010】
本発明では、第一コンベヤにおける前記シューターから粉粒物が供給される位置の近傍に設けられた吸気手段を具備した構成とすることが好ましい。
該構成では、粉粒物が第一コンベヤに投下された際に舞い上がっても、吸気手段により吸気されるので、第一コンベヤに粉体が付着することによる搬送不良を防止できる。さらに、粉粒物が爆発性粉塵でも、粉体の濃度が高くなることを防止し、安定して搬送できる。
【0011】
本発明では、前記ホッパーは、内面の傾斜が前記粉粒物の安息角より大きい角度である構成とすることが好ましい。
該構成では、ホッパーの内面に粉粒体が堆積することを防止でき、異なる製品の粉粒物がシューターから供給された際にこぼれ落ちて混じり合う不都合を防止できる。
【0012】
本発明では、前記シューター、前記第一コンベヤ、前記ホッパー、および前記第二コンベヤは、接地されている構成とすることが好ましい。
該構成では、静電気放電による粉塵爆発を防止でき、安定して搬送できる。
【0013】
本発明では、前記粉粒物は、造粒された水添石油樹脂である構成とすることが好ましい。
該構成では、粉粒物として、造粒時もしくは造粒後のシューターを流れる際の衝撃などにより破損して粉粒物が生じやすい粒状物である水添石油樹脂ペレットを含む造粒後の水添石油樹脂でも、第一コンベヤの周囲に粉粒物が堆積したりして第一コンベヤの駆動を阻害する不都合を生じることなく、長期間安定して搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の粒状物の搬送装置に係る水添石油樹脂ペレットの製造プラントの概略構成を示すブロック図。
【図2】前記水添石油樹脂ペレットの製造プラントにおける造粒部を示す概略構造図。
【図3】前記造粒部における造粒状況を説明する概略構成を示す図。
【図4】前記水添石油樹脂ペレットの製造プラントにおける搬送部を示す概略構造図。
【図5】前記搬送部における搬送コンベヤを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の造粒物の搬送装置として、水添石油樹脂ペレットの搬送装置に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
本発明では、粉粒物として水添石油樹脂ペレットを例示するが、これに限らず、各種粉粒物にも適用でき、特に衝撃により破損し易い粒状物、あるいは該粒状物とともに粉体も含む形態を対象とすることができる。
まず、水添石油樹脂ペレットの搬送装置を備えた水添石油樹脂ペレットを製造する製造プラントの構成について、以下に説明する。
【0016】
[水添石油樹脂ペレットの製造プラントの構成]
図1に示すように、水添石油樹脂ペレットの製造プラント1は、水添石油樹脂原料から水添石油樹脂ペレットを製造するプラントである。
該製造プラント1は、重合反応部2と、水素化反応部3と、水素化溶媒回収部4と、造粒部5と、搬送部6と、貯蔵部7と、図示しない制御部と、を備えている。
【0017】
(重合反応)
重合反応部2は、シクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族系化合物とを熱重合させて共重合物を得る重合反応を実施する。
該重合反応部2は、溶媒を用いて水添石油樹脂原料であるシクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族系化合物と熱重合反応を実施する重合反応槽などを備えている。
シクロペンタジエン系化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエンの他、これらの二量体や共二量体などが例示できる。
ビニル芳香族系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが例示できる。
溶媒としては、芳香族系溶媒、ナフテン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒などが例示できる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどが好適に使用できる。溶媒は、重合反応槽から適宜回収されて再利用される。
回収された溶媒の中には、通常、分子量200〜350程度の低分子量体が含まれる。
物性低下を防ぐために、熱重合用の溶媒として再使用される場合の溶媒の低分子量体の濃度は、少なくとも4質量%以下にする。回収溶媒中の低分子量体の含有量によっては、低分子量体を別途分離除去したり、あるいは新溶媒で希釈したりして、4質量%以下の低分子量体濃度とし、重合反応の開始時の重合用の溶媒として使用する。
【0018】
重合反応槽は、加圧および加熱下で重合を実施する反応器で、図示しない攪拌装置と加熱装置とを備えている。そして、重合反応槽には、第一原料タンク、第二原料タンクおよび溶媒回収部の溶媒タンクが接続され、シクロペンタジエン系化合物、ビニル芳香族系化合物および溶媒が適宜流入される。また、重合反応槽の底部は、得られた共重合物を流出し、次の水添反応に供する。
ここで、シクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族化合物との混合割合に特に制限はないが、通常は質量比でシクロペンタジエン系化合物:ビニル芳香族化合物=70:30〜20:80の割合である。
また、重合溶媒の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、50〜500質量部の割合である。
【0019】
そして、重合反応槽では、熱重合の開始時、溶媒の温度を100℃、好ましくは150℃以上に加熱しておくことが望ましい。重合反応器21では、加熱された溶媒中にシクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族化合物との混合物が分割添加されながら共重合を行う。
分割添加時間は通常、0.5〜5時間であり、等分に添加することが望ましい。該共重合反応は、シクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族化合物との混合物を分割添加し終わった後も引き続き反応を行わせることが望ましい。その時の反応条件に特に制限はないが、通常は反応温度150℃以上350℃以下、反応圧力は、0MPa以上2MPa以下、反応時間は、1時間以上10時間以下である。
そして、重合反応槽は、これらの熱重合の条件により、軟化点が60℃以上130℃以下、ビニル芳香族系化合物の含有量が30質量%以上90質量%以下、臭素価が30g/100g以上90g/100g以下、数平均分子量が400以上1000以下の共重合物を得る。
【0020】
(水素化反応)
水素化反応部3は、重合反応部2で熱重合により生成された共重合物に水素を添加し水素化反応物を得る水素化反応を実施する。
該水素化反応部3は、重合反応部2で熱重合により生成された共重合物に水素化溶媒の存在下で水素を添加して水素化反応を実施する複数の水素化反応塔などを備えている。
水素化溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、テトラヒドロフランなどが用いられる。
水素化反応塔は、水素化反応触媒がそれぞれ充填された塔であり、多段に用いても良い。水素化反応触媒としては、ニッケル、パラジウム、コバルト、白金、ロジウム系触媒などが用いられる。そして、水素化反応塔31は、水素化反応触媒の存在下で、水素と共重合物を、120〜300℃の温度、1〜6MPaの反応圧力、1〜7時間の反応時間で水素化反応させる。
上記水素化反応の条件により、軟化点が70℃以上140℃以下、ビニル芳香族系化合物の含有量が0質量%以上35質量%以下、臭素価が0g/100g以上30g/100g以下、数平均分子量が400以上1000以下の水素化反応物を得る。
水素化反応部3では、水素化反応塔による水素化反応後、未反応の水素を含む気相分を分離して適宜回収し系外にて処理する。
【0021】
(水素化溶媒除去)
水素化溶媒回収部4は、水素化反応物から水素化溶媒を分離除去する。該水素化溶媒回収部4は、第一蒸発器である溶媒蒸発槽41と、第二蒸発器である薄膜蒸発機42と、などを備えている。
溶媒蒸発槽41は、水素化反応部3に接続され、水素化反応部3で得られた水素化反応物から水素化溶媒を蒸発させて分離回収する。蒸発させた水素化溶媒は、別途回収され、水素化反応部3における水素化反応で利用する水素化溶媒として再利用される。
薄膜蒸発機42は、溶媒蒸発槽41に接続され、水素化反応物に残留する水素化溶媒を蒸発させて分離回収する。蒸発させた水素化溶媒および低分子量体は、別途回収され、製造する水添石油樹脂ペレットの物性値に対応して、水素化反応部3における水素化反応で利用する水素化溶媒として適宜再利用される。
【0022】
水素化溶媒回収部4の溶媒蒸発槽41と薄膜蒸発機42との間には、酸化防止剤を添加する添加部が設けられている。
酸化防止剤の添加部は、溶媒蒸発槽41で大半の水素化溶媒が除去された水素化反応物に、酸化防止剤を添加する。
酸化防止剤を溶解する溶媒としては、後段の薄膜蒸発機42による蒸発処理で、酸化防止剤を溶解した溶媒とともに残留する水素化溶媒を分離し、回収した水素化溶媒を水素化反応に再利用することができる。水素化反応に影響を及ぼさないためである。
そして、酸化防止剤を溶解した溶媒は、下流側の薄膜蒸発機42により、水素化溶媒とともに水素化反応物から分離回収される。
【0023】
(造粒)
造粒部5は、水素化溶媒が除去され酸化防止剤が添加された水素化反応物である溶融樹脂を、ペレット状の水添石油樹脂ペレットに造粒する。
具体的には、造粒部5は、図2に示すように、造粒機50Aと、造粒空冷部50Bとを備えている。
造粒機50Aは、図3に示すように、造粒機本体52と、冷却コンベヤ53と、を備えている。
【0024】
造粒機本体52は、冷却コンベヤ53における搬送方向の上流端側に対向して造粒筐体51内に配置されている。造粒機本体52は、円筒状で図示しない加熱部を有する胴体部52Aに、該胴体部52Aの外周面から軸方向に沿って溶融樹脂を吐出するダイ52Bを有している。
また、造粒機本体52は、胴体部52Aの外周面に回転可能に嵌まり合う円筒状の回転体52Cを有している。回転体52Cは、パンチングメタル様に複数の吐出孔52Dを有し、胴体部52Aの外周面を回転することで吐出孔52Dがダイ52Bに位置すると溶融樹脂5Aを冷却コンベヤ53上に所定量で吐出させる。
【0025】
冷却コンベヤ53は、造粒筐体51内に配置され、一対のプーリー53Aと、これらプーリー53Aに回行可能に掛け渡された金属製の無端ベルトである金属ベルト53Bを備えている。
また、冷却コンベヤ53には、金属ベルト53Bの裏面から冷却水53Cを噴出して金属ベルト53Bを冷却する冷却部53Dが設けられている。なお、金属ベルト53Bの冷却方法としては、冷却水53Cを噴出する方法に限らず、冷風を吹き付けるなどいずれの方法が適用できる。
【0026】
造粒空冷部50Bは、図2に示すように、造粒筐体51に空気を導入する送風ブロワ54Aを有した空気導入路54Bと、造粒筐体51内の空気を吸引する吸気ブロワ54Cおよびフィルター54Dを有した吸気路54Eとを備えている。
空気導入路54Bは、冷却コンベヤ53の下流端と中間位置の2箇所とに対応する位置で造粒筐体51内に空気を導入可能に設けられている。
吸気路54Eは、冷却コンベヤ53の上流端となる造粒機本体52の近傍の3箇所と、冷却コンベヤ53の搬送方向の中間位置の2箇所とに対応する位置、すなわち、冷却コンベヤ53上に滴下された溶融樹脂が固化するまでの範囲で造粒筐体51内の空気を吸気可能に設けられている。そして、吸気路54Eは、造粒筐体51内の低分子量体ミストを含む空気から低分子量体ミストをフィルター54Dで捕捉除去し空気のみを排気する。
なお、中間位置の吸排気は、製造する水添石油樹脂ペレットの異なる軟化点に対応し、適宜設計される。すなわち、溶融樹脂が固化するまでの範囲が製品によって異なる場合でも対応可能に、複数位置で吸排気できる構造とすることが好ましい。
フィルター54Dとしては、慣性衝突型フィルター、遮断型フィルター、静電吸着フィルター、ブラウン拡散フィルターなどが用いられ、特にガラス繊維フィルターが好適である。すなわち、低分子量体ミストは、ミスト径1μm以下の微細な高粘度微粒子からなるので、慣性衝突効果に加えて質量が無視される粒子を捕集する効果(ブラウン拡散による捕集効果)が得られるガラス繊維フィルターが好適である。また、フィルター54Dの圧力損失は、濾過面積との関係から、好ましくは0.5kPa以上2.5kPa以下に設定されることが好ましい。
【0027】
また、造粒筐体51内には、図4に示すように、冷却コンベヤ53の下流端に位置して、金属ベルト上で固化された水添石油樹脂ペレットを掻き取るスクレーパー55が配設されている。
さらに、造粒筐体51には、冷却コンベヤ53の下流端に位置して、貯蔵部7へ搬送する搬送部6が接続されている。
【0028】
(搬送)
搬送部6は、造粒部5で造粒された水添石油樹脂ペレットを、貯蔵部7へ搬送する。
この搬送部6は、図4に示すように、造粒部5に接続されたシューターとしてのシュート61と、該シュート61に接続された搬送コンベヤ62と、図示しないバケットコンベヤと、を備えている。
【0029】
シュート61は、一端部が冷却コンベヤ53の下流端における造粒筐体51の下部に接続され他端部が下方に延出する上シュート部61Aと、この上シュート部61Aの下端に一端が接続され他端が上シュート部61Aと反対側に延出する下シュート部61Bとを有し、側面視でV字状に形成されている。
これら上シュート部61Aおよび下シュート部61Bは、水添石油樹脂ペレットが流下する傾斜面63が水平面に対して傾斜角44°以上75°以下に傾斜して設けられている。
ここで、傾斜面63の傾斜角が44°より小さい緩斜となると、水添石油樹脂ペレットが傾斜面63上に滞留し、製造する製品の切替により滞留する水添石油樹脂ペレットが新たに製造される製品と混じってしまう不都合が生じる。一方、傾斜面63の傾斜角が75°より大きい急斜となると、傾斜面63上を流下する水添石油樹脂ペレットの流下速度が速くなり、流下衝撃により水添石油樹脂ペレットが破損するおそれがあるためである。ここで、水添石油樹脂ペレットの流下速度は、1.98m/秒より速くならないように流下されることが好ましい。
【0030】
搬送コンベヤ62は、図5に示すように、ドーム形状を有する部材であるコンベヤ筐体62Aと、第一コンベヤとしてのベルトコンベヤ62Bと、ホッパーである回収ホッパー部62Cと、第二コンベヤとしてのスクリューコンベヤ62Dと、を備えている。
該搬送コンベヤ62は、シュート61の下方に、ベルトコンベヤ62Bと、回収ホッパー部62Cと、スクリューコンベヤ62Dとが順次配置されて構成されている。
【0031】
ベルトコンベヤ62Bは、一端部に下シュート部61Bの下端が接続するコンベヤ筐体62A内に配置され、下シュート部61Bを流下する水添石油樹脂ペレットを搬送する。すなわち、ベルトコンベヤ62Bの上方をコンベヤ筐体62Aが覆う状態となっている。そして、ベルトコンベヤ62Bは、一対の搬送プーリー62B1と、これら搬送プーリー62B1に回行可能に掛け渡された無端ベルト62B2とを備えている。
また、コンベヤ筐体62Aの他端部には、ベルトコンベヤ62Bで搬送された水添石油樹脂ペレットを貯蔵部7へ投入する投入シュート62A1が設けられている。該投入シュート62A1には、水添石油樹脂ペレットを貯蔵部7へ搬送するバケットコンベヤが接続されている。
これらコンベヤ筐体62Aおよびベルトコンベヤ62Bは、接地されている。
【0032】
回収ホッパー部62Cは、上方に向けて拡径して開口形成され、ベルトコンベヤ62Bの下方に位置してコンベヤ筐体62Aの下面に複数設けられている。回収ホッパー部62Cは、内面が水添石油樹脂ペレットの粉体が崩れ落ちる安息角より大きい角度、具体的には水平面に対して70°以上に傾斜して形成されている。なお、回収ホッパー部62Cは、複数設ける場合に限らず、少なくとも下シュート部61Bの下方に位置し、下シュート部61Bを流下しベルトコンベヤ62Bからこぼれ落ちる水添石油樹脂ペレットを回収可能であれば、1つのみでもよい。
スクリューコンベヤ62Dは、複数の回収ホッパー部62Cの下部に設けられ各回収ホッパー部62Cに回収された水添石油樹脂ペレットやその粉粒体を回収ホッパー部62C外へ搬送する。
これら回収ホッパー部62Cおよびスクリューコンベヤ62Dも接地されている。
【0033】
また、搬送コンベヤ62には、少なくとも下シュート部61Bの近傍からコンベヤ筐体62A内を吸気する図示しない吸気手段を備えている。
該吸気手段は、例えば造粒部5の造粒空冷部54のように、ブロワとバグフィルターなどのフィルターとを備え、シュート61から水添石油樹脂ペレットがベルトコンベヤ62Bに供給された際、舞い上がった水添石油樹脂の粉体なども吸引して、フィルターで捕捉可能な各種構成を用いることができる。
【0034】
(貯蔵)
貯蔵部7は、搬送部6で搬送された水添石油樹脂ペレットを適宜取り出し可能に貯蔵する。
該貯蔵部7は、図示しない貯蔵ホッパーと、搬送部6のバケットコンベヤで搬送された水添石油樹脂ペレットを所定の貯蔵ホッパーに投入する図示しない切替部を備えている。
【0035】
[実施形態の作用効果]
上述したように、上記実施形態では、造粒部5から水添石油樹脂ペレットを供給するシュート61の下方に、ベルトコンベヤ62Bと、回収ホッパー部62Cと、スクリューコンベヤ62Dとを順次配置している。
このことにより、シュート61から供給された水添石油樹脂ペレットは、下方に位置するベルトコンベヤ62Bに投下され、搬送される。該ベルトコンベヤ62B上に水添石油樹脂ペレットが投下された際にこぼれ落ちたり、水添石油樹脂の粉体が一旦舞い上がってベルトコンベヤ62B外に落下したりしたものは、さらに下方に位置する回収ホッパー部62Cに回収される。該回収ホッパー部62Cに回収された水添石油樹脂ペレットや粉体は、回収ホッパー部62Cの底部からさらに下方に位置するスクリューコンベヤ62Dにて外部に搬出される。
このため、シュート61から供給されベルトコンベヤ62Bからこぼれ落ちたり舞い上がったりした水添石油樹脂の粉粒物が、ベルトコンベヤ62Bやその周囲で堆積することでベルトコンベヤ62Bの駆動が阻害される不都合を防止できる。したがって、水添石油樹脂ペレットを長期間安定して搬送できる。
【0036】
そして、上記実施形態では、ベルトコンベヤ62Bの上方を覆うドーム形状を有する部材のコンベヤ筐体62Aを設けている。
このため、コンベヤ筐体62Aにより、ベルトコンベヤ62B上に供給された水添石油樹脂ペレットが跳ね上がったり、舞い上がったりして周囲に拡散することを防止でき、搬送環境を向上できる。
【0037】
また、上記実施形態では、回収ホッパー部62Cに回収された水添石油樹脂ペレットを、スクリューコンベヤ62Dにより搬出している。
このため、スクリューコンベヤ62Dにより回収した水添石油樹脂ペレットをこぼれ落ちることなく確実に搬出できる。したがって、ベルトコンベヤ62Bからこぼれ落ちたり舞い上がった後に堆積したりした水添石油樹脂ペレットや粉体を排除する作業を大きく低減でき、保守管理が極めて容易にできる。
【0038】
さらに、上記実施形態では、シュート61からベルトコンベヤ62Bに供給された水添石油樹脂ペレットが跳ね上がったり、粉体が舞い上がったりする供給位置の下方に、少なくとも回収ホッパー部62Cを設けている。
このため、必要最小限の構成で、効率よくベルトコンベヤ62Bからこぼれ落ちる水添石油樹脂ペレットや粉体を回収できる。
【0039】
また、上記実施形態では、シュート61からベルトコンベヤ62Bに水添石油樹脂ペレットが供給される位置の近傍に吸気手段を設けている。
このため、ベルトコンベヤ62B上に供給された際に粉体が舞い上がっても、吸気手段にて吸引されて捕捉されるので、ベルトコンベヤ62Bに水添石油樹脂の粉体が付着してベルトコンベヤ62Bの駆動が不安定となり搬送不良が生じるという不都合を防止でき、長期間安定して搬送できる。さらに、コンベヤ筐体62A内の粉体の濃度が高くなることを防止でき、粉塵爆発も防止でき、安定して搬送できる。
【0040】
そして、上記実施形態では、回収ホッパー部62Cの内面の傾斜が、水添石油樹脂ペレットや粉体の安息角より大きい角度となるように形成している。
このため、回収ホッパー部62Cの内面に水添石油樹脂ペレットや粉体が堆積することを防止でき、異なる製品の粉粒物がシュート61から供給された際に同様にこぼれ落ちて、堆積する粉粒物と混じり合う不都合を防止できる。
【0041】
また、上記実施形態では、シュート61、ベルトコンベヤ62B、回収ホッパー部62C、スクリューコンベヤ62Dをそれぞれ接地している。
このため、静電気放電による粉塵爆発を防止でき、安定して搬送できる。
【0042】
そして、上記実施形態では、造粒時もしくは造粒後のシュート61を流れる際の衝撃などにより破損して破片や粉体などの粉粒体が生じやすい水添石油樹脂ペレットを搬送する構成に適用している。
このため、水添石油樹脂ペレットを含む造粒後の水添石油樹脂でも、ベルトコンベヤ62Bの周囲に水添石油樹脂ペレットや粉粒物が堆積したりして、ベルトコンベヤ62Bの駆動を阻害する不都合を生じることがなく、長期間安定して搬送でき、堆積物を掻き出すなどの煩雑な作業もほとんど必要なく、保守管理も容易にできる。
【0043】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
具体的には、破損し易い水添石油樹脂ペレットを搬送する構成について例示したが、この限りではなく、ベルトコンベヤ62Bやバケットコンベヤ上に供給した際に跳ね上がる粒状物や、供給した際に舞い上がる粉体、さらにはこれらが混在する粉粒物など、搬送時にコンベヤからこぼれ落ちるいずれの粉粒物を対象とすることができる。
【0044】
そして、造粒部5から水添石油樹脂ペレットを供給するシュート61としては、上記実施形態に限らず、粉粒物をベルトコンベヤ62Bまたはバケットコンベヤ上に供給可能ないずれの構造のシューターを用いることができる。
また、シュート61から水添石油樹脂ペレットが供給されるコンベヤとして、ベルトコンベヤ62Bを例示したが、バケットコンベヤとしてもよい。
さらに、スクリューコンベヤ62Dにより回収した粉粒物を搬出する構成を例示したが、スクリューコンベヤ62Dに限らず、例えばベルトコンベヤ62Bやバケットコンベヤなど、各種コンベヤを用いてもよい。
また、回収ホッパー部62Cの形状についても、ベルトコンベヤ62Bやバケットコンベヤからこぼれ落ちる粉粒体を回収可能ないずれの形状のものを用いることができる。
【0045】
そして、ベルトコンベヤ62Bの上方を覆うコンベヤ筐体62Aは、ベルトコンベヤ62Bに供給した粉粒物が跳ね上がったり舞い上がったりすることを防止可能ないずれの形状のものを用いることができる。さらには、コンベヤ筐体62Aを設けなくともよい。
また、搬送コンベヤ62に設ける吸気手段としても、粉粒体、特に舞い上がる粉体を吸引可能ないずれの構成のものを用いることができる。さらには、吸気手段を設けなくてもよい。
そして、静電気を生じにくい粉粒物や粉塵爆発などを生じない粉粒物などの場合には、接地しなくてもよい。
【0046】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構成に変更するなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、例えば水添石油樹脂ペレットなど、粉体が混在する各種粉粒物を搬送する搬送装置に利用される。
【符号の説明】
【0048】
61……シューターとしてのシュート
62……粉粒物の搬送装置としての搬送コンベヤ
62A…ドーム形状を有する部材であるコンベヤ筐体
62B…第一コンベヤとしてのベルトコンベヤ
62C…ホッパーである回収ホッパー部
62D…第二コンベヤとしてのスクリューコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒物を供給するシューターの下方に、ベルトコンベヤまたはバケットコンベヤである第一コンベヤと、ホッパーと、第二コンベヤとが順次配置された
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉粒物の搬送装置において、
第一コンベヤの上方を覆うドーム形状を有する部材を備えた
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉粒物の搬送装置において、
第二コンベヤは、スクリューコンベヤである
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の粉粒物の搬送装置において、
前記ホッパーは、少なくとも前記シューターから前記第一コンベヤへの粒状物の供給位置の下方に設けられた
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の粉粒物の搬送装置において、
第一コンベヤにおける前記シューターから粉粒物が供給される位置の近傍に設けられた吸気手段を具備した
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の粉粒物の搬送装置において、
前記ホッパーは、内面の傾斜が前記粉粒物の安息角より大きい角度である
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の粉粒物の搬送装置において、
前記シューター、前記第一コンベヤ、前記ホッパー、および前記第二コンベヤは、接地されている
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の粉粒物の搬送装置において、
前記粉粒物は、造粒された水添石油樹脂である
ことを特徴とする粉粒物の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−250794(P2012−250794A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123668(P2011−123668)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】