説明

粒剤散布装置

【課題】構造複雑、高価。
【解決手段】育苗容器Aを移送する移送台34の側方に、上下伸縮自在の支柱8をを有するスタンド1を設ける。スタンド1の上部には粒剤供給ホッパー11を設ける。粒剤供給ホッパー11の開口部16にはカバー20を設ける。カバー20の周囲には粒剤誘導体21を設ける。粒剤誘導体21内には、漏斗部12の後板13と同方向に傾斜する上側反射板25を設ける。上側反射板25の下方の粒剤誘導体21内には下側反射板27を設ける。下側反射板27の下側円弧部30と粒剤誘導体21の後板23の間に落下口32を形成した粒剤散布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒形状の薬剤や肥料の粒剤を供給する粒剤散布装置に係るものであり、育苗容器を移送する播種装置の上方から薬剤や肥料を供給するように使用するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、育苗容器を移送する移送台の上方位置に、円周方向に所定の間隔を置いて嵌合凹部を形成した横軸繰出ロールを軸装し、下方移動する育苗容器に粒剤を供給する粒剤散布装置、公知である(特許文献1)
【特許文献1】特開2001−78513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、軸装した横軸繰出ロールをモータにより回転させて散布するため、構造が複雑で、高価になるという課題がある。
また、公知例の粒剤散布装置は、移送台に固定のため、後付けはできないという課題がある。
本願は、簡単な構成で後付け可能な粒剤散布装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、育苗容器Aを移送する移送台34の側方に、上下伸縮自在の支柱8を設け、支柱8の下部には前後一対の脚部2を設けてスタンド1を構成し、スタンド1の上部にはフレーム10を設け、該フレーム10には粒剤供給ホッパー11を設け、粒剤供給ホッパー11の下部は下方に至るに従い細くなる漏斗部12に形成し、漏斗部12の前下がりに傾斜する後板13の前方には後下がりに傾斜する前板15を設け、前板15の下縁と後板13の上面との間に開口部16を形成し、開口部16には開口部16を開閉させるシャッタ17を設け、該シャッタ17の前側は所定間隔おいてカバーを設け、カバー20の周囲には、下部を開放した平面視四角筒形状の粒剤誘導体21を設け、前記開口部16の臨む粒剤誘導体21内には、漏斗部12の後板13と同方向に傾斜する上側反射板25を設け、上側反射板25の下方の粒剤誘導体21内には上側反射板25と反対方向に傾斜し粒剤誘導体21の幅一杯に形成した下側反射板27を設け、前記上側反射板25は下側反射板27より幅狭の扇形状に形成し、下側反射板27の下側円弧部30は粒剤誘導体21の後板23の間に所定間隔をおいて設け、下側円弧部30と粒剤誘導体21の後板23の間に落下口32を形成した粒剤散布装置としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、カバー20と粒剤誘導体21内の上側反射板25と下側反射板27と粒剤誘導体21の後板23の全部または一部に粒剤Hが当接して反射しながら落下するので、少ない前後幅内で左右に良好に均等に拡散させて粒剤Hを散布することができ、育苗容器の移送台34の上方の設置および作動空間を狭くでき、また、後付けも可能にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図により説明すると、1はスタンドであり、前後一対の脚部2を有する。脚部2には高さ調節用台3を上下自在に取付ける。4は高さ調節用台3の螺子軸、5はナットである。
前記脚部2の左右何れか一側にはスタンド1の支柱8を設ける。支柱8は上下に分割し、脚部2に対して上側支柱8Aが上下するように下側支柱8Bに取付ける。9は固定用のボルトである。
【0007】
支柱8の上部には左右方向のフレーム10を設け、フレーム10には、薬剤あるいは肥料等の粒剤を投入する粒剤供給ホッパー11を着脱自在に設ける。粒剤供給ホッパー11の下部は正面視および側面視において下方に至るに従い細くなる漏斗形状の漏斗部12に形成する。漏斗部12の前下がりに傾斜する後板13の前側に後下がりに傾斜する前板15を設け、前板15の下部には開口部16を形成する。開口部16には該開口部16を開閉させるシャッタ17を設ける。シャッタ17は板状部材により形成し、前記前板15に摺動自在に取付け、シャッタ17の上部には操作ロッド18を取付け、操作ロッド18にはソレノイド等の作動部材19を接続する。
【0008】
前記シャッタ17の前側は所定間隔おいてカバー20を設ける。カバー20は粒剤供給ホッパー11に粒剤供給ホッパー11と共に着脱できるように取付ける。カバー20の下方は粒剤誘導体21により包囲する。粒剤誘導体21はフレーム10に着脱自在に取付ける。粒剤誘導体21は前後板22、23および左右側板24により平面視四角筒形状に形成し、前記フレーム10に取付ける。
【0009】
前記開口部16の臨む粒剤誘導体21内には上側反射板25を設ける。上側反射板25は前記後板13と略同じか急傾斜に形成すると共に、正面視において下方に至るに従い左右幅が広くなる扇形状に形成する。26は上側反射板25のステーである。
【0010】
上側反射板25の下方の粒剤誘導体21内には、下側反射板27を設ける。下側反射板27は後下がりに形成し、下側反射板27の上縁は所定幅を有する円弧状の上側円弧部28に形成し、上側円弧部28の両端には下方至るに従い左右外側に位置する傾斜する傾斜側縁29に形成し、下側反射板27の下縁は下側円弧部30に形成し、下側円弧部30は粒剤誘導体21の幅一杯に形成する。また、下側円弧部30は粒剤誘導体21の後板23に対して所定間隔おいて前側に位置させ、下側円弧部30と後板23の間に落下口32を形成する。
【0011】
下側反射板27の上側円弧部28は上側反射板25の下縁よりやや上方に位置させ、下側反射板27の上部と上側反射板25の下部は正面視において重合させてもよい。
【0012】
粒剤誘導体21は、育苗容器Aを始端から終端に移送する播種装置の移送台34の上方に位置させ、粒剤誘導体21の側板24の間隔は育苗容器Aの左右幅に合わせ、上側支柱8Aを下側支柱8Bに上下させて、粒剤誘導体21の下縁(下側反射板27の下縁)を育苗容器Aの上面に接近させる。
35は移送台34のフレーム、36は移送台34の移送ローラーである。
【0013】
(実施例の作用)
スタンド1の脚部2を移送台34の所定位置の下方に差し込み、粒剤供給ホッパー11が移送台34の移動方向に対して交差方向であって、粒剤供給ホッパー11の下方に設けた粒剤誘導体21を、育苗容器Aの移送に干渉しない範囲で可及的に下降させ、粒剤供給ホッパー11に粒剤Hを投入し、粒剤散布装置のセットが完了する。
【0014】
次に、育苗容器Aを移送台34に供給し、育苗容器Aが粒剤誘導体21の下方に至ると、作動部材19に通電してシャッタ17を移動させ、開口部16を開口させる。
開口部16が開口すると、漏斗部12の後板13の傾斜により粒剤供給ホッパー11内の粒剤Hが流出し、開口部16から流出した粒剤Hは、一部はカバー20に当たりその他はそのまま粒剤誘導体21内に落下し、上側反射板25上に落下する。
【0015】
上側反射板25は、後板13と同じに前下がりに傾斜し、下方に至るに従い左右幅が広くなる扇形状に形成しているから、上側反射板25上を流下する粒剤Hは、左右に拡散しながら流下する。
上側反射板25上を流下した粒剤Hは、下側反射板27上に落下し、落下した粒剤Hは下側反射板27上を左右に拡散しながら流下して粒剤誘導体21の後板23に当たり、後板23により反射して粒剤誘導体21の落下口32から下方の育苗容器Aにむけて飛散して散布される。
【0016】
しかして、カバー20は開口部16の前側に位置するから、カバー20の前方を包囲すると共に、反射板の作用も期待する。
開口部16の下方には幅狭の上側反射板25を設けているから、細い開口部16から流下する殆どの粒剤が上側反射板25に当たって左右方向に拡散させる。
【0017】
上側反射板25と前板22により拡散した粒剤Hは、育苗容器Aと略同じ幅の下側反射板27により更に拡散させながら、育苗容器Aに流下させるので、一層、粒剤Hは薄い層に拡散して流下し、散布密度を均等にさせる。
【0018】
この場合、下側反射板27から流下する粒剤Hは粒剤誘導体21の後板23に当たって反射して落下口32から飛散落下するので、略粒剤誘導体21の前後幅内に落下する。
したがって、移送台34にセットした粒剤散布装置の前後に設けた装置に粒剤Hが掛かるのを防止でき、移送台34上の設置空間を小さくでき、使用を容易にする。
【0019】
しかして、スタンド1の脚部2を移送台34の所定位置の下方に差し込み、粒剤供給ホッパー11が移送台34の移動方向に対して交差方向に粒剤誘導体21を位置させればよいので、移送台34によっては、開口部16の向きを前後何れにしてよく、移送台34に設けた他の装置との兼ね合いで後からセットできるので、汎用性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】粒剤散布装置の縦断側面図。
【図2】同一部側面図。
【図3】同正面図。
【図4】粒剤誘導体部分の縦断側面図。
【符号の説明】
【0021】
1…スタンド、2…脚部、3…高さ調節用台、4…螺子軸、5…ナット、8…支柱、9…ボルト、10…フレーム、11…粒剤供給ホッパー、12…漏斗部、16…開口部、17…シャッタ、15…前板、18…操作ロッド、19…作動部材、13…後板、20…カバー、21…粒剤誘導体、22…前板、24…側板、23…後板、25…上側反射板、27…下側反射板、28…上側円弧部、29…傾斜側縁、30…下側円弧部、34…移送台、35…フレーム、36…移送ローラー、32…落下口、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器Aを移送する移送台34の側方に、上下伸縮自在の支柱8を設け、支柱8の下部には前後一対の脚部2を設けてスタンド1を構成し、スタンド1の上部にはフレーム10を設け、該フレーム10には粒剤供給ホッパー11を設け、粒剤供給ホッパー11の下部は下方に至るに従い細くなる漏斗部12に形成し、漏斗部12の前下がりに傾斜する後板13の前方には後下がりに傾斜する前板15を設け、前板15の下縁と後板13の上面との間に開口部16を形成し、開口部16には開口部16を開閉させるシャッタ17を設け、該シャッタ17の前側は所定間隔おいてカバーを設け、カバー20の周囲には、下部を開放した平面視四角筒形状の粒剤誘導体21を設け、前記開口部16の臨む粒剤誘導体21内には、漏斗部12の後板13と同方向に傾斜する上側反射板25を設け、上側反射板25の下方の粒剤誘導体21内には上側反射板25と反対方向に傾斜し粒剤誘導体21の幅一杯に形成した下側反射板27を設け、前記上側反射板25は下側反射板27より幅狭の扇形状に形成し、下側反射板27の下側円弧部30は粒剤誘導体21の後板23の間に所定間隔をおいて設け、下側円弧部30と粒剤誘導体21の後板23の間に落下口32を形成した粒剤散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−111022(P2007−111022A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308839(P2005−308839)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】