説明

粒子保持構造体を備えたガス発生装置及び関連する方法及びシステム

【課題】火炎抑制のための改善されたガス発生装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】グレン保持構造体(28)を備えたガス発生装置(22)及び関連する方法が開示される。特に、ガス発生装置はフレーム(26)に固定され、長手方向のスタックとなって配列された隣接するガス発生グレン間に位置する少なくとも1つの保持構造体を有する。さらに、ガス発生装置を製造する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグレン(粒状体)保持構造体を備えたガス発生装置、及び、関連する方法及びシステムに関する。特に、本発明はガス発生グレン間に位置する少なくとも1つの保持構造体を有するガス発生装置に関する。本発明はまたこのようなガス発生装置を有する火炎抑制システムに関する。さらに、本発明はガス発生装置を製造する方法、及び、ガスを発生させる方法並びにこのようなガス発生装置を利用して火炎を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス発生グレンを利用するガス発生装置はしばしば、エアバッグモジュールのための膨張器のような、乗員拘束システムのために自動車産業において使用される。さらに、ガス発生グレンを利用するガス発生装置を使用して火炎を抑制する新たな方法及び装置は2006年4月21日に出願された「MAN−RATED FIRE SUPPRESSION SYSTEM」という名称の米国特許出願番号第11/409,257号明細書に開示されている。
【0003】
次の説明は、本発明の実施の形態が有利に使用でき、許容された従来技術を構成しないような環境に関連する。
ガス発生器は、一層多量のガスを生じさせるように、一層大型にされるので、本発明の発明者はいくつかの事項を発見した。たとえば、ガス発生グレンが大規模で生じるときに、グレンの信頼性が問題となる。特に、一層大きなガス発生グレンは、予想できない燃焼速度を有し、燃焼全体にわたって一貫しないガス生成を有し、及び、他の望ましくない燃焼特性を有する傾向がある。さらに、一層大きなガス発生グレンはひび割れ及び他の構造上の欠陥を生じさせる傾向があり、これらの欠陥等はこのような大きなグレンの不信頼性及びこのような大きなグレンの望ましくない燃焼特性の原因となる。
【0004】
単一の大きなグレンの代わりに、単一のガス発生器内での複数の小さなガス発生グレンはガス発生器の信頼性を改善し、比較的予想できる燃焼速度及び燃焼全体にわたっての比較的一貫したガス生成を提供する。しかし、本発明の発明者は、ガス発生器内での一層小さな燃焼するガス発生グレン間の相互作用がガス発生器の性能に望ましくない効果を与えることを発見した。
【0005】
図1に示すように、ガス発生グレン10はほぼ環状の本体12を有することができ、「スタンド・オフ」として作用できる表面上の複数の突出部14を含むことができる。複数のグレン10は長手方向の重なりとなってスリーブ16内に配置することができ、突出部14は、図2Aに示すように、複数のグレン10の隣接するグレン間に空間を維持することができる。グレン10が燃焼するとき、各グレン10の全体の曝された表面は燃焼して、ガスを発生させることができる。また、複数のグレン10が燃焼し、ガスを生じさせるとき、各グレン10の寸法及び質量は、図2Bに示すように、減少し、隣接するグレン10間にギャップ18を形成することがある。
【0006】
図2Cに示すように、燃焼するグレン10は燃焼及びガス発生工程中に異なる方向に加速されることがあり、比較的大きなギャップ20が生じることがある。燃焼するグレン10が種々の方向に加速を続けるとき、グレン10は周囲の構造体及び隣接するグレン10に衝突することがある。大きなギャップ20が形成された場合、グレン10は一層長い距離にわたって加速されることがあり、一層速い速度となる。このような速い速度での衝突はグレン10の材料特にグレン10の消費される材料又はいわゆる「クリンカー」を破壊分離することがあり、これは微粒子の生成を生じさせることがある。ガス発生グレン10がガス発生組立体(図示せず)の燃焼室内に閉じ込められので、粒子のこの生成は望ましくなく、そして、微粒子がガス発生組立体を通して運ばれるときに、微粒子は組立体のフィルタを詰まらせてガス流れを減少させることがあり、及び/又は、ガス発生組立体の外部へ運ばれることがある。ガス発生組立体の外部へ運ばれることのある微粒子は望ましくない。さらに、過剰な煙及び望ましくない燃焼生成物が生じることがあり、また、ガス発生組立体から排出されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願番号第11/409,257号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
改善されたガス発生装置及びその製造方法を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態は複数のガス発生グレンと、フレームと、少なくとも1つの保持プレートとを有するガス発生装置に関する。ガス発生グレンはフレームにより長手方向で重なった形状として強制することができる。各保持プレートはフレームに結合することができ、フレームに関して固定することができ、複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置決めすることができる。
【0010】
本発明の実施の形態はまた、複数の長手方向で重なったガス発生グレンと、フレームと、フレームに結合され、複数の長手方向で重なったガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に位置決めされた少なくとも1つの保持構造体とを有するガス発生装置に関する。各保持部材は、フレームに固定維持され、隣接するガス発生グレンがガスを発生させる際にフレームに関して隣接するガス発生グレンの長手方向の位置を拘束するように、寸法決めし、形状づけることができる。
【0011】
さらに、本発明の実施の形態は火炎制システム、及び、一層大きなガス発生器内で多数のグレンを必要とする他の応用に関し、火炎抑制システム等は少なくとも1つの燃焼室と、各燃焼室に結合された少なくとも1つの流出物トレイン(列)と、各燃焼室内に位置する少なくとも1つのガス発生装置とを有する。各ガス発生装置はフレームにより長手方向で重なった形状として強制される複数の火炎抑制ガス発生グレンを有することができる。1又はそれ以上の保持プレートはフレームに結合でき、フレームに関して固定することができ、複数の火炎抑制ガス発生グレンの少なくともいくつかの隣接するガス発生グレン間に位置決めすることができる。
【0012】
本発明の1つの実施の形態に従えば、ガス発生器は複数のガス発生グレンを長手方向の重なり(スタック)となって配列することにより製造することができる。1又はそれ以上の保持部材は長手方向のスタック内の複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置することができ、各保持部材はフレームに固定することができる。
【0013】
本発明の別の実施の形態に従えば、ガスは、ガスを発生させるために複数の長手方向で重なったガス発生グレンを燃焼させることにより、発生することができる。複数の長手方向で重なったガス発生グレンのうちの少なくともいくつかのグレンの横方向の運動はフレーム構造体により燃焼中に制限することができ、複数の長手方向で重なったガス発生グレンの長手方向の運動は、複数の長手方向で重なったガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に少なくとも1つの保持部材を維持させ、燃焼中にフレームに関して1又はそれ以上の保持部材を固定維持することにより、制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1はガス発生グレンの斜視図を示す。
【図2A】図2Aは図1に示したような複数のガス発生グレンを伴ったガス発生装置の断面図を示す。
【図2B】図2Bは、ガス発生グレンがガスの発生によりある質量損失を生じ、及びガス発生グレン間にギャップを形成された後の、図2Aに示すガス発生装置の断面図を示す。
【図2C】図2Cは、ガス発生グレンがガス発生装置内で移動し、比較的大きなギャップが形成された後の、図2Bのガス発生装置の断面図を示す。
【図3A】図3Aは、長手方向のスタックのガス発生グレン間に位置する保持プレートを良好に示すために、ガス発生グレンの長手方向のスタックから一つのガス発生グレン全体を取り外した状態での、本発明の実施の形態に係るガス発生装置の部分破断斜視図を示す。
【図3B】図3Bは図3Aのガス発生装置の断面図を示す。
【図4】図4は図3A、3Bのガス発生装置に使用するような保持プレートの頂面図を示す。
【図5】図5は本発明の別の実施の形態に係る、ガス発生グレン間に位置する保持プレートを有するガス発生装置の断面図を示す。
【図6】図6は図5のガス発生装置に使用するような保持プレートの頂面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係るガス発生装置22を図3A、3Bに示す。ガス発生装置22は複数のガス発生グレン24と、スリーブ26のようなフレームと、保持プレート28のような少なくとも1つの保持構造体とを有することができる。複数のガス発生グレン24はスリーブ26により長手方向で重なった形状に強制され、各保持プレート28はスリーブ26に結合され、複数のガス発生グレン24の隣接するガス発生グレン24間に位置決めすることができる。ガス発生装置22はガス発生組立体(図示せず)の燃焼室内に位置することができ、この組立体は点火器を有することができ、流出物トレインに結合することができる。
【0016】
各ガス発生グレン24は実質上円筒状又は環状の形状とすることができる。したがって、各グレン24は実質上平坦な第1の端表面30と、実質上平坦な第2の端表面32と、ほぼ湾曲状の外側表面34と、ほぼ湾曲状の内側表面36とを有することができる。随意には、各ガス発生グレン24の第1及び/又は第2の端表面30、32は、図1に示すガス発生グレン10の突出部14のような、その上に形成された突出部又は他のスタンド・オフ構造体を有することができる。ガス発生グレン24は重なった形状として配列することができ、この場合、各ガス発生グレン24の外側表面34は別のガス発生グレン24の外側表面34とほぼ整合することができ、各グレン24の第1及び第2の端表面30、32の少なくとも1つは別のグレン24の第1及び第2の端表面30、32の1つと隣接することができる。
【0017】
スリーブ26は孔付き金属シートのようなガス透過性金属から形成した実質上環状の細長いスリーブ26とすることができる。たとえば、スリーブ26は孔付きスチールシートから形成することができ、孔付きスチールパイプ又はチューブとして形状づけることができる。さらに、スリーブ26は複数のガス発生グレン24の各ガス発生グレン24の外側表面34に実質上適合するように寸法決めされ形状づけられたボア38を有することができる。たとえば、ボア38は実質上円筒状の形状とすることができる。ボア38の直径Dは各ガス発生グレン24の外径Dと同様に寸法決めすることができるか、または、各ガス発生グレン24の外径Dよりも僅かに(例えば約10%増以下)大きくなるように寸法決めすることができる。
【0018】
各保持プレート28は孔付き金属シートからなることができ、ほぼディスクのような形状とすることができ、または、代わりに、図4に示すようなスリーブ26及びグレン24の少なくとも一方の断面形状と同様に形状づけることができる。各保持プレート28は長手方向のスタックとなって隣接するグレン24間に位置決めすることができる。保持プレート28は図3Bに示すように各隣接するグレン24間に位置することができるか、または、間隔を隔てて位置することができる。たとえば、保持プレート28は1つ置きのグレン24間に位置することができる。付加的な実施の形態においては、保持プレート28はある他の均一な間隔又は随意には不均一な間隔で位置することができる。隣接するグレン24間での孔付き保持プレート28の位置決めは隣接するグレン24間にギャップを提供することができ、孔を通しての隣接するグレン24間の連通を提供することができる。この構成のため、保持プレートが隣接するグレン間に位置している場合は、グレンはスタンド・オフを有してもよく、有しなくてもよい。
【0019】
図4に示すように、各保持プレート28はその中に複数の開口40又は孔を有することができ、図3A、3Bに示すような各グレン24の内側表面36により画定される中央の孔44のような各グレンの中央の孔に対応できる中央の孔42のような、各グレン24の中央の孔に対応できる大きな中央の孔42を有することができる。各保持プレート28は、フレームに固定維持され、隣接するガス発生グレン24がガスを発生させる際にフレームに関して隣接するガス発生グレン24の長手方向の位置を拘束するように、寸法決めし、形状づけることができる。たとえば、各保持プレート28はスリーブ26のボア38の直径Dよりも大きな直径Dを持つように寸法決めすることができる。したがって、各保持プレート28はスリーブ26内へ圧入することができ、締まり嵌めによりスリーブ26に結合することができる。締まり嵌めは摩擦により保持プレート28をスリーブ26に締結することができ、これは、スリーブ26による保持プレート28の圧縮により大幅に増大させることができる。スリーブ26及び保持プレート28は十分な引っ張り及び圧縮強度を有する材料から形成することができ、スリーブ26に関して保持プレート28を固定するのに十分な摩擦を提供するように、及び、ガス発生グレン24の燃焼中にスリーブ26に関する保持プレート28の長手方向の運動を阻止するように、スリーブ26に関して寸法決めすることができる。ある実施の形態においては、保持プレート28は片持ち梁式の部材46を有することができ、この場合、直径Dはスリーブ26のボア38の直径Dを越えることができる。さらに、片持ち梁式の部材46は図4に示すように保持プレート28の全体的な直径Dを越えて延びることができる。スリーブ26への挿入時に、片持ち梁式の部材46とスリーブ26との間に締まり嵌めを提供することができる。付加的な実施の形態においては、保持プレート28は片持ち梁式の部材46を有しなくてもよく、保持プレート28の全体的な直径Dはスリーブ26のボア38の直径Dよりも大きくすることができ、スリーブ26と保持プレート28の実質上全体の外側表面との間に締まり嵌めを提供することができる。更なる付加的な実施の形態においては、スリーブ26は螺旋状ネジ部、突出部及び/又は環状の溝(図示せず)のような表面特徴をボア38内に有することができ、このような特徴は、スリーブ26に関して保持プレート28を長手方向で固定するために利用できる、各保持プレート28の周辺部における表面特徴に対応することができる。
【0020】
本発明に係るガス発生装置50の付加的な実施の形態を図5に示す。ガス発生装置50は複数のガス発生グレン52と、複数のロッド56を有することのできるフレーム54と、保持プレート58のような少なくとも1つの保持構造体とを有することができる。複数のガス発生グレン52はフレーム54の長手方向に延びるロッド56により長手方向で重なった形状に強制され、各横方向に指向した保持プレート58はフレーム54の1又はそれ以上のロッド56に結合することができ、複数のガス発生グレン52の隣接するガス発生グレン52間に位置決めすることができる。
【0021】
各ガス発生グレン52は図3A、3Bを参照して説明したガス発生グレン24と同様に寸法決めし、形状づけることができる。ガス発生グレン52は重なった形状となって配列することができ、この場合、各ガス発生グレン52の外側表面62は別のガス発生グレン52の外側表面62とほぼ整合することができ、各グレン52の第1の表面64及び第2の表面66のうちの少なくとも一方は別のグレン52の第1の表面64及び第2の表面66の1つと隣接することができる。さらに、ロッド56は各ガス発生グレン52を取り囲むように円周方向で配置することができ、ロッド56によりガス発生グレン52の横方向の運動を制限できるように、各ガス発生グレン52に隣接して位置決めすることができる。
【0022】
図5に示すように、ロッド56は細長くてほぼ円筒状の形状を有することができ、スチール又は他の適当な金属のような実質上剛直で熱抵抗性の材料から形成することができる。付加的な実施の形態においては、ロッド56は他の細長い形状を有することができ、任意の数の形状からなることのできる断面を有することができる。
【0023】
保持プレート58のような少なくとも1つの保持構造体は、長手方向で重なった複数のガス発生グレン52の隣接するガス発生グレン52間に位置することができる。保持プレート58は図4を参照して説明した保持プレート28と同様のものとすることができる;しかし、保持プレート58は、スリーブ26ではなく、フレーム54のロッド56に結合しこれに固定されるように寸法決めし、形状づけることができる。図6に示すように、各保持プレート58はその中に複数の開口68又は孔を有することができ、各グレン52の中央の開口72に対応できる大きな中央の開口70を有することができる。各保持プレート58は、フレーム54に固定維持されるように、及び、隣接するガス発生グレン52がガスを発生させる際にフレーム54に関する隣接するガス発生グレン52の長手方向の位置を拘束するように、寸法決めでき、形状づけることができる。たとえば、各保持プレート58はフレーム54のロッド56の直径Dよりも小さな直径Dを有する1又はそれ以上の結合開口74を備えるように寸法決めすることができる。結合開口74は、各結合開口74の近傍での保持プレート58の弾性変形を容易にすることのできる1又はそれ以上の逃しカット部76を有することができる。したがって、各保持プレート58の結合開口74はフレーム54のロッド56と整合することができ、各保持プレート58はロッド56上に押し込むことができ、締まり嵌めによりロッド56に結合することができる。締まり嵌めは、図3、4を参照して説明した保持プレート28及びスリーブ26を参照して説明したものと同様の方法で、摩擦により各保持プレート58をロッド56に締結することができる。たとえば、各結合開口74の近傍の保持プレート58の区域は各ロッド56の外側表面78により弾性的に変形することができ、保持プレート58とロッド56との間の摩擦を向上させることができる。したがって、保持プレート58とフレーム54のロッド56との間の摩擦は、グレン52がガスを発生させるように燃焼している間、フレーム54に関する保持プレート58の長手方向の運動を阻止するのに十分なものとなることができる。付加的な実施の形態においては、ロッド56は溝、突出部及び/又は螺旋状ネジ部(図示せず)のような表面特徴を有することができ、このような特徴は各保持プレート58の対応する特徴と結合することができ、ロッド56に関して各保持プレート58を長手方向で固定することができる。
【0024】
ガス発生装置22、50のようなガス発生器を製造する方法は、ガス発生グレン24又は52のような複数のガス発生グレンを長手方向のスタックとして配列する工程と、保持プレート28又は58のような少なくとも1つの保持部材を長手方向のスタック内の複数のガス発生グレン24又は52の隣接するグレン間で位置決めする工程と、ロッド56又はスリーブ26に対するような、フレームに対して少なくとも1つの保持部材を固定する工程とを有することができる。
【0025】
たとえば、スリーブ26のような細長いフレームを提供することができ、プレスのラムに取り付けたプランジャのようなプランジャと整合するように位置決めすることができる。ガス発生グレン24はスリーブ26と整合することができ、たとえば、ガス発生グレン24の湾曲状の外側表面34はスリーブ26のボア38と整合することができ、グレン24はプランジャによりグレン24に力を適用することによりスリーブ26内において長手方向の位置で位置決めすることができる。次いで、保持プレート28のような保持部材はスリーブ26内でガス発生グレン24の表面に隣接して位置決めすることができ、スリーブ26に固定することができる。保持プレート28はスリーブ26と整合することができ、機械的又は液圧的なプレスの補助でのようなプランジャによりスリーブ26内へ押圧することができ、グレン24の第2の端表面32に隣接して位置決めすることができ、スリーブ26に関する保持プレート28の寸法及び形状はスリーブ26に保持プレート28を固定するための締まり嵌めを提供することができる。
【0026】
第1のガス発生グレン24がスリーブ26内に挿入され、第1の保持プレート28が第1のガス発生グレン24に隣接して位置決めされ、スリーブ26に固定されてしまった後、別のガス発生グレン24は、第1のガス発生グレン24と同様に、スリーブ26と整合することができる。第2のグレン24はスリーブ26内において別の長手方向の位置で位置決めすることができ、第2のガス発生グレン24の第1の端表面30は、プランジャにより第2のグレン24に力を適用することによって、第1の保持プレート28に隣接して位置決めすることができる。次いで、別の保持プレート28はスリーブ26内で第2のガス発生グレン24の第2の端表面32に隣接して位置決めすることができ、第1の保持プレート28の位置決め及び固定と同様の方法でスリーブ26に固定することができる。この方法は、所要数のグレン24がスリーブ26内で組み立てられるまで、繰り返すことができる。
【0027】
ここで述べるガス発生装置22、50のような本発明に係るガス発生装置は、ガス発生グレン24、52内の固形化学物質をガスに変換することのできる化学反応により、ガスを発生させることができる。たとえば、ガス発生グレン24、52は燃焼してガス状の燃焼生成物を形成することができる。電子点火器(図示せず)のような点火器は化学反応を開始させるか又はガス発生グレン24、52を燃焼させてガスを発生させるように作動することができる。グレンが燃焼している間、スラスト力が発生してグレンに作用することがあり、フレーム54又はスリーブ26のようなフレーム及び保持プレート28、58のような少なくとも1つの保持部材はこのような力に対抗し、グレン24、52の運動を制限することができる。フレーム26、54は、固定の位置に維持することができ、長手方向で重なった各ガス発生グレン24、52の横方向の運動を物理的に制限するために及びグレン24、52の燃焼中に各グレン24、52の横方向の位置を維持させるために利用することができる。さらに、保持プレート28、58はフレーム26、54に関して固定の長手方向に維持することができ、グレン24、52の燃焼中複数の長手方向で重なったガス発生グレン24、52の隣接するガス発生グレン24、52間に維持することができる。このため、各保持プレート28、58はフレーム26、54に関して固定維持することができ、グレン24、52が燃焼する際に隣接するガス発生グレン24、52の長手方向運動を制限することができる。
【0028】
ある実施の形態においては、ここで説明したようなガス発生装置22、50及び方法は、2006年4月21日に出願された「MAN−RATED FIRE SUPPRESSION SYSTEM」という名称の上述の米国特許出願番号第11/409,257号明細書に開示されたような、火炎抑制システムの一部とすることができる。したがって、ガス発生グレン24、52は火炎抑制ガスを発生させることができ、このガスは燃焼室から流出物トレインを通って火炎を含む空間(図示せず)へ導くことができる。火炎抑制ガスは空間にみなぎることができ及び/又は空間内に定量供給することができ、火炎を抑制することができる。たとえば、火炎抑制ガスは先に利用できる酸素含有ガスに取って代わることができ、火炎から燃焼に必要な酸素を奪い去ることができ、及び/又は、火炎抑制ガスは火炎の燃焼反応と干渉して、火炎を抑制することができる。しかし、本発明の実施の形態はまた種々の使用を有する任意の数の他の形式のガス発生組立体のために使用することができることを理解されたい。
【0029】
本発明では種々の修正及び代わりの形が可能であり、その特定の実施の形態を、例として、図面に示し、ここで詳細に説明したが、本発明は開示された特定の形に限定されることを意図するものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は特許請求の範囲及びその法的な等価物により定義される本発明の要旨内に入るすべての修正、等価及び変更を含む。
【実施例】
【0030】
実施例1
ガス発生装置において、
フレームにより長手方向で重なった形状に強制された複数のガス発生グレンと;
フレームに結合され、フレームに関して固定され、複数のガス発生グレンのうちの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置する少なくとも1つの保持プレートと;
を有することを特徴とするガス発生装置。
【0031】
実施例2
少なくとも1つの保持プレートがほぼディスク形状の孔付き金属シートで構成されることを特徴とする実施例1のガス発生装置。
【0032】
実施例3
フレームが複数の長手方向で重なったガス発生グレンの各ガス発生グレンの外側表面に実質上適合するように寸法決めされ形状づけられたボアを有するスリーブで構成され、複数のガス発生グレンの各々及び少なくとも1つの保持プレートがスリーブのボア内に位置することを特徴とする実施例2のガス発生装置。
【0033】
実施例4
スリーブが孔付き金属パイプ又はチューブで構成されることを特徴とする実施例3のガス発生装置。
【0034】
実施例5
少なくとも1つの保持プレートの外径がスリーブのボアの内径よりも大きく、少なくとも1つの保持プレートがスリーブのボアにより圧縮されて、少なくとも1つの保持プレートとスリーブとの間に締まり嵌めを形成することを特徴とする実施例4のガス発生装置。
【0035】
実施例6
少なくとも1つの保持プレートが複数の片持ち梁式の部材を有し、スリーブのボア内での位置決め前の複数の片持ち梁式の部材の外径がスリーブのボアの内径よりも大きいことを特徴とする実施例5のガス発生装置。
【0036】
実施例7
フレームが少なくとも1つのロッドを有し、少なくとも1つの保持プレートが少なくとも1つのロッドに結合され、少なくとも1つのロッドに固定されることを特徴とする実施例1のガス発生装置。
【0037】
実施例8
少なくとも1つの保持プレートが少なくとも1つのロッドの外側表面の寸法よりも小さな寸法を有する少なくとも1つの案内開口を含む孔付き金属シートで構成され、少なくとも1つのロッドは、少なくとも1つの案内開口を取り囲む孔付き金属シートの区域が少なくとも1つのロッドの外側表面により圧縮され、少なくとも1つの保持プレートと少なくとも1つのロッドとの間に締まり嵌めを形成するように、少なくとも1つの案内開口内に位置することを特徴とする実施例7のガス発生装置。
【0038】
実施例9
少なくとも1つの保持プレートが複数のガス発生グレンの各ガス発生グレンの断面の形状と同様の形状を有することを特徴とする実施例8のガス発生装置。
【0039】
実施例10
少なくとも1つの保持プレートが複数のガス発生グレンの各ガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置することを特徴とする実施例1のガス発生装置。
【0040】
実施例11
ガス発生装置において、
複数の長手方向で重なったガス発生グレンと;
フレームと;
フレームに結合され、複数の長手方向で重なったガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に位置する少なくとも1つの保持構造体であって、フレームに固定維持されるように、及び、隣接するガス発生グレンがガスを発生させる際にフレームに関する隣接するガス発生グレンの長手方向の位置を拘束するように、寸法決めされ形状づけられた少なくとも1つの保持構造体と;
を有することを特徴とするガス発生装置。
【0041】
実施例12
少なくとも1つの保持構造体が複数の長手方向で重なったガス発生グレンの各ガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置することを特徴とする実施例11のガス発生装置。
【0042】
実施例13
少なくとも1つの保持構造体をフレームに結合する締まり嵌めをさらに有することを特徴とする実施例11のガス発生装置。
【0043】
実施例14
火炎抑制システムにおいて、
少なくとも1つの燃焼室と;
少なくとも1つの燃焼室に結合された少なくとも1つの流出物トレインと;
少なくとも1つの燃焼室内に位置する少なくとも1つのガス発生装置と;
を有し、少なくとも1つのガス発生装置が、
フレームにより長手方向で重なった形状に強制された複数の火炎抑制ガス発生グレンと;
フレームに結合され、フレームに関して固定され、複数の火炎抑制ガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に位置する少なくとも1つの保持プレートと;
を有することを特徴とする火炎抑制システム。
【0044】
実施例15
ガス発生器を製造する方法において、
複数のガス発生グレンを長手方向のスタックとして配列する工程と;
長手方向のスタック内の複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に少なくとも1つの保持部材を位置決めする工程と;
少なくとも1つの保持部材をフレームに固定する工程と;
を有することを特徴とする方法。
【0045】
実施例16
各ガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に整合させる工程をさらに有することを特徴とする実施例15の方法。
【0046】
実施例17
各ガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に整合させる工程が、各ガス発生グレンの湾曲状の外側表面をスリーブのボアに整合させる工程を有することを特徴とする実施例16の方法。
【0047】
実施例18
各ガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に整合させる工程が、各ガス発生グレンの少なくとも1つの開口を少なくとも1つのロッドに整合させる工程を有することを特徴とする実施例16の方法。
【0048】
実施例19
フレームに関する第1の長手方向位置で第1の第1のガス発生グレンを位置決めするために第1のガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に沿って摺動させる工程と;
第1のガス発生グレンの表面に隣接してフレームに関する第2の長手方向位置に第1の保持部材を摺動させる工程と;
第1の保持部材とフレームとの間で締まり嵌めを形成するために第1の保持部材の少なくとも一部をフレームで圧縮することにより、第2の長手方向位置で第1の保持部材をフレームに固定する工程と;
第1のガス発生グレンに隣接して第2のガス発生グレンを位置決めし、かつ、隣接する第1のガス発生グレンと第2のガス発生グレンとの間で第1の保持部材を位置決めするために、フレームの保持特徴に沿って第2のガス発生グレンの整合特徴を摺動させる工程と;
をさらに有することを特徴とする実施例16の方法。
【0049】
実施例20
長手方向のスタック内の複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に少なくとも1つの保持部材を位置決めする工程がさらに、長手方向のスタック内の複数のガス発生グレンの各ガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に少なくとも1つの保持部材を位置決めする工程を有することを特徴とする実施例15の方法。
【0050】
実施例21
ガスを発生させる方法において、
ガスを発生させるために複数の長手方向で重なったガス発生グレンを燃焼させる工程と;
燃焼中にフレームに関する複数の長手方向で重なったガス発生グレンの横方向の運動を制限する工程と;
複数の長手方向で重なったガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に少なくとも1つの保持部材を維持させ、かつ、燃焼中にフレームに関して少なくとも1つの保持部材を固定維持させることにより、燃焼中に複数の長手方向で重なったガス発生グレンのうちの少なくともいくつかのガス発生グレンの長手方向の運動を制限する工程と;
を有することを特徴とする方法。
【0051】
実施例22
ガスを発生させるために複数の長手方向で重なったガス発生グレンを燃焼させる工程が、火炎抑制ガスを発生させるために複数の長手方向で重なったガス発生グレンを燃焼させる工程を有することを特徴とする実施例21の方法。
【符号の説明】
【0052】
22、50 ガス発生装置
24、52 ガス発生グレン
26、54 スリーブ(フレーム)
28、58 保持プレート
38 ボア
46 片持ち梁式の部材
56 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生装置において、
複数の長手方向で重なったガス発生グレンと;
フレームと;
上記フレームに結合され、上記複数の長手方向で重なったガス発生グレンの隣接するガス発生グレン間に位置する少なくとも1つの保持構造体であって、当該フレームに固定維持されるように、及び、上記隣接するガス発生グレンがガスを発生させる際に該フレームに関する当該隣接するガス発生グレンの長手方向の位置を拘束するように、寸法決めされ形状づけられた少なくとも1つの保持構造体と;
を有することを特徴とするガス発生装置。
【請求項2】
上記少なくとも1つの保持構造体が上記複数の長手方向で重なったガス発生グレンの各ガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載のガス発生装置。
【請求項3】
上記少なくとも1つの保持構造体を上記フレームに結合する締まり嵌めをさらに有することを特徴とする請求項1に記載のガス発生装置。
【請求項4】
上記少なくとも1つの保持構造体が、上記フレームに結合され、当該フレームに関して固定され、上記複数のガス発生グレンのうちの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に位置する少なくとも1つの保持プレートで構成されることを特徴とする請求項1に記載のガス発生装置。
【請求項5】
上記少なくとも1つの保持プレートがほぼディスク形状の孔付き金属シートで構成されることを特徴とする請求項4に記載のガス発生装置。
【請求項6】
上記フレームが上記複数の長手方向で重なったガス発生グレンの各ガス発生グレンの外側表面に実質上適合するように寸法決めされ形状づけられたボアを有するスリーブで構成され、上記複数のガス発生グレンの各々及び上記少なくとも1つの保持プレートが上記スリーブの上記ボア内に位置することを特徴とする請求項5に記載のガス発生装置。
【請求項7】
上記スリーブが孔付き金属パイプ又はチューブで構成されることを特徴とする請求項6に記載のガス発生装置。
【請求項8】
上記少なくとも1つの保持プレートが複数の片持ち梁式の部材を有し、上記スリーブの上記ボア内での位置決め前の上記複数の片持ち梁式の部材の外径が当該スリーブの当該ボアの内径よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載のガス発生装置。
【請求項9】
火炎抑制システムの少なくとも1つの燃焼室内に位置し、上記少なくとも1つの燃焼室が少なくとも1つの流出物トレインに結合されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載のガス発生装置。
【請求項10】
ガス発生器を製造する方法において、
複数のガス発生グレンを長手方向のスタックとして配列する工程と;
上記長手方向のスタック内の上記複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に少なくとも1つの保持部材を位置決めする工程と;
上記少なくとも1つの保持部材をフレームに固定する工程と;
を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
上記各ガス発生グレンの特徴を上記フレームの保持特徴に整合させる工程をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各ガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に整合させる上記工程が、上記各ガス発生グレンの湾曲状の外側表面をスリーブのボアに整合させる工程を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各ガス発生グレンの特徴をフレームの保持特徴に整合させる上記工程が、上記各ガス発生グレンの少なくとも1つの開口を少なくとも1つのロッドに整合させる工程を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
上記フレームに関する第1の長手方向位置で第1のガス発生グレンを位置決めするために上記第1のガス発生グレンの特徴を当該フレームの保持特徴に沿って摺動させる工程と;
上記第1のガス発生グレンの表面に隣接して上記フレームに関する第2の長手方向位置に第1の保持部材を摺動させる工程と;
上記第1の保持部材と上記フレームとの間で締まり嵌めを形成するために当該第1の保持部材の少なくとも一部を当該フレームで圧縮することにより、第2の長手方向位置で該第1の保持部材を該フレームに固定する工程と;
上記第1のガス発生グレンに隣接して第2のガス発生グレンを位置決めし、かつ、隣接する当該第1のガス発生グレンと上記第2のガス発生グレンとの間で上記第1の保持部材を位置決めするために、上記フレームの保持特徴に沿って当該第2のガス発生グレンの整合特徴を摺動させる工程と;
をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
長手方向のスタック内の複数のガス発生グレンの少なくとも1つのガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に少なくとも1つの保持部材を位置決めする上記工程がさらに、上記長手方向のスタック内の上記複数のガス発生グレンの各ガス発生グレンと少なくとも1つの隣接するガス発生グレンとの間に上記少なくとも1つの保持部材を位置決めする工程を有することを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−280376(P2010−280376A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−127488(P2010−127488)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(598174370)アライアント・テクシステムズ・インコーポレーテッド (19)
【氏名又は名称原語表記】Alliant Techsystems Inc.
【Fターム(参考)】