説明

粒子含有繊維から作製される高機能スパンボンド布帛およびその製造方法

本発明は、1種または複数種の機能性添加剤を含有する非溶融性ポリマーからなる繊維から作製される高機能性スパンボンド布帛に関する。繊維が交絡して結合し、繊維の長さはさまざまで縦横比が約1.000であり、しっかりしたフリース複合体を形成する。前記繊維は、平均直径が0.1〜500マイクロメートル、および直径の変動が繊維内および/または繊維相互間で少なくとも30%である。非溶融性ポリマーに加えて、該繊維は、合計質量に対して40質量%を超える量の機能性添加剤を固体および/または液体形態で含有し、繊維中に機能性添加剤が微細に分布している。スパンボンド布帛は、直接溶媒に溶解した非溶融性ポリマーおよび少なくとも1種の機能性添加剤を含む紡糸溶液から製造される。紡糸溶液は紡糸口金から押し出され、生じたポリマー繊維状物は縦方向に延伸されてフィラメントまたは繊維を形成し、安定化されて降ろされフリース布帛を形成する。スパンボンド布帛は、例えば、衣類、工業用編織布を製造するためにまたはフィルタとして使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公知のスパンボンド法を使用して、溶解したポリマーから直接得ることができる、液体および/または固体の機能性添加剤を充填した繊維で構成された編織布としての高機能スパンボンドに関する。当該繊維は、繊維質量の合計に基づいて40質量%以上の程度の機能性添加剤からなり、繊維の平均直径は、0.1〜500マイクロメートルの範囲内であり、繊維内および繊維間の直径変動は少なくとも30%に達する。本発明のスパンボンド布帛は、非常に高濃度の機能性添加剤が含まれることにより高い機能性を有し、例えば芯地として、衛生用途のため、創傷保護材のため、担体材料として、建材および輸送材料として、化粧品材料としてまたはフィルタとして、多方面にわたって使用される。
【背景技術】
【0002】
充填された編織布としては、例えば温度調節、抗菌性または吸収剤の性質を有するものが既に知られている。
【0003】
編織布の形態で使用される先行技術材料では、機能性繊維製造後に少なくとも1つの追加的加工処理ステップが必要であり、および/または少量の機能性粒子を含むにすぎない。例えば、独国特許出願公開DE102008045290Alには、後で編織布、創傷保護材、フィルタ、その他を製造するために使用される繊維が開示されている。添加剤部分はもっぱら亜鉛華(ZnOおよびZnS)に限定され、その部分は最大で30%までに限定され、一方粒子サイズは15μm未満である。粒子含有率は繊維性不織布ウェブ用途についてはこれより高くすることもできると簡単に記載されているが、そのような不織布布帛をいかにして得ることができるかについては教示が示されていない。その目的は、粒子含有率の高い機能性繊維性不織布ウェブではなくて、洗濯に対する定められた耐久性を有し、活性成分の制御された送達と合わせて洗濯可能および染色可能な抗菌性成形物/繊維であった。
【0004】
担体材料としては、溶融物をスパンボンドに加工できる、例えば欧州特許出願公開EP1199393A2における熱可塑性ポリマーがしばしば使用される。上記の特許は、疎水性添加物を含む熱可塑性ポリマーから製造されたスパンボンドに関し、その目的は、疎水性添加物を繊維表面で濃縮することである。この目的は、繊維を空気流により平均繊維直径が粒子直径と等しくなるかまたは最大で粒子直径の半分まで減少するような程度にすることにより達成される。混合作用剤を含むマスターバッチの分率は、10〜20質量%であり、さらに被覆する膜への加工または生理用ナプキンにおける使用を損なわないようにそれより高くしてはならない。
【0005】
粒子含有フィラメント/繊維は、機能性粒子含有率が非常に高く40%以上である場合、破断端が頻繁に生ずるので、通常のフィラメント/繊維紡糸工程で持続的に得ることはできない。
【0006】
編織布産業の種々の分野において、消費者にとって追加の機能性は有益であり、製造に費用がかからず容易に製造できる繊維材料に対する高い希求がある。そのような繊維材料の用途分野には、例えば、アパレル産業における芯地材料として、産業用編織布、例えば衛生用途、創傷保護材、担体材料として、建材および輸送材料として、化粧品材料として、または例えば廃水濾過もしくは排気用の、ならびに空気中や水中の成分を凝集させるためのフィルタとしての用途が含まれる。
【0007】
機能性添加剤を含む布帛は、原理的には、編織布の価値を付加された縦糸に沿った布帛製造によりまたは繊維性不織布ウェブ形成によりのいずれかで、各場合に機能性を付加した繊維から、または添加剤分散液によるシート状編織布構造のコーティングにより、あるいは、既に製造された繊維性不織布ウェブ構造中への固体もしくは液体の機能性添加剤の練り込みにより、得ることができる。
【0008】
40質量%を超える量の機能性添加剤部分を有する繊維は、通常の繊維紡糸工程では、繊維破断が生ずることがあり持続的に得ることができない。この欠点は、溶液紡糸により布帛化した機能性繊維の使用により部分的に改善することができるが、次の編織布の布帛製造工程で少なくとも1つの追加の加工処理ステップが必要になる。
【0009】
機能性編織布の形態で製造された先行技術材料では、機能性繊維の別の製造に続く少なくとも1つの追加の加工処理ステップが必要であり、且つ/または少量の機能性粒子が含まれるにすぎない。繊維性不織布ウェブを製造するための別々の作業により、高充填繊維に対してさらなる応力がかかり、結果としてこれらは損傷されるため、機能性および/または機械的耐久性に関して比較的低い品質要求しか満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開DE102008045290Al
【特許文献2】欧州特許出願公開EP1199393A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、その目的のために、40質量%を超える程度まで機能性添加剤からなり、平均直径が0.1〜500マイクロメートルの範囲内にある粒子含有フィラメントおよび繊維を含む、機能性粒子の性質に応じて種々の使用分野に対して高機能性の利益のある用途の広い布帛を提供する。布帛は、そのままで十分強く、さらに加工処理するのにおよび/またはそのまま使用するのに適するであろう。布帛には機能性添加物が高含有量で含まれているため、コーティングまたは表面仕上げなどの追加ステップを実施することによってのみ達成できるような機能性を有するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、紡糸工程において高機能性編織布布帛が、1種または複数種の機能性混合添加剤をドープした直接溶媒中の非溶融性ポリマーの溶液から、スパンボンド法を使用して直接連続的に製造される場合に達成される。驚くべきことに、添加剤含有率が40質量%を超える編織布は、追加の加工処理ステップを実施することなく、持続して且つ再現性をもって得ることができ、しかもそれらの全寿命サイクルを通して永続的機能性を保持する。本発明の繊維性不織布ウェブの布帛繊維の直径の変動は、繊維内および繊維間で少なくとも30%であり、驚くべき結果として、繊維の縺れや交絡により高い自己結合能力を有することも同様に見出された。
【0013】
したがって、本発明は、繊維が交絡して縺れ、その長さが一様でなくて縦横比が1000を超え、互いにしっかり結合したウェブを形成していることを特徴とする、1種または複数種の機能性添加剤を含有する非溶融性ポリマーからなる繊維の高機能スパンボンドウェブであって、繊維の平均直径が0.1〜500マイクロメートルであり、直径の変動も任意の1本の繊維内および複数の繊維間で少なくとも30%あり、繊維が非溶融性ポリマーに加えて繊維中に微細に分布する固体および/または液体形態にある機能性添加剤を、繊維質量の合計に対して40質量%を超える量で含有するスパンボンドウェブを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添加剤のタイプに依存して種々の用途分野に対して有用な編織布は、各場合に、繊維質量の合計に対して40質量%を超え、96質量%までの、場合によりさらに多くの機能性添加剤を含む添加剤含有繊維から構成され、平均直径は0.1〜500マイクロメートルである。機能性添加剤の含有率は、好ましくは繊維質量合計に対して40質量%を超え、90質量%までである。
【0015】
含有される添加剤の永続性機能の範囲は、例えば、電気伝導性、吸収性、イオン交換性、抗菌性、温度制御性から防炎性、研磨作用またはそれらの改良および/または組合せにまでわたる。
【0016】
機能性添加剤は、とりわけ、活性炭、高吸収性吸収剤、イオン交換樹脂、PCM、金属酸化物、防炎剤、研磨剤、ゼオライト、ベントナイト、もしくは改質シート状シリケートなどのシート状シリケート、化粧品またはそれらの混合物である。パラフィン、ワックスまたは油などの液体親油性物質も、機能性添加剤として導入することができる。それに加えて、1種またはさらなる成分、例えばナノ銀または染料またはその他の活性な薬学的成分または殺虫剤を低濃度で導入することができる。
【0017】
紡糸用混合物中における機能性添加剤(本明細書においては、機能性粒子または機能性材料とも称する)の体積分率は、空気で湿ったウェブ−紡糸フィラメント/繊維中の大部分の体積を占める成分を、混合物が50%を超えて含むように好ましく選択されてきた。機能性粒子の直径が空気で湿ったスパンボンドウェブのフィラメント/繊維の平均直径の約1/4である特定の1実施形態において、フィラメント/繊維中の個々の粒子は接触点を有し、機能性が有利な様式で発揮され得る。
【0018】
粒子含有フィラメント/繊維を含む添加剤含有布帛は、スパンボンド法により製造される。繊維化工程において、ドープされたポリマー含有紡糸溶液が使用され、直接溶媒は、好ましくは、非プロトン性溶媒である。特にセルロースのための有用な直接溶媒として、とりわけN−メチルモルホリンN−オキシドまたはN−メチルモルホリンN−オキシド一水和物、イオン性液体、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム酢酸塩、3−エチル−1−メチルイミダゾリウム塩化物または3−ブチル−1−メチルイミダゾリウム塩化物、塩化リチウムと混合したジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドもしくはジメチルスルホキシド、またはNaOH−チオ尿素−水などまたは場合によりそれらの混合物が挙げられる。機能性粒子および溶解したポリマーを含む紡糸溶液は、直径が0.1〜1.1mm、好ましくは0.3〜0.7mmの口金の孔を通して押し出される。
【0019】
生じた繊維状物は、口金を離れると直ちに細くなり、それら自体の質量および/または機能性添加剤に基づく紡糸混合物の低下した糸延伸能力に合わせた強度で、斜め前方に向けた空気流により、短い通路内で縦方向に、縦横比が約1000、好ましくは約5000、より好ましくは約40000のフィラメントおよび繊維になる。本工程において生ずる繊維亀裂は、工程が中断されることなく、ウェブ製造のステップに悪影響を及ぼさない。それらが有する効果は、さまざまな長さや直径の繊維がウェブ中に存在することである。繊維は、続いて(無緊張区間に移る過程で)縦の緩和が起こる前にそれらの形状が安定化する。これは、温度を制御した空気流中で溶媒を蒸発させることにより、または微細液滴、特に水または非プロトン性液体の液滴の流れにより、ゲル化および可能な溶媒交換のいずれかにより、ポリマーの溶解状態を少なくとも部分的に不溶解状態に転換することにより達成される。粘着性のない状態に達すると、繊維/フィラメントを小孔のあるベルトまたはドラム上に降ろしてウェブを形成させ、それを層にして、吸引により圧縮することができる。溶媒を多く含む過剰の水を分離して除き、繰り返し洗浄することにより残存する溶媒を洗い落とし、続いて得られたウェブは所望により乾燥することができ、その場合、ウェブを構成するフィラメントおよび/または繊維中の機能性粒子は、処理中に起こったポリマーの脱膨潤のために互いに接触して、接合が性質を決定する様式で高度に進む。
【0020】
粒子に結合する直接溶解したポリマーは、非溶融性ポリマー、すなわち、軟化点が分解点付近であるポリマーである。それは、好ましくは天然ポリマーの群(例えば、多糖、より好ましくはセルロース、多糖誘導体およびタンパク質またはタンパク質誘導体の群)から、ならびに/または溶媒形成可能な合成ポリマー(例えば、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリスルホン、メタアラミドまたはそれらのコポリマーの群)から選ばれる代表的なものである。このようにして得られた湿潤スパンボンドウェブは、編織工程(穿刺、噴流水固定、化学的結合)を実施することにより固定、精錬して形成することができる。その場合、ウェブの固定および精錬は乾燥の前でも後でも行うことができる。例えば、コーティング、浸漬による、または活性イオン性成分を用いる後処理を続いて行うことができる。
【0021】
スパンボンドウェブは、押し出し後に直接ランダムに敷置された繊維およびフィラメントのウェブであり、2層以上を互いの上に敷置することができる。繊維およびフィラメントの混合物に、粒子が高い含有率で含まれる結果、口金の下で繊維破断を生じることになるが、この破断によっていかなる工程も中断されない。その上、本発明の方法によるスパンボンドウェブは、長さの異なる繊維からなるだけではなくて、繊維自体、それらの長さに沿ってまたは繊維相互間で太さが異なる。繊維の太さは溶液の濃度、空気吹付速度、ポリマーのタイプ、粒子サイズ、およびさらに添加剤と溶液の他の成分との相互作用および添加剤含有率などの種々の要因によって決定される。口金からの降下時に、交絡して縺れた繊維およびフィラメントが製造されて、しっかりと相互に結合したウェブを生成する。高い粒子含有率、粒子サイズおよび繊維破断により、顕微鏡下で非常に容易に視ることができる、繊維の平均直径における特徴的な不均一性が生ずる。
【0022】
ポリマー溶融物から布帛を製造することに対するポリマー溶液から製造することの利点は、出発原料溶液中に溶媒がポリマーおよび添加剤と一緒に存在して、それから後で除去されるので、粒子含有率が計れないほど高くできることである。粘着力は破断がまれに起こるのみであることを保証するのに十分であるが、同時に、溶解したポリマーのネットワークは、押し出しおよび延伸時に粒子が互いにすれ違って滑ることができるように、その潤滑性を維持する。それに加えて、溶媒を水に換えることによる繊維およびフィラメントの種々のゲル状態は、さらなる加工処理に利用することができる。
【0023】
高機能スパンボンドウェブは、単位面積当りの質量が2〜1000g/m、好ましくは5〜500g/mであり、厚さが0.01〜20mm、好ましくは0.05〜5mmである。それは追加で組み込まれた永続的な機能、例えば電気伝導性、吸収性、イオン交換性、抗菌性、温度制御性、防炎性、研磨作用、それらの改良または組合せを有する。
【0024】
本発明の一実施形態においては、粒子状の増孔剤、例えばGlauber塩を、ポリマー溶液中に入れ込むことができる。製造されたスパンボンドウェブにおいて、増孔剤は、次に、洗浄工程中に、シート状スポンジと比較して非常に大きい表面積を有する多孔性の繊維およびフィラメントのスパンボンドウェブを生ずる。
【0025】
粒子含有フィラメント/繊維を含む高機能スパンボンドェブの使用範囲は、機能性粒子のタイプに応じて、アパレル編織布、例えば熱を蓄えまたは活性成分を送達する芯地から、種々の用途分野に高機能性の利益を有する工業用編織布にわたり、例えば、衛生用途のため/創傷保護材として/活性成分のための担体材料としてまたは複合体における担体材料として、建設および輸送材料として、化粧品材料として。または例えば濾過用の、およびリン酸塩、硝酸塩およびアンモニウム窒素化合物などの空気および水中の成分との結合のためのフィルタとしての使用である。高濃度の添加剤に基づく機能の性質が特に発現するので、これらの繊維性不織布ウェブは他の布帛との層状複合体にも適する。これは、スパンボンドウェブ製造中に予め置いておいた他の布帛上に高機能スパンボンドェブを製造することにより達成することができる。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は本発明を例証することに役立つ。本明細書中のパーセンテージは、特に断りのない限り、また情況から直ちに明らかでない限り質量による。
【0027】
例1(比較例)
粒子直径がD99=14.8μmの粉砕したイオン交換樹脂(強塩基性アニオン交換体)0.1kgを、N−メチルモルホリンN−オキシド一水和物(NMMO・一水和物)中の9%セルロース溶液1.5kgに分散し、続いて90℃で30分間ホモジナイズした。次にその紡糸溶液をギヤポンプにより95℃で紡糸口金(1200孔、直径0.3mm)に送液して紡糸した。しかしながら、溶液の射出流が紡糸口金出口で合着するので、空気中の間隙(1〜10mm)を通して持続的に形成することは不可能であった。形成された繊維トウ片の一部は可能な限り完全に溶媒を除き、長さ40mmのステープルにカットして、上記の合着部分をできるだけ排除した。繊維を1%塩化ナトリウム溶液で処理して55℃で一定質量になるまで乾燥した。次の紡績糸への紡績は不可能であった。ウェブ製造は多数の短い繊維を用いて僅かばかり可能であり、極端な繊維の先端切断が観察された。ウェブの不規則な束ねてない部分はさらなる加工処理/利用が可能でなかった。安定化のための穿刺による固定は、ウェブが工程で完全に破壊されてばらばらになるので可能でなかった。
【0028】
例2
例1により製造されたセルロース溶液を、溶液温度95℃で、メルトブロー(溶液ブロー)紡糸法により、口金押し出しユニット出口で直ちに80℃の温風を吹き付け、水のミストを噴霧して固化し、小孔のあるベルト上に置くことにより直接ウェブに形成した。形成作業過程は安定で、得られた不織布は、溶媒を完全に抽出して60℃で乾燥した後、イオン交換ウェブとして容易に使用可能であった。機能性ウェブは機械的に安定で適当なサイズに切断して水処理装置中に導入することができた。それに加えて実施された中程度の穿刺、したがってさらなる圧縮は、ウェブが工程で破壊されることなく同様に可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種または複数種の機能性添加剤を含有する非溶融性ポリマーからなる繊維の高機能スパンボンドウェブであって、
前記繊維が交絡して縺れ、その長さが一様でなく縦横比が1000を超え、互いにしっかり結合したウェブを形成しており、
前記繊維の平均直径が0.1〜500マイクロメートルであり、直径の変動が繊維内および繊維間で少なくとも30%あり、かつ
前記繊維が、非溶融性ポリマーに加えて、繊維中に微細に分布する固体および/または液体形態にある機能性添加剤を、繊維質量の合計に基づいて40質量%を超える量で含有することを特徴とする、スパンボンドウェブ。
【請求項2】
前記機能性添加剤が、固体もしくは液体、好ましくは親油性物質、より好ましくは活性炭、高吸収性吸収剤、イオン交換樹脂、圧電性材料、相変化材料、具体的には、パラフィン、金属酸化物、防炎剤、研磨剤、ゼオライト、シート状シリケート、改質シート状シリケートおよび/または化粧品であることを特徴とする、請求項1に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項3】
前記機能性添加剤を結合する非溶融性ポリマーが、天然ポリマー、好ましくは多糖、より好ましくはセルロース、多糖誘導体および/またはタンパク質もしくはタンパク質誘導体であること、ならびに/またはそれが溶液形成可能な合成ポリマー、好ましくはポリアクリロニトリルもしくはアクリロニトリル単位とのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリスルホンおよび/もしくはメタアラミドであることを特徴とする、請求項1または2に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項4】
交絡して機械的に結合したフィラメント/繊維から構築された層構造を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項5】
単位面積当たりの質量が2〜1000g/m、好ましくは5〜500g/mである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項6】
厚さが0.1〜20mm、好ましくは0.5〜5mmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項7】
前記機能性添加剤の含有率が、繊維質量の合計に対して40質量%〜96質量%であり、場合によりそれをさらに超えることを特徴とする、請求項1〜6までのいずれか1項に記載のスパンボンドウェブ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の高機能スパンボンドウェブを製造する方法であって、
1種または複数種の機能性添加剤、溶媒、および前記溶媒に溶解したポリマーからなる紡糸溶液を、口金の孔径が0.1〜1.5mm、好ましくは0.3〜0.7mmである紡糸口金から押し出し、
生ずるポリマー繊維状物は、口金を離れた後直ちに、それ自身の質量、および/または斜め下方に吹く気流によって、短い通路で縦方向に延伸されてフィラメントおよび/または繊維になるが、前記気流は、含有される機能性添加剤による紡糸される混合物の延伸能力の低下に合わせた強度で吹かれ、
次いで無緊張区間に移ると、フィラメントおよび/または繊維の形状は縦の緩和が起こる前であっても、温度を調節した空気流および/または微細な水滴を通過させることより、固定/ゲル化および溶媒の水による部分的置換により安定化されて、その際の安定化は空間的に多少口金出口寄りで起こり得るため、多少相互に接着したゲル状態の繊維を含むウェブがこのようにして得ることができ、
前記安定化の状態に達した後、フィラメントおよび/または繊維を、小孔のあるベルトまたはドラム上に載置してウェブを形成し、残存溶媒を繰り返し洗浄して除去して、続いて所望によりウェブを乾燥する、ことを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記溶媒が、非プロトン性溶媒を含むかまたはそれからなることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記高機能スパンボンドウェブが、さらに固定され精錬されて編織布工程により形成されること、ならびに、前記ウェブの固定および精錬を乾燥前または後に実施すること、を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記高機能スパンボンドウェブを穿刺もしくは噴流水固定により安定化し、および/または、それに加えて化学的に架橋する、ことを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能性添加剤含有フィラメント/繊維を含む高機能スパンボンドウェブの、アパレル編織布、とりわけ芯地としての、および、工業用編織布を製造するための、とりわけ衛生用途、創傷保護材のための、活性成分の担体材料または複合体用担体材料のため、建材および輸送材料としての、化粧品材料としてまたはフィルタとしての、種々の用途分野に対して高機能性が有益である前記機能性添加剤の種類に応じた、使用。

【公表番号】特表2013−515869(P2013−515869A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545358(P2012−545358)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2011/004591
【国際公開番号】WO2012/034679
【国際公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【出願人】(502451568)
【Fターム(参考)】