説明

粒子含有表面とその関連方法

【解決手段】 例えば抗菌性またはバイオセンシング特性を有する粒子を含む表面が提供される。発明品を製造する関連方法もまた提供される。液体、目的物、および本発明表面を有する標的を処理するシステム及び方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2007年5月29日付け出願の米国仮特許出願第60/932,025号明細書および2008年5月6日付け出願の米国仮特許出願第61/126,589号明細書に対して優先権を主張するものであり、いずれもこの参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本発明は活性粒子およびポリマー/溶媒相互作用の分野に関連する。
【背景技術】
【0003】
活性機能性粒子を埋め込むことによる表面の機能化は多くの分野における関心領域である。粒子によって表面を機能化することにより、ユーザーは抗菌性やバイオセンシングなど当該粒子の有用な特性を備えた表面を作製することができる。
【0004】
機能化表面に関して特に興味の対象となる領域の一つは、微生物汚染の削減にある。微生物汚染により毎年何十億ドルもの費用が、設備損傷、製造物汚染、エネルギー損失、および医療感染に費やされていると推定される。この問題の規模を示す一例として、建築物および建築材料に生じる微生物関連被害は毎年数十億ドルと推定される。
【0005】
微生物汚染はさらに重大な疾患および付帯的な生産性損失の原因ともなる。電話、現金自動受け払い機(ATM)、およびコンピュータのキーボードなどよく利用される機器に見られる微生物密度は便座などの備品に見られる微生物密度よりも数倍大きい。
【0006】
機能化表面に対する関心は抗菌表面に限定されるものではない。一例として、特定の生体分子への結合能力を備えた表面も関心の対象となる。
【0007】
プラスチックにも通常さまざまな添加剤(可塑剤、潤滑剤など)が含まれ、特定の所望特性の達成に役立っている。しかしこれらの添加剤は微生物の成長や繁殖の維持に必要な炭素をも提供する。したがって、特定の特性を得るためにプラスチックには通常一つ若しくはそれ以上の添加剤が必要であるが、そのような添加剤を加えたプラスチックは同時に微生物汚染を引起しやすいことが考えられる。
【0008】
現在、様々な機能の粒子を含んだ担体−粒子複合体は二つの方法で作製される。通常の大量組み込み製造法では、粒子を担体全体に非特異的に散布する。通常のコーティングプロセスでは、粒子を二次コーティング層内に散布し、それを主要担体上または追加下塗層またはバインダー層上に配置する。
【0009】
しかしこれらの方法では一定の不都合が生じる。大量組み込みは、表面に微粒子を備えた担体の製造が目的であるのにもかかわらず担体内にも多数の粒子が散布されるため、非効率である。したがって、大量組み込みでは多数の粒子が担体内に埋め込まれ、担体外の環境にさらされることがない。その結果、大量組み込み法によって任意の担体の表面を機能化するためには、比較的多数の粒子が必要となる。また、担体内への粒子の均一な散布は困難であるが、表面領域を粒子で均一に覆うためには必要である可能性がある。
【0010】
コーティングプロセスにも一定の非効率性が存在する。コーティングプロセスを用いて機能化表面を作製するためには、表面の前処理、下塗り、硬化など複数の追加製造工程が必要となる可能性がある。二番目に、コーティング層は下の担体にしっかりと付着または結合して剥がれない必要があり、これはポリマー担体では特に困難な課題である。コーティングに基づいた方法を適切に実施するためには十分な調査と開発への決意が必要であり、下塗層または表面処理の追加が必要となる可能性もある。三番目に、使用条件下において粒子が緩んだり剥がれたりしないように、コーティング層は粒子をしっかりと保持する必要がある。
【0011】
従って、表面に強固に且つ効果的に付着した表面保持粒子を有する複合構造に関する技術の必要性がある。表面上にそのような粒子を備え、構造外環境にさらされない部分には不必要な粒子を含まない構造の価値は高まるものと考えられる。さらにそのような構造の作製およびその他の関連デバイスが同時に必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を達成するにおいて、本発明はまず担体に粒子を埋め込む法を提供するものであり、この方法は、少なくとも担体の一部を、約0.1nm〜約1cmの少なくとも一つの特性寸法(characteristic dimension)を有する粒子群を含む液体を適用し、複数の粒子が少なくとも部分的に当該担体の軟化部分に埋め込まれる程度まで担体を軟化させる工程と、前記担体の少なくとも一部分を硬化させて、少なくとも一つの粒子が前記担体中にしっかりと埋め込まれるようにする工程とが含まれる。
【0013】
本発明はさらに複合材料を提供するものであり、前記複合材料は、粒子群が少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの表面を有する担体を含み、その粒子群は平均的特性寸法が約0.1nm〜約1cmを有するものである。
【0014】
また、担体を機能化するための組成物が提供され、この組成物は、液体中に分散される粒子群を含み、当該組成物は一つ若しくはそれ以上の粒子が軟化されたポリマー担体内に少なくとも部分的に埋め込まれ得る程度にまで担体を軟化することが可能なものである。
【0015】
さらに本発明は、液体に分散するためのシステムを提供するものであり、このシステムは、平均的特性寸法が約0.1nm〜約1cmである機能化粒子群が少なくとも部分的に埋め込まれた表面を少なくとも一つ有する構造と、液体供給とからを含む。
【0016】
本発明はさらに、標的の処理方法を提供するものであり、当該処理方法は、一若しくはそれ以上の成分を有する一つ若しくはそれ以上の標的と粒子群(平均的特性寸法が約0.1nm〜1cm)が部分的に埋め込まれた表面とを接触させる工程を含み、前記接触は一つ若しくはそれ以上の部分的に埋め込まれた粒子が一つ若しくはそれ以上の標的成分と相互作用するように行われる。
【0017】
本発明はさらに粒子のポリマー担体中への埋め込み方法を提供するものであり、当該方法は一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に担体中に埋め込まれる条件下において、粒子群(平均的特性寸法が約0.1nm〜1cm)を担体に適用させる工程を含む。
【0018】
さらに、表面全体に粒子を分配する方法が提供され、当該分配方法は、不活性液体中における粒子群を少なくとも一つの担体に分配する工程と、少なくとも一つの担体表面にわたり前記液体を散布する肯定を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前記概要は、以下の詳細な説明と同様に、添付の図面を参照することによりさらに理解される。本発明を説明するため図中に本発明の例示的実施形態が示されるが、本発明は開示される特定の方法、組成物、デバイスに限定されるものではない。さらに、図は必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。
【図1】図1は、材料内に大量散布された粒子の概略断面図を示したものである。
【図2】図2は、担体の一面に従来のコーティング法によって適用された粒子の断面図を示したものである。
【図3】図3は、本請求材料の概略断面図であり、担体材料の一面内に部分的に埋め込まれた粒子群を示したものである。
【図4】図4は、本請求の発明に基づき従来の噴射適用法を用いて担体に活性材料を塗布する際の概略図を示したものである。
【図5】図5は、本発明に基づき数個の活性粒子が担体中に埋め込まれた様子を示す概略図を示したものである。
【図6】図6は、(a)大腸菌細胞および(b)銀ナノ粒子溶液(50μg/cm)で処理した細胞の走査電子顕微鏡写真を示したものである。
【図7】図7は、エアロゾル送達銀ナノ粒子が含まれた加熱圧搾平板PVCサンプル(右画像)および銀が含まれない対象サンプル(左画像)の光学顕微鏡写真を示したものである。
【図8】図8は、銀ナノ粒子に関連したラマン散乱、銀増強サンプル、および一般PVCサンプルを示したものである。
【図9】図9は、PVC濃度は様々であるが一定濃度の銀(1.5wt%)を含む銀含有テトラヒドロフラン(THF)溶液で処理したPVCサンプルの光学顕微鏡写真(20倍)を示したものである。
【図10】図10は、一定の各種PVC濃度に対する銀濃度漸増による塗布面積率を示したものである。
【図11】図11は、一定のPVC濃度における銀濃度漸増による平均粒子サイズの漸増傾向を示したものである。
【図12】図12は、非処理PVC(左)および銀処理PVC(右)に割り込んだ溝の走査電子顕微鏡写真(SEM)であり、埋め込まれた銀粒子の断面が見られる。
【図13】図13は、THF溶液(銀2wt%、PVC2.25wt%)で強化されたPVCサンプルに対する水流量3.9ガロン/分inにおける経時的な銀被覆面積率を示したものである。
【図14】図14は、(A)大腸菌対照(左プレート)およびエアロゾル化銀ナノ粒子(右プレート)接種後24時間における100mm Liria−Bertani(LB培地)プレート(赤い点線による円は気流の標的を示す)、および(B)図14Aにおける細菌繁殖境界領域の拡大図(点線による円は気流の標的を示す)を示したものである。
【図15】図15は、(A)大腸菌接種後24時間で寒天底面から見た非処理の対照サンプル(上、Cの印がある)およびTHF溶液(銀2wt%、PVC 2.25wt%)で処理したサンプル(下)、および(B)前記(A)の処理サンプルの拡大像(矢印は最大抑制域(〜0.88mm))を示したものである。
【図16】図16は、10時間後の非処理対照サンプル(左端のサンプル)、2wt%Ag、2.25wt%PVCのTHF溶液(左から2番目)、4wt%Ag、2.25wt%PVCのTHF溶液(左から3番目)、および滅菌LB培地を示したものである。サンプルを入れた各試験管には等濃度の大腸菌が接種されたLB培地が入っており、より濃密に処理を施したサンプルを入れた培地の濁度が低下したことは、大腸菌の繁殖抑制を示唆している。
【図17】図17は、サンプル(4.0wt%Ag、2.0wt%PVC)と接触した大腸菌接種LB培地に対するLB寒天プレートの経時的細菌被覆率を示したものである。
【図18】図18は、(A)非処理対照サンプル上における24時間後の大腸菌繁殖(左)、およびTHF溶液(4wt%Ag、2.25wt%PVC)で処理したサンプル上における大腸菌繁殖の低下(右)、および(B)非処理対照サンプル上における24時間後の黄色ブドウ球菌繁殖(左)、およびTHF溶液(4wt%Ag、2.25wt%PVC)で処理したサンプル上における黄色ブドウ球菌繁殖の低下(右)を示したものである。
【図19】図19は、ヘキサデシルアミンで被覆された銀ナノ粒子を含むテトラヒドロフランで処理したPVC表面の走査電子顕微鏡写真(SEM)を示したものである(左)。また、右断面像では当該粒子が表面深くに埋め込まれた様子が見られる。
【図20】図20は、イオン化銀が入った0.1wt%A型ゼオライトを含む2−メチルテトラヒドロフラン/アセトン混合物(50/50重量比)で処理したポリカーボネート表面の光学顕微鏡写真を示しており、当該ゼオライト結晶粒子が表面に埋め込まれている(上画像)。また、イオン化銀が入った0.1wt%リン酸ジルコニウムをベースにしたセラミックイオン交換レジンを含む2−メチルテトラヒドロフラン/アセトン混合物(50/50重量比)で処理したポリカーボネート表面の光学顕微鏡写真を示しており、当該レジン粒子が表面に埋め込まれている(下画像)。
【図21】図21は、イオン化銀が入った0.1wt%ガラス微小粒子を含む2−メチルテトラヒドロフランで処理したポリカーボネート表面の走査電子顕微鏡像(SEM)を示したものであり、表面に当該粒子が埋め込まれている。
【図22】図22は、0.1wt%炭素ナノ繊維含有の2−メチルテトラヒドロフランで処理したPVC表面の光学顕微鏡像(上左)であり、ナノ繊維が部分的に同表面に埋め込まれており、また当該ナノ繊維が表面に部分的に埋め込まれた様子を示すSEM電子顕微鏡写真(上右、下左、および下右)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は本開示の一部を形成する添付図面および実施例に伴う以下の詳細な説明を参照することによりさらに容易に理解される。本発明は本願明細書に説明および/または示される特定のデバイス、方法、用途、条件、またはパラメータに限定されず、また本願明細書で用いられる用語は単なる例として特定の実施形態を説明することが目的であり、本願発明を限定することを意図するものではないことが理解される。また、添付請求項を含む本明細書における使用において、文脈から明らかに他の意味が示される場合を除き、単数形「一つの」および「前記」には複数への言及が含まれ、また特定の数値への言及には少なくともその特定の値が含まれる。本明細書での使用において、用語「複数」とは一つ以上を意味する。値の範囲が示される場合、別の実施形態には当該特定値から別の特定値に至る値が含まれる。同様に、数値が先行詞「約」を用いて近似値で示される場合、当該特定値は別の実施形態を形成すると理解される。いずれの範囲も包括的かつ組合せ可能である。
【0021】
明確にするために本明細書において別の実施形態の文脈において記載された本発明の特定の特徴もまた、1つの実施形態において組み合わせて提供される可能性があると理解される。逆に、簡潔にするために単一実施形態の文脈の中で説明される本発明の様々な特徴は、別々にまたはサブコンビネーションにおいても提供され得る。さらに、範囲が言及される値にはその範囲内のあらゆる値が含まれる。
【0022】
第一の態様において、本発明は担体への粒子埋め込み法を提供する。本請求方法には、約0.1nm〜約1cmの少なくとも一つの特徴的寸法を有する粒子群を有する液体の少なくとも一部を担体に適用する工程が含まれる。
【0023】
前記液体は、複数の粒子が少なくとも部分的に当該担体の軟化部分に埋め込まれる程度にまで担体を軟化させるようにうまく適用され、そのような軟化は一部の実施形態においては当該液体によってのみ達成可能である。
【0024】
粒子の埋め込みに続いて少なくとも担体の一部をうまく硬化させる。例えば図3および図5に示すように、前記硬化により少なくとも一つの粒子が確実に担体内に埋め込まれる。
【0025】
一部の実施形態において、当該粒子群は液体中で処理される。前記処理は混合、超音波分解、振盪、振動、流動、粒子表面の化学的修正、液体の化学的修正、さもなくば所望分散を達成すべく粒子を刺激または修正することによって達成可能である。液体中において粒子分散を達成するための他の方法は当業者には既知であると考えられる。当該分散は均一、不均一のいずれでも有り得る。
【0026】
粒子が存在する液体は気体または液体が適当であり、担体を軟化させるこうとが可能であることが好ましい。また当該液体は粒子群に対し不活性であるのが適当であり、粒子の化学的特性または他の特性を変えることがなく、担体軟化以外には担体の化学的特性にほとんど影響を及ぼすことがないのが適当である。
【0027】
一部の実施形態において、ユーザーのニーズや制限事項により、前記液体は担体の一つ若しくはそれ以上の特性に修正または影響を及ぼす。例えば、当該液体は担体への官能基付加能または担体に存在する官能基に対する中和能によって選択してもよい。
【0028】
上述したように液体および溶媒はユーザーのニーズに適した方法により特定担体軟化能に基づいて選択するのが適当である。例えば、任意の溶媒が特定担体を徐々に軟化させ得る一方、粒子をその特定担体に高速で組み込むために担体を速やかに軟化させようとするユーザーにとっては他の溶媒の方が適している可能性がある。当該液体が当該担体に及ぼす作用には、担体軟化のみ、または一部の実施形態において少なくとも担体の一部の除去または分解が含まれる可能性がある。
【0029】
適切な液体には水、水溶液、有機溶媒、無機溶媒、イオン溶液、食塩水、などが含まれる(これらに限定されるものではないが)。液体は周囲条件下で適用可能であるが、過熱、冷却、加圧または減圧、振動、高周波、加湿または減湿、などの条件化でも適応可能である。最適な適用条件は当業者には明らかである。
【0030】
適切な有機溶媒には、非極性溶媒、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、などが含まれる。非極性溶媒には、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、エチルアセテート、などが含まれるが、当業者であれば本発明への使用に適切な他の非極性溶媒に関して周知である。
【0031】
極性非プロトン性溶媒には、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、などが含まれる。極性プロトン性溶媒には、酢酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、および他の同様の化合物、溶液が含まれる。
【0032】
他の適切な有機溶媒の包括的リストには、メチルエチルケトン、ヘキサフルオロイソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジオキサン、エチルアセテート、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、メチル−t−ブチルエーテル、塩化メチレン、N−メチル−2−プロリジノン、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、二硫化炭素、鉱油、イソプロピルアミン、アニリン、脂環式炭化水素、テトラヒドロナフタレン、テトラクロロエタン、テトラフルオロプロパノール、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、メチルアセテート、ギ酸メチル、ケトン、2−メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、メチル−n−プロピルケトン、パラフィン、オレフィン、アルキン、および他の同様の化合物または溶液が含まれる。使用する担体および粒子によってはアルコールおよび酸も適切な液体である。
【0033】
本発明に適切な無機溶媒には、アンモニア、二酸化硫黄、塩化スルフリル、フッ化塩化スルフリル、塩化ホスホリル、および三臭化リンが含まれる。四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、およびフッ化水素も有用と考えられる。
【0034】
本発明には様々なイオン化溶液が使用される。これらの溶液には、塩化コリン、尿素、マロン酸、フェノール、グリセロール、1−アルキル−―メチルイミダゾリウム、1−アルキルピリジニウム、N−メチル−Nアルキルピロリジニウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸、アンモニウム、コリン、イミダゾリウム、ホスホニウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、スルホニウム、1−エチル−1−メチルピペリジニウム炭酸メチル、および4−エチル−4−メチルモルホリニウム炭酸メチルが含まれる。
【0035】
他のメチルイミダゾリウム溶液も適切と考えられ、1−エチル−3メチルイミダゾリウム酢酸、1−ブチル−ーメチルイミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ヘキサフルオロリン酸、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ヘキサフルオロリン酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1、1、1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル)メタンスルホンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドが含まれる。
【0036】
ハロゲン化合物も適切である。これらの化合物には、N−エチル−N,N−ビス(1−メチルエチル)−1−ヘプタンアミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドが含まれる。
【0037】
イミド類およびアミド類も本発明において適切に使用される。これらの化合物の包括的リストには、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス・[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−オクタナミニウム・トリフルオロメタンスルホネート、トリブチルオクチルアンモニウム・トリフレート、トリブチルオクチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート、N,N,N−トリブチル−1−ヘキサンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル)イミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−ヘプタンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−オクタナミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリブチルオクチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・トリフルオロアセテート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル]イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチルピリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−ブチルピリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−ブチルピリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート、N,N,N−トリメチル−1−ヘキサンアミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリメチル−1−ヘプタンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、ヘプチルメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリメチル−1−オクタンアミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリメチルオクチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸エチル、などが含まれる。
【0038】
当業者には明白であるように、様々な溶媒が有用であり、当業者は任意の適用に使用される最適の溶媒を選ぶのに困難を感ずることはほぼないと思われる。溶媒は特定の担体−粒子の組合せとの相性に基づいて選択される。あるいは、溶媒は揮発度、管理機関による分類、またはユーザーの経済的制約に基づいて選択される。
【0039】
当該液体には、塩類、界面活性剤、安定剤、および当該液体に特定の特性をもたらすのに役立つ他の添加物も含まれる。安定剤は一般に粒子間凝集を少なくとも一部抑制する能力に基づいて選択される。他の安定剤は、粒子が本請求方法に基づいて保管または担体内に組み込まれる間、当該粒子の機能を維持する能力に基づいて選択される。他の添加剤は当該液体のレオロジー特性、蒸発速度、および他の特性の調節に使用される。
【0040】
当該液体は当該担体に対して安定的であるように適用される。これらの実施形態において、当該液体はいったん当該担体上に配される。他の実施形態において、当該担体および液体の少なくとも一方が他方に対して移動する。例えば、液体が担体上に噴霧される、かまたは担体が落下する液体のカーテンを通して運ばれる、かまたは液体のプールまたは浴槽を通して運ばれる。液体も噴霧、回転成形、浸漬、塗装、刷毛塗り、浸漬、などが可能である。
【0041】
本請求方法の典型例が図4に示されており、同図は標準的塗装またはコーティング装置による担体への液体保持粒子の塗布を描写している。当該液体保持粒子(fluid−borne particles)は様々な方法によって適用可能であるため、本請求方法を実行するために現存する塗布装置を適応する必要はほとんどない。当該粒子の部分的埋め込みの概略が図5に示されている。担体への液体の最適な塗布方法はユーザーのニーズにより決定されるものであり、当業者には自明である。一部の実施形態において、任意の塗布し終えた物に存在する粒子は本明細書の別項に記載された大量組み込みと異なり、基本的にすべてが当該粒子表面に存在する。
【0042】
塗布は噴霧、塗装、回転成形、ドリップ、浸漬、ブラッシング、浸漬、などによって影響される。一部の実施形態において、当該液体、粒子、またはその両方に勾配が適用される。適切な勾配には磁場および電場が含まれる。当該勾配は当該液体、粒子、またはその両方を当該担体に塗布または分散するのに使用される。一部の実施形態において、当該勾配は一つ若しくはそれ以上の粒子を操作して当該一つ若しくはそれ以上の粒子を当該担体中により深く埋め込むか送り込むために使用される。他の実施形態において、当該勾配は当該担体から粒子を除去するのに使用される。
【0043】
塗布勾配はユーザーのニーズにより一定または可変のいずれでもあり得る。勾配は、担体が軟化される前、担体の軟化中、または担体が軟化された後のいずれでもよい。勾配の適切な強度および方向は当業者には明白である。
【0044】
粒子群は基本的に液体内に均一に分散されるのが適切であるが、粒子の不均質な分散も本発明の範囲内である。ユーザーのニーズによっては粒子を凝集してもよい。
【0045】
さらに当該方法には、当該担体の少なくとも一部を少なくとも部分的に軟化させるために当該担体を加熱すること、当該液体の加熱、一つ若しくはそれ以上の粒子の加熱、またはこれらの組合せが含まれる。関与する粒子および担体により、加熱の適用は担体への粒子の埋め込みを促進する可能性がある。
【0046】
本発明に適した粒子は本明細書の別項にさらに詳しく記載されており、一つ若しくはそれ以上の機能剤が適切に含まれている。機能剤には、抗菌剤、殺生剤、絶縁体、導体、半導体、触媒、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、核酸、抗原、ラベルまたはタッグ(放射性または磁性)、潤滑剤、香料、などが含まれる。一例として、粒子には抗菌性を有することが知られている銀または銀イオンが含まれることがある。他の機能化粒子については本明細書の別項にさらに詳しく記載されている。
【0047】
当該担体に塗布される粒子群には、異なったサイズ、異なった組成の二つ若しくはそれ以上の粒子、または異なったサイズ、異なった組成の粒子さえも含まれる。例えば、ユーザーは殺菌特性を有し心地よい香りの表面を要求する可能性がある。そのような場合、当該ユーザーはあるサイズの殺菌性銀粒子と別のサイズの芳香性粒子とを使用することができる。
【0048】
ユーザーのニーズおよびユーザーの特定材料へのアクセスにより、当該粒子群は単分散または多分散である。ユーザーのニーズは任意の塗布に用いられる粒子の組成および分配をも決定する。場合によっては、担体に埋め込まれた粒子の単分散性はほとんど重要でない可能性がある。粒子−担体の組合せの機能性が少なくとも部分的に粒子サイズに依存するような別の場合では、単分散性の重要性は増す可能性がある。
【0049】
担体の軟化前は、一つ若しくはそれ以上の粒子が担体よりも硬い可能性がある。代替的実施形態においては担体も粒子より硬い可能性がある。
【0050】
適切な担体には、ポリマー、ゴム、木、などが含まれる。本請求方法は一般的に可逆的に軟化可能な任意の材料に適用可能である。
【0051】
適切な担体については本明細書の別項にさらに詳しく記載されており、単一ポリマーまたは多ポリマーを含む。本請求方法は担体に配された既存のコーティングにも適用可能である。例えば、本請求方法は塗装、不導体、その他のコーティングに適用可能である。ポリ塩化ビニル(PVC)は本発明には特に適切と考えられる。本発明のPVC担体への塗布については本明細書の別項にさらに詳しく記載されている。ポリプロピレン、ポリカーボネート、および消費者および産業用途に用いられる他の通常プラスチックも特に適切と考えられる。
【0052】
本請求方法に適切な木製材料には硬材、軟材、パーティクルボード、ファイアーボード、などが含まれる。本請求方法はポリマー−木合成材料および加工木材にも適している。
【0053】
担体の軟化後、周囲環境にさらすことにより担体を硬化させることができる。一部の実施形態において、当該担体は冷却によって硬化される。他の実施形態において、当該担体は液体の少なくとも部分的な蒸発、担体への気流の適用、担体への真空の適用、などにより硬化される。担体硬化法を組合せるのも適切である。担体の効果を促進する他の方法については当業者には明らかである。
【0054】
一部の実施形態において、前記方法により当該粒子は担体中に確実に埋め込まれ、担体全域に原則均一に分配されることになる。他の事例では、部分的に埋め込まれた粒子は不均一に分配される。
【0055】
本発明には本請求方法に基づいて埋め込まれた粒子を有する担体も含まれる。
【0056】
別の態様において、本発明は複合材料を提供する。これらの材料には、粒子群が少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの表面を有する担体が含まれ、その粒子群の平均特性寸法は約0.1nm〜約1cmである。
【0057】
粒子の特性寸法は約1nm〜約500nm、または約10nm〜約100nm、さらには約20nm〜50nmである。本明細書の別項に記載されているように、粒子は球形のこともあるが、球形粒子は必ずしも本発明に向くものではなく、また本発明はそのような粒子に限定されるものではない。非限定例として、ナノワイヤーやナノチューブ(直径1〜3nm、長さ数ミクロン)が本請求発明に用いられるのが好ましい。
【0058】
図3および図5の断面図に示されるように、当該粒子は当該担体に適切に部分的に埋め込まれる。図3は、本請求発明に基づいて作製された構造の断面像中に、図1に示したように担体全域に大量に埋め込まれるかまたは図2に示したように担体上の別のコーティング層に埋め込まれる代わりに、担体表面に部分的に埋め込まれた粒子を示している。任意の粒子が担体に埋め込まれる程度は様々な処理条件の関数であり、当業者は埋め込みの程度を制御する条件について予測することが可能である。
【0059】
前記開示組成物の別の例を図19に示す。同図は、テトロヒドロフランで処理したPVC表面の走査電子顕微鏡写真であり、ヘキサデシルアミンでキャップ(cap)した銀ナノ粒子が表面に埋め込まれており(左側像)、また同粒子が表面深く埋め込まれている(右側断面像)。
【0060】
図20は本発明に基づく別の非限定的実施形態を示している。同図は、2−メチルテトラヒドロフラン/アセトンの重量比50/50による混合物(イオン化銀が入った0.1wt%A型ゼオライトを含む)で処理したポリカーボネート(PC)表面の光学顕微鏡写真を示している。図20の上の写真は、当該表面に埋め込まれたぜオライト結晶粒子を示している。図20の下の写真は、2−メチルテトラヒドロフラン/アセトンの重量比50/50による混合物(イオン化銀が入った0.1wt%リン酸ジルコニウムをベースとしたセラミックイオン交換レジンを含む)で処理したポリカーボネート表面を示しており、当該レジン粒子が表面に埋め込まれている。
【0061】
図21は本発明に基づく別の例示的、非限定的実施形態を示している。同図は、イオン化銀が入った0.1wt%ガラス微小粒子含有の2−メチルテトラヒドロフランで処理したポリカーボネート表面の走査電子顕微鏡写真であり、当該粒子が表面にしっかりと埋め込まれているのがはっきりと分かる。
【0062】
図22は本発明に基づく別の代替的実施形態を示すものであり、同実施形態は本発明のナノ繊維への適用可能性を示している。同図には0.1wt%炭素ナノ繊維含有の2−メチルテトラヒドロフランで処理されたPVC表面の光学顕微鏡写真(上左)、および同PVC表面の一部に埋め込まれたナノ繊維を示す走査電子顕微鏡写真(上右、下左、および下右)が示されている。
【0063】
適切な担体には、木、ゴム、ポリマー、などの材料が含まれる。ホモポリマー、コポリマー、ランダムポリマー、グラフトポリマー、代替ポリマー、ブロックポリマー、分岐ポリマー、アボレセント(aborescent)ポリマー、樹枝状ポリマー、などはすべて本請求の複合材料への使用に適している。熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、エラストマーとして分類されるポリマーはいずれも本請求材料に適した担体である。導電性ポリマーも適切な担体と考えられる。
【0064】
特に適切なポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル、フッ化ポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、フェノキシ、フェニレンエーテル/オキシド、ポリアリルエーテル、ポリエーテルイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレン、ポリスチレン、無水マレイン酸スチレン、ポリアリルジグリコール・カーボネートモノマー、ビスマレイミド、フタル酸ポリアリル、エポキシ、メラミン、シリコン、尿素、などが含まれる。他の適切なポリマーは当業者には自明である。例えば、セルロースポリマーおよび他のセルロースをベースにした材料が適切と考えられる。
【0065】
様々な木材も本発明の担体としての使用に適しており、硬材、軟材、合板、パーチクルボード、ファイバーボード、ボール紙、フレークボード、ストランドボード、ウオーターボード、などが含まれる。マホガニー、クルミ、オーク、メープル、桜、シタン、チーク、セイヨウトリネコ、バルサ、アメリカ菩提樹、ブナノキ、桜、アスペン、カバノキ、トチノキ、クリ、ハコヤナギ、ハナミズキ、エルム、エノキ材、ヒッコリー、モチノキ、ニセアカシア、モクレン、ポプラ、ハンの木、ハナズオウ、桐、ササフラス、モミジバフウ、スズカケノキ、ヌマミズキ、柳、松、アメリカツガ、モミ、セコイア、トウヒ、ヒマラヤスギ、カラマツ、などの木はいずれも適当と考えられる。
【0066】
当該担体は硬いかまたは多孔性である。多孔性担体の場合、一部の実施形態において複合材料には孔の内壁上にある粒子が含まれる。そのような多孔性複合材料は固体担体よりも広い表面積(埋め込まれた粒子の数も多い)を周囲環境にさらすことができる。
【0067】
任意の複合材料に対する最適な粒子の選択はユーザーのニーズによって異なる。適切な粒子には、金属、金属酸化物、鉱物、セラミック、ゼオライト、ポリマー、コポリマー、などが含まれる。銀ナノ粒子(断面直径が約100nm未満)および銀ベースのセラミックは本発明に特に適していると考えられる。
【0068】
本発明に適した粒子には一つ若しくはそれ以上の機能化剤が含まれる。粒子の材料そのものが機能的であったり、また当該粒子の内部または表面またはその両方に機能的材料が組み込まれている場合がある。当業者には自明であるように、単一の粒子が複数の機能を示すものであってもよい。
【0069】
機能化剤には、抗菌剤、殺菌剤、不導体、導体、半導体、触媒、紫外線吸収剤、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、抗原、標識、潤滑剤、などが含まれる。粒子を作製する素となる材料はそれ自体が機能的である場合がある。銀ナノ粒子が良い例であり、銀ナノ粒子はそれ自体が本質的に抗菌性である。
【0070】
非限定的な別の例として、ポリマー粒子表面に複数のリガンドが結合し、当該粒子と特定の標的との間の特異的な結合を可能にする場合がある。もう一つの非限定例として、銀粒子(殺菌作用を有する)にも香味料が含まれ、殺菌作用を有する複合材料に良い香りを加える場合がある。
【0071】
本明細書の別項に記載されているように、当該複合材料粒子は同じサイズまたは異なるサイズの粒子を含むものであっても良い。前記粒子はさらに同じまたは異なる組成物を含むものであっても良い、単分散または多分散であっても良い。ユーザーのニーズによっては、複数の機能性を有する品目を提供するため、異なった機能化剤を有する数種の異なった粒子を含有する複合材料を作製する方が都合が良い場合がある。
【0072】
粒子、担体、またはその両方が多孔性の場合がある。本発明に基づく粒子は球形の場合もあるが、それとは異なった形状の場合もある。円筒形、管状、楕円形、回転楕円形、箱型、ピラミッド型、および不規則な形状の粒子は粒子形状としていずれも適切と考えられる。結晶形(四角形、六角形、など)も本発明への使用に適している。
【0073】
特定の粒子型は特に本請求材料に適していると考えられる。すでに述べたように、銀粒子および銀含有粒子はその殺菌性ゆえに適していると考えられる。特に適切な他の粒子には、カーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノファイバー、カーボン・ナノロッド、ナノワイヤー、バルキーボール、ナノシェル、リポソーム、デンドリマー、量子ドット、磁性ナノ粒子、塩化ゴム粒子、ガラス、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリル樹脂粒子、メラミン微粒子、デキストランナノ粒子、メラミン・ホルムアルデヒド粒子、ラテックス粒子、ジビニルベンゼンカルボキシル粒子、ジビニルベンゼン硫酸カルボキシル粒子、ポリビニルトルエン粒子、シェルレイヤー粒子、銅ピリチオン、放射性粒子、シェル、などが含まれる。
【0074】
粒子はそれら固有の特性または他の特徴に基づいて選択される場合もある。これらの特性には、とりわけ、芳香、風味、バイオセンシング、生体分子への結合能、色、反射率、反応性、触媒活性、伝導性、吸収特性、絶縁特性、半導体特性、放射特性、帯電防止性、潤滑性、疎水性または親水性、および一つ若しくはそれ以上の物質を粒子環境に放出する能力、などが含まれる。
【0075】
一部の実施形態においては、本質的に担体全表面が粒子で覆われる。他の実施形態においては、少なくとも一つの表面の75%(または50%、または5%)若しくはそれ以上が粒子で覆われている。他の実施形態においては同表面積の10%、1%、またはさらにそれ以下が粒子で覆われる。最適な粒子被覆率はユーザーのニーズによって決定されるであろう。すなわち、本明細書の別項に記載されているように、特定の複合材料は表面の1〜10%が被覆されているだけでユーザーのニーズを満たすことができる。
【0076】
本明細書の別項に記載されているように、2若しくはそれ以上の粒子が凝集するか近接する場合がある。一部の実施形態では粒子塊でもよい。
【0077】
個々の粒子は互いに約0.1nm〜1mm離れている。粒子は、ユーザーのニーズおよび当該複合材料の作製方法によって、互いに均一または不均一の距離を置いて離れている。一部の実施形態では、2若しくはそれ以上の粒子が互いに接触している。
【0078】
担体は平面が適当であるが、円筒形、多面体、球形、溝付き、曲面、弓形、凹形、空洞状、などでもよい。担体はメッシュ状、フィルター状、または液体との接触に適しているが、液体を通過させる構造でも良い。
【0079】
担体の厚さは少なくとも約0.005mmが適当であるが、それよりも厚いか薄い担体も本発明の範囲内である。担体の厚さは、担体の軟化または粒子の埋め込みが担体の統合性や粒子を備えた最終的な担体機能を使用時に損なわないように選択されるのが好ましい。
【0080】
担体よりも硬いことに基づいて一つ若しくはそれ以上の粒子が選択される。他の実施形態では、担体は一つ若しくはそれ以上の粒子よりも硬い。一部の適用(組成物が移動表面と物理的に接触している場合など)においては、比較的硬い粒子を含めた方が都合がよい場合がある。粒子材料の機械的除去が要求されるような他の場合は、比較的柔らかい粒子を用いるのが好ましい。
【0081】
担体は埋め込まれた粒子に対し不活性であるのが適当である。場合によっては、担体は一つ若しくはそれ以上の粒子と反応する。一例として、制御放出材料が作製され、担体が経時的に粒子を分解し(またはその逆)、薬剤または粒子材料の経時的な放出をもたらすことに基づいて粒子−担体の組合せが選択される。担体と粒子の最適な組合せは当業者には自明である。
【0082】
本請求方法に基づいて作製される複合材料が清浄剤、消毒剤、殺菌剤、検出剤、標識剤、フィルター、処理システム、またはそれらの組合せとして用いられることが想定される。これらの適用の一部については本明細書の別項でさらに詳しく論じられている。
【0083】
本発明はさらに担体機能化のための組成物も提供する。これらの組成物は液体中に粒子群を含有し、少なくとも一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に軟化ポリマー担体内に埋め込まれ得るほどに担体を軟化できる。
【0084】
適切な粒子および液体については本明細書の別項に記載されている。本明細書の別項に記載されているように、当該組成物は様々な担体の機能化に有用である。本請求の組成物はとりわけ既存の担体の機能化に有用であり、レガシーシステムの修正を可能にすることが想定される。例として、本請求の組成物は既存の水格納システムに適用され、同システムの液体接触面に殺菌粒子を導入して既存システム上に消毒能をもたらすことが可能である。
【0085】
本請求の組成物に適した液体は、大気圧よりも高い気圧に置かれた場合を含め、一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に埋め込まれるほどに担体を軟化できることに基づいて選択される。液体はさらに、一つ若しくはそれ以上の粒子をポリマー担体に対して噴霧した場合に、当該一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に埋め込まれるほどにポリマー担体を軟化できることに基づいて選択される。
【0086】
本適用はさらに液体処理システムをも提供する。これらのシステムには、機能化粒子群(平均特性寸法は約0.1nm〜約1cm)が少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの表面を有する構造、および液体の供給が含まれる。
【0087】
本明細書の別項に記載されているように、当該システムの構造には担体および粒子が含まれる。同構造は、一つ若しくはそれ以上の部分的に埋め込まれた粒子からなる表面が液体と接触し、同粒子が同液体と相互に作用できるように構成されている。適切な構造とは、管、パイプ、導管、コンテナ、球体、ボウル、ミキサー、バッフル、ひれ、撹拌器、メッシュ、スクリーン、フィルター、膜、ビン、樽、タンク、チャネル、などである。このような構造はパイプの場合のように独立構造である。他の事例において、当該構造は分析または診断機器に統合された溝や導管などのデバイスに組み込まれる。
【0088】
液体と粒子の接触を最大化するために、構造物が選択、構築、または一つ若しくは複数設置される。一例として、同じまたは異なった活性粒子を有する一連のフィルター型構造が並び、多段階液体処理システムが提供される。
【0089】
一例として、当該構造は粒子処理管であり、その中を液体が通過し埋め込まれた粒子と反応する。または、当該構造は液体コンテナに入れられ、続いて振盪によって粒子と液体を接触させる、粒子含有構造である。または、当該構造は粒子含有剛毛体であり、その中を液体が通過する。当該システムにはインレット、アウトレット、および他の液体通路が含まれる。システムには非処理の液体、処理済の液体、またはその両方を収容する容器または貯蔵タンクも含む。当該構造には必要に応じて一つ若しくはそれ以上の孔が含まれ、そのような孔により同構造は同構造が接触する液体に対し大きな表面積をさらすことが可能となる。当該システムはさらに、ポンプ、ベローズ、および液体流動を作動させる他のデバイスを含む。
【0090】
記載されたシステムは、液体の精製、液体の汚染除去、液体の濾過、標識、同定、または液体内成分との反応、および他の類似の適用に用いられる。これらの非限定例については本明細書の別項に記載されている。当該システムは持ち運び可能であるか、或いは固定用である。
【0091】
本請求発明はさらに標的処理方法を開示する。これらの処理方法には、一つ若しくはそれ以上の成分を有する一つ若しくはそれ以上の標的と粒子群が部分的に埋め込まれた表面との接触が含まれており、部分的に埋め込まれた粒子群の平均的特性寸法は約0.1nm〜1cmである。次に当該標的の一つ若しくはそれ以上の成分と相互作用する部分的に埋め込まれた粒子を一つ若しくはそれ以上生じさせるために接触が行われる。
【0092】
本請求の処理方法に適した表面および粒子については別項に記載されている。標的には、液体、固体、ゲル、生物材料、などが含まれる。例えば、粒子含有表面はドアノブ、キーボード、テーブルトップなどの固形物と接触可能である。または、当該粒子含有固形物は、水サンプルや血液サンプルなどの液体と接触可能である。
【0093】
接触は通常標的表面に触ることによって達成される。当該標的はさらに流動、噴霧、滴下、霧化、オーバーレイ、インプレス、噴霧されるか、さもなければ表面に配されて接触を達成することが可能である。粒子は本質的に表面全域を占めることがある。他の実施形態においては、粒子は表面の75%未満を占めることがあり、または表面の約50%未満、または10%未満を占めることがある。一部の実施形態においては、粒子によって5%または1%が被覆された表面は本発明の使用に適している。
【0094】
粒子と標的との相互作用には、精製、標識、崩壊、溶解、結合、キレート、感知、結合、検出、などが含まれる。説明に役立つ一つの例として、溶解剤を含んだ表面は含細胞懸濁液と接触し、さらなる分析のため当該細胞の溶解と当該細胞内容の解放を促す。別の例として、特定の生物種に特異的なリガンドを含んだ粒子が埋め込まれた表面がその生物種が入った生物サンプルと接触する。次に当該表面がその生物種に結合し、さらなる分析のためその生物種を不動にする。
【0095】
一例として、特定種と相補的な粒子が埋め込まれた表面はその種を与えられたサンプルから取除くフィルターとしても使用できる。これは例えば粒子が埋め込まれた当該表面を、当該表面に当該サンプルと接触する最適な機会を与えるためのフィルターまたは他の高度表面構造(high−surface structure)として配することにより達成される。
【0096】
粒子埋め込み法をさらに詳しく開示する。これらの方法には、一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に担体に埋め込まれるという条件の下に担体に粒子群を適用することが含まれ、当該粒子群の平均的特性寸法は約0.1nm〜1cmであり、適切な担体および粒子については本明細書の別項に開示されている。
【0097】
当該粒子の適用は、発射、スプレー、霧化、滴下、噴霧、注入、滴下、などによって適切に達成される。一実施形態において、当該粒子は、例えば噴霧器によって当該担体内に推進され、当該担体との衝突によって埋め込まれる。また粒子は、本明細書の別項に記載されているように、適切な場合、電場または磁場または他の勾配により推進されることもある。
【0098】
本明細書の別項に記載されているように、一部の実施形態において、当該粒子は液体中に配置される。当該担体、当該粒子、またはその両方が加熱される場合がある。
【0099】
本発明はさらに表面への粒子分配方法を提供する。これらの方法には、少なくとも一つの担体に不活性な液体中への粒子群の散布、および当該少なくとも一つの担体の表面への当該液体の配置が含まれる。
【0100】
当該粒子群は当該液体内で均一に分散されるのが適切である。この均一な分配は当該粒子群を超音波分解することによって達成されることがある。均一な分配に関する他の方法は当業者には自明である。一部の実施形態において、液体、一つ若しくはそれ以上の粒子、またはその両方には、本明細書の別項に記載されているように、粒子間凝集を少なくとも部分的に抑制することができる少なくとも一つの薬剤が含まれる。他の実施形態において、当該粒子の散布は勾配の適用によって少なくとも部分的に影響される。適切な勾配については本明細書の別項に記載されている。
【0101】
当該方法には当該液体の少なくとも一部の除去も含まれる。これは表面における粒子分配を本質的に均一なものとするために適切に行われる。当該液体の除去は蒸発、減圧の適用、などによって達成される。
【0102】
その他の非限定的実施形態
画像化
本出願に記載されたようなプロセスは、MRI、X線イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)、超音波、または他の画像手段における信号/雑音比を上昇させ得る、高コントラスト剤を有する任意のポリマー含有物の画質増強に有用である。処理を行うポリマーは手術中に使用される材料である医療デバイス、または画像化を必要とし身体に入る可能性のある任意のポリマー含有物であっても良い。
【0103】
一非限定例として、生体への外科的介入後、当該生体中に残ることが意図されていないすべての異物の除去を確認することが望ましい。多くの注意にも関わらず、異物は身体中に誤って残り、患者の健康を害する恐れがある。糸やステントなど特定のデバイスは身体中に残ることが意図されているが、これらのデバイスは画像化が困難な場合がある。したがって、X線、MRI、または他の画像法で比較的低いコントラストを有する傾向があるポリマー材料を含む外科的介入関与物体は、X線、MRI、または他のそのような画像法でみた場合に高いコントラストを提供する粒子で処理する方が都合がよい。これらの材料およびデバイスの一部には、医療デバイス、医療設備、医療機器、スティッチ、スポンジ、ガーゼ、安全ゴーグル、クランプ、などが含まれる。
【0104】
通常の医療状況においては、物体の可視性を高めるために造影剤が用いられる。一例として、X線撮影中に身体構造物の可視性を高めるためX線不透過物質が用いられることがある。MRI画像の場合、造影剤は近傍にある水素原子核の磁性に変化を加える。そのような造影剤には陽性と陰性の両方がある。陽性造影剤は周辺組織よりも高い減衰密度を有する(造影部分がより不透明となる)が、陰性造影剤の減衰密度は低い(造影部分の不透明性は薄まる)。陰性コントラストは通常単にガスとして認識される。
【0105】
高コントラスト剤は上記のように粒子である場合があるが、通常高い原子番号の要素を含んでいる。これらの粒子の例として、金粒子および金なの粒子、銀粒子、銅粒子、プラチナ粒子、チタニウム粒子、ヨウ素含有粒子または化合物、バリウム含有粒子または化合物、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、イオキサグル酸、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノール、などが挙げられる。ガドリニウム含有粒子または化合物もMRI造影の成分として使用できる。
【0106】
造影対象となる材料またはデバイスの担体が同定されれば、当該表面に対する軟化剤として適切な液体が選択される。本明細書の別項に記載されているように、この目的を達成可能な溶媒、液体、またはそれらの組合せは数多く存在し、材料および液体の最適な組合せはユーザーのニーズによって決定される。その後、特徴的に高コントラストを有する粒子が当該液に加えられ、手でかき混ぜることにより、または安定剤の追加により、または一定の表面化学反応により混合されて一定レベルの均一性を達成する。
【0107】
出来上がった溶液が当該担体に適用され、担体に当該造影粒子が埋め込まれる。処理された物体は当該粒子によって上記の画像法および観察法による識別がより容易となる。
【0108】
診断的バイオセンサーへの適用
本発明はさらに癌、遺伝子疾患、その他の病気を検出するための診断的バイオセンサーを可能にする。例えば、特定のDNA、RNA、または他の核酸配列、または抗原および他の生体分子を検出するために、相補的核酸配列または対応する抗体がポリマー担体上に特定され、検出器側と抗体間が合致した場合には識別可能な変化が生じる。例えば、金ナノ粒子などの金属ナノ粒子が本請求方法に基づいてプラスチック担体に埋め込まれ、単鎖DNAまたは抗体がチオール基または他の表面接着法を介して当該ナノ粒子に結合する場合がある。さらに粒子は、埋め込まれる前に既に当該粒子上にある生体分子結合部位によっても埋め込まれる。
【0109】
このようにして強化されたプラスチック表面に溶液(血液、酵素で消化された血液、その他の生体液など)を取込むことにより、標的DNA、タンパク質、などが当該ナノ粒子に結合する。当該標的分子の存在は、電圧、光度、質量、または他の識別可能な変化によって検出可能であり、そのような変化は結合部位に粒子またはマーカー(蛍光分子など)をさらに結合させることによって増幅または促進することができる。標的化合物への結合に伴いそのようなデバイスは目に見える変化を及ぼす可能性があり、検査結果を得るための別のリーダーを不必要なものとする。標的分子が表面に埋め込まれた粒子に結合するため、結合分子は軽いリンスでは落ちることがなくなる。もう少し強い方法(精力的リンス、加熱、結合開裂剤の利用、など)を用いた場合、標的分子は排除される可能性があり、したがってバイオセンサーの再利用が可能となる。
【0110】
電子技術への利用
本明細書の別項に記載したように、カーボンナノチューブ、ナノワイヤー、およびナノ粒子は、ワイヤー、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、メモリスタ、および電子回路またはデバイスに関する他の成分(本プロセスによる発光ダイオード(LED)など)の製造に用いられる粒子の種類であるが、本明細書に記載された粒子はいずれも適用可能である。
【0111】
一非限定例として、粒子が導電性ポリマーの薄層表面に埋め込まれ、同ポリマーの電子特性を調整し、例えば抵抗、導電、半導電の種類や程度を変化させる。別の例において、金属ナノ粒子がポリマー表面に埋め込まれ、粒子相互間の接触または距離による、または加熱、酸化還元反応、または粒子を溶解させる他のプロセスにより伝導路を形成する。
【0112】
別の例として、蛍光灯がオーバーヒートしたり、通電から点灯まで遅かったりする問題を解決するため、カーボン・ナノチューブまたはナノワイヤーまたは不均衡なアスペクト比の他の粒子を伝導ポリマー担体中に埋め込み、同ナノチューブまたはナノワイヤの一端に担体がなく当該伝導ポリマーへの通電時に電子放射が可能となるようにすることができる。同様に、ナノワイヤー、ナノチューブ、または不均衡なアスペクト比の粒子(これも一端が埋め込まれていない)を電界放出ディスプレー(FED)または他のディスプレー技術の一部として、(カソードなど)電子発生器として使用し、蛍光体または他の材料を発光させることによってピクセルまたは他の可視ディスプレイエンティティの照明を行うことが可能である。可視光のもの以外の波長も作製可能である。
【0113】
埋め込まれた粒子(両端は埋め込まれていない)はプローブの一部として機能する可能性がある。これによって大量の並列読取りと記憶装置への書き込みまたは大量の並列AFMまたは他のプローブ顕微鏡観察が可能になる。そのように処理された表面は生体細胞または神経細胞との接点としても有用である。
【0114】
ナノワイヤー、ナノチューブ、または表面には埋め込まれているが端が埋め込まれていない他の粒子に関する前述の例において、表面のナノワイヤーまたはカーボン・ナノチューブを特定するために代わりのメカニズムを使用することが出来る。ナノワイヤーまたはカーボン・ナノチューブを一端が表面に埋まらないように表面に直接埋め込む代わりに、触媒粒子または反応性ナノ粒子を表面に埋め込むことができ、それによって当該ナノ粒子が埋められた部位におけるナノワイヤーまたはカーボン・ナノチューブの成長を触媒する。
【0115】
担体を通過した電流または表面周辺に生じた電場が、成長中または成長後に一端を表面から外に伸ばしたナノワイヤーまたはナノチューブを推進する。ナノワイヤーまたはカーボン・ナノチューブまたは導電性ポリマー表面に一端を露出して埋め込まれた他のそのような粒子が関与する上記の例のすべてにおいて、担体頂部が被覆された非導電性ポリマー層である場合、デバイスも機能する可能性があり、電子が非導電層を通る。
【0116】
帯電防止への適用
多くのプラスチックで製品表面への電荷の蓄積を抑制するために帯電防止用添加剤が用いられている。プラスチックは通常本質的に絶縁性であるため、そのような電荷を蓄積する傾向がある。帯電防止剤はほこりやごみの集積を減らすことができ、家具、床、包装、家庭用電化製品、文房具などの製品に火花が生じる危険性を低下させる。いかなる理論運用に束縛されるものでもないが、これらの添加剤は処理された製品の総合的抵抗性を低下させることによって機能する。
【0117】
現在行われているように大量組み込みまたはコーティングによって製品中に組み込むのではなく、本請求方法のやり方で帯電防止剤または粒子を組み込むことによって、プラスチック表面は静電気抵抗性となり得る。本請求プロセスによって様々な帯電防止剤をプラスチック表面に組み込むことができる。実際のところこれらの帯電防止粒子は陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、またはポリマーである。これらの帯電防止剤における三つの主要化学物質はエトキシ化アミン(EA)、グリセロール・モノステアレート(GMS)、およびラウリン・ジエタノールアミド(LDN)であり、それぞれが本開示方法および開示組成物に適している。
【0118】
RFID(無線IC)タグ
この特許出願に記載されたプロセスを用いて多くの異なった方法によりRFIDタグを作製することができる。これらのタグは無線周波数に限らず、マイクロ波、赤外線、X線など、より高い(低い)周波数でも使用可能である。
【0119】
RFIDタグは通常、情報の蓄積、処理、調節、およびRF信号の復調のための集積回路、および信号送受信用アンテナ、という2つの部分から成る。これらは能動、受動、および半受動RFIDタグである。
【0120】
この特許出願に記載されたプロセスは信号の捕獲および再送に用いられるアンテナの作製に使用可能である。導電性粒子との関連で用いられる際に記載されるようなプロセスは、アンテナとして作用する導電性コイル経路の作製に用いることができる。アンテナはコイル形である必要はなく、入力信号によりアンテナ中に誘発される電流を保持するか、出力信号を送信することができるか、またはその両方が可能でありさえすればよい。表面に埋め込まれた粒子が伝導路に接触していないか伝導路を形成しない場合、粒子を焼結により互いに融合させる、埋め込まれた粒子上に金属として堆積するイオンまたは粒子を含む溶液を適用し粒子を融合させて伝導路を形成する、など多くの異なった方法により当該粒子を結合させることが可能である。
【0121】
本発明によって作製されるアンテナの一型が磁気双極子アンテナである。リーダーアンテナは通常直列または並列共振回路を形成するシングルコイル、またはダブルループ(変圧器)アンテナコイルのいずれでもよい。
【0122】
磁気IDへの適用
本特許出願に記載されているプロセスを用いて認証またはトラッキング用のユニークな磁気IDを作製することができる。本特許出願に記載された磁性、常磁性、反磁性、強磁性、反強磁性、強磁性、メタ磁性、超常磁性粒子、および他の種類の粒子に関するプロセスを用いることにより、ユニークで複製不能な磁気サインを作製することができる。そのようなプロセスで埋め込まれた粒子は不規則な方向を向き不規則に分布しているため、各適用の構成はそれぞれ異なっている。
【0123】
現在、従来のクレジットカードの磁気バーコードは容易に複製可能である。本発明に基づいて作製された同様のバーコードの複製は、粒子の数の多さおよび微細分布により磁気サインを正確に複製するのが統計的に困難となっているため、より困難である。他の実施形態において、スプレー中および表面が硬化するまでスプレー環境周辺に磁場を誘発することによって、制御された複製可能な磁気パターンを達成することが出来る。したがって、本明細書に記載されたプロセスを用いて担体上に極端に不規則または極端に規則的な磁気パターンのいずれも形成される。
【0124】
抗菌および毒素中和への適用
ボトル、容器、タンク、パイプ、ハイドレーションブラッダー、ハイドレーションパックのバルブおよびチューブ、フィルター、バルブ、および蛇口など水に接するポリマー表面は抗菌粒子に関して記載したプロセスによって処理可能であり、表面を保護しさらに水を処理して汚染微生物を不活性化する。そのような粒子の例として、イオン交換ゼオライト、銀担持不溶性リン酸塩、銀担持リン酸カルシウム、銀イオン修正ガラス、銀イオン交換チタン酸カリウム繊維、銀担持無機コロイド、銀ナノ粒子または銀微小粒子、および銅、亜鉛、または他の金属イオン、金属ナノ粒子、イオン担持ガラス、イオン交換リン酸ジルコニウムをベースとしてセラミックスおよび他のセラミックス、亜鉛ピリチオン粒子、銅ピリチオン粒子、などが挙げられる。
【0125】
銀ナノ粒子の作用を図6に示す。同図の左側は大腸菌群である。図6の右側は液体中銀ナノ粒子で処理した後の大腸菌であり、同処理により同菌上にピットが形成されており(黒い部分で示される)、同菌の浸透性を高め、ひいては細胞溶解を引起す。
【0126】
抗菌粒子以外に他の粒子も埋め込んで別の機能を加えることも可能である。既知の毒素および他の有害な化学物質を中和する粒子も埋め込むことができる例えば、酸化鉄(錆)粒子を埋め込み、吸収により表面と接する水の砒素含有量を減らすことができる。さらに鉄ナノ粒子を埋め込んで塩化メタン、塩化エチレン、塩化エタン、塩化ベンゼン、ポリ塩化ベンゼン、リンデン、Cr(VI)、Pb(II)、Ni(II)、Cd(II)、過塩素酸塩の濃度を低下させるのに使用することもできる。単層カーボン・ナノチューブ(SWNTs)、他の種類のナノチューブ、および他のカーボン構造を埋め込んでダイオキシンその他の有機化合物を吸収することができ、さらに細菌その他の生物を吸収することさえも可能である。埋め込まれたカーボン・ナノチューブはさらに塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸、塩酸、フルクトース、スクロース、フミン酸、ウイルス、タンパク質、細菌など他の様々な化合物をも吸収することができる。
【0127】
日常的な物体に抗菌作用粒子を埋め込むことも可能である。そのような物体の非限定的リストには、キーボード、コンピュータマウス、両面接着テープ、食品容器、水容器およびビン、食器および調理器具、シャワーカーテン、水および飲料ディスペンサー、ショッピングカートおよびそのハンドル、ハイドレーションパック、ブラダー、バルブ、チュービング、およびバッグ、ウォーターパイプ、下水管、ガス管、履物、携帯電話機、ビデオゲームのコントローラーおよびボタン、ラップトップおよび超軽量コンピュータ、マウスパッドおよびポインティングパッド、車のハンドル、車のプラスチック面、車のボタン、車の換気口、列車および地下鉄の支柱や手すり、飛行機および列車のトレー・テーブル、肘掛、窓のブラインド、まな板、ゴミ箱、食器乾燥棚および皿、フィッシュタンク・チュービング、フィッシュタンク・フィルター、ロブスター・トラップ、魚網およびタンク、船体、冷蔵庫の密封ガスケット、冷蔵庫の表面、生体読取装置(指紋および掌紋読取装置)、船その他の水中プロペラ、加湿器および除湿器のタンクおよび表面、シャワーマット、ジムおよびヨガマット、ジム設備、カテーテル、挿管チューブ、植え込み型デバイスおよび材料、病院用新生児容器、早産児容器、浴室およびシャワー用の石鹸およびシャンプー・ディスペンサー、ドア、キャビネット、流し台、シャワーなどのプラスチック製ハンドルおよびノブ、ATMのキーボード、ATM画面および画面プロテクタ、クレジットカードおよび他のプラスチックカード、塩、胡椒などの容器、スポーツ用および室内用ヘルメットストラップおよびパッド、ネコ用トイレ、ペット用食器、ペットキャリヤ、ポリマー製カバーがついた地下鉄、列車、車、レストランなどのシート、テーブル表面およびカウンタートップ表面、プレイスマット、水切りボール、タンク、医療器具トレー、プラスチック製医療器具、歯科器具、テーブルトップ、家電製品用フェイスプレート、リモートコントロール、タイル、シャワー表面、トイレ表面、ゴミ箱の蓋および取っ手、などが含まれる。他の適用については当業者には自明であろう。
【0128】
触媒
上記のプロセスは触媒表面の作製にも適用可能である。上記のプロセスは、酸化バナジウム、ニッケル、アルミナ、プラチナ、ロジウム、パラジウム、メソ多孔質シリカ、など従来の不均一触媒にも利用可能である。同様に、酵素、抗体酵素、リボザイム、デオキシリボザイム、など一部の均一触媒も利用可能である。白金ナノ粒子などの電解触媒も適している。有機触媒物質も表面への埋め込みに適している。
【0129】
本発明の触媒への適用は、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブの成長に有用であり、金、銀、などの金属粒子またはナノ粒子が成長触媒として作用する。非限定的一例として、金ナノ粒子を担体に埋め込んでナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブを成長させ、それによってこれらの構造物を内部に有し外側に発射する構造物を作製することが可能である。
【0130】
触媒コンバーターも本発明を利用して作製することができる。触媒コンバーター、コア、ウォッシュコート、および触媒自体の成分がいくつかある。ウォッシュコートは表面積を増やす荒い表面であり、コアは一般に触媒用の高表面積支持材である。標準的触媒コンバーターにおいて、白金およびマンガンは自動車排出ガスの有害副産物の分解を助ける触媒である。当該触媒は通常白金であるが、パラジウムおよびロジウムも使用される。セリウム、鉄、マンガン、ニッケル、および銅も使用される。その他の金属または触媒物質も使用可能である。上記プロセスはこれらの触媒のコアまたは触媒コンバーターの他の部品への埋め込みにも使用可能である。
【0131】
その他の利用法としては、アンモニア製造に用いられるハーバー法のような触媒をベースにした化学品製造プロセスが考えられる。この多段階プロセスでは複数の異なった種類の触媒が用いられる。例えば、酸化ニッケルは鉄、クロミウム、銅の混合、水蒸気改質に用いられ、銅、亜鉛、アルミニウムは同プロセス中に異なった反応部分に対する触媒として用いられる。プロセスの最終段階で(酸化鉄を触媒として)マグネタイトが用いられる。これらの触媒粒子を表面に埋め込むのに他の触媒も上記プロセスを用いて使用可能である。
【0132】
これを用いて気体または液体反応の触媒に使用可能なパイプまたはコンテナ表面を製造することも可能である。本プロセスを用いてフィルターを作製することも可能であり、気体または液体がフィルターを通過する際に触媒表面に接触する。
【0133】
芳香および風味への適用
製品、包装材料、フィルムは本特許出願に記載されたプロセスによって芳香および風味を増すことができる。芳香または風味の提供が可能な化合物を放出制御粒子中に組み込むことができ、これは本出願に記載されたプロセスに対応する。臭気中和および芳香に関する適用にはゴミ箱および便座が含まれる。
【0134】
上記のプロセスは表面に芳香や風味を加えることにも使用できる。シリカシェル、吸収性ポリマービーズ、バッキーボール、ナノチューブ、または他の封入粒子などの粒子を用いることにより、特定の芳香または風味を保つことができる。上記プロセスを用いて封入された風味/芳香を、おもちゃ、物珍しい物、プラスチック製のスプーン、フォーク、ナイフ、ストロー、および他の用具、および歯科固定装置、おしゃぶり、動物のおもちゃ、などの表面に埋め込むことができる。
【0135】
抗菌検査
以下は抗菌用途に適用される本発明の例示的、非限定的実施形態である。これらの実施形態は決して本発明の範囲を限定するものではなく、説明のみを目的としている。
【0136】
1.エアロゾル処理
繊維成形機およびホットプレスを含む数多くの方法を用いて、成形されたばかりのPVCパイプの条件をシミュレートした。次に銀粉を溶解したPVC表面に噴霧し、粒子を表面に均一に分散させた。用いたエアロゾル・ジェネレータはナノ粒子容器および細いピペット(銃身として作用)にエアーガンを一連のアダプタを介して連結することによって作製された。空気の破裂によってナノ粒子がエアロゾル化され、ピペットを通して標的方向に押し出された。
【0137】
1.1 繊維押出機
繊維押出機(DACA InstrumentsのSpineLine繊維押出機)を用いて、工業グレードのPVCペレットを直径1mmの開口部を通じて押し出した。PVCペレットを30分間加熱して温度を150〜185℃とし、繊維を1〜20mm/分の速度で押し出す。押し出された熱い表面上にナノ粒子を噴霧した。
【0138】
1.2 ホットプレス
平坦な工業グレードのPVCサンプルおよび押し出されたばかりのPVCサンプル(繊維押出機を用いて作製)を150〜185℃に加熱した二枚の鉄板の間に置き、1,000〜15,000ポンドの圧力で圧搾した。前記PVCサンプルを30秒〜30分後に取り出し、検討した。続いて銀微小粒子(粉末2.0〜3.5μm、99+%、Sigma−Aldrich、www.sigma−aldrich.com、Cat.No.327085)を出来ががった熱い柔らかいPVC表面に噴霧した。
【0139】
2.溶媒処理方法
2.1 担体の作製
平坦な工業グレードのPVCシートを抗菌銀処理沈殿用担体として使用した。ASTM E2190以外のすべての検査に対し、これらの大きなシートをPVCクランプカッター(Home Depot,www.homedepot.com)を用いて1.2x1.2cmに切断した。ASTM E2180検査用としては、PVCサンプル担体を3x3cmに切断した。PVC担体サンプルはすべて水と石鹸に続きメタノールとエタノールで洗浄した。
【0140】
2.2 銀ナノ粒子の懸濁
銀ナノ粒子を有機溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)中に懸濁した。高分子量PVCパウダー(HMV PVCパウダー。Fluka www.sigma−aldrich.com,Cat.No.81387)および銀ナノ粉末(Nanopowder,<100nm、99.5%(金属ベース)Sigma−Aldrich www.sigma−aldrich.com,Cat.No.576832)を様々な重量パーセントでTHFに加えた。PVC粉末の溶解と銀粒子の懸濁を促進するため、出来上がった溶液を超音波で分解した。銀ナノ粉末を加える前にTHF中のPVCを超音波分解することにより懸濁液はよりうまく形成された。安定剤としてのPVCの効果を、単純な銀懸濁液とPVCで安定化した銀懸濁液を比較することにより評価した。PVC濃度は0.0〜3.0wt%、銀濃度は0.45〜4.0wt%であった。
【0141】
2.3 担体処理
銀ナノ粒子溶液のすべてのPVC担体上への適用はスピンコーターを用いて達成された。1.2x1.2cmのサンプルを1500rpmで33秒間スピンコートし、スピン開始後直ちに銀溶液10滴を連続して加えた。3x3cmのサンプルを3000rpmで33秒間スピンコートし、スピン開始後直ちに10滴相当量をサンプル上に噴射した。スピン速度、滴数、適用法に関する上記の値は、これらのパラメータの関数としての当該銀粒子の埋め込みを最適化するために大規模な試験を行った後に選択されたものである。
【0142】
2.4 ラマン分光法を用いた特性解析
銀ナノ粒子および銀で処理したPVCサンプルの表面をラマン分光法(Renishaw RM1000 VIS Raman Microspectrometer,Drexel University<www.nano.drexel.edu/Facilities)を用いて特性解析を行った。銀処理PVCサンプルを光学顕微鏡にかけ、倍率50xで観察した。次に分光計の光学部分をオフにし、緑色のアルゴンイオン・レーザー(サンプルの燃焼を防ぐためλ=514.5nm、強度1%)をサンプルに当てた。次にラマン散乱反応を10パスで測定(各パス10秒間)し、標的領域の構造を決定した。散乱強度の全データを相対スケールで記録した。
【0143】
2.5 光学顕微鏡を用いた特性解析
銀処理PVC表面および対照サンプルの光学顕微鏡写真を撮影し、銀処理の特性を解析した。サンプルを光学顕微鏡下に置き、20倍で観察した。この倍率は広い視野と高い解像度を理由に選択したものである。ImageJソフトウエア(ImageJ;http//rsb.info.nih.gov/ij/)を用いて画像特性を改良し、さらに平均粒子サイズや粒子被覆の面積率などの粒子分散特性を測定した。
【0144】
2.6 走査電子顕微鏡を用いた特性解析
集束イオンビーム(FIB)SEM10(FEI Strata DB235,www.fei.com)を用いてナノスケールの表面特性解析を行った。銀処理PVCサンプルをまず金パラジウムで30秒間、30ミリアンペアでスパッターコートし、続いてFIBを用いて解析した。サンプル表面銀粒子の局所構造の観察に加え、FIBを用いて銀粒子を通してPVC表面内に入り込み、埋め込まれた粒子の断面像を明らかにした。
【0145】
2.7 耐久性試験
予備的耐久性試験を行い、銀強化PVC表面上への連続的水流の作用を評価した。単一銀溶液(2wt%銀および2.25wt%PVC粉末)で処理した四つのPVCサンプルを固定し、流速3.9ガロン/分inの連続した流れにさらした。この水流はプラスチックシートを用いて普通の蛇口からの水流を変更することによって作製したものである。水輸送に用いられる業務用PVCパイプにおける推奨流速は0.4〜8.0ガロン/分inであった。試験前および試験から2.5、8、26、および51時間後に光学顕微鏡を用いてサンプル表面の特性解析を行った。各サンプルの表面被覆率の面積率を、ImageJの所定の方法を用いて決定した。
【0146】
2.8 抗菌検査
ナノ粒子および銀強化サンプルの抗菌作用を質的、量的に解析するため、複数の試験を行った。Kirby−Bauer試験、濁り試験、成長解析試験、およびASTM E−2180試験を行った。すべての試験において適切な対照を設け、使用前に全サンプルをエタノールでリンスした。
【0147】
2.8.1 KIRBY−BAUER
銀ナノ粒子の既知の抗菌性を質的に検証するため、また銀強化サンプルの抗菌性を質的に観察するため、修正Kirby−Bauer試験を行った。無菌の10cmのLuria−Burtani(LB)プレート(1.0%Tryptone、0.5%酵母エキス、1.0%NaCll、1.5%寒天、Teknova、www.teknova.com、Cat.No.L1100)に大腸菌(S株、Fisher Scientific、www.fishersci.com、Cat.No.S20918)を接種した。銀ナノ粒子の抗菌性を検証するため、2.1.節に記載したエアロゾル生成機を用いて寒天表面の一部を銀ナノ粉末で被覆した。銀強化PVC材料の試験を行うため、1.2x1.2cmの銀強化PVCサンプルを置き、寒天面にコーティングを施した。プレートをさかさまにして実験用オーブンで37℃で24時間インキュベートし、抑制範囲を可能な限り測定した。
【0148】
2.8.2 濁度
サンプルが水溶液中で抗菌性を示すか否かを定性的に知るため、濁度試験を行った。無菌のLuria−Burtani(LB)培地(ペンシルバニア大学生物学部から入手)に大腸菌を接種し、その溶液を5mLづつ試験管に入れた。1.2x1.2cmのPVCサンプルを直ちに試験管内の溶液に浸した(一試験管につき一サンプル)。蓋を緩めたサンプルを実験用オーブンに入れ37℃で10時間インキュベートし、1,2,3,4,5,6,8、および10時間後に目視により濁度を観察した。
【0149】
2.8.3 成長解析
経時的な抗菌性を成長解析試験によって評価した。本明細書の別項に記載したように、濁度試験にも同じ初期手順を使用したが、目視ではなく、1,2,3,4,5,6,8、および10時間後に溶液200μLを各試験管から取り出し、LBプレート(1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、1.5%寒天(Teknova www.teknova.com,Cat.No.L1100))上に置いた。全プレートを直ちに4℃で冷蔵し、収集1時間後までそのまま保管した。次にプレートをいっしょに実験用オーブンに入れ37℃でインキュベートし、8時間後に観察した。全サンプルを相対密度スケール(1が最低の細菌繁殖、10が最高の細菌繁殖)を用いて比較した。ImageJを用いて、芝生が完全には発現しておらず(いずれも4wt%銀、2.25wtプレート)悪質な染料の適用によって破壊されていない(時間3、4、5、6、および8)プレートの細菌密度の定量を行った。染色は試験結果の解析を容易にすることが意図された。
【0150】
2.8.4 ASTM E2180
FDA公認の独立微生物研究所(Accugen Laboratories,Inc. www.accugenlabs.com、IL)が契約によりポリマー材料または疎水性材料における組み込み抗菌剤の活性を調べるための標準試験である認定ASTM−E2180試験(ASTM International www.astm.org)を実施した。黄色ブドウ球菌および大腸菌を攻撃細菌、Dey Engley(DE)中和培地を中和剤として使用し、接触時間24時間、接触温度35℃とした。使用した培地および試薬は、大豆−カゼイン消化寒天、寒天スラリー、および滅菌脱イオン水、などであった。完全なプロトコルはASTM Internationalから入手できる。
【0151】
3.結果
3.1 エアロゾル処理法
現在のPVCパイプ製造プロセスに直接統合可能なプロセスを開発する目的でエアロゾル処理法が検討された。2.1節に記載した方法には、粒子が押し出されたばかりのパイプ表面に直接噴霧できるプロセスが含まれる。光学顕微鏡により、銀粒子が加熱されたPVC表面に接着することが確認された(図7参照)が、同銀ナノ粒子の著しい凝集も示された。エアロゾル処理法に対する研究努力により期待できる結果が示されたが、工業用2軸押出機へのアクセスおよびPVCに対する工業製造プロセスにおけるガイダンスの欠如がこの方法のさらなる発展を妨げている。
【0152】
3.2 溶媒処理方法
3.2.1 表面および粒子解析
3.2.1.1 ラマン分光法
精製PVCの予備スキャンに50%アルゴンイオンレーザー強度を用い、高反射性で白い表面に起因する強いラマン信号が記録された(図8)。暗色銀粒子の高吸収度に関連した燃焼を防ぐため、1%光強度が銀コーティングPVCサンプル(図8)のスキャンに用いられた。この燃焼は後に銀ナノ粒子上の有機コーティングの燃焼によるものと考えられた。ラマン分光法が純銀からの信号を拾わない一方、粒子上の有機コーティングに関連した分子結合はラマン散乱信号を生成した(図8)。銀処理PVC担体からのラマン信号は最初にコーティングされた銀ナノ粒子からの信号に一致し、PVC表面上の銀ナノ粒子の存在を裏付けた。3000cm−1までの相対散乱強度のピークはC−H結合に相当し、1580cm−1までの同ピークはC−C結合に相当した。銀処理PVC担体からのラマン信号が非処理PVCからの信号にわずかに合致したため、銀粒子は担体表面に曝露されPVCによって覆われていないと結論付けられ、したがって殺菌性銀イオンの放出を可能にした。
【0153】
3.2.1.2 光学的分析
PVCサンプル表面の粒子を識別後、埋め込みプロセスを最適化するため光学顕微鏡を用いて当該粒子分散の特性(平均粒子サイズおよび表面被覆面積率)を研究した。平均粒子サイズおよび埋め込み面積率はTHF溶液中のPVC粉末と銀の濃度による影響を顕著に受けた。銀懸濁液を安定化(すなわち凝集を遅延させる)し、立体反発を増加させることによって銀粒子をより小さくするため、PVC粉末を溶液中に加えた。
【0154】
PVCを加えずに作製された銀THF溶液中の銀粒子は、同一の銀濃度で作製されたPVC安定化溶液中の銀粒子よりも明らかに速く沈殿した。銀ナノ粒子もPVCで安定化されていない銀THF溶液中で大いに凝集した。この大きな凝集は、非安定化銀THF溶液で処理したPVC担体上の銀粒子の平均サイズ(1.5wt%銀および0wt%PVCの溶液に対し最大半径6.3μm)が安定化溶液で処理した担体上の粒子のサイズ(1.5wt%銀および2.25wt%PVC溶液に対し最大半径466.6nm)よりも大きいという事実において明らかであった(図9)。図9に示したように、PVC担体上の銀粒子の平均サイズもPVC濃度の上昇に伴って低下しており、PVCが凝集を遅らせ、小さな粒子サイズを可能にすることを示している。しかし、そのような傾向は必ずしもPVC濃度を増すために実現されたわけではなく、様々なエラー原因およびおそらくは銀濃度と銀THF溶液に加えられたPVCとの間の複雑な関係によるものである。
【0155】
銀とともに埋め込まれたPVCサンプルの面積率は銀THF溶液中の銀濃度に強く依存した。PVCの一定した濃度のため、表面被覆面積率は一般に銀濃度の上昇に伴って上昇した(図10)。全PVC濃度に対応する表面被覆面積率は、銀濃度が1.5wt%から2.0wt%に上昇する際に一時的な下落を示した(図10)。さらに、この下落の程度はPVC濃度の上昇に伴って低下した。理由として、1.5〜2.0wt%銀が何らかの凝集閾値に相当し、銀濃度が高いほど凝集し易く、表面被覆の面積率を低下させたことが考えられる。PVC濃度が高いほど凝集が大きく抑制されたため、表面被覆面積率における低下がPVC濃度の上昇に伴って小幅となった。しかし、全体的データセットは画像分析ソフトウエアの限界および後述のいくつかのエラーの原因によりnoisyであった。
【0156】
図10に示されるように、高濃度PVC粉末によって安定化された銀THF溶液に対応する表面被覆面積率は低PVC濃度溶液に対応する表面被覆面積率よりも一般に高かった。運用に関する単一の理論に束縛されるものではないが、これはPVC粉末が銀懸濁液の安定化を助け、凝集を防止し、PVC担体上の銀粒子がより小さく微細に分散された、という理論を支持するものと考えられる。
【0157】
平均粒子サイズも銀濃度に依存した。図11が平均的粒子サイズにおける以下の傾向を示している。すなわち、銀濃度が低い場合、平均粒子サイズは銀濃度が上昇するとわずかに上昇した。凝集の臨界閾値(1.5〜2.0wt%銀)において平均粒子サイズは迅速に上昇した。銀濃度が高いほど平均粒子サイズは安定化した。運用に関するいかなる単一理論に束縛されるものでもないが、任意の量の安定剤(図11のごとく2.25wt%PVC)により一定の銀濃度までしか凝集を防ぐことができず、その後安定化効果(立体反発)は最小限であり、粒子は著しく凝集した。枯渇相互作用および架橋作用も凝集の原因となり得る。
【0158】
平均粒子サイズおよび表面被覆面積率は画像分析ソフトにおける厳しい限界およびいくつかのエラー原因に制約された。ImageJにおける粒子分析ツールは非常に正確であるが、解析のため光学像が二成分白黒画像に変換されるプロセスでは相当の人為的ミスを免れえない。ソフトウエアが不要な反射や変光を排除する一方で小さな粒子や大きな凝集を全て拾い上げるように、銀粒子の境界を定義するための閾値として用いられるグレースケール色を調整するのにかなりの程度の人の判断を必要とした。面積率データがそのような判断によって大きな影響を受けることはなかったが、平均粒子サイズは閾値に極めて強く依存した。したがって、平均粒子サイズはかなりの不正確さを反映した可能性がある。このように、平均粒子サイズにおける傾向は光学顕微鏡を用いた方が解釈しやすかった(図9)。
3.2.2 耐久性解析
FIBを用いて半分にカットしたPVC表面上の銀粒子のSEM像(図12)は、当該粒子がPVC担体に埋め込まれていることを示している。図の銀粒子周辺の小ドットはパラジウム金コーティングであり、下にあるPVC担体のイオンおよび電子ビームによる焼却によって目視された。FIBによってカットされた溝の壁にある特徴は不明であるが、非コーティングPVCサンプルの断面にも見られた(図12)。いかなる一理論に束縛されるものではないが、これらの特徴はプロセスを促進するために工業用PVCに加えられるアルミニウムなどの安定剤であると考えられている。銀粒子をPVC内に埋め込むことは、THFが他のほとんどのプラスチックに加えてPVCを溶解することが知られているため、THFを分散媒として用いる場合の望ましい結果であった(ImageJ、http://rsb/info.nih.gov/ij/)。
【0159】
銀粒子を埋め込むことにより、間断ない水流による腐食に抗する耐久性のある銀表面処理が可能になった。前記予備的耐久性試験から、PVCサンプルの銀コーティング面積率は水への曝露の最初の数時間で低下するが、同時点を過ぎると40時間までは安定化することが示された(図13参照)。当初の低下はPVC表面に緩く埋め込まれるか埋め込まれなかった銀粒子の腐食に起因する可能性がある。さらに長い時間スケール、例えばPVCパイプの有効期間に近い期間にわたる耐久性試験を行う必要がある。
【0160】
3.2.3 抗菌性解析
3.2.3.1 銀ナノ粒子の抗菌性に関するKIRBY−BAUER試験の結果
実験の厳密性を検証するため、今回の研究において表面処理に用いられた銀ナノ粒子の抗菌性を定性的に検証した。修正Kirby−Bauer試験から、寒天プレート表面にエアロゾル化により散布されたナノ粒子粉末が大腸菌の繁殖を抑制することが示された(図14)。堆積技術の分散的性格のため、抑制帯の測定は不可能であった。しかし、銀粒子のない対照サンプルに生じた芝生(図14A、左プレート)が寒天表面の銀ナノ粒子の存在によって抑制された(図14A、右プレート)ことは明白である。表面に広がる銀ナノ粉末の量が増えることによって、抗菌性が高まり、遂には細菌繁殖が全く見られなくなった。
【0161】
3.2.3.2 銀ナノ粒子強化塩化ポリビニルの抗菌性に関するKIRBY−BAUER試験の結果
抗生剤の活性を調べるためにKirby−Bauer試験が日常的に用いられる。同試験では、標的抗生剤に浸したペーパーディスクを細菌繁殖プレートの寒天表面上に置く。抗生剤が寒天中に拡散し、ディスク周辺における細菌繁殖の抑制が観察される。次にこれらの抑制帯の直径を測定し、比較して相対的な抗生剤効果を調べる。今回の試験では、銀強化PVCサンプルを処理側を下に向けて接種した寒天プレート上に置いたため、コーティングから寒天中への銀イオンの拡散が抑制帯が形成される唯一の理論的メカニズムであった。
【0162】
図15Aは最上部に非コーティング対照サンプル、最下部に2wt%Ag、2.25wt%PVCで処理したサンプルを、大腸菌接種から24時間後にペトリ皿の下側から見た像で示している。
【0163】
結果は試験サンプルにおける小抑制帯(サンプルの最大側面で約0.88mm幅)の形成を示している(図15B)。無繁殖帯はサンプル側面中央に向かって最も大きくなっており、イオン分散が生じた場合に予想されるパターンに一致するものであった。寒天の変色は観察されず、抑制帯は埋め込まれた銀粒子の脱落の結果形成されたものでないことを示唆した。したがって、抑制帯の形状および色を考えた場合、イオン分散が抑制帯形成のメカニズムではないかと考えられる。
【0164】
3.2.3.3 濁度試験の結果
濁度は任意の溶液中の細菌数に直接関連する。時間4までに対照サンプルおよび2wt%銀、2.25wt%PVCサンプルの濁度は4wt%銀、2.25wt%PVCサンプルおよび滅菌LB培地の濁度に比べ高かった。4wt%Ag、2.25wt%PVCサンプルは滅菌LB培地と同様の透光性を示した。サンプルは時間5,6,8、および10で観察された(図16)が、いずれのサンプルでも目に見える濁度の変化は認められなかった。これらの結果から、処理されたPVCサンプルは重量%銀に相関した抗菌作用を示すと考えられる。
【0165】
3.2.3.4 ASTM E2180試験の結果
ASTM E2180試験は主に平坦な(2次元の)疎水性または高分子表面の中または上に組み込まれるか結合した薬剤の抗菌作用を(定量的に)評価するべくデザインされた標準検査である。この方法によりプラスチックまたは疎水性表面における抗菌作用の存在が確認でき、非処理プラスチックまたはポリマーと結合または組み込み低水溶性抗菌剤[1.0%トリプトン、0.5%酵母エキス、1.0%NaCl、1.5%寒天 Teknova、www.teknova.com、Cat.No.L1100]との間の抗菌作用における相違の定量的評価が可能になる。寒天スラリーを用いて表面上に疑バイオフィルムを形成し、表面張力を低減し接種材料と試験表面との間の接触を増やした。ASTM E2180試験の結果は、4wt%Ag、2.25wt%PVCサンプルへの曝露から24時間以内にすべての微生物の活性が100%削減されたことを示している。グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌)とグラム陰性菌(大腸菌)のいずれもが影響を受けた。この決定的かつ定量的なデータは修正Kirby−Bauer、濁度、および成長解析試験によって収集された定性的データによって裏付けられる。繁殖削減率は以下のようにして得られた。
【0166】
【数1】

【0167】
ここで、a=24時間後に対照サンプルから回収された微生物の数の幾何平均の真数、b=24時間後に処理サンプルから回収された微生物の数の幾何平均の真数、である。
【0168】
【表1】

【0169】
結果は抗菌作用の存在を示している(黄色ブドウ球菌、大腸菌のいずれもが100%削減)。
【0170】
4.PVC−銀の結果概要
工業グレードの平らなPVCシートに銀粒子を埋め込み、得られた表面の抗菌性が確認された。銀ナノ粉末をTHFおよびPVC溶液中に懸濁し、平坦なPVC担体上に0.45〜4.0wt%でスピンコートした。PVC粉末を濃度0.0〜3.0wt%で安定剤として用いた。ラマン分光法により、埋め込まれた粒子は最初にコーティングされた銀ナノ粒子であることが確認された。光学顕微鏡およびImageJソフトウエアを用いて、全てのサンプルにつき埋め込まれた表面被覆の面積率および平均粒子サイズを測定した。埋め込まれた表面の面積率は0.1〜20%、粒子凝集半径は73〜400nmであった。埋め込まれた表面被覆の望ましい面積率および粒子サイズ分散を、溶液中の銀およびPVC粉末の濃度を変えることによって制御した。銀溶液中のPVC粉末の溶解により懸濁液が安定化し、凝集が遅延された。
【0171】
PVC濃度を増すことによって、粒子サイズは小さく、埋め込み表面被覆の面積率は大きくなった。銀濃度を高めることによって(PVC濃度は一定)埋め込み表面被覆面積率は高く、平均粒子サイズは大きくなった。耐久性試験により、当初における面積率の低下後、埋め込まれた粒子は間断のない水流に耐え、表面にしっかりと埋め込まれたままであることが示された。SEM画像により、銀粒子がPVC表面に埋め込まれたことが確認された。
【0172】
グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌)およびグラム陰性菌(大腸菌)を用いて抗菌試験(Kirby−Bauer、濁度、およびASTM E2180)を行った。試験の結果から銀処理サンプルの抗菌性が立証された。特に、ASTM E2180により、4.0wt%銀でコーティングされた試験サンプルが黄色ブドウ球菌および大腸菌の活性を24時間以内に100%削減することが示された。この研究で開発された処理プロセスは様々な粒子、担体、および溶媒に適用することができる。したがって、潜在的用途の範囲は水を精製するためのPVCパイプから生物/化学的脅威の無力化にまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体に粒子を埋め込む方法であって、
少なくとも一つの特性寸法(約0.1nm〜約1cm)を有する粒子群を含む液体を、複数の粒子が少なくとも部分的に当該担体の軟化部分に埋め込まれる程度に当該担体が軟化されるように、少なくとも担体の一部に塗布する工程と、
少なくとも一つの粒子が前記担体に確実に埋め込まれるように当該担体の少なくとも一部を硬化する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、この方法はさらに、前記粒子群を前記液体中において処理する工程を有するものである。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記粒子群は混合、超音波分解、振盪、振動、流動、またはこれらの組合せによって前記液体中に処理されるものである。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、前記液体は気体、液体、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、前記液体は前記担体を軟化することができるものである。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、前記液体は前記粒子群に対し実質的に不活性として特徴付けられるものである。
【請求項7】
請求項1記載の方法において、前記液体は前記担体の化学特性に実質的に影響を及ぼさないものである。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、前記液体は溶媒を有するものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記液体は水溶液、イオン溶液、非極性溶媒、有機溶媒、極性溶媒、非プロトン性溶媒、無機溶媒、イオン液体、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、前記溶媒はパラフィン、オレフィン、アルキン、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記液体は塩、界面活性剤、安定剤、またはそれらの組合せをさらに有するものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、安定剤は粒子間凝集を少なくとも部分的に抑制することができる少なくとも一つの薬剤を有するものである。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、前記液体は前記担体に対して静止したものである。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、前記担体および液体の少なくとも一方が他方に対して動くものである。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、前記粒子群は前記液体内において原則的に均一に散布されるものと特徴付けられるものである。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、二つ若しくはそれ以上の粒子が凝集すると特徴付けられるものである。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、前記液体を塗布する工程は、は噴霧、回転成形、浸漬、塗装、滴下、ブラッシング、浸漬、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、前記塗布する工程は勾配の適用をさらに有するものである。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記勾配は一つ若しくはそれ以上の粒子を動かすものである。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、前記方法はさらに前記担体の加熱、前記液体の加熱、一つ若しくはそれ以上の粒子の加熱、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項21】
請求項18記載の方法において、前記加熱は少なくとも部分的に前記担体の少なくとも一部を軟化するものである。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、一つ若しくはそれ以上の粒子が機能化剤を有するものである。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、機能化剤は抗菌剤、殺菌剤、不導体、導体、半導体、触媒、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、抗原、標識、潤滑剤、芳香、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項24】
請求項1記載の方法において、前記粒子群は二つ若しくはそれ以上の異なったサイズ、異なった構成、またはその両方の粒子を有するものである。
【請求項25】
請求項1記載の方法において、一つ若しくはそれ以上の粒子は軟化前の担体よりも硬いものである。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、前記担体は軟化前の一つ若しくはそれ以上の粒子よりも硬いものである。
【請求項27】
請求項1記載の方法において、前記粒子群は実質的に単分散である。
【請求項28】
請求項1記載の方法において、前記粒子群は多分散である。
【請求項29】
請求項1記載の方法において、前記粒子群は異なったサイズ、異なった構成、またはその両方の粒子を有する二つ若しくはそれ以上の粒子を有するものである。
【請求項30】
請求項1記載の方法において、前記担体はポリマー、木材、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項31】
請求項1記載の方法において、前記担体の硬化は前記担体の冷却、少なくとも液体の一部の蒸散、気流の適用、真空の適用、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項32】
請求項1記載の方法において、担体内に確実に埋め込まれる多数の粒子は実質的に前記担体に均一に分配されるものである。
【請求項33】
請求項1記載の方法に基づいて埋め込まれる粒子を有する担体。
【請求項34】
複合材料であって、
粒子群が少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの表面を有し、
前記粒子群の平均的特性寸法が約0.1nm〜約1cmである、複合材料。
【請求項35】
請求項34記載の複合材料において、前記担体はポリマー、木材、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項36】
請求項34記載の複合材料において、前記担体はセルロース誘導体として特徴付けられるものである。
【請求項37】
請求項35記載の複合材料において、前記ポリマーは熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、エラストマー、イオノマー、液晶、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項38】
請求項35記載のポリマー複合材料において、前記ポリマーはホモポリマー、コポリマー、ランダムポリマー、グラフトポリマー、交互ポリマー、ブロックポリマー、分枝ポリマー、aborescentポリマー、樹枝状高分子、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項39】
請求項35記載の複合材料において前記ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル、フッ化ポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、フェノキシ、フェニレンエーテル/オキシド、プラスチゾル、オルガノゾル、プラスターチ材料、ポリアセタール、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルエーテル、ポリエーテルイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレン、ポリスチレン、無水マレイン酸スチレン、ポリアリルジグリコール・カーボネートモノマー、ビスマレイミド、フタル酸ポリアリル、エポキシ、メラミン、シリコン、尿素、セルロースポリマー、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項40】
請求項35記載の複合材料において、前記ポリマーは伝導性として特徴付けられるものである
【請求項41】
請求項35記載の複合材料において、木材は、硬材、軟材、合板、パーチクルボード、ファイバーボード、ボール紙、フレークボード、ストランドボード、ウエハーボード、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項42】
請求項41記載の複合材料において、木材は、マホガニー、クルミ、オーク、メープル、桜、シタン、チーク、セイヨウトリネコ、バルサ、アメリカ菩提樹、ブナノキ、桜、アスペン、カバノキ、トチノキ、クリ、ハコヤナギ、ハナミズキ、エルム、エノキ材、ヒッコリー、モチノキ、ニセアカシア、モクレン、ポプラ、ハンの木、ハナズオウ、桐、ササフラス、モミジバフウ、スズカケノキ、ヌマミズキ、柳、松、アメリカツガ、モミ、セコイア、トウヒ、ヒマラヤスギ、カラマツ、セコイア、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項43】
請求項34記載の複合材料において、前記担体は一つ若しくはそれ以上の孔を有するものである。
【請求項44】
請求項34記載の複合材料において、一つ若しくはそれ以上の粒子は金属、金属酸化物、ミネラル、セラミック、ゼオライト、塩、水晶、ポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項45】
請求項34記載の複合材料において、一つ若しくはそれ以上の粒子は合金を含むものである。
【請求項46】
請求項34記載の方法において、一つ若しくはそれ以上の粒子は機能化剤を含むものである。
【請求項47】
請求項46記載の方法において、機能化剤は、抗菌剤、殺菌剤、不導体、導体、半導体、触媒、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、抗原、標識、潤滑剤、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項48】
請求項34記載の方法において、前記粒子群は二つ若しくはそれ以上の異なったサイズ、異なった構成、またはその両方の粒子を有するものである。
【請求項49】
請求項34記載の方法において、一つ若しくはそれ以上の粒子は一つ若しくはそれ以上の孔を有するものである。
【請求項50】
請求項34記載の複合材料において、一つ若しくはそれ以上の粒子は球形、円筒形、管状、立方体、回転楕円体、またはそれらの組合せと特徴付けられるものである。
【請求項51】
請求項50記載の複合材料において、一つ若しくはそれ以上の粒子はカーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノ繊維、カーボン・ナノロッド、ナノワイヤー、バッキーボール、ナノシェル、リポソーム、デンドリマー、量子ドット、超常磁性微粒子、塩化ゴム、ガラス、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、メラミン微粒子、デキストランナノ粒子、メラミンホルムアルデヒド粒子、ラテックス粒子、ジビニルベンゼンカルボキシル粒子、ジビニルベンゼンカルボキシル硫酸塩粒子、ポリビニルトルエン(pvt)、シェル層粒子、銅ピリチオン、放射性粒子、シェル、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項52】
請求項34記載の複合材料において、前記粒子は、芳香、風味、生体分子への結合能、色、反射率、反応性、触媒活性、伝導性、吸収特性、絶縁特性、半導体特性、放射特性、帯電防止性、潤滑性、疎水性または親水性、および一つ若しくはそれ以上の物質を粒子環境に放出する能力、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項53】
請求項34記載の複合材料において、前記担体の少なくとも一表面の実質的に全面が粒子によって被覆されるものである。
【請求項54】
請求項53記載の複合材料において、前記担体の少なくとも一表面の基本的に全面が粒子によって被覆されるものである。
【請求項55】
請求項53記載の複合材料において、前記担体の少なくとも一表面の約75%未満が粒子によって被覆されるものである。
【請求項56】
請求項53記載の複合材料において、前記担体の少なくとも一表面の約50%未満が粒子によって被覆されるものである。
【請求項57】
請求項53記載の複合材料において、前記担体の少なくとも一表面の約10%未満が粒子によって被覆されるものである。
【請求項58】
請求項34記載の方法において、二つ若しくはそれ以上の粒子が凝集と特徴付けられるものである。
【請求項59】
請求項34記載の複合材料において、二つ若しくはそれ以上の粒子が互いに約0.1nm〜約1mm離れているものである。
【請求項60】
請求項34記載の方法において、前記粒子群は単分散である
【請求項61】
請求項34記載の方法において、前記粒子群は異なったサイズ、異なった組成、またはその両方を有する二つ若しくはそれ以上の粒子を含むものである。
【請求項62】
請求項34記載の複合材料において、前記担体は平坦、円筒形、多面体、球形、溝付き、曲面状、弓状、くぼみ付き、空洞付き、またはそれらの組合せである。
【請求項63】
請求項34記載の複合材料において、前記ポリマー担体の厚さは少なくとも約0.025mmである。
【請求項64】
請求項34記載の複合材料において、一つ若しくはそれ以上の粒子は前記ポリマー担体よりも硬いものである。
【請求項65】
請求項34記載の複合材料において、前記ポリマー担体は一つ若しくはそれ以上の粒子よりも硬いものである。
【請求項66】
請求項34記載の複合材料において、前記担体は基本的に埋め込まれた粒子に対し不活性である。
【請求項67】
請求項34記載の複合材料において、前記複合材料は清浄剤、消毒剤、殺菌剤、検出剤、標識剤、タガー、処理システム、またはそれらの組合せとして使用されるものである。
【請求項68】
担体機能化のための組成物であって、
液体中で処理される粒子群と、
担体を一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に前記軟化担体中に埋め込まれる程度に軟化することが可能な組成物と
を有する組成物。
【請求項69】
請求項68記載の組成物において、前記粒子群の平均特性寸法は約0.1nm〜約1cmである。
【請求項70】
請求項68記載の組成物において、前記粒子群の平均特性寸法は約0.1nm〜約1cmである。
【請求項71】
請求項68記載の組成物において、前記液体は気体、液体、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項72】
請求項68記載の組成物において、前記液体は水、水溶液、有機溶媒、無機溶媒、イオン溶液、含塩溶液、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項73】
請求項68記載の組成物において、前記有機溶媒は非極性溶媒、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項74】
請求項73記載の組成物において、前記非極性溶媒はヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、クロロホルム、エチルエーテル、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項75】
請求項73記載の組成物において、前記極性非プロトン性溶媒は1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項76】
請求項73記載の組成物において、前記極性プロトン性溶媒は酢酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項77】
請求項73記載の組成物において、前記有機溶媒はメチルエチルケトン、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、t−ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロベンゼン、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグリム、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルエーテル、ジオキサン、エチルアセテート、エチレングリコール、グリセリン、ヘプタン、ヘキサメチルリン酸アミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、メチル−t−ブチルエーテル、塩化メチレン、N−メチル−2−プロリジノン、ニトロメタン、ペンタン、石油エーテル、1−プロパノール、2−プロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、トリフルオロエタノール、ジエチルエーテル、二硫化炭素、鉱油、イソプロピルアミン、アニリン、脂環式炭化水素、テトラヒドロナフタレン、テトラクロロエタン、テトラフルオロプロパノール、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、メチルアセテート、ギ酸メチル、ケトン、2−メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、パラフィン、オレフィン、アルキン、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項78】
請求項72記載の組成物において、前記無機溶媒はアンモニア、二酸化硫黄、塩化スルフリル、フッ化塩化スルフリル、塩化ホスホリル、三臭化リン、四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、フッ化水素、硫酸、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項79】
請求項72記載の組成物において、前記イオン化溶液は塩化コリン、尿素、マロン酸、フェノール、グリセロール、1−アルキル―メチルイミダゾリウム、1−アルキルピリジニウム、N−メチル−Nアルキルピロリジニウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ヘキサフルオロリン酸(BMIM−PF6)アンモニウム、コリン、イミダゾリウム、ホスホニウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、スルホニウム、1−エチル−1−メチルピペリジニウム炭酸メチル、4−エチル−4−メチルモルホリニウム炭酸メチル、1−エチル−3メチルイミダゾリウム酢酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロホウ酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ヘキサフルオロリン酸、1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ヘキサフルオロリン酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム1、1、1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N−エチル−N−、N、N−ビス(1−メチルエチル)−1−ヘプタナミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム 1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、エチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム・ビス・[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−オクタナミニウム・トリフルオロメタンスルホネート、トリブチルオクチルアンモニウム・トリフレート、トリブチルオクチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホネート、N,N,N−トリブチル−1−ヘキサンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル)イミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルヘキシルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−ヘプタンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルヘプチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリブチル−1−オクタナミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリブチルオクチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリブチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・トリフルオロアセテート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル]イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチルピリジニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−ブチルピリジニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−ブチルピリジニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ブチルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフルオロボレート、N,N,N−トリメチル−1−ヘキサンアミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、ヘキシルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリメチル−1−ヘプタンアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、ヘプチルメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、ヘプチルトリメチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、N,N,N−トリメチル−1−オクタンアミニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、トリメチルオクチルアンモニウム・1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド、トリメチルオクチルアンモニウム・ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸エチル、またはその組合せを含むものである。
【請求項80】
請求項68記載の組成物において、前記液体は塩、界面活性剤、安定剤、またはそれらの組合せを含むものである
【請求項81】
請求項68記載の組成物において、前記液体はポリマー担体を少なくとも一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に前記軟化ポリマー担体中に埋め込まれる程度に軟化するものである。
【請求項82】
請求項68記載の組成物において、前記液体は大気圧を上回る気圧にさらされるとポリマー担体を少なくとも一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に前記軟化ポリマー担体中に埋め込まれる程度に軟化するものである。
【請求項83】
請求項68記載の組成物において、前記液体は大気圧を上回る気圧にさらされるとポリマー担体を一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に前記軟化ポリマー担体中に埋め込まれ得るほどに軟化し得るものである。
【請求項84】
請求項68記載の組成物において、前記液体は一つ若しくはそれ以上の粒子が軟化ポリマー担体に推進されるとポリマー担体を一つ若しくはそれ以上の粒子が少なくとも部分的に前記軟化ポリマー担体中に埋め込まれるほどに軟化し得るものである。
【請求項85】
請求項68記載の組成物において、一つ若しくはそれ以上の粒子は金属、酸化物、機能化剤、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項86】
請求項85記載の組成物において、機能化剤は抗菌剤、殺菌剤、不導体、導体、半導体、触媒、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、抗原、標識、潤滑剤、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項87】
液体処理システムであって、
機能化粒子群が少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの表面を有する構造と、
平均特性寸法が約0.1nm〜約1cmである粒子群と、
液体の供給と
を有するシステム。
【請求項88】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物は管、パイプ、導管、コンテナ、球体、ボウル、ミキサー、バッフル、ひれ、撹拌器、メッシュ、スクリーン、フィルター、膜、ビン、樽、タンク、チャネル、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項89】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物はインレットを有するものである。
【請求項90】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物はアウトレットを有するものである。
【請求項91】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物は一つ若しくはそれ以上の孔を有するものである。
【請求項92】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、一つ若しくはそれ以上の機能化粒子は金属、金属酸化物、ミネラル、セラミック、ゼオライト、ポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項93】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、一つ若しくはそれ以上の機能化粒子は抗菌剤、殺菌剤、不導体、導体、半導体、触媒、蛍光剤、香味料、触媒、リガンド、受容体、抗体、抗原、標識、潤滑剤、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項94】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記粒子群は異なったサイズ、異なった構成、またはその両方の粒子を二つ若しくはそれ以上含むものである。
【請求項95】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、一つ若しくはそれ以上の粒子は一つ若しくはそれ以上の孔を有するものである。
【請求項96】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、一つ若しくはそれ以上の粒子は球形、円筒形、管状、立方体、回転楕円体、またはそれらの組合せであると特徴付けられるものである。
【請求項97】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物は導管、チャンネル、コンテナ、タンク、ボトル、パイプ、導管、容器、またはそれらの組合せ中に存在するものである。
【請求項98】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記担体の少なくとも一部分は前記液体と接触しているものである。
【請求項99】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記構造物は前記液体と接触しているものである。
【請求項100】
請求項87記載の液体処理システムにおいて、前記液体処理システムは液体精製、液体汚染除去、液体濾過、液体標識、またはその組合せに用いられるものである
【請求項101】
請求項87に基づく液体処理システムの液体精製に対する使用。
【請求項102】
標的処理の方法であって、
一つ若しくはそれ以上の成分を有する一つ若しくはそれ以上の標的と、表面に部分的に埋め込まれた粒子群を有する表面とを接触させる工程を有し、
前記部分的に埋め込まれた粒子群は約0.1nm〜約1cmの平均的特性寸法を有し、
前記接触させる工程は、標的の一つ若しくはそれ以上の成分と、前記部分的に埋め込まれた一つ若しくはそれ以上の粒子とが相互作用するように行われるものである、方法。
【請求項103】
請求項102記載の方法において、標的は液体、固体、ゲル、生体材料、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項104】
請求項102記載の方法において、前記一つ若しくはそれ以上の液体と前記ポリマー表面とを接触させる工程は、流動、スプレー、滴下、霧化、オーバーレイ、インプレス、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項105】
請求項102記載の方法において、前記部分的に埋め込まれた粒子群は基本的に表面全域を占めるものである。
【請求項106】
請求項102記載の方法において、前記部分的に埋め込まれた粒子群は表面積の約75%未満を占めるものである。
【請求項107】
請求項102記載の方法において、前記部分的に埋め込まれた粒子群は表面積の約25%未満を占めるものである。
【請求項108】
請求項102記載の方法において、前記相互作用は、精製、標識、崩壊、溶解、結合、キレート、感知、結合、検出、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項109】
担体に粒子を埋め込む方法であって、
前記粒子の一つ若しくはそれ以上が少なくとも部分的に前記担体内に埋め込まれる条件下において、前記担体に粒子群を塗布する工程を有し、
前記粒子群の平均特性寸法は約0.1nm〜約1cmである、方法。
【請求項110】
請求項109記載の方法において、前記粒子群は液体中において処理されるものである。
【請求項111】
請求項109記載の方法において、この方法はさらに、前記担体を軟化させる工程を含むものである。
【請求項112】
請求項109記載の方法において、前記液体が前記担体よりも加熱されているか、前記担体が前記液体よりも加熱されているか、または前記液体および前記担体の両方が加熱されている。
【請求項113】
請求項109記載の方法において、前記液体は空気、気体、またはそれらの組合せを有するものである。
【請求項114】
請求項109記載の方法において、前記粒子を塗布する工程は、噴射、スプレー、霧化、滴下、噴霧、注入、ドリップ、またはそれらの組合せを含むものである。
【請求項115】
請求項1記載の方法において、前記塗布する工程は、勾配の適用をさらに含むものである。
【請求項116】
請求項18記載の方法において、前記勾配は一つ若しくはそれ以上の粒子を刺激するものである。
【請求項117】
表面に粒子を分配する方法であって、
少なくとも一つの担体に不活性な液体に、粒子群を分散させる工程と、
前記少なくとも一つの担体表面全体に前記液体を処理する工程と
を有する方法。
【請求項118】
請求項117記載の方法において、前記粒子群は前記液体内に均等に分散されるものである。
【請求項119】
請求項117記載の方法において、勾配は前記粒子を前記液体に分散するために用いられるものである。
【請求項120】
請求項118記載の方法において、前記粒子群は、前記粒子を前記液体内に均等に分配するために、超音波分解、振盪、振動、またはそれらの組合せが適用されるものである。
【請求項121】
請求項117記載の方法において、前記液体、一つ若しくはそれ以上の粒子、またはその両方は、粒子間凝集を少なくとも部分的に抑制することができる少なくとも一つの薬剤を有するものである。
【請求項122】
請求項117記載の方法において、この方法はさらに、前記液体の少なくとも一部分の除去を含むものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−529231(P2010−529231A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510485(P2010−510485)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/065083
【国際公開番号】WO2008/150867
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(509329475)イノーバ マテリアルズ、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】