説明

粒子状物質検出センサ及びその製造方法

【課題】電気抵抗式の粒子状物質検出センサにおいて、PMをセンサ表面の一対の検出電極間に速やかに堆積可能とし、一対の検出電極の間隔をより小さくして、センサ感度を向上させる。
【解決手段】検出電極EL11、EL12は、導電性材料から成り、略平膜状に形成され、一定間隔で平行に並んだ状態で、絶縁性基体100内部に埋設保持され、その端部11、12を絶縁性基体100の少なくとも一の側端面10に引き出し、絶縁性基体100内部に埋設された検出電極EL11、EL12の平面部に対して直交する基準面に対して所定の傾斜面形成角度θを設けて検出面とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用内燃機関の排気浄化システムに好適に利用されて、被測定ガス中に存在する粒子状物質を検出する電気抵抗式の粒子状物質検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ディーゼルエンジン等において、燃焼排気に含まれる環境汚染物質、特に煤粒子(Soot)及び可溶性有機成分(SOF)を主体とする粒子状物質(Particulate Matter;以下、適宜PMと称する)を捕集するために、排気通路にディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、適宜DPFと称する)を設置することが行われている。DPFは、耐熱性に優れる多孔質セラミックスからなり、多数の細孔を有する隔壁に燃焼排気を通過させてPMを捕捉する。
【0003】
DPFは、PM捕集量が許容量を超えると、目詰まりが生じて負圧が増大したり、PMのすり抜けが増加したりするおそれがあり、定期的に再生処理を行って捕集能力を回復させている。再生時期は、一般的には、PM捕集量の増加により前後差圧が増大することを利用しており、このため、DPFの上流及び下流の圧力差を検出する差圧センサが設置される。再生処理は、ヒータ加熱あるいはポスト噴射等により高温の燃焼排気をDPF内に導入し、PMを燃焼除去する。
【0004】
一方、燃焼排気中のPMを直接検出可能なセンサが、例えば特許文献1、2等に提案されている。このセンサを、DPFの下流に設置した場合には、DPFをすり抜けるPM量を測定し、車載式故障診断装置(OBD;On Board Diagnosis)において、DPFの作動状態の監視、例えば亀裂や破損といった異常の検出に利用することができる。あるいはDPFの上流に設置して、DPFに流入するPM量を測定し、差圧センサに代わる再生時期の判断に利用することも検討されている。
【0005】
特許文献1には、絶縁性を有する基板の表面に、一対の櫛形電極を形成し、基板の裏面又は内部に発熱体を形成した電気抵抗式のスモークセンサが開示されている。このセンサは、スモーク(微粒炭素)が導電性を有することを利用したもので、検出部となる電極間に、スモークが堆積することで生じる電気抵抗値の変化を検出する。基板材料には、電気絶縁性耐熱材料が用いられ、電極材料となるPt、Ag等の貴金属粉をペースト状にして、平板状基板の表面にスクリーン印刷することにより一対の電極が形成される。基板の裏面側には、電極と相対する部分に発熱体が形成され、検出部を所望の温度(例えば、400℃〜600℃)に加熱して、電極間抵抗を測定した後に、付着したスモークを焼き切って検出能力を回復させる。
【0006】
また特許文献2には、センサ上の煤堆積を制御するためのセンサエレメントが開示されている。
特許文献2にあるような従来のPM検出センサ1zの基本構造を図13(a)に示すと、アルミナセラミックス等の絶縁基板100z上に一定の間隙を設けて対向する一対の櫛形電極EL11z、EL12zが形成されており、櫛形電極EL11z、EL12zは、リード部113z、123z、端子部114z、124z等を介して、例えば車両電源等を利用した電源部20に接続されている。
電源部20から印加される電圧に応じて、相互に噛み合う櫛形電極EL1z、EL12z間の空間に不均一な電界が形成され、PM検出センサ1zを通過する燃焼排気中に含まれる煤粒子が、櫛形電極EL11z、EL12zに引き寄せられて堆積する。この時の電極間抵抗を、検出部21にて検出することで煤堆積量を測定することができる。
【0007】
また、特許文献3には、櫛状の測定電極表面に保護層を形成した構成において、製法として、スクリーン印刷の他、CVD、PVDによる方法により、測定電極間の間隔を小さくできることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の電気抵抗式のPM検出センサ1zは、簡易な構成で比較的安定した出力が得られる利点があるものの、絶縁基板100z上にPMが堆積し、一対の櫛形電極EL11z、EL12z間が導通するまでは、電気抵抗値の変化が検出されない。このため、PMの検出を早期に可能とすることが課題であり、特許文献2では、印加電圧を高めて煤粒子を引き付け易くする制御を行っている。
ところが、電荷を帯びたPMは、図13(c)に示すように、電界の強い検出電極EL11z、EL12zの表面に引きつけられるため、その近傍に堆積し易く、検出電極間に露出する絶縁基板100zの表面には堆積し難くなり、プラスに帯電したPMはマイナス極側に、マイナスに帯電したPMはプラス極側に引きつけられる。このため、PMの堆積分布に偏りを生じ、検出部全面を覆うようにPMを均一に堆積させることは容易でない。
【0009】
加えて、OBDによる故障診断は、通常、20μm以下の微粒状PMのすり抜けを監視しており、検出電極EL11z、EL12zの間隔がより小さければ、早期検出が可能になるが、特許文献1、2等にあるような従来のスクリーン印刷による方法では、櫛形電極EL11z、EL12zの電極幅や電極間隔に制約があり、図13(b)に示すように、膜厚が数μmから10μm程度、電極間距離が30〜50μm程度に形成され、一般的なスクリーン印刷では、電極間距離を30μm以下に設定することは困難とされており、更なる不感質量の低減を図ることが困難であった。
【0010】
また、特許文献3に記載されるように、PVD法、CVD法といった薄膜形成技術を利用することも可能であるが、それでも、電極間隔は20〜40μm程度とされており、DPFをすり抜けるような微粒状PMを検出するには、十分とはいい切れない。また、薄膜形成のための専用の装置が必要であり、生産コストが高くなる虞もある。
さらに、従来の絶縁基板の表面に一対の櫛形電極をスクリーン印刷等により形成する方法では、焼成時の収縮率の変動や、電極形成時の印刷条件等により、電極幅や電極間隔に±5%程度の個体差を生じるので、被測定ガス中のPM量が同一の条件であっても、PM検出センサの個体差によって、電極間にPMが堆積し、抵抗値の変化が検出されるようになるまでの不感質量や、PM量の変化に対する出力の変化量にバラツキを生じていた。
【0011】
しかし、特許文献1〜3等にあるような従来の絶縁性基体の表面に一対の櫛形電極を形成したPM検出センサの構造では、一旦完成したPM検出センサの電極幅や電極間隔を修正することが不可能であるため、このような個体差を少なくし、さらなる検出精度の向上を図ることが困難であった。
【0012】
そこで本発明は、内燃機関の燃焼排気中のPM検出に用いられる電気抵抗式の粒子状物質検出センサにおいて、検出電極の幅や電極間隔の寸法精度の個体差を少なくし、検出精度を向上させると共に、一対の検出電極の間隔をより小さくして、DPFからの微粒状PMのすり抜けといった異常を速やかに検出可能な構成とすること、さらには、そのような構成の粒子状物質検出センサを、複雑な生産工程を必要とすることなく、比較的低コストで製造するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明では、被測定ガス中に設けられ、絶縁性基体を介して対向せしめた互いに異なる極性を持つ、少なくとも一対の検出電極と、該検出電極間に所定の電圧を印加する電源部と、該電源部からの電圧の印加により該検出電極間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性を検出する検出部とを具備して、被測定ガス中の粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出センサであって、上記検出電極は、導電性材料から成り、略平膜状に形成され、一定間隔で平行に並んだ状態で、上記絶縁性基体内部に埋設保持され、その端部を上記絶縁性基体の少なくとも一の側端面に引き出し、上記絶縁性基体内部に埋設された上記検出電極の平面部に対して直交する基準面に対して所定の傾斜面形成角度を設けて検出面とする。
【0014】
請求項2の発明では、上記絶縁性基体の端部から所定の範囲内における検出電極の幅を一定とした検出電極調整領域を具備する。
【0015】
請求項3の発明では、上記傾斜面形成角度が0°以上45°以下である。
【0016】
請求項4の発明では、上記電極間の距離が2μm以上20μm以下である。
【0017】
請求項5の発明では、上記検出電極が複数対あり、上記絶縁性基体の内部で同極性の電極を接続する。
【0018】
請求項6の発明では、上記検出面が複数である。
【0019】
請求項7の発明では、通電により発熱し上記検出面を加熱する発熱体を具備し、上記検出面が該発熱体よりも熱的に低い位置に配設してある。
【0020】
請求項8の発明では、絶縁性基体を介して対向する一対の検出電極を具備して、該検出電極間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性によって被測定ガス中の粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出センサの製造方法であって、少なくとも、絶縁性耐熱材料を用いて略平板状の絶縁性基体を形成する絶縁性基体成形工程と、該絶縁性基体の表面に、導電性材料を用いて略平膜状の検出電極を形成する検出電極形成工程と、該検出電極を形成した絶縁性基体を積層し一体の粒子状物質検出センサ前駆体を形成する前駆体形成工程と、該前駆体の端部に所定の傾斜面形成角度で傾斜面を形成し検出面における上記一対の上記検出電極間の間隔を調整する電極間距離調整工程を具備する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、上記電源部から上記検出電極間に電圧を印加したときに、上記絶縁性基体内部に埋設された上記検出電極間に発生した電界により、上記検出面において上記検出電極表面のみならず上記絶縁性基体の表面が誘電分極により分極され、上記検出面において、被測定ガス中に含まれる粒子状物質が速やかに、かつ、均一に堆積するため、早期に不感期間を解消することができる。加えて、上記傾斜面形成角度を任意に変更することが可能であるので、上記検出電極間の距離を極めて精度良く調整することができる。
したがって、被測定ガス中の粒子状物質が堆積して上記検出部によって電気的特性が検出可能になるまでの不感期間を安定化することが可能となり、また、被測定ガス中の粒子状物質の堆積に伴う上記検出部の出力変化を一定にすることが可能となるので、個体差が少なく、信頼性の高い粒子状物質検出センサが実現できる。
【0022】
請求項2の発明によれば、上記傾斜面形成角度を任意に調整し、精度良く電極間距離を一定としたときに、上記検出面に露出する上記検出電極の端部表面の幅を常に一定とすることができ、上記検出面表面における上記検出電極間に発生する電界強度分布の安定化を図ることができる。極めて信頼性の高い粒子状物質検出センサが実現できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、元々の検出電極間距離の1.0倍から√2倍の範囲で、任意に調整することが可能となり、上記PM検出センサの製造過程で不可避的に発生する上記検出電極間の距離のバラツキを、極めて小さくし個体差を少なくすることができる。
【0024】
請求項4の発明によれば、極めて早期に不感期間が解消されると共に、被測定ガス中に含まれる20μm以下の粒径の粒子状物質の検出が可能となる。
【0025】
請求項5の発明によれば、複数の極性の異なる検出電極の端部表面が交互に一定間隔で平行に並んだ検出面に同極同士を接続する部分が表れないので、検出電極間に発生する電界が不均一とならず、極めて安定した状態で粒子状物質の検出が可能となる。
一方、本発明によらず、検出電極を櫛形に形成したり、絶縁性基体の表面で同極同士を接続したりした場合には、同極同士を接続する部分に対向する検出電極の端部との間で電界の乱れが生じ、粒子状物質の局所的な堆積を招く虞がある。
【0026】
請求項6の発明によれば、被測定ガスの任意の方向に対しての検出確率が高くなり、上記粒子状物質検出センサを被測定ガスに載置する際に検出面の方向性を考慮する必要が少なくなる。
【0027】
請求項7の発明によれば、効率よく上記発熱体の熱を上記検出電極間に堆積した粒子状物質の燃焼除去に利用することが可能となる。
【0028】
請求項8の発明によれば、電極間距離を極めて精度良く調整することが可能となり、個体差を少なくした信頼性の高い粒子状物質検出センサを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるPM検出センサの概要を示し、(a)は、傾斜面形成前のPM検出センサの平面図、(b)は、その要部断面図、(c)は、傾斜面形成後のPM検出センサ及び全体構成を示す平面図、(d)は、その要部断面図。
【図2】図1のPM検出センサの要部詳細を示し、(a)は、傾斜面形成前のPM検出センサの要部拡大断面図、(b)は、傾斜面形成後のPM検出センサの要部拡大断面図。
【図3】本発明の効果を示す模式図。
【図4】比較例と共に本発明の効果を示し、(a)は、比較例1、比較例2、実施例1における既知量のPMを含む被測定ガスに対する出力の変化の違いを示す特性図、(b−1)、(b−2)は、比較例2における個体差を示す特性図、(c−1)、(c−2)は、本発明の実施例1における個体差を示す特性図。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるPM検出センサの製造方法を説明するための展開斜視図。
【図6】図5に続く製造方法の概要を示し、(a−1)は、傾斜面形成前のPM検出センサ前駆体の斜視図、(a−2)は、そのA−Aに沿った断面図、(b−1)は、傾斜面形成後のPM検出センサの斜視図、(b−2)は、そのA−Aに沿った断面図、(c)は、完成したPM検出センサ全体の概要を示す構成図。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるPM検出センサの変形例を示し、(a)は、PM検出センサ前駆体の展開斜視図、(b)は、発熱体の断面図、(c)は、PM検出センサ前駆体の斜視図、(c)は、PM検出センサの斜視図。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるPM検出センサ前駆体展開平面図
【図9】本発明の第2の実施形態における傾斜面形成後のPM検出センサの要部を示し、(a)は、正面図、(b)は、側端面図、(c)は、下面図。
【図10】本発明の第3の実施形態におけるPM検出センサを示し、(a)は、PM検出センサ前駆体の展開斜視図、(b)は、その側端面図、(c)は、傾斜面形成後のPM検出センサの側端面図、(d)は、その下面図。
【図11】本発明の第3実施形態におけるPM検出センサの変形例を示し、(a)は、PM検出センサ前駆体の展開斜視図、(b)は、その側端面図、(c)は、傾斜面形成後のPM検出センサの側端面図、(d)は、その上面図。
【図12】本発明の第4の実施形態におけるPM検出センサの概要を示す平面図。
【図13】(a)は、比較例として示す従来のPM検出センサの構成図、(b)は、検出部の詳細を示す断面図、(c)は、比較例におけるPMの捕集状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の粒子状物質検出センサ(以下、PM検出センサと略す。)1は、内燃機関の燃焼排気等を被測定ガスとし、検出電極間に堆積するPM量によって変化する電気的特性として抵抗値を検出することによって、被測定ガス中に含まれる粒子状物質(PM)の量を検出するものである。
図1、図2を参照して、本発明の第1の実施形態におけるPM検出センサ1の概要について説明する。
図1(a)、(b)に示すように、1μm以上20μm以下の一定膜厚でPt等の導電性材料を略平膜状に形成した少なくとも一対の検出電極EL11、EL12を、2μm以上20μm以下の一定間隔で平行に並べて略平板状の絶縁性基体100の内部に埋設保持し、これらの検出電極EL11、EL12の端部表面11、12を絶縁性基体100の側端面10に引き出した粒子状物質検出センサ前駆体(以下、PM検出センサ前駆体と略す。)1PREの端面に検出電極EL11、EL12の平面部に直交する基準面に対する角度が0°以上45°以下の範囲で傾斜する所定の傾斜角度θを有する傾斜面を形成し、検出電極間距離T10を傾斜面の角度により微調整したことを特徴とし、PM検出センサ1の製造工程中に発生する個体差を少なくして、検出精度の向上を図ると共に、微細な粒径のPMを効率よく捕集可能として不感期間の短縮を図ろうとするものである。
検出電極EL11、EL12には、傾斜面の形成角度θが変化しても、検出面に露出する電極端部表面11、12の幅Wが一定となるように、傾斜面が形成され得る範囲内において、電極の幅Wを一定とした検出電極調整領域110、120が形成してある。
【0031】
さらに、平行に並んだ複数対の電極EL11、EL12の内、同極性となる電極が並列となるように絶縁性基体100の内部でスルーホール電極112、122を介して接続され、互いに異なる極性の電極は絶縁性を維持するように、互いの電極を回避して検出電極調整領域110、120とスルーホール電極112、122とを接続する電極取り回し部111、121が形成されている。
さらに、図1(c)に示すように、スルーホール電極112、122は、それぞれ検出電極リード部113、123及び電極端子部114、124を介して、外部に設けた制御部2に接続されている。
制御部2は、電源部20と検出部21とによって構成され、電源部20は、検出電極EL11、EL12間に電圧を印加し、PMを捕集し易くする。
なお、便宜上、検出電極EL11をプラス極、検出電極EL12をマイナス極としてあるが、どちらをプラス極とし、マイナス極とするかは任意である。
また、電極取り回し部111、121は、互いに絶縁性を確保しながら、検出電極調整領域110、120とスルーホール電極112、122とを接続するものであれば如何なる配線パターンに形成しても良い。
【0032】
図2(a)に示すように、PM検出センサ前駆体1PREの端面に露出する傾斜形成前検出電極端面11PRE、12PREの膜厚がそれぞれ、調整前電極高さT11PRE、T12PRE、傾斜形成前絶縁性基体端面10PREの板厚が調整前電極間距離T10PREであるときに、基準端面に対して、図2(b)に示すように、0°以上45°以下の傾斜面形成角度θで検出面を切削、研磨等により傾斜面を形成した後の電極端面11、12の膜厚T11、T12、絶縁性基体端面10の板厚T10は、それぞれ、調整前電極高さT11PRE、T12PRE、調整前電極間距離T10PREの1/cosθ、即ち、傾斜面形成角度θを0°以上、45°以下とすることにより、1.0倍から√2倍の範囲で任意に調整することができる。
【0033】
例えば、目標とする電極間距離T10TRGが10.0μmであるにも拘わらず、実際に形成された絶縁性基体100の膜厚、即ち、調整前電極間距離T10PREが、9.0μmであった場合、約1.11倍にすれば良く、傾斜面形成角度θを約40.6°として傾斜面を形成することにより、検出面に露出する電極間距離T10を10.0μmに調整することができる。
また、本図(a)に示すように、PM検出センサ前駆体1PREの表面は、収縮率の違いや、熱膨張係数の違い等によって、端面に凹凸ができるが、傾斜面を形成する際に、平滑化されるので、検出面にPMが捕集堆積され、検出電極端部表面11、12間の導体経路を形成する際に絶縁性基体端部表面10が立体的な障害となることがない。
また、PM検出時に、被測定ガスの温度が高い場合等、PM検出センサ1が加熱環境下にある場合には、絶縁性基体100よりも熱膨張係数の大きい検出電極EL11、EL12が膨張し、絶縁性基体端部表面10から、検出電極端部表面11、12が外側に向かって突出するので、絶縁性基体端部表面10が立体的な障害となることがない。
これとは逆に、本発明によらず、検出電極端部表面よりも絶縁性基体端部表面が外側に向かって突出している場合には、絶縁性基体端部表面を乗り越えるようにして検出電極間に導電経路が形成されることになるので、不感期間が長くなってしまう。
【0034】
上述の如く、電極間距離T10が極めて高い精度で調整されているため、電極間にPMが堆積して、抵抗値変化が検出部2によって検出されるようになるまでの不感期間のバラツキが低減される。
また、検出電極EL11、EL12及び絶縁性基体100の厚み方向の断面が検出面として露出しているので、それぞれの膜厚(T11PRE、T12PRE、T10PRE)を薄くすることにより、不感期間の低減を図ることができる。
絶縁性基体100をドクターブレード法等によりシート成形し、検出電極EL11、EL12をスクリーン印刷によって厚膜形成し、これらを積層してPM検出センサ前駆体1PREを形成した場合、それぞれの膜厚(T11PRE、T12PRE、T10PRE)は2μm〜20μmの範囲で任意に調整可能である。
【0035】
図3を参照して、本発明のPM検出センサ1のPM捕集性向上の効果について説明する。検出電極EL11、EL12の間に電源20から電圧を印加すると、絶縁性基体100の外部に露出する検出電極端部表面11、12が分極され、反対の電荷を帯びたPMが検出電極端部表面11、12に捕集される。
このとき、電極端部表面11、12のみならず絶縁性基体100の内部で対向する検出電極EL11、EL12間にも電界が形成されるので、誘電分極により絶縁性基体端部表面10にもPMが電気的に引き寄せられ、検出電極端部表面11、12間に均一にPMが堆積することになり、早期に不感期間が解消される。
【0036】
図4を参照して、比較例と共に本発明の精度向上効果について説明する。本図(a)は、既知量のPM量に対する出力の変化を示し、比較例1として、図13に示した従来の絶縁性基体100z表面に一対の櫛形電極EL11z、EL12Zを形成したPM検出センサ1zの検出特性を示し、比較例2として、上記実施形態で説明したPM前駆体1PREをそのままの状態で使用した場合の検出特性を示し、実施例1として、本発明のPM検出センサ1を用いた場合の検出特性を示す。
なお、本図に用いた、比較例1の電極間距離は、30μm、比較例2の電極間距離は、9.5μm、実施例1の電極間距離は、10.0μmである。
実施例1の不感質量QEMB1が最も少なく、比較例1の不感質量QREF1の1/5程度となっており、本発明のPM検出センサ1が早期に不感期間を解消できることが分かる。
比較例2の不感質量QREF2は、実施例1の不感質量QEMB1よりも多い。これは、上述したように、検出面に凹凸が存在し、導電経路を形成する上で立体的な障害となっているためと推察される。
【0037】
本図(b−1)は、PM検出センサ前駆体1PREの電極間距離T10PREの個体差変動を計測した結果であり、本図(b−2)は、電極間距離を調整していない本発明のPM検出センサ前駆体1PREを複数用いて既知のPM量を検出したときの出力変動を調査したものである。
本図(b−1)に示すように、未調整の状態で、PM検出センサ前駆体1PREの電極間距離T10PREは、測定水準数n=125で、平均10.0μm、σ0.125であり、全体として、±5%程度のバラツキであった。
【0038】
本図(c−1)は、本発明のPM検出センサ1の電極間距離T10を調査したものであり、本図(c−2)は、電極間距離を調整した本発明のPM検出センサ1を複数用いて既知のPM量を検出したときの出力変動を調査したものである。
なお、本発明の実施例においては、調整前の電極間距離T10PREが、10.0μmより短い場合には、一律の傾斜面形成角度θ=15°で検出面に研磨を施し、10.0μm以上の場合には、傾斜面形成角度θ=0°で、検出面に研磨を施した。
電極間距離調整後の電極間距離T10は、測定水準数n=125、平均10.04μm、σ0.091に改善され、全体として、±3.5%程度のバラツキに低減することができた。
【0039】
また、予め、未調整の電極間距離T10PRE、即ち、絶縁性基体100の板厚を目標値の70%〜100%、即ち、マイナス目の公差を設定し、PM検出センサ前駆体1PREを作製後に、実際の電極間距離T10PREの計測結果に応じて傾斜面形成角度θを決定することにより、電極間距離T10を極めて目標値に近い値に調整可能となる。
この場合、個々の製品毎に傾斜面形成角度θの設定値を変えることもできるが、作業効率を低下させる虞もあり、絶縁性基体100の板厚分布から幾つかのグループにランク分けして、各ランクに対して傾斜面形成角度θを設定することにより、比較的高率良く、しかも極めて高い精度で電極間距離T10の値を一定に調整することができる。
【0040】
例えば、絶縁性基体100の側端部における板厚の平均値が9.50μmで、最小値9.00μm、最大値10.00μm、σ0.125であった場合に、各PM検出センサ前駆体1PREを、絶縁性基体100の端部表面における板厚T10PREが9.7〜10.0μmのものをAランク、9.3〜9.7μmのものをBランク、9.0〜9.4μmのものをCランクとし、Aランクは傾斜面形成角度θを17°、Bランクは傾斜面形成角度θを28°、Cランクは傾斜面形成角度θを37°とすることによって、調整後の絶縁性基体100の端部表面における板厚T10を平均値10.03μm、最小値9.82μm、最大値10.15μm、σ0.072まで調整することも可能となる。
本図(b−2)、(c−2)に示すように、本発明によれば、電極間距離T10の変動を小さくすることによって、不感質量の変動ΔQEMB1をΔQREF2より小さくでき、しかも、既知のPM量に対する出力変動ΔVEMB1もΔVREF2より小さくできることが判明した。
【0041】
図5、図6を参照して、本発明の第1の実施形態におけるPM検出センサ1のより具体的な構成及び、製造方法について説明する。
絶縁性基体100は、絶縁性基体成形工程として、アルミナ、チタニア、スピネル等の絶縁性耐熱材料をドクターブレード法等の公知の方法により、所定の板厚(例えば、焼成後の厚みとして、10μm)で、平板状に形成し、金型等を用いて、長方形に打ち抜いてある。また、必要に応じて、スルーホール電極112、122を形成するための貫通孔が適宜打ち抜いてある。
検出電極EL11、EL12は、検出電極形成工程として、白金等の導体ペーストを用いて、それぞれの電極パターンに応じた形状で、スクリーン印刷等の公知の方法により、絶縁性基体100の表面に印刷形成されている。
このとき、上述の如く、検出電極調整領域110、120は、端面から一定の範囲が、一定幅となるように形成されており、これに接続して、検出電極取り回し部111、121が形成されている。
検出電極EL11、EL12を印刷すると同時に、絶縁性基体100のスルーホール内に導体ペーストが充填され、スルーホール電極112、122が形成される。
検出電極取り回し部111、121、スルーホール電極112、122のそれぞれに接続して、検出電極リード部113、123、及び、検出電極端子部114、124が形成されている。
検出電極EL11、EL12が絶縁性基体10を介して交互に対向するよう積層されている。
さらに、通電により発熱する発熱体を形成すべく、抵抗ペースト及び導体ペースト等を用いて、スクリーン印刷等の公知の方法により、発熱体130及び、発熱体リード部131、132、発熱体端子部133、134が印刷形成されたヒータ部が形成されている。
発熱体130は、検出面が発熱体130よりも熱的に低い位置となるように配設してある。
【0042】
前駆体形成工程として、これらが一体的に積層され、所定の温度で一体的に焼成され、図6(a−1)に示すようなPMセンサ前駆体1PREが形成される。
なお、本実施形態においては、最上層と最下層となる絶縁性基体100の長さを短くし、検出電極端子部114、124及び発熱体端子部133、134が露出するように形成してあるが、これに限定するものではない。
また、本実施形態においては、検出電極EL11、EL12をそれぞれ3層づつ形成した例を示したが、積層数はこれに限定するものではなく、適宜変更可能である、
図6(a−2)に示すように、複数の検出電極EL11、EL12が絶縁性基体10を介して交互に平行に並んで、絶縁性基体内部に埋設され、絶縁性基体の側端面に検出電極端部表面11PRE、12PREが露出した状態となっている。
【0043】
さらに、焼成後のPM検出センサ前駆体1PREの絶縁性基体100の厚みに応じて、目標とする検出電極間距離T10に一致させるように、傾斜面形成角度θが算出され、検出電極間距離調整工程として、検出面が所定の傾斜面形成角度θで切削、研磨等の方法により形成され、本図(b−1)、(b−2)に示すように、検出面に検出電極端部表面11、12が所定の電極間距離T10を隔てて交互に対向することになる。
【0044】
このようにして、できあがったPM検出センサ1には、制御部2に設けられた電源部20及び、検出部21が接続される。
センサ電源部201は、検出電極EL11、EL12間に電圧を印加し、検出面に電界を発生され、その周囲に存在する被測定ガス中のPMを静電気力によって引き寄せることができる。
検出部21は、検出電極端部表面11、12間に堆積するPM量によって変化する抵抗値を計測し、被測定ガス中に含まれるPM量を検出することができる。
発熱体端子部133、134は、ヒータ通電線135、136を介してヒータ制御部202に接続され、検出電極端部表面11、12間に堆積したPMを燃焼除去したり、検出抵抗を安定化するために一定温度に加熱したりするために、必要に応じて通電が行われる。なお、PM検出センサ1は、図略の保護カバーに覆われた状態でハウジングに保持され、検出電極端部表面11、12が被測定ガス流路内に載置される。
【0045】
図7を参照して、本発明の第1の実施形態における変形例としてPM検出センサ1aについて説明する。
上記実施形態においては、発熱体130を絶縁性基体100の表面に平面的に印刷形成し、積層した例について説明したが、本実施形態においては、検出電極EL11、EL12を形成した層と同層に発熱体130aを印刷形成し、絶縁性基体100を貫通するスルーホール内に発熱体130b、130cを形成して、これを積層することにより本図(b)に示すように、立体的に配設した点が相違し、各検出電極EL11、EL12の構成は上記実施形態と同様である。
本実施形態においても、本図(c)、(d)に示すように、傾斜面形成角度θを形成することにより、検出面に露出する検出電極端部表面11、12及び絶縁性基体端部表面11の厚みを調整し、電極間距離T10を精度良く一定にすることができ、上記実施形態と同様の効果が発揮できる。
【0046】
また、本実施形態において、発熱体130aを毎層に形成した例を示したが、発熱量に応じて発熱体130aの形成を適宜間引いて、スルーホール内の発熱体130b、130cを介して接続するようにしても良い。
さらに、上記実施形態においては、検出電極リード部113、123、検出電極端子部114、124を同一層に形成した例を示したが、本図(a)に示すように、検出電極の極性に応じて、検出電極リード部113、検出電極端子部114と、検出電極リード部123、検出電極端子部124とを別の層に分けて形成しても良い。電源部20及び検出部21への配線の都合等により、リード部及び、端子部をどのように配設するかは適宜選択可能である。
【0047】
図8、図9を参照して、本発明の第2の実施形態におけるPM検出センサ1bについて説明する。
上記実施形態においては、絶縁性基体100内に埋設した一対の検出電極EL11、EL12の端部表面11、12を、絶縁性基体100の一の端部表面10に引き出した構成について説明したが、本実施形態においては、略直方体に形成した絶縁性基体100の両側端部表面10b1、10b3及び底面10b2の三方向に検出電極端部表面を引き出した点が相違する。
本実施形態において、図8に示すように、検出電極調整領域110b1、110b2、110b3、120b1、120b2、120b3においては、絶縁性基体100内に埋設される部分の幅が一定となるように形成されているので、図9に示すように、検出面1、検出面2、検出面3の3方向に傾斜面を形成したときに、露出する検出電極端部表面11b1、11b2、11b3、12b1、12b2、12b3がそれぞれ絶縁性基体100によって分離された状態となっており、各検出電極端部表面の幅Wを一定に保ちながら、電極間距離T10を精度良く調整することができる。
本実施形態においては、上記実施形態と同様の効果に加え、検出面が3方向に存在するので、被測定流路に載置する際の方向性に自由度が生まれ、さらにPM検出センサとしての信頼性が高くなる。
【0048】
図10を参照して、本発明の第3の実施形態におけるPM検出センサ1cについて説明する。
上記実施形態においては、一の絶縁性基体100の表面に検出電極EL11、EL12と検出電極リード部113、123を形成した例を示したが、本実施形態においては、絶縁性基体100の外周を多角形に形成し、各辺に向かって端部が露出するように検出電極調整領域110c、110c、110c、110c、120c、120c、120c、120cを引き出すように検出電極EL11c、EL12cを形成し、これらを交互に積層し、さらに、検出電極リード部113c、123cを、絶縁性基体100を貫通するスルーホール電極によって構成して、検出電極EL11、EL12の平面方向に直交するような方向に引き伸ばして、絶縁性基体100の最上層の表面に検出電極端子部114c、124cを形成した点が相違する。
さらに、それぞれの検出電極EL11、EL12の同極を接続するスルーホール電極112、122と、反対極となる検出電極取り回し部121c、111cを貫通する位置では各スルーホール電極112、122と反対極の検出電極取り回し部121c、111cとの絶縁性を確保すべく空隙が設けてある。
【0049】
また、本実施形態においては、発熱体130cを検出電極EL11、EL12に対して基端側となるように配設して、発熱体リード部131c、133cを、絶縁性基体100を貫通するスルーホール電極によって構成し、発熱体130cを形成した面に直交する方向に引き伸ばしてある。
加えて、本実施形態においては、傾斜面形成角度θは、PM検出センサ1cの検出面が先端側に向かって先細りとなるような角度で形成されている。
このような構成とすることによって、上記実施形態と同様、電極間隔T10を精度良く調整し、不感質量のバラツキを低減する効果に加え、多角形状に形成した絶縁性基体100の各辺に検出面を形成することができるので、PM検出センサ1cを被測定ガスの流れに対する方向を特定することなく載置することが可能となる。
また、本実施形態においては、多角形として、絶縁性基体100を正方形に形成した例を示したが、多角形の形状は、三角形でも、五角形でも、六角形でも、十二角形でも任意の形状に適宜変更可能であり、各辺に向かって検出電極端部11c1〜n、12c1〜nが露出するように検出電極EL11c、EL12cを形成できる。
【0050】
なお、本実施形態において、検出電極リード部113c、123c及び発熱体リード部131c、132cを絶縁性基体100cに設けたスルーホール内に電極ペーストを充填し、スルーホール電極を形成したものを複数枚積層した例を示したが、検出電極リード部113c、123c及び発熱体リード部131c、132cをリード線によって構成し、貫通孔を設けた絶縁性基体100cを押出成形により軸方向に延びる多角柱状に形成して、貫通孔にリード線を挿入し、絶縁性基体100cの先端部に検出電極EL11c、EL12cを形成し積層した検出層を接続するようにしても良い。
【0051】
図11を参照して、本発明の第3の実施形態におけるPM検出センサの変形例1dについて説明する。
上記第3の実施形態におけるPM検出センサ1cは、発熱体130cが、検出電極EL11c、EL12cを積層した層の基端側に配設された例を示したが、本実施形態においては、発熱体130dが、検出電極EL11c、EL12cを積層した層の先端側に配設された点が相違する。
本実施形態においては、傾斜面形成角度θは、PM検出センサ1dの検出面が基端側に向かって先細りとなるような角度で形成されている。
このような構成とすることによっても、上記第3の実施形態と同様の効果が発揮される。また、本実施形態においては、発熱体130dが、検出電極EL11d、EL12dを交互に積層した層の先端側に形成されているので、発熱体130dで発生した熱を無駄なく検出電極端部表面11d、12d間に堆積したPMを燃焼除去できる。
【0052】
図12を参照して、本発明の第4の実施形態におけるPM検出センサ1eについて説明する。
上記第2、第3の実施形態においては、複数の検出面に露出する検出電極端部表面11b1〜3、11c1〜4、11d1〜4、12b1〜3、12c1〜4、12d1〜4が、絶縁性基体100内部で、一の検出電極取り回し部111b、111c、111d、121b、121c、121dに接続され、一の検出電極EL11d、EL12dを構成するようにした例を示したが、本実施形態のように、第1の検出電極EL11、EL12、第2の検出電極EL11、EL12とをそれぞれ分離独立した状態で形成しても良い。
このように、第1の検出電極EL11、EL12の端部表面11e、12e間に堆積するPM量と、第2の検出電極EL11、EL12の端部表面11e、12e間に堆積するPM量との違いを、それぞれの出力V、Vの違いによって検出することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
このようにして形成される本発明のPM検出センサは、内燃機関の排気浄化装置に適用されて、排出される粒子状物質の検出に好適に利用される。具体的には、DPFの下流に設置されて、DPFの異常検出に利用することができる。あるいは、DPFの上流に設置されて、DPFに流入する粒子状物質PMを直接検出するシステムに利用することもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 PM検出センサ
PRE PM検出センサ前駆体
10 絶縁性基体傾斜端面
10PRE 傾斜形成前絶縁性基体端面
11、12 検出電極傾斜端面
11PRE、12PRE 傾斜形成前電極端面
110、120 検出電極調整領域
111、120 検出電極取り回し領域
112、122 検出電極スルーホール部
113、123 検出電極リード部
114、124 検出電極端子部
2 制御部
20 電源部
21 検出部
θ 検出面形成角度
10 調整後電極間距離
10PRE 調整前電極間距離(絶縁性基体板厚)
11、T12 調整後検出電極高さ
11PRE、T12PRE 調整前検出電極高さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開昭59−197847号公報
【特許文献2】特表2008−502892号公報
【特許文献3】特開2009−85959号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガス中に設けられ、絶縁性基体を介して対向せしめた互いに異なる極性を持つ、少なくとも一対の検出電極と、該検出電極間に所定の電圧を印加する電源部と、該電源部からの電圧の印加により上記検出電極間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性を検出する検出部とを具備して、被測定ガス中の粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出センサであって、
上記検出電極は、導電性材料から成り、略平膜状に形成され、一定間隔で平行に並んだ状態で、上記絶縁性基体内部に埋設保持され、その端部を上記絶縁性基体の少なくとも一の側端面に引き出し、上記絶縁性基体内部に埋設された上記検出電極の平面部に対して直交する基準面に対して所定の傾斜面形成角度を設けて検出面としたことを特徴とする粒子状物質検出センサ。
【請求項2】
上記絶縁性基体の端部から所定の範囲内における検出電極の幅を一定とした検出電極調整領域を具備する請求項1に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項3】
上記傾斜面形成角度が0°以上45°以下である請求項1又は2に記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項4】
上記電極間の距離が2μm以上20μm以下である請求項1ないし3のいずれか記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項5】
上記検出電極が複数対あり、上記絶縁性基体の内部で同極性の電極を接続した請求項1ないし4のいずれか記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項6】
上記検出面が複数である請求項1ないし5のいずれか記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項7】
通電により発熱し上記検出面を加熱する発熱体を具備し、上記検出面が該発熱体よりも熱的に低い位置に配設してある請求項1ないし6のいずれか記載の粒子状物質検出センサ。
【請求項8】
絶縁性基体を介して対向する一対の検出電極を具備して、該検出電極間に堆積する粒子状物質の量に応じて変化する電気的特性によって被測定ガス中の粒子状物質の量を検出する粒子状物質検出センサの製造方法であって、
少なくとも、絶縁性耐熱材料を用いて略平板状の絶縁性基体を形成する絶縁性基体成形工程と、
該絶縁性基体の表面に、導電性材料を用いて略平膜状の検出電極を形成する検出電極形成工程と、
該検出電極を形成した絶縁性基体を積層し一体の粒子状物質検出センサ前駆体を形成する前駆体形成工程と、
該前駆体の端部に所定の傾斜面形成角度で傾斜面を形成し検出面における上記一対の上記検出電極間の間隔を調整する電極間距離調整工程を具備することを特徴とする粒子状物質検出センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−220257(P2012−220257A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83895(P2011−83895)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】