説明

粒状医薬組成物及びその製造方法

【課題】
本発明は、水難溶性非ステロイド抗炎症薬物を含有する粒状剤、錠剤の薬物溶出性を向上させ、速効性、有効性に優れた医薬製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
アスピリン、イブプロフェンなどの水難溶性非ステロイド抗炎症薬物を、デンプン、セルロース等の賦形剤と混合し、共粉砕した後に、水溶性または水膨潤性高分子を含有する水性液を用いて湿式造粒を行って粒状物を得る。さらに、前記造粒物を用いて成形し、錠剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水難溶性薬物を含有する医薬組成物に関し、前記薬物の溶出性が向上された、速効性、有効性に優れた医薬粒状剤及びその製造方法、該粒状剤を含有する錠剤などの固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
固形薬品組成物を調製する場合、一般的には、体内での吸収性を向上させるための手段や服用性の向上を狙いとした製剤上の工夫を行うことが多い。これらの固形薬品組成物は、その使用目的に応じて、錠剤、カプセル剤又は顆粒剤等として使用する。例えば顆粒剤とする場合、活性成分と共に適当な賦形剤を添加し、ロール圧縮機による乾式造粒法、押し出し造粒機による湿式造粒法及び、流動造粒装置を用いて活性成分を水溶性高分子化合物で処理して顆粒状とする方法等が採用されている。このようにして得られた顆粒ないしは顆粒様の組成物に、更に添加剤を添加し打錠して錠剤として使用したり、顆粒の一定量を充填した硬カプセル剤や分包としたりして使用している。
【0003】
ところが、対象とする薬物が水に対して溶解性が低い場合、体内で吸収されにくい。中でも特に、結晶性の薬物や薬物の粒子径が大きい場合は、体内での良好な溶解性や溶出性を確保するために更なる工夫が必要となる。
【0004】
この場合の対策として、例えば水に難溶性の薬物を、粉砕して表面積を増加させる方法(特許文献1:特表2004-530558)、適当な界面活性剤、例えばショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の添加により水との親和性を向上させる等の方法(特許文献2:特開2000-95682)が用いられている。
【特許文献1】特表2004-530558
【特許文献2】特開2000-95682
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、活性剤を用いた場合、薬物によっては溶解性・溶出性の向上が芳しくなかったり、生体への安全性や製剤の安定性が損なわれることがあった。また、粉砕は薬物によっては粉砕機などに薬物が付着し粉砕性が著しく低いものがあったり、粉砕後の取り扱いに課題が生じ製造性が低下する場合があり、特にアスピリンやイブプロフェンなどの水に難溶性の非ステロイド抗炎症薬物にこのような傾向が多く認められた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは検討の結果、前記の水難溶性の非ステロイド抗炎症薬物(以下NSAIDs)を、薬物以外の粉体(賦形剤)と混合して共粉砕した後に、水溶性または水膨潤性高分子を含有する水性液を用いて造粒することにより、製造性を損なうことなく難溶性薬物の溶出性を向上する粒状物を得ることができ、さらにこれを用いた錠剤も同様の効果が得られることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、
(1) 水難溶性非ステロイド抗炎症薬物と賦形剤との共粉砕物が湿式造粒されてなることを特徴とする粒状医薬組成物。
(2) 賦形剤が、セルロース類、糖類、デンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体である(1)記載の粒状医薬組成物。
(3) 水溶性または水膨潤性高分子を用いて湿式造粒されてなる(1)または(2)記載の粒状医薬組成物。
(4) 粘度が50mPa・s以下(2%水溶液、20℃)及び/またはけん化度が96mol%以下の高分子を用いて造粒する、(3)記載の粒状医薬組成物。
(5)共粉砕物/水溶性または水膨潤性高分子水膨潤性高分子=100/0.5〜100/10である、(3)〜(4)に記載の粒状医薬組成物。
(6) 水に難溶性の非ステロイド抗炎症薬物が、アスピリンまたはイブプロフェンである(1)〜(5)記載の粒状医薬組成物。
(7)(1)〜(6)の粒状医薬組成物を含有する、錠剤。
(8)水難溶性非ステロイド抗炎症薬物と賦形剤とを混合し共粉砕した後、得られた共粉砕物に水溶性または水膨潤性高分子を含有する水性液を噴霧しながら造粒することを特徴とする、水難溶性非ステロイド抗炎症薬物含有粒状医薬組成物の製造方法。
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は難溶性のNSAIDsを含有する粒状剤、錠剤の薬物溶出性を、界面活性剤を用いなくても高めることができ、速効性、有効性に優れた医薬製剤を得ることが出来る。また、粉砕することで薬物の表面積を高め、その際薬物以外の粉体と共粉砕することで粉砕に適さない薬物も粉砕を良好に行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される水難溶性薬物としては、以下のものがあげられる。
<水難溶性薬物>
イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブフェキサマック、アスピリン、ジクロフェナック、アルクロフェナック、フェンクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカムなどの薬物を挙げることができ、これらを1種または2種以上組み合わせて配合する。好ましくはアスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、カフェインである。特に好ましくは、アスピリン、イブプロフェンである。
これらの薬物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0010】
上記薬物と混合し共粉砕するための粉体(賦形剤)としては、以下のものがあげられる。
<賦形剤>
デンプン類、セルロース類、糖類、を使用することが好ましい。デンプン類としては、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン(ポテトスターチ)、コムギデンプン、コメデンプン等のデンプン、或いはヒドロキシプロピルスターチ,部分α化デンプン等のデンプン誘導体、セルロース類 としては、結晶セルロース、粉末セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等、糖類としては、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。好ましい粉体は、デンプン類、セルロース類である。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0011】
上記難溶性薬物と賦形剤は、1:0.01〜1:10、好ましくは1:0.05〜1:5、より好ましくは1:0.2〜1:2とすることが好ましい。この範囲で両者を混合し、共粉砕を行う。
【0012】
本発明の共粉砕に用いる粉砕機の機種は特に限定はしないが、ハンマーミル、サンプルミル、ディスクミル、ピンミル等の衝撃式粉砕機や、ジェット粉砕機等の乾式微粉砕機、シリンダー粉砕機、ローラー粉砕機などが挙げられる。共粉砕は、粉砕後の粒子の大きさが、好ましくは平均1〜200μm、より好ましくは平均2〜100μm、さらに好ましくは平均5〜50μmとなるように行うことが望ましい。
【0013】
本発明の粒状医薬組成物は、上記の共粉砕された薬物・賦形剤混合物を、水溶性または水膨潤性高分子含有水性液を用いて湿式造粒し、製造される。
【0014】
湿式造粒に用いる水溶性または水膨潤性高分子としては、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、(低置換度)ヒドロキシプロピルセルロース,(低置換度)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。本発明の場合、これらの中で粘度が50mPa・s以下(2%水溶液、20℃)、及び/または、けん化度が96mol%以下の高分子の水性液を用いて造粒することが好ましい。
【0015】
造粒に用いる高分子の質量割合は、好ましくは、共粉砕物/高分子(固形分)=100/0.1〜100/50好ましくは100/0.5〜100/10である。
【0016】
湿式造粒方法としては、例えば、マルチプレックス((株)パウレック社製)やスパイラフロー(フロンイント産業(株)社製)のような攪拌型流動造粒装置を用いて、水溶性または水膨潤性高分子の溶液を噴霧しながら造粒する流動層造粒や、ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)社製)や高速攪拌造粒機((株)ダルトン社製)のような攪拌造粒機を用いて、水溶性または水膨潤性高分子の溶液を噴霧または滴下しながら攪拌錬合した後に、ドームグラン((株)ダルトン社製)のような押出し造粒機を用いて造粒する攪拌造粒が挙げられる。
【0017】
造粒した粒子の粒径としては造粒後に錠剤とする場合は平均粒子径が100〜1000μm好ましくは150〜700μmが良い。また、造粒後顆粒剤とする場合には平均粒子径が400〜1000μm好ましくは500〜850μmが良い。
【0018】
造粒した粒子はその後、安定性の向上などを目的として、必要に応じてコーティングを行うことができる。その際、本発明の効果である薬物の溶出性を著しく損なわないコーティング剤を選択することが好ましい。そのようなコーティング剤としては、水溶性高分子や糖類などが好ましく、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース類や、アラビアゴム、カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、単糖類、二糖類以上の多糖類(砂糖(グラニュー糖等)、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(パラチニット,ソルビトール,ラクチトール,エリスリトール,キシリトール,還元澱粉糖化物,マルチトール,マンニトール等)、水飴、異性化糖類、オリゴ糖、スクロース、トレハロース、還元澱粉糖化物(還元澱粉分解物)等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0019】
前記で得られた造粒粒子を用いて錠剤とする場合、上記造粒粒子以外に、必要に応じて、結合剤、崩壊剤等の賦形剤、滑沢剤、香料、矯味剤(甘味料、酸味料など)を使用することができる。
【0020】
以下に、各成分を例示するが、これに限られない。
・ 結合剤:澱粉、アルファー化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリンなど
・ 崩壊剤:カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなど
・ 滑沢剤:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステルなど
・ その他の賦形剤:乳糖、コーンスターチ、タルク、結晶セルロース(アビセルなど)、粉糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、L−システインなど
・ 香料:メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油、など)など
・ 甘味料:サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロースなど
・ 酸味料:クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸、及びそれらの塩など

【実施例】
【0021】
<実施例1>
(錠剤1−1)
アスピリン2000g(Rhodine2312、ローディア社製、平均粒子径約500μm)をとり、コーンスターチ2000g(日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業(株)社製、平均粒子径約30μm)とともにサンプルミル((株)ダルトン社製)で16分間共粉砕した。共粉砕した粉体の平均粒径は約40μmであった。共粉砕した粉体をスパイラフロー(フロイント産業(株)社製)を用いて7%ポリビニルアルコール(けん化度約87mol%)溶液を粉体に噴霧しながら造粒し、平均粒子径500μmの顆粒(1−1)を得た。
顆粒(1−1)から1400gをとり、結晶セルロース600gを加え、V型混合機V5型(特寿製作所社製)で混合し、更にステアリン酸マグネシウム40gを加えて混合した。この混合粉体をロータリー式の打錠機L-41型(畑鐵工所社製)で打錠(打錠圧1500kg)し、直径9mm、重さ270mg錠の錠剤(1−1)を得た。
【0022】
(錠剤1−2〜1−12)
顆粒(1−1)の製造方法に準じて、表1および表2に記載した配合組成の顆粒(1−2)〜(1−12)を製造した。 次に、これらの顆粒を用いた他は錠剤(1−1)と同様にして、錠剤(1−2)〜(1−12)を得た。
得られた錠剤(1−1)〜(1−12)について、製造直後及び40℃6ヶ月保存後の錠剤の薬物溶出性を、日局溶出試験のパドル法に準じて測定した。結果を、表1、2に示した。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】



【0025】
<実施例2>
(顆粒2−1)
イブプロフェン2000g(日本薬局方イブプロフェン、日清ファルマ(株)社製、平均粒子径約60μm)をとり、結晶セルロース2000g(セオラスPH102、旭化成ケミカルズ(株)社製、平均粒子径約90μm)とともにピンミル(ミルシステム(株)社製)で共粉砕した。共粉砕した粉体の平均粒径は約20μmであった。共粉砕した粉体をハイスピードミキサー(深江パウテック(株)社製)を用いて6%ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液20℃における粘度が約9mPa・s)溶液で練合し、ドームグラン((株)ダルトン社製)にて押出し造粒した後に振動ふるい機((株)ダルトン社製)よって整粒し、平均粒子径700μmの顆粒(2−1)を得た。
【0026】
顆粒2−1と同様の方法で、表3に示した配合組成にて顆粒(2−2)〜(2−5)を製造した。
【0027】
得られた顆粒(2−1)〜(2−5)について、製造直後及び40℃6ヶ月保存後の顆粒の薬物溶出性を、日局溶出試験のパドル法に準じて測定した。結果を、表3に示した。
【0028】
【表3】

【0029】
<実施例3>
イブプロフェン錠剤
実施例2で製造した顆粒(2−1:イブプロフェン造粒物)900g、乳糖350g、コーンスターチ150g、結晶セルロース500g、カルメロース100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム20gを加えて混合した。この混合粉体をロータリー式の打錠 機L-41型(畑鐵工所社製)で打錠(打錠圧1500kg)し、直径9mm、重さ270mg錠の錠剤を得た。
製造直後の薬物溶出性:溶出時間15分
40℃6ヶ月保存後の薬物溶出性:溶出時間15分
(評価方法:日局溶出試験パドル法、溶出液pH4.5、パドル回転数50rpm、溶出90%までの時間を溶出時間とした)
【0030】
<実施例4>
アスピリン/アセトアミノフェン複合錠
実施例1で製造した顆粒(1−1:アスピリン造粒物)450g、顆粒(1−3:アセトアミノフェン造粒物)450g、合成ヒドロタルサイト(アルカマックSN、協和化学工業(株))100g、乳糖350g、コーンスターチ150g、結晶セルロース500g、カルメロース100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム20gを加えて混合した。この混合粉体をロータリー式の打錠 機L-41型(畑鐵工所社製)で打錠(打錠圧1500kg)し、直径9mm、重さ270mg錠の錠剤を得た。
製造直後の薬物溶出性:溶出時間14分(アスピリン)、12分(アセトアミノフェン)
40℃6ヶ月保存後の薬物溶出性:溶出時間16分(アスピリン)、13分(アセトアミノフェン)
(評価方法:日局溶出試験パドル法、溶出液pH4.5、パドル回転数50rpm、溶出90%までの時間を溶出時間とした)
【0031】
<実施例5>
イブプロフェン/カフェイン複合錠
実施例2で製造した顆粒(2−1:イブプロフェン造粒物)750g、実施例1で製造した顆粒(1−4:カフェイン造粒物)150g、乳糖350g、コーンスターチ150g、結晶セルロース500g、カルメロース100gを混合し、更にステアリン酸マグネシウム20gを加えて混合した。この混合粉体をロータリー式の打錠 機L-41型(畑鐵工所社製)で打錠(打錠圧1500kg)し、直径9mm、重さ270mg錠の錠剤を得た。
製造直後の薬物溶出性:溶出時間15分(イブプロフェン)、13分(カフェイン)
40℃6ヶ月保存後の薬物溶出性:溶出時間16分(イブプロフェン)、14分(カフェイン)
(評価方法:日局溶出試験パドル法、溶出液pH4.5、パドル回転数50rpm、溶出90%までの時間を溶出時間とした)
【0032】
<比較例1>
(比較錠剤1−A)
アスピリン4000gをとりサンプルミル((株)ダルトン社製)で粉砕した。粉砕した粉体の平均粒径は約70μmであった。粉砕した粉体をスパイラフロー(フロイント産業(株)社製)を用いて7%ポリビニルアルコール(けん化度約87mol%)溶液で造粒し、平均粒子径500μmの顆粒(1−A)を得た。
得られた顆粒(1−A)から1400gをとり結晶セルロース600gを加えV型混合機V5型(特寿製作所社製)で混合し、更にステアリン酸マグネシウム60gを加えて混合した。この混合粉体をロータリー式の打錠 機L-41型(畑鐵工所社製)で打錠(打錠圧1500kg)し、直径9mm、重さ270mg錠の比較錠剤(1−A)を得た。
【0033】
(比較錠剤1−B)
アセトアミノフェン2000gをとり、乳糖2000gとともにサンプルミル((株)ダルトン社製)で16分間共粉砕した。共粉砕物とヒドロキシプロピルメチルセルロース(粉体)を、V型混合機 Vー5型(特寿製作所社製)で10分間混合し、次にALEXANDER WERK EINSPEIS型でロール圧縮し、次いで多段式整粒装置GRN-T-54-S型(日本グラニュレーター社製)で整粒して乾式造粒し、顆粒(1−B)を製造した。
顆粒(1−B)を用いた以外は比較錠剤(1−A)と同様にして、比較錠剤(1−B)を得た。
比較錠剤1−A、Bの溶出試験結果を、表4に示した。
【0034】
【表4】

【0035】
<比較例2>
(比較顆粒2−A)
イブプロフェン2000gをとり、ピンミル(ミルシステム(株)社製)で共粉砕した。粉砕した粉体の平均粒径は約40μmであった。粉砕した粉体と結晶セルロース2000gを混合し、ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)社製)を用いて6%ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液20度における粘度が約9mPa・s)溶液で練合し、ドームグラン((株)ダルトン社製)にて押出し造粒し、平均粒子径700μmの顆粒を得た。
【0036】
(比較顆粒2−B)
アセトアミノフェン2000gをとり、乳糖2000gとともにサンプルミル((株)ダルトン社製)で16分間共粉砕した。共粉砕物とヒドロキシプロピルメチルセルロース(粉体)を、V型混合機 Vー5型(特寿製作所社製)で10分間混合し、次にALEXANDER WERK EINSPEIS型でロール圧縮し、次いで多段式整粒装置GRN-T-54-S型(日本グラニュレーター社製)で整粒し、乾式造粒し、顆粒(1−B)を製造した。
比較顆粒2−A、Bの溶出試験結果を、表5に示した。
【0037】
【表5】

【0038】
<実施例に使用した原料>
アスピリン:Rhodine2312、ローディア社製、平均粒子径約500μm
イブプロフェン:日本薬局方イブプロフェン、日清ファルマ(株)社製、平均粒子径約60μm
アセトアミノフェン:日本薬局方アセトアミノフェン、岩城製薬(株)社製
カフェイン:日本薬局方無水カフェイン、(株)静岡カフェイン工業所社製
コーンスターチ:日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業(株)社製、平均粒子径約30μm
結晶セルロース:セオラスPH102、旭化成ケミカルズ(株)社製、平均粒子径約90μm
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:LH-31、信越化学工業(株)社製
乳糖:日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業(株)社製、平均粒子径約30μm
マンニトール:PERLITOL 50C、ロケット社製
PVA:ゴーセノール、日本合成化学工業社製
HPC(ヒドロキシプロピルセルロース):HPC-L、日本曹達(株)社製
HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース):TC-5、信越化学工業(株)社製
MC(メチルセルロース):SM-4、信越化学工業(株)社製
CVP(カルボキシビニルポリマー):ジュンロン、日本純薬社製



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性非ステロイド抗炎症薬物と賦形剤との共粉砕物が湿式造粒されてなることを特徴とする粒状医薬組成物。
【請求項2】
賦形剤が、セルロース類、糖類、デンプン類から選ばれる1種又は2種以上の粉体である請求項1記載の粒状医薬組成物。
【請求項3】
水溶性または水膨潤性高分子を用いて湿式造粒されてなる請求項1または2記載の粒状医薬組成物。
【請求項4】
粘度が50mPa・s以下(2%水溶液、20℃)及び/またはけん化度が96mol%以下の高分子を用いて造粒する、請求項3記載の粒状医薬組成物。
【請求項5】
共粉砕物/水溶性または水膨潤性高分子水膨潤性高分子=100/0.5〜100/10である、請求項3〜4に記載の粒状医薬組成物。
【請求項6】
水に難溶性の非ステロイド抗炎症薬物が、アスピリンまたはイブプロフェンである請求項1〜5記載の粒状医薬組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の粒状医薬組成物を含有する、錠剤。
【請求項8】
水難溶性非ステロイド抗炎症薬物と賦形剤とを混合し共粉砕した後、得られた共粉砕物に水溶性または水膨潤性高分子を含有する水性液を噴霧しながら造粒することを特徴とする、水難溶性非ステロイド抗炎症薬物含有粒状医薬組成物の製造方法。


【公開番号】特開2006−182726(P2006−182726A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379878(P2004−379878)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】