説明

粒状材料をミルに供給するためのフィードシャフト

粒状材料をミル(2)に供給するための傾斜フィードシャフト(1)に関する記載を提供する。フィードシャフト(1)は、その縦軸の周りを回転するように構成されているという点において独特である。これによって、シャフト壁上のコーティングのいずれの初期形成も供給材料中の粗大な下降材料粒子によって壁から連続的に清掃され除去されるので、セルフクリーニング式のフィードシャフトが得られる。これは、シャフト(1)の回転中、シャフト(1)の全周囲が間欠的にシャフト(1)の断面輪郭の底部に位置することになるため、下降材料によって清掃されるという事実によるものである。その結果、シャフトの回転中、底部に位置していないシャフト壁の部分に連続的に形成されたコーティングは、これらの部分がシャフト(1)の断面輪郭の底部を通過するときに連続的に清掃されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1]本発明は、粒状材料をミルに供給するための傾斜フィードシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
[2]上記種類のフィードシャフトは一般的に知られている。GB2214106参照。例えば、セメント製造工業では、前記種類のフィードシャフトは、粉砕される材料を竪型ミル、ハンマー粉砕機、ドライヤー粉砕機又は類似装置などのミルに供給するのに使用される。粉砕される材料が高炉スラグ、セメントクリンカー又は類似材料などの水硬性材料を含む場合、及びミル内に湿潤環境が発生した場合、これらはフィードシャフトの目詰りを招くことが非常に多い。これは、特に供給材料中の最微細粒子がシャフト壁に付着及び固化して実質的なコーティングを形成し、最終的にシャフトを完全に塞ぐという事実のためである。フィードシャフトの点検から、そのようなコーティングは最初にシャフトの断面輪郭の側部に形成され、底部は下降する供給材料によってかなりの程度きれいに保たれていることが明らかになった。これまで、そのようなコーティングはノズルを通じてシャフト壁に高圧空気を注入することによって除去されてきた又は除去しようとする試みがなされてきた。この方法は極めて高価な方法である上に、シャフトを望ましいほどきれいに保つには不十分であることもわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第2214106号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[3]本発明の目的は、上記欠点を取り除いた、粒状材料をミルに供給するためのフィードシャフトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[4]これは導入部で述べた種類のフィードシャフトによって達成され、該フィードシャフトはその縦軸の周りを回転するように構成されていることを特徴とする。
[5]これによって、シャフト壁上のコーティングのいずれの初期形成も供給材料中の粗大な下降材料粒子によって壁から連続的に清掃され除去される結果、セルフクリーニング式のフィードシャフトが得られる。これは、シャフトの回転中、シャフトの全周囲が間欠的にシャフトの断面輪郭の底部に位置することになるため、下降材料によって清掃されるという事実によるものである。その結果、シャフトの回転中、底部に位置していないシャフト壁の部分に連続的に形成されたコーティングは、これらの部分がシャフトの断面輪郭の底部を通過するときに連続的に清掃されることになる。
【0006】
[6]シャフト中にコーティングが形成されるあらゆる傾向を最小化するために、シャフトは、優先的には可能な最高度の平滑性を持つ内側を有する円筒形のダクトとして形成されるのが好適である。
【0007】
[7]フィードシャフトの回転によって達成されるセルフクリーニング効果のために、フィードシャフトは、従来達成可能であった典型的には50〜60度の傾斜より水平レベルに対して小さい傾斜で配置することができる。このことは、所定の長さのフィードシャフトで、材料をミルのより奥深い場所に供給することが可能になることを意味する。本発明によるフィードシャフトは、水平レベルに対して20〜80度、好ましくは30〜60度の角度で配置することができる。
【0008】
[8]フィードシャフトの回転中に過剰のコーティングが形成されるのを防ぐために、フィードシャフトは、毎分0.1〜10回転、好ましくは毎分1〜3回転の回転速度で回転するように構成されるのが好適である。
【0009】
[9]フィードシャフトは、原則的には任意の適切な手段によって回転するように構成されてよい。従って、シャフトの回転は、シャフトの周りに搭載されたリングモーターを用いて提供することができる。しかしながら、シャフトを回転させるための手段は、シャフト上に搭載されたガースギア(girth gear)及び該ガースギアとかみ合うモーター式歯車を含むのが好適である。あるいは、回転の手段は、摩擦力を通じて駆動トルクをフィードシャフトに伝達するモーター式滑車を含んでいてもよい。この結果、シャフトの半径方向の小さな運動が許容可能になる。
【0010】
[10]フィードシャフトは、その縦軸周りでのフィードシャフトの自由な回転を許容する任意の適切な様式で支持できる。フィードシャフトは、その上端に半径方向外向きに突出したフランジを含み、そこではラジアル/アキシアル軸受を用いて支持され、その下端では一つ又は数個のラジアル軸受を用いて支持されているのが好適である。
【0011】
[11]フィードシャフトの内側にコーティングが形成されるのを削減するために、シャフト壁を加熱すれば、それによってシャフト壁に付着する材料中の何らかの固有水分の蒸発が起きて材料が壁に固着する傾向が削減されるため、有益であることがわかった。この理由のため、本発明によるフィードシャフトは、好ましくは、その長さの実質的部分にわたってケーシングで取り囲まれるべきで、ケーシングはフィードシャフトと一緒になって熱空気を導入するために構成された環状間隙を規定する。
【0012】
[12]フィードシャフトはさらに、シャフト壁を清掃するための補助的手段を備えていてもよい。そのような手段は、例えば、フィードシャフトを一定の間隔で振動させる振動装置を含みうる。振動装置は、例えば、フィードシャフトから放射状に突出し、フィードシャフトの周囲に分配されたいくつかの活性化突起を含みうる。前記突起がフィードシャフトの回転中に固定斜面に衝撃を与える。あるいは、振動装置は、一定間隔でフィードシャフトの外側に衝撃を与えるラッパー(rapper)機構を含んでいてもよい。
【0013】
[13]補助的手段はさらに、圧縮空気をフィードシャフトに注入するための圧縮空気システムを含むこともできる。
[14]さらに、フィードシャフトは、特別な場合、水を導入するための手段を備えることもできる。
【0014】
[15]次に、本発明を図面を参照しながらさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】唯一の図面は、本発明によるフィードシャフトの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[16]図は、粒状材料をフィードスルース(feed sluice)4からホッパー3を通ってミル2に供給するための傾斜フィードシャフト1を示している。
[17]本発明に従って、フィードシャフト1は、その縦軸の周りを回転するように構成されているので、シャフト壁上のコーティングのいずれの初期形成も供給材料中の粗大な下降材料粒子によって壁から連続的に清掃され除去される。
【0017】
[18]示された態様において、フィードシャフト1は、コーティングの形成傾向を最小化するために平滑な内側を有する円筒形のダクトとして形成されている。
[19]フィードシャフト1は、示された態様においては、水平に対して約60度の角度で配置されているが、フィードシャフトの回転によって達成されるセルフクリーニング効果のために、水平に対して20度ほどのかなり小さい傾斜で配置することができる。従って、所定の長さのフィードシャフト1で、材料をミル2のより奥深い場所に供給することができる。
【0018】
[20]フィードシャフト1は、フィードシャフトの回転中、過剰のコーティングがそれらが清掃される前に形成されるのを防止するために、毎分0.1〜10回転、好ましくは毎分1〜3回転の回転速度で回転する。
【0019】
[21]フィードシャフト1は、示された態様においては、シャフト1上に搭載されたガースギア6及びガースギア6とかみ合い、モーター5によって駆動される歯車7を含む駆動機構によって回転される。あるいは、駆動機構は、摩擦力を通じて駆動トルクをフィードシャフト1に伝達するためのモーター式滑車(図示せず)を含んでいてもよい。
【0020】
[22]示された態様において、フィードシャフト1は、その上端に半径方向外向きに突出したフランジ8を含み、その位置は、半径方向並びに軸方向に環状ラジアル/アキシアル軸受9によって維持されている。フィードシャフト1は、その下端では、一つ又は複数のラジアル軸受10によって支持されている。
【0021】
[23]示された態様において、フィードシャフト1は、その長さの実質的部分にわたってケーシング11で取り囲まれている。これはフィードシャフト1と一緒になって環状間隙12を規定し、その中に熱空気を入口13から導入することができる。従って、シャフト壁は加熱されてシャフト壁に付着している材料中に内在する固有の何らかの水分の蒸発が起き、それによってフィードシャフトの内側にコーティングが形成されるのが削減される。
【0022】
[24]フィードシャフト1はさらに、フィードシャフト1から放射状に突出し、その周囲に分配されたいくつかの活性化突起14の形態の振動装置を含む。前記突起はフィードシャフトの回転中に固定斜面15に衝撃を与える。
【0023】
[25]フィードシャフト1はまた、圧縮空気をフィードシャフト1に注入するための圧縮空気システム16も含む。
【符号の説明】
【0024】
1 フィードシャフト
2 ミル
3 ホッパー
4 フィードスルース
5 モーター
6 ガースギア
7 歯車
8 フランジ
9 ラジアル/アキシアル軸受
10 ラジアル軸受
11 ケーシング
12 環状間隙
13 入口
14 活性化突起
15 固定斜面
16 圧縮空気システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子材料をミル(2)に供給するための傾斜フィードシャフト(1)であって、その縦軸の周りを回転するように構成されていることを特徴とする傾斜フィードシャフト。
【請求項2】
円筒形のダクトとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項3】
平滑な内側を有して形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィードシャフト。
【請求項4】
水平に対して20〜80度、好ましくは30〜60度の角度で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項5】
毎分0.1〜10回転、好ましくは毎分1〜3回転の回転速度で回転するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項6】
シャフト(1)上に搭載されたガースギア(6)及び該ガースギアとかみ合うモーター式歯車(7)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項7】
摩擦力を通じて駆動トルクをフィードシャフト(1)に伝達するモーター式滑車を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項8】
その上端に半径方向外向きに突出したフランジ(8)を含み、そこではラジアル/アキシアル軸受(9)によって支持されているが、その下端では一つ又は複数のラジアル軸受(10)によって支持されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項9】
その長さの実質的部分にわたってケーシング(11)によって取り囲まれ、前記ケーシングはフィードシャフト(1)と一緒になって熱空気を入口(13)から導入するために構成された環状間隙(12)を規定していることを特徴とする、請求項1に記載のフィードシャフト。
【請求項10】
一定の間隔でフィードシャフトを振動させる振動装置(14、15)及び/又は圧縮空気をフィードシャフトに注入するための圧縮空気システム(16)のような、シャフト壁を清掃するための追加の手段を組み込んでいることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のフィードシャフト。

【図1】
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【公表番号】特表2012−521868(P2012−521868A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501465(P2012−501465)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/051294
【国際公開番号】WO2010/109429
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510001021)
【Fターム(参考)】