説明

粒状洗剤組成物

【課題】ぬめり感を伴わずに被洗物に柔軟性を付与する粒状洗剤組成物の提供。
【解決手段】(A)アニオン界面活性剤
(B)アミノ変性シリコーン
(C)カルボキシメチルセルロースまたはその塩
を含む、粒状洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぬめり感を伴わずに被洗物に柔軟性を付与する粒状洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類等の被洗物を洗濯する際に柔軟化効果を付与するための様々な検討が以前より行われてきた。例えば、粘土鉱物のスメクタイトを柔軟化剤として配合した洗剤組成物(特許文献1)、界面活性剤、水不溶性水膨潤性有機物と、粘土鉱物、シリコーン誘導体、特定のポリマー化合物とを組合せた洗浄剤組成物(特許文献2)、水不溶性固体粒子を含有する洗剤組成物(特許文献3)、カチオン化セルロースを含む洗濯製品組成物(特許文献4)などが知られている。
上記特許文献2に記載されるシリコーン誘導体としては、例えばポリエーテル変性シリコーン、カチオン変性シリコーンとともに、アミノ変性シリコーンが知られている。しかし、粒状洗剤組成物にアミノ変性シリコーンを配合すると、洗浄力と共に極めて優れた柔軟性が得られるものの、繊維にぬめり感を与えるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平1−98697号公報
【特許文献2】特開2002−194391号公報
【特許文献3】特開2003−64574号公報
【特許文献4】特表2005−536618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ぬめり感を伴わずに被洗物に柔軟性を付与する粒状洗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、粒状洗剤組成物においてアミノ変性シリコーンとカルボキシメチルセルロースとを併用すると、優れた柔軟性が得られるとともに、ぬめりを抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
(A)アニオン界面活性剤
(B)アミノ変性シリコーン
(C)カルボキシメチルセルロースまたはその塩
を含む、粒状洗剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、洗浄力を保ちつつ、繊維に良好な風合い、即ち、ぬめりのない柔軟性を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の粒状洗剤組成物は、成分(A)としてアニオン界面活性剤を含む。本発明におけるアニオン界面活性剤はその種類は特に制限されず、一般の洗浄剤組成物に常用されるアニオン界面活性剤のいずれも好適に使用することが可能であり、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0009】
(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(i) 炭素数10〜22の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸のメチル、エチルもしくはプロピルエステル(α−SF又はMES)塩。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩として好適なものを以下に例示する。
【0010】
【化1】

【0011】
前記式(A−1)中、R11は、炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基、または炭素数8〜20の直鎖もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。R12において、炭素数は1〜6であり、1〜3であることが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、洗浄力がより向上することからメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Mは、対イオンを表し、たとえばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン塩;アンモニウム塩等が挙げられ、なかでもアルカリ金属塩が好ましい。
また、α−スルホ脂肪酸エステル塩には、副生成物としてα−スルホ脂肪酸塩が含まれている。
特に好ましいものは、R11が炭素数14〜16の直鎖もしくは分岐鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、R12はメチル基のものである。Mは対イオンを表す。
【0012】
(2)石鹸
本発明において使用できる石鹸としては、脂肪酸の平均炭素数が10〜20、好ましくは炭素数12〜18の高級脂肪酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはナトリウム又はカリウム塩が挙げられる。脂肪酸のアルキル基は1級であるのが好ましい。鎖長は、単一のものでも二種以上の混合物であってもどちらも好適に用いることが出来る。
(3)アルキルベンゼンスルホン酸塩
本発明において使用できるアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)が挙げられる。例えば、炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0013】
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩(AS)又はアルケニル硫酸塩
(5)炭素数10〜20のΑ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)
(6)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩
(7)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテル硫酸塩(AES)又はアルケニルエーテル硫酸塩
(8)炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド又はそれらの混合物を付加したアルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩
(9)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩等
【0014】
上記のアニオン界面活性剤のうち、本発明においては、(1)α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、(2)石鹸、および(3)アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0015】
本発明の粒状洗剤組成物におけるアニオン界面活性剤の配合量は、洗剤組成物全体を基準として好ましくは10〜30質量%であり、さらに好ましくは15〜25質量%である。10質量%以上とすることにより十分な洗浄力が得られる。また、30質量%以下とすることにより、良好な製造性、および流動性等の粉体物性が得られる。
【0016】
また、本発明に使用される成分(A)のアニオン界面活性剤は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、石鹸およびアルキルベンゼンスルホン酸塩の混合物であることが好ましい。さらに、本発明に使用されるアニオン界面活性剤は、アニオン界面活性剤の総質量を基準として、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を40〜60質量%、より好ましくは45〜55質量%、石鹸を20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%、およびアルキルベンゼンスルホン酸塩を10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%含むことが好ましい。上記のような混合物を使用することにより、良好な製造性、および良好な溶解性の粉体物性が得られる。
【0017】
本発明の粒状洗剤組成物は、成分(B)としてアミノ変性シリコーンを含む。本発明におけるアミノ変性シリコーンとしては特に限定はされず、当業者が任意のものを選択することができる。例えば、アミノ変性シリコーンは、一般にアミノ官能基を含む環状または直鎖状のシロキサンオリゴマーと、ジメチルサイクリックス(環状体)または直鎖状のジメチルシロキサンオリゴマーを、酸またはアルカリ系の触媒の存在下で再平衡化反応を行い、ランダム共重合体を合成することによって製造できる。この他、付加反応、縮合重合反応を用いて製造できる。本発明において、(B)成分のアミノ変性シリコーンは、1種または2種以上混合して用いてもよい。
【0018】
本発明の粒状洗剤組成物に使用できるアミノ変性シリコーンとしては、アモジメチコン(アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、(アミノエチルアミノプロピルメチコン・ジメチコン)コポリマー(アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、アミノプロピルジメチコン等が挙げられる。
また、市販されている商品として以下のものを使用することができる。
<オイルタイプ>
KF859(信越化学工業株式会社)
KF393(信越化学工業株式会社)
KF858(信越化学工業株式会社)
KF880(信越化学工業株式会社)
KF877(信越化学工業株式会社)
X-61-639A(信越化学工業株式会社)
X-61-689(信越化学工業株式会社)
SF8417(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−849(東レ・ダウコーニング社製)
BY16−850(東レ・ダウコーニング社製)
<エマルジョンタイプ>
PolonMF-14(信越化学工業株式会社)
PolonMF-14D(信越化学工業株式会社)
PolonMF-14EC(信越化学工業株式会社)
PolonMF-29(信越化学工業株式会社)
PolonMF-39(信越化学工業株式会社)
PolonMF-44(信越化学工業株式会社)
PolonMF-52(信越化学工業株式会社)
PolonMF-57(信越化学工業株式会社)
X-51-1157(信越化学工業株式会社)
SM8702(東レ・ダウコーニング社製)
SM8704(東レ・ダウコーニング社製)
SM8709(東レ・ダウコーニング社製)
BY-22 819(東レ・ダウコーニング社製)
【0019】
本発明の粒状洗剤組成物におけるアミノ変性シリコーンの配合量は、粒状洗剤組成物全体を基準として好ましくは0.05〜3質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%、最も好ましくは、0.5〜1.5質量%である。0.05質量%以上とすることにより、繊維に十分な柔軟性を付与することができる。また、3質量%以下とすることにより、ぬめりを抑制することができる。
【0020】
本発明の粒状洗剤組成物は、成分(C)としてカルボキシメチルセルロースまたはその塩を含む。本発明におけるカルボキシメチルセルロースまたはその塩としては特に限定はされず、当業者が任意のものを選択することができるが、例えば、パルプを原料として、これを苛性ソーダで処理した後、モノクロール酢酸を反応させて得られるカルボキシメチルセルロースエーテルが好適に挙げられる。
本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量は10万以上、好ましくは30万以上、より好ましくは80万以上である。上限値としては、120万以下である事が好ましい。該範囲の下限以上、特に30万以上とすることにより、ぬめりの無さを顕著に向上させることができる。特に、80万以上であることにより、ぬめりの無さがさらに向上する。一方、上限値以下であれば、カルボキシメチルセルロース成分自身の溶解性がより良好となる。
なお、本発明において、カルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)−示差屈折率検出装置(RI)システムにより測定することが可能であり、溶離液:0.1M NaNO3 、流速:1ml/min、試料:0.02〜0.3重量% 溶媒は0.1M NaNO3 、注入量:200μlの操作条件において、重量平均分子量をPEG換算の数値として算出した値を意味する。なお、上記の測定には、装置として、例えば送液ポンプ:Shodex DS−4(昭和電工製)、デガッサー:ERC3115(ERC社製)、カラム:Shodex SB−806MHQ(昭和電工製)、示差屈折率検出器:Shodex RI−71(昭和電工製)などを使用することができる。
【0021】
また、カルボキシメチルセルロースまたはその塩のエーテル化度は、特に限定されるものではない。ここで、エーテル化度とは、グルコース環単位当たり、カルボキシメチル基又はその塩で置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつがカルボキシメチル基又はその塩により置換されたかを示すもので、最大3となる。)を示す。
【0022】

(式中R1-3は、それぞれ独立して水素原子、またはカルボキシメチル基(CH2COOH)またはその塩を示す。)
カルボキシメチルセルロースの塩型としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが例示でき、これらの塩の混合物であってもよい。カルボキシメチルセルロースとしては、通常、カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩が使用される。
【0023】
本発明に好適に使用されるカルボキシメチルセルロースとしては、例えば、ダイセル化学工業(株)から商品名「CMCダイセル」で販売されている、1110、1120、1130、1140、1160、1180、1190、1220、1240、1260、1280、1290、1380、2200、2260、2280、2450、2340等が挙げられ、日本製紙ケミカル(株)から商品名「サンローズ」で販売されているF10LC、F600LC、F1400LC、F10MC、F150MC、F350HC、F1400MC、F1400MGなどのサンローズFシリーズ、A02SH、A20SH、A200SHなどのサンローズAシリーズ、SLD-F1(以上商品名)が挙げられる。上記の中でも、CMCダイセル1130、1180、1190、1280、サンローズF1400LC、F1400MC、サンローズ SLD-F1が特に好ましい。
また、本発明において、(C)成分のカルボキシメチルセルロースは、1種または2種以上混合して用いる事ができる。(C)成分のカルボキシメチルセルロースの含有量は、本発明の粒状洗剤組成物全体を基準として、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは、0.2〜3質量%、最も好ましくは、1%〜2質量%である。上記の範囲とすることにより、粒状洗剤組成物の柔軟効果に悪影響を及ぼすことなく、十分なぬめり抑制効果を得ることができる。
【0024】
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、一般に用いられている製造方法により製造可能である。該粒状洗剤組成物が粉末形態である場合を例に説明すると、たとえば、界面活性剤や他の原料を水に分散・溶解し噴霧乾燥する方法や、捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供して、捏和や造粒、圧縮成形等を施し、さらに必要に応じて粉砕等する方法により製造することができる。
【0025】
その他の成分
本発明の粒状洗剤組成物には、上記成分の他に、さらに、必要に応じて以下の任意成分を配合することができる。
<ノニオン界面活性剤>
本発明において用いることのできるノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
1CO(OA)nOR2 (I)
(式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
上記のノニオン界面活性剤の中でも、上述した(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、特に、炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
また、本発明における融点とは、JISK0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
【0026】
<洗浄性ビルダー>
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダーおよび有機ビルダーが挙げられる。
無機ビルダーとしては、たとえば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸ナトリウム[たとえば、クラリアントジャパン社製の商品名「Na−SKS−6」(δ−Na2O・2SiO2)等の結晶性アルカリ金属珪酸塩]、非晶質アルカリ金属珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(たとえば、Rhodia社の商品名「NABION15」)等が挙げられる。
上記無機ビルダーの中でも、炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩、または溶解性向上の効果を併せ持つものとしてカリウム塩(炭酸カリウム、硫酸カリウム等)もしくはアルカリ金属塩化物(塩化カリウム、塩化ナトリウム等)が好ましい。
【0027】
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合でき、平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。粒状洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、1〜40質量%が好ましく、洗浄性能および流動性等の粉体物性の点から2〜30質量%が特に好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、その含有量は、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物中に、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15重量%である。
【0028】
有機ビルダーとしては、たとえばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノまたはジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体または共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体または共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、多糖類誘導体等が挙げられる。
【0029】
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(たとえば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
有機ビルダーの含有量は、粒状洗剤組成物中、1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記洗浄性ビルダーの中でも、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用することが好ましい。
粒状洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は、充分な洗浄性能を付与する点から、10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。
【0030】
<蛍光増白剤>
蛍光増白剤としては、たとえば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
上記蛍光増白剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
市販品として具体的には、ホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品;住友化学(株)製);チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);LemoniteCBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals製)等が好適なものとして挙げられる。なかでも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0031】
<酵素>
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、およびイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。
なかでも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
プロテアーゼの具体例としては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼAまたはB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼAまたはB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工(株)製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14またはK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
エステラーゼの具体例としては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼの具体例としては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工(株)製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、たとえば市販品のセルザイム(商品名、ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、およびアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては市販のターマミル、デュラミル(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
上記酵素は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0032】
<酵素安定剤>
酵素安定剤としては、たとえばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。なかでも、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0033】
<ポリマー類>
本発明の粒状洗剤組成物においては、粒状洗剤組成物粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、または疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸および/またはマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコールを配合できる。また、カルボキシメチルセルロース以外のセルロース誘導体等を配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコールおよび/またはプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、またはターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
かかるポリマー類は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の上記ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0034】
<ケーキング防止剤>
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0035】
<消泡剤>
消泡剤としては、従来公知の、たとえばシリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記消泡剤造粒物として用いてもよい。
[消泡剤造粒物の製造方法]
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加し混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、および中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
【0036】
<還元剤>
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0037】
<金属イオン捕捉剤>
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体またはその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類またはその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粒状洗剤組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。0.1質量%以上であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。一方、5質量%以下であれば、金属イオンを捕捉する効果が充分に得られる。
【0038】
<pH調整剤>
本発明の粒状洗剤組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
粒状洗剤組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
具体的には、たとえば、水への溶解性およびアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、粒状洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、またはそれらのポリカルボン酸、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0039】
<香料>
本発明における香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物(香料組成物)である。
かかる香料としては、たとえば特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
粒状洗剤組成物中の香料の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0040】
<色素>
本発明においては、粒状洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。なかでも、保存安定性の点から顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、たとえば酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
表1に示す組成にしたがって、下記に示す調製方法により、粒状洗剤組成物を調製した。次いで、調製した粒状洗剤組成物を洗濯に使用し、被洗布の洗浄性能および風合いの評価を行った。下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%を示す。
【0042】
実施例1〜12、比較例1〜6
(洗剤組成物の調製)
工程(A)
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにMESと, ノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)を添加した。さらに10分間撹拌した後、粉末A型ゼオライトの一部、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径320μm、嵩密度0.30g/cm3、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0043】
工程(B)
MESの水性スラリー(水分濃度25%)に、ノニオン界面活性剤の一部(MESに対して25%)を添加し、水分を11%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、MESとAES、ノニオン界面活性剤の混合濃縮物を得た。
工程(A)で得た噴霧乾燥粒子、この混合濃縮物、2.0部のA型ゼオライト、1.0部の噴霧添加用(ノニオン界面活性剤Aとノニオン界面活性剤Bを混合したものの1.0部)を除く残りのノニオン界面活性剤、蛍光増白剤及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/hr、温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6%の混合物を得た。
【0044】
工程(C)
工程(B)で得た混合物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレットを得た。
次いで、得られたペレットに粉砕助剤としての粒子状A型ゼオライト(平均粒子径180μm)を5.0部添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)。
【0045】
後処理
上記得られた粉末と被覆無機粒子、亜硫酸ナトリウム、CMCを、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、1.5部の微粉A型ゼオライトを加え、1.0部のノニオン界面活性剤とアミノ変性シリコーンの混合物と、香料を噴霧しつつ、1分間転動し表面改質して粒子を得た。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、上記で得られた粒子と、漂白活性化剤造粒物及び酵素を添加し、5分間混合し洗剤組成物を得た。
【0046】
(洗浄性能評価)
米国Testing社のTerg−O−tometerを洗浄試験器として用い、湿式人工汚染布(洗濯科学協会より購入)10枚(2g)と洗浄メリヤス布(28g)を入れ(浴比30倍)、洗剤濃度0.067%の洗浄液にて、120rpm、20℃で10分間洗浄した。水は4゜DHのものを用い、洗浄液量は900mLであり、すすぎは900mLの水で3分間洗った。すすいだ後、評価布を乾燥させ、下式によって洗浄率を算出して下記に示す評価基準を設定し、◎◎、◎及び○を合格とした。式中、Rは日本電色製の色彩計Σ−9000を用いて測定される反射率である。反射率は460nmフィルターを使用して測定した。洗浄率の評価は試験布10枚の平均値で行った。
【0047】

【0048】
<評価基準>
◎◎ : 80%以上
◎ : 75%以上80%未満
○ : 70%以上75%未満
△ : 65%以上70%未満
× : 65%未満
【0049】
[風合い(「柔らかさ」と「ぬめり感の無さ」)の評価]
綿タオルへの風合いについて、上記各例の粒状洗剤組成物により前記洗浄処理を施した綿タオルと、各例の粒状洗剤組成物の代わりに標準洗剤組成物(比較例CMC及びアミノ変性シリコーンが配合されていない組成を標準洗剤組成物とする。)により前記洗浄処理を施した綿タオルの、洗いあがりの風合いについて、一対比較を専門パネラー10人によって行った。
柔らかさの評価は、比較する一対の布の「柔らかさ」にはっきりと差がある場合、「柔らかさ」が高い方の布に+2点、低い方の布に−2点を与え;やや差がある場合、「柔らかさ」がやや高い方の布に+1点、やや低い方の布に−1点を与え;全く差がなければ両者に0点を与えた。そして、10人の合計点を求め、下記基準に基づいて綿布への柔軟性付与効果を評価した。
(評価基準)
◎◎:16〜20点。
◎:11〜15点。
○:6〜10点。
△:1〜5点。
×:0点以下。
【0050】
ぬめり感の無さの評価は、柔らかさの評価時に絶対評価で、「ぬめり感をまったく感じない」を4点、「僅かに感じるが気にならない」を3点、「少し気になる」を2点、「気になる」を1点として判定した。その合計点を下記基準で評価した。
◎ 37〜40点
○ 30〜36点
△ 20〜29点
× 10〜19点
【0051】
【表1】

【0052】
表1における各成分の詳細は以下の通りである。
・MES−Na(C1618):パーム油を、メチルアルコールでエステル交換して得られた脂肪酸エステルを分留し、C16脂肪酸エステル留分とC18脂肪酸エステル留分とを質量比で80:20に混合し、流下型薄膜反応器にて、窒素ガスにより希釈したSO3ガスで反応モル比(SO3/脂肪酸エステル)=1.2、反応温度80℃の条件にてスルホン化した。次いで、α−スルホ脂肪酸メチルエステル100質量部に対して、メタノール30質量部を導入した後、35質量%過酸化水素8.6質量部を導入して、80℃で60分間漂白を行った。この漂白されたα−スルホ脂肪酸メチルエステルを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、中和温度40〜70℃で、pH=7となるように中和した。次いで、過剰のメタノールを減圧下で除去してMES−Naの水性スラリーを得た。
MES−Na分66質量%、水分27質量%であった。残余は、少量の副生物のα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩、未反応の脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素等を含むものであった。
【0053】
・MES−Na(C1416):パーム油を、メチルアルコールでエステル交換して得られた脂肪酸エステルを分留し、C14脂肪酸エステル留分とC16脂肪酸エステル留分とを質量比で18:82に混合し、流下型薄膜反応器にて、窒素ガスにより希釈したSO3ガスで反応モル比(SO3/脂肪酸エステル)=1.2、反応温度80℃の条件にてスルホン化した。次いで、α−スルホ脂肪酸メチルエステル100質量部に対して、メタノール30質量部を導入した後、35質量%過酸化水素8.6質量部を導入して、80℃で60分間漂白を行った。この漂白されたα−スルホ脂肪酸メチルエステルを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、中和温度40〜70℃で、pH=7となるように中和した。次いで、過剰のメタノールを減圧下で除去してMES−Naの水性スラリーを得た。
MES−Na分66質量%、水分27質量%であった。残余は、少量の副生物のα−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩、未反応の脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素等を含むものであった。
【0054】
・石鹸
炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン(株)製 :純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:炭素数12:11.7%、炭素数14:0.4%、炭素数16:29.2%、炭素数18F0*(ステアリン酸):0.7%、C18F1(*オレイン酸):56.8%、炭素数18F2*(リノール酸):1.2%、分子量:289、実施例の配合量は純分として標記)*F0、F1、F2とは脂肪酸中の二重結合の数である。
【0055】
・LAS-Na
直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン(株)製、ライポンLH−200(LAS−H 純分96質量%)]を、界面活性剤組成物の調製時に48質量%水酸化ナトリウム水溶で中和した化合物と、前記水酸化ナトリウムにて中和する代わりに、48質量%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物を質量比2:1で混合したもの。表中の配合量は、これら混合物としての値(質量%)を示す。
【0056】
・カルボキシメチルセルロース
(i) ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1130、推定分子量30万、エーテル化度0.70
(ii) 日本製紙ケミカル(株)製、サンローズF10LC、推定分子量13万、エーテル化度0.60
(iii) 日本製紙ケミカル(株)製、サンローズ SLD-F1、推定分子量30万、エーテル化度0.30
(iv) ダイセル化学工業(株)製、CMCダイセル1190、推定分子量82万、エーテル化度0.70
【0057】
・アミノ変性シリコーン
(i) KF859(信越工業株式会社): オイルタイプ
(ii) SF8417(東レ・ダウ コーニング・シリコーン 株式会社): オイルタイプ
(iii) SM8704(東レ・ダウ コーニング・シリコーン 株式会社):エマルジョンタイプ 純分40%、純分換算で配合した。
【0058】
・POEアルキルエーテル
ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90%) 純分換算で配合した。
・酵素:サビナーゼ12T(ノボザイムズ製)/LIPEX100T(ノボザイムズ製)/ステインザイム12T(ノボザイムズ製)=5/1/4(質量比)の混合物。
・ゼオライト:A型ゼオライト・シルトンB(商品名、水澤化学(株)製;純分80質量%)。 純分換算で配合した。
【0059】
・MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(商品名:アクアリックTL−400、日本触媒(株)製;純分40質量%水溶液) 純分換算で配合した。
・硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学工業(株)製)。
・炭酸Na:粒灰(旭硝子(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3)。
・亜硫酸Na:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)。
・炭酸K:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製;平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3)。
・香料:特開2002−146399号公報 [表11]〜[表18]に示す香料組成物A。
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)/チノパールAMS−GX(商品名、チバスペシャルティケミカルズ)=3/1(質量比)の混合物。
【0060】
・被覆炭酸Na粒子:以下に示す第1〜3工程で調製される、炭酸ナトリウム85質量%、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩3質量%、ラウリン酸7質量%、水、その他残部からなる表面処理無機粒子。
(第1工程)
鋤刃状ショベルを具備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株))に、炭酸ナトリウムを投入し(充填率30容積%)、主軸150rpmで撹拌を開始した(チョッパー回転数:1015rpm、ブレード先端速度(周速):6.9m/s)。撹拌開始後10秒後に、アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩水溶液を噴霧角115度の加圧ノズル(フラットノズル)で180秒間噴霧添加し、造粒・被覆操作を行った。
なお、第1工程で調製された粒子において、該粒子全量に対する水分量が10質量%を超えていた場合には、上記装置に熱風を導入して乾燥し、水分量を10質量%以下に調整した。
(第2工程)
引き続き、プローシェアーミキサーの撹拌を継続しつつ、ラウリン酸を噴霧角60度の加圧ノズル(フルコーンノズル)で180秒間噴霧添加し、被覆操作を行った。そして、引き続き、30秒間撹拌を続け、粒子を得た。
(第3工程)
次いで、得られた粒子を、流動層(製品名:Glatt−POWREX、型番FD−WRT−20、(株)パウレックス製)に充填し、充填後、15℃の風(空気)を流動層内に送り、粒子の冷却操作を行い、20℃まで冷却された粒子を得た。
流動層内風速は、流動化状態を確認しながら0.2〜10.0m/sの範囲で調整した。
得られた粒子を、目開き2000μmの篩を用いて分級し、目開き2000μmの篩を通過する表面処理無機粒子(被覆炭酸Na粒子)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン界面活性剤
(B)アミノ変性シリコーン
(C)カルボキシメチルセルロースまたはその塩
を含む、粒状洗剤組成物。
【請求項2】
全組成物を基準として、成分(A)のアニオン界面活性剤を10〜30質量%、成分(B)のアミノ変性シリコーンを0.1〜2.0質量%、成分(C)のカルボキシメチルセルロースまたはその塩を0.2〜3.0質量%含む、請求項1記載の粒状洗剤組成物。
【請求項3】
成分(C)のカルボキシメチルセルロースまたはその塩の重量平均分子量が30万以上である、請求項1または2記載の粒状洗剤組成物。
【請求項4】
成分(A)のアニオン界面活性剤が、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、石鹸およびアルキルベンゼンスルホン酸塩の混合物である、請求項1から3のいずれか1項記載の粒状洗剤組成物。
【請求項5】
アニオン界面活性剤の総質量を基準として、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を40〜60質量%、石鹸を20〜40質量%、およびアルキルベンゼンスルホン酸塩を10〜30質量%含む、請求項4記載の粒状洗剤組成物。

【公開番号】特開2009−286830(P2009−286830A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137976(P2008−137976)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】