説明

粒状燃料の燃焼器

【課題】粒状の固形燃料を一度に投入し、少量ずつ完全燃焼させる粒状燃料の燃焼器を提供する。
【解決手段】燃料を燃焼空間の周囲に大量に投入してその内部に粒体の安息角19と崩壊角20の差角を利用して一定の燃焼空間21を作り、上部に多重管を設置し、内側の排気管9から燃焼ガスを煙突10に誘導し、排気管9の外側を給気管6として空気の加熱をすることにより、貯蔵燃料の過熱を防ぎ、乾燥を促進する。燃焼による燃料の減少に応じて燃料が自然に崩壊して揺動ロストル4を動かし、さらに供給する予熱空気の吹き出し口13と2次燃焼給気口8を傾けて旋回させて供給し、燃焼空間21の変形を防ぎ、一定の燃焼空間21が維持できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪やペレットなどの木質バイオマス燃料やRDF燃料、石炭など粒状及びブロック状の燃料の燃焼器に関し、燃料補充間隔時間の長い粒状燃料の燃焼器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薪など固体燃料の燃焼器は特許文献1にあるようにロストルの上に燃料を堆積し、燃料の消費量に合わせて燃料を補充して長時間運転をしている。また発生する灰も定時的にロストルを振動させて分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−40542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料を常時補充したり、灰を落したりするために、常に人力あるいは電力などで定期的に処置が必要で、運転するために設置条件を整える必要がある。また燃料を自動補充する場合、木材をペレット化あるいはチップ化など定型加工する必要があるなどの問題があった。また燃料の補充ごとに燃焼条件が変動し排気ガスに未燃焼ガスなどが排出される可能性がある。また、固体の燃料を使用する燃焼器は、燃料を一度に投入すると、燃料が加熱される為一度に燃焼し熱出力の変動が大きい。また灰の蓄積により燃焼空間の減少、空気供給の減少により燃焼継続が困難となる。また、これらの燃焼器に木質系バイオマス燃料など燃焼に伴い水分や水蒸気を大量に発生する燃料を使用しようとする場合、粒状燃料の燃焼密閉容器からの放熱を多くすると粒状燃料の燃焼密閉容器の内部で、水蒸気が冷やされる結果に起因して容器内部の内壁に結露が多くなり、燃焼の安定に影響を及ぼす問題も発生する恐れがあった。この発明は前記した各問題を解決し、粒状の固形燃料を一度に投入し、少量ずつ完全燃焼させる粒状燃料の燃焼器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために第1に、密閉容器1の上部に燃料供給口2を設け、上下中間部に燃料貯蔵室3を配し、該燃料貯蔵室下部に流板からなる底板1aと、該底板の底孔部に位置して天秤状又は、やじろべえ状に揺動する揺動ロストル4を設け、該揺動ロストルの下部に灰溜室5を備えた燃焼器において、前記揺動ロストル4の上方に臨ませて燃焼用の給排気部を配するのに、底孔部に対向して流れる給気管6を外側に排気管9を内側に構成した多重管で行ない、前記揺動ロストル上に供給される粒状燃料に排気管9に接続された煙突10の吸引力Fを利用して給気管6から外部空気を吸入して給気して燃焼させ、燃焼に伴う燃焼ガスを排気管9を介して煙突10から排出することを特徴としている。
【0006】
第2に、粒状の燃料を燃料貯蔵室3に充填し、燃焼空間21を粒状燃料の安息角19と燃焼に伴う崩壊角20の差角を利用して揺動ロストル4と対向した給排気口7の間に作り、燃焼による燃料の減少に伴い崩壊角20に達すると、燃料が崩壊し安息角19に達して安定することにより燃焼空間21を確保しながら燃料消費に応じて自然に燃料を燃焼空間21に崩落供給することを特徴としている。
【0007】
第3に、給排気管の燃焼空間21に面する給排気口7は、給排気口の底面視においてその中央に排気口14を設け、該排気口14の周囲の給気管出口に接続させて揺動ロストル4近くに予熱空気を吹き出す捻り型の給気口13を複数個配置して供給する空気を旋回させて吹き出すと共に、該排気口14の内部あるいは排気口近辺に揺動ロストル4より離れた上方位置に予熱空気を吹き出す2次燃焼給気口8を設けた構造として供給する空気を旋回させて吹き出すことにより燃焼空間21の形状を円形に保ち、粉塵の分離を促進することを特徴としている。
【0008】
揺動ロストル4は重心より高い位置に1点又は2点の天秤状支点17aを持ち、燃料の崩壊を受けてやじろべえ状または、シーソー状に揺れ動くことを特徴としている。
また、粒状燃料の燃焼密閉容器1からの熱放出を断熱材料で作るか又は、外側に断熱材料を張り、粒状燃料の燃焼密閉容器1と断熱材料の隙間に燃焼用空気を通して燃焼用空気を予熱する程度の熱放出に制限することにより粒状燃料の燃焼密閉容器1内部の結露を防止することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明の粒状燃料の燃焼器によれば、燃料の燃焼は燃焼空間21の下部で炭火22の無炎燃焼を促進し、中間部23で燃料の熱分解ガスを生成し、上部24で熱分解ガスを燃焼するようにするために、燃焼空間21の上部及び下部にそれぞれ予熱空気を供給することを特徴としている。これらにより、燃料を燃焼空間の周囲に大量に投入してその内部に粒体の安息角19と崩壊角20の差角を利用して一定の燃焼空間21を作り、上部に多重管を設置し、内側の排気管9から燃焼ガスを煙突10に誘導し、排気管9の外側を給気管6として空気の加熱をすることにより、貯蔵燃料25の過熱を防ぎ、乾燥を促進する。燃焼による燃料の減少に応じて燃料が自然に崩壊して揺動ロストル4を動かし、さらに供給する予熱空気の吹き出し口13および2次燃焼給気口8を傾けて旋回させて供給し、燃焼空間21の変形を防ぎ、一定の燃焼空間21が維持できるようにしたものである。
【0010】
これにより、密閉容器1の中で燃料を燃焼空間の周囲に大量に投入してその内部に粒体の安息角19と崩壊角20の差角を利用して一定の燃焼空間21を作り、燃焼空間21の上部に給排気口7がつながった多重管を設置し、内側の排気管9から燃焼ガスを煙突10に誘導し、排気管9の外側を給気管6として空気の加熱をすることにより、貯蔵燃料25の過熱、発火を防ぎ、乾燥を促進することができる。これらの給排気は煙突10の吸引力Fを利用することにより無動力で行える利点がある。
【0011】
そして、燃焼及び燃料の熱分解による燃料の体積の減少により燃焼空間21の周囲が崩壊角12に達すると燃料25が自然に崩壊して揺動ロストル4を動かし、一定量の燃焼を維持して、燃料の量に応じた時間、燃焼を継続できるようにした。
【0012】
供給する予熱空気の吹き出し口13を曲げて旋回させて供給し、燃焼空間21の変形を防ぎ、一定の燃焼空間21が維持できるようにした。また予熱空気が斜め下向きに吹き出し、燃焼ガスは中心部を旋風となって排気口に向かうことにより予熱空気と燃焼ガスの接触面及び滞留時間が多くなり完全燃焼できる。さらに燃料の油脂分が多い場合など酸素要求量が多い燃料の場合は2次燃焼給気口8aを開くことで完全燃焼させることができる。
【0013】
燃料が断熱材として機能することと、燃焼ガスを燃焼後すぐに燃料貯蔵室3から多重管で排出することにより耐熱部材が少量ですむため安価になる。
また、粒状燃料の燃焼密閉容器1を断熱材料で作るか又は、外側に断熱材料を張り、粒状燃料の燃焼密閉容器1と断熱材料の隙間に燃焼用空気を通して燃焼用空気を予熱する程度の熱放出に制限することにより、木質系バイオマス燃料の燃焼を促進し、燃焼密閉容器1内への結露を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の粒状燃料の燃焼器の側断面図
【図2】本発明の粒状燃料の燃焼器の燃焼中の状態を示す作用側断面図
【図3】本発明の給排気口を示す要部拡大断面図
【図4】本発明の給排気口を示す要部拡大底面図
【図5】本発明の角型1支点揺動ロストルの平面図
【図6】本発明の別例、丸型1支点揺動ロストルの平面図
【図7】本発明の更なる別例、角型2支点揺動ロストルの平面図
【図8】本発明の別例、崩壊角が小さいときの遥動ロストルと給排気口の断面図
【図9】本発明の応用例、木質系バイオマス燃料用粒状燃料の燃焼器の側面図
【図10】本発明の応用例、木質系バイオマス燃料用粒状燃料の燃焼器の平面図
【図11】本発明の応用例、木質系バイオマス燃料用粒状燃料の燃焼器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態について以下説明する。図1に示す様に箱状の密閉容器1の上部に開閉式の上蓋11とスライドシャッター式の下蓋12を設けた燃料供給口2を設け、上下中間部に薪やペレットなどの木質バイオマス燃料やRDF燃料、石炭など粒状及びブロック状の燃料を前記燃料供給口2から供給して収納する燃料貯蔵室3を配し、該燃料貯蔵室3の下部に流板からなる底板1aと、該底板1aの底孔部に位置して天秤状に揺動する揺動ロストル4を設け、該揺動ロストル4の下部に灰溜室5を備えている。
【0016】
このように構成した燃焼器において、同図1に示す様に前記揺動ロストル4の上方に臨ませて燃焼用の給排気部を配するのに、該揺動ロストル4の中央部に対向して流れる給気管6を外側に排気管9を内側に構成した多重管で行ない、前記揺動ロストル上に供給される粒状燃料に排気管9に接続された煙突10の吸引力Fを利用して給気調整シャッター15を介して給気管6から外部空気を吸入して給気して燃焼させ、燃焼に伴う燃焼ガスを排気管9、排気調整シャッター16を介して煙突から排出する構成としている。
【0017】
そして、図2に示す様に粒状の燃料を燃料貯蔵室3に充填し、図1に示す燃焼空間21を粒状燃料の安息角19と燃焼に伴う崩壊角20の差角を利用して揺動ロストル4と対向した給排気口7の間に作り、燃焼による燃料の減少に伴い崩壊角20に達すると、燃料が崩壊し安息角19に達して安定することにより燃焼空間21を確保しながら燃料消費に応じて自然に燃料を燃焼空間21に崩落供給することを特徴としている。
【0018】
また、図3に示す給排気管の燃焼空間21に面する給排気口7は、図4に示す給排気口14の底面図においてその中央に排気口14を設け、該排気口14の周囲の給気管出口に接続させて揺動ロストル4近くに予熱空気を吹き出す捻り型に傾いた給気口13を複数個配置して供給する空気を旋回させて吹き出すと共に、該排気口14の内部あるいは排気口近辺に揺動ロストル4より離れた上方位置に予熱空気を吹き出す2次燃焼給気口8を設けた構造として供給する空気を旋回させて吹き出すことにより燃焼空間21の形状を円形に保ち、粉塵の分離を促進する形態にしている。
【0019】
揺動ロストル4は図5又は図6に示す様に重心より高い位置に1点あるいは図7に示す様に2点の天秤状支点17aを持ち、燃料の崩壊を受けてやじろべえ状または、シーソー状に揺れ動くことを特徴としており、上記揺動ロストル4支点を支える棒状のロストル支持金物17は底板1aの下部に架橋状に取り付けられている。揺動ロストル4の下方には、灰出しトレー18を備えた灰溜室5が配置されている。
【0020】
次にこの燃焼器の使い方、燃焼作用について説明する。図2に示す様に粒状燃料の燃焼器の上部中央に燃料供給口2を備え、2重ふたとして燃料供給口2の内部にいったん粒状燃料をためて上ふた11をして下ふた12を引き抜いて燃料貯蔵室3に貯留し、燃焼運転中は上ふた11、下ふた12の両方又は、いずれかを必ず閉めて運転する。これにより煙突10の吸引力Fが働き、密閉容器1内の加温空気や煙が外部に漏出しないようにして密閉容器1内の温度が下がらないように配慮してある。
【0021】
着火の運転開始は、粒状の燃料25を燃料貯蔵室3に充填できたら灰出しトレー18を引き出して灰溜室5より臨ませて、揺動ロストル4の下からバーナー点火又は松明燃焼などの方法で点火し、着火完了後に灰出しトレー18を閉めて燃焼運転に移る。
【0022】
燃焼運転中は煙突10の排気調整シャッター16を開放し排気口10aを全開にし、給気調整シャッター15で給気口6aの開口面積を変化させ給気量を加減して熱量調整をする。このように運転することで煙突10の吸引力Fを利用することにより無動力であっても、常に粒状燃料の燃焼器の内部が負圧となり不完全燃焼ガスや煙の漏洩を防ぐことができる。
【0023】
使用する熱量に合わせて粒状燃料の燃焼器の要部となる燃焼空間21の大きさを調整する必要がある。その方法は使用する熱量が多い場合は、給排気口7と揺動ロストル4の間隔(燃焼空間21)を広く、使用する熱量が少ない場合は給排気口7と揺動ロストル4の間隔(燃焼空間21)を狭く調整する。このようにするには給排気口7の上下位置を揺動ロストル4に対して移動固定自在になるように構成する。
【0024】
煙突10の下方に設けられた差込式の排気調整シャッター16は運転中は常に開放し、給気管6の入り口側に設けた回動式の給気調整シャッター15の開口面積の加減調節により、燃焼部の熱出力の調整を行い、運転を停止するときは両方のシャッターを閉じる。
【0025】
薪やペレットなどの木質バイオマス燃料やRDF燃料、石炭など粒状及びブロック状の燃料は各種のものを用いることができる。その際、使用する燃料に合わせて粒状燃料の燃焼器の要部となる燃焼空間21を調整する必要がある。その関係は使用する含水率が高く燃料を乾燥させながら使用する場合は、給排気口7を揺動ロストル4に対して小さくし、揺動ロストル4の間隔を広く調整する。またよく乾燥した粒のそろった燃料を使用する場合は給排気口7を大きくし、揺動ロストル4の間隔を狭く調整する。
【0026】
ペレットやRDFなどの転がりやすい燃料(崩壊核が小さい)燃料は、図8にあるように給排気口を大きくし、底板の勾配がゆるい遥動ロストルを使用し、熱量の高いペレットやプラスチック含有量の多いRDFを燃焼させるときは給排気口と揺動ロストルの間隔を狭くする。(一点鎖線は生木燃焼用を示す)
【0027】
物理現象を利用して燃料を供給するため、使用する燃料の形状は一定のものが望ましい。また、設計より大粒のブロック状の燃料を使用すると発熱量の変動が大きくなるため、割って使用する。割り木の場合でも燃焼空間21から漏れた熱で燃料の乾燥、軽度の炭化などにより収縮するため棚つり現象は認められない。
【0028】
本発明の粒状燃料の燃焼器によれば、図2に示す様に燃料の燃焼は燃焼空間21の下部で炭火22の無炎燃焼(おき火)を促進し、中間部で燃焼燃料23とし燃料の燃焼を促進して熱分解ガスを生成し、上部のガス燃焼空間24で熱分解ガスを燃焼するようにするために、図1に示す燃焼空間21の上部及び下部にそれぞれ予熱空気を供給する構成にして効率的な燃焼を図るものである。これらにより、燃料を燃料貯蔵室3および燃焼空間の周囲に大量に投入してその内部に粒体の安息角19と崩壊角20の差角を利用して一定の燃焼空間21を作り、上部に多重管を設置し、内側の排気管9から燃焼ガスを煙突10に誘導し、排気管9の外側を給気管6として給気される空気の加熱をすることにより燃焼空間21における燃料の燃焼効率の促進を図り、且つ燃料貯蔵室3における貯蔵燃料の類焼に至るほどの過熱を防ぎながら乾燥を促進する。未燃焼の燃料が燃焼空間21の入り口付近で半炭化され且つ燃焼による燃料の減少に応じて燃料が自然に崩壊して、これに起因する重量バランスの崩れにより自然的に揺動ロストル4を動かし、さらに供給する予熱空気の吹き出し口13を傾けて旋回させて供給し、燃焼空間21の変形を防ぎ、一定の燃焼空間21が維持できるようにしたものである。
【0029】
これにより、密閉容器1の中で燃料を燃焼空間の周囲に大量に投入してその内部に粒体の安息角19と崩壊角20の差角を利用して一定の燃焼空間21を作り、燃焼空間21の上部に給排気口7がつながった多重管を設置し、煙突10の吸引力を利用して内側の排気管9から燃焼ガスを煙突10に誘導し、排気管9の外側を給気管6として空気の加熱をすることにより、貯蔵燃料25の過熱、発火を防ぎ、乾燥を促進することができる。これらの給排気は煙突の吸引力を利用することにより無動力で行える利点がある。
【0030】
そして、燃焼及び燃料の熱分解による燃料の体積の減少により燃焼空間21の周囲が崩壊角12に達すると燃料25が自然に崩壊して揺動ロストル4を動かし、一定量の燃焼を維持して、燃料の量に応じた時間、燃焼を継続できるようにした。
【0031】
また、供給する予熱空気の吹き出し口13及び2次燃焼給気口8を一定方向に捻り曲げることにより、吹き出し空気を旋回させて供給し、燃焼空間21の変形を防ぎ、円形状の一定の燃焼空間21が維持できるようにした。また予熱空気が斜め下向きに吹き出し、燃焼ガスは中心部を旋風となって排気口に向かうことにより予熱空気と燃焼ガスの接触面及び滞留時間が多くなり完全燃焼できる。さらに燃料の油脂分が多い場合など酸素要求量が多い燃料の場合は2次燃焼給気口8aを開くことで完全燃焼させることができる。
【0032】
燃料が断熱材として機能することと、燃焼ガスを燃焼後すぐに燃料貯蔵室3から多重管で排出することにより耐熱部材が少量ですむため安価になる。
これらにより、粒状の燃料を燃料貯蔵室3に充填し、燃焼空間21を粒状燃料の安息角19と燃焼に伴う崩壊角20の差角を利用して揺動ロストル4と対向した給排気口7の間に作り、燃焼による燃料の減少に伴い崩壊角20に達すると、燃料が崩壊し安息角19に達して安定することにより燃焼空間21を確保しながら燃料消費に応じて自然に燃料を燃焼空間21に崩落供給することを特徴としている。
【0033】
給排気管の燃焼空間21に面する給排気口7は、図4に示す給排気口の底面図においてその中央に排気口14を設け、該排気口14の周囲の給気管出口に接続させて揺動ロストル4近くに予熱空気を吹き出す捻り型に傾いた給気口13を複数個配置して供給する空気を旋回させて吹き出すと共に、該排気口14の内部あるいは排気口近辺に揺動ロストル4より離れた上方位置に予熱空気を吹き出す2次燃焼給気口8を設けた構造として供給する空気を旋回させて吹き出すことにより燃焼空間21の形状を円形に保ち、粉塵の分離を促進する形態にしている。
これらにより、本発明の燃焼器は、燃料補充間隔時間の長い粒状燃料の燃焼器として提供できるものである。
【0034】
次ぎに、図9〜図11に示す実施態様に基づいて、本発明の応用例、木質系バイオマス燃料用粒状燃料の燃焼器を説明する。
基本的な構造は、図1〜図10と同じであり、図1〜図10と変更された点の構造を説明する。流板からなる底板1aの底孔が図10、図11に示されるように図の左側に偏寄して設けられており、ここに揺動ロストル4が配設される。そして給気管6と排気管9が斜め姿勢に配置されている。この構成により給気管6と排気管9の左側下方のデッドスペースが少なくなり燃料の供給を円滑にし、かつ給気管6と排気管9の斜め姿勢により煙突10の吸引力ロスが少なくなり、揺動ロストル4上方付近の燃料の燃焼を促進させる。符号26は、燃焼器密閉容器1の外側に外気導入する隙間を設けた導通路となす燃焼空気流入スリット27を介して張られた断熱外装板であり、該断熱外装板26は箱型形態に形成されていて、適宜箇所に複数の給気口29が穿設されている。そして、煙突10の吸引力により給気口29から給気される空気が、燃焼空気流入スリット27を通過する間に燃焼器密閉容器1で熱せられて温風となり給気管6を経て揺動ロストル4の上方に至り燃料の燃焼を促進する。また燃焼器密閉容器1の外側には、燃焼空気流入スリット27と断熱外装板26が存在するので、燃焼器密閉容器1が外気などの影響を受けて冷やされることがなく、したがって、燃焼時に水分や水蒸気などを発生しやすい木質系バイオマス燃料を燃やしても、粒状燃料の燃焼密閉容器1からの熱放出を断熱材料で作るか又は、外側に断熱材料を張り、粒状燃料の燃焼密閉容器1と断熱材料の隙間に燃焼用空気を通して燃焼用空気を予熱する程度の熱放出に制限することとなっているので、粒状燃料の燃焼に伴う密閉容器1内部の結露を防止することができる。よってこれらの構成で木質系バイオマス燃料の燃焼を促進し、燃焼密閉容器1内への結露を防止する利点がある。
なお、符号28は煙突10の下方に設けられた熱交換器であり、例えば温水発生用の水道パイプなどが設けられて温水ボイラーの熱源などに利用されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この粒状燃料の燃焼器は小規模、長時間運転用熱源として、農業用加温設備、小型外燃機関の熱源、浴場の加温設備など小出力長時間運転する熱源に利用しやすい。
RDF燃料を使用した場合、予熱空気を供給するため800℃以上の温度に上げやすい
ためダイオキシンを発生しない運転が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 粒状燃料の燃焼器密閉容器
2 燃料供給口
3 燃料貯蔵室
4 揺動ロストル
5 灰溜室
6 給気管
7 給排気口
8 2次燃焼給気口
9 排気管
10 煙突
11 上ふた
12 下ふた
13 予熱空気吹き出し口
14 排気口
15 給気調整シャッター
16 排気調整シャッター
17 ロストル支持金物
18 灰出しトレー
19 安息角
20 崩壊角
21 燃焼空間
22 炭火(おき火)
23 燃焼燃料
24 ガス燃焼空間
25 貯蔵燃料
26 断熱外装板
27 燃焼空気流入スリット
28 熱交換器
29 給気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器1の上部に燃料供給口2を設け、上下中間部に燃料貯蔵室3を配し、該燃料貯蔵室下部に流板からなる底板1aと、該底板の底孔部に位置してシーソー状又は、やじろべえ状に揺動する揺動ロストル4を設け、該揺動ロストルの下部に灰溜室5を備えた燃焼器において、前記揺動ロストル4の上方に臨ませて燃焼用の給排気口を配するのに、底孔部に対向して流れる給気管6を外側に排気管9を内側に構成した多重管で行ない、前記揺動ロストル上に供給される粒状燃料に排気管9に接続された煙突10の吸引力Fを利用して給気管6から外部空気を吸入して給気して燃焼させ、燃焼に伴う燃焼ガスを排気管9を介して煙突10から排出することを特徴としている粒状燃料の燃焼器。
【請求項2】
粒状の燃料を燃料貯蔵室3に充填し、燃焼空間21を粒状燃料の安息角19と燃焼に伴う崩壊角20の差角を利用して揺動ロストル4と対向した給排気口7の間に作り、燃焼による燃料の減少に伴い崩壊角20に達すると、燃料が崩壊し安息角19に達して安定することにより燃焼空間21を確保しながら燃料消費に応じて自然に燃料を燃焼空間21に崩落供給することを特徴としている請求項1に記載された粒状燃料の燃焼器。
【請求項3】
給排気管の燃焼空間21に面する給排気口7は、給排気口の底面視においてその中央に排気口14を設け、該排気口14の周囲の給気管出口に接続させて揺動ロストル4近くに予熱空気を吹き出す捻り型の給気口13を複数個配置して供給する空気を旋回させて吹き出すと共に、該排気口14の内部あるいは排気口近辺に揺動ロストル4より離れた上方位置に予熱空気を吹き出す2次燃焼給気口8を設けた構造として供給する空気を旋回させて吹き出すことにより燃焼空間21の形状を円形に保ち、粉塵の分離を促進することを特徴としている請求項1、請求項2のいずれかに記載された粒状燃料の燃焼器。
【請求項4】
揺動ロストル4は重心より高い位置に1点又は2点の天秤状支点17aを持ち、燃料の崩壊を受けてやじろべえ状または、シーソー状に揺れ動くことを特徴としている請求項1、請求項2のいずれかに記載された粒状燃料の燃焼器。
【請求項5】
粒状燃料の燃焼密閉容器1からの熱放出を断熱材料で作るか又は、外側に断熱材料を張り、粒状燃料の燃焼密閉容器1と断熱材料の隙間に燃焼用空気を通して燃焼用空気を予熱する程度の熱放出に制限することにより粒状燃料の燃焼密閉容器1内部の結露を防止することを特徴としている請求項1、請求項2のいずれかに記載された粒状燃料の燃焼器。

【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−133697(P2010−133697A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254644(P2009−254644)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(504129995)
【Fターム(参考)】