説明

粒状物収納容器

【課題】部品点数の増加を伴うことなく、すっきりとした外観印象を与え、更に操作性の良好な、新規な粒状物収納容器を提供する。
【解決手段】円形の底壁2の周方向に沿って環状の周壁3が設けられた容器本体1と、当該容器本体1の内側に複数の粒状物Cの収納空間R1を形成する蓋体7とを有するタブレット容器である。容器本体1の周壁3の一部3aを、ヒンジ3hを介して回動可能な可動周壁4aに構成すると共に、可動周壁4aの内側に、空間R1内の粒状物Cを載置する底壁4bと、底壁4bから一体に起立して粒状物Cの取出室R2を区画する2つの側壁4c,4dを設け、粒状物Cの取出部4を形成し、取出部4を開くときに、固定周壁3bの周方向端縁3eに引っ掛けて取出部4の抜けを阻止するストッパ部4sを設けた。容器本体1の底壁2に、当該底壁2から一体に起立してストッパ部4sが摺動可能に接触する側面5aを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の粒状物を収納して、その取り出しが可能な粒状物収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粒状物収納容器としては、容器本体に、収納空間に通じる取出口を形成し、この取出口を蓋体によって開閉するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の粒状物収納容器は、容器本体の天壁に取出口を形成したため、蓋体が強調されることで、容器の外観形状に対して煩雑な印象を与える場合がある。この印象は、蓋体を容器本体に回転可能に装着した場合に顕著である。
【0005】
また、従来の粒状物収納容器によれば、蓋体を容器本体と別体に構成して取り外し可能に構成することも可能であるが、操作性や部品点数の点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的とするところは、部品点数の増加を伴うことなく、すっきりとした外観印象を与え、更に操作性の良好な、新規な粒状物収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円形の底壁の周方向に沿って環状の周壁が設けられた容器本体と、当該容器本体の内側に複数の粒状物の収納空間を形成する蓋体とを有する粒状物収納容器であって、容器本体の周壁の一部を、ヒンジを介して回動可能な可動周壁に構成すると共に、当該可動周壁の内側に、収納空間内の粒状物を載置する底壁と、当該底壁から一体に起立して粒状物の取出室を区画する2つの側壁とで構成された、粒状物の取出部を有し、当該取出部の最外側側壁の先端部に、取出部を開くときに、容器本体の固定周壁の周方向端縁に引っ掛かって取出部の抜けを阻止するストッパ部が設けられ、更に、容器本体の底壁に、当該底壁から一体に起立して前記ストッパ部が摺動可能に接触する側面を形成し取出部を開閉方向に案内する案内壁が設けられていると共に、当該案内壁に、取出部を閉じるときに、取出部の最外側側壁の先端部が突き当たって当該取出部の押し込みを阻止するストッパ部が設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、容器本体の固定周壁の周方向端縁を膨出部として構成することができる。
【0009】
また、前記取出部には、把手部を設けることが好ましい。
【0010】
更に、本発明によれば、前記案内壁の側面に、前記取出部を閉じるときに、当該取出部の突起部が乗り越えることで、当該取出部の開きを規制する位置決め部を設けることができる。加えて、前記案内壁の側面に、前記取出部を開くときに、前記取出部の突起部が乗り越えることで、当該取出部の閉じを規制する位置決め部を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器本体の周壁の一部を、ヒンジを介して回動可能にすることで、粒状物の取出部を構成したことから、容器本体と取出部を一体化させることができる。このため、本発明によれば、取出部を設けても、部品点数の増加を伴うことがない。加えて、取出部は、周壁に対して出し入れすることができることから、すっきりとした外観印象を与える。更に、取出部は、容器本体の周壁に対して回動させることで開閉できるため、操作性も良好である。
【0012】
従って、本発明によれば、部品点数の増加を伴うことなく、すっきりとした外観印象を与え、更に操作性の良好な、新規な粒状物収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明である、粒状物収納容器の一形態である、タブレット容器の容器本体を、その取出部を閉じた状態で示す上面図であり、(b)は、同タブレット容器を、その取出部を閉じた状態で示す一部断面図である。
【図2】(a)は、同タブレット容器の容器本体を、その取出部を開いた状態で示す上面図であり、(b)は、同タブレット容器を、その取出部を開いた状態で示す一部断面図である。
【図3】同タブレット容器の容器本体を、その取出部が組み付けられる前の状態で示す上面図である。
【図4】(a)は、同タブレット容器の取出部を開いて、粒状物を取り出す状態を示す要部斜視図であり、(b)は、同タブレット容器を上方から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明である、粒状物収納容器の一形態である、タブレット容器を詳細に説明する。
【0015】
図1(a)の符号1は、円形の底壁2を有し当該底壁2の周方向に沿って環状の周壁3が設けられた円筒形の容器本体である。周壁3は、底壁2の外縁に沿って一体に起立する。タブレット容器は、図1(b)に示すように、容器本体1の上端に円筒形の蓋体7を合せることで、その内側に、丸形の、複数の粒状物Cの収納空間R1を形成する。
【0016】
符号4は、収納空間R1内の粒状物Cを取り出すための取出部である。取出部4は、周壁3の一部3aを、ヒンジ3hを介して回動可能な可動周壁4aに構成することで、容器本体1と一体に設けられている。可動周壁4aには、粒状物Cを載置する底壁4bと、この底壁4bから一体に起立する2つの側壁4c,4dが設けられている。側壁4c,4dは、図2(a)に示すように、底壁4bに対して所定の間隔を空けて配置されることで、1つの粒状物Cを収納可能な取出室R2を区画する。これにより、取出部4は、図3に示すように、ヒンジ3hを介して容器本体1と一体の部品とすることができる。なお、2cは、底壁2に形成した切欠部である。
【0017】
また、本形態では、取出部4の側壁4c,4dのうち、ヒンジ側の側壁(以下、「ヒンジ側側壁」)4cが、最外側の側壁(以下、「最外側側壁」)4dよりも短い寸法となると共に、ヒンジ3hとヒンジ側側壁4cとの間が湾曲壁4fで繋がる。
【0018】
更に、本形態では、取出部4に、把手部4tが設けられている。これにより、把手部4tを用いて取出部4を、ヒンジ3hを基点に回動させれば、図1(a)に示すように、取出部4を底壁2に固定された周壁(以下、「固定周壁」)3bに収納し、或いは、図2(a)に示すように、固定周壁3bから引き出すことができる。
【0019】
また、最外側側壁4dの先端部4eには、図2(a)に示すように、取出部4を開くときに、底壁2に固定された周壁(以下、「固定周壁」)3bの周方向端縁3eに引っ掛かって取出部4の抜けを阻止する外向きの突起部(抜け防止用ストッパ)4sが一体に設けられている。これにより、取出部4を回動させて固定周壁3bから引き出しても、取出部4は、固定周壁3bから外れて抜け出すことがない。
【0020】
更に、容器本体1の底壁2には、取出部4をその回動方向に沿って案内する案内壁5が設けられている。案内壁5は、底壁2から一体に起立して突起部4sが摺動可能に接触する側面5aを形成する。また、案内壁5は、図2(a)に示すように、粒状物Cを取出室R2内に取り込むための仕切壁としても機能する。
【0021】
更に、案内壁5には、図1(a)に示すように、取出部4を閉じるときに、取出部4の最外側側壁4dの先端部4eが突き当たって当該取出部4の押し込みを阻止する突起部(押し込み防止用ストッパ)5sが一体に設けられている。これにより、取出部4を回動させて固定周壁3bよりも内側に押し込んでも、取出部4は、固定周壁3bよりも内側に入り込むことがない。
【0022】
次に、本発明に従うタブレット容器の使用方法について説明する。
【0023】
タブレット容器は、携帯して持ち運ぶ等の不使用時には、図1に示すように、取出部4を閉じた状態にしておく。そして、使用時には、把手4tを用いて固定周壁3bよりヒンジ3hを基点に外側に引き出せば、図2に示すように、粒状物Cを1つずつ取出すことができる。
【0024】
上述のように、本形態によれば、容器本体1の周壁3の一部3aを、ヒンジ3hを介して回動可能にすることで、粒状物Cの取出部4を構成したことから、図3に示すように、容器本体1と取出部4を一体化させることができる。このため、本形態によれば、取出部4を設けても、部品点数の増加を伴うことがない。加えて、取出部4は、周壁3に対して出し入れすることができることから、図4(b)に示すように、すっきりとした外観印象を与える。更に、取出部4は、容器本体1の固定周壁3bに対して回動させることで開閉できるため、操作性も良好である。
【0025】
従って、本形態のタブレット容器は、部品点数の増加を伴うことなく、すっきりとした外観印象を与え、更に操作性の良好なものとなる。
【0026】
また、本形態では、取出部4の側壁4c,4dのうち、ヒンジ側側壁4cが、最外側側壁4dよりも短い寸法となることで、粒状物Cを取出室R2内に取り込み易くしていると共に、更に、ヒンジ3hとヒンジ側側壁4cとの間に、粒状物Cを取出室R2内に誘導するための湾曲壁4fを設けることで、粒状物Cを更に取り込み易くしている。
【0027】
また、本形態では、図3に示すように、容器本体1の固定周壁3bの周方向端縁3eを膨出部3sとして構成している。かかる構成によれば、周方向端縁3eの剛性が高まるため、取出部4の開きを大きな力で行われたときも、突起部4sが周方向端縁3eに引っ掛かりが外れ難いことから、取出部4の開きをより一層確実に制限することができる。
【0028】
更に、本形態では、取出部4に、把手部4tを設けたことにより、取出部4の開閉操作を更に容易に行うことができる。
【0029】
加えて、案内壁5の側面5aには、図1(a)に示すように、取出部4を閉じるときに、突起部4sが乗り越えることで、当該取出部4の開きを規制する第1の凸部(位置決め部)5p1が一体に設けられている。これにより、取出部4を一度閉じると、一定以上の力が加わらない限り、取出部4を閉じた状態に維持することができる。
【0030】
更に、案内壁5の側面5aには、図2(a)に示すように、取出部4を開くときに、突起部4sが乗り越えることで、当該取出部Eの閉じを規制する第2の凸部(位置決め部)5p2が一体に設けられている。これにより、取出部4を一度開くと、一定以上の力が加わらない限り、取出部4を開いた状態に維持することができる。
【0031】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、粒状物Cの形状は、丸形形状に限定されるものではない。
【0032】
例えば、容器本体1と蓋体7とはそれぞれ、係止部f1,f2を有する。係止部f1,f2は、互いに引っ掛かって係止される。同図においては、係止部f1は、容器本体1の周壁3(3a)の上端部内側に形成された環状の凸部であり、また、係止部f2は、周壁3(3a)の上端部に取り囲まれるように天壁7aから一体に垂下する周壁7bの外側に形成された環状の凸部である。係止部f1,f2は、同図に示すように、互いに対向する位置に形成された環状溝に嵌合する。これにより、容器本体1及び蓋体7を固定することができる。また、該環状溝での嵌合を着脱自在とする場合には、粒状物Cの詰め替えを可能にできるので、繰り返し使用する形態にも対応できる。
【0033】
また、本発明に従えば、係止部f1,f2を単なる圧入嵌合とすることもできる。更に、接着剤を用いて固定する等、その固定手段は問わない。即ち、本発明に従えば、容器本体1及び蓋体7は、既存の種々の手段を用いて固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば、粒状のガムやキャンディ等の嗜好品や、丸薬等の錠剤を収納容器に採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 容器本体
2 容器本体底壁
3 周壁
3a(4a) 可動周壁
3b 固定周壁
3e 固定周壁の周方向端縁
3s 膨出部
4 取出部
4b 取出部底壁
4c ヒンジ側側壁
4d 最外側壁
4e 最外側壁の先端部
4f 湾曲壁
4s 突起部(抜け防止用ストッパ)
4t 把手部
5 案内壁
5a 案内壁側面
5p1 第1の凸部
5p2 第2の凸部
5s 突起部(押し込み防止用ストッパ)
1 収納空間
2 取出室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の底壁の周方向に沿って環状の周壁が設けられた容器本体と、当該容器本体の内側に複数の粒状物の収納空間を形成する蓋体とを有する粒状物収納容器であって、
容器本体の周壁の一部を、ヒンジを介して回動可能な可動周壁に構成すると共に、
当該可動周壁の内側に、収納空間内の粒状物を載置する底壁と、当該底壁から一体に起立して粒状物の取出室を区画する2つの側壁とで構成された、粒状物の取出部を有し、
当該取出部の最外側側壁の先端部に、取出部を開くときに、容器本体の固定周壁の周方向端縁に引っ掛かって取出部の抜けを阻止するストッパ部が設けられ、
更に、容器本体の底壁に、当該底壁から一体に起立して前記ストッパ部が摺動可能に接触する側面を形成し取出部を開閉方向に案内する案内壁が設けられていると共に、
当該案内壁に、取出部を閉じるときに、取出部の最外側側壁の先端部が突き当たって当該取出部の押し込みを阻止するストッパ部が設けられていることを特徴とする粒状物収納容器。
【請求項2】
請求項1において、容器本体の固定周壁の周方向端縁を膨出部として構成したことを特徴とする粒状物収納容器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記取出部に、把手部を設けたことを特徴とする粒状物収納容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記案内壁の側面に、前記取出部を閉じるときに、当該取出部の突起部が乗り越えることで、当該取出部の開きを規制する位置決め部を設けたことを特徴とする粒状物収納容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記案内壁の側面に、前記取出部を開くときに、前記取出部の突起部が乗り越えることで、当該取出部の閉じを規制する位置決め部を設けたことを特徴とする粒状物収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171685(P2012−171685A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38966(P2011−38966)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】