説明

粘着シート

【課題】 貼り付け直後の貼り直しの際の剥離時に、合成紙の発泡層の破壊、粘着剤層と合成紙との間等の層間剥離の発生を防止でき、貼り付け後長時間経過後において、剥がれ、浮き等の発生も防止できる粘着シートであって、有機溶剤を使用することがない等、環境面でも望ましい粘着シートを提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン系合成紙1及び粘着剤層2を有する粘着シートであって、上記粘着剤層は、上記ポリプロピレン系合成紙の一方の面に、アクリルエマルジョンを含有するアクリルエマルジョン型粘着剤により形成されたものであり、上記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が0.5〜8N/25mmで、かつ、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後及び貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上である粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、天然パルプで製造された紙に代わってポリオレフィン系合成紙が広く使用されており、このようなポリオレフィン系合成紙に粘着剤を塗工して得られる粘着シートをインクジェットプリント材として使用することが検討されており、例えば、屋外、屋内用の看板、広告用ディスプレー等に適用することが検討されている。
【0003】
ポリオレフィン系合成紙を基材として使用した粘着シートを看板、広告用ディスプレー等に適用する場合、通常、粘着シートをガラス、アルミニウム、樹脂板等の被着体に貼り付けることになる。しかし、粘着シートを貼り付ける際に、貼る位置がずれたり、シワが入ってしまうことがあり、そのような場合、貼り付けた粘着シートを基材の合成紙からいったん剥離して貼り直すことが必要となる。
【0004】
他方、屋外、屋内用の看板、広告用ディスプレー等に用いられる粘着シートを所望の状態に貼り付けた後においては、屋外、屋内等の環境下において、基材からの粘着シートの剥がれ、浮き等を防止することが必要となる。このため、貼り付けた後、ある程度の時間が経過した後であっても、粘着シートと基材との間に充分な粘着力が保持されていることも必要とされる。即ち、これらの事情から、貼り付けた直後に容易に貼り直すことができ、かつ、合成紙との間に充分な経時接着力を有する粘着シートを提供することが望まれている。
【0005】
しかし、従来から使用されている粘着シートを使用した場合、貼り付けた直後に粘着剤層がガラス板等の被着体に強力に接着してしまい、貼り付けた粘着シートをいったん剥離して貼り直そうとしても、剥離した際に、合成紙中の発泡層が破壊し、再使用することができなくなることがある。また、貼り付け後、屋外、屋内等の環境下で経時的に接着力が低下し、シートの剥がれ、浮き等が発生することもある。
【0006】
また、従来から用いられているアクリル系溶剤型粘着剤を使用した場合、貼り付け直後の合成紙への粘着力が比較的小さい場合であっても、剥離して貼り直そうとする際に、合成紙の発泡層の破壊が生じやすいという問題がある。更に、溶剤型粘着剤は、有機溶剤を用いるものであるため、粘着シート製造時の作業環境や周辺環境が好ましいものではなく、製品としても環境上問題が生じるものである。
【0007】
特許文献1には、表面基材の片面にゴム系粘着剤を有する再剥離性粘着ラベルが開示されている。ここで開示されている再剥離性粘着ラベルは、粘着ラベルを貼付した際に粘着ラベルの基材が破れて被着体に付着することがないものである。
【0008】
しかし、ここでは、再度容易に剥離することができる粘着ラベルが開示されているのみであり、貼り付け直後に、比較的小さい粘着力を付与して容易に貼り直しを行うことを可能とし、更に経時粘着力を付与することによって剥がれ、浮き等を防止することを可能とした粘着シートを提供するものではない。
【0009】
従って、粘着シートの基材として合成紙を使用した粘着シートを被着体に貼り付けた直後に、いったん剥離して貼り直そうとする場合において、剥離時に合成紙の発泡層の破壊を充分に抑制することができ、かつ、貼り付け後、屋外、屋内等の環境下で長時間晒された後であっても剥がれ、浮き等の発生を防止することができる粘着シートの開発が望まれており、また、有機溶剤を使用することがない等、環境面でも望ましい粘着シートを開発することが望まれていた。
【0010】
【特許文献1】特開平11−202772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記現状に鑑み、貼り付け直後の貼り直しの際の剥離時に、合成紙の発泡層の破壊の発生を防止することができ、貼り付け後長時間経過後において、剥がれ、浮き等の発生も防止することができる粘着シートであって、有機溶剤を使用することがない等、環境面でも望ましい粘着シートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ポリプロピレン系合成紙及び粘着剤層を有する粘着シートであって、前記粘着剤層は、前記ポリプロピレン系合成紙の一方の面に、アクリルエマルジョンを含有するアクリルエマルジョン型粘着剤により形成されたものであり、前記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が0.5〜8N/25mmであり、かつ、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後及び貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする粘着シートである。
【0013】
上記アクリルエマルジョン中のアクリル系重合体は、数平均分子量が1000000以上であることが好ましい。
上記粘着シートは、貼り付けてから40℃で24時間放置した後の上記粘着シートのズレが1mm以下であるものであることが好ましい。
【0014】
上記粘着シートは、更に、上記粘着剤層のポリプロピレン系合成紙が貼り付けられていない面に離型層を有するものであることが好ましい。
上記粘着シートは、更に、上記ポリプロピレン系合成紙の粘着剤層が形成されていない面にインク吸収層を有するものであることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の粘着シートは、ポリプロピレン系合成紙、及び、上記ポリプロピレン系合成紙の片面にアクリルエマルジョン型粘着剤を用いることにより形成される粘着剤層を有するものであり、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が0.5〜8N/25mmであり、かつ、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後及び貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上であるものである。
【0016】
上記粘着シートは、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が0.5〜8N/25mmであるため、貼り付けた直後(即ち、貼り付けてから10分間以内)では、粘着力が比較的小さい状態であり、たとえ貼り付けた粘着シートを貼り直そうとしていったん剥離したとしても、剥離時に粘着シートの基材であるポリプロピレン系合成紙の発泡層の破壊を充分に抑制することができる。よって、上記粘着シートは、貼り付け直後に容易に貼り直すことができるものである。
【0017】
また、上記粘着シートは、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後の粘着力が6N/25mm以上であるため、貼り付け後24時間経過した後には、充分な粘着力を有するものである。よって、上記粘着シートは、貼付して24時間経過後には、実用上要求される粘着力まで粘着力が高められるものであり、実用上好ましいものである。
【0018】
更に、上記粘着シートは、貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上であるものであるため、貼り付けた後、長期間経過している時点であっても、粘着シートと被着体との間に充分な粘着力を有するものである。よって、上記粘着シートは、貼付した後、屋外、屋内等の環境下に長期間晒された後であっても、被着体からのシート浮き、剥がれ等の発生を充分に防止することができるものであり、実用上好ましいものである。なお、温度60℃、7日間の放置は、「DSR113」〔強制循環式定温恒温器(乾燥機)、いすゞ社製〕を使用して行うことができる。
【0019】
上記粘着シートは、粘着剤としてアクリルエマルジョン型粘着剤を使用するものであるため、粘着シートの製造時に有機溶剤が揮発することがない。また、上記粘着シートを製品として室内で使用した場合、有機溶剤臭がなく、環境上好ましいものでもある。
【0020】
上記粘着シートにおけるポリプロピレン系合成紙は、ポリプロピレン樹脂を主成分とするものである。上記ポリプロピレン系合成紙は、ポリプロピレン樹脂の特性を生かしつつ、天然の紙に似た外観、風合いをもったものである。上記ポリプロピレン系合成紙の表層にインク吸収層を設け、インクジェットプリントを行うことによって得られるものを看板等として使用することができる。ポリプロピレン樹脂を用いるものであるため、耐薬品性、耐熱性、コストの面等から好ましい。
【0021】
上記ポリプロピレンの立体構造としては特に限定されないが、例えば、アイソタクチック、シンジオタクチック又は種々の程度の立体規則性を有するプロピレン単独重合体や、主成分であるプロピレンと、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン等のαオレフィンとの共重合体等を挙げることができる。これらの共重合体は、2元以上の多元共重合体であってもよく、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよい。
【0022】
上記ポリプロピレン系合成紙は、フィラーを含有するものであってもよい。
上記フィラーとしては、例えば、無機系では、炭酸カルシウム、クレイ、シリカ、けいそう土、タルク、酸化チタン、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、アルミナ等を挙げることができる。上記フィラーの平均粒子径は、0.01〜15μmであることが好ましい。有機系では、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン、環状ポリオレフィン等の重合体であって、ポリプロピレン樹脂の融点より高い融点又はガラス転移温度を有するものを挙げることができる。
【0023】
上記ポリプロピレン系合成紙の構造としては特に限定されないが、通常、中間に発泡層を有するものを使用することが好ましく、これにより、天然紙に近い風合をもたせることができる。また、各層は無機や有機のフィラーを含有していてもよいし、含有していなくてもよい。
【0024】
上記ポリプロピレン系合成紙としては、微細なボイドを多数有する微多孔性合成紙を使用することができる。なかでも、空孔率が下限5%、上限60%であることが好ましい。上記下限は、8%であることがより好ましく、上記上限は、40%であることがより好ましい。
【0025】
上記ポリプロピレン系合成紙としては、例えば、ユポFPG、ユポFGS、ユポGFG、ユポKPK(王子油化合成紙社製)等を挙げることができる。上記ポリプロピレン系合成紙の厚みとしては特に限定されず、通常、20〜400μmである。
【0026】
上記アクリルエマルジョン型粘着剤としては、この粘着剤を用いて得られる粘着シートにおいて、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力を0.5〜8N/25mmであり、かつ、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後及び貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力を6N/25mm以上とすることができるものであれば、特に限定されることなく使用することができる。即ち、本発明においては、任意のアクリルエマルジョン型粘着剤を使用することができるわけではなく、上述した粘着力を有するものを使用することにより、貼り直しの際の剥離時に、発泡層の破壊をより充分に防止することができる。また、貼り付けて24時間経過後には充分な粘着力を発揮させることができ、長期間経過後であっても充分な粘着力を維持することができる。
【0027】
上記アクリルエマルジョン型粘着剤中に含まれるアクリルエマルジョンとしては、例えば、(a)アルキル基、(b)ヒドロキシル基、(c)エポキシ基、(d)アルコキシル基、(e)エチレンオキシド基、(f)アミノ基、(g)アミド基を有するビニルモノマー、(h)その他の共重合可能なモノマー等の各モノマーを適宜選択し、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、分散剤等を用いて、乳化重合法等の公知の方法で重合されたアクリルエマルジョン等を挙げることができる。これらのアクリルエマルジョンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記アルキル基を有するビニルモノマー(a)としては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0029】
上記ヒドロキシル基を有するビニルモノマー(b)としては特に限定されず、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0030】
上記エポキシを有するビニルモノマー(c)としては特に限定されず、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0031】
上記アルコキシル基を有するビニルモノマー(d)としては特に限定されず、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0032】
上記エチレンオキシド基を有するビニルモノマー(e)としては特に限定されず、例えば、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0033】
上記アミノ基を有するビニルモノマー(f)としては特に限定されず、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0034】
上記アミド基を有するビニルモノマー(g)としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0035】
上記その他共重合可能なモノマー(h)としては特に限定されず、例えば、スチレン、クロロスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
上記重合開始剤としては、通常の乳化重合に使用できるものであれば特に限定されることなく使用することができ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物及びこれらと還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤等を挙げることができる。なかでも、ポリマーの重合度を上昇させ、粘着力の経時変化を抑えることができる点で、レッドックス系重合開始剤が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜8のカルボン酸類、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル(TGO)、チオグリセロール等のメルカプタン類等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記乳化剤としては、通常の乳化重合で使用することができるものであれば特に限定されず、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性保護コロイド、アニオン性保護コロイド、カチオン性保護コロイド等を挙げることができる。なかでも、上記アニオン性界面活性剤及び上記ノニオン性界面活性剤の少なくとも1種を使用するのが乳化重合するに好適である。
【0039】
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ソーダ等のアルキル又はアルキルアリルスルホン酸塩、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。
【0040】
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル型、ポリオキシエチレングリコール又はポリオキシプロピレングリコール型等を挙げることができる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記アクリルエマルジョン中のアクリル系重合体は、数平均分子量が1000000以上であることが好ましい。1000000未満であると、凝集力が低く、貼り直しの剥離時に、発泡層の破壊が発生するおそれがある。より好ましくは、2000000〜5000000である。数平均分子量1000000以上のアクリル系重合体を含むアクリルエマルジョン型粘着剤を使用することによって貼り直しが容易となる理由は明らかではないが、溶剤系のアクリル系粘着剤に比べて高分子量のアクリル系重合体を使用することにより、高凝集力が発揮され、その結果、貼り直しを容易に行うことができるものと推察される。
【0042】
上記アクリルエマルジョン中のアクリル系重合体は、Fox式による計算上のガラス転移点(Tg)が、−20℃〜−60℃であることが好ましい。−60℃未満であると、粘着力の経時変化が増大することがある。−20℃を超えると、粘着力が不足することがある。
【0043】
上記アクリルエマルジョン中のアクリル系重合体は、平均粒子径が下限1000Å、上限7000Åであることが好ましい。1000Å未満であると、合成紙への粘着力が強すぎて発泡層の破壊、糊残りが発生するおそれがある。7000Åを超えると、被着体に対する粘着力が低下するおそれがある。上記下限は、2000Åであることがより好ましい。
【0044】
上記アクリルエマルジョンの含有量は、上記アクリルエマルジョン型粘着剤中において、20〜70質量%であることが好ましい。20質量%未満であると、粘着塗工の際に乾燥しにくくなるおそれがある。70%を超えると、粘度が高くなり、塗工流動性が悪くなるおそれがある。
【0045】
上記アクリルエマルジョン型粘着剤は、硬化剤を含有する場合もある。これにより、貼り付け直後の剥離性を向上させることができる。
上記硬化剤としては、例えば、としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の1分子中に2個以上のエポキシ基を有するポリグリシジル化合物等のエポキシ系硬化剤;1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル−2,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシル4,4′−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する(ポリ)イソシアネート化合物等のイソシアネート系硬化剤;フェノール系硬化剤等を挙げることができる。なかでも、アクリルエマルジョン型粘着剤中での分散性、アクリル系重合体中の水酸基と反応させることによって、貼り直しの際の剥離時に、発泡層の破壊をより充分に防止することができるとともに、貼り付けて24時間経過後には充分な粘着力を発揮させることができ、また、長期間経過後であっても充分な粘着力を維持することができる点から、エポキシ系硬化剤が好ましく、特に1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
上記硬化剤の含有量は、上記アクリルエマルジョン100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内で適宜調整されることが好ましい。0.1質量部未満であると、得られる粘着剤の被着体に対する接着力が強すぎて、糊残りが発生したり、合成紙の発泡層の破壊が発生し、容易に貼り直すことができなくなるおそれがある。10質量部を超えると、架橋密度が高くなりすぎ、得られる粘着剤の接着力が弱くなり、実用性に乏しくなるおそれがある。
【0047】
上記硬化剤と上記アクリルエマルジョンとの混合方法は特に限定されることはなく、例えば、ホモミキサー等のブレンダーでバッチ式の混合方法や、モーノポンプやスネークポンプ等のポンプを使用してポンプ内部に所定量の割合で連続混合する方法等を挙げることができる。
【0048】
上記アクリルエマルジョン型粘着剤には、本発明の効果を害しない範囲内で、必要に応じて、増粘剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、安定剤着色剤、顔料等の他の添加剤を添加しても良い。
【0049】
上記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が、下限0.5N/25mm、上限8N/25mmである。これにより、粘着シートの貼り付け直後に貼り直す際に、剥離を容易に行うことができ、剥離時のポリプロピレン系合成紙の発泡層の破壊を防止することができる。0.5N/25mm未満であると、基材への貼りつけが困難となるおそれがある。8N/25mmを超えると、貼り直す際の剥離の際に、ポリプロピレン系合成紙の発泡層の破壊が発生するおそれがある。上記下限は、3N/25mmであることが好ましく、2N/25mmであることがより好ましい。上記上限は、6N/25mmであることが好ましく、5N/25mmであることがより好ましい。
【0050】
上記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後の粘着力が6N/25mm以上である。これにより、施工して24時間後には、充分な粘着力を発揮させることができる。このため、粘着シートの剥がれ、浮きの発生を防止することができ、実用上問題となることがない。6N/25mm未満であると、充分な粘着力が得られないため、剥がれ、浮きが生じてしまうおそれがある。上記24時間後の粘着力の下限は、7N/25mmであることが好ましく、8N/25mmであることがより好ましい。上記24時間後の粘着力の上限は、20N/25mmであることが好ましく、18N/25mmであることがより好ましい。
【0051】
上記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上である。これにより、施工後長期間経過後においても、粘着シートの粘着力を充分に保持することができる。このため、粘着シートの剥がれ、浮きを生じることを防止することができ、実用上問題となることがない。6N/25mm未満であると、剥がれ、浮きが生じてしまうおそれがある。上記60℃で7日間放置した後の粘着力の下限は、7N/25mmであることが好ましく、8N/25mmであることがより好ましい。上記60℃で7日間放置した後の粘着力の上限は、20N/25mmであることが好ましく、18N/25mmであることがより好ましい。
【0052】
上記粘着シートは、貼り付けてから40℃で24時間放置した後の上記粘着シートのズレが1mm以下であることが好ましい。1mmを超えると、粘着シートのズレが大きくなり、実用上問題があるおそれがある。
【0053】
なお、上述した粘着シートを貼り付けてから40℃で24時間放置した後のズレは、以下のように方法で測定される値である。
アルミニウム板の一端に、粘着シート(25mm巾、長さ150mm)の25×25mmの面積が接するように貼り付け、貼り付いていない箇所は粘着面を内側にして折り重ねる。20分以上経過した後、アルミニウム板の一端を止め、アルミニウム板及び粘着シートが鉛直に垂れ下がるようにし、折り重ねた部分の端に、1kgのおもりを取り付ける。次いで、40℃雰囲気下で24時間1kgの荷重をかけ、目盛付きルーペ等で0.1mm単位でずれた距離を測定する。なお、「DSR113」〔強制循環式低温恒温器(乾燥機)、いすゞ社製〕を使用して40℃雰囲気とすることができる。
【0054】
上記粘着剤層の厚さは、下限10μm、上限50μmであることが好ましい。10μm未満であると、被着体に貼り付ける時の粘着力が低下するおそれがある。50μmを超えると、粘着剤の投錨性が悪くなり、粘着シートの端等から粘着剤のはみ出しが起こったり、乾燥が充分にできず、適正な粘着力を再現できない等の問題が起こるおそれがある。上記下限は、20μmであることがより好ましく、上記上限は、30μmであることがより好ましい。
【0055】
上記粘着シートは、上記ポリプロピレン系合成紙及び上記粘着剤層以外に、更に、粘着剤層のポリプロピレン系合成紙が貼り付けられていない面に離型層を有するものであってもよい。上記剥離層は、粘着シートを貼り付けるまで粘着層を保護するものであり、貼り付け時に剥離されるものである。
【0056】
上記離型層としては、例えば、グラシン紙等の高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙又は上質紙等に、カゼイン、デキストリン、澱粉、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステル共重合体等の天然又は合成樹脂と顔料とを主成分とした目止め層を設けたシート;クラフト紙又は上質紙等に、ポリエチレン等をラミネートしたラミネート紙;ポリプロピレン等のフィルム等のシートに、水、溶剤型又は無用剤型のシリコーン樹脂やフッ素樹脂等を乾燥質量で通常0.05〜3g/m塗工後、熱硬化、電子放射線硬化等によって離型層を形成したもの等を使用することができる。なかでも、環境面から、シリコーン樹脂で処理したポリプロピレン等を好適に用いることができる。
【0057】
上記アクリルエマルジョン型粘着剤の塗工方法としては特に限定されず、例えば、コンマコート法、リップコート法、リバースコート法、グラビヤコート法等によって、離型シートに粘着剤を塗工した後、合成紙に転写する方法;合成紙の片面(離型層面とは反対面)に直接塗工する方法を挙げることができる。なかでも、転写塗工法が好ましい。合成紙に直接塗工する方法では、合成紙表面の平滑性が低く、表面が粗い等のために、表面の凹凸をそのまま写し取ってしまう等の要因から、外観上問題になったり、粘着剤の低下等不具合が生じやすくなるためである。
【0058】
上記粘着シートは、上記ポリプロピレン系合成紙及び上記粘着剤層以外に、更に、ポリプロピレン系合成紙の粘着剤層が形成されていない面にインク吸収層を有するものであってもよい。また、インク吸収層以外に、更に、上記離型層を上述したように有するものであってもよい。上記ポリプロピレン系合成紙及び上記粘着剤層以外に、上記インク吸収層及び必要に応じて上記離型層を有する粘着シートは、インクジェットプリント材として好適に用いることができ、例えば、看板用、広告用ディスプレー用等として好適に用いることができる。
【0059】
上記インク吸収層は、インクジェットプリンターのプリンターヘッドより噴霧される水性インク等を速やかに吸収してインクジェット用メディアに定着させるものであり、水、アルコール類等を溶媒とするコーティング剤を塗布することにより形成することができる。
【0060】
上記インク吸収層としては、ポリカーボネートポリオールと脂肪族イソシアネート化合物とを反応させて得られるポリウレタン樹脂エマルジョン、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、炭酸カルシウム及び/又はシリカを配合されてなるものであることが好ましい。上記ポリウレタン樹脂粒子エマルジョンを用いたコーティング剤を塗工し、乾燥させてインク吸収層を形成することにより、エマルジョン樹脂粒子の粒子性を継承した多数の微細な細孔を有する多孔質構造ができる。この多孔質構造中にインク中の溶媒を吸収させることができるため、インク吸収性と乾燥性とを高めることができる。また、水性コーティング剤を用いて形成することができるため、環境面でも好ましいものである。
【0061】
上記ポリウレタン樹脂粒子の平均粒子径は3.0μm以下であることが好ましい。3.0μmを超えると、エマルジョン自体の安定性が充分でないうえに、形成されるインク吸収層において、多孔質構造の空隙率が高すぎて被膜強度が弱く、インク中の着色成分(顔料成分)を吸収してしまうため、発色性が悪くなるおそれがある。
【0062】
上記アセトアセチル化ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに反応させて得られる1種のアセタール化ポリビニルアルコールである。これにより、ポリビニルアルコールの有するインク吸収性を保持しつつ、アセトアセチル化により水不溶性が付与されたものであるため、インク吸収層にアセトアセチル化ポリビニルアルコールを用いることにより、インク吸収層に水性インクに対する吸収性、膨潤性を付与し横方向へのにじみを防ぐとともに乾燥性を向上することができ、また、得られたインク吸収層は水に溶解しないことから耐水性を付与することができる。
【0063】
上記アセトアセチル化ポリビニルアルコールの配合量としては、上記ポリウレタン樹脂粒子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましい。10質量部未満であると、形成されるインク吸収層に充分なインク吸収性と乾燥性とを付与することができず、画像が滲むとともに乾燥に時間を要するおそれがある。500質量部を超えると、上記アセトアセチル化ポリビニルアルコールによる吸水性と膨潤性とが過度となり、得られた画像を水に浸漬した場合、被膜強度が低下し、インク吸収層の破壊に至り、結果として印刷像が破壊されるおそれがある。
【0064】
上記シリカとしては特に限定されないが、例えば、平均粒子径が1〜15μmであり、比表面積と細孔容積の大きいものが好適に用いられる。このようなシリカを用いることにより、水性インク中の水分をよく吸収するため、インク吸収層のインク吸収性と乾燥性を高めることができる。上記炭酸カルシウムとしては特に限定されないが、例えば、平均粒子径が0.1〜5μmであるものが好適に用いられる。このような炭酸カルシウムは、水性インク中の水分をよく吸収するため、インク吸収層のインク吸収性と乾燥性とを高めることができる。
【0065】
上記シリカ及び/又は上記炭酸カルシウムの合計配合量としては、上記ポリウレタン樹脂粒子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対して、5〜500質量部であることが好ましい。5質量部未満であると、インク中の溶媒成分、着色成分の吸収力が弱くなり、横方向にインクがにじむとともに乾燥時間が長くなり、また、背部から光を透過させた場合の発色性が悪くなるおそれがある。500質量部を超えると、インク吸収層の被膜強度が弱くなり、接着強度が弱くなるとともに、看板等に施工後、粘着剤付きの透明樹脂フィルムをラミネートしても剥離してしまうおそれがある。
【0066】
上記インク吸収層の厚みは、5〜100μmであることが好ましい。5μm未満であると、インク吸収層としての機能が充分に確保されないおそれがある。100μmを超えると、粘着シートの寸法変化率が大きくなるおそれがある。
【0067】
上記粘着シートは、上記インク吸収層と上記ポリプロピレン系合成紙との間に、プライマー層を有するものであってもよい。上記プライマー層としては、ウレタン樹脂又はアクリル系樹脂からなるものが好ましい。ウレタン樹脂又はアクリル系樹脂を使用することにより、ポリプロピレン系合成紙との接着力及びインク吸収層との接着力が強固なものとなり、最終製品として耐水性や耐候性等の耐久性の面で、性能を著しく向上させることができる。
【0068】
上記ポリウレタン系樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキシド鎖を含むポリエーテルポリオールをポリオール成分として含有するものが好適に用いられる。このようなポリウレタン系樹脂は、吸水性と水膨張性とを有するので、インクジェットプリント材のインク吸収性を高めることができる。また、上記アクリル系樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系樹脂等が好適に用いられる。
【0069】
上記粘着シートを貼り付ける被着体としては特に限定されず、例えば、アルミニウム板、ガラス板、アクリル板等の樹脂板等を挙げることができる。これらの被着体を用いる場合には、例えば、看板、広告用ディスプレー等として使用するインクジェットプリント材として好適に用いることができる。
【0070】
本発明の粘着シートの例を図1及び図2として示した。
図1、図2及び図3は、本発明の粘着シートの概略図の一例を示した図である。図1で示された粘着シートは、ポリプロピレン系合成紙1の基材の片面に、粘着剤層2が形成されているものである。図2は、ポリプロピレン系合成紙1、粘着剤層2及び離型層3がこの順に積層してなる粘着シートである。図3は、インク吸収層4、ポリプロピレン系合成紙1、粘着剤層2及び離型層3がこの順に積層してなる粘着シートである。図3で示された粘着シートは、例えば、インクジェットプリント材として好適に用いることができる。
【0071】
本発明の粘着シートは、ポリプロピレン系合成紙とアクリルエマルジョン型粘着剤により形成される粘着剤層とを有し、JIS Z0237に規定される粘着力が上述した値を有するものであるため、貼り付け直後の貼り直しの際の剥離時に、発泡層の破壊をより充分に防止することができるとともに、貼り付けて24時間経過後には充分な粘着力を発揮させることができ、また、長期間経過後であっても充分な粘着力を維持することができるものである。従って、貼り直しが容易であり、施工後長期間経過した後であっても浮き、剥がれ等の発生を防止することができる。また、粘着シートを剥がす際に被着体に粘着剤が付着したり、粘着ラベルの基材が破れて被着体に付着することがないものである。更に、粘着剤層がアクリルエマルジョン型粘着剤を用いて形成されるものであるため、環境面からも好ましいものである。
【0072】
更に、上記粘着シートがインク吸収層及び必要に応じて離型層を有するものである場合には、インクジェットプリント材として好適に用いることができ、例えば、看板、広告用スプレー等として好適に用いることができる。また、上記離型層がシリコーン樹脂で処理したポリプロピレンからなるものであったり、上記インク吸収層がポリウレタン樹脂エマルジョンを含有する水性コーティング剤である場合には、脱有機溶剤、ダイオキシン、環境ホルモン等の問題が発生することがないため、環境面でより好ましいものである。
【発明の効果】
【0073】
本発明の粘着シートは、上述した構成よりなるので、貼り直しの際の剥離時に、発泡層の破壊をより充分に防止することができるため、施工時の不良、ロスが発生することを防止することができる。また、貼り付けて24時間経過後には充分な粘着力を発揮させることができ、また、長期間経過後であっても充分な粘着力を維持することができる。更に、粘着層に有機溶剤を含有しないものであるため、室内に施工した場合有機溶剤臭がなく、粘着シートの製造時の作業環境や周辺環境も優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0075】
実施例1
粘着剤層として、アクリルエマルジョン型粘着剤(「SKE−4851」、日本触媒社製、数平均分子量3000000、Tg−40℃、平均粒子径2000Å)100質量部にエポキシ系硬化剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、「テトラッドC」、三菱ガス化学製)0.6質量部を加えたものを、シリコン剥離剤を付与したポリプロピレンフィルム(「MP RS♯12」、サントックス社製)上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成し、基材としてポリプロピレン系合成紙(「ユポFPG」、王子油化合成紙社製)を積層し、本発明の粘着シートを得た。
【0076】
実施例2
粘着剤層として、アクリルエマルジョン型粘着剤(「MX1−NS771」、日本触媒社製、数平均分子量2500000、Tg−45℃、平均粒子径2000Å)100質量部にエポキシ系硬化剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、「テトラッドC」、三菱ガス化学製)0.6質量部を加えたものをシリコン剥離剤を付与したポリプロピレンフィルム(「MP RS♯12」、サントックス社製)上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成し、基材としてポリプロピレン系合成紙(「ユポFPG」、王子油化合成紙社製)を積層し、本発明の粘着シートを得た。
【0077】
比較例1
溶剤として、トルエン及び酢酸エチルを用い、2−エチルヘキシルアクリレートを主成分とするアクリル溶剤型粘着剤(「SK−1222」、総研化学製、数平均分子量800000、Tg−35℃、平均粒子径2000Å)100質量部、イソシアネート系架橋剤(「コロネートL」、日本ポリウレタン工業社製)1.8質量部を加えたものをシリコン剥離剤を付与したポリプロピレンフィルム(「MP RS♯12」、サントックス社製)上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成し、基材としてポリプロピレン系合成紙(「ユポFPG」、王子油化合成紙社製)を積層した粘着シートを得た。
【0078】
比較例2
粘着剤層として、アクリルエマルジョン型粘着剤(「HV−C7630」、東亜合成社製、数平均分子量1500000、Tg−35℃、平均粒子径1500Å)100質量部をシリコン剥離剤を付与したポリプロピレンフィルム(「MP RS♯12」、サントックス社製)上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成し、基材としてポリプロピレン系合成紙(「ユポFPG」、王子油化合成紙社製)を積層した粘着シートを得た。
【0079】
比較例3
粘着剤層として、アクリルエマルジョン型粘着剤(「REM−212」、大日本インキ社製、数平均分子量2500000、Tg−30℃、平均粒子径2000Å)100質量部をシリコン剥離剤を付与したポリプロピレンフィルム(「MP RS♯12」、サントックス社製)上に塗布し、100℃で5分間乾燥し、厚み20μmの粘着剤層を形成し、基材としてポリプロピレン系合成紙(「ユポFPG」、王子油化合成紙社製)を積層した粘着シートを得た。
【0080】
〔評価〕
実施例、比較例で得られた粘着シートを試験試料とし、それぞれに対して、次の評価を行い、結果を表1に示した。
【0081】
(初期粘着力)
JIS Z0237に準じて測定した。各試験試料を幅25mm×長さ150mmに断裁後、離型紙を剥がし、得られた粘着シートをアルミニウム板、ガラス板、アクリル樹脂板のそれぞれに貼付して、温度23℃、相対湿度50%で10分放置した。得られた各被着体から各試験試料を引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の接着力を測定した。
【0082】
(合成紙の発泡層の破壊)
上記と同様にして、アルミニウム板、ガラス板、アクリル樹脂板に貼付したものを得た。得られた各被着体から各試験試料を引張速度1000mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の合成紙の発泡層の破壊を評価した。その剥離状態を目視によって次の判定基準にて評価した。
○;発泡層の破壊が発生している。
×;発泡層の破壊が発生していない。
【0083】
(経時粘着力1)
JIS Z0237に準じて測定した。各試験試料を幅25mm×長さ150mmに断裁後、離型紙を剥がし、得られた粘着シートをアルミニウム板、ガラス板、アクリル樹脂板のそれぞれに貼付して、温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した。得られた各被着体から各試験試料を引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の接着力を測定した。また、その際の被着体と粘着シートとの状態を目視によって、次の判定基準にて評価した。
○;剥がれ、浮きの発生がなく、接着している。
×;剥がれ、浮きが発生している。
【0084】
(経時粘着力2)
JIS Z0237に準じて測定した。各試験試料を幅25mm×長さ150mmに断裁後、離型紙を剥がし、得られた粘着シートをアルミニウム板、ガラス板、アクリル樹脂板のそれぞれに貼付して、温度60℃で7日間放置した。得られた各被着体から各試験試料を引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の接着力を測定した。また、その際の被着体と粘着シートとの状態を目視によって、次の判定基準にて評価した。なお、温度60℃、7日間の放置は、「DSR113」〔強制循環式低温恒温器(乾燥機)、いすゞ社製〕を使用して行った。
○;剥がれ、浮きの発生がなく、接着している。
×;剥がれ、浮きが発生している。
【0085】
(凝集力(保持力))
JIS Z0237に準じて測定した。
試験板の一端に試験片(25mm巾、長さ150mm)の25×25mmの面積が接するように貼り付け、貼り付いていない箇所は粘着面を内側にして折り重ねた。20分以上経過した後、試験板の一端を止め、試験板及び試験片が鉛直に垂れ下がるようにし、折り重ねた部分の端に、1kgのおもりを取り付けた。40℃雰囲気下で24時間1kgの荷重をかけ、目盛付きルーペ等で0.1mm単位でずれた距離を測定した。なお、「DSR113」〔強制循環式低温恒温器(乾燥機)、いすゞ社製〕を使用して40℃雰囲気とした。
【0086】
【表1】

【0087】
表1から、実施例で得られた粘着シートは、10分後に引き剥がした時に、合成紙の発泡層の破壊が生じなかった。また、実施例で得られたものは、経時接着力に優れ、ズレが少ないものであった。更に、有機溶剤を使用しないものであるため、環境面から好ましいものである。
【0088】
実施例3
ポリウレタン樹脂エマルジョン、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、炭酸カルシウム及び/又はシリカを配合させてなるコーティング剤を、実施例1で得られた粘着シートのポリプロピレン系合成紙が形成されている面に塗工し、乾燥させ、厚みが20μのインク吸収層を形成した。
上述のようにして得られたインク吸収層を有する粘着シートは、インクジェットプリント材として好適に使用することができるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の粘着シートは、インクジェットプリント材として好適に使用することができるものであり、例えば、看板、広告用ディスプレー等に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の粘着シートの概略図の一例を示した図である。
【図2】本発明の粘着シートの概略図の一例を示した図である。
【図3】本発明の粘着シートの概略図の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0091】
1 ポリプロピレン系合成紙
2 粘着剤層
3 離型層
4 インク吸収層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系合成紙及び粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着剤層は、前記ポリプロピレン系合成紙の一方の面に、アクリルエマルジョンを含有するアクリルエマルジョン型粘着剤により形成されたものであり、
前記粘着シートは、JIS Z0237に規定される貼り付けてから23℃、相対湿度50%で10分間保持した後の粘着力が0.5〜8N/25mmであり、かつ、貼り付けてから23℃、相対湿度50%で24時間保持した後及び貼り付けてから60℃で7日放置した後の粘着力が6N/25mm以上である
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
アクリルエマルジョン中のアクリル系重合体は、数平均分子量が1000000以上である請求項1記載の粘着シート。
【請求項3】
粘着シートは、貼り付けてから40℃で24時間放置した後の前記粘着シートのズレが1mm以下である請求項1又は2記載の粘着シート。
【請求項4】
更に、粘着剤層のポリプロピレン系合成紙が貼り付けられていない面に離型層を有する請求項1、2又は3記載の粘着シート。
【請求項5】
更に、ポリプロピレン系合成紙の粘着剤層が形成されていない面にインク吸収層を有する請求項1、2、3又は4記載の粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−104269(P2006−104269A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290526(P2004−290526)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】