説明

粘着テープの貼着装置

【課題】この発明は所定長さに切断された粘着テープの切断部の頭出し精度が低下するのを防止した粘着テープの貼着装置を提供することにある。
【解決手段】上記離型テープの供給リール11と、開閉駆動される一対の挟持片17a,18aを有する保持チャック17と送りチャック18を備え、これらチャックの一対の挟持片の開閉及び送りチャックの駆動によって離型テープを供給リールから所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構20と、送り機構によって引き出されて走行する離型テープに貼着された粘着テープを所定の長さに切断する切断機構31と、切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた所定の長さの粘着テープを貼着位置で待機するTCPに加圧加熱して貼着する加圧ツール48を具備し、各チャックの少なくとも一方の挟持片の挟持面には、挟持面を油脂によって湿潤させるための油溝が形成されていて、油溝には挟持片に形成された油脂溜りから油脂が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば液晶表示パネルなどの基板に電子部品を粘着テープによって実装する場合に、上記粘着テープを所定の長さに切断して上記電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の側辺部に電子部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を実装する場合、異方性導電部材からなる粘着テープ(ACF)を用いて実装するということが行われる。その場合、上記粘着テープを基板の側辺部に予め貼着しておき、その側辺部に複数のTCPを所定間隔で実装するということが行われている。
【0003】
しかしながら、基板の側辺部に粘着テープを貼着してから複数のTCPを所定間隔で貼着するようにすると、粘着テープの隣り合うTCP間に位置する部分が無駄になるということがある。
【0004】
そこで、粘着テープをTCPの幅寸法とほぼ同じ長さ寸法に切断し、その粘着テープをTCPに貼着する。そして、複数のTCPを基板の側辺部に所定間隔で実装することで、粘着テープに無駄が生じないようにするということが行われている。
【0005】
TCPに所定の長さに切断された粘着テープを貼着する貼着装置は供給部としての供給リールを有する。この供給リールには上記粘着テープが貼着された離型テープが巻装されている。粘着テープが貼着された離型テープは上記供給リールから引き出され、ガイドローラにガイドされてチャックからなる搬送機構によって所定の長さずつ間欠的に走行させられる。
【0006】
上記供給リールから離型テープとともに所定の長さずつ間欠的に引き出された粘着テープは切断機構によってTCPの幅寸法と対応する長さ寸法に切断される。上記離型テープの搬送経路には貼着手段が設けられ、この貼着手段に対応する位置である、貼着位置には上記TCPが位置決めされて待機している。
【0007】
TCPの幅寸法と対応する長さ寸法に切断された上記粘着テープが上記TCPの上記貼着位置まで搬送されてくると、離型テープを介して上記粘着テープが加圧ツールによって加熱されながら押し上げられて上記TCPに貼着される。
【0008】
TCPに粘着テープが貼着されると、その粘着テープから離型テープが剥離される。剥離後、離型テープは上記送り機構によって所定長さずつ走行させられることで、上記切断機構によって所定長さに切断された粘着テープが粘着位置に順次位置決めされ、その粘着テープがTCPに貼着されるということが繰り返して行われる。
【0009】
上記粘着テープを所定長さずつ間欠的に送ることで走行させる送り機構としては、上記粘着位置よりも離型テープの走行方向の下流側に配置された上述した一対のチャックが用いられる。一対のチャックは所定間隔で離間し、かつ上記離型テープの搬送方向の下流側に設けられた一方のチャックが往復駆動されるようになっている。
【0010】
そして、一方のチャックの一対の挟持片によって離型テープを挟持し、他方の搬送チャックの一対の挟持片が離型テープを開放した状態で、一方のチャックが離型テープの走行方向に駆動されることで、離型テープを所定長さ走行させる。
【0011】
ついで、他方のチャックの挟持片によって離型テープを挟持させたならば、一方のチャックの挟持片による離型テープの挟持状態を開放し、この一方のチャックが元の位置に戻る、という動作を繰り返すことで、上記離型テープを所定長さずつ間欠的に走行させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−080874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、離型テープに貼着された粘着テープを所定長さに切断してTCPに貼着する場合、所定長さに切断される粘着テープ間に抜き取り部を設け、この抜き取り部を除去して所定長さに切断された粘着テープ間に間隔を形成するようにしている。それによって、所定長さに切断された粘着テープだけをTCPに確実に押圧して貼着できるようにしている。
【0014】
しかしながら、粘着テープを所定長さに切断し、所定長さに切断された粘着テープ間の抜き取り部を除去するようにすると、抜き取り部を形成する際に粘着テープの一部が離型テープに残留し、その状態で離型テープが送り機構まで送られるということがある。
【0015】
粘着テープが残留した離型テープが送り機構に送られ、送り機構の一対のチャックの挟持面による離型テープの挟持と開放が繰り返されて離型テープが走行させられると、残留した粘着テープによって離型テープがチャックの挟持片の挟持面に粘着して絡み、離型テープを確実に走行させることができなくなるということが生じる。
【0016】
また、供給リールを新たに交換したり、実装装置の運転を再開したときなどには所定長さに切断された粘着テープが貼着位置でTCPに貼着されずに離型テープがチャックのところへ送られてくるということがある。そのような場合にも、離型テープに残留した粘着テープがチャックの挟持片の挟持面に絡み付き、離型テープの搬送が行えなくなるということもある。
【0017】
この発明は、粘着テープが残留した状態の離型テープが送り機構のチャックのところに送られてきても、送り機構のチャックの挟持片に離型テープが貼着して絡むことがないようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動される一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、これらチャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段を具備し、
上記各チャックの挟持片の挟持面のうち、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持面には、この挟持面を流動性を有する非粘着剤によって湿潤させるための流動溝が形成されていて、この流動溝には上記挟持片に形成された非粘着剤溜りから上記非粘着剤が供給されることを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0019】
上記挟持片の上記流動溝が形成された挟持面は、上記非粘着剤溜りから上記流動溝に流れた非粘着剤を上記挟持面に拡散させる粗面に形成されていることが好ましい。
【0020】
上記挟持片の上記流動溝が形成された挟持面は、上記非粘着剤溜りから上記流動溝に流れた非粘着剤を上記挟持面に拡散させる多孔質材料によって形成されていることが好ましい。
【0021】
上記非粘着剤はグリースであって、上記非粘着剤溜りは上記挟持面の上記離型テープを挟持する部分から外れた箇所に形成されていることが好ましい。
【0022】
上記非粘着剤はオイルであって、上記非粘着剤溜りは上記挟持片の側面に形成された上記挟持面と隣接する上面に形成されていることが好ましい。
【0023】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動されるとともに上記離型テープを挟持する挟持面が形成された一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する一方の挟持片の上記挟持面は非粘着性の被覆材で被覆されていて、上記各チャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0024】
この発明は、離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動される一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、これらチャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と、
上記各チャックの挟持片のうち、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持片に設けられこの挟持片に上記粘着テープが残留する上記離型テープが貼着するのを阻止する貼着阻止手段と、
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、送り機構を構成するチャックの一対の挟持片のうち、離型テープの粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持片の挟持面に、油脂によって湿潤させる油溝を形成し、上記挟持片には上記油溝に油脂を供給する油脂溜りを形成したから、上記挟持片の挟持面は上記油溜りから油溝に流れ、この油溝から拡散する油脂によって湿潤させることができる。
【0026】
そのため、粘着テープが残留する離型テープが送り機構の保持チャック及び送りチャックの挟持片の挟持面によって挟持されても、油脂によって湿潤された挟持面に離型テープに残留する粘着テープが貼着するのが防止されるから、送り機構の各チャックよって離型テープを円滑にピッチ送りすることが可能となる。
【0027】
この発明は、送り機構のチャックの一対の挟持片の少なくとも上記離型テープの粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持面を非粘着性の被覆材によって被覆するようにした。
【0028】
そのため、粘着テープが付着した離型テープが送り機構の保持チャック及び送りチャックの挟持片の挟持面によって挟持されても、非粘着性の被覆材によって被覆された挟持面に離型テープに残留する粘着テープが貼着するのが防止されるから、送り機構の各チャックよって離型テープを円滑にピッチ送りすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示す貼着装置の構成図。
【図2】粘着テープに切断線を入れる切断機構と、切断線によって形成された抜き取り部を除去する抜き取り機構を示す側面図。
【図3】制御系統のブロック図。
【図4】保持チャックと送りチャックのそれぞれ一対の挟持片を示す斜視図。
【図5】離型テープの粘着テープが貼着されていた面に対向する一方の挟持片を示す正面図。
【図6】図5に示す挟持片の一部分を示す拡大断面図。
【図7】この発明の第2の実施の形態を示す離型テープの粘着テープが貼着されていた面に対向する一方の挟持片の正面図。
【図8】この発明の第3の実施の形態を示す離型テープの粘着テープが貼着されていた面に対向する一方の挟持片の正面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1乃至図6はこの発明の第1の実施の形態を示し、図1に示す粘着テープの貼着装置は供給部としての供給リール11を備えている。この供給リール11には図2に示すように一側面に粘着テープ12が貼着された離型テープ13が巻装されている。粘着テープ12は両面が粘着性を有する熱硬化性の樹脂に金属微粒子を混入した異方性導電部材であって、上記離型テープ13は合成樹脂によって粘着テープ12と同じ形状のテープ状に形成されている。
【0031】
上記離型テープ13は、上記供給リール11から粘着テープ12とともに下方に向かって引き出され、ウエイト14を有するダンサローラ15に係合して張力が与えられるよう上方に向かって方向変換される。
【0032】
そして、水平方向に所定間隔で離間した一対のガイドローラ16a,16bに係合し、粘着テープ12が貼着された面を上に向けて水平に走行するようになっている。なお、上記ダンサローラ15は図示しないガイドに沿って上下方向に移動可能に設けられている。
【0033】
上記離型テープ13は、水平に走行した状態から搬送方向下流側のガイドローラ16bによって走行方向が下方に変換され、その部分は保持チャック17及び送りチャック18の開閉駆動される一対の挟持片17a,18a間に順次通されて回収槽19に回収されるようになっている。上記保持チャック17と送りチャック18は送り機構20を構成している。
【0034】
上記保持チャック17の一対の挟持片17aはシリンダなどの第1の開閉駆動源22によって開閉駆動され、上記送りチャック18の一対の挟持片18aはシリンダなどの第2の開閉駆動源23によって開閉駆動されるとともにシリンダなどの上下駆動源24によって第2の開閉駆動源23と一体的に上下方向に所定のストロークで駆動されるようになっている。
【0035】
上記第1の開閉駆動源22、第2の開閉駆動源23及び上下駆動源24は図3に示す制御装置25によって駆動が制御される。すなわち、保持チャック17の一対の挟持片17aが開放されているとき、第2の開閉駆動源23によって送りチャック18の一対の挟持片18aが閉じられて離型テープ13を挟持し、その状態で上下駆動源24によって送りチャック18が所定のストロークで図1に矢印で示す下方へ駆動される。
【0036】
それによって、離型テープ13は上記ダンサローラ15によって付与された張力に抗して上記送りチャック18により、そのストロークに応じた所定の長さで送られる。離型テープ13の送り方向、つまり走行方向を図1に矢印Xで示す。
【0037】
上記送りチャック18によって離型テープ13が送られると、上記保持チャック17の一対の挟持片17aが第1の開閉駆動源22によって閉じられ、各挟持片17aの側面に形成された挟持面17bによって離型テープ13が保持される。
【0038】
ついで、送りチャック18の一対の挟持片18aが開放されて上昇位置まで駆動された後、閉方向に駆動されて上記挟持片18aの側面に形成された挟持面18bによって離型テープ13を挟持する。
【0039】
それと同時に、保持チャック17が開いて送りチャック18が上下駆動源24によって図1に矢印で示す下降方向に駆動されて離型テープ13を所定の長さで送るということが繰り返して行われる。
【0040】
図4と図5に示すように、上記保持チャック17と送りチャック18のそれぞれ一対の挟持片17a,18aのうち、上記離型テープ13の上記粘着テープ12が貼着された面に対向する一方の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bは、たとえばショットピーニング加工を施すなどして図6に示すように粗面rに形成されている。なお、粗面rは、挟持面17b,18bの全体に形成しているが、17b,18bの離型テープ13を挟持する部分だけに形成するようにしてもよい。
【0041】
さらに、各チャック17,18の一方の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bには上下方向に所定間隔で離間した流動溝としての一対の油溝5が上下方向と交差する前後方向に沿って形成されている。上記挟持面17b,18bの離型テープ13を挟持する部分から外れた後端部には各油溝5の後端が連通する凹状の非粘着剤溜りとしての油溜り6が形成されている。各油溜り6には粘度が高く、たとえばシリコン系などの非粘着性の油脂などの流動性を有する非粘着剤としてのグリースが充填されている。なお、グリースは、貼着装置の始動前に上記油溜り6だけでなく、上記油溝5に充填しておく方が好ましい。
【0042】
各油溜り6に充填されたグリースは徐々に油溝5に流れ、この油溝5から各挟持片17a,18aの粗面rに形成された挟持面17b,18bに拡散する。つまり、粗面rは多数の凸部と連続する凹部を有するから、上記油溝5に流れたグリースは粗面rの凹部に流れて粗面rの全体に拡散することになる。
【0043】
したがって、上記保持チャック17及び送りチャック18の各挟持片17a,18aの挟持面17b,18bによって挟持される離型テープ13の一方の面に粘着テープ12が残留していても、その粘着テープ12によって離型テープ13の一方の面が各挟持片17a,18aの挟持面17b,18bに貼着するのが防止されるようになっている。
【0044】
この実施の形態では、上記粗面r、上記油溝5及び上記油溜り6によって貼着阻止手段を構成している。
【0045】
なお、上記保持チャック17及び送りチャック18の各挟持片17a,18aの挟持面17b,18bを粗面rに形成することで、油脂を挟持面17b,18bに拡散させるようにしたが、各挟持片17a,18aを焼結含油金属やオイルレス金属(オイル含油金属)などの多孔質材料で形成してもよい。
【0046】
そのようにすれば、挟持面17b,18bは含油の多孔質材料によって凹部と凸部を有する粗面となるから、多孔質材料中に含油した油が染み出して潤滑油膜を形成することができる。
【0047】
なお、各挟持片17a,18aを焼結含油金属やオイルレス金属などの多孔質材料で形成した場合、挟持面17b,18bに油溝5を設けたり、挟持片17a,18aに油溜り6を設けなくとも、上記17b,18bに離型テープ13が貼着するのを防止することができる。
【0048】
また、上記保持チャック17及び送りチャック18の各一対の挟持片17a,18aのうち、離型テープ13の粘着テープ12が貼着されていた面に対向する挟持面17b,18bだけを油溝5と油溜り6を有する粗面rに形成したが、一対の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bを、油溝5と油溜り6を有する粗面rに形成してもよい。
【0049】
各挟持片17a,18aの挟持面17b,18bの片方のみに油溝5を設けた場合、離型テープ13の粘着テープ12が貼着された面が貼着するのが防止される。
【0050】
また、各挟持片17a,18aの挟持面17b,18bの両方に油溝5を設けた場合、離型テープ13の粘着テープ12が貼着された面と粘着テープ12が貼着されていない面との両方が貼着するのが防止される。
【0051】
上記離型テープ13が上記ダンサローラ15によって垂直方向上方に方向変換された部分には、その離型テープ13の粘着テープ12が貼着された一側面と反対側の他側面に帯板状の支持部材27が設けられている。上記離型テープ13は上記支持部材27の板面に沿って走行するようになっている。
【0052】
上記粘着テープ12の上記支持部材27に対向する部位には、図2に示すように離型テープ13に貼着された粘着テープ12に一対の切断線28aを形成し、この切断線28aによって上記粘着テープ12に抜き取り部28bを形成する切断機構31が設けられている。
【0053】
上記切断機構31は、軸線を上記離型テープ13の側面に対して直交する状態で配置された駆動源としての切断用シリンダ32と、この切断用シリンダ32のロッド32aに連結された台座33に所定の間隔で設けられた一対の切断刃34によって構成されている。
【0054】
上記切断用シリンダ32によって切断刃34が図2に矢印Sで示すように離型テープ13に貼着された粘着テープ12に向かって駆動されると、この粘着テープ12に一対の切断刃34によって一対の上記切断線28aが形成される。つまり、粘着テープ12に抜き取り部28bが形成される。
【0055】
粘着テープ12に抜き取り部28bが形成されると、離型テープ13は上記送り機構20の送りチャック18のストロークに対応するピッチP(図2に示す)で間欠的に搬送される。それによって、上記粘着テープ12に上記切断機構31によって形成された抜き取り部28bが抜き取り機構36に対向位置する。
【0056】
上記抜き取り機構36は、駆動源としての抜き取り用シリンダ37を有し、この抜き取り用シリンダ37のロッド37aには台座38が設けられている。この台座38には押圧部38aが設けられ、この押圧部38aの先端面には供給リールから繰り出されて巻取りリール(ともに図示せず)に巻き取られて走行する貼着テープ39が張設されている。
【0057】
上記抜き取り用シリンダ37が作動して上記貼着テープ39が上記押圧部38aによって上記粘着テープ12に形成された抜き取り部28bに押圧されると、その抜き取り部28bが上記貼着テープ39に貼着されて除去されるようになっている。
【0058】
なお、図3に示すように上記切断用シリンダ32と抜き取り用シリンダ37との作動、つまり各シリンダ32,37に対する図示しない制御弁を介しての圧縮空気の供給・排出は上記制御装置25によって行われる。
【0059】
このように、粘着テープ12に切断機構31によって所定のピッチPで形成された抜き取り部28bを、上記抜き取り機構36の貼着テープ39によって貼着除去すれば、上記粘着テープ12は所定の長さの切断部12aに分断されることになる。この切断部12aは後述する電子部品としてのTCP42の幅寸法とほぼ同じ長さに設定される。
【0060】
なお、上記上下駆動源24によって駆動される上記送りチャック18のストロークは変更可能となっている。それによって、上記切断機構31で切断される粘着テープ12の切断部12aの長さをTCP42のサイズ変更などに応じて設定することができる。
【0061】
上記粘着テープ12が所定長さの切断部12aに分断されたのち、上記送り機構20による離型テープ13のピッチ送りが複数回繰り返されると、その切断部12aは上記TCP42が位置決めされて待機する貼着位置B(図1に示す)に搬送される。
【0062】
上記貼着位置Bには、この貼着位置Bに搬送された粘着テープ12の切断部12aの上方に回転テーブル44が設けられている。この回転テーブル44には周方向に所定角度で複数の保持部45が設けられている。
【0063】
各保持部45には上記TCP42の幅方向と交差する方向の一端部の上面が吸着保持され、その一端部の下面に粘着テープ12の切断部12aが貼着されるようになっている。上記保持部45に吸着保持された上記TCP42は、上記貼着位置Bに搬送されて位置決めされた上記粘着テープ12の切断部12aよりもわずかに上方に位置している。
【0064】
そして、上記回転テーブル44は、図3に示すように上記制御装置25によって制御される回転駆動源46によって所定角度ずつ回転駆動される。それによって、TCP42を吸着保持した上記保持部45が上記貼着位置Bの上方に順次位置決めるようになっている。
【0065】
図1に示すように、上記離型テープ13の下方には上記回転テーブル44と対向する位置に貼着手段47が設けられている。この貼着手段47は上記切断部12aよりもわずかに大きな平面形状の加圧ツール48を有する。この加圧ツール48は上記制御装置25によって駆動が制御される上下用シリンダ49によって上下方向に駆動されるようになっている。
【0066】
上記加圧ツール48にはヒータ50が内蔵されていて、このヒータ50によって所定の温度、つまり上記粘着テープ12をTCP42に確実に貼着することができる温度に加熱されるようになっている。なお、詳細は図示しないが、上記ヒータ50への通電も、上記制御装置25によって制御される。
【0067】
上記上下用シリンダ49が作動して上記加圧ツール48が上昇方向に駆動されると、上記貼着位置Bに位置決めされた粘着テープ12の切断部12aが離型テープ13を介して上記貼着位置Bに位置決めされた保持部45に保持されたTCP42に押圧貼着される。
【0068】
上記TCP42に上記切断部12aが貼着されると、この切断部12aから離型テープ13が図示しない離型ローラによって剥離される。ついで、上記回転テーブル44が所定角度回転駆動され、新たなTCP42が上記貼着位置Bに位置決めされる。また、粘着テープ12の切断部12aが貼着されたTCP42は保持部45から実装ツールに受け渡されて液晶表示パネルなどの基板(ともに図示せず)に実装される。
【0069】
上記構成の貼着装置によれば、離型テープ13は送り機構20によって供給リール11から所定の長さずつ間欠的に引き出され、一対のガイドローラ16a,16bによって粘着テープ12が貼着された面を上に向けて水平にガイドされて走行する。
【0070】
離型テープ13に貼着された粘着テープ12には、上流側のガイドローラ16aに到る前に、切断機構31の一対の切断刃34によって抜き取り部28bが切断形成される。そして、離型テープ13が送り機構20の送りチャック18によって所定のストロークで搬送される毎に、上記抜き取り部28bは抜き取り機構36の貼着テープ39によって除去される。それによって、離型テープ13に貼着された粘着テープ12は所定長さの切断部12aに分断される。
【0071】
このようにして、分断された粘着テープ12の切断部12aが貼着位置Bに到達すると、貼着手段47の加圧ツール48が上下用シリンダ49によって上昇方向に駆動される。それによって、粘着テープ12の切断部12aは貼着位置Bで回転テーブル44の保持部45に保持されて位置決めされたTCP42の下面に加熱されながら加圧されるから、その切断部12aが上記TCP42に貼着される。
【0072】
貼着位置Bで粘着テープ12の切断部12aがTCP42に貼着されても、離型テープ13の上面には粘着テープ12が切断機構31の一対の切断刃34によって抜き取り部28bが切断形成されたときなどに、その一部が残留物として残留していることがある。
【0073】
そして、離型テープ13のピッチ送りが送り機構20によって繰り返して行われることで、粘着テープ12が残留した離型テープ13が上記送り機構20の保持チャック17や送りチャック18の箇所に到達することになる。
【0074】
粘着テープ12が残留した離型テープ13が各チャック17,18の一対の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bによって挟持されると、離型テープ13の粘着テープ12が貼着されていた面に対向するそれぞれ一方の挟持面17b,18bには離型テープ13が貼着して絡み、離型テープ13をピッチ送りすることができなくなるということがある。
【0075】
しかしながら、上記各チャック17,18の一対の挟持片17a,18aのうち、離型テープ13の粘着テープ12が貼着されていた面に対向する挟持面17b,18bは図5と図6に示すように粗面rに形成され、この粗面rには非粘着剤としての油脂である、グリースが充填された油溜り6に連通する油溝5が形成されている。そして、油溜り6のグリースは油溝5に流れ、この油溝5から粗面rに拡散することになる。
【0076】
したがって、粘着テープ12が残留する離型テープ13をピッチ送りするために、各チャック17,18の一対の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bによる挟持と開放が繰り返して行われても、上記挟持面17b,18bに上記離型テープ13の粘着テープ12が残留する面が貼着して絡み、離型テープ13のピッチ送りが円滑に行えなくなるということが防止される。
【0077】
また、切断機構31によって所定の長さの切断部12aに分断された粘着テープ12が貼着作業の中断などによってTCP42に貼着されずに離型テープ13に残留した状態で送り機構20に送られてきたり、貼着装置の立ち上げ時に離型テープ13の頭出しをする際に粘着テープ12の切断部12aが残留する離型テープ13が送り機構20に送られてきたりしても、離型テープ13が挟持片17a,18aの挟持面17b,18bに貼着して絡み付くのを防止することができる。
【0078】
図7はこの発明の第2の実施の形態を示す。上記第1の実施の形態では、貼着阻止手段を構成する流動溝としての油溝5は各チャック17,18の一対の挟持片17a,18aのうち、少なくとも離型テープ13の粘着テープ12が貼着されていた面に対向する一方の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bに形成したが、この第2の実施の形態では貼着阻止手段を構成する非粘着剤溜りとしての油溜り6Aを挟持面17b,18bに隣接する挟持片17a,18aの上面に形成している。
【0079】
そして、上記油溜り6Aには非粘着剤としてグリースよりも粘度の低い、シリコン系などの非粘着性で、常温で流動する粘度のオイルが充填される。つまり、油溜り6Aに粘度の低いオイルを充填するため、この油溜り6Aに充填されたオイルが滴下せずに油溝5に流れるよう、油溜り6を挟持片17a,18aの上面に形成するようにしている。
なお、上記油溜り6Aの底部と油溝5の後端は連通路51によって連通している。
【0080】
このような構成であっても、挟持片17a,18aの粗面rに形成された挟持面17b,18bにオイルを拡散させることができるから、粘着テープ12が残留する離型テープ13が上記挟持面17b,18bに貼着して絡むのを防止することができる。
【0081】
図8はこの発明の第3の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一部分には同一記号を付して説明を省略する。この第3の実施の形態では、各チャック17,18の一対の挟持片17a,18aのうち、少なくとも離型テープ13の粘着テープ12が貼着された面に対向する一方の挟持片17a,18aに、たとえばシリコン系などの非粘着性の樹脂などのチューブ状の被覆材66を被着し、この被覆材66を熱収縮させることで、上記挟持片17a,18aの挟持面17b,18bの、少なくとも離型テープ13を挟持する部分を被覆材66によって被覆して粘着テープ12が残留する離型テープ13が貼着するのを阻止する貼着阻止手段とした。
【0082】
なお、チューブ状の被覆材66によって挟持片17a,18aを全体的に被覆するようにしたが、たとえば挟持面17b,18bにシリコン系などの非粘着性の樹脂を塗布することで、挟持片17a,18aの少なくとも挟持面17b,18bだけを被覆するようにしてもよい。また、一対の挟持片17a,18aの挟持面17b,18bを被覆材66によって被覆して貼着阻止手段としてもよい。
【0083】
このような構成によれば、送り機構20に送られてきた離型テープ13に粘着テープ12が貼着していても、挟持面17b,18bを被覆した被覆材66によって上記挟持面17b,18bに離型テープ13が貼着するのが防止されるから、離型テープ13が挟持片17a,18aに絡んでピッチ送りが円滑に行えなくなるのを防止することができる。
【0084】
上述した各実施の形態では所定の長さに切断された粘着テープをTCPに実装する場合を例に挙げて説明したが、上記粘着テープを上記TCPが実装される基板に貼着する場合であっても、この発明を適用することができる。つまり、電子部品はTCPに限られず、TCPが実装される基板であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
5…油溝(流動溝)、6,6A…油溜り(非粘着剤溜り)、11…供給リール(供給部)、12…粘着テープ、13…離型テープ、17…保持チャック、18…送りチャック、17a,18a…挟持片、17b,18b…挟持面、20…送り機構、25…制御装置、31…切断機構、36…抜き取り機構、42…TCP(電子部品)、47…貼着手段、48…加圧ツール(貼着手段)、49…上下用シリンダ、66…被覆材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動される一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、これらチャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段を具備し、
上記各チャックの挟持片の挟持面のうち、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持面には、この挟持面を流動性を有する非粘着剤によって湿潤させるための流動溝が形成されていて、この流動溝には上記挟持片に形成された非粘着剤溜りから上記非粘着剤が供給されることを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記挟持片の上記流動溝が形成された挟持面は、上記非粘着剤溜りから上記流動溝に流れた非粘着剤を上記挟持面に拡散させる粗面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
上記挟持片の上記流動溝が形成された挟持面は、上記非粘着剤溜りから上記流動溝に流れた非粘着剤を上記挟持面に拡散させる多孔質材料によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項4】
上記非粘着剤はグリースであって、上記非粘着剤溜りは上記挟持面の上記離型テープを挟持する部分から外れた箇所に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項5】
上記非粘着剤はオイルであって、上記非粘着剤溜りは上記挟持片の側面に形成された上記挟持面と隣接する上面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項6】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動されるとともに上記離型テープを挟持する挟持面が形成された一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する一方の挟持片の上記挟持面は非粘着性の被覆材で被覆されていて、上記各チャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項7】
離型テープに貼着されて所定長さに切断された粘着テープを電子部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記離型テープの供給部と、
開閉駆動される一対の挟持片を有する保持チャックと送りチャックを備え、これらチャックの一対の挟持片の開閉及び上記送りチャックの駆動によって上記離型テープを上記供給部から所定の長さずつ間欠的に引き出して走行させる送り機構と、
この送り機構によって引き出されて走行する上記離型テープに貼着された粘着テープを上記所定の長さに切断する切断機構と、
この切断機構によって切断されて貼着位置に位置決めされた上記所定の長さの粘着テープを上記貼着位置で待機する上記電子部品に加圧加熱して貼着する貼着手段と、
上記各チャックの挟持片のうち、少なくとも上記離型テープの上記粘着テープが貼着されていた面に対向する挟持片に設けられこの挟持片に上記粘着テープが残留する上記離型テープが貼着するのを阻止する貼着阻止手段と、
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−209491(P2012−209491A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75329(P2011−75329)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】