説明

粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置

本発明は、粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置に関する。本発明によれば、高温または高湿条件の下で優れた耐久信頼性を示し、切断性や再剥離性などの作業性に優れていて、特に液晶表示装置で発生する光漏れ現象を効果的に抑制することができる粘着剤組成物、その硬化物を含む偏光板及び液晶表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置に関する。
【0002】
液晶表示装置(liquid crystal display)は、2枚のガラス基板の間に液晶を注入し、画面を表示する装置である。上記装置では、液晶に連結された電極を通じて電圧を印加すれば、液晶の分子配列方式が変わり、これにより、液晶を通過する光の透過率が変わることによって、画像を表示することができる。このような液晶表示装置は、電力消耗が少なく、且つ平面的に薄くすることができるという長所を有し、現在様々な分野において注目されている表示装置である。
【0003】
液晶表示装置を製造するためには、液晶及び電極層が形成された透明基板を含む液晶セルと偏光板が必要であり、また、これらを接合するための接着剤または粘着剤が必要である。
【背景技術】
【0004】
液晶表示装置の設計時に考慮すべき主要な特性の1つは、低光漏れ特性である。すなわち液晶表示装置に含まれる偏光板には、位相差板、広視野角補償板または輝度向上フィルムのような機能性フィルムがさらに付着されることができる。ところが、このように多層の偏光板を構成する各々の機能性フィルムは、互いに異なる分子構造及び組成を有する材料で製造され、これにより、互いに異なる物理的特性を示す。これにより、特に、高温及び/または高湿条件では、各々の材料の収縮及び膨脹挙動の差異によって寸法安定性が劣化する問題がある。したがって、偏光板が粘着剤などによって固定されている場合、高温及び/または高湿条件の下で応力が集中し、複屈折が発生し、光漏れが起きる問題がある。
【0005】
このような問題点を解決するための代表的な方法には、偏光板を固定する粘着剤などの設計を最適化する方法がある。例えば、粘着剤を外部応力に対して変形しやすいように柔らかく設計し、応力緩和特性を付与するか、または非常にハードに設計し、外部環境による偏光板の収縮を抑制する方法などが使用されている。
【0006】
また、特許文献1は、相対的に分子量が大きいアクリル樹脂及び相対的に分子量が小さいアクリル樹脂を配合し、粘着剤に応力緩和特性を付与することによって、光漏れ現象を改善する方法を開示する。
【0007】
また、特許文献2は、残留応力下で正の複屈折を示す物質を粘着剤に配合し、複屈折を補償する方法を開示する。
【0008】
しかし、粘着剤が有する応力緩和特性の制御だけでは、効果的な光漏れ抑制能を付与しにくい。また、残留応力下で正の複屈折を示す物質を配合する場合にも、粘着樹脂との相溶性低下に起因して、粘着性や耐久性のような必須な物性が低下するという短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本国特開平10−279907号公報
【特許文献2】大韓民国特許公開2003−0069461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、粘着剤組成物、偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による粘着剤組成物は、重量平均分子量が80万〜200万のアクリル樹脂と、常温で液相に存在する光学異方性化合物とを含む。
【0012】
また、本発明による偏光板は、偏光フィルムまたは偏光素子と、上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成され、本発明による粘着剤組成物の硬化物を含有する粘着層とを含む。
【0013】
また、本発明による液晶表示装置は、本発明による偏光板が液晶セルの一面または両面に付着されている液晶パネルを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高温または高湿条件の下で優れた耐久信頼性を示し、切断性や再剥離性などの作業性に優れていて、特に液晶表示装置で発生する光漏れ現象を効果的に抑制することができる粘着剤組成物、その硬化物を含む偏光板及び液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、重量平均分子量が80万〜200万のアクリル樹脂と;常温で液相に存在する光学異方性化合物と;を含む粘着剤組成物に関する。
【0016】
以下、本発明の粘着剤組成物を詳しく説明する。
本発明において使用するアクリル樹脂は、重量平均分子量が80万〜200万の範囲内に設計される。粘着剤組成物に含まれるアクリル樹脂の重量平均分子量が80万未満なら、凝集力の低下に起因して耐久信頼性に問題が生じるおそれがあり、200万を超過すれば、応力緩和性が低下し、光漏れ抑制効果が低下するおそれがある。
【0017】
本発明において使用することができるアクリル樹脂の具体的な組成は、特に限定されない。本発明においては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体90重量部〜99.9重量部と;架橋性単量体0.1重量部〜10重量部と;を含む単量体混合物の重合体であることができる。
【0018】
なお、本発明においては、場合によって、芳香族置換基を含むアクリル樹脂を使用することができる。芳香族置換基を含むアクリル樹脂は、上記のような通常的なアクリル系単量体に芳香族環含有単量体を共重合させて製造することができる。通常的にアクリル系単量体は、残留応力下で負の複屈折を示し、これにより、偏光板などの光学部品に適用された時、光漏れを誘発するおそれがある。芳香族環含有単量体は、残留応力下で正の複屈折を示す化合物であって、これをアクリル系単量体と適切に共重合させることによって、光学補償が可能である。
【0019】
より具体的に、上記アクリル樹脂が芳香族置換基を含む場合、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体55重量部〜94.9重量部と;芳香族環含有単量体5重量部〜35重量部と;架橋性単量体0.1重量部〜10重量部と;を含む単量体混合物の重合体であることができる。
【0020】
上記で、(メタ)アクリル酸エステル単量体の種類は、特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用することができる。この場合、単量体に含まれるアルキル基が過度に長鎖になれば、粘着剤の凝集力が低下し、ガラス転移温度(Tg)または粘着性の調節が難しくなるおそれがあるので、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を使用することが好ましい。このような単量体の例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートを挙げることができ、本発明においては、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができる。本発明において、上記のような(メタ)アクリル酸エステル単量体は、架橋性単量体の含量に対して90重量部〜99.9重量部の量で単量体混合物に含まれるか;または架橋性官能基または芳香族環含有単量体の含量に対して55重量部〜94.9重量部の量で単量体混合物に含まれることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体の含量が少なすぎれば、粘着物性の均衡が低下するおそれがあり、多すぎれば、残留応力下で負の複屈折が過度に大きくなって、光漏れ現象が発生するおそれがある。しかし、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体の含量は、本発明の1つの例示に過ぎず、本発明においては、重合体内に芳香族置換基の包含有無及びその種類;または光学異方性化合物の含量及びその種類などを考慮して、上記単量体の物性を適宜制御することができる。
【0021】
なお、本発明の単量体混合物に含まれる芳香族環含有単量体の種類も特に限定されず、例えば、芳香族環を含む(メタ)アクリレート系単量体を使用することができる。このような単量体のより具体的な例として、下記化学式1で表される化合物を挙げることができる。
【0022】
【化1】

【0023】
上記化学式1で、Rは、水素またはアルキルを示し、Aは、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンを示し、nは、0〜3の整数を示し、Qは、単結合、−O−、−S−、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンを示し、Pは、芳香族環を示す。
【0024】
上記化学式1の定義で、「単結合」は、両側の原子団が別途の原子を媒介にせず、直接結合された場合を意味する。
【0025】
上記化学式1の定義で、Rは、好ましくは水素または炭素数1〜4のアルキルであることができ、より好ましくは水素、メチルまたはエチルであることができる。
【0026】
また、上記化学式1の定義で、Aは、炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキレンであることができ、より好ましくはメチレン、エチレン、ヘキシレンまたはオクチレンであることができる。
【0027】
また、上記化学式1の定義で、アルケニレンまたはアルキニレンは、炭素数2〜12、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜4のアルケニレンまたはアルキニレンであることができ、具体的には、エテニレン、エチニレン、プロペニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0028】
また、上記化学式1の定義で、nは、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0または1であることができる。
【0029】
また、上記化学式1の定義で、Qは、好ましくは単結合、−O−または−S−であることができる。
【0030】
また、上記化学式1の定義で、Pは、芳香族化合物から誘導される置換基であって、好ましくは炭素数6〜20の芳香族環、より好ましくはフェニル、ビフェニル、ナフチルまたはアントラセニルであることができ、さらに好ましくはフェニルであることができる。
【0031】
また、上記化学式1の化合物で、芳香族環は、任意に1つ以上の置換基によって置換されてもよく、上記で、置換基の具体的な例として、ハロゲンまたはアルキル、好ましくはハロゲンまたは炭素数1〜12のアルキル、より好ましくは塩素、臭素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ノニルまたはドデシルを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
上記のような化学式1の化合物の具体的な例として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルチオ−1−エチル(メタ)アクリレート、6−(4、6−ジブロモ−2−イソプロピルフェノキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(4、6−ジブロモ−2−sec−ブチルフェノキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、2、6−ジブロモ−4−ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2、6−ジブロモ−4−ドデシルフェニル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)−1−エチル(メタ)アクリレート、6−(1−ナフチルオキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(2−ナフチルオキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、8−(1−ナフチルオキシ)−1−オクチル(メタ)アクリレート及び8−(2−ナフチルオキシ)−1−オクチル(メタ)アクリレートの1種または2種以上の混合物を挙げることができ、好ましくはフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート2−フェニルチオ−1−エチルアクリレート、8−(2−ナフチルオキシ)−1−オクチルアクリレート及び2−(1−ナフチルオキシ)−エチルアクリレートの1種または2種以上を挙げることができ、より好ましくはフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートの1種または2種以上の混合物であることができる。
【0033】
本発明において、芳香族環含有単量体は、単量体混合物内で、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体または架橋性単量体の含量に対して5重量部〜35重量部の量で含まれることができる。上記含量が5重量部未満なら、上記単量体の添加による光学補償効果が極めて弱いおそれがあり、35重量部を超過すれば、粘着物性または再剥離性などの物性が低下するか、場合によっては、光学補償効果がむしろ悪くなるおそれがある。しかし、上記単量体の含量は、本発明の1つの例示に過ぎず、本発明においては、光学異方性化合物の含量及びその種類などを考慮して、上記単量体の含量を適宜制御することができる。
【0034】
本発明において、単量体混合物に含まれる架橋性単量体は、後述する多官能性架橋剤と反応して粘着剤に凝集力を付与し、粘着力及び耐久信頼性などを調節することができる架橋性官能基を重合体に付与することができる。このような架橋性単量体の例として、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体及び窒素含有単量体を挙げることができる。上記で、ヒドロキシ基含有単量体の例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートを挙げることができ、カルボキシル基含有単量体の例として、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物を挙げることができ、窒素含有単量体の例として、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、上記のうち1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0035】
本発明において架橋性単量体は、前述した(メタ)アクリル酸エステル単量体または芳香族環含有単量体の含量に対して0.1重量部〜10重量部で単量体混合物に含まれることができる。上記含量が0.1重量部未満なら、粘着剤の耐久信頼性が低下するおそれがあり、10重量部を超過すれば、粘着性及び/または剥離力が低下するおそれがある。
【0036】
本発明において上記単量体混合物は、必要によって、下記化学式2で表示される単量体をさらに含むことができる。このような単量体は、粘着剤のガラス転移温度調節及びその他の機能性付与を目的に付加することができる。
【0037】
【化2】

【0038】
上記式中、R〜Rは、各々独立的に水素またはアルキルを示し、Rは、シアノ;アルキルで置換または非置換されたフェニル;アセチルオキシ;またはCORを示し、この時、Rは、アルキルまたはアルコキシアルキルで置換または非置換されたアミノまたはグリシジルオキシを示す。
【0039】
上記式のR〜Rの定義で、アルキルまたはアルコキシは、炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜12のアルキルまたはアルコキシを意味することができ、具体的には、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシであることができる。
【0040】
化学式2の単量体の具体的な例として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのような窒素含有単量体;スチレンまたはメチルスチレンのようなスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;またはビニルアセテートのようなカルボン酸ビニルエステルなどの1種または2種以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記のような単量体は、単量体混合物内に、前述した(メタ)アクリル酸エステル単量体または架橋性単量体の含量に対して20重量部以下の量で含まれることができる。上記含量が20重量部を超過すれば、粘着剤の柔軟性や剥離力が低下するおそれがある。
【0041】
本発明において上記のような単量体混合物を使用して重合体を製造する方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合、光重合、バルク重合、サスペンション重合またはエマルジョン重合のような一般的な重合法を通じて製造することができる。本発明においては、特に溶液重合法を使用することが好ましく、溶液重合は、各々の単量体が均一に混合された状態で開始剤を混合し、50℃〜140℃の重合温度で行うことが好ましい。この時に使用されることができる開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルまたはアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルのようなアゾ系重合開始剤;及び/または過酸化ベンゾイルまたは過酸化アセチルのような過酸化物などの通常の開始剤を挙げることができる。
【0042】
本発明の粘着剤組成物は、常温で液相に存在するものであって、光学異方性を有する化合物を含む。
【0043】
具体的に、本発明においては、常温以下の融点を有し、常温で液相に存在し、分子構造中にメソゲン(mesogen)コアを含む光学異方性化合物を使用することができる。
【0044】
上記で、「常温」は、昇温または感温状態でなく、自然そのままの温度を意味するものであって、例えば、約15℃〜30℃、好ましくは約20℃〜30℃、より好ましくは約25℃の温度を意味することができる。
【0045】
なお、「メソゲン」は、通常的に液晶化合物(liquid crystal compound)に含まれて硬質部(rigid part)を構成する成分であって、本発明においては、例えば、2つ以上のベンゼン環が連結されているコア構造を意味することができる。上記で、2つ以上のベンゼン環は、互いに直接連結されてもよく、場合によっては、他の原子または原子団を介して連結されてもよい。また、上記で使用したベンゼン環は、ベンゼンはもちろん、その誘導体をも含む概念である。本発明においてメソゲンコアは、好ましくはビフェニル、トルエン及びベンゼン環から選択されるコア構造を3個以上含む構造を意味することができる。このようなメソゲンコアは、例えば、偏光板の収縮のような外部刺激に対して化合物を一定方向に整列させることができ、全体的に正の複屈折特性を示すようにすることができる。これにより、本発明による光学異方性化合物は、例えば、偏光板の収縮などによって発生する負の複屈折を光学的に補償する効果を奏することができる。
【0046】
なお、本発明において使用する上記光学異方性化合物は、場合によっては、粘着剤に適切な柔軟性を付与し、応力緩和性を有するようにする効果を発揮することもできる。
【0047】
通常、上記のような光学異方性化合物は、結晶性が高く、高分子との相溶性が劣化しているので、非常に少量が使用されても、結晶として析出されるか、または相分離現象が発生する。
【0048】
しかし、本発明の場合、前述のように、常温で液相に存在する光学異方性化合物を使用することによって、粘着樹脂との相溶性問題を解決することができる。
【0049】
なお、本発明の上記光学異方性化合物は、屈折率が1.49〜1.60、好ましくは1.50〜1.55の範囲にあり得る。光学異方性化合物の屈折率を前述の範囲内に制御することによって、粘着剤がさらに優れた透過度を有し、また、ヘイズ(haze)の発生も抑制することができる効果がある。本発明において屈折率は、アッベ屈折計(ABBE refractometer)を使用して測定することができ、具体的には、25℃でナトリウムD線を照射して測定することができる。
【0050】
本発明において使用することができる光学異方性化合物の具体的な種類は、前述の物性を満足するものなら特に限定されず、例えば、下記化学式3で表示される化合物であることができる。
【0051】
【化3】

【0052】
上記化学式3で、
【化4】

【0053】
上記で、Zは、C−WまたはNであり;
〜Q16及びWは、各々独立的に水素、ハロゲン、シアノ、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキルオキシ、−R、−OR、−NHR、−N(R、−C(=O)R、−SR、−SOR、−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、または−OC(=O)ORであり;
上記で、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルまたは−(RO)であり;上記で、Rは、アルキレンであり、Rは、アルキルであり、qは、1〜5の整数であり;
l、m、n及びoは、各々独立的に0〜2の整数であり、l+m+n+oは、2以上の整数であり;
E及びFは、各々独立的に水素、ハロゲン、シアノ、−R、−OR、−NHR、−N(R、−NCO、−NCS、−C(=O)Rまたは−Si(Rであり;
、G、及びGは、各々独立的に単結合、−O−、−RO−、−NR−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたは−U−T−V−であり;上記U及びTは、各々独立的に単結合、−S−、−NR−、−O(CH−、カルボニルまたは−O−であり、Vは、単結合、−O−、カルボニル、−NR−、−S−、−(CH−、−O(CH−、または−(CHO−であり、pは、0〜5の整数である。
【0054】
上記化学式3の定義で、アルキルまたはアルキレンは、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキルまたはアルキレンであることができ、アルケニル、アルケニレン、アルキニルまたはアルキニレンは、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル、アルケニレン、アルキニルまたはアルキニレンであることができる。
【0055】
また、上記化学式3の定義で、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニルまたはアルキニレンは、ヒドロキシ;シアノ;ハロゲン、好ましくは塩素または臭素;炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル;炭素数1〜12、好ましくは1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ;炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4のアルキニル;または炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8、より好ましくは炭素数2〜4のアルケニルによって置換されてもよい。
【0056】
また、上記化学式3の定義で、「単結合」は、両側の原子団が別途の原子を媒介にせず、直接結合されている場合を意味する。
【0057】
また、上記化学式3の定義で、l、m、n及びoは、好ましくはl、m及びoが1であり、nが0であるか、または、l及びoが1であり、m及びnが0であることができる。
【0058】
また、上記化学式3の定義で、E及びFは、好ましくは水素、シアノ、炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシまたは炭素数1〜8のアルキル基で置換されたシリルであることができ、より好ましくは水素、シアノ、プロピル、ヘキシルまたはヘキシルジメチルシリルであることができる。
【0059】
また、上記化学式3の定義で、
【化5】

は、好ましくは
【化6】

であり、上記で、Zは、C−WまたはNであり、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、Rは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであることができる。
【0060】
また、上記化学式3の定義で、Gは、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレン、炭素数2〜4のアルキニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−OC(=O)−または−C(=O)−O−であることができ、より好ましくは、Gは、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であることができ、また、上記化学式3の定義で、G及びGは、好ましくは各々独立的に単結合、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレンまたは炭素数2〜4のアルキニレンであることができ、より好ましくは各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0061】
また、上記化学式3の化合物は、より好ましくは
l、m、n及びoにおいて、l、m及びoが1であり、nが0であるか、またはl及びoが1であり、m及びnが0であり、
E及びFは、水素、シアノ、エチル、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、エトキシ、プロポキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、トリメチルシリル、トリヘキシルシリルまたはヘキシルジメチルシリルであり、
【化7】

は、
【化8】

であり、
上記で、Zは、C−WまたはNであり、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、
は、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり、Gは、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり、
及びGは、各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0062】
また、上記化学式4の化合物は、より好ましくは
l、m、n及びoにおいて、l、m及びoが1であり、nが0であるか、またはl及びoが1であり、m及びnが0であり、
E及びFは、水素、シアノ、エチル、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、エトキシ、プロポキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、トリメチルシリル、トリヘキシルシリルまたはヘキシルジメチルシリルであり、
【化9】

は、
【化10】

であり、
上記で、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、Rは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり、
【化11】

は、各々独立的に
【化12】

であり、
は、好ましくはエテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり、
及びGは、各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0063】
また、上記化学式4の化合物は、さらに好ましくは
l、m、n及びoにおいて、l、m及びoが1であり、nが0であるか、またはl及びoが1であり、m及びnが0であり、
Eは、水素であり、Fは、水素、シアノ、エチル、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、エトキシ、プロポキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、トリメチルシリル、トリヘキシルシリルまたはヘキシルジメチルシリルであり、
【化13】

は、
【化14】

であり、
上記で、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、Rは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり、
【化15】

は、各々独立的に
【化16】

であり、
は、好ましくはエテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり、
及びGは、各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0064】
また、上記化学式4の化合物は、より好ましくは
l、m、n及びoにおいて、l、m及びoが1であり、nが0であるか、またはl及びoが1であり、m及びnが0であり、
E及びFは、水素であり、
【化17】

は、
【化18】

であり、
上記で、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、Rは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり、
【化19】

は、各々独立的に
【化20】

であり、
は、好ましくはエテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり、
及びGは、各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンであることができる。
【0065】
また、本発明において上記光学異方性化合物は、メソゲンのメタ位置に1つ以上の置換体を有することが好ましい。上記で使用した用語「メソゲンのメタ位置」は、メソゲンコアを構成するベンゼン環のうち1つ以上のメタ位置を意味し、好ましくはメソゲンコアを構成するベンゼン環のうち末端に存在するベンゼン環のメタ位置を意味する。このようにメソゲンのメタ位置に1つ以上の置換体を含む場合、光学異方性化合物の粘着樹脂との相溶性などの物性がさらに向上させることができ、これにより、光学異方性化合物の添加による効果をさらに上昇させることができる。この時、上記メソゲンのメタ位置に存在する置換体の種類は、特に限定されず、例えば、アルキル、アルケニル及びアルキニルよりなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0066】
この場合、上記化学式3の定義で、
【化21】


【化22】

であり、この場合、Eが水素であるか;及び/または
【化23】


【化24】

であり、この場合、Fが水素であることができる。
【0067】
上記で、Q、Q、Q14、Q15及びWは、各々独立的に前述のような置換基または前述の置換基のうち好ましい置換基であることができ、より好ましくは上記置換基のうちアルキル、アルケニルまたはアルキニルを含む置換基であることができる。
【0068】
本発明においては、具体的に、上記化学式3の光学異方性化合物として、下記化学式4〜24で表示される化合物のうち1つ以上を使用することができる。
【0069】
【化25】

【0070】
【化26】

【0071】
【化27】

【0072】
【化28】

【0073】
【化29】

【0074】
【化30】

【0075】
【化31】

【0076】
【化32】

【0077】
【化33】

【0078】
【化34】

【0079】
【化35】

【0080】
【化36】

【0081】
【化37】

【0082】
【化38】

【0083】
【化39】

【0084】
【化40】

【0085】
【化41】

【0086】
【化42】

【0087】
【化43】

【0088】
【化44】

【0089】
【化45】

【0090】
上記のような光学異方性化合物の具体的な種類中にメソゲンコアのメタ位置に置換体を含む観点から、化学式22及び化学式24以外の化合物が好ましく使用されることができるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
本発明において、上記のような光学異方性化合物は、アクリル樹脂100重量部に対して5重量部〜30重量部の量で含まれることが好ましい。上記含量が5重量部未満なら、光学補償効果が低下するおそれがあり、30重量部を超過すれば、粘着樹脂との相溶性低下問題が発生するおそれがある。
【0092】
しかし、上記光学異方性化合物の含量は、本発明の1つの例示に過ぎず、本発明においては、使用される光学異方性化合物の種類、目的する光学補償及び応力緩和効果などを考慮して、上記光学異方性化合物の含量を適宜調節することができる。
【0093】
また、本発明の粘着剤組成物は、アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部の架橋剤をさらに含むことができる。このような架橋剤は、アクリル樹脂との反応を通じて粘着剤に凝集力を付与することができる。
【0094】
この時に使用される具体的な架橋剤の種類は、特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物のような一般的な架橋剤を使用することができる。
【0095】
上記で、イソシアネート系化合物の具体的な例として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート(isophorone diiocyanate)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び上記のうちいずれか1つの化合物とポリオール(例えば、トリメチロールプロパン)との反応物よりなる群から選択された1つ以上を挙げることができ;エポキシ系化合物の具体的な例として、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N'、N’−テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができ;アジリジン系化合物の具体的な例として、N、N−トルエン−2、4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N、N’−ジフェニルメタン−4、4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)及びトリ−1−アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された1つ以上を挙げることができる。また、上記金属キレート系化合物の具体的な例として、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
上記架橋剤は、前述のアクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部の量で含まれることが好ましい。上記含量が0.01重量部より小さければ、粘着剤の凝集力が劣化するおそれがあり、10重量部を超過すれば、層間剥離や浮き上がり現象が発生するなど耐久信頼性が低下するおそれがある。
【0097】
また、本発明の粘着剤組成物は、前述の成分にさらにアクリル樹脂100重量部に対して、0.005重量部〜5重量部のシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。シラン系カップリング剤は、粘着剤が高温または高湿条件で長時間放置された時、接着信頼性向上に寄与することができ、特にガラス基材との接着時に接着安定性を改善し、耐熱性及び耐湿性を向上させることができる。本発明において使用されることができるシラン系カップリング剤の例として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及びγ−アセトアセテートプロピルトリメトキシシランなどの1種または2種以上の混合を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
シラン系カップリング剤は、アクリル樹脂100重量部に対して0.005重量部〜5重量部の量で含まれることが好ましく、0.05重量部〜1重量部の量で含まれることがより好ましい。上記含量が0.005重量部より小さければ、粘着力の増加効果が極めて弱いおそれがあり、5重量部を超過すれば、気泡または剥離現象が発生するなど耐久信頼性が低下するおそれがある。
【0099】
また、本発明の粘着剤組成物は、粘着性能の調節の観点から、アクリル樹脂100重量部に対して1重量部〜100重量部の粘着性付与樹脂をさらに含むことができる。このような粘着性付与樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、(水添)ヒドロカーボン系樹脂、(水添)ロジン樹脂、(水添)ロジンエステル樹脂、(水添)テルペン樹脂、(水添)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの1種または2種以上の混合物を使用することができる。上記粘着性付与樹脂の含量が1重量部より小さければ、添加効果が極めて弱いおそれがあり、100重量部を超過すれば、相溶性及び/または凝集力向上効果が低下するおそれがある。
【0100】
また、本発明の粘着剤組成物は、発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、熱開始剤または光開始剤のような開始剤;エポキシ樹脂;硬化剤;紫外線安定剤;酸化防止剤;展色剤;補強剤;充填剤;消泡剤;界面活性剤;多官能性アクリレートのような光重合性化合物;及び可塑剤よりなる群から選択された1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0101】
また、本発明は、偏光フィルムまたは偏光素子と;上記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成され、本発明による粘着剤組成物の硬化物を含有する粘着層と;を含む偏光板に関する。
【0102】
本発明の偏光板(または粘着偏光板)を構成する偏光フィルムまたは偏光素子の種類は、特に限定されるものではない。本発明においては、例えば、上記偏光フィルムまたは素子として、ポリビニルアルコール系樹脂よりなるフィルムにヨードまたは二色性染料などの偏光成分を含有させ、延伸して製造されるフィルムを使用することができる。上記で、ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタールまたはエチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物などを使用することができる。また、上記偏光フィルムまたは素子の厚さも特に限定されず、通常的な厚さで形成すれば良い。
【0103】
また、本発明の粘着偏光板は、上記偏光フィルムまたは素子の一面または両面にトリアセチルセルロースのようなセルロース系フィルム;ポリカーボネートフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムのようなポリエステル系フィルム;ポリエーテルスルホン系フィルム;及び/またはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムまたはシクロ系やノルボルネン構造を有するポリオレフインフィルムまたはエチレンプロピレン共重合体のようなポリオレフイン系フィルムなどの保護フィルムが積層された多層フィルムで形成されることができる。この時、上記保護フィルムの厚さは、特に限定されず、通常的な厚さで形成することができる。
【0104】
本発明において、上記のような偏光フィルムまたは素子上に粘着層を形成する方法は、特に限定されず、例えば、上記フィルムまたは素子にバーコーターなどの通常の手段で粘着剤組成物または上記を含むコーティング液を塗布し、乾燥及び熟成させる方法、または粘着剤を剥離性基材の表面に塗布して乾燥させた後、上記剥離性基材を使用して粘着層を偏光フィルムまたは素子に転写して熟成、硬化させる方法などを使用することができる。
【0105】
上記のような粘着層の形成過程で、粘着剤組成物またはコーティング液が多官能性架橋剤を含む場合、上記架橋剤は、粘着層の形成時には、作用基の架橋反応が進行されないように制御されることが均一なコーティングの実行観点から好ましい。これにより、架橋剤は、コーティング作業後の乾燥及び熟成過程で架橋構造を形成して凝集力を向上させ、製品の粘着物性及び切断性(cuttability)などを向上させることができる。
【0106】
また、上記粘着層形成過程は、粘着剤組成物またはコーティング液内部の揮発成分または反応残留物のような気泡誘発成分を充分に除去した後、行うことが好ましい。すなわち仮に架橋密度または分子量などが過度に低いため、弾性率が劣化する場合に、高温状態でガラス板と粘着剤層との間に存在する小さい気泡が大きくなり、内部で散乱体を形成するおそれがある。
【0107】
また、本発明の偏光板には、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムよりなる群から選択された1つ以上の機能性層をさらに含むことができる。
【0108】
また、本発明は、前述の本発明による偏光板が液晶セルの一面または両面に接合されている液晶パネルを含む液晶表示装置に関する。
【0109】
上記のような本発明の液晶表示装置を構成する液晶セルの種類は、特に限定されず、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In Plane Switching)またはVA(Vertical Alignment)方式のような一般的な液晶セルをすべて含む。また、本発明の液晶表示装置に含まれるその他の構成の種類及びその製造方法も特に限定されず、この分野の一般的な構成を制限なく採用して使用することができる。
【0110】
以下、本発明による実施例及び比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲が下記提示された実施例によって限定されるものではない。
【0111】
製造例1.アクリル樹脂(1)の製造
窒素ガスが還流され且つ温度調節が容易にクーリングシステムを設置した1L反応器にn−ブチルアクリレート(n−BA)78重量部、ベンジルアクリレート(BzA)20重量部及び2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(2−HEMA)2重量部を含む単量体の混合物を投入した。次に、溶剤として、エチルアセテート(EAc)120重量部を投入し、酸素除去のために、窒素ガスで60分間パージング(purging)した。その後、温度は、60℃に維持し、開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部を投入し、8時間反応させて、反応終了後、エチルアセテートで希釈し、固形分含量が20重量%であり、重量平均分子量が150万であるアクリル樹脂(1)を製造した。
【0112】
製造例2〜8:アクリル樹脂の製造
単量体の組成を下記表1のように変更したことを除いて、製造例1と同一の方法でアクリル樹脂を製造した。
【0113】
【表1】

【0114】
製造例9:光学異方性化合物(A)の製造
【化46】

【0115】
上記反応式に示されたような過程を経て光学異方性化合物(A)を製造した。具体的に、化合物(1)をDMF溶媒に溶解し、上記に化合物(1)を基準にして、化合物(2)1.2当量及びKCO 1.5当量を配合し、100℃で4時間撹拌して反応させた。その後、エーテル及び水を利用して、反応をウォークアップさせ、シリカゲルで精製し、化合物(3)(収率:約87%)を製造した。
【0116】
その後、メタノール及び水の混合溶媒(重量比:1:1)に化合物(3)を溶解させ、上記化合物(3)を基準にしてNaOH 2.0当量を配合した後、約80℃で約1時間撹拌した。撹拌後、エーテル及び水を用いて反応をウォークアップさせて、化合物(4)(収率:約95%)を収得した。その後、化合物(4);及び上記化合物(4)に対して1.0当量の化合物(5)をCHClに溶解させ、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)1.2当量及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.1当量をさらに配合し、常温で約15時間撹拌した。撹拌後、シリカゲルで精製し、光学異方性化合物(A)(化合物(6))を約85%の収率で収得した。
【0117】
1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.85〜1.00(m、6H)、1.40(m、4H)、1.42〜1.60(m、4H)、1.80(m、1H)、3.98(t、2H)、7.22(dd、1H)、7.33(d、2H)、7.40(t、1H)、7.44(d、1H)、7.48(t、2H)、7.63(d、2H)、7.68(t、2H)、7.77(t、1H)、7.84(d、1H)(Eluent=n−hexane)
【0118】
製造例10.光学異方性化合物(B)の製造
【化47】

【0119】
化合物(1)をエタノールと水の混合溶媒(重量比:エタノール:水=7:3)に溶解させ、化合物(1)に対して1.0当量のブロモヘキサン及び2.2当量のKOHをさらに配合した後、90℃で約10時間撹拌した。次に、減圧蒸留を通じてエタノールを除去し、水を適切に追加した。その後、10%塩酸水溶液を徐々に加えてpHを約1〜3に調節し、反応させて、化合物(2)(収率:約90%)を収得した。化合物(2)をCHClに溶解させ、上記化合物(2)に対して1.0当量の化合物(3)をさらに溶解させた。上記に化合物(2)に対して1.2当量のEDC及び0.1当量のDMAPをさらに配合し、常温で約10時間撹拌した。その後、CHClを用いてウォークアップし、シリカゲルで精製し、光学異方性化合物(B)(化合物(4))を約88%の収率で収得した。
【0120】
1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.93(t、3H)、1.29〜1.45(m、4H)、1.46〜1.57(m、2H)、1.78〜1.89(m、2H)、4.05(t、2H)、7.20(dd、1H)、7.35(d、2H)、7.43(t、1H)、7.67(d、2H)、7.69〜7.80(m、5H)、7.83(d、1H)(Eluent=n−hexane)
【0121】
製造例11.光学異方性化合物(C)の製造
【化48】

【0122】
化合物(1)をエタノール及び水の混合溶媒(重量比:エタノール:水=7:3)に溶解させ、化合物(1)1.0当量に対して1.0当量の化合物(5)及び2.2当量のKOHを配合し、90℃で10時間撹拌した。その後、減圧蒸留を通じて、エタノールを除去し、水を追加した。次に、上記に10%の塩酸水溶液を徐々に加えて、pHを約1〜3に調節し、アルコキシ安息香酸を製造した(収率:約90%)。次に、製造されたアルコキシ安息香酸及び上記安息香酸1.0当量に対して1.0当量の化合物(3)をCHClに溶解させ、さらに1.2当量のEDC及び0.1当量のDMAPを配合した後、常温で約10時間撹拌した。次に、CHClを用いてウォークアップし、シリカゲルで精製し、光学異方性化合物(C)(化合物(6))を約85%の収率で製造した。
【0123】
1HNMRでこれを確認した。1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.90〜0.97(m、6H)、1.29〜1.38(m、4H)、1.38〜1.61(m、4H)、1.69〜1.81(m、1H)、3.94(dd、2H)、7.21(dd、1H)、7.34(d、2H)、7.42(t、1H)、7.66(d、2H)、7.68〜7.78(m、5H)、7.80(d、1H)(Eluent=n−hexane)
【0124】
製造例12:光学異方性化合物(D)の製造
【化49】

【0125】
化合物(7)1.0当量に対して1.0当量の化合物(8)をジオキサン(dioxane)及びDMFの混合溶媒(重量比:ジオキサン:DMF=9:1)に溶解させ、CsCO 2.0当量、CuI 0.1当量及び1、1、1−トリス(ヒドロキシメチル)エタン0.1当量をさらに配合し、110℃で約20時間撹拌した。その後、エーテル及び水を利用してウォークアップさせ、シリカゲルで精製し、約90%の収率で化合物(9)を収得した。
【0126】
1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.93(t、3H)、1.48〜1.63(m、2H)、2.30(t、3H)、7.02〜7.53(m、6H)、7.65(d、2H)、7.69〜7.74(m、4H)(Eluent=n−hexane)
【0127】
製造例13.光学異方性化合物(E)の製造
化合物(9)をCHClに溶解させた後、上記化合物(9)に対して2.2当量のm−CPBA(m-chloroperbenzoic acid)を0℃で徐々に添加した。常温でさらに30分間撹拌し、ウォークアップした後、シリカゲルで精製し、化合物(10)を約80%収率で得た。また、化合物(9)の当量に対して1.0当量のm−CPBAを使用したことを除いて、上記と同一の過程を通じて、化合物(11)を製造した。製造された化合物(11)の1HNMR結果は、下記の通りである。
【0128】
1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.93(t、3H)、1.48〜1.63(m、2H)、2.30(t、3H)、7.18〜7.22(m、2H)、7.63(d、2H)、7.65〜7.70(m、4H)、7.99〜8.05(m、4H)(Eluent=n−hexane)
【0129】
製造例14:光学異方性化合物(F)の製造
【化50】

【0130】
化合物(12)をブタノンに溶解し、化合物(12)1.0当量に対して1.2当量のヘキシルブロマイド及び1.2当量のKCOをさらに配合し、80℃で約5時間撹拌した。次に、エーテルを用いてウォークアップし、シリカゲルで精製し、約90%の収率で化合物(13)を収得した。次に、化合物(13)を、上記化合物(13)1.0当量に対して1.0当量の化合物(14)と一緒にベンゼン溶媒に溶解させ、触媒としてNiCl(pphを添加して、常温で約2時間撹拌した。その後、水とエーテルを利用してウォークアップしてシリカゲルで精製し、化合物(15)を約70%収率で収得した。
【0131】
1HNMRでこれを確認した。1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.98(t、3H)、1.30〜1.45(m、4H)、1.45〜1.59(m、2H)、1.80〜1.89(m、2H)、4.05(t、2H)、7.21〜7.60(m、9H)、7.87(s、1H)、7.92(m、3H)(Eluent=n−hexane)
【0132】
製造例15:光学異方性化合物(G)の製造
【化51】

【0133】
化合物(16)をTHFに溶解させ、上記化合物(16)1.0当量に対して1.0当量のTBSCl(tert-butyldimethylsilyl chloride)及び1.2当量のイミダゾールをさらに配合した後、80℃で約5時間撹拌した。その後、生成された塩を濾過し、シリカゲルで精製し、化合物(17)を約80%の収率で収得した。化合物(17)をブタノンに溶解させ、化合物(17)1.0当量に対して1.2当量のヘキシルブロマイド及び1.2当量のKCOをさらに配合し、80℃で約10時間撹拌した。その後、エーテルを用いてウォークアップし、シリカゲルで精製した。次に、精製物をTHFに溶解させ、精製物1.0当量に対して1.1当量のTBAF(Tetra-n-butylammonium fluoride)を配合し、脱保護(deprotection)させた。その後、常温で約1時間撹拌し、エーテルを用いてウォークアップした後、シリカゲルで精製し、化合物(18)を収得した。次に、化合物(18)を上記化合物(18)1.0当量に対して1.0当量の化合物(19)とCHClに溶解させ、1.2当量のEDC及び0.1当量のDMAPを配合し、常温で約10時間撹拌した。次に、CHClを用いてウォークアップし、シリカゲルで精製し、化合物(20)を約85%の収率で収得した。
【0134】
1HNMRでこれを確認した。1HNMR(400MHz、CDCl):δ0.97(t、3H)、1.29〜1.44(m、4H)、1.45〜1.57(m、2H)、1.78〜1.89(m、2H)、4.03(t、2H)、7.22〜7.56(m、9H)、7.60(d、1H)、7.88(d、1H)、8.11(d、2H)(Eluent=n−hexane)
【0135】
製造例16:光学異方性化合物(H)の製造
【化52】

【0136】
化合物(21)をブタノンに溶解し、上記化合物(21)1.0当量に対して1.2当量のブチルブロマイド及び1.2当量のKCOを配合し、80℃で約5時間撹拌した。エーテルと水を利用してウォークアップし、シリカゲルで精製し、約95%の収率で化合物(22)を収得した。次に、化合物(22)を上記化合物(22)に対して1.0当量のトリメチルシリルアセチレン、0.1当量のCuI、0.03当量のPdCl(PPh及び4.0当量のトリエチルアミンとベンゼンに溶解させ、60℃で約10時間撹拌した。その後、エーテル及び水を利用してウォークアップし、シリカゲルで精製し、約90%の収率で化合物(23)を得た。次に、化合物(23)を上記化合物(23)に対して1.0当量の化合物(24)、0.1当量のCuI、0.03当量のPdCl(PPh、6.0当量のDBU(1、8−diazabicyclo[5、4、0]undec−7−ene)及び1.0当量のHOと一緒にベンゼンに溶解させ、60℃で約10時間撹拌した。その後、エーテルと水を利用してウォークアップし、シリカゲルで精製し、約85%の収率で化合物(25)を収得した。
【0137】
1HNMR(400MHz、CDCl):δ1.06(t、3H)、1.73〜1.92(m、4H)、4.07(t、2H)、7.17(d、1H)、7.22(d、1H)、7.25〜7.30(m、3H)、7.47(m、3H)、7.68(s、1H)(Eluent=n−hexane)
【0138】
製造例17:光学異方性化合物(i)の製造
【化53】

【0139】
化合物(7)1.2当量をHPtCl・HO 1.0当量及びHSiMeCl 1.2当量の混合物に配合し、0℃で3時間撹拌した。その後、エーテル及び水を利用してウォークアップし、シリカゲルで精製し、約87%の収率で化合物(8)を製造した。次に、化合物(8)1.5当量をn−ブチルリチウム1.5当量及び化合物(9)1.0当量と配合し、−78℃で6時間撹拌し、エーテル及び水を用いてウォークアップした後、シリカゲルで精製し、約72%の収率で化合物(10)を収得した。
【0140】
次に、化合物(10)2gを6モル%のPdCl(PPh 121.8mg、10モル%のヨウ化第一銅 (CuI) 110.2mg、DBU 5.2mL及びトリメチルシリルアセチレン(TMS−acetylene)413.52μLとベンゼン(25ml)に溶解し、6時間撹拌した。その後、撹拌液をセライト(celite)で濾過し、減圧蒸留した後、シリカゲルで精製し、化合物(11)を約80%の収率で収得した。
【0141】
1H−NMR、(400MHz、CDCl):δ(ppm)0.27(s、6H)、0.76(t、4H)、0.89(t、4H)、1.32(m、18H)、7.51(m、8H)(Eluent=n−hexane)
【0142】
実施例1
製造例1で製造されたアクリル樹脂(1)100重量部に製造例で製造された光学異方性化合物(A)5重量部を均一に混合し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物0.1重量部及びシランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部をさらに配合した。次に、溶剤で適正濃度に希釈した後、離型紙上に均一にコーティング及び乾燥し、粘着層(厚さ:25μm)を製造した。次に、製造された粘着層を厚さ185μmのヨード系偏光板に転写させ、常温で7日間熟成させて、粘着偏光板を製造した。
【0143】
実施例2〜28
アクリル樹脂及び光学異方性化合物などの組成を下記表2〜表5のように変更したことを除いて、実施例1と同一の方法で実施例2〜28を製造した。
【0144】
【表2】

【0145】
【表3】

【0146】
【表4】

【0147】
【表5】

【0148】
比較例1〜4
粘着剤組成物の組成を下記表6のように変更したことを除いて、実施例1と同一の方法で比較例1〜4を製造した。
【0149】
【表6】

【0150】
実施例及び比較例で製造された粘着偏光板に対して、下記提示された方法で物性を評価した。
【0151】
1.耐久信頼性
粘着剤コーティング偏光板を90mm×170mmのサイズで切断してサンプルを製造し、これをガラス基板(110mm×190mm×0.7mm=横×縦×高さ)に両面に光学吸収軸が交差(cross)された状態で付着させた。この時に加えられた圧力は、約5Kg/cmであり、気泡及び異物が発生しないようにクリーンルーム作業を行った。その後、試験片の耐湿熱特性を評価するために、試験片を60℃の温度及び90%の相対湿度条件の下で1,000時間放置した後、気泡または剥離の発生有無を観察した。また、耐熱特性は、試験片を80℃の温度で1,000時間放置した後、同様に気泡または剥離の発生有無を観察した。すべての試験片は、状態を評価する直前に常温で24時間放置した後に使用した。評価基準は、次の通りである。
○:耐湿熱及び耐熱条件の両方で気泡及び剥離現象発生なし
△:耐湿熱または耐熱条件で気泡または剥離現象発生
×:耐湿熱または耐熱条件で気泡または剥離現象多量発生
【0152】
2.光透過均一性(光漏れ)
バックライトを利用して、暗室で試験片を通じて光が漏れる部分があるか否かを観察し、光透過均一性を評価した。光透過均一性の評価時には、実施例または比較例で製造された偏光板を200mm×200mmのサイズで切断した後、ガラス基板(210mm×210mm×0.7mm=横×縦×高さ)に両面に90度交差させて付着した後、試験片として使用した。評価基準は、下記の通りである。
◎:光透過性不均一現象が目視で判別されない
○:光透過性不均一現象が若干存在
△:光透過性不均一現象が多少存在
×:光透過性不均一現象が多量存在
【0153】
上記のような物性測定結果を下記表7〜表11にまとめて示した。
【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
【表11】

【0159】
上記表7〜表11の結果から分かるように、本発明による実施例の場合、耐湿熱及び耐熱条件で優れた耐久信頼性を示すと同時に、光漏れ現象に対する抑制効果に優れていた。一方、本発明の比較例1及び2の場合、耐久信頼性指標は良好であるが、光透過均一性指標が非常に劣悪し、実際液晶表示装置への適用時に多量の光漏れを誘発し得ることを確認することができた。また、比較例3及び4の場合、アクリル樹脂の重量平均分子量が過度に低いかまたは高いため、光学異方性化合物を添加しても、樹脂凝集力の不足または粘着剤のハードニス(hardness)の増加に起因して、耐久信頼性及び光透過均一性が悪くなることを確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が80万〜200万のアクリル樹脂;及び常温で液相に存在する光学異方性化合物を含む粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル樹脂は、芳香族置換基を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体55重量部〜94.9重量部;芳香族環含有単量体5重量部〜35重量部;及び架橋性単量体0.1重量部〜10重量部を含む単量体混合物の重合体である、請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体が、炭素数1〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである、請求項3に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記芳香族環含有単量体が下記化学式1で表示される、請求項3に記載の粘着剤組成物:
【化1】

上記化学式1で、Rは、水素またはアルキルを示し、Aは、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンを示し、nは、0〜3の整数を示し、Qは、単結合、−O−、−S−、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンを示し、Pは、置換または非置換された芳香族基を示す。
【請求項6】
前記芳香族環含有単量体が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルチオ−1−エチル(メタ)アクリレート、6−(4、6−ジブロモ−2−イソプロピルフェノキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(4、6−ジブロモ−2−sec−ブチルフェノキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、2、6−ジブロモ−4−ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2、6−ジブロモ−4−ドデシルフェニル(メタ)アクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)−1−エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ナフチルオキシ)−1−エチル(メタ)アクリレート、6−(1−ナフチルオキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、6−(2−ナフチルオキシ)−1−ヘキシル(メタ)アクリレート、8−(1−ナフチルオキシ)−1−オクチル(メタ)アクリレート及び8−(2−ナフチルオキシ)−1−オクチル(メタ)アクリレートよりなる群から選択された1つ以上である、請求項5に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記架橋性単量体が、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体または窒素含有単量体である、請求項3に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記光学異方性化合物は、2つ以上のベンゼン環が互いに連結されているメソゲンコア構造を分子構造中に含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
前記光学異方性化合物は、下記化学式3で表示される、請求項1に記載の粘着剤組成物:
【化2】

上記化学式3で、
【化3】

上記で、Zは、C−WまたはNであり;
〜Q16及びWは、各々独立的に水素、ハロゲン、シアノ、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキルオキシ、−R、−OR、−NHR、−N(R、−C(=O)R、−SR、−SOR、−SO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、または−OC(=O)ORであり;
上記で、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニルまたは−(RO)であり;上記で、Rは、アルキレンであり、Rは、アルキルであり、qは、1〜5の整数であり;
l、m、n及びoは、各々独立的に0〜2の整数であり、l+m+n+oは、2以上の整数であり;
E及びFは、各々独立的に水素、ハロゲン、シアノ、−R、−OR、−NHR、−N(R、−NCO、−NCS、−C(=O)Rまたは−Si(Rであり;
、G、及びGは、各々独立的に単結合、−O−、−RO−、−NR−、−S−、−SO−、−SO−、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンまたは−U−T−V−であり;上記U及びTは、各々独立的に単結合、−S−、−NR−、−O(CH−、カルボニルまたは−O−であり、Vは、単結合、−O−、カルボニル、−NR−、−S−、−(CH−、−O(CH−、または−(CHO−であり、pは、0〜5の整数である。
【請求項10】
前記E及びFが各々独立的に水素、シアノ、炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシまたは炭素数1〜8のアルキル基で置換されたシリルである、請求項9に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
前記
【化4】

は、
【化5】

であり、上記で、Zは、C−WまたはNであり、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、Rは、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数2〜12のアルケニル基である、請求項9に記載の粘着剤組成物。
【請求項12】
前記Gは、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレン、炭素数2〜4のアルキニレン、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−OC(=O)−または−C(=O)−O−であり、G及びGは、各々独立的に単結合、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数2〜4のアルケニレンまたは炭素数2〜4のアルキニレンである、請求項9に記載の粘着剤組成物。
【請求項13】
前記l、m、n及びoにおいて、l、m及びoが1であり、nが0であるか、またはl及びoが1であり、m及びnが0であり、
前記E及びFは、水素、シアノ、エチル、プロピル、イソプロピル、ペンチル、ヘキシル、エトキシ、プロポキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、トリメチルシリル、トリヘキシルシリルまたはヘキシルジメチルシリルであり、
前記
【化6】

は、
【化7】

であり、
上記で、Zは、C−WまたはNであり、Wは、水素、−Rまたは−ORであり、
前記Rは、炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり、Gは、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレン、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり、
前記G及びGは、各々独立的に単結合、エテニレン、プロペニレン、エチニレンまたはプロピニレンである、請求項9に記載の粘着剤組成物。
【請求項14】
前記
【化8】


【化9】

であり、Eが水素であるか;前記
【化10】


【化11】

であり、Fが水素である、請求項9に記載の粘着剤組成物。
【請求項15】
前記光学異方性化合物が下記化学式4の化合物〜化学式24の化合物よりなる群から選択される1つ以上である、請求項1に記載の粘着剤組成物:
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【請求項16】
前記光学異方性化合物は、アクリル樹脂100重量部に対して5重量部〜30重量部の量で含まれる、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項17】
前記アクリル樹脂100重量部に対して0.01重量部〜10重量部の多官能性架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項18】
偏光フィルムまたは偏光素子;及び前記偏光フィルムまたは偏光素子の一面または両面に形成され、請求項1に記載の粘着剤組成物の硬化物を含有する粘着層を含む偏光板。
【請求項19】
請求項18に記載の偏光板が液晶セルの一面または両面に付着されている液晶パネルを含む液晶表示装置。

【公表番号】特表2011−526644(P2011−526644A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516148(P2011−516148)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/003601
【国際公開番号】WO2010/002195
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】