説明

粘着性ゲル及びその製造方法

【課題】含水量が低下しても生体に好適に貼付でき、かつ、品質の安定したハイドロゲルの提供。
【解決手段】相互に架橋された親水性ポリマーと、相互に架橋された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含んでなり、親水性ポリマーを架橋する架橋剤と疎水性ポリマーを架橋する架橋剤とが架橋された粘着性ゲルを提供する。また、反応性官能基が導入された親水性ポリマーと、反応性官能基が導入された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、親水性ポリマーに導入された反応性官能基間及び疎水性ポリマーに導入された反応性官能基間を相互に架橋し、かつ、親水性ポリマーに導入された反応性官能基と疎水性ポリマーに導入された反応性官能基との間を架橋し得る架橋剤を添加し、架橋反応を行なう工程を含む、粘着性ゲルの製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性ゲル及びその製造方法に関する。より詳しくは、含水量が低下しても生体に好適に貼付でき、かつ、剥離刺激の少ない柔軟性を供えたハイドロゲル等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粘着剤組成物としてハイドロゲルが知られている。ハイドロゲルは水に対しての親和性が高く、吸水能を供える。そのため、油性のゴム系粘着剤などのように水を弾くことがないため、生体に長時間貼付した場合でも皮膚と粘着剤との間に汗が蓄積し、蒸れやカブレ、皮膚の浸軟などを引き起こす可能性が少ない。また、発汗の多い場合や被着面の表面が湿っている場合でも、ハドロゲルが汗や水分を吸収することで粘着力の低下を防ぐことができる。
【0003】
また、ハイドロゲルは多量の水分を含んでいるため、水の気化潜熱による冷却特性を備える。そのため、発熱などに対して長時間にわたって冷却を効率良く行うことができる。
【0004】
さらに、ハイドロゲルは被着面への濡れ性に優れるため、剥離する場合に皮膚刺激を与えにくい。そのため、皮膚組織が脆弱な患者などに対しても使用することができる。
【0005】
しかし、従来のハイドロゲルには以下のような問題点が存在する。例えば、ハイドロゲルは親水性の高い材料に対しては強力な粘着力を発揮するが、油性のものに対しては粘着というよりもむしろ離型性を発現する。皮膚表面には、通常、皮脂が存在するため、親水性が高いハイドロゲルの粘着力を高めるには限界がある。従って、生体に貼付したときに貼付位置がずれたり剥がれたりすることを防止するために、他の粘着剤などで固定しなければいけなかった。
【0006】
この問題を解決する方法として、架橋された水溶性高分子、水、保湿剤、両親媒性高分子および水不溶性高分子からなるゲル粘着組成物が報告されている(特許文献1参照)。ここで、疎水性ポリマーを親水性ポリマーに添加する方法としては、疎水性ポリマーを乳化分散させる方法が一般的である。かかる方法によって作成されたハイドロゲルでは、ハイドロゲル本来の低刺激性や導電性という特性を損なうことなく、粘着力の改善が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−136587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のハイドロゲルは、ゲル中の水分が失われると被着面への濡れ性が低下するため、粘着力が低下し、剥離してしまったり、硬化した部分が皮膚刺激の一因となったりするといった問題がある。また、ゲル中の水分が失われると硬化してしまい、追従性が低下して剥がれ易くなるといった問題もある。さらに、逆に、多量の水分を吸水した場合には、崩壊又は溶解するといった問題もある。
【0009】
そこで、上記問題点を解決し、含水量が低下しても生体に好適に貼付でき、かつ、品質の安定したハイドロゲルを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らは、前記課題を解決するために、粘着性ゲル中の疎水性ポリマーと親水性ポリマーとの構造に着目し、粘着性ゲルに必要な性質を飛躍的に向上させるための方法を鋭意研究した結果、これらのポリマーに新規な構造を形成させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、相互に架橋された親水性ポリマーと、相互に架橋された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含んでなり、親水性ポリマーを架橋する架橋剤と疎水性ポリマーを架橋する架橋剤とが架橋された構造を有する粘着性ゲルを提供する。
この粘着性ゲルは、含水率45±5%での初期粘着力が0.2〜2.5Nであり、含水率1%未満での初期粘着力が0.8〜3.0Nである。また、含水率45±5%での剥離力が0.1〜8N/inchであり、含水率1%未満での剥離力が1〜25N/inchである。さらに、37℃で測定した複素弾性率及び損失係数の値が、含水率45±5%での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜3.0×104Pa、損失係数が0.05〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が7.0×10〜5.0×10Pa、損失係数が0.05〜1であって、含水率1%未満での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が1.0×10〜1.0×10Pa、損失係数が0.1〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜2.0×10Pa、損失係数が0.1〜1である。
また、本発明は、反応性官能基が導入された親水性ポリマーと、反応性官能基が導入された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、親水性ポリマーに導入された反応性官能基間及び疎水性ポリマーに導入された反応性官能基間を相互に架橋し、かつ、親水性ポリマーに導入された反応性官能基と疎水性ポリマーに導入された反応性官能基との間を架橋し得る架橋剤を添加し、架橋反応を行なう工程を含む、粘着性ゲルの製造方法をも提供する。
この粘着性ゲルの製造方法は、さらに、前記親水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、前記疎水性ポリマーのエマルションを添加して混合液を調製する工程を含むことができる。
この粘着性ゲルの製造方法においては、前記親水性ポリマー1質量部に対して、前記疎水性ポリマーを2〜10質量部、前記可塑剤を1〜10質量部、前記架橋剤を0.1〜1質量部を添加することが好適となる。この粘着性ゲルの製造方法では、例えば、ケトン基が導入された変性ポリビニルアルコール1質量部と、水10質量部と、プロピレングリコール1.5質量部及びグリセリン1質量部とを含む混合液に、カルボキシル基が導入されたアクリル酸エステル共重合体のエマルション5質量部を添加して混合液を調製し、該混合液に、ポリアクリルアミドのアミノ化物0.05質量部及びカルボジイミド化合物0.15質量部を添加し、架橋反応を行なう。
【0012】
本発明において、「反応性官能基」とは、ポリマー分子鎖の側鎖又は末端に付加、導入される官能基であって、親水性ポリマー同士又は疎水性ポリマー同士を相互に架橋するための架橋剤と架橋反応し得る官能基を意味するものとする。さらに、この反応性官能基は、相互に架橋された親水性ポリマーと相互に架橋された疎水性ポリマーとの間を架橋するための架橋剤とも架橋反応し得る官能基とされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、含水量が低下しても生体に好適に貼付でき、かつ、品質の安定したハイドロゲルが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。説明は以下の順序で行う。

1.粘着性ゲル
2.親水性ポリマーと反応性官能基aと架橋剤A
3.疎水性ポリマーと反応性官能基bと架橋剤B
4.可塑剤
5.粘着性ゲルの製造方法
6.粘着性ゲルの物性
(1)初期粘着力と剥離力
(2)粘弾特性
(3)吸水力と耐浸水崩壊性

【0015】
1.粘着性ゲル
本発明に係る粘着性ゲルは、相互に架橋された親水性ポリマーと、相互に架橋された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含んでなり、親水性ポリマーを架橋する架橋剤(以下、「架橋剤A」という)と疎水性ポリマーを架橋する架橋剤(以下、「架橋剤B」という)とが架橋されたものである。架橋剤Aと架橋剤Bは、後述するように異なる架橋剤であっても同一の架橋剤であってもよく、架橋剤A又は架橋剤Bとしてそれぞれ二以上の架橋剤を使用することもできる。
【0016】
本発明に係る粘着性ゲルでは、親水性ポリマー同士を架橋する架橋剤Aと疎水性ポリマー同士を架橋する架橋剤Bとを架橋したことにより、架橋剤Aによって相互に架橋された親水性ポリマー(以下、「親水性ポリマーブロック」という)と、架橋剤Bによって相互に架橋された疎水性ポリマー(以下、「疎水性ポリマーブロック」という)とが、少なくとも部分的に単一骨格を形成していると考えられる。単一骨格とは、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとが架橋剤A及びBによって結合された骨格構造を意味している。本発明に係る粘着性ゲルでは、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとを単一骨格化したことにより、後述するようなハイドロゲルとしての好適な物性が発揮されると考えられる。
【0017】
2.親水性ポリマーと反応性官能基aと架橋剤A
本発明に係る粘着性ゲルに用いられる親水性ポリマーは、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸Na、デキストラン等とできる。親水性ポリマーは、特に好ましくはポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう)である。
【0018】
親水性ポリマー分子鎖の側鎖又は末端には、反応性官能基aが付加、導入される。反応性官能基aは、親水性ポリマー同士を相互に架橋するための架橋剤Aと架橋反応し得る官能基とされる。親水性ポリマーは、反応性官能基aと架橋剤Aとの架橋反応によって相互に架橋され、親水性ポリマーブロックを形成する。なお、親水性ポリマー分子鎖には、反応性官能基a以外に、ポリマーの物性を制御するための置換基が導入されていてもよい。ポリマー物性制御のための置換基は、親水性ポリマー同士の架橋や、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックの結合には関与しない置換基であるものとする。
【0019】
反応性官能基aとしては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、ケトン基、イミド基等であって、架橋剤Aと縮合重合又はラジカル重合等の重合反応を起こすものが用いられる。例えば、ダイアセトンアクリルアミドにより反応性官能基aとしてケトン基を導入する場合、PVAの変性に用いられるダイアセトンアクリルアミドの導入量は2〜4mol%、好ましくは、3〜4mol%とされる。反応性官能基aは、必要に応じて多官能性であってもよい。
【0020】
親水性ポリマーに導入される置換基としては、例えば、アルコキシ基やエステルなどが挙げられるが、これに限られるものではない。ここで、好ましい炭素数の範囲としては、C6〜C22であり、C10〜C22がより好ましく、C15〜C22であることがさらに好ましい。また、直鎖状であっても分岐状であってもよい。なお、炭素数については上記範囲に限られず、必要に応じて適宜変更可能である。
また、PVAに導入される置換基の導入量としては、0.1〜15mol%が好ましく、0.5〜10mol%がより好ましい。
【0021】
架橋剤Aは、反応性官能基aと架橋反応して、親水性ポリマー同士を架橋し、親水性ポリマーブロックを形成するものである。さらに、架橋剤Aは、疎水性ポリマーを架橋するための架橋剤Bとも架橋反応し、少なくとも部分的に親水性ポリマーブロックと疎水性ブロックとの単一骨格を形成させる。
【0022】
架橋剤Aは、親水性ポリマーに導入された反応性官能基aに応じて、イソシアナート系化合物、エポキシ系化合物、イミン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン系化合物、ビニルエーテル系化合物、ヒドラジド化合物等から選択される。架橋剤Aには、これらの架橋剤が単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0023】
3.疎水性ポリマーと反応性官能基bと架橋剤B
本発明に係る粘着性ゲルに用いられる疎水性ポリマーは、アクリル系、ゴム系、ウレタン系、ポリイソブチレン系、シリコーン系等であって、感圧粘着剤として通常用いられるポリマーとできる。疎水性ポリマーは、エマルション又はサスペンジョン重合タイプであってよい。
【0024】
疎水性ポリマー分子鎖の側鎖又は末端には、反応性官能基bが付加、導入される。反応性官能基bは、疎水性ポリマー同士を相互に架橋するための架橋剤Bと架橋反応し得る官能基とされる。疎水性ポリマーは、反応性官能基bと架橋剤Bとの架橋反応によって相互に架橋され、疎水性ポリマーブロックを形成する。なお、疎水性ポリマー分子鎖にも、反応性官能基b以外に、ポリマーの物性を制御するための置換基が導入されていてもよい。ポリマー物性制御のための置換基は、親水性ポリマー同士の架橋や、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックの結合には関与しない置換基であるものとする。
【0025】
反応性官能基bとしては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基等であって、架橋剤Bと縮合重合又はラジカル重合等の重合反応を起こすものが用いられる。例えば、上記のアクリルエマルションに反応性官能基bとしてカルボキシル基を導入する場合、その導入量は2〜10mol%とされる。反応性官能基bは、必要に応じて多官能性であってもよい。
【0026】
疎水性ポリマーに導入される置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン置換炭化水素基などが挙げられるが、これに限られるものではなく、適宜変更可能である。
【0027】
架橋剤Bは、反応性官能基bと架橋反応して、疎水性ポリマー同士を架橋し、疎水性ポリマーブロックを形成するものである。さらに、架橋剤Bは、親水性ポリマーを架橋するための架橋剤Aとも架橋反応し、親水性ポリマーブロックと疎水性ブロックとの単一骨格を形成させる。
【0028】
架橋剤Bは、疎水性ポリマーに導入された反応性官能基bに応じて、エポキシ系化合物、イミン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン系化合物、ビニルエーテル系化合物、ヒドラジド化合物等から選択される。架橋剤Bには、これらの架橋剤が単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0029】
反応性官能基aと反応性官能基bは、異なる官能基であっても同一の官能基であってもよい。また、架橋剤A及び架橋剤Bは、異なる架橋剤であっても同一の架橋剤であってもよい。
【0030】
例えば、反応性官能基aとしてケトン基、反応性官能基bとしてカルボキシル基を用いた場合には、架橋剤Aにヒドラジド系架橋剤、架橋剤Bにカルボジイミド架橋剤を用い、異なる架橋剤によって親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックを形成し、これらが部分的に単一骨格化された構造を形成することができる。この場合、反応性官能基aとしてカルボキシル基、反応性官能基bとしてケトン基を用い、架橋剤Aにカルボジイミド架橋剤、架橋剤Bにヒドラジド系架橋剤を用いてもよい。このような反応性官能基及び架橋剤の組み合わせとしては、他に、反応性官能基aとして水酸基、反応性官能基bとしてカルボキシル基を用い、架橋剤Aにエポキシ系架橋剤(又はイソシアネート系架橋剤)、架橋剤Bにヒドラジド系架橋剤を用いる組み合わせが挙げられる。
【0031】
また、例えば、反応性官能基aとしてケトン基、反応性官能基bとしてカルボキシル基を用いた場合には、架橋剤A及びBにヒドラジド系架橋剤を用い、同一の架橋剤によって親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックを形成し、これらが部分的に単一骨格化された構造を形成することもできる。この場合、反応性官能基aとしてカルボキシル基、反応性官能基bとしてケトン基を用いてもよい。このような反応性官能基及び架橋剤の組み合わせとしては、他に、反応性官能基aとして水酸基、反応性官能基bとしてカルボキシル基を用い、架橋剤A及びBにエポキシ系架橋剤を用いる組み合わせが挙げられる。なお、ポットライフや塗膜の耐性、粘着性ゲルの貼付性の観点から、反応性官能基aとしてケトン基を、反応性官能基bとしてカルボキシル基を用い、架橋剤A及びBとしてヒドラジド系架橋剤とカルボジイミド架橋剤、又は架橋剤A及びBとしてヒドラジド系架橋剤単独を用いることが好ましい。
【0032】
4.可塑剤
本発明に係る粘着性ゲルに用いられる可塑剤は、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類やメトキシポリエチレングリコールなどの誘導体化した多価アルコール類等とできる。可塑剤は、粘着性ゲルを軟質にし、剥離時の粘着性ゲルを伸び易くして皮膚への急激な引っ張り力の伝達を遅延させることで、皮膚刺激を緩和させる。可塑剤として、親水性の水酸基を有する油状(液状)の多価アルコールを使用すると、粘着性ゲルから水分が失われても多価アルコールが溶媒として機能し、ゲルが硬化し難い。
【0033】
5.粘着性ゲルの製造方法
本発明に係る粘着性ゲルは、反応性官能基aが導入された親水性ポリマーと、反応性官能基bが導入された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、親水性ポリマーに導入された反応性官能基a間及び疎水性ポリマーに導入された反応性官能基b間を相互に架橋し、かつ、親水性ポリマーに導入された反応性官能基aと疎水性ポリマーに導入された反応性官能基bとの間を架橋し得る架橋剤を添加し、架橋反応を行なうことにより得ることができる。
【0034】
具体的には、まず親水性ポリマーを水と、可塑剤により溶解し、混合液とする(溶解工程)。続いて、疎水性ポリマーを添加して混合液を調製する(混合工程)。このとき、疎水性ポリマーはエマルションとして添加されることが好適となる。なお、配合成分や配合比率等に合わせて、pH調整剤や防腐剤等の添加剤を適宜混合することができる。添加剤は、溶解工程及び/又は混合工程において混合される。また、溶解工程及び混合工程においては、必要に応じて加熱や冷却を行うことにより、温度条件も適宜設定することができる。
【0035】
次に、混合液に架橋剤A及びBを添加し、架橋反応を行なう(架橋工程)。これにより、親水性ポリマーは、反応性官能基aと架橋剤Aの架橋反応によって相互に架橋され、親水性ポリマーブロックを形成する。また、疎水性ポリマーは、反応性官能基bと架橋剤Bの架橋反応によって相互に架橋され、疎水性ポリマーブロックを形成する。さらに、形成された親水性ブロックと疎水性ブロックとが、架橋剤Aと架橋剤Bとの架橋反応により結合され、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックが少なくとも部分的に単一骨格を形成する。この架橋工程においても、必要に応じて加熱や冷却を行うことにより、温度条件を適宜設定し、反応速度を調節することができる。
【0036】
親水性ポリマー、疎水性ポリマー、可塑剤及び架橋剤の配合比率は、親水性ポリマー1質量部に対して、疎水性ポリマーを2〜10質量部、可塑剤を1〜10質量部、架橋剤を0.1〜1質量部が好ましい。
より好ましい配合比率は、親水性ポリマー1質量部に対して、疎水性ポリマーを2〜10質量部、可塑剤を1〜8質量部、架橋剤を0.1〜0.7質量部である。
【0037】
疎水性ポリマーの配合比率が2質量部未満だと、被着体との親和性が低下し、特に乾燥時の初期粘着力及び剥離力が目標値以下になってしまう。疎水性ポリマーの配合比率が10質量部より多いと、逆に吸水率が低下し、貼付中に皮膚のムレ等が起こる。また、乾燥時の剥離力が高くなり、剥離時に皮膚を傷めてしまう危険性が高くなる。
【0038】
可塑剤の配合比率が1.0質量部未満だと、乾燥時において、ゲルがもつ濡れ特性が失われてしまい剥離時に皮膚を傷めてしまう危険性が高くなる。可塑剤の配合比率が10質量部より多いと、ゲル中から可塑剤成分がブリードし、皮膚との粘着を妨げる要因となり、ベタツキなどの不快感を発生させる場合がある。
【0039】
架橋剤の配合比率が0.1質量部未満だと、ゲルの凝集力が低く、糊残りの要因となる。架橋剤の配合比率が1質量部より多いと、乾燥時にゲルの硬化度合いが大きくなり、皮膚の伸張や動きに対する追従性が低下する。架橋剤の配合比率は、架橋剤A及びBとして同一の架橋剤を用いる場合、単独で0.1〜1質量部であり、架橋剤A及びBとして2以上の架橋剤を用いる場合には、合計で0.1〜1質量部である。
【0040】
6.粘着性ゲルの物性
本発明に係る粘着性ゲルでは、ハイドロゲルとしての以下の好適な特性を発揮する。これらの特性は、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとを少なくとも部分的に単一骨格化したことにより得られるものと考えられる。
【0041】
(1)初期粘着力と剥離力
本発明に係る粘着性ゲルは、含水率45±5%での初期粘着力が0.2〜2.5Nであり、含水率1%未満での初期粘着力が0.8〜3.0Nである。また、含水率45±5%での剥離力が0.1〜8N/inchであり、含水率1%未満での剥離力が1〜25N/inchである。
【0042】
初期粘着力(タック)の測定は、タッキング試験機(レスカ社製 製品名「TACKINESS TESTER MODEL TAC-II」)を用いて、JIS Z 3284規定の「粘着性試験」に準じた手法により実施した。また、剥離力(180度ピール)の測定は、引張試験機(インストロン社製 製品名「INSTRON556」)を用いて、JIS Z 0237規定の「180度引き剥がし接着力の測定」に準じた手法により実施した。なお、粘着性ゲルの含水率の測定方法については、実施例において詳しく説明する。
【0043】
初期粘着力及び剥離力は、粘着性ゲルと被着体との親和性(相互作用)の評価値であり、粘着性ゲルと被着体との接着面において面積あたりに働く力の大きさを示す。例えば、皮膚表面に貼り付けた場合、初期粘着力及び剥離力が小さ過ぎると、貼付位置がずれたり、剥がれたりする。また、初期粘着力及び剥離力が大き過ぎると、剥離時の皮膚への刺激が大きくなる。
【0044】
(2)粘弾特性
本発明に係る粘着性ゲルは、37℃で測定した複素弾性率及び損失係数の値が、含水率45±5%での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜3.0×104Pa、損失係数が0.05〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が7.0×10〜5.0×10Pa、損失係数が0.05〜1である。また、含水率1%未満での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が1.0×10〜1.0×10Pa、損失係数が0.1〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜2.0×10Pa、損失係数が0.1〜1である。
より好ましくは、含水率45±5%での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜5.0×10Pa、損失係数が0.05〜0.7であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が9.0×10〜1.0×10Pa、損失係数が0.05〜0.8である。また、含水率1%未満での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が1.0×10〜4.0×10Pa、損失係数が0.1〜0.8であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が6.0×10〜2.0×10Pa、損失係数が0.1〜0.8である。
【0045】
粘弾特性(複素弾性率及び損失係数)の測定は、回転式レオメーター(HAAKE社製 商品名「レオストレスRS150」)を用いて、JIS K 7244規定の「複素弾性率及び損失弾性率」に準じた手法により実施した。
【0046】
粘弾特性は、粘着性ゲルが被着体表面の凹凸に入り込んで接着する濡れ性の評価であり、被着体への粘着性ゲルの接触面積や、粘着性ゲル自身の変形性を示す。また、粘弾特性は、粘着性ゲルの凝集力、すなわち耐破壊強さの評価値ともなる。
【0047】
粘弾特性は、複素弾性率と損失係数によって表すことができる。低周波数域(0.01Hz)における粘弾特性は、低速での微小な変形過程における粘着性ゲルの濡れ粘着力、クリープ挙動(塑性変形)等の指標となる。例えば、皮膚表面に貼り付けた場合、0.01Hzにおける複素弾性率が高過ぎたり、損失係数が低すぎたりすると、粘着性ゲルは良好な変形ができず、濡れ性が悪くなる。また、逆に、複素弾性率が低過ぎたり、損失係数が高過ぎたりすると、粘着性ゲルの凝集性が低下し、吸水時の形状保持性が悪くなる。
【0048】
一方、高周波数域(15Hz)における粘弾特性は、高速の変形過程における粘着性ゲルの被着体への追従性、剥離挙動等の指標となる。例えば、皮膚表面に貼り付けた場合、15Hzにおける複素弾性率が高過ぎたり、損失係数が低過ぎたりすると、粘着性ゲルが皮膚の伸展等に追従できず違和感が発生し、剥離時の皮膚への刺激が大きくなる。また、逆に、複素弾性率が低過ぎたり、損失係数が高過ぎたりすると、剥離時の皮膚への糊残りが発生する。
【0049】
本発明に係る粘着性ゲルは、含水時には、複素弾性率が低く、柔らかいために、被着体の凹凸に入り込み易く、濡れ接着に基づく高い接着性を示す。また、含水時には、被着体との界面に水が存在するため、疎水性ポリマーの化学的親和性に基づく接着性は低くなる。一方、乾燥時には、複素弾性率が高く、硬くなるため、被着体の凹凸に入り込み難くなり、濡れ接着に基づく接着性は低くなる。しかし、被着体との界面に水が存在しなくなるため、疎水性ポリマーの化学的親和性に基づく接着性が高くなる。このように、本発明に係る粘着性ゲルは、含水時には濡れ接着に基づく高い接着性を、また乾燥時には化学的親和性に基づく高い接着性を示し、含水時及び乾燥時において初期粘着力及び剥離力を一定範囲に維持することができる。
【0050】
(3)吸水力と耐浸水崩壊性
本発明に係る粘着性ゲルは、水中への24時間の浸漬で、ゲル重量に対して250%以上の高い吸水力を示す。また、48時間の浸漬後も、過度の吸水によってゲルが崩壊することなく、高い耐浸水崩壊性を示す。このため、皮膚表面に貼り付けた場合、粘着性ゲルが汗を吸水し、粘着力の低下や、蒸れやかぶれ、皮膚の浸軟等の問題を引き起こすことがない。また、多量の汗を吸水したとしても、粘着性ゲルが崩壊したり溶解したりすることがない。
【実施例】
【0051】
以下の実施例において、親水性ポリマーとしてケトン基を導入したPVAを、疎水性ポリマーとしてカルボキシル基を導入したアクリルエマルションを、それぞれ用いた場合について説明する。なお、親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーの組み合わせは例示に過ぎず、これに限られるものではない。
【0052】
<実施例1>
以下の手順により、ハイドロゲルを作製した。
(1)溶解工程
グリセリン1質量部(7.5g)、プロピレングリコール1.5質量部、水をセパラブルフラスコに投入後、室温で10分間攪拌しながら混合し、混合液1を調製した。混合液1に、添加剤(ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリエチルヘキサン、リン酸二水素ナトリウム、セラミド、メチルパラベンの混合物)0.5質量部を投入後、30分間攪拌し、混合液2を調製した。その後、混合液2に変性ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社、ZDF-17L (C16の直鎖状アルキルエステル(置換基)とケトン基(反応性官能基)を導入した変性PVA))1質量部を加え、90℃まで加熱した後、2時間攪拌しながら溶解させて混合液3を調製した。
(2)混合工程
混合液3を室温まで冷却後、アクリルエマルジョン(東洋インキ工業株式会社、BPW6276、固形分:50%)を10質量部(ポリマー当量:5質量部)加え、30分間攪拌し、混合液4を調製した。
(3)架橋工程
混合液4にポリアクリルアミドのアミノ化物0.05質量部、多官能カルボジイミド化合物0.15質量部の混合水溶液5gを加えて室温で攪拌した後、脱気を行った。得られた混合液5を厚さ1mmに塗工後、120度で2分間乾燥し、塗膜状のハイドロゲルを得た。ハイドロゲルには、編布をラミネートした。各工程で添加した水は合計10質量部であった。配合比率を「表1」に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
作製したハイドロゲルを検体として、以下の特性の評価を行った。
(1)初期粘着力の測定
JIS Z 3284規定の「粘着性試験」に準じた手法により、初期粘着力を測定した。
各検体から幅20mm、長さ50mmの試験片を2枚採取し、1枚をそのまま「含水時サンプル」とし、もう一方を60℃のホットプレート上で3時間以上放置して「乾燥時サンプル」とした。含水時サンプル及び乾燥時サンプルから10mmの試験片を各3枚採取し、カールフィッシャー水分測定装置(メトローム社製 製品名:KFティトリーノ 787型)を用いて含水率を測定した。
幅20mm、長さ50mmの両面テープ(日東電工株式会社製 No.5000NS)を作成した。両面テープの片面に試験片を剥離紙面側が上になる状態で置き、2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、試験片を23℃、湿度50%の標準状態の雰囲気中で2時間以上静置した。
タッキング試験機(レスカ社製 製品名「TACKINESS TESTER MODEL TAC-II」)の接着プローブ(円柱形、直径5.1mm、ステンレス製)の表面を有機溶剤で清浄・乾燥させ、37℃とした。
試験片を両面テープにより試験機に固定後、試験片の剥離紙を剥がした。粘着面に向かって、プローブを120mm/minの速度で降下させ、9.8×10-2N(10gf)の力で0.1秒間接触させた後、120mm/minの速度で引き上げた。このプローブと試験片が離れるときの粘着力を測定し、測定値を初期粘着力とした。
【0055】
(2)剥離力の測定
JIS Z 0237規定の「180度引き剥がし接着力の測定」に準じた手法により、剥離力を測定した。
幅25mm、長さ100mmの両面テープを作成し、片面にPETフィルムを貼り付け、もう片面に試験片を剥離紙面側が上になる状態で置き、2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、試験片を23℃、湿度50%の標準状態の雰囲気中で2時間以上静置した。
試験片をベークライト板(フタムラ化学社製FL−102)に貼り付け、20分間静止した後、引張試験機(インストロン社製 製品名「INSTRON556」)を用いて、被着体からの一定速度(1000mm/sec)における剥離力(N/25mm)を測定した。剥離力は引き剥がした変位の20〜80%の区間の平均値とした。
【0056】
(3)複素弾性率・損失係数の測定
JIS K 7244規定の「複素弾性率及び損失弾性率」に準じた手法により、複素弾性率及び損失係数を測定した。
相対湿度20%、温度20℃の環境下で回転式レオメーターを用いて、測定温度37℃、剪断応力100Pa、周波数域0.01〜100Hzの測定条件におけるオシレーションの測定を実施し、周波数が0.01Hz、15.0Hzにおける複素弾性率及び損失係数を算出した。測定は、編布をラミネートしていない試験片を用いて行った。
【0057】
(4)吸水率の測定
各検体から直径30mmの試験片を3枚採取し、各試験片の重量を測定した。試験片を生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)に浸漬し、37℃恒温槽中に静置した。浸漬後1時間、3時間、24時間に試験片の重量を測定し、下記式により吸水率を算出した。
吸水率(%)=[(浸漬後の試験片重量−浸漬前の試験片重量)/浸漬前の試験片重量]×100)
【0058】
(5)耐浸水崩壊性の評価
各検体から直径30mmの試験片を3枚採取し、各試験片を生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)に浸漬し、37℃恒温槽中に静置した。浸漬48時間後の試験片の保形性を目視により観察し、以下の基準により評価した。
良 :全く崩壊がなく、保形性を示す。
可 :多少の崩壊はあるが、概ね保形性を示す。
不可:崩壊が激しく、保形性が全くない。
【0059】
各特性の評価結果を「表2」に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
<実施例2・3>
混合工程において混合液3に加えるアクリルエマルジョン量を2質量部(実施例2)又は8質量部(実施例3)とした以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。配合比率を「表1」に、各特性の評価結果を「表2」に示す。
【0062】
<実施例4・5>
溶解工程において混合液1に加えるプロピレングリコール量及びグリセリン量を「表1」に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。各特性の評価結果を「表2」に示す。
【0063】
<実施例6・7>
架橋工程において混合液4に加えるポリアクリルアミドのアミノ化物量を0.02質量部(実施例6)又は0.06質量部(実施例7)とした以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。配合比率を「表1」に、各特性の評価結果を「表2」に示す。
【0064】
<実施例8・9>
架橋工程において混合液4に加える多官能カルボジイミド化合物量を0.05質量部(実施例8)又は0.5質量部(実施例9)とした以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。配合比率を「表1」に、各特性の評価結果を「表2」に示す。
【0065】
実施例1〜9で作製したハイドロゲルは、含水時には、複素弾性率が低く、濡れ接着に基づくと考えられる好適な初期粘着力及び剥離力を示すことが確認された。また、乾燥時には、化学的親和性に基づくと考えられる好適な初期粘着力及び剥離力を示した。さらに、実施例1〜9で作製したハイドロゲルは、ゲル重量に対して250%以上の高い吸水力を示し、過度の吸水によってもゲルが崩壊することなく、高い耐浸水崩壊性を示した。
【0066】
<比較例1>
混合工程において混合液3にアクリルエマルジョンを添加せず、架橋工程において混合液3にポリアクリルアミドのアミノ化物0.05質量部のみを含む混合水溶液5gを加えた以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。
【0067】
<比較例2>
溶解工程において混合液1にプロピレングリコール及びグリセリンを添加しない以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。
【0068】
<比較例3>
架橋工程において混合液3にポリアクリルアミドのアミノ化物0.05質量部のみを含む混合水溶液5gを加えた以外は実施例1と同様にしてハイドロゲルを作製した。比較例1〜3の配合比率を「表3」に、各特性の評価結果を「表4」に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る粘着性ゲルは、含水量が低下しても生体に好適に貼付できるため、生体に貼付するサージカルテープ、カテーテルや点滴チューブ等の固定用テープ、湿布材や創傷被覆材等として好適に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に架橋された親水性ポリマーと、相互に架橋された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含んでなり、親水性ポリマーを架橋する架橋剤と疎水性ポリマーを架橋する架橋剤とが架橋された粘着性ゲル。
【請求項2】
含水率45±5%での初期粘着力が0.2〜2.5Nであり、含水率1%未満での初期粘着力が0.8〜3.0Nである請求項1記載の粘着性ゲル。
【請求項3】
含水率45±5%での剥離力が0.1〜8N/inchであり、含水率1%未満での剥離力が1〜25N/inchである請求項1又は2記載の粘着性ゲル。
【請求項4】
37℃で測定した複素弾性率及び損失係数の値が、含水率45±5%での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜3.0×104Pa、損失係数が0.05〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が7.0×10〜5.0×10Pa、損失係数が0.05〜1であって、
含水率1%未満での周波数0.01Hzにおける複素弾性率が1.0×10〜1.0×10Pa、損失係数が0.1〜1であり、周波数15Hzにおける複素弾性率が2.0×10〜2.0×10Pa、損失係数が0.1〜1である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着性ゲル。
【請求項5】
反応性官能基が導入された親水性ポリマーと、反応性官能基が導入された疎水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、親水性ポリマーに導入された反応性官能基間及び疎水性ポリマーに導入された反応性官能基間を相互に架橋し、かつ、親水性ポリマーに導入された反応性官能基と疎水性ポリマーに導入された反応性官能基との間を架橋し得る架橋剤を添加し、架橋反応を行なう工程を含む、粘着性ゲルの製造方法。
【請求項6】
さらに、前記親水性ポリマーと、水と、可塑剤とを含む混合液に、前記疎水性ポリマーのエマルションを添加して混合液を調製する工程を含む、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記親水性ポリマー1質量部に対して、前記疎水性ポリマーを2〜10質量部、前記可塑剤を1〜10質量部、前記架橋剤を0.1〜1質量部を添加する請求項5又は6記載の製造方法。
【請求項8】
ケトン基が導入された変性ポリビニルアルコール1質量部と、水10質量部と、プロピレングリコール1.5質量部及びグリセリン1質量部とを含む混合液に、カルボキシル基が導入されたアクリル酸エステル共重合体のエマルション5質量部を添加して混合液を調製し、
該混合液に、ポリアクリルアミドのアミノ化物0.05質量部及びカルボジイミド化合物0.15質量部を添加し、架橋反応を行なう工程を含む、請求項7記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−285493(P2010−285493A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138860(P2009−138860)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】