説明

粘着防止性と剥離性とを改良した微粒子含有シリコーン系剥離コーティング

本発明は、スリップ/シェア、粘着防止性、移動、剥離性の低さが改良されたシリコーン系剥離組成物を含むポリマー微粒子に向けられている。熱又は放射線硬化させた無溶剤のシリコーン系剥離組成物で、該シリコーン系剥離組成物を形成させることができる。UVカチオン性シリコーン系剥離組成物でも、該シリコーン系剥離組成物を形成させることができる。該ポリマー微粒子は、ポリマーミクロスフェアであることが好ましい。さらに、本発明は、それらが形成される基材をコーティングするための上記微粒子含有シリコーン系剥離組成物の使用に向けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、シリコーン系剥離コーティング組成物と、基材をコーティングするための上記シリコーン系剥離コーティング組成物の使用と、その形成された剥離コーティングされた基材とに関する。詳細には、本発明は、スリップ/シェア、移動、粘着防止性が改良され、そして剥離性が低く、熱硬化性で、放射線硬化性で、そしてUVカチオン性で無溶剤のシリコーン系剥離コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン系剥離コーティング又は組成物は、多くの出版物及び特許の題材において周知である。それらは、相対的に非粘着性の表面が要求される多くの用途において有用である。上記の用途では、剥離組成物を基材上にコーティングし、硬化させる。特に有用な用途は、紙、ポリエチレンフィルム、及び非粘着性表面、粘着剤ラベル、化粧板、及び運搬用テープを提供する他の用途の間で用いられる他の材料のコーティングである。
【0003】
シリコーン系ポリマー及び共重合体は、剥離組成物内で広範囲に用いられている、というのは、それらは表面エネルギーが本質的に低いからである。剥離組成物を作成するために先行技術において用いられている該シリコーン系ポリマー及び共重合体(ポリオルガノシロキサンと称することもある)は、放射線硬化又は熱硬化されうる。無溶剤のシリコーン系剥離組成物も周知である。無溶剤で放射線硬化又は熱硬化される剥離組成物を用いることの優位性は、剥離コーティングの当業者に周知である。
【0004】
非放射線硬化性シリコーン系剥離組成物では、そのようなコーティング中の剥離性能は、ベースとなるシリコーン系ポリマーの特徴を示している。該ポリマーの熱硬化バージョンは、概してビニル又はシラン性(silanic)水素反応性基のいずれかで終わる一般的なポリジメチルシロキサンであるか、又はそれらは、ポリジメチル及びメチルビニルシロキサンの共重合体である。該共重合体は、一般的なポリジメチルシロキサンの場合のように、ビニル反応性基で終わることもできる。無溶剤組成物には、トルエン又はキシレン等の有機溶媒が一切含まれないのが一般的である。
【0005】
剥離コーティングされた紙及びフィルムは、コーティングされた基材から支持体(backing)シートを容易にはがせる程度に剥離力は低いが、取扱い及び経過中に通常直面する力によって、所望の機会前に支持体シートが、コーティングされた表面からはがれる程度には剥離力は低くないことが望ましい。「剥離力」は、該粘着剤から剥離コーティングした基材を剥離するか又は分離するのに要求される力の量として規定される。剥離力の増加を制限する種々の剥離組成物が提供される一方、該シリコーン系剥離組成物の一般的な最小値より下に剥離力を下げることに成功していない。一般的な最小値の剥離力より下の剥離力は、「プレミアム剥離レベル」として当業者に知られており、従って、低い剥離力を示す剥離コーティングは、当業者に「プレミアム剥離」と称されることが多い。
【0006】
さらに、滑らかな表面を有するシリコーン層(シート又はフィルムとも称する)は高い摩擦係数を有し、お互いに「粘着する(block)」又は接着する傾向がある。用語「粘着」はまた、ある層(シリコーン層等)を、別の層(別の層の非シリコーン面)に貼り付けることを指すのが一般的である。従って、用語「粘着防止性」は、上記粘着を防ぐことを記述するために用いられ、そしてフィルムシート上にコーティングされた材料を参照すると、すべての「粘着防止剤」及び「減摩剤(antifriction agent)」は、2種のシートを合わせて粘着させることを防止するために用いられる材料を指す。
【0007】
使用前のコーティングされたシートの製造及び保管の際、遊離のシリコーン系オイルが、不可避的に該コーティングされたシートから別のコーティングされたシートの表面に放出され、該シート表面に遊離のシリコーン系オイルの不連続斑を残すことになる。これにより、高「スリップ」と称されるものが作られる。遊離のシリコーン系オイルはまた、該シートのシリコーンコーティングされていない裏面に容易に移動しうる。例えば、該コーティングされたシートを、前面を背面に接触させる様式(典型的にはロール)で保管すると、該シートの前面のシリコーンコーティングされた表面上の該遊離のシリコーン系オイル(典型的には、低分子量シリコーン)の一部が、該ロールの背面(典型的には、未コーティング)に移動するであろう。
【0008】
実際には、該遊離シリコーン系オイルの汚染が、欠点となりうる。例えば、次の工程の段階(ラベル適用等)の際、該コーティングされたシートがアイドラーロール上を横切ると、該アイドラーロールがスリップし、そして該シートとの接触が損なわれるおそれがある。これにより、シートウェブの張りが均一でなくなるか、又は配列が損なわれる結果となる。該得られたシリコーンコーティングされたシート上に印刷する場合、又はラベルを該シートに適用する場合に、同類の問題が生じる。印刷すべき該表面に遊離のシリコーン系オイルが存在することで、印刷インク及び溶媒が接着する能力が損なわれてしまう。さらに、該シートのスリップの高さに起因する配列の損失により、印刷の際(特に複数回の印刷パスを用い、そして結合されたイメージの形成に適切な位置合わせが不可欠である場合)の棄却率が高くなる。層をお互いに接着させることによって、ある層(シリコーンコーティング層)から別の層(非シリコーン層等)上へのシリコーンの移動及び裏面移動も生ずる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、当業界に剥離性が低いシリコーン系剥離組成物を提供する必要性が存在する。スリップ、粘着性及び移動を減少又は防止し、そしてフィルムシート相互間の粘着を防ぐ公知の方法と比較して摩擦係数が十分に低いシリコーン系剥離組成物を提供する必要性も存在する。さらに、シリコーン系材料はまた高価な傾向があるので、該剥離組成物を作成するために要求されるシリコーン系材料の量を最小化する必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ポリマー微粒子、好ましくはミクロスフェアを含むシリコーン系剥離組成物に向けられている。態様のひとつでは、本発明は、ポリマー微粒子を含み、放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物に向けられている。別の態様では、本発明は、UVカチオン性又はフリーラジカル型のシリコーン系剥離組成物に向けられている。さらに別の態様では、本発明は、ポリマー微粒子を含み、熱硬化性シリコーン系剥離組成物に向けられている。
【0011】
本発明のさらなる態様は、微粒子を含む上述の剥離組成物を基材に適用することと、コーティングを該基材上で硬化させることとによって、基材上に剥離コーティングを作成するための方法を含んでいる。該コーティングを放射線又は熱をあてることで、該コーティングを硬化させることができる。本発明のさらなる態様は、微粒子を含む剥離組成物でコーティングされ、そして放射線又は熱をあてることにより随意選択的に硬化された基材を含む剥離コーティングされた製品を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の主部は、剥離コーティングであり、下記成分;
(1)1種以上の熱又は放射線硬化性のオルガノポリシロキサンポリマー;
(2)触媒として有効な量の1種以上の開始剤;及び
(3)ポリマー微粒子:
を混合物として含むことを特徴とする。
【0013】
他のシリコーン系成分と組み合わせてポリマー微粒子を添加すると、所望の特性が得られる。該微粒子のわずかな突出により、シリコーンの接触がわずかに最小化され、摩擦係数が減少し、それによって該剥離組成物の放出性、移動性、及びスリップ/シェア特性が改良される。図1Aは、微粒子が存在しないシリコーン系剥離組成物を示しており、そして図1Bは、本発明に従う微粒子を有するシリコーン系剥離組成物を示している。該微粒子のわずかな突起によって図1Bに示すように、改良された剥離コーティングの特性を付与することが支援される。該微粒子は、該剥離組成物の密度を下げることにも貢献する。上述のように、特定の表面をコーティングするためには、少量のシリコーンが必要である。
【0014】
該ポリマー微粒子は、任意の好適な形状、好ましくは球形(ミクロスフェア等)に属しうる。該微粒子は中実又は中空状でありうる。中空のミクロスフェアは、中実のスフェアが示す耐衝撃性を有しておらず、そして高剪断混合物又は高圧力モールディングが要求される系では用いることができない。該ポリマー微粒子を、任意の好適なポリマー材料から作成させることができ、そしてポリエチレン材料の形状をなすことが好ましく、そしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリエチレンとPTFE材料との組み合わせがさらに好ましい。好ましい微粒子は、Micro Powders Inc.からPolyfluoro(商標)の名称で、そしてBYK−Cera bvからCerafluor(商標)の名称で販売されている。該微粒子は、好ましくは100℃超の、さらに好ましくは300℃超の軟化点又は融点を有する。
【0015】
該微粒子はまた、当業者に公知なように、ポリマー壁を含む発泡性有機微粒子であり、該壁中に形成される液体又は気体を有することができる。該ポリマーの軟化点を越えて、そして該液体が十分に揮発するか又は該気体を好適に膨張させる(イソブタン又はイソペンタン等のアルカン等)温度までそれらを加熱して該微粒子を発泡させる。該壁は、例えば、ビニルクロリドモノマー、ビニリデンクロリドモノマー、アクリロニトリルモノマー、メチルメタクリレートモノマー若しくはスチレンモノマーから調製されるポリマー又は共重合体、又は例えば、特に、アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体又はアクリロニトリル/ビニリデンクロリド共重合体のポリマー及び/若しくは共重合体の混合物で構成されうる(特に、米国特許第3,615,972号明細書を参照)。好ましい発泡性有機微粒子は、UCB ChemicalsからDualite(商標)の名称で販売されている。
【0016】
発泡状態に区別なく、又は適切な加熱によって誘導される発泡前に該組成物中に発泡性有機微粒子を導入することができる。当業界で公知なように、該組成物内の分散を促進するために該微粒子又はミクロスフェアの表面を処理することが有利でありうる。好適な表面処理材料には、シリカ又は金属(Ca、Mg、Ba、Fe、Zn、Ni、Mn等)の塩若しくは水酸化物(欧州特許出願公開第486,080号明細書等に記述される)、あるいはカーボネート(カルシウムカーボネート等)が含まれる。
【0017】
該ポリマー微粒子は、任意の好適なサイズであり、わずかに突出させるため、所望の剥離組成物の厚さよりも若干厚いことが好ましい。該発泡性有機微粒子は、該組成物の総計に関して、約0.1%〜約30質量%、好ましくは約0.5%〜約10質量%、さらに好ましくは約2%〜約4質量%の割合で存在する。
【0018】
ミクロスフェアが用いられる場合に、該ミクロスフェアは、好ましくは約0.5μm〜約15μm、特に約1μm〜約4μmの直径を有する。該ミクロスフェアは、該組成物の総計に関して、例えば約0.5%〜約30質量%、好ましくは約0.5%〜約10質量%、さらに好ましくは約0.5%〜約3質量%で存在することが好ましい。発泡前ミクロスフェアは、好ましくは約0.1μm〜約10μm、さらに好ましくは約0.5μm〜約3μmの直径を有する。約1μm〜約15μm、好ましくは約1μmから約4μmの発泡後直径(その場又はオリジナル)が好ましい。
【0019】
本発明の第1の態様に従う組成物は、放射線硬化性で無溶剤の剥離組成物を含むことが有利である。任意の好適な放射線硬化性で無溶剤の剥離組成物を用いることができる。上記の好ましい組成物のひとつは、米国特許第6,548,568号明細書(参照により、本明細書に組み入れる)に記載されるような、放射線硬化性で無溶剤の剥離コーティングである。
【0020】
従って、上述の特許に記載されるような放射線硬化性で無溶剤の剥離組成物を含む好ましいポリマー微粒子は、下記成分;
(a)式(I):
【化1】

(式中、RはCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22−であり、そしてY=H又は(CH3)−であり、kは約5〜約15であり、そしてlは約50〜約150である)
のオルガノポリシロキサンを約50〜約100質量部;
(b)式(II)及び式(III):
【化2】

(式中、R及びR'はCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22−から選択され、YはH又は(CH3)−であり、pは0〜約300であり、qは約1〜約20であり、そしてsは約0〜約300である)
のオルガノポリシロキサンから成る群から選択されるオルガノポリシロキサンを含む1種以上のオルガノポリシロキサンを0〜約50質量部;
(c)該組成物の粘着性及び可とう性を改良するための1種以上の添加剤を0〜約10質量部、アクリレートモノマー及びビニルエーテルモノマーから成る群から選択される1種以上の添加剤;
(d)光開始剤を0〜約10質量部;及び
(e)ポリマー微粒子を約0.1〜約5質量部:
を含む。
【0021】
剥離を容易にするため、少なくとも成分(b)又は(c)のいずれかが、該組成物中に存在することが好ましい。本発明に従い、該ポリマー微粒子含有の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物を、該組成物の前述の成分のシリコーン系成分と、該組成物の総計の約0.1〜約5質量部の量の微粒子とを混合して製造する。該微粒子を、任意の成分(a)、(b)、(c)若しくは(d)又はそれらの任意の組み合わせに混合させることができる。該微粒子及び一又は複数の成分を、撹拌しながら室温で混合させることができる。場合によっては、混合を簡単にするため、穏やかな加熱を用いることが望ましい。しかし、該主要なシリコーン系成分と微粒子とは、お互いにブレンドした場合に非常に相性が良く、一般的に系の均一性を保つために連続的な撹拌及び加熱下でそれらを保持する必要がない。
【0022】
本発明の該ポリマー微粒子含有の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物は、一般的な重合防止剤(ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、フェノチアジン、ジ−t−ブチルパラクレゾール等)の添加によって、保管の際の早期の重合に対して安定化させることができる。約0.1質量%以下の量の該安定化剤が一般的に有効である。
【0023】
本発明のポリマー微粒子含有の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物は、硬化させる前に基材に適用されるのが一般的である。コーティング業界で公知の一般的手段(ローラー塗り、カーテンコーティング、はけ塗り、スプレー塗装、リバースロールコーティング、ドクターナイフ、ディッピング、しごき塗り等)によってコーティングとして、該組成物を基材に適用することができる。
【0024】
多種多様の基材を、本発明のポリマー微粒子含有の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物でコーティングできる。該基材表面の剥離性を改良することが望ましい場合に、任意の好適な基材にこれらの組成物を適用できる。例えば、本発明の組成物を用いて、基材(紙、ビニル樹脂、ポリビニルクロリド、及びポリエステルポリオレフィンフィルム、不織布、ガラス、スチール、アルミニウム等)上に剥離コーティングを形成させることができる。ソーダ、スルファイト又はスルフェート(Kraft)製法、中性スルフィドクッキング製法、アルカリ−塩素製法、硝酸製法、セミケミカル製法等の製法によって調製されたクレイコート紙、ポリマーコート紙、板紙(わら、樹皮、木材、綿、亜麻、トウモロコシの茎、サトウキビ、バガス、竹、麻、及び同様のセルロース材料由来)が、用いることができる種類内に含まれる。本発明の複層ラミネートの調製において、基材として利用できる紙の例には、クラフト紙(40ポンド及び50ポンドの漂白されたクラフト紙、41ポンドのオフセットグレードの漂白されたクラフト紙等)が含まれる。
【0025】
種々の基材に適用される本発明の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物の量は、該基材の特性と、該剥離コーティングに所望の特性と、利用する放射線源と、該剥離組成物の特定の配合とによって変わりうる。一般的に、最少量のコーティングを適用して、所望の結果を得ることが好ましい。従って、適用されるコーティング質量は、基材及び意図する用途にもよるが、約0.1〜約10g/m2以上の範囲にわたりうる。
【0026】
本発明のポリマー微粒子含有の放射線硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物を、公知形態の放射線、特に紫外線又は電離放射線(電子線等)をあてて硬化させることができる。該組成物を硬化させるために紫外線を用いる優位性のひとつは、重合が室温で迅速に行われ、加熱が必要ないことである。用いるのに好ましい紫外線は、約0.15nm〜約0.4nm、好ましくは約0.20nm〜約0.35nmの波長を有する。照射の持続時間を短くすることが可能であり、そして1秒未満であることが一般的であり、非常に薄いコーティングに関して、約百分の数秒である。好ましい硬化工程は、2つの放射線ランプを用い、240w/cmで、約200m/分の高速硬化であろう。
【0027】
本発明の別の態様に従う組成物は、一般的に「UVカチオン性」のシリコーン系剥離組成物及び微粒子と称する放射線硬化性のカチオン性シリコーン系剥離組成物を含むことが有利である。UVカチオン性シリコーン系剥離組成物は、カチオン性硬化剤又は光開始剤と混合されるエポキシ−シリコーン共重合体技術に基づくのが一般的である。
【0028】
該エポキシ−シリコーン共重合体技術は、概して、米国特許第5,340,898号明細書に記載(参照し、本明細書に組み入れる)されるような下記成分;
式(IV)及び式(V)の末端基の再硬化する構造単位の直鎖若しくは実質的に直鎖のポリマーを有するか、又は環状でありかつ式(IV)の再硬化構造単位を有する硬化性エポキシポリオルガノシロキサン:
【化3】

(式中、記号R''は同一又は異なってもよく、C1〜C6の直鎖又は分岐のアルキル基;C5〜C8のシクロアルキル基、アリール基;又は置換されたアリール基を表す。該R''基の60モル%以上は、メチル基であることが好ましい。Zは、R''によって規定されるような群に由来するか、又は約2個〜約20個の炭素原子を有する二価の架橋を経由して該シリコーン鎖の原子に結合されているカチオン架橋性の官能性有機基に由来し、それによってZ成分の少なくともひとつが有機基を含む架橋性の官能性エポキシとなることが好ましい。Zは、それぞれの再硬化する構造単位に対して同一又は異なってもよい)
を有する。
【0029】
該エポキシ又はビニルオキシ官能性ポリオルガノシロキサンは、概して、独国特許出願公開第4,009,899号明細書;欧州特許出願公開第396,130号明細書;欧州特許出願公開第355,381号明細書;欧州特許出願公開第105,341号明細書;仏国特許出願公開第2,110,115号明細書;及び仏国特許出願公開第2,526,800号明細書に記載されており、参照することによって本明細書に組み入れる。
【0030】
例えば、ポリマー微粒子含有UVカチオン性シリコーン系剥離組成物は、下記成分;
(a)米国特許第5,866,261号明細書(参照し、本明細書に組み入れる)に記載されるような式(IV)と式(V)の末端基に従う再硬化する構造単位の直鎖又は実質的に直鎖のポリマーを有する硬化性エポキシポリオルガノシロキサン;
(b)エポキシ官能性を有せず(米国特許第5,866,261号明細書にも記載される)、そして下記式;
αβXδ(ORiε
(式中、M=R3SiO1/2、D=R2SiO2/2、T=RSiO3/2、及びQ=SiO4/2
を有する架橋性水素化シリコーン系樹脂;
(c)該エポキシ官能性シロキサンのカチオン性硬化を開始するのに有効なカチオン性光硬化開始剤;及び
(d)ポリマー微粒子:
を含みうる。
【0031】
任意の好適なUVカチオン性シリコーン系剥離組成物を用いることができる。
例えば、好適なポリマー微粒子含有のUVカチオン性シリコーン系剥離組成物は、下記成分;
(a)25℃で約10〜10,000mPa・sの粘度を有し、そして少なくともM及び/若しくはT単位上に架橋性/重合性官能基Z、並びに/又は少なくともD単位上に少なくとも架橋性/重合性官能基を有する少なくとも液体であるポリオルガノシロキサン;
(b)オニウムボラート型のカチオン性光開始剤;及び
(c)微粒子:
を含みうる。
【0032】
別の好適なUVカチオン性シリコーン系剥離組成物は、「プレミアム剥離」組成物である。上記のように、プレミアム剥離は、剥離性が低い剥離組成物に関するものである。好ましいプレミアム剥離組成物は、Rhodia Inc.からSilcolease(商標)の名称で購入可能である。
【0033】
上記UVカチオン性のプレミアム剥離組成物のひとつは、下記成分;
a.1)式(VI):
【化4】

(式中、nは約10〜約100、好ましくは約20である)
の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約50〜約99質量部、そして好ましくは約70質量部;
b.1)式(VII):
【化5】

(式中、rは約150〜約300、好ましくは約220である)
を有するポリオルガノシロキサンを約1〜約50質量部、好ましくは約30質量部;
c.1)カチオン性開始剤を約0.1〜約5質量部、好ましくは約2.5質量部;及び
d.1)微粒子を約0.1〜約5質量部、好ましくは約1質量部:
を含む。
【0034】
該カチオン性開始剤は、オニウム塩であることが好ましい。オニウムボラート開始剤は、米国特許第5,340,898号明細書及び第5,468,902号明細書に記載されるものが好ましい(参照によって、本明細書に組込む)。あるいは、他のカチオン性硬化剤又は光開始剤を選択して使用することができる。
【0035】
別の好ましいポリマー微粒子含有UVカチオン性シリコーン系プレミアム剥離組成物は、下記成分;
a.2)式(VI)
(式中、nは約10〜約100、好ましくは約20である)
の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約50〜約99質量部、好ましくは約60質量部;
b.2)式(VII)
(式中、rは約150〜約300、好ましくは約220である)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約50質量部、好ましくは約30質量部;
c.2)式(VIII):
【化6】

(式中、pは約0〜約300、好ましくは70であり、さらにqは約1〜約20、好ましくは8である)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約20質量部、好ましくは約10質量部;
d.2)カチオン性開始剤を約0.1〜約5質量部、好ましくは約2.5質量部;及び
e.2)微粒子を約0.1〜約5質量部、好ましくは約1質量部:
を含む。
【0036】
さらに別の好ましいポリマー微粒子含有のUVカチオン性シリコーン系プレミアム剥離組成物は、下記成分;
a.3)式(VI)
(式中、nは約10〜約100、好ましくは約20である)
の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約60〜約99質量部、好ましくは約65質量部;
b.3)式(VII)
(式中、rは約150〜約300、好ましくは約220である)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約40質量部、好ましくは約30質量部;
c.3)式(VIII)
(式中、pは約100〜約300であり、pは200であることが好ましく、さらにqは約1〜約20であり、qは3であることが好ましい)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約20質量部、好ましくは約5質量部;
d.3)カチオン性開始剤を約0.1〜約5質量部、好ましくは約2.5質量部;及び
e.3)微粒子を約0.1〜約5質量部、好ましくは約1質量部:
を含む。
【0037】
本発明のこの態様に従って、該微粒子は、ミクロスフェアであることが好ましい。該ミクロスフェアは、任意の個々の成分又はそれらの任意の組み合わせの中に混合させることができる。該ミクロスフェアを式(VI)又は(VII)としっかり混合させることが好ましく、そして式(VII)としっかり混合させることがさらに好ましい。該微粒子は、該式の約10%〜約50%の質量パーセントでしっかり混合させることが好ましく、そして該式の約25%〜約40質量%がさらに好ましい。該微粒子と一又は複数の成分とを、室温で撹拌しながら混合させることができる。場合によっては、混合を容易にするため、穏やかな加熱を用いることが望ましい。しかし、該主要なシリコーン系成分と微粒子とは、お互いにブレンドした場合に非常に適合性が高く、系を均一に保つために継続的な撹拌及び加熱下で保持する必要はないのが一般的である。
【0038】
本発明に従う微粒子含有UVカチオン性シリコーン系剥離組成物を利用することによって、しっかりと固定され(すなわち、粘着剤がコーティングされた基材への粘着に優れる)、しかし剥離に対して滑らかな特性(すなわち、該コーティングされた基材からの粘着剤の除去が、ラチェット(ratchet)作用もジッパー(zippered)作用もなく生ずる)を有する生成物が生ずる。
【0039】
本発明に従うUVカチオン性シリコーン系剥離組成物を、上記のような又は有機溶媒中の溶液中で用いることができる。それらは、セルロース材料、フィルム、塗料、電気及び電子部品の封入、テキスタイル及び光ファイバーを覆うためのコーティング上に粘着防止コーティングを提供するために有用である。それらは、通常粘着するであろう他の材料に粘着しない材料(金属シート、ガラス、プラスチック又は紙等)を製造するそれ自体に用いると非常に有利である。該組成物は、2000mPa・sを超えない粘度を示す。
【0040】
従って、本発明はまた、製品を製造するための方法であって、それらの表面の少なくとも一面に一般的に約0.1〜約5g/m2の量の本発明の該UVカチオン性シリコーン系剥離組成物のコーティングを含み、そして放射線(すなわち、可視光、紫外線又は電子線)を供給し、該組成物を架橋させる方法を特色とする。利用する放射線源の種類は、選択する硬化剤に直接対応する。例えば、紫外線をあてると水素プロトンカチオンを遊離させる開始剤を用いる場合、選択される放射線源は紫外線源であるべきである。用いられる好ましい紫外線は、約0.2μm〜約0.4μm、好ましくは約0.23μm〜約0.3μmの波長を有する。照射の持続時間を短くすることができ、一般的に1秒未満であり、そして非常に薄いコーティングに関して約百分の数秒である。好ましい硬化工程は、2つの放射線ランプを用い、240W/cmにおいて約200m/分の高速硬化である。
【0041】
加熱なしで硬化させることができる。しかし、約25℃〜約100℃の温度における加熱も本発明の範囲内にあることも正しく評価すべきである。用いる放射線ランプ数と、放射線をあてる時間と、該組成物及び該放射線ランプの間の距離とによって、硬化時間を調節できることを理解すべきである。
【0042】
該基材上に堆積されるUVカチオン性シリコーン系剥離組成物の量を変えることができ、典型的には、処理される表面に対して約0.1〜5g/m2の範囲にわたる。これらの量は、該基材の性質と、所望の付着防止性又は粘着防止性によって決まる。それらは、非多孔質基材に関して、約0.5〜約3g/m2の範囲にわたるのが通常である。
【0043】
本発明に従うUVカチオン性シリコーン系剥離組成物の主要な用途は、テープ、ラベル又はパーソナルケア商品(オムツ等)に対して一重又は二重にコーティングされた剥離ライナー用である一方、他の用途には、エンボス加工のストリップ剥離ライナー、フロアタイル及び壁コーティング向け保護用剥離面、低圧プラスチックラミネート用の剥離紙、挟み込み用の剥離材、セルフシールの屋根用の剥離材、パン屋のトレイライナー、及びいくつかの剥離面の確かな価値が存在する用途が含まれる。
【0044】
本発明の第3の態様に従う組成物は、熱硬化性で無溶剤の剥離組成物を含むことが有利である。好適な熱硬化性で無溶剤の剥離組成物を用いることができる。
【0045】
従って、好ましいポリマー微粒子含有の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物は、下記成分;
(a)式(IX):
【化7】

のオルガノポリシロキサンを約0から約50質量部、ここで、該式(IX)のブルックフィールド粘度が、室温で、約50cps〜約45,000cps、さらに好ましくは約180cpsである;
(b)式(IX)を約0〜約25質量部、ここで、該式(IX)のブルックフィールド粘度が、約50,000〜約150,000cpsであり、さらに好ましくは約100,000cpsであり、sは約0〜約300であることが好ましい;
(c)式(X):
【化8】

を0から約50質量部、ここで、該式(X)のブルックフィールド粘度が、約50cps〜約50,000cpsであり、さらに好ましくは、約450cpsである;
(d)架橋性ポリマーを約0〜約15部;
(e)白金族ベースの触媒系を約0〜約10部;及び
(f)ポリマー微粒子を約0.1〜約5部:
を含みうる。
好ましくは、sは約0〜約300であり、そしてtは約1〜100である。
【0046】
該架橋性ポリマーは、任意の好適なポリマーでありうる。
好適な架橋性ポリマーには、例えば、一般式(XI):
【化9】

を有するホモポリマー架橋剤か、又は例えば、一般式(XII):
【化10】

を有する共重合体架橋剤が含まれる。
好ましくは、yは約0〜約300であり、tは約1〜100である。
【0047】
随意選択的に、該組成物は、該最終組成物の粘性又は流動性を増すか又は制御する流れ調整剤を約0〜約15部含みうる。例えば、粘性を下げる材料は、一般式:CH2=CH−[CH212を有するα−オレフィンでありうる。
【0048】
該組成物は、該組成物の総計の約1質量部の量で微粒子を含むことが好ましい。いずれかの該シリコーン系成分(a)、(b)、(c)若しくは(d)又はそれらの任意の組み合わせに、該ミクロスフェアを混合させることができる。本発明に従う他の組成物に関し上述するように、該微粒子及び一又は複数のシリコーン系成分を室温で撹拌しながら混合させることができる。混合を容易にするため、穏やかな加熱を用いることも望ましい。
【0049】
該放射線硬化性組成物に関して上述するように、本発明の該熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物は、一般的な重合防止剤(ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノメチルエーテル、フェノチアジン、ジ−t−ブチルパラクレゾール等)を添加し、保管の際、早期の重合に対して安定化させることもできる。さらに、約0.1質量%以下の量の該安定化剤が、一般的に有効である。
【0050】
本発明のポリマー微粒子含有の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物を、硬化させる前に基材に適用するのが一般的である。該コーティング業界に公知の一般的手段(ローラー塗り、カーテンコーティング、はけ塗り、スプレー塗装、リバースロールコーティング、ドクターナイフ、ディッピング、しごき塗り等)により、コーティングとして、該組成物を基材に適用することができる。
【0051】
本発明の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物で、多種多様の基材をコーティングできる。該基材の表面の剥離性を改良することが望ましい場合に、これらの組成物を任意の好適な基材に適用できる。例えば、熱硬化性のシリコーン系剥離組成物が、グラフィックアートシートラベルの売買において広く用いられている。種々の基材に適用される本発明のポリマー微粒子含有の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物の量は、該基材の特性と、該剥離コーティング内の所望の特性と、利用する加熱源と、該剥離組成物の特定の処方とによって変わりうる。一般的に、所望の結果を得るために最小量のコーティングを適用することが望ましい。従って、適用されるコーティング質量は、大部分の紙及びクレイコート基材の場合、約1.3g/m2〜約1.8g/m2、そしてポリコートされたクラフト基材の場合、約0.65g/m2〜約1.15g/m2の範囲にわたり、そして該基材及び意図する用途によって大きく変わりうる。
【0052】
本発明の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物を、公知の加熱形態にさらして硬化させることができる。特定の科学的理論に拘束されることを望まないが、本発明者達は、該微粒子が該シリコーン系剥離組成物を強化すると仮説を立てている。該シリコーン系剥離組成物中で微粒子を組み合わせたところ、驚くべきことに予想外の相乗効果が得られた。該微粒子をシリコーン系剥離組成物に添加すると、スリップ/シェア特性及び粘着防止性が改良された。該微粒子をシリコーン系剥離組成物に添加すると、剥離性の低さが示された。本発明によって示された別の利益は、移動が少ないことである。該微粒子は、有効な粘着防止剤として作用すると考えられる。
【0053】
本発明に従って、該組成物は、約12インチ/分〜600インチ/分の引張速度で、リニアーインチあたり約3〜約25グラム程度の剥離値を与えることができる。
本発明及びそれらの優位性をさらに具体的に説明するために、次の非限定的例を提供する。
【実施例】
【0054】
例1
該剥離コーティングの最初の処方は、下記成分;
化合物(VI)
(式中、nは20である)
の硬化性該エポキシポリオルガノシロキサンを60質量部;
化合物(VII)
(式中、rは220である)
を有する該ポリオルガノシロキサンを30質量部;
化合物(VIII)
(式中、pは200であり、qは3である)
を有するポリオルガノシロキサンを10質量部;
カチオン性開始剤を2.5質量部;
ポリマーミクロスフェアを1〜3部:
である。
【0055】
該試験組成物中で用いられる光開始剤は、Rhodia Inc.から入手可能なSilcolease(商標)UV Cata211(UV照射で活性化するカチオン性光開始剤)である。該ポリマー微粒子は、Micro Powders Inc.から購入可能なFLUO HT(商標)の名称で販売されるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ミクロスフェアである。該ポリマーミクロスフェアを、式(VII)内の希釈物として、該式の33質量%において調製した。
【0056】
該成分を完全に混合させ、ディクソン(Dixon)コーターを用い、約0.9g/m2のコーティング質量でポリプロピレンフィルムに適用し、そして200メートル/分のラインスピードで240W/cmの紫外線ランプ下で硬化させた。表1には、一般的な処方と、ポリマーミクロスフェアFLUO HT(商標)を該組成物の総計の3質量部有する該一般的な処方との試験結果が示されている。
【0057】
該表中で、次の定義及び省略形を用いた。
評価された粘着剤は、アクリル系粘着用テープ(Rhodia Inc.から入手可能な商品名TESA4970及びTESA7475)と、天然ゴム系粘着用テープ(Rhodia Inc.から入手可能な商品名TESA4651)とである。該光開始剤はPC−702の商品名で、Rhodia Inc.から入手可能である。該ミクロスフェアはXF−523の商品名で、Micro Powders Inc.から購入可能である。
【0058】
剥離性の改良を実証するため、本発明のシリコーン系剥離組成物、ポリマー微粒子を伴う及び伴わない一般的なUVカチオン性シリコーン系剥離組成物を調製し、好適な基材の上にコーティングし、収束紫外線をあてて硬化させ、そして剥離値を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
表1から、本発明に従う組成物に対する剥離力は、該ミクロスフェアを含まない組成物よりも非常に小さいことが観察できた。
本発明の該シリコーン系剥離組成物の剥離性が改良されたことをさらに実証するため、該組成物の総計の0〜3質量部の不定量のミクロスフェアを有する一般的なUVカチオン性シリコーン系剥離組成物を比較した。種々のパーセンテージのミクロスフェアを含む組成物をポリエステル(PET)フィルム(三菱から入手可能な商品名2262)上にコーティングし、収束紫外線によって硬化させ、そして該剥離値を測定した。用いた粘着剤は、TESA4651であった。
【0061】
【表2】

【0062】
表2から、本発明に従う微粒子を含む組成物に対する剥離力は、両方の引張速度に関して、該微粒子を含まない組成物よりも非常に小さいことが観察できた。
本発明の該シリコーン系剥離組成物の特性が改良されたことをさらに実証するため、1.5部のミクロスフェアと、3部のミクロスフェアと、0部のミクロスフェアとを伴う一般的なUVカチオン性シリコーン系剥離組成物を調製し、三菱製2262フィルム上にコーティングし、収束紫外線によって硬化させ、そして該剥離値を測定した。
【0063】
【表3】

【0064】
*粘着性を、1〜5の内部評価(5がベスト又は粘着性なし)で評価した。移動は、該ライナーの裏面にマーカートレースを適用してスポット上ではじくインクがあるかどうか測定することで評価された。1〜5の内部評価(5がベスト又は移動なし)を用いて該特性を評価した。
表2から、本発明に従う組成物に対する剥離力及び粘着性が、該ミクロスフェアを含まない組成物よりも非常に小さいことが観察できた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
これらの及び他の特色並びに本発明の優位性が、添付の図面に関連して提供される次の詳細な説明からより理解されるであろう。
【図1A】図1Aは、微粒子を含まないシリコーン系剥離組成物の写真である。
【図1B】図1Bは、本発明に従う組成物中に微粒子を有するシリコーン系剥離組成物の写真である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記混合物;
放射線硬化性オルガノポリシロキサンポリマー又は熱硬化性オルガノポリシロキサンポリマーから成る群から選択される硬化性オルガノポリシロキサンポリマー;
触媒として有効な量の1種以上の開始剤;及び
ポリマー微粒子:
を含むシリコーン系剥離コーティング組成物。
【請求項2】
該ポリマー微粒子が、ポリエチレン材料又はポリテトラフルオロエチレン材料を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
該ポリマー微粒子が低くとも約100℃の融点を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
該ポリマー微粒子が低くとも約300℃の融点を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
該ポリマー微粒子が該混合物中に突起を付与する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
該ポリマー微粒子が約0.5μm〜約15μmの直径を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
該ポリマー微粒子を約0.5%〜約30質量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
該ポリマー微粒子を約0.5%〜約10質量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
該ポリマー微粒子を約0.5%〜約5質量%含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
該ポリマー微粒子が中実である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
該ポリマー微粒子が中空である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
硬化性オルガノポリシロキサンポリマーを約25〜約150部;
触媒として有効な量の1種以上の開始剤を最大約10質量部;及び
ポリマー微粒子を約0.01〜約5部:
を含むシリコーン系剥離コーティング組成物。
【請求項13】
該ポリマー微粒子がポリマー壁を有する発泡性有機微粒子を含み、該ポリマー壁の中に液体または気体が含まれている、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
該ポリマー微粒子がミクロスフェアを含む、請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
該剥離コーティング組成物が該ポリマー微粒子サイズより薄い厚みを有する、請求項12に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
該ミクロスフェアが約0.1μm〜約10μmの発泡前直径を有する、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
該ミクロスフェアが約0.5μm〜約3μmの発泡前直径を有する、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
該ミクロスフェアが約1μm〜約15μmの発泡後直径を有する、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
該ミクロスフェアが約1μm〜約4μmの発泡後直径を有する、請求項18に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
(a)式(I):
【化1】

(式中、RはCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22−であり、そしてYはH又は(CH3)−であり、kは5〜15であり、そしてlは50〜150である)
のオルガノポリシロキサンを約50〜約100質量部;
(b)式(II)及び式(III):
【化2】

(式中、R及びR'はCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22−からなる群から選択され、YはH又は(CH3)−であり、pは0〜300であり、qは1〜20であり、そしてsは0〜300である)
のオルガノポリシロキサンから成る群から選択されるオルガノポリシロキサンを含む1種以上のオルガノポリシロキサンを0〜約50質量部;
(c)該組成物の粘着性及び可とう性を改良するための1種以上の添加剤を0〜約10質量部;
(d)光開始剤を0〜約10質量部;及び
(e)ポリマー微粒子を約0.1〜約5質量部:
を含むポリマー微粒子含有剥離組成物。
【請求項21】
粘着性を改良するための該1種以上の添加剤が、アクリレートモノマーとビニルエーテルモノマーとから成る群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも成分(b)又は成分(c)のいずれかを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
(a)式(IV)及び式(V)の末端基:
【化3】

(式中、記号R''及びR'''は、C1〜C6の直鎖又は分岐アルキル基;C5〜C8のシクロアルキル基;アリール基;又は置換されたアリール基から成る群から選択され、ZはC1〜C6の直鎖又は分岐アルキル基;C5〜C8のシクロアルキル基;アリール基;置換されたアリール基;又は約2個〜約20個の炭素原子を有する二価の架橋を経由して該シリコーン鎖原子に結合されるカチオン架橋性の官能性有機基から成る群から選択される)
に従う再硬化する構造単位の直鎖若しくは実質的に直鎖のポリマーを有する硬化性エポキシポリオルガノシロキサン
(b)式:MαβXδ(OR'')ε
(式中、M=R''3SiO1/2、D=R''2SiO2/2、T=R''SiO3/2、及びQ=SiO4/2であり、RはCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22である)
の架橋性水素化シリコーン系樹脂を有する架橋性水素化シリコーン系樹脂;
(c)該エポキシポリオルガノシロキサンのカチオン硬化を開始させるのに有効なカチオン性光硬化開始剤;及び
(d)ポリマー微粒子:
を含むポリマー微粒子含有シリコーン系剥離組成物。
【請求項24】
該カチオン性光開始剤がオニウムボラート型に属する、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
1種以上のZ単位が有機基を含む架橋性の官能性エポキシを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
R''又はR'''の少なくとも60モル%がメチル基である、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
(a)25℃で約10〜10,000mPa・sの粘度を有し、そして少なくともR''3SiO1/2単位、R''SiO3/2単位、又はR''2SiO2/2単位上に架橋性官能基Zを有し、ここで、ZはC1〜C6の直鎖又は分岐アルキル基;C5〜C8のシクロアルキル基;アリール基;置換されたアリール基、又は約2個〜約20個の炭素原子を有する二価の架橋を経由して該シリコーン鎖原子に結合されるカチオン架橋性の官能性有機基から成る群から選択され、そしてRはCH2=C(Y)−C(O)−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、(CH2=C(Y)−C(O)−O−CH22C(CH2−CH3)−CH2−O−CH2−CH2−CH2−、CH2=C(Y)−C(O)−O−(CH24−O−(CH22−、又はCH2=C(Y)−C(O)−O−(CH26−O−(CH22である、少なくとも液体のポリオルガノシロキサン;
(b)カチオン性光開始剤;及び
(c)微粒子:
を含むシリコーン系剥離コーティング組成物。
【請求項28】
a.1)式(VI):
【化4】

(式中、nは、約10〜約100である)
の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約50〜約99質量部、そして好ましくは約70質量部;
b.1)式(VII):
【化5】

(式中、rは約150〜約300である)
を有するポリオルガノシロキサンを約1〜約50質量部、そして好ましくは約30質量部;
c.1)カチオン性開始剤を約0.1〜約5質量部;及び
d.1)微粒子を約0.1〜約5質量部:
を含むポリマー微粒子含有シリコーン系剥離組成物。
【請求項29】
nが20である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
rが約220である、請求項28に記載の組成物。
【請求項31】
カチオン性開始剤を約2.5質量部含む、請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
微粒子を約1質量部含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
a.2)式(VI):
【化6】

(式中、nは約10〜約100である)
の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約50〜約99質量部;
b.2)式(VII):
【化7】

(式中、rは約150〜約300である)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約50質量部;
c.2)式(VIII):
【化8】

(式中、pは約0〜約300であり、さらにqは約1〜約20である)
のポリオルガノシロキサンを約1〜約20質量部;
d.2)カチオン性開始剤を約0.1〜約5質量部;及び
e.2)微粒子を約0.1〜約5質量部:
を含むポリマー微粒子含有シリコーン系剥離組成物。
【請求項34】
式(VI)の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約60質量部;
式(VII)のポリオルガノシロキサンを約30質量部;
式(VIII)のポリオルガノシロキサンを約10質量部;
カチオン性開始剤を約2.5質量部;及び
微粒子を約1質量部:
を含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
nが約20であり、rが約220であり、pが約70であり、そしてqが約8である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
式(VI)の硬化性エポキシポリオルガノシロキサンを約65質量部;
式(VII)のポリオルガノシロキサンを約30質量部;
式(VIII)のポリオルガノシロキサンを約5質量部;
カチオン性開始剤を約2.5質量部;及び
微粒子を約1質量部:
を含む請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
nが約20であり、rが約220であり、pが約200であり、そしてqが約3である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
該微粒子がミクロスフェアを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項39】
(a)式(IX):
【化9】

のオルガノポリシロキサンを約0〜約50質量部、ここで、該式(IX)のブルックフィールド粘度が、室温で約50cps〜約45,000cpsである;
(b)式(IX)を約0〜約25質量部、ここで、該式(IX)のブルックフィールド粘度が、約50,000〜約150,000cpsである;
(c)式(X):
【化10】

を0から約50質量部、ここで、該式(X)のブルックフィールド粘度が、約50cps〜約50,000cpsであり、tは約1〜約20であり、sは約0〜約300である;
(d)架橋性ポリマーを約0〜約15部;
(e)白金族ベースの触媒系を約0〜約10部;及び
(f)ポリマー微粒子を約0.1〜約5部:
を含むポリマー微粒子含有の熱硬化性で無溶剤のシリコーン系剥離組成物。
【請求項40】
成分(a)のブルックフィールド粘度が約180cpsであり、成分(b)のブルックフィールド粘度が約100,000cpsであり、そして成分(c)のブルックフィールド粘度が約450cpsである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
該架橋性のポリマーが、式(XI)又は(XII):
【化11】

から成る群から選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項42】
粘度低下材料をさらに含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
該粘度低下材料が、式:CH2=CH−[CH212のα−オレフィンを含む、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
mが1〜100であり、そしてnが0〜1000である、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
次の各段階;
請求項1に記載の該シリコーン系剥離コーティング組成物のコーティングを基材に適用する段階;そして
該コーティングを放射線又は熱をあてて、該基材上で該コーティングを硬化させる段階:
を含む、基材上に剥離コーティングを生成する方法。
【請求項46】
次の各段階;
請求項12に記載の該シリコーン系剥離コーティング組成物のコーティングを基材に適用する段階;そして
該コーティングを放射線又は熱をあてて、該基材上で該コーティングを硬化させる段階:
を含む、基材上に剥離コーティングを生成する方法。
【請求項47】
該放射線が紫外線である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
該放射線が紫外線である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
請求項1に記載の該シリコーン系剥離コーティング組成物でコーティングされ、そして放射線又は熱をあてて硬化させた基材を含む剥離コーティングされた製品。
【請求項50】
請求項12に記載の該シリコーン系剥離コーティング組成物でコーティングされ、そして放射線又は熱をあてて硬化させた基材を含む剥離コーティングされた製品。

【公表番号】特表2007−528910(P2007−528910A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518718(P2006−518718)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/020897
【国際公開番号】WO2005/005555
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(598109291)ローディア インコーポレイティド (41)
【Fターム(参考)】