説明

精密光学マウント

【課題】 光学装置において、光学成分のアライメントの複雑さを単純にし、その費用を低減させる。
【解決手段】 光学装置20は、曲率主中心Cを備えた主球状光学面34を有する主光学素子22であって、主球状光学面34が、光学装置20の有効開口の外側に延在する周辺部Pを有するものである主光学素子22と、副光学素子30とを有する。マウント24は、
主光学素子22から離して配置された副光学素子30を吊るす。マウント24が複数の脚部28を備え、各脚部28は主光学素子22と副光学素子30との間に延在し、主光学素子22の周辺部Pに支えられている周辺係合面32で終端している。周辺係合面32は、曲率主中心Cと実質的に同軸の曲率係合面中心を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く、光学成分の取付けに関し、より詳しくは、成分の位置決めに関して5つもの自由度を要求する装置内の光学要素のマウントに関する。
【背景技術】
【0002】
光学装置内での光の適切な向け直しおよび整形の要件の中に、レンズ、ミラー、および他の光学成分が互いに対して所望の空間配向性を有するという要件がある。多くの光学集成体では、5つまでの自由度で成分間のアライメントを確保するための精密取付技法が必要とされる。一例が、主鏡と副鏡を互いに対して精密にアライメントする必要があるカセグレン式望遠鏡である。同様の反射光学式または全反射型の望遠鏡設計が、および反射型成分と屈折型成分の混合を使用した反射屈折光学系が、並びにより一般的には同様の光学原理を使用して設計された対物レンズおよび成分が、同じ問題に直面する。
【0003】
多数の光学装置が、減少した像収差および実質的にモノセントリックのまたは同心の設計に得られる他の利点を利用する。この原理は、光学設計の当業者に馴染みのある、カセグレン、オフナー(Offner)、およびシュバルツシルドモデルを使用して設計された光学装置に使用される。
【0004】
一例として、図1は、シュバルツシルド設計後にモデル化され、顕微鏡の対物レンズ10を形成するために使用された光学成分の配置を示している。副鏡14が、主鏡12から離れて配置されている。凹面主鏡12および凸面副鏡14の両方が、同じ曲率中心Cを有している。小絞り用孔Aが主鏡12の中心に形成され、副鏡14への平行光の光路を提供している。
【0005】
副鏡14を主鏡12に精密に関連付けて取り付けるための手法の1つは、「クモ状(spider)」支持体を使用することである。この用語は、副鏡から主鏡に半径方向外側に突出する脚部または支柱が配列された機械式マウントに一般に使用される。円柱状筐体内に取り付けられた光学素子について、クモ状支持体の脚部または支柱は、典型的に、筐体の内壁に沿って締め付けられる。あるいは、クモ状支持体は、例えば、Stenton等の「Two-Mirror Telescope with Central Spider Support for the Secondary Mirror」と題する特許文献1に示されるような、主鏡に提供される支持構造から、または主鏡の内周にある点から副鏡を吊すことができる。
【0006】
デバイス製造の公知の技法に、主鏡表面、光軸に対して垂直なフランジ、およびパイロット径を一動作で機械加工することがある。次いで、クモ状支持体は、フランジに取り付けられ、光学性能を維持するのに適切なアライメントを確保するような許容範囲にパイロット径を適合させるように機械加工される。これらの許容範囲は、一般に、特別な測定装置を必要とし、機械加工された成分は、集成時に、望ましくない結合または「摩損(galling)」に曝され得る。
【0007】
図1の反射光学装置の光学表面の精密なアライメントには、芯出しと傾斜の調節が必要である。副鏡14がx−y平面内にあるが軸外に移される偏芯は多くの用途にとって許容できず、芯出しの正確なアライメントが必要である。デバイスの芯出しのための芯出し要件は、数マイクロメートル未満の分解能を有し得る。中心Cの周りの傾斜は、そのような径にとってそれほど重要ではないが、口径食を生じるかもしれない。副鏡14の頂点の周りの傾斜は、より重大な問題であり得る。このタイプの実質的に同軸の光学配置を使用した多くの光学系について、芯出しおよび傾斜のアライメントには、干渉計または他の適切な機器を扱う、訓練された光学技術者の作業が必要である。このことにより、製造に費用と複雑さが増す。その上、デバイスのアライメントのための締付け具および調節機構を使用すると、寄生運動などの他の問題がもたらされ得る。デバイス用途で両極端の温度に遭遇した場合、熱膨張係数(CTE)の差によってもアライメントが危うくされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7274507号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、成分のアライメントの複雑さを単純にし、その費用を低減させる、同軸光学成分の光学素子マウントが必要とされている。
【0010】
本発明の課題は、光学成分の取付けと調節の従来技術を進歩させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を考慮に入れて、本開示は、光学装置において、
曲率主中心を備えた主球状光学面を有する主光学素子であって、主球状光学面が、光学装置の有効開口の外側に延在する周辺部を有するものである主光学素子、
副光学素子、および
主光学素子から離れて配置された副光学素子を吊るすマウントであって、このマウントが複数の脚部を備え、各脚部が主光学素子と副光学素子との間に延在し、各脚部が、主光学素子の周辺部に支えられている周辺係合面で終端しているマウント、
を備え、
周辺係合面が、曲率主中心と実質的に同軸の曲率係合面中心を有することを特徴とする光学装置を提供する。
【0012】
ここに開示された光学素子マウントは、クモ状支持体と主光学素子との間の界面に球状係合面を使用し、5つの自由度である程度の調節を可能にする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光学装置の利点は、集成とアライメントの最中のマウントが回転する固定中心点を提供することであり、その配列は、光学性能を改善し、偏芯の調節を行う必要を低下させるかまたはなくす。
【0014】
本発明の実施の形態における光学装置の別の利点は、その素子のマウントにより、接着剤の厚さのための余計な結合間隙の許容範囲を必要とせずに、クモ状支持体と主鏡との間で接着を可能にすることである。別の利点は、集成体における多数の同軸光学成分のアライメントの単純さに関する。
【0015】
この光学装置のさらに別の利点は、一点ダイアモンド旋削を使用した製造に関する。
【0016】
開示された本発明の他の望ましい目的、特徴、および利点は、陶業業者に思い起こされるか、または明白になるであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】同軸反射光学系の基本的な光学成分を示す説明図
【図2】有効開口の外にある表面の一部の定義を示す説明図
【図3A】モノセントリック光学装置における異なる基準点の周りの傾斜の効果を示す説明図
【図3B】モノセントリック光学装置における異なる基準点の周りの傾斜の効果を示す説明図
【図3C】モノセントリック光学装置における偏芯の効果を示す説明図
【図4】本発明の1つの実施の形態による顕微鏡の対物レンズの正面図
【図5A】バッフルを使用した実施の形態に関する図4の対物レンズの側面断面図
【図5B】バッフルを使用しない実施の形態に関する図4の対物レンズの側面断面図
【図6A】主光学素子の表面から取り外されたマウントを示す側面断面図
【図6B】接着のための構成を示す、拡大図を含む側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここに示され、記載された図面は、様々な実施の形態による光学装置の動作と製造の鍵となる原理を説明するために提供されており、これらの図面の多くは、実際のサイズまたは比率を示すことを意図して描かれていない。基本的な構造の関係または動作の原理を強調するために、ある程度の誇張は必要であろう。
【0019】
本開示に関して、「上部」および「下部」という用語は、相対的であり、表面の必要な方向性を示すものではなく、材料の成分またはブロックに関する反対の表面を称し、それらを区別するために単に使用される。
【0020】
「第1」、「第2」などの用語が使用されている場合、それらは、順序または優先の関係を必ずしも示すものではなく、ある要素または時間間隔を別のものからより明らかに区別するために使用されてもよい。
【0021】
本開示に関して、「反射面」という語句は、「鏡」という用語と置き換え可能に使用される。光学設計の当業者に馴染みがあるように、反射面は、例えば、金属およびダイクロイックコーティングと金属コーティングを含む、様々な異なる材料から形成することができる。
【0022】
本開示に関して、2つの曲面は、それぞれの曲率中心が同じであるまたは大きい方の曲率の半径の約5%以下しか離れていない場合、「実質的に同軸」の曲率を有すると考えられる。
【0023】
本開示に関して、「有効開口(usable aperture)」または「有効口径(clear aperture)」という用語は、光学分野の当業者により理解される意味を有し、光学系または光学成分の意図する光路を画成する系または成分の部分に関する。この定義を鑑みて、光学素子または他の特徴の一部分は、光学系内のその位置が、その系を通って透過する有効光に意図される光線の角度に制約を与えないときに、有効開口の外側にあると考えられる。図2の説明図を参照すると、主鏡12の有効開口または有効口径に対する関係が示されている。顕微鏡の対物レンズ10に内側に向かって見ると、副鏡14から反射して戻る光の意図する光路が、主鏡12の内側部分Uに及び、内側部分Uの境界が点線の円により示されているのが分かる。この構成を考慮すると、主鏡12の表面の周辺部Pは、有効開口の外側にあると考えられる。後により詳しく説明するように、本発明の実施の形態では、取付基準として有効開口の外側にあるこの区域を使用する。
【0024】
図2を参照すると、本発明の光学装置は、5つの自由度で調節でき、xおよびy方向における少なくともある程度の成分の移動を可能にし、x,yおよびz軸のどの周りでのある程度の回転を可能にする。z軸に沿った(光軸Oに対して平行)移動が制約される。
【0025】
同軸または実質的に同軸の光学装置のための光学アライメントの実践上の問題をより完全に認識するために、特に2つのタイプのアライメント誤差を検討することが有用である。図1に紹介された単純化された説明図を使用して、図3A、3Bおよび3Cは、光路における傾斜と偏芯の効果を示している。図3Aを参照すると、曲率中心Cの周りでの球状副鏡14の傾斜は、光路における光の取扱いにはほとんどまたは全く影響はないであろう。図3Aに示された傾斜の関係について、曲率中心Cは、鏡12および14の両方について実質的に同じままであり、焦点が維持される。ある角度を超えた傾斜により、口径食が生じるであろう。しかしながら、このタイプのある程度の傾斜は、球状リフレクタにより許容され得る。図3Bを参照すると、鏡面の頂点の周りの球状副鏡14の傾斜は、より重大な結果をもたらし得、光学系の性能を低下させ得る。入射光は、系の光学素子により誤って方向付けられ得、意図するように焦点に来ないであろう。幾何学的に考えると、このタイプの傾斜は、副鏡14の曲率中心を効果的に移動させ、光学配置の意図した対称性を損ない得る。
【0026】
偏芯の1つのタイプが、図3Cの単純化された説明図に示されている。偏芯は、副鏡14の曲率中心C’の位置を、主鏡12の曲率中心Cに対して効果的に移動させる。
【0027】
図3Bおよび3Cに示されるように、曲率中心を一点Cから効果的に移動させる成分配置におけるどのようなシフトも、幾何学的対称性に影響を与えるので、顕微鏡の対物レンズ10または同軸設計を使用した他の光学装置の性能にとって有害である。このシフトが生じた場合、入射光が、系の光学素子により誤って方向付けられ、意図する焦点に来ないであろう。それゆえ、図1の配置において副鏡による曲率中心Cの周りの傾斜にはある程度の許容範囲があり得るが、いくつかの他の点の周りの傾斜または偏芯にはほとんど許容範囲はないことが認識できる。
【0028】
本発明の実施の形態は、光学成分の表面と少なくとも実質的に同軸である曲率を持つ中間面を有するマウントを提供することによって、同軸および実質的に同軸の系の位置決め問題に対処する。図3A、3Bおよび3Cを参照して記載された傾斜および偏芯の問題に関して、本発明の装置および方法により、曲率中心Cの位置を固定したままにして、図3Bおよび3Cに示すような傾斜および偏芯による問題を最小にするまたはなくすことができる。本発明の装置によれば、回転は、固定された曲率中心Cの周りのみで許可される。
【0029】
図4の正面図および図5Aと5Bの側面断面図を参照すると、シュバルツシルド設計に従う顕微鏡の対物レンズの形態にある光学装置20が示されている。主光学素子22は、球状光学面34を有する鏡である。図5Aの実施の形態に示されているが、図5Bの実施の形態には示されていない随意的なバッフル26が、小絞り用孔A内に嵌合する挿入体として形成されている。クモ状支持体の形態にあるマウント24は、多数の脚部28を有し、主光学素子22の表面から離れて配置される副光学素子30としての副鏡を吊っており、この実施の形態において、半径方向外側に延在する3つの脚部28が示されている。主光学素子22の反射面34の曲率主中心(図5Aおよび5Bにおいて半径R1)および副光学素子30の反射面の曲率副中心(半径R2)の両方とも、Cにある、または実質的にCにある。副光学素子30が非球面である実施の形態において、この表面に対する数学的に計算した最良に適合した球面は、実質的にCに曲率中心を有する。
【0030】
図6Aおよび6Bのそれぞれの分解図と組立図は、マウント24と主光学素子22の面34との間の界面をより詳しく示している。マウントから外方に延在する各脚部28は、主光学素子22の面34の周辺部Pに支えられる球状係合面32で終端する。先に記載し、図2に関して定義したように、周辺部Pは、主光学素子22の有効開口の外側にある。図4を参照すると、周辺部Pは、点線の円Qの外にある主光学素子22の面の部分である。
【0031】
図5Aおよび5Bに最もよく示されているように、球状係合面32は、Cで曲率の主中心と副中心の両方と実質的に同軸である曲率C”の係合面を有する。この構成により、球状係合面32の曲率は、球状面34のものと一致する。図6Aの分解図を参照すると、両方の係合面の曲率について、同じ半径R1が使用される。
【0032】
係合面の理想的な曲率について、マウント24の球状係合面32が面34の周辺部Pと接触するように、マウント24を所定の位置に手動で単純に配置することにより、マウント24およびそれに支持された副光学素子30の十分に密接な大雑把な位置決めができる。次いで、光学成分のわずかなずれと、芯出しを修正するために、わずかな調節しか必要ない。
【0033】
このタイプの取付能力を提供するために、主光学素子22の球状面34は、図2を参照して先に説明したように、有効開口を超えて延在しなければならない。いくつかの実施の形態において、このことは、先に述べた面の周辺部である鏡面の一部が、取付面として使用されることを意味する。それゆえ、主光学素子22の鏡面34は、その部分が形成されるときに、有効開口を超えて単純に延在される。最初に完全な曲面を形成し、次いで、鏡として実際に使用される球状面34の部分のみをさらに加工するまたは他の様式で状態調節することによって、製造コストと複雑さにおいて利点があるであろうことが認識できる。
【0034】
アライメントおよび結合
光学集成体に関する多発問題は、不正確な位置決めの原因となり得る接着およびボンドラインの厚さのばらつきに関する。図6Bの拡大詳細部Bは、アライメントおよび接着プロセスを単純にするため、またボンドラインの変動性を最小にするまたはなくすのに役立てるために本発明の実施の形態に提供された接着特徴を示している。1つのタイプのアライメント特徴として、脚部28の係合面32と周辺部Pとの交差部に沿って置かれた特徴によって、Oリング40が形成される。次いで、RTV(室温硬化型)シリコーンなどの接着剤または他の適切な材料が、係合面32と周辺部Pの交差部に沿って注入され、またはOリング40に沿って他の様式で塗布されて、集成される成分を互いに対して所定の位置に固定する。この結合法は、かなりの区域に亘り剪断強度を与える。この様式の接着には、例えば、留め具を使用した従来の機械的結合法よりも優れた数多くの利点がある。Oリング40または同様のアライメント特徴の使用により、係合面32での接着の要件を減らすことができるのに留意することが有益である。それゆえ、Oリング40内に堆積された材料は、接着剤であっても差し支えなく、もしくはシーラント、充填剤、または空間内で固化し、周辺部Pに沿ってマウント24の係合面32を固定するために少なくとも十分な接着力を有する他の材料であっても差し支えない。時には、分離できるように切られなければならない固体を形成することが、マウント24を主光学素子22に固定するのに十分であり得る。図6Bにおいて円形断面を有するOリング40が示されているが、楕円形または他の断面形状を有するアライメント特徴が追加の利点を与えるかもしれない。
【0035】
本発明の実施の形態は、マウント24の主光学素子22への初期アライメントおよび一度アライメントされたらマウント24の所定の位置への接着の両方を簡単にするのに役立つ、着座ガイドとしての移動止めまたは窪みなどの周辺アライメント特徴を含んでもよい。
【0036】
図4〜6Bに関して記載され、示された実施の形態は、同軸の球状の主鏡と副鏡を備えたシュバルツシルドタイプの顕微鏡の対物レンズを形成する。本発明の装置および方法は、他の反射光学または全反射型設計および反射成分と屈折成分の混合を用いた反射屈折光学系、並びにより一般に同軸配置を使用して設計された対物レンズおよび成分などの他のタイプの同軸光学系に同様に使用できることが容易に分かるであろう。マウントがその上に着座する主光学素子、および主光学素子から吊られた副光学素子の曲率中心と同軸である係合面を有するマウントを使用することにより、本発明の実施の形態は、位置決め、傾斜、および偏芯の調節を著しく簡単にする成分位置決めを提供する。
【0037】
製造
光学装置20は、例えば、金属、プラスチック、ガラス、またはセラミック材料を含む数多くのタイプの材料のいずれから形成しても差し支えない。光学成分の製造分野の当業者に馴染みのあるプロセスをおよび技法を利用して、この装置の光学面を形成するまたは状態調節するために、光学コーティングおよび他の加工を使用できる。
【0038】
図4〜6Bを参照して先に説明したように、本発明の実施の形態は、所定の半径の曲率を持つ凹形球状面を有し、周辺部Pを有する主光学素子22を形成し、多数の脚部28を備えたマウント24を形成することにより主光学素子22から離れて配置されるように副光学素子30を吊り下げることによって、光学装置20を形成し、ここで、各脚部28は、前記所定の半径の凸形球状曲率を有する係合面32で終端している。係合面32は、主光学素子22の周辺部Pに支えられる。
【0039】
本発明の取付装置および方法を使用した成分の製造には、オプションが数多くある。精密一点ダイヤモンド機械加工またはダイヤモンド旋削が、ここに記載された顕微鏡の対物レンズの製造にうまく適合できる方法の1つである。一点ダイヤモンド旋削により、光学面、取付面、およびアライメント特徴を、通常の動作で形成でき、精密な関係を確保できる。この加工について、予め形成されたブランクを最小に成形または機械加工し、次いで、ダイヤモンド旋削を行って、必要な係合面精度を提供する。他の可能な製造オプションの例としては、成形、レーザ機械加工、および付加製造法が挙げられる。
【0040】
光学素子マウントの形状が、特に特定の好ましい実施の形態に関して詳しく記載されてきたが、変種および改変が、本発明の範囲から逸脱せずに、当業者によって、上記の本発明の範囲内で、添付の特許請求の範囲に述べられたように、行えることが理解されよう。例えば、主光学素子は、凹形曲率ではなくむしろ凸形を有しても差し支えない。主光学素子は、多数の成分を含んでも差し支えない。副光学素子は、光変調素子またはセンサのアレイ、フィルタ、格子、偏光子、または他の成分などのように実質的に平らであっても差し支えない。副光学素子は、クモ状支持体の一部として機械加工された鏡素子などのように、ある実施の形態においてマウント中に一体成形される。代わりの実施の形態において、副光学素子は、接着剤または機械的連結部などを使用して、組立て中にマウントに連結される。
【0041】
それゆえ、提供されるものは、特に同軸光学成分にとって、成分のアライメントの複雑さを簡単にし、その費用を低減する光学素子マウントである。
【符号の説明】
【0042】
10 対物レンズ
12 主鏡
14 副鏡
20 光学装置
22 主光学素子
24 マウント
26 バッフル
28 脚部
30 副光学素子
32 係合面
34 鏡面または球面
40 Oリング
C、C” 曲率中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置において、
曲率主中心を備えた主球状光学面を有する主光学素子であって、前記主球状光学面が、前記光学装置の有効開口の外側に延在する周辺部を有するものである主光学素子、
副光学素子、および
前記主光学素子から離れて配置された前記副光学素子を吊るすマウントであって、該マウントが複数の脚部を備え、各脚部が前記主光学素子と前記副光学素子との間に延在し、各脚部が、前記主光学素子の前記周辺部に支えられている周辺係合面で終端しているマウント、
を備え、
前記周辺係合面が、前記曲率主中心と実質的に同軸の曲率係合面中心を有することを特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記副光学素子が、前記曲率主中心と実質的に同軸の曲率副中心を持つ副光学曲面を有することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記主光学素子が凹面鏡であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項4】
前記副光学素子が凸面鏡であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項5】
前記副光学素子が、センサアレイ、格子、フィルタ、および偏光子からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項6】
前記主球状光学面の前記周辺部に、1つ以上の脚部が接着されていることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項7】
前記副光学素子が屈折素子であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項8】
前記副光学素子が前記マウントに一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項9】
前記主光学素子が被覆されていることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項10】
前記副光学素子が非球面を有し、該副光学素子の非球面に対する計算された最良に適合する球面が、前記曲率主中心と実質的に同軸であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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