説明

精密薄膜分析装置

【課題】XRRによる膜厚測定結果に影響を与えることを抑制する手段を提供する。
【解決手段】X線源11からのビームは放物線多層膜ミラー15により進行方向を変えられ、制限スリット17により絞り込まれ、モノクロメータ21で波長選別が行われる。さらに制限スリット23によりビームが絞られ、回転可能に取り付けられた試料Sに照射される。試料表面で反射したビームは、さらに制限スリット25により絞られ、検出器27に入射する。試料Sは大気中に露出されており、X線Lが照射され、その反射強度の角度依存性を測定することができるように構成されている。試料Sの表面は高純度ガスで覆われるように工夫されており、試料Sの表面に大気中の吸着汚染ガスが付着することを阻止するようになっている。すなわち、ガスボンベ3からガス純化装置33にガス管37により導入されたガスは、純化された後にガス流量制御器35において流量が調節される。次いで、ガス供給器41から高純度ガスGが試料の表面に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜分析装置に関し、特に、基板上に設けられている薄膜材料の厚さを精密に測定可能な精密薄膜分析装置であって測定にX線を用いた精密膜厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜の分析方法の1つとして、X線反射率測定方法(以下、「XRR」と称する。)があ
る。XRRは、図6に示すように、基板1上に形成されている単層薄膜や多層薄膜等の薄膜
3について、各層の厚さ、密度等の測定に用いられる。XRRでは、平行なX線を試料に対
して小さな入射角で入射させ、試料からの鏡面反射方位への反射X線強度を測定し、その入射角度を変えていくことにより反射X線強度の角度分布(プロファイル)を得るもので
ある。得られたプロファイルを解析することにより薄膜に関する情報が得られる。XRRの
利点は、1)大気中で測定可能であること、2)試料を非破壊で測定できること、などである。XRRの測定法の主適用対象は、単層膜試料や多層膜試料などの層状試料である。ま
た、各層の厚さとしてはナノメートルレベルの超薄膜であっても分析が可能である。
【0003】
但し、測定対象の薄膜層の厚さが極めて薄くなると、測定や解析、さらには膜の物性評価が難かしくなる。
【0004】
その理由は、XRRでは、上記のようにして得られたプロファイルの振動成分の解析結果
から情報を得るが、測定対象の膜が薄くなればなるほど、また、基板上の薄膜の屈折率が基板の屈折率に近ければ近いほど、解析による物性情報が求めにくくなるためである。
【0005】
そのため、シリコン基板上に形成されたナノメートルレベルの厚さの極薄酸化膜のような試料では、酸化膜が薄くかつ酸化膜と基板の屈折率も近いので、解析の条件は厳しい。この膜の薄さに由来する測定の困難さを解決するため、これまでベースラインデータを用いて測定データを補正し、強度振動成分のみを抽出するという方法により対処する方法(特許文献1参照)や、測定対象膜の上に別の薄膜を堆積してデータを強調する方法(特許文献2参照)などが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−221841号公報
【特許文献2】特開平11−6724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、10ナノメートル以下の極めて薄い薄膜を測定する際には、上記とは別の問題点が生じる場合がある。その問題点は、試料が大気中に露出していることに起因し、その大気により、測定中に試料表面が汚染されるという問題点である。大気中には、試料表面に吸着しやすいガスが浮遊しており、浮遊ガスが試料表面に付着すると堆積し、図7に示すように分析対象の薄膜3上に吸着汚染層5が次第に形成されていく。そのため、吸着汚染層5が存在しないことを念頭にしたモデル(図6)でプロファイル解析を行うと、得られた薄膜の厚さは真値から外れてしまうという問題がある。
【0008】
図7に示すように、吸着汚染層5が、平坦な層状に一様に堆積しその厚さが測定中に変化しない場合は薄膜層3と吸着汚染層5との2層モデルを用いてプロファイル解析を行うことで薄膜層3の厚さを正しく得ることができる。
【0009】
しかしながら、一般に吸着汚染層5は、必ずしも平坦な層状に成長するとは限らない。
すなわち図8に示すように、位置による厚さのムラが生じる可能性がある(5a)。さらに吸着汚染層5の厚さには経時変化がある。そのため、吸着汚染層5を、平坦で厚さが一定の層と仮定したモデルを用いてプロファイル解析を行っても、薄膜の厚さを正しく測定できているとは限らない。
【0010】
吸着汚染物の堆積速度は、測定環境にもよるが、1時間で1nmにも達する場合がある。吸着汚染ガスは、微粒子の制御されたクリーンルーム内でも浮遊しているため、大気環境を使用する限り、この問題を避けることはできない。
【0011】
吸着汚染層の成長を抑えるためには、測定時間を可能な限り短くすることにより原理的には対応できるはずであるが、一般にXRRは測定に数時間を要するため、数分で測定可能
な分光エリプソメトリー法(エリプソ測定法)に比べて試料の汚染の度合いも大きい。
本発明は、薄膜の厚さをXRRで測定するときに、測定中に試料の薄膜表面に大気中の吸着
汚染ガス成分が堆積することによって、XRRによる膜厚測定結果に影響を与えることを抑
制する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、試料の表面の特性を測定することにより前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の一観点によれば、試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で視斜角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置が提供される。
【0014】
前記ガスの主成分は、以下のいずれかの特性を有していることを特徴とする薄膜分析装置であるのが好ましい。(ア)窒素を含む不活性ガス、アルゴン又はヘリウムを含む希ガス。(イ)上記(ア)のガスの複数の成分を含む混合ガス。
【0015】
また、試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で視斜角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面と反応しにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置が提供される。前記ガスの主成分は、以下のいずれかの特性を有していることが好ましい。(ア)反応性のガスであっても、前記試料表面と反応しない条件下である。(イ)上記(ア)のガスに加えて、希ガスや不活性ガスを含む。
【0016】
さらに、試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で照射角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくく、かつ、前記試料表面と反応しにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置が提供される。
【0017】
上記の装置においては、前記試料が配置される試料室が大気に開放されていても良い。
前記ガス供給手段は前記被分析面側から順番に配置された、高純度ガスを供給するガス供給器と、該高純度ガスの流量を制御する流量制御器と、前記高純度ガスを生成するためのガス純化装置と、該ガス純化装置に対してガスを供給するガスボンベと、を有すること
が好ましい。
【0018】
前記ガス純化装置は、高純度ガス中の試料表面への吸着成分を除去する構造として、炭化水素系ガスを含む吸着成分の濃度を10ppm以下まで減少させるケミカルフィルターを有することが好ましい。前記ガス純化装置は、加熱により再利用が可能な再生式純化方式であっても良い。例えば、吸着成分の濃度は、10ppm以下、望ましくは10ppt以下であることが好ましい。
【0019】
大気中からの吸着成分としては、Dioctyl Phthalate(DOP), Dibutyl Phthalate(DBP), Triethyl Phthalate (TEP), Trimethyl Pentane Diol(TMPD), 2,6-di-t-butyl-4-methyl-phenol(BHT)、一酸化炭素などが該当するため、これらのガス成分が試料表面を覆う高純
度ガス中に全く含まれないようにすることが望ましい。
【0020】
前記ガス流量制御器は、前記高純度ガスが前記試料表面に到達する際の最終流量を前記試料表面のXRR分析領域に大気が到達することのない程度の流量以上に制御することを特徴とする。また、前記高純度ガスの流れを層流とするように制御するようにしても良い。
【0021】
高純度ガス流量制御器として、一定流量以上のガスが流れるように、マスフロー制御器もしくは可変流量バルブが用いられることが好ましい。前記ガス供給器から前記試料表面に対して高純度ガスが供給される場合に、該高純度ガスにより覆われる前記試料表面の領域は、測定対象となる試料表面の被分析領域よりも大きいことが好ましい。前記ガス供給器は、複数の穴を有するシャワーヘッド状の構造又は1つの穴を持つ供給口構造のいずれかであり、前記ガス供給器の内部又は前記ガス供給器の外部であってガス供給器へ高純度ガスを供給する配管中に、微粒子を捕獲するフィルターが設置されていることを特徴とする。
【0022】
上記装置によれば、XRRの装置全体を高純度ガスで覆う必要がない。これにより必要な
ガス流量を小さくでき、かつまた試料の交換が容易になり、また、酸素欠乏などの危険性を下げることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、試料表面を大気から遮断し大気中のガス成分が吸着しない。従って、薄膜の見かけの厚さが変化しない。そのため薄膜の厚さの精密な測定ができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図2は、一般的なXRRの装置の構成例を示す図である。X線源11からのビームは放物
線多層膜ミラー15により進行方向を変えられ、制限スリット17により絞り込まれ、モノクロメータ21で波長選別が行われる。さらに制限スリット23によりビームが絞られ、回転可能に取り付けられた試料Sに照射される。試料表面で反射したビームは、さらに制限スリット25により絞られ、検出器27に入射する。
【0025】
試料Sは大気中に露出されており、X線Lが照射され、その反射強度の角度依存性を測定することができるように構成されている。試料Sの回転角度θに対して検出器27は2θで連動して動く。試料Sの表面には、大気中の吸着汚染ガスが付着することが避けられない。
【0026】
一方、図1は、本発明の一実施の形態によるXRR装置の一構成例を示す図である。基本
的には図2に示す構成と同様であり、さらに、試料Sの表面は高純度ガスで覆われるよう
に工夫されており、試料Sの表面に大気中の吸着汚染ガスが付着することを阻止するようになっている。すなわち、ガスボンベ31からガス純化装置33にガス管37により導入されたガスは、純化された後にガス流量制御器35において流量が調節される。次いで、ガス供給器41から高純度ガスGが試料の表面に照射される。
【0027】
ここで、高純度ガスは、ガスボンベ31から供給されるガスに含まれる吸着性汚染ガス成分を、ガス純化装置33を用いて取り除くことで生成することができる。本実施の形態では、ガスボンベ31に純度99.999%の窒素ガスを用い、ガス純化装置33を通して高純度化した。ガス純化装置33は、ガス中の不純物ガス成分CO、CO、CHが5ppb以下であり、水分量を表す露点は−90℃以下まで高純度化することができるものを使用した。ガスとしては以下のような条件にものが好ましい。
【0028】
(ア) アルゴンやヘリウムなどの希ガスが含まれる。アルゴンやヘリウムなどの不活性なガスは、例えば単分子層だけ吸着した場合であっても、その上に同じ分子が積層しにくい。また、試料表面と反応しにくいガスであれば、堆積層を形成しにくいため好ましい。
【0029】
(イ) 酸化力を持つ反応性のガスであっても、試料表面と反応して下の薄膜の厚さを増加させてしまうことがないような試料温度であればよい。例えば、室温のSiO試料に対しては酸素ガスでもよい。
【0030】
(ウ) 高純度ガスの主成分として、希ガスや不活性ガスの複数の成分からなる混合ガスでもよい。
【0031】
(エ) 高純度ガスの主成分として、希ガスや不活性ガスの複数の成分からなる混合ガスにくわえて、酸化力を持つ反応性のガスが添加されていても試料表面と反応しない試料温度であればよく、たとえば室温のSiO試料に対しては酸素ガスが添加されていてもよい。尚、ガス純化装置33は、ガス中の試料表面への吸着成分を除去する構造を持ち、吸着成分の濃度を減少するための装置である。
【0032】
(オ) ガス純化装置33としては、吸着ガスを吸着剤に吸着させる構造を持つもので、吸着剤を使い捨てる方式のケミカルフィルターや、吸着剤に吸着したガスを加熱等により飛ばして吸着剤を再利用できる再生式純化装置が好ましい。
【0033】
(カ) 吸着成分の濃度は10ppm以下であり、望ましくは10ppt以下であることが好ましい。尚、大気中に置かれた試料表面への吸着成分であって除去対象となるガスとして、例えばクリーンルームを構成する樹脂系の材料が雰囲気中に含まれるガスであり、例えば、Dioctyl Phthalate(DOP), Dibutyl Phthalate(DBP), Triethyl Phthalate (TEP), Trimethyl Pentane Diol(TMPD), 2,6-di-t-butyl-4-methyl-phenol(BHT)、一酸化炭素
などがあり、これらが除去対象物となる。
【0034】
ガス流量制御器35は、一定流量のガスをガス供給器41に送るために用いられ、試料表面のXRR分析領域(図5参照)に大気が侵入しないような十分な流量で常に試料表面を
高純度ガスで覆うように制御するものである。実施例では15mm角の試料を分析する場合に毎分15リットルの高純度窒素を流せば大気からの吸着成分の堆積を阻止できた。なお高純度ガスの流量は、試料表面のXRR分析領域に大気が到達しないようにするのに十分な流量であれば良い。
【0035】
高純度ガス流量制御器35としては、マスフロー制御器もしくは可変流量バルブを用いることができる。前者は、ガスボンベ31からのガス供給圧力が一定でない場合であっても、一定の流量のガスを試料に供給できる。後者は、コストが低いためガスボンベ31か
らのガス供給圧力が一定である場合には有用である。ガス流量制御の要点は、試料表面のXRR分析領域に大気が到達しない程度の流量以上のガスを流すことである。
【0036】
ガス供給器41は、高純度ガスを試料Sの表面に吹き付けるために設けられ、大気が試料表面に到達することが無いようにガスの流れを制御する。
【0037】
図3は、ガス供給器41の一構成例を示す図である。図3に示すように、ガス供給器41は、高純度ガスGの流入口側に設けられた比較的細い配管37と、それよりも大径のガス供給器本体41aと、を有している。ガス供給器本体41aには、ガスボンベ側から順番に、ある径の孔を有するメッシュ51と、それよりも小径の孔を有するHEPAフィルター53と、開口部とを順番に備えており、開口部から層流のガス55が流出するようになっている。
【0038】
すなわち、高純度ガスは、メッシュ51により分配され、HEPAフィルター53により、配管37中から混入した微粒子などを除去することができる。HEPAフィルター53の作用は、これが目の細かい多孔質であるため、HEPA出口から層流の流れを形成しやすく、そのため、大気を巻き込む作用が抑制され、試料表面の汚染を比較的少ない流量のガスによっても効果的に抑制することができる。尚、HEPAフィルター53を設けない場合であっても、図4に示すように、高純度ガスGの流量を増やすことにより、試料表面への大気の到達を抑制することが可能である。すなわち、ガス供給器の形態として、複数の穴を持つシャワーヘッド状の構造でもよく、ひとつの穴を持つ供給口でもよい。またガス供給器内部、もしくはガス供給器外部でガス供給器への高純度ガス供給配管中、に微粒子を捕獲するフィルターを設置していてもよい。
【0039】
尚、図5に示すように、ガス供給器41からの高純度ガスGで覆われる領域は(下向きの矢印が存在する領域)、X線反射率測定での被測定試料表面における分析領域61よりも十分に大きいこと好ましい。但し、必ずしも試料全面を覆う必要はない。また、装置全体を高純度ガスで覆う必要はなく、上記の構成を利用することで、必要なガス流量を小さくでき、ガスの節約が可能となる。また、装置全体を高純度ガスで覆う場合よりも試料の交換が容易である。さらに密閉空間内に装置を設置した場合における酸素欠乏の可能性を低減することができ安全である。試料S表面が、大気を遮蔽するような十分な量の高純度ガスで覆われているか否かは、高純度ガスとして窒素ガスを用いている場合には、試料S表面近傍に酸素に敏感なセンサーを挿入し、酸素濃度が十分に低い(例えば1ppm以下、好ましくは10ppt以下)条件下であれば、大気を遮蔽していると見なして良い。
【0040】
試料S表面の分析領域と、ガス供給器41との間の高純度ガスが流れる領域であって、XRR測定用のX線が干渉しない領域に汚染ガス検出器を挿入している構造でも良い。このような構造にすると、ガスを高純度に維持できているか否かに関して監視することが可能である。
【0041】
吸着性汚染ガスの試料S表面への吸着を抑えるためには、試料の温度を常温より高くする方法も効果的である。さらに、上記のような高純度ガスの表面への吹きつけを併用することも効果的である。例えば、試料温度200℃でも良く、400℃ではさらによい結果が得られる。そのために、試料Sの近傍にヒータHを設けるのが好ましい。
【0042】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、試料表面を大気から遮断し大気中のガス成分が吸着しない。従って、薄膜の見かけの厚さが変化しない。そのため薄膜の厚さの精密な測定ができるという利点がある。尚、上記の実施の形態では、薄膜分析装置の一例として、X線反射率測定技術への適用について説明したが、その他、エリプソ分光法をはじめとする大気圧環境下での膜厚測定方法にも利用可能である。尚、ヒータは試料を加熱
する。配置する位置は限定されるものではないが、試料の裏面から加熱する方式のほうが、試料の表にプローブビームを干渉の心配をすることなく使うことができるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、精密な薄膜分析装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態によるXRR装置の一構成例を示す図である。
【図2】一般的なXRR装置の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態によるガス供給器の一構成例を示す図である。
【図4】HEPAフィルターを設けないガス供給器の一構成例を示す図である。
【図5】高純度ガスGで覆われる領域はとX線反射率測定での被測定試料表面における分析領域との関係を示す図である。
【図6】XRR装置の測定対象となる試料の一構成例を示す図である。
【図7】XRR装置の測定対象となる試料の一構成例を示す図である。
【図8】XRR装置の測定対象となる試料の一構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
S…試料、11…X線源、27…検出器、31…ガスボンベ、33…ガス純化装置、35…ガス流量制御器、37…ガス管、41…ガス供給器、41a…ガス供給器本体、51…メッシュ、53…HEPAフィルタ、55…層流のガス、G…高純度ガス、H…ヒータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で視斜角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、
前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置。
【請求項2】
前記ガスの主成分は、以下のいずれかの特性を有していることを特徴とする請求項1に記載の薄膜分析装置。
(ア)窒素を含む不活性ガス、アルゴン又はヘリウムを含む希ガス。
(イ)上記(ア)のガスの複数の成分を含む混合ガス。
【請求項3】
試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で視斜角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、
前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面と反応しにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置。
【請求項4】
前記ガスの主成分は、以下のいずれかの特性を有していることを特徴とする請求項3に記載の薄膜分析装置。
(ア)反応性のガスであっても、前記試料表面と反応しない条件下である。
(イ)上記(ア)のガスに加えて、希ガスや不活性ガスを含む。
【請求項5】
試料の表面に特定の波長のX線を入射し、所定の角度範囲で照射角を変え、前記試料からの反射X線の強度を検出して前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、
前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくく、かつ、前記試料表面と反応しにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置。
【請求項6】
前記試料が配置される試料室が大気に開放されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の薄膜分析装置。
【請求項7】
前記ガス供給手段は前記被分析面側から順番に配置された、
高純度ガスを供給するガス供給器と、該高純度ガスの流量を制御する流量制御器と、
前記高純度ガスを生成するためのガス純化装置と、
該ガス純化装置に対してガスを供給するガスボンベと
を有することを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の薄膜分析装置。
【請求項8】
前記ガス純化装置は、ガス中の試料表面への吸着成分を除去する構造として、炭化水素系ガスを含む吸着成分の濃度を10ppm以下まで減少させるケミカルフィルターを有することを特徴とする請求項7に記載の薄膜分析装置。
【請求項9】
前記ガス純化装置は、加熱により再利用が可能な再生式純化方式であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜分析装置。
【請求項10】
前記ガス流量制御器は、前記高純度ガスが前記試料表面に到達する際の最終流量を前記試料表面のXRR分析領域に大気が到達することのない程度の流量(Qc)以上に制御す
ることを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項に記載の薄膜分析装置。
【請求項11】
前記高純度ガスの流れを層流とするように制御することを特徴とする請求項10に記載の薄膜分析装置。
【請求項12】
高純度ガス流量制御器として、(Qc)以上のガスが流れるように、マスフロー制御器もしくは可変流量バルブが用いられることを特徴とする請求項10に記載の薄膜分析装置。
【請求項13】
前記ガス供給器から前記試料表面に対して高純度ガスが供給される場合に、該高純度ガスにより覆われる前記試料表面の領域は、測定対象となる試料表面の被分析領域よりも大きいことを特徴とする請求項7から12までのいずれか1項に記載の薄膜分析装置。
【請求項14】
前記ガス供給器は、複数の穴を有するシャワーヘッド状の構造又は1つの穴を持つ供給口構造のいずれかであり、
前記ガス供給器の内部又は前記ガス供給器の外部であってガス供給器へ高純度ガスを供給する配管中に、微粒子を捕獲するフィルターが設置されていることを特徴とする請求項7から13までのいずれか1項に記載の薄膜分析装置。
【請求項15】
試料の表面の特性を測定することにより前記試料の物性を評価するX線反射率法を用いる薄膜分析装置であって、
前記試料の被分析面側に対して、前記試料表面への吸着により堆積物の積層が生じにくいガスを供給するガス供給手段を設けたことを特徴とする薄膜分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−203046(P2008−203046A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38537(P2007−38537)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】