説明

糖タンパク質ホルモンスーパーアゴニスト

【課題】 in vitroおよびin vivo生物活性の両方の大きな増大を示すヒト糖タンパク質ホルモンアナログを生じるヒト糖タンパク質ホルモンの特定のアミノ酸置換を提供する。
【解決手段】 本発明は、一態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、概して、修飾糖タンパク質ホルモンに関する。特に本発明は、スーパーアゴニスト活性を生じるヒト糖タンパク質に対する修飾に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
チロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)およびゴナドトロピン、絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、ルトロピン(黄体形成ホルモン、LH)、並びにフォリトロピン(卵胞刺激ホルモン、FSH)は、糖タンパク質ホルモンのファミリーを構成する。各ホルモンは、2つの非共有結合サブユニットであるαおよびβのヘテロ二量体である。同一種内では、α−サブユニットのアミノ酸配列は全ホルモンで同一であり、一方β−サブユニットの配列はホルモン特異的である(Pierce,J.G.and Parsons,T.F."Glycoprotein hormones:strcture and function."Ann.Rev.Biochem.50:465-495(1981))。サブユニットの配列が魚類から哺乳類まで高度に保存されているという事実は、これらのホルモンが共通の先祖タンパク質から進化したことを意味する(Fontaine Y-A.and Burzawa-Gerard,E."Esquisse de l'evolution des hormones gonadotopes et threotropes des vertebres."Gen.Comp.Endocrinol.32:341-347(1977))。これらのホルモンの進化的変化は、ある場合に生物学的活性の修飾を引き起こした(Licht,P.et al.,"Evolution of gonadotropin structure and function."Rec.Progr.Horm.Res.,33:169-248(1977)およびCombarnous,Y."Molecular basis of the specificity of binding of glycoprotein hormones to their receptors."Endocrine Rev.13:670-691(1992))が、生物作用を調節する特異的構造的決定因子は明らかにされていない。例えば、ヒト甲状腺刺激ホルモン(hTSH)およびウシ甲状腺刺激ホルモン(bTSH)は、α(70%)およびβ(89%)サブユニット配列において高度な相同性を有するが、bTSHはhTSHより6〜10倍効力がある(Yamazaki,K.et al.,"Potentthyrotropic activity of human chorionic gonadotropin variants in terms of 125I incorporatin and de novo synthesized thyroid hormone release in human thyroid follicles."J.Clin.Endocrinol.Metab.80:473-479(1995))。
【0003】
糖タンパク質ホルモンは、ある種の治療、例えば甲状腺癌患者の治療においては、極めて重要である(例えば、Meier,C.A.,et al.,"Diagnostic use of Recombinant Human Thyrotropin in Patients with Thyroid Carcinoma(Phase I/II Study)."J.Clin.Endocrinol.Metabol.78:22(1994)参照)。この疾患の治療におけるヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)の使用の可能性は、クロイツフェルト−ヤコブ病の伝染のおそれがあるために、断念された。ヒトTSHの使用に代わるものとしてはウシTSHの使用があるが、しかしこのアプローチは、このホルモンが副作用、例えば悪心、嘔吐、局所性硬化、じんま疹、および比較的高い可能性でアナフィラキシー性ショックを引き起こすために、非常に限定される(Meier,C.A.等)。尿中性腺刺激ホルモンの生体整合性の欠如および組換え糖タンパク質ホルモンの効能限定は、それらをより有効な組換えアナログに置き換える理由となる。したがって、ヒト由来糖タンパク質ホルモン、並びにこれらのホルモンのアゴニストの必要性がある。
【0004】
例えば、特定の臨床状態、例えば甲状腺癌における甲状腺刺激ホルモンのアゴニストの投与は、放射性ヨウ素の癌への取込みを増強して、疾病を治療する。甲状腺刺激ホルモンのアゴニストは、より多量の放射性ヨウ素を癌に対して向け、それにより一層有効な治療
をもたらす。あるいは、排卵を誘発するために用いられる糖タンパク質ホルモンは、スーパーアゴニストに置き換えられる。これは、今日、受精能治療における大きな医学的問題であるホルモンの必要量を低下させる(Ben-Rafael,Z.,et al.,"Pharmacokinetics of follicle-stimulating hormone:clinical significance."Fertility and Sterility 63:689(1995))。野生型卵胞刺激ホルモンの使用が、多胎妊娠および流産の過刺激および高率を、明らかに多数の卵胞を刺激する多数のホルモン分子によりもたらしている場合には、卵胞刺激ホルモンのスーパーアゴニストを投与して不妊を治療し得る。この修飾ホルモンのアゴニストの使用は、少数のホルモン分子を投与して所望の結果を達成し得るために、多数の卵胞の刺激頻度を低くし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、初めて、in vitroおよびin vivo生物活性の両方の大きな増大を示すヒト糖タンパク質ホルモンアナログを生じるヒト糖タンパク質ホルモンの特定のアミノ酸置換を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本明細書中に具体化され、広範に説明されているような本発明の目的により、本発明は、一態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
【0007】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
【0008】
別の態様では、本発明は、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を有する修飾ヒト糖タンパク質ホルモンであって、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を有する非ヒト糖タンパク質ホルモンの塩基性アミノ酸の位置に対応する位置に置換された同一のアミノ酸を有する修飾ヒトホルモンを提供する。
【0009】
別の態様では、本発明は、対象の糖タンパク質ホルモン活性に関連した症状を治療する方法であって、患者に治療量の本発明の糖タンパク質ホルモンを投与することを含む方法を提供する。
【0010】
別の態様では、本発明は、ヒトホルモンの超活性(superactive)非キメラアナログを構築する方法であって、別の種由来のより活性なホモログのアミノ酸配列をヒトホルモンと比較し、ヒトホルモン中のアミノ酸を他の種由来の対応するアミノ酸で置換し、置換ヒトホルモンの活性を測定し、そして置換ヒトホルモンから超活性アナログを選択することを含む方法を提供する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、修飾糖タンパク質ホルモンをコードする核酸を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の好ましい実施態様の下記の詳細な説明およびそこに含まれる実施例を、そして図面およびそれらについての前述のおよび後述の説明を参照することにより、さらに容易に理解される。
【0013】
本発明の化合物、組成物および方法を開示し、説明するに先立って、本発明は特定のホルモン、特定の対象、即ちヒト及び非ヒト哺乳類、特定のアミノ酸、特定の臨床症状、特定のアナログ、又は、特定の方法に限定されず、当然のことととして変更しうる、と理解されるべきであり、そして多数のその修正および変更は当業者には明らかである。さらに本明細書中に用いられる用語は、特定の実施態様のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではない。
【0014】
本明細書および請求の範囲において、単語は、それが用いられる情況によって、1つ又はそれ以上のそれを意味する。したがって、例えば「ヒト糖タンパク質ホルモン」を例に取ると、これは少なくとも1つのヒト糖タンパク質ホルモンが用いられることを意味する。
【0015】
一態様では、本発明は、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
【0016】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を有する修飾ヒト糖タンパク質ホルモンであって、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を有する非ヒト糖タンパク質ホルモンの塩基性アミノ酸位置に対応する位置に置換された同一のアミノ酸を有する修飾ヒトホルモンを提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、対象の糖タンパク質ホルモン活性に関連した症状を治療する方法であって、患者に治療量の本発明の糖タンパク質ホルモンを投与することを含む方法を提供する。
【0019】
別の態様では、本発明は、対象の生殖を補助する方法であって、補助量の本発明の糖タンパク質ホルモンを投与することを含む方法を提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、ヒトホルモンの超活性非キメラアナログを構築する方法であって、別の種由来のより活性なホモログのアミノ酸配列をヒトホルモンと比較し、ヒトホルモン中のアミノ酸を他の種由来の対応するアミノ酸で置換し、置換ヒトホルモンの活性を測定し、そして置換ヒトホルモンから超活性アナログを選択することを包含する方法を提供する。
【0021】
「ヒト」糖タンパク質ホルモンとは、野生型配列中で成されるアミノ酸置換の数がヒトと別の種との間の対応するポリペプチドホルモン中の対応する位置でのアミノ酸の相違の数の1/2を超えないことを意味する。したがって、修飾ポリペプチドホルモンは、アミノ酸コード配列に基づいて、そのアミノ酸置換が得られる非ヒト種由来の対応するポリペプチドホルモンよりヒトの野生型ポリペプチドホルモンに似ていると考えられる。例えば、ヒト糖タンパク質とウシ糖タンパク質ホルモンとの間で対応する糖タンパク質ホルモンの対応する位置に総数20のアミノ酸の相違が存在した場合、「ヒト」糖タンパク質ホルモンは、そのアミノ酸配列内に、ウシアミノ酸配列中の対応するアミノ酸と相同である10又はそれ以下のアミノ酸置換を含有する修飾野生型ヒトホルモンである。より具体的には、甲状腺刺激ホルモンは、本明細書中に含まれる実施例に記載するように、ヒトおよびウシホモログのα−およびβ−サブユニット間の計40のアミノ酸の相違のうち20又は
それ以上がヒト甲状腺刺激ホルモン中の対応する位置のアミノ酸と相同であるならば、「ヒト」のものと考えられる。
【0022】
修飾糖タンパク質ホルモンの受容者がヒトである場合の修飾糖タンパク質ホルモンの投与に対する悪い免疫反応の危険性のために、修飾糖タンパク質ホルモンは、好ましくは、スーパーアゴニスト活性の許容不可能な損失を伴わずに考え得る最大程度にヒトアミノ酸配列と相同性を有する。あるいは、修飾糖タンパク質を投与される対象が非ヒトである場合、修飾糖タンパク質ホルモンは、好ましくは、スーパーアゴニスト活性の許容不可能な損失を伴わずに考え得る最大程度に特定の非ヒトアミノ酸配列と相同性を有する。したがって、本発明の好ましい実施態様において、特定のアミノ酸を置換することにより野生型糖タンパク質を修飾してスーパーアゴニスト活性を有する修飾糖タンパク質を構築する場合には、アゴニスト活性を増大しない置換アミノ酸は、その数が10以下、特に9、8、7、6、5、4、3および2又は0となる。
【0023】
同様に、「非キメラ」とは、アミノ酸置換基の数が種間の対応するポリペプチドホルモンの対応する位置でのアミノ酸の相違の数の1/2を超えず、したがって修飾ポリペプチドホルモンは、アミノ酸コード配列に基づいて、そのアミノ酸置換が得られる種由来の対応するポリペプチドホルモンより修飾される種の野生型ポリペプチドホルモンに似ていると考えられる。
【0024】
さらに別の態様では、本発明は修飾糖タンパク質ホルモンをコードする核酸を提供する。
【0025】
糖タンパク質ホルモンは、種に共通のα−サブユニットと各ホルモンに生物学的特異性を付与する種で異なるβ−サブユニットとからなる構造的に関連したヘテロ二量体であるホルモンのファミリーを包含する。糖タンパク質ホルモンの一般的概説に関しては、Pierce,J.G.et al.,"Glycoprotein hormones:structure and function."Ann.Rev.Biochem.50:465-495(1981)、及び、Combarnous,Y."Molecular basis of the specificity of binding of glycoprotein hormones to their receptors."Endocrine Rev.13:670-691(1992)を参照。このファミリーのホルモンとしては、絨毛性性腺刺激ホルモン(CG)、ルトロピン(黄体形成ホルモン、LH)、フォリトロピン(卵胞刺激ホルモン、FSH)およびチロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)が挙げられる。位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を有するこれらの糖タンパク質ホルモンは各々、本発明により提供される。
【0026】
塩基性アミノ酸は、アミノ酸のリジン、アルギニンおよびヒスチジン、並びにこれら3つのアミノ酸のいずれかに対する修飾体であるあらゆる他の塩基性アミノ酸、普通は天然には見出されない合成塩基性アミノ酸、又は中性pHで正に荷電するあらゆる他のアミノ酸を含む。
【0027】
本発明により提供される糖タンパク質ホルモンは、いくつもの方法で得られる。例えば、糖タンパク質ホルモンをコードするDNA分子は、普通に見出される生物体から単離できる。例えば、ゲノムDNA又はcDNAライブラリーが構築され、当該核酸の存在に関してスクリーニングされる。このようなライブラリーの構築およびスクリーニングの方法は当業界では十分公知であり、構築およびスクリーニング工程を実行するためのキットが市販されている(例えば、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)。一旦単離されると、核酸は適切なベクターに直接クローニングされるか、必要な場合には、その後のクローニング工程を促進するよう修飾される。このような修飾工程は一般的なことで、その一例としては、制限部位を含有するオリゴヌクレオチドリンカーの核酸末端への付加が
ある。一般的方法は、Sambrook et al.,"Molecular Cloning,a Laboratory Manual,"Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載されている。
【0028】
所望の糖タンパク質ホルモンの核酸配列が一旦得られれば、塩基性アミノ酸は、当業界で十分公知の技法により、あらゆる特定アミノ酸位置に配置させることができる。例えば、単数又は複数のアミノ酸位置に渡り、そして非塩基性アミノ酸を塩基性アミノ酸に置換し得るPCRプライマーを設計することができる。次に、糖タンパク質ホルモンのあらゆる位置での塩基性アミノ酸の考え得る多数の組合せのいずれかを得るために、核酸が増幅されて野生型糖タンパク質ホルモンコード配列中に挿入される。あるいは、当業者は、点突然変異誘発のための技法により特定の核酸配列中のあらゆる点に特定の突然変異を導入し得る。一般的方法は、Smith,M."In vitro mutagenesis"Ann.Rev.Gen.,19:423-462(1985)およびZoller,M.J."New molecular biology methods for protein engineering"Curr.Opin.struct.Biol.,1:605-610(1991)に記載されている。
【0029】
特定の糖タンパク質ホルモンをコードするDNA分子を得る方法の別の例は、糖タンパク質ホルモンをコードする組換えDNA分子を合成することである。例えば、オリゴヌクレオチド合成法は当業界では一般的なことであり、特定のタンパク質領域をコードするオリゴヌクレオチドは、自動化DNA合成により容易に得られる。二本鎖分子の一本鎖のための核酸は、合成し、その相補的鎖とハイブリダイズさせ得る。結果的に生じる二本鎖分子が適切なベクター中へのクローニングのための内部制限部位又は末端での適切な5'又は3'オーバーハングを有するように、これらのオリゴヌクレオチドを設計し得る。比較的大型のタンパク質をコードする二本鎖分子は、タンパク質の特定領域をコードするいくつかの異なる二本鎖分子を先ず構築し、その後これらのDNA分子を一緒に連結することにより、容易に合成することができる。例えば、Cunningham等("Receptor and Antibody
Epitopes in Human Growth Hormone Identified by Homolog-Scanning Mutagenesis,"Science,243:1330-1336(1989))は、重複および相補的合成オリゴヌクレオチドを先ず構築し、そしてこれらの断片を一緒に連結することにより、ヒト成長ホルモン遺伝子をコードする合成遺伝子を構築した。合成オリゴヌクレオチドからの1057塩基対の合成ウシロドプシン遺伝子の合成を開示したFerretti,et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.82:599-603(1986)も参照。この方法で糖タンパク質ホルモンを構築することにより、α−サブユニット、β−サブユニットのいずれか又は両方の単数又は複数のあらゆる特定位置に塩基性アミノ酸を有するあらゆる特定の糖タンパク質ホルモンを、当業者は容易に得られる。合成遺伝子の製造の酵素鋳型反応法を記載した米国特許第5,503,995号も参照。このような技法は当業界では一般的なことであり、十分記載されている。糖タンパク質ホルモンをコードするDNA断片は、次に、下記のようにin vivo又はin vitroで発現される。
【0030】
特定の当該糖タンパク質ホルモンをコードする核酸、又は核酸の一領域が一旦構築され、修飾され、又は単離されれば、その核酸は次に適切なベクター中にクローニングされ、これが野生型および/または修飾糖タンパク質ホルモンのin vivo又はin vitro合成を導く。ベクターは、挿入遺伝子又はハイブリッド遺伝子の転写を導き、調節するのに必要な機能性要素を有するよう意図される。これらの機能性要素としては、プロモーター、プロモーターの上流又は下流の領域、例えばプロモーターの転写活性を調節し得るエンハンサー、複製起点、プロモーターに隣接する挿入体のクローニングを助けるための適切な制限部位、抗生物質耐性遺伝子又はベクターを含有する細胞又は挿入体を含有するベクターを選択するのに役立つその他のマーカー、RNAスプライシング接続部、転写終結領域、あるいは挿入遺伝子又はハイブリッド遺伝子の発現を促進するのに役立つあらゆるその他の領域が挙げられるが、これらに限定されない(一般的には、Sambrook等参照)。
【0031】
核酸挿入体の発現に有用な当業者に公知の大腸菌(E.coli)発現ベクターが多数存在す
る。使用に適したその他の微生物宿主としては、桿菌属、例えばBacillus subtilisおよびその他の腸内細菌科、例えばサルモネラ属、セラチア属、および種々のシュードモナス属の種が挙げられる。これらの原核生物宿主中で、典型的には宿主細胞に適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を含有する発現ベクターを作製し得る。さらに、十分公知の多数の種々のプロモーターが存在し、その例としては、例えばラクトースプロモーター系、トリプトファン(Trp)プロモーター系、βラクタマーゼプロモーター系又はラムダファージ由来のプロモーター系がある。プロモーターは、典型的には、任意にオペレーター配列を有して発現を制御し、例えば転写および翻訳を開始および終了するためのリボソーム結合配列を有する。必要な場合には、下流の核酸挿入体の5'側でインフレームのMetコドンの挿入により、アミノ末端メチオニンが提供される。さらに、核酸挿入体のカルボキシ末端エクステンションが、標準的オリゴヌクレオチド突然変異誘発法を用いて除去される。
【0032】
さらに、酵母発現を用いることができる。酵母発現系にはいくつかの利点がある。第一に、酵母分泌系で産生されるタンパク質は正確なジスルフィド対合を示すという証拠がある。第二に、翻訳後グリコシル化が酵母分泌系により効率的に実行される。Saccharomyces cerevisiaeのプレプロα因子リーダー領域(MF"−I遺伝子によりコードされる)は、酵母からのタンパク質分泌を導くのに一般に用いられる(Brake,et al.,"α-Factor-Directed Synthesis and Secretion of Mature Foreign Proteins in Saccharomyces cerevisiae."Proc.Nat.Acad.Sci.,81:4642-4646(1984))。プレプロα因子のリーダー領域は、シグナルペプチドおよびKEX2遺伝子によりコードされる酵母プロテアーゼ(この酵素はLys−Argジペプチド切断シグナル配列のカルボキシ側で前駆体タンパク質を切断する)の認識配列を含むプロ−セグメントを含有する。核酸コード配列は、プレ−プロ−α因子リーダー領域とインフレームで融合し得る。この構築物は次に強力な転写プロモーター、例えばアルコールデヒドロゲナーゼIプロモーター又は解糖プロモーターの制御下に置かれる。核酸コード配列の後には翻訳終結コドンが続き、その後には転写終結シグナルがくる。あるいは、核酸コード配列は、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の精製を促進するために用いられる二次タンパク質コード配列、例えばSj26又はβガラクトシダーゼに融合される。融合タンパク質の成分を分離するためのプロテアーゼ切断部位の挿入は、酵母中での発現のために用いられる構築物に適用可能である。有効な翻訳後グリコシル化および組換えタンパク質の発現は、バキュウロウイルス系でも成し遂げられる。
【0033】
哺乳類細胞は、重要な翻訳後修飾、例えば折り畳みおよびシステイン対合、複合炭水化物構造物の付加、および活性タンパク質の分泌に好都合な環境でタンパク質の発現を可能にする。哺乳類細胞中での活性タンパク質の発現に有用なベクターは、強力ウイルスプロモーターとポリアデニル化シグナルとの間のタンパク質コード配列の挿入を特徴とする。ベクターは、ハイグロマイシン耐性、ゲンタマイシン耐性を付与する遺伝子、あるいは選択可能なマーカーとして用いるのに適したその他の遺伝子又は表現型、あるいは遺伝子増幅のためのメトトレキセート耐性を含有し得る。キメラタンパク質コード配列は、メトトレキセート耐性コードベクターを用いるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系中に、又は適切な選択マーカーを用いるその他の細胞系中に導入される。形質転換細胞中のベクターDNAの存在は、サザンブロット分析により確証される。挿入コード配列に対応するRNAの産生は、ノーザンブロッド分析により確認される。インタクトヒトタンパク質を分泌可能なその他の多数の適切な宿主細胞系が当業界で開発されており、その例としては、CHO細胞系、HeLa細胞、骨髄腫細胞系,Jurkat細胞等が挙げられる。これらの細胞のための発現ベクターは、発現制御配列、例えば複製の起点、プロモーター、エンハンサーおよび必要な情報プロセッシング部位、例えばリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位および転写ターミネーター配列を含み得る。好ましい発現制御配列は、イムノグロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパ
ピローマウイルス等に由来するプロモーターである。当該核酸セグメントを含有するベクターは、細胞宿主の種類によって変わる十分公知の方法により宿主中に移される。例えば、塩化カルシウム形質転換は一般に原核生物細胞に対して利用されるが、一方リン酸カルシウム、DEAEデキストランまたはリポフェクチン介在性トランスフェクションや電気穿孔法は、他の細胞宿主に用いられる。
【0034】
哺乳類細胞中の遺伝子の発現のための代替的ベクター、ヒトγインターフェロン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、VIII凝固因子、B型肝炎ウイルス表面抗原、プロテアーゼNexinl、および好酸性主要塩基性タンパク質の発現のために開発されたものと同様のものが用いられる。さらに、ベクターはCMVプロモーター配列、および哺乳類細胞(例えばCOS−7)中の挿入核酸の発現に利用可能なポリアデニル化シグナルを含み得る。
【0035】
遺伝子又はハイブリッド遺伝子の発現は、in vivo又はin vitroによる。in vivo合成は、ベクターのための宿主として役立つ原核生物又は真核生物細胞を形質転換することを包含する。原核生物発現ベクター中に挿入される修飾糖タンパク質ホルモンの例は、本明細書中の実施例の項に示されている。
【0036】
あるいは、遺伝子の発現はin vitro発現系で起こし得る。例えば、比較的大量のmRNAを合成するのに一般的に用いられるin vitro転写系が市販されている。このようなinvitro転写系では、糖タンパク質ホルモンをコードする核酸は、転写プロモーターに隣接して発現ベクター中にクローニングされる。例えば、BluescriptIIクローニングおよび発現ベクターは、強力な原核生物転写プロモーターと側面を接するマルチクローニング部位を含有する(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)。BluescriptベクターのようなDNA鋳型からのin vitroRNA合成のために必要な試薬をすべて含有するキットが利用できる(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)。このような系によりin vitroで産生されるRNAは次に、in vitroで翻訳されて、所望の糖タンパク質ホルモンを産生する(Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA)。
【0037】
糖タンパク質ホルモンの別の製造方法は、タンパク質化学技法により、2つのペプチド又はポリペプチドを一緒に結合させることである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)(Applied Biosystems,Inc.,FosterCity,CA)化学を用いて一般に利用可能な実験室装置を用いて、化学的に合成される。ハイブリッド糖タンパク質ホルモンに対応するペプチド又はポリペプチドが標準化学反応により合成されるということは、当業者は容易に理解し得る。例えば、ペプチド又はポリペプチドを合成し、その合成樹脂から切断せず、一方、ハイブリッドペプチドの他方の断片を合成し、その後樹脂から切り離し、それにより他の断片上では機能的にブロックされている末端基を露呈する。ペプチド縮合反応により、これら2つの断片はそれらのカルボキシおよびアミノ末端でそれぞれペプチド結合により共有結合されて、ハイブリッドペプチドを形成するGrant,G.A.,"Synthetic Peptides:A User Guide,"W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992)およびBodansky,M.and Trost,B.,Ed.,"Principles of Peptide Synthesis,"Springer-Verlag Inc.,N.Y.(1993))。あるいは、ペプチド又はポリペブチドは前記のようにin vivoで別々に合成される。単離されると、これら別々のペプチド又はポリペプチドは同様の縮合反応により糖タンパク質ホルモンを生成するために結合される。
【0038】
例えば、クローン化又は合成ペプチドセグメントの酵素的連結により、短いペプチド断片を容易に連結させて、大ペプチド断片、ポリペプチド又は全タンパク質ドメインを生成し得る(Abrahmsen,L.,et al.,Biochemistry,30:4151(1991))。あるいは、合成ペプチドの本来の化学連結を利用して短いペプチド断片からより大きいペプチド又はポリペ
プチドを合成的に構築し得る。この方法は、2工程化学反応からなる(Dawson,et al.,"Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation,"Science,266:776-779(1994))。第一工程は、非保護合成ペプチド−α−チオエステルとアミノ末端Cys残基を含有する別の非保護ペプチドセグメントとを化学選択的に反応させて初期共有生成物としてチオエステル結合中間体を生成する反応である。反応条件を変えずに、この中間体は自発性迅速分子内反応を経て、連結部位に本来のペプチド結合を形成する。タンパク質分子の全合成へのこのネイティブ化学的連結法の適用は、ヒトインターロイキン8(IL−8)の調製により例示される(Clark-Lewis,I.,et al.,FEBS Lett.,307:97(1987),Clark-Lewis,I.,et al.,J.Biol.Chem.,269:16075(1994),Clark-Lewis,I.,et al.,Biochemistry,30:3128(1991)、および、Rajarathnam,K.,et al.,Biochemistry,29:1689(1994))。
【0039】
あるいは、非保護ペプチドセグメントは化学的に結合され得るが、この場合、化学的連結の結果ペプチドセグメント間に形成された結合は非天然(非ペプチド)結合である(Schnolzer,M.,et al.,Science,256:221(1992))。この技法は、タンパク質ドメインのアナログ並びに十分な生物学的活性を有する大量の相対的に純粋なタンパク質を合成するために用いられている(deLisle Milton,R.C.,et al.,"Techniques in Protein Chemistry IV,"Academic Press,New York,pp.257-267(1992))。
【0040】
本発明はさらに、スーパーアゴニスト又はアンタゴニスト活性を有する修飾糖タンパク質ホルモンの断片を提供する。本発明のポリペプチド断片は、そのポリペプチド断片を産生し得る発現系中にポリペプチドをコードする核酸をクローニングすることにより得られる組換えタンパク質である。例えば、β−サブユニットと一緒に糖タンパク質ホルモン受容体と相互作用して糖タンパク質ホルモンに関連した生物学的効果を生じ得る糖タンパク質ホルモンの活性ドメインを決定し得る。一例では、糖タンパク質ホルモンの活性あるいは結合特異性又は親和性に関与しないことが分かっているアミノ酸は、それぞれの活性を損失させずに欠失される。
【0041】
例えば、アミノ又はカルボキシ末端アミノ酸が引き続いて天然又は修飾糖タンパク質ホルモンから除かれ、それぞれの活性は多数の利用可能なアッセイの1つで試験される。別の例では、修飾糖タンパク質の断片が、α又はβ−サブユニットの特定の位置で、少なくとも1つのアミノ酸で天然アミノ酸が置換された修飾ホルモンを包み、そしてアミノ末端又はカルボキシ末端アミノ酸の一部は、あるいはホルモンの内部領域で、修飾糖タンパク質ホルモンの精製を促進し得るポリペプチド断片又はその他の部分、例えばビオチンで置き換えられている。例えば、修飾糖タンパク質は、2つのポリペプチド断片をコードするそれぞれの核酸を、コード領域の発現がハイブリッドポリペプチドを生じるように発現ベクター中にクローニングするペプチド化学により、マルトース結合タンパク質に融合される。ハイブリッドポリペブチドは、それをアミロースアフィニティカラムに通してアフィニティ精製し、次にハイブリッドポリペプチドを特異的プロテアーゼXa因子で切断することにより、修飾糖タンパク質はマルトース結合領域から分離される(例えば、New England Biolabs Product Catalog,1996,pg.164参照)。
【0042】
糖タンパク質ホルモンの活性断片は直接合成されるか、又はより大きな糖タンパク質ホルモンの化学的又は機械的分解により得られる。活性断片は、天然アミノ酸配列由来の少なくとも約5つの連続アミノ酸のアミノ酸配列で、関連活性、例えば結合又は調節活性を有するものと定義される。
【0043】
断片は、他の配列と結びついていてもそうでなくても、ペプチドの活性が、修飾糖タンパク質ホルモンと比較して、有意に変化又は損傷を受けない限り、特定領域又は特定アミノ酸残基の挿入、欠失、置換又はその他の選択的修飾を含む。これらの修飾は、ジスルフ
ィド結合し得るアミノ酸を除去/付加するとか、その生物寿命を増大するといったような、いくつかの付加的特性を提供し得る。いかなる場合にも、ペプチドは生物活性特性、例えば結合活性、結合ドメインでの結合の調節等を保有しなければならない。糖タンパク質ホルモンの機能性又は活性領域は、ホルモンの特定領域の突然変異誘発、並びにその後の発現および発現ポリペプチドの試験により確認し得る。このような方法は当業者には明らかであり、その例としては、受容体をコードする核酸の特定部位の突然変異誘発が挙げられる(Zoller,M.J.等)。
【0044】
本発明の一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される位置でα−サブユニット中に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を有する。一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置11に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置13に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置14に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置16に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置17に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置20に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、位置11、13、14、16および20の塩基性アミノ酸はリジンである。本発明のさらに別の実施態様では、位置17の塩基性アミノ酸はアルギニンである。
【0045】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の2つの位置の組合せでα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。例えば、塩基性アミノ酸は、位置11と13、又は位置11と14、又は位置11と16、又は位置11と17、又は位置11と20、又は位置13と14、又は位置13と17、又は位置14と16、又は位置14と17,又は位置14と20、又は位置16と17、又は位置17と20に存在する。本発明の一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置16および13に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置20および13に塩基性アミノ酸を有する。さらに別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置16と20に塩基性アミノ酸を有する。
【0046】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の3つの位置の組合せでα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。例えば、塩基性アミノ酸は、位置11、13および14、又は位置11、13および16、又は位置11、13および17、又は位置11、13および20、又は位置11、14および16、又は位置11、14および17、又は位置11、14および20、又は位置11、16および17、又は位置11、16および20、又は位置11、17および20、又は位置13、14および16、又は位置13、14および17、又は位置13、14および20、又は位置13、16および17、又は位置13、17および20、又は位置14、16および17、又は位置14、16および20、又は位置14、17および20、又は位置16、17および20に存在する。本発明の好ましい一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、位置13、16および20に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、ホルモンは甲状腺刺激ホルモンである。本発明の別の実施態様では、ホルモンは卵胞刺激ホルモンである。本発明の別の実施態様では、ホルモンは黄体形成ホルモンである。本発明の別の実施態様では、ホルモンは絨毛性性腺刺激ホルモンである。本発明のさらに別の実施態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の3つの位置の塩基性アミノ酸は、リジンである。
【0047】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択さ
れる位置でα−サブユニット中に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を有するヒト甲状腺刺激ホルモンであって、β−サブユニットの位置58、63および69からなる群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を有するものも提供する。本発明の一実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置58に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置63に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンはβ−サブユニットの位置69に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、甲状腺刺激ホルモンは、β−サブユニットの位置58、63および69の各々に塩基性アミノ酸を有する。本発明のさらに別の実施態様では、β−サブユニットの位置58、63および69からなる群から選択される少なくとも1つの位置での塩基性アミノ酸は、アルギニンである。
【0048】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の4つの位置のすべての組合せでα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。当業者は、考えられる利用可能な組合せを容易に決定するであろう。一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置11、13、16および20に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置11、13、17および20に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置13、14、17および20に塩基性アミノ酸を有する。好ましい実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置13、14、16および20に塩基性アミノ酸を有する。本発明のさらに別の実施態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の4つの位置の塩基性アミノ酸は、リジンである。
【0049】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の5つの位置のすべての組合せでα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。当業者は、考えられる利用可能な組合せを容易に決定するであろう。一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置13、14、16、17および20に塩基性アミノ酸を有する。別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは位置11、13、14、16および20に塩基性アミノ酸を有する。本発明のさらに別の実施態様では、位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される任意の5つの位置の塩基性アミノ酸は、リジンおよびアルギニンからなる群から選択される。
【0050】
本発明はさらに、位置11、13、14、16、17および20の6つの位置のすべておいてα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンを提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は位置11、13、14、16、17および20からなる群から選択される少なくとも1つの位置でα−サブユニット中に塩基性アミノ酸を有するヒト糖タンパク質ホルモンであって、このホルモンはヒト甲状腺刺激ホルモンであり、β−サブユニットの位置58、63および69からなる群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸が存在するものを提供する。本発明の一実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンはヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置58に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンはヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置63に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンはヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置69に塩基性アミノ酸を有する。本発明の別の実施態様では、ヒト糖タンパク質ホルモンは、ヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置58、63および69の各々に塩基性アミノ酸を有する。本発明のさらに別の実施態様では、位置58、63および69からなる群から選択される位置での塩基性アミノ酸は、アルギニンである。
【0052】
別の態様では、本発明はヒト卵胞刺激ホルモン、ヒト黄体形成ホルモン又はヒト絨毛性性腺刺激ホルモンである糖タンパク質ホルモンであって、ヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置58、63および69に対応する、いずれか糖タンパク質ホルモンのβ−サブユニット中の位置からなる群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を含有するものを提供する。このアプローチは、非ヒトにも等しく当てはまる。例えば、2つのウシ糖タンパク質ホルモンのβ−サブユニットアミノ酸配列を比較して、配列の相違に基づいて、あらゆるサブユニットに対して置換がなされ得る。
【0053】
他の糖タンパク質ホルモンのβ−サブユニットのどの部位がヒト甲状腺刺激ホルモンのβ−サブユニットの位置58、63および69に対応するかを、当業者は容易に決定し得る。例えば、Ward,et al.,:Bellet,D and Bidard,J.M.(eds)"Structure-function relationships of gonadotropins"Serono Symposium Publications,Raven Press,New York,65:1-19(1990)を参照。ここでは、26の種々の糖タンパク質ホルモンβ−サブユニットのアミノ酸配列が並べられ、比較されている。したがって、当業者は、他の糖タンパク質ホルモンのこれらの部位の非塩基性アミノ酸を塩基性アミノ酸に容易に置換し得る。
【0054】
同様に、本発明は、糖タンパク質ホルモンが、他のいずれかのヒト糖タンパク質ホルモンの同一位置に対応する、糖タンパク質ホルモンのβ−サブユニット中の位置からなる群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を有するあらゆるヒト糖タンパク質を提供する。例えばヒト黄体形成ホルモンおよびヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβ−サブユニットのアミノ酸配列を比較し、2つのβ−サブユニット間のアミノ酸の相違に基づいて、これらのいずれかの糖タンパク質ホルモンの選択部位で置換を成し得る。このアプローチは、非ヒトにも等しく当てはまる。
【0055】
本発明はさらに、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を示す修飾ヒト糖タンパク質であって、野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を示す非ヒト糖タンパク質ホルモンの塩基性アミノ酸の位置に対応する位置で置換される同一のアミノ酸を含有するものを提供する。
【0056】
野生型ヒト糖タンパク質を上回る活性を有する非ヒト糖タンパク質ホルモンは、あらゆる非ヒト種であることができる。例えば、非ヒト種はウシであってもよい。(例えば、Benua,R.S.,et al.,"An 18 year study of the use of beef thyrotropin to increase I-131 uptake in metastatic thyroid cancer."J.Nucl.Med.5:796-801(1964)およびHershman,J.M.,et al.,"Serum thyrotropin(TSH)levels after thyroid ablation compared with TSH levels after exogenous bovine TSH:implications for I-131 treatment of thyroid carcinoma."J.Clin.Endocrinol.Metab.34:814-818(1972)参照)。あるいは、非ヒト種はウマ、ブタ、ヒツジ等であることもできる。本明細書中の実施例には、27の種の10〜21のアミノ酸領域の配列が記載されている。
【0057】
本発明はさらに、同一の種由来の野生型糖タンパク質ホルモンを上回る活性を示す修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンを上回る活性を示す別の種からの糖タンパク質ホルモンの塩基性アミノ酸の位置に対応する位置に置換された同一のアミノ酸を含有するものを提供する。したがって、その活性を増大するよう修飾されている糖タンパク質は、非ヒト種由来のものである。例えば、ブタ糖タンパク質ホルモンをウシ糖タンパク質ホルモンと比較して、ブタとウシの配列が異なる位置にアミノ酸置換を有するブタ糖タンパク質ホルモンを設計し、選択された変化を有するブタ糖タンパク質ホルモンを構築し、修飾ブタ糖タンパク質ホルモンをブタに投与し得る。あるいは、修飾される糖タンパク質はウシのものであってもよい。
【0058】
本発明はさらに、同一の種由来の野生型糖タンパク質ホルモンを上回る活性を有する修飾糖タンパク質ホルモンであって、修飾糖タンパク質ホルモンは、野生型糖タンパク質ホルモンを上回る活性を示す同一種由来の異なる糖タンパク質ホルモンの塩基性アミノ酸の位置に対応する位置に置換された同一のアミノ酸を含有するものを提供する。例えば、ヒト甲状腺刺激ホルモン及びヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのβサブユニットを比較して、あらゆる配列多様性に基づいて、これらのβサブユニットのいずれかにもアミノ酸置換を成し得る。当然、ホルモン受容体特異性は依然として保持される必要があるため、修飾糖タンパク質ホルモンの活性を一般的に増大又は低減する変化だけが意図される。このようなβサブユニット修飾の例は本明細書に含まれる実施例に説明されており、そこでは、塩基性アミノ酸は、ヒト甲状腺刺激ホルモンとヒト絨毛性性腺刺激ホルモンとの間の配列比較に基づいて、ヒト甲状腺刺激ホルモンの位置58及び63で置換される。
【0059】
修飾は、野生型糖タンパク質の単数又は複数の任意の特定位置の非塩基性アミノ酸の塩基性アミノ酸による置換をいう。本発明の好ましい実施態様では、これらの修飾は非塩基性アミノ酸をリジンで置換することを包含する。
【0060】
野生型糖タンパク質ホルモンに対する単数又は複数の修飾の効果は、多数の方法で確認できる。例えば、修飾糖タンパク質でトランスフェクトされた細胞中での環状AMP(cAMP)産生が測定され、野生型糖タンパク質ホルモンでトランスフェクトされた同様の細胞のcAMP産生と比較できる。あるいは、修飾糖タンパク質でトランスフェクトされた細胞中のプロゲステロン産生が測定され、野生型糖タンパク質ホルモンでトランスフェクトされた同様の細胞のプロゲステロン産生と比較できる。あるいは、修飾糖タンパク質ホルモンの活性が受容体結合アッセイ、チミジン取込みアッセイ、又はT4分泌アッセイにより測定できる。修飾糖タンパク質ホルモンの活性を測定するためのこのようなアッセイの具体例は、本明細書中の実施例の項に記載されている。当業者は、野生型又は修飾糖タンパク質ホルモンのいずれかの活性を測定するために用いるためのあらゆる適切なアッセイを容易に決定し得る。
【0061】
本発明の一実施態様では、修飾糖タンパク質ホルモンは野生型糖タンパク質ホルモンの活性の少なくとも3倍の活性を有する。この活性増大は、前記の、そして本明細書中の実施例に説明されたいずれかの技法により、あるいは当業者が容易に確定するようなその他の任意の適切なアッセイで、測定される。活性は、もちろん変化するので、アッセイ毎に又は細胞系毎に一致しなければならないというわけではない。例えば、本明細書中の実施例の項に記載したように、ヒト糖タンパク質ホルモンのαサブユニット中のP16K突然変異の相対的効力は、cAMPアッセイで野生型糖タンパク質ホルモンの活性と比較した場合、約6.4倍高かった。しかしながら、プロゲステロン放出アッセイでは、効力は約3.4倍、Vmaxは1.6倍であった。この特異的修飾は、少なくとも1つのアッセイでは、少なくとも約3倍の活性を示し、したがって少なくとも3倍の活性を有する糖タンパク質を示す。
【0062】
別のアミノ酸位置を修飾するために、ヒト及び非ヒト由来の糖タンパク質ホルモン配列を標準的コンピューターソフトウエアプログラム、例えばDNASIS(Hitachi Software Engineering Co.Ltd.)を用いて整列させることができる。ヒト及び非ヒト糖タンパク質ホルモンの間で異なるアミノ酸残基を、次に、前記の技法を用いて置換し、その結果生じた糖タンパク質ホルモンを、前記のアッセイの1つを用いてアッセイする。
【0063】
治療される又は修飾糖タンパク質ホルモンを投与される対象は、ヒト又はあらゆる非ヒト哺乳類であり得る。例えば、修飾糖タンパク質ホルモンスーパーアゴニストは、これらの糖タンパク質ホルモンをウシに投与することによりウシの過排卵に用い得る。
【0064】
単数又は複数のあらゆる特定位置の非塩基性アミノ酸を塩基性アミノ酸に置換するのに用いられる方法は、糖タンパク質ホルモンアンタゴニストを設計するためにも用い得る。特異的置換を行い、これらの修飾糖タンパク質ホルモンの活性をモニタリングすることにより、修飾が活性低減を示す糖タンパク質ホルモンを産生したか否かを決定し得る。これらの糖タンパク質ホルモンアゴニストは、受容体代謝回転率、糖タンパク質ホルモンに対する受容体親和性といったようなホルモン受容体の試験に、あるいはグレーブズ病の治療といった治療手法、そして受胎能制御に用い得る。
【0065】
本発明はさらに、治療量の本発明の糖タンパク質ホルモンを対象に投与することを含む、対象における糖タンパク質ホルモン活性に関連した症状の治療方法を提供する。これらの症状には、糖タンパク質ホルモン活性に関連したあらゆる症状が含まれる。これらの症状の例としては、排卵不全(ovalatory disfunction)、黄体期欠損(luteal phase defect)、原因不明不妊(unexplained infertility)、雄性因子不妊(male facter infertility)、時限性受胎(time-limited conception)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
別の例では、糖タンパク質ホルモンは甲状腺癌を診断及び治療するために投与され得る。例えば、ウシTSHのヒト被験者への投与を用いて、甲状腺組織中の131Iの取込みを刺激し、甲状腺癌を治療する(Meier,C.A.,et al.,"Diagnostic use of Recombinant Human Thyrotropin in Patients with Thyroid Carcinoma(Phase I/II Study)."J.Clin.Endocrinol.Metabol.78:22(1994))。
【0067】
当業者は、投与するための、そして重量、サイズ、特定症状の重症度、及び対象それ自体の種類に依っている有効量を容易に決定し得る。治療的有効量は、一般的な最適化法により、容易に決定し得る。本発明は、野生型と比較して活性の増大した糖タンパク質ホルモンを提供する。これらの修飾糖タンパク質ホルモンは、野生型糖タンパク質ホルモンと比較して低用量の投与量で同様の治療効果を達成し得るか、あるいは野生型糖タンパク質ホルモンと同用量で投与されると治療効果の増大を成し遂げ得る。
【0068】
糖タンパク質ホルモンが経口投与されるか、非経口投与か、又は他の投与方法によるかによって、プロスタグランジンの投与は、固体、半固体又は液体投与形態、例えば錠剤、ピル、カプセル、粉末、液体、クリーム及び懸濁液等、好ましくは正確な用量の供給に適した単位用量形態で行える。糖タンパク質ホルモンは、医薬的に許容可能な担体と組合せた有効量の選択糖タンパク質を含んでもよく、さらに、他の医薬、製剤、担体、アジュバント、希釈剤等を含んでもよい。「医薬的に許容可能」とは、生物学的に又はその他望ましくない物質でないこと、即ち物質が許容不可能な生物学的作用を引き起こしたり、又は許容不可能な形態で糖タンパク質ホルモンと相互作用することなく、選択糖タンパク質ホルモンと一緒に個体に投与され得ることを意味する。このような投与形態を調製する実際的方法は、当業者には公知であるか、又は明らかであろう(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,latest edition(Mack Publishing Co.,Easton,PA)参照)。
【0069】
別の態様では、本発明は、補助量の本発明の糖タンパク質ホルモンを投与することを含む、対象の生殖を補助する方法を提供する。例えば、孤立性性腺刺激ホルモン不全(IGD)を有する対象では、修飾卵胞刺激ホルモン(フォリトロピン)及び黄体形成ホルモン(ルトロピン)が対象に投与されて、正常な性腺機能を回復する。糖タンパク質ホルモン、例えばFSH及びLHは雌性生殖生理学には欠くことのできないものであり、これらの糖タンパク質ホルモンを対象に投与して、多数の生殖障害を克服し、それにより生殖を補助し得る、ということは当業者には広く公知である。
【0070】
遺伝子治療は、本発明の修飾糖タンパク質ホルモンを用いてホルモン障害を治療するも
う一つのアプローチである。このアプローチでは、遺伝子が細胞中で発現され、それらの細胞のその後の世代が導入遺伝子を発現できるように、修飾糖タンパク質ホルモンをコードする遺伝子を、例えば生殖系細胞又は体細胞中に導入し得る。例えば、あらゆる特定の性腺刺激ホルモンが卵巣細胞、又はその前駆体中に挿入されて、排卵を増強し得る。あるいは、甲状腺刺激ホルモンのスーパーアゴニストをコードする遺伝子を保有する甲状腺細胞を、甲状腺癌を有する個体に導入すると、甲状腺癌の放射性ヨウ素取込みを刺激するためのTSHの継続投与の必要がなくなる。コード配列を送達するのに適したベクターは、当業界で十分公知である。例えば、ベクターは、ウイルス、例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス又は非ウイルス、例えば陽イオン性リポソームである。
【0071】
本発明により提供されるような修飾糖タンパク質ホルモンは、甲状腺組織または性腺組織への治療薬のターゲッティングデリバリーのために、あるいはある種の新生物の治療に用い得る。
【0072】
さらに別の態様では、本発明はヒトホルモンの超活性非キメラアナログの構築方法であって、別の種由来のより活性なホモログのアミノ酸配列をヒトホルモンと比較し、ヒトホルモン中のアミノ酸を他の種由来の対応するアミノ酸で置換し、置換ヒトホルモンの活性を測定して、置換ヒトホルモンから超活性アナログを選択することを含む方法を提供する。ヒトホルモンの超活性アナログは、その活性が野生型ホルモンの対応する活性を上回るあらゆるアナログを含む。例えば、トレオニンからリジンへの、αサブユニット中の位置11でのヒト甲状腺刺激ホルモンの修飾(T11K)は、in vitroで培養したJP09細胞のcAMP産生の相対的増大を引き起こす(本明細書中の実施例に記載した表II参照)。したがって、ヒト甲状腺刺激ホルモンのこの修飾は、野生型ヒト甲状腺刺激ホルモンの超活性アナログをもたらす。上記のように、別の種由来のホモログの活性を測定し、その活性をヒトホルモンの活性と比較し、次に配列させた配列を比較してアミノ酸配列の相違を決定し、次に別の種由来のホルモン中の適切なアミノ酸でヒトホルモン中の対応する位置のアミノ酸を置き換え、次に前記の技法の1つにより修飾ヒトホルモンの活性を測定し、そして次に修飾ヒトホルモンの活性を野生型ヒトホルモンと比較して、それにより置換ヒトホルモンから超活性アナログを選択することにより、修飾を作り出すために置換すべき特定の単数又は複数のアミノ酸を決定し得る。
【0073】
アミノ酸置換のすべての組合せを用いて、糖タンパク質スーパーアゴニストを生成し得る。例えば、中性アミノ酸を塩基性又は酸性アミノ酸で置換し得る。あるいは、塩基性アミノ酸を酸性又は中性アミノ酸で置換するか、あるいは酸性アミノ酸を中性又は塩基性アミノ酸で置換し得る。当業者は、前記のように、あるアミノ酸での別のアミノ酸の置換は、糖タンパク質ホルモン又は糖タンパク質ホルモンの一部をコードするヌクレオチド配列の核酸レベルであるか、あるいはポリペプチドレベルであることを認識できる。ヒトホルモンはすべて、この方法により、そして選択されたその超活性アナログにより修飾される。特に、ヒトホルモンは糖タンパク質ホルモンである。
【実施例】
【0074】
ヒトαサブユニットのCys10とPro21との間の配列を、突然変異誘発のための一次標的として選択した(図1)。hCGベースの相同性モデリングは、αサブユニットのこの領域がすべての糖タンパク質ホルモンのβサブユニットから距離があり、いくつかの表面露出残基を含有し、そしてPro16とSer19との間に1回転の310−ヘリックスを含む、ということを示唆した1。ヒトαサブユニットは位置11、13、16、17及び20でウシと異なり(図1a)、これらの変化のうちの4つ(Thr11→Lys、Gln13→Lys、Pro16→Lys及びGln20→Lys)は非保存性である。PCR増幅を用いて、高等類人猿(チンパンジー−Pan troglodytes、オランウータン−Pongo pygmaeus)、低級類人猿(テナガザル−Hylobates sp.)、旧世界猿(ヒヒPapio
anubis)を含めたいくつかの霊長類のαサブユニット中の11〜20領域の配列を決定し、それらを従来公知の哺乳類配列、例えば、アカゲザル(Macaca mulatta;旧世界猿)、マーモセット(Callithrix jacchus;新世界猿)及びヒトと比較した(図1a)。異なる種間の同時比較は、この領域の塩基性残基が霊長類進化の相対的に遅い時期に置換された、ということを示唆した。アカゲザルαサブユニットでは、位置11、16及び20のLys残基及び位置13のArg残基をコードし2、ヒヒ配列は位置16のGlnをコードするが、一方テナガザル配列は位置13にHisの弱塩基性イミダゾリウム基を1つだけ含有する(図1a)
。明らかに、この領域の正荷電アミノ酸のクラスターは脊椎動物進化の間に保持され、修飾されたが、しかし高等類人猿及びヒト配列中には認められない。αサブユニットの11〜20領域の正荷電残基の漸進的排除は、旧世界猿からのヒト科動物(ヒト及び類人猿)の進化的分岐と一致する。この領域が受容体との結合を調節し得るという我々の仮説は、以下の事項によりさらに支持された。1)bTSH中のTyr21のヨウ素化への最高反応性3、2)hCGにおける抗原決定因子のマッピング4、3)個々のサブユニットのアシル化5、無水酢酸による標識6及びペジレーション(pegylation)により試験した場合の有効ホルモン−受容体相互反応のためのヒツジ及びヒトαサブユニットのLysのアミノ基の役割。
【0075】
したがって、正荷電Lys残基をヒトαサブユニットのCys10〜Pro21領域に挿入した(図1b)。他の2つの領域もさらに突然変異誘発した(表I)。TSHβサブユニットにおける単一非保存性Leu69→Arg突然変異を、同様の配列比較に基づいて作った。
【0076】
突然変異の効果
野生型(WT)又は突然変異ヒトα及びhTSHβ7又はhCGβのcDNAの種々の組合せでのCHO−K1細胞中への同時トランスフェクションは、14のhTSH及び11のhCGヘテロ二量体の発現を引き起こした(表I)。多数の他の突然変異誘発試験8,9に対照的に、突然変異体の発現は一般的にWTに匹敵するものであった。T11K、Q13K、P16K、Q20K、Q50P及びQ13K+P16K+Q20KのhTSH α突然変異体は、WT−hTSHより高いレベルで発現された。したがって、これらの進化的に正しいと思われる突然変異はhTSH又はhCG分子の合成を、大規模に損なわなかったが、しかしある場合にはホルモン産生を促すことがある。
【0077】
種々のバイオアッセイを用いて、hTSH及びhCG突然変異体の相対的効力及び効率を比較した。cAMP産生を刺激するWT及び突然変異体hTSHの能力を、安定トランスフェクト化ヒトTSH受容体を有するCHO−JP09細胞で試験した。このアッセイは、単一αサブユニット突然変異体における下記の順序の効力を示した。P16K(WTの1/6のEC50)≧Q20K>Q13K>T11K>WT−hTSH≒Q50P≒R67K(表II)。WT及び突然変異体hTSHの受容体結合活性を、ブタ甲状腺膜に対する競合的結合アッセイで評価した。cAMP刺激と一致して、以下の順序の効力が観察された。P16K(WTの5倍の親和性)>Q20K≧Q13K>T11K>WT−hTSH≒Q50P≒R67K(表II)。したがって、JP09細胞で観察された単一突然変異体の効力の増大は、TSH受容体に対する親和性の増大と直接相関した。最も注目すべきことには、11〜20領域におけるLys残基への各突然変異は活性の実質的増大を引き起こしたが、しかしこの決定的領域の外側の変化は受容体結合親和性及び生物活性に全く(R67K、Q50P)影響を及ぼさなかった(表II)。hTSHのアミノ酸13、16及び20のアラニン突然変異誘発はホルモン活性を有意に変えなかったが、このことは、他の種の相同性ホルモン中に存在する塩基性アミノ酸の選択的再形成のみが機能的変化を引き起こしたことを示す。さらに、αSer43のArgへの交換及びαHis90及びαLys91の置換は、これらの残基がhTSH生物活性にとってはhCG生物活性にとっ
て程重要ではなかったということを示し、このことは、塩基性残基のホルモン特異的及び部位特異的役割を強調する9
【0078】
組合せ突然変異を有するスーパーアゴニスト
効力の最高増大に別々に関与したLys残基の作用をさらに調べるために、多数の置換を含有する突然変異体が作成された。最も活性な突然変異体を図2及び3に示す。二重Pro16→Lys+Gln20→Lys及び三重Pro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys突然変異体は、それぞれWT−hTSHの12及び24倍の活性を示し、TSHβサブユニットのLeu69→Arg置換後は35倍まで効力がさらに増大した(図2a)。Glu14→Lys置換(マグロ配列中に存在するこの位置のLys)を含めた付加的最適化は、95倍までの生物活性のさらなる増大を引き起こした。これらの最も有効な多重突然変異体は、効能を少なくとも1.5倍上げた(最大反応)(図2b)。これらの増大は、ブタ並びにヒトTSH受容体に結合してFRTL−5細胞(図2e)での増殖並びに培養ヒト甲状腺小胞でのT3産生を誘発するhTSH突然変異体の能力を試験することにより確認された。特に、Pro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/WT−hTSHβ及びPro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/Leu69→Arg突然変異体はそれぞれ、FRTL−5細胞における3H−チミジン取込みの最大刺激の半分を得るためにはWT−hTSHの1/18及び1/27の濃度を要した(図2e)。TSH生物活性に及ぼす多重突然変異の相乗効果は、αサブユニットの13〜20領域でのLys残基の受容体との局所的共働に限定されなかったが、しかしβサブユニットの反対側ループでのArg69の関与を伴った(表II)。
【0079】
【表1】

【0080】
これらの知見は、動物モデルでさらに確認された。マウスにおけるPro16→Lys
、Gln20→Lys及びGln13→Lys hTSH突然変異体の1回注入は、WT−hTSHより有意に高く血清T4を増大した。さらに、Pro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/WT−hTSHβ及びPro16→Lys+Gln20→Lys+Gln13→Lys/Leu69→Arg突然変異体も、WT−hTSHと比較して、より高いT4レベルを生じた(図2f)。マウスに静注後6時間目のhTSH血清レベルは同様で、hTSHアナログはWTと比較して代謝クリアランス速度に大きな差異を示さなかった。
【0081】
【表2】

【0082】
hCG及びhTSHのβサブユニットの配列比較はhCGでの塩基性残基のクラスターを含有する領域(TSHβでの残基58〜69)を示したが、しかしhTSHでは認められなかった。部位特異的突然変異誘発を用いて、hCGにおけるそれらの位置に基づいて、hTSH中に単一及び複数の塩基性残基を導入して、さらにhTSH βサブユニット突然変異体を作成した。I58R、E63R、I58R+E63R、I58R+E63R
+L69R。突然変異体hTSH βサブユニットをヒトαサブユニットと同時発現させて、組換え体hTSHアナログの固有の活性を、ラットTHS受容体(FRTL−5細胞)及びヒトTSH受容体(CHO−hTSHr細胞)で試験した。両系において、単一置換(I58R、E63R)はhTSHの効力を2倍〜4倍増大し、効率のわずかな増大を生じた(図2g)。2つの置換の組合せ(I58R+E63R)は、野生型hTSHの15倍の効力及び1.5倍の効率を生じた(図2g)。3つの塩基性残基が導入された組合せ突然変異体I58R+E63R+L69Rの能力及び効率は、それぞれ50倍及び1.7倍上昇した(図2g)。固有活性のこれらの増大は、CHO−JP09細胞を用いた受容体−結合アッセイで判定した結果、受容体結合親和性の同時増大を伴った(図2h)。同様に、マウスにI58R+E63R+L69R突然変異体を注入すると、それらのT4刺激は偽処理(MOCK)又は対照処理マウスより有意に高かった(図2i)。
【0083】
CG突然変異体の生物活性を、MA−10細胞でのプロゲステロン刺激及びヒトLH/hCG受容体でトランスフェクトしたCOS−7細胞でのcAMP刺激を用いて試験した。hCG Lys突然変異体は、WT−hCGより高い能力(低EC50値)及び高い効率(Vmax)を示した(表II、図3a)。単一及び多重の突然変異の作用は、hTSH突然変異体に関して観察されたものと相対的に類似した。αPro16→Lys/WT−hCGβ突然変異体は、MA−10細胞でのプロゲステロン産生の刺激及び受容体結合活性において、WT−hCGの4倍活性であり、さらにPro16→Lys+Gln20→Lys及びPro16→Lys+Gln20→Lys hCG+Gln13→Lys突然変異体に関する能力及び効率の両方の増大を伴った(図3a及び3b)。固有活性の同様の増大は、ヒトLH/hCG受容体(COS−7−hLH/hCG−R細胞)で試験した場合にも認められた(図3c及び3d)。
【0084】
これらのデータは、モデルホルモン(例えばbTSH)より高いレベルでも、2〜3のアミノ酸置換だけで、糖タンパク質ホルモン生物活性を増大するのに十分であることを示唆した。興味深いことに、ウシ及びヒトのTSH間の40の異なる残基のうちの2〜3のみが、bTSHの高い生物学的活性に関与すると考えられる。他の置換の大多数は保存性で、αサブユニットでのR67K突然変異で説明したように、機能的意味を有さないと思われる。これに対照的に、αサブユニットのL1ループ及びβ1鎖中にクラスター形成する表面局在LysはbTSHの高い生物活性に関して極めて重大である、ということが示される。したがって、2つの突然変異アミノ酸(P16K+Q20K)のみを有する組換え体hTSHは、bTSHに匹敵する固有の活性を得る(表II)。さらに、三重、四重及び五重hTSH突然変異体は、bTSHより高い能力さえ示す。これらのデータは、bTSHとhTSHとの間の活性の差が、活性を増大する置換を含めたいくつかのアミノ酸変化の結果であるが、しかし他のものはhTSH受容体でのbTSHの生物能力を低減し得る、ということを示唆する。
【0085】
しかし、いくつかの受容体種が単一トランスフェクト化cDNAから作られる(隠れた部位からの代替的スプライシングにより、又は翻訳後修飾により)という可能性を排除できないけれども、活性の同様の差異が異なる細胞系で観察されたという事実は、これらのアナログの効力、効率及び親和性の増大における異なる受容体種の重要性に強く反論するものである。さらに、種々の炭水化物残基を有する天然ホルモンアイソフォームはポスト受容体レベルでそれらの作用を発揮し、受容体結合親和性に全く又は最小度の作用しか及ぼさない10。野生型ホルモン及びそれらのアナログは複数の実験系で特性評価されるため、本明細書に記載した生物活性増大の現象は、受容体の特定細胞依存性変異に関連した例外というよりもむしろ規則であるという可能性が高い。
【0086】
糖タンパク質ホルモンアナログの合理的設計の見通し
糖タンパク質ホルモンの従来の部位特異的突然変異誘発は、アラニン走査突然変異誘発
11又は多重置換法9のような戦略を用いて、高度保存領域及び残基に主に焦点を当てた。いくつかの重要な研究は、カセット突然変異誘発および/または制限断片交換を用いたキメラサブユニットの作製を基礎にした121314。非保存性残基の他の種に認められる残基への置換を基礎にした我々の戦略は首尾よくいって、生物活性の増大したhFSH突然変異体を含めた他の糖タンパク質ホルモンアナログの生成を可能にした。ヒトαサブユニットの11〜20領域での塩基性残基の導入によるhTSH、hCG及びhFSHの生物活性の平行改良は、この領域がhCGの結晶構造ベースのモデルにおける、そしてhTSHの我々の相同性モデルにおけるβサブユニットから距離があるという事実に関連がある。両モデルにおけるこの領域の仮想の同定及び11〜26領域と結合する抗体がサブユニット組合せに大きな影響を及ぼさないという観察15は、このドメインがすべての糖タンパク質ホルモンで同様に機能することを示唆する。αサブユニットが首尾よく工学処理されてhTSH、hCG又はhFSHのより強力なアゴニストを作られさえすれば、同一パラダイムが、それぞれのβサブユニットを修飾するのに用いられて、各糖タンパク質ホルモンの最終的スーパーアゴニストを生成する。例えば、TSHβユニット中の非極性Leu69のArgへの付加的置換は、hTSH生物活性のさらなる増大を引き起こした。さらに、我々のアナログの血漿半減期は、特定の治療的要求に関して改変され得る。
【0087】
糖タンパク質ホルモンのさらなる設計及び改善としては、ホルモン−受容体複合体の詳細な三次元構造を含む。糖タンパク質ホルモン受容体の正確な構造は解明されていないが、しかしホルモン受容体相互作用のいくつかのモデルが提唱されている15、16、17、18。Jiang等17の最新モデルによれば、αサブユニットのL1ループが受容体のトランスメンブラン部分との相互作用に関与する。このループ内の正荷電残基のクラスターはこのような相互作用を増強し、そして受容体中のさらなる再整列を促して、Gタンパク質の活性化及びシグナル変換を引き起こすのかもしれない。
【0088】
材料及び方法
制限酵素、DNAマーカー及びその他の分子生物学的試薬は、Gibco BRL(Gaithersburg,MD)又はBoehringer-Mannheim(Indianapolis,IN)から購入した。細胞培養液、ウシ胎児血清及びLipofectAMINEは、Gibco BRL(Gaithersburg,MD)から購入した。VentR DNAポリメラーゼは、New England Biolabs(Beverly,MA)から購入した。pcDNA I/Neoベクター(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)のBamHI/XhoI部位にサブクローニングした全長ヒトα cDNA(840bp)及びhCG−β遺伝子は、T.H.Ji博士(University of Wyoming,Laramic,WA)から入手した。最初のイントロンを含有せず、非翻訳第一エキソン及び真正翻訳開始部位を有するhTSH−βミニ遺伝子は、我々の実験室で構築された。rhTSH−G標準は、Genzyme Corp.(Framingham,MA)からのものであった。安定発現hTSH受容体を有するCHO細胞(CHO−hTSHRクローンJP09及びクローンJP26)は、G.Vassart博士(Universiry of Brussels,Belgium)が提供いただいた。ヒトLH受容体cDNAは、T.Minegishi博士(Gunma University,Gunma,Japan)から入手した。FRTL−5細胞は、L.D.Kohn博士(NIDDK,NIH,Bethesda,MD)のご厚意により得た。MA−10細胞は、M.Ascoli博士(University of Iowa,Iowa City,IA)に提供いただいた。125I−cAMP及び125I−hTSHは、Hazleton Biologicals(Vienna,VA)からのものであった。種々の霊長類の血液試料は、Yerkes Regional Primate Research Center(Emory University,Atlanta,GA)及びAnimal Resources(University of Oklahoma,Oklahoma City,OK)から入手した。
【0089】
霊長類αサブユニット配列の確定
チンパンジー(Pan troglodytes)、オランウータン(Pongo pygmaeus)、テナガザル(Hylobates sp.)及びヒヒ(Papio anubis)の全血試料からのゲノムDNAの抽出のために、QIAampR血液キット(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA)を用いた。ゲノムD
NAをPCRに用いた。使用した合成オリゴヌクレオチドプライマーは、
5'-CCTGATAGATTGCCCAGAATGC-3'(センス)(配列番号1)及び
5'-GTGATAATAACAAGTACTGCAGTG-3'(アンチセンス)(配列番号2)
であって、ヒト糖タンパク質ホルモンの共通αサブユニットをコードする遺伝子のヌクレオチド配列にしたがって合成した19。10mM Tris−HCl(25℃でpH9.0)、50mM KCl、2.5mM MgCl2、200μM dNTP及び2UのTaq DNAポリメラーゼ(Promega Corp.,Madison,WI)を含有する100μl反応容量中の800〜1000ngのゲノムDNA鋳型及び10picomolの各プライマーを用いて、PCRを行った。反応混合物を鉱油で覆い、各試料を先ず、95℃で10分間加熱した。PCRプログラムは95℃で1分30秒間の変性、55℃で1分30秒間のアニーリング、及び72℃で1分間の伸長のサイクルを32回、その後の72℃で7分間の最終伸長期間で構成された。次に、反応物を、臭化エチジウムの存在下で、1%アガロースゲル上で直接電気泳動処理した。エキソン3、イントロン3及びエキソン4に及ぶ増幅PCR産物(〜700bp)を、QIAquickPCR生成キット(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA)を用いて精製し、OriginalTAクローニングキット(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)を用いてpCRTMII中にサブクローニングした。サブクローニング後、又は直接Sequenaseキット(U.S.Biochemical Corp.,Cleveland,OH)を用いてジデオキシシーケンシングにより、断片の配列を得た。
【0090】
相同モデリング
モデリングは、hCGとhTSHとの間の強い配列相同性によるものである。システインノット残基を対応物にして並べ、同一並びに高度保存性置換のパーセンテージを前記のように算出した1。hCGとhTSHの間の配列同一性は58%、2つのβサブユニット配列の31%が同一で、別の17%はβサブユニットの高度保存性変化を含有した。hTSHの分子モデルは、Brookhaven Data Bankから得られた結晶座標から得られるhCGモデルの鋳型に依った。全座標操作及びエネルギー計算は、Convexに対しCHARMmリリース21.2を用いて実行し、分子グラフパッケージQUANTA(バージョン3.3、Molecular Simulation Inc.,University of York,York,英国)を用いて改変した。
【0091】
部位特異的突然変異誘発
PCRベースのメガプライマー法21により、ヒトα−cDNA及びhTSHβミニ遺伝子の突然変異誘発を行った。VentRDNAポリメラーゼ(New England Biolabs,Beverly,MA)を用いて、増幅を最適化した。BamHI及びXhoIで消化後、切断されたBamHI/XhoI断片を用いて、PCR産物をpcDNA I/Neo(Invitrogen Corp.,San Diego,CA)中に連結した。Ultracomp大腸菌形質転換キット(Invitrogen Corp.)を用いて、MC106/p3大腸菌細胞を形質転換した。QIAprep 8プラスミドキット(QIAGEN Inc.,Chatsworth,CA)を多重プラスミドDNA調製に用いた。QIAGEN Mega及びMaxi精製プロトコールを用いて、大量のプラスミドDNAを精製した。さらなる突然変異誘発のために鋳型として単一突然変異を用いてα−cDNAを含有するプラスミドを用いて、同一方法で、多重突然変異体を作った。サンガーのジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法を用いて二本鎖シーケンシングにより、突然変異を確認した。
【0092】
組換え体ホルモンの発現
CHO−K1細胞(ATCC,Rockville,MD)を、グルタミン及び10%FBS、ペニシリン(50単位/ml)及びストレプトマイシン(50μg/ml)を含有するハムのF−12培地中に維持した。プレートの細胞(100mm培養皿)をpcDNA I/NEO中の野生型又は突然変異体α−cDNA、及び、LipofectAMINE(Gibco BRL,Gaithersburg,MD)を用いてp(LB)CMVベクター7、又はhCG
β−cDNA8を含有するpcDNAI/Neo中に挿入したhTSHミニ遺伝子で同時トランスフェクトした。24時間後、トランスフェクトした細胞をCHO−無血清培地(CHO−SFM−II,Gibco BRL)に移した。遺伝子挿入物を含有しない発現プラスミドを用いた偽トランスフェクションからの対照培地を含む培地をトランスフェクション後72時間目に回収し、濃縮して、遠心分離した。アリコートを−20℃で凍結させ、各アッセイ前に一回だけ解氷した。WT及び突然変異体hTSHを、前記のような四つの異なるイムノアッセイ9を用いて測定し確認した。WT及び突然変異体hCGの濃縮物を化学発光アッセイ(hCGキット、Nichols Institute,San Juan Capistrano,CA)及び免疫放射能測定アッセイ(hCG IRMA、ICN,Costa Mesa,CA)を用いて測定した。
【0093】
ヒトTSH受容体を発現するJP09細胞におけるcAMP刺激
hTSH受容体cDNA(JP09)で安定的にトランスフェクト処理したCHO細胞を増殖させて、前記9のようにWT及び突然変異体hTSHの連続希釈液と一緒にインキュベートした。培地中に放出されたcAMPを、ラジオイムノアッセイにより測定した22。等量の総培地タンパク質を、偽対照及びトランスフェクト細胞からのhTSH含有試料として用いた。
【0094】
ヒトLH受容体を発現するCOS−7細胞におけるcAMP刺激
hLH受容体cDNAで一時的にトランスフェクト処理したCHO細胞を増殖させて、本質的には前記23と同様にWT及び突然変異体hCGの連続希釈液と一緒にインキュベートした。培地中に放出されたcAMPを、ラジオイムノアッセイにより測定した22。等量の総培地タンパク質を、偽対照及びトランスフェクト細胞からのhCG含有試料として用いた。
【0095】
MA−10細胞におけるプロゲステロン産生刺激
96ウエル(well)培養プレート中で増殖させた形質転換ネズミLeydig細胞(MA−10)を前記24のようにアッセイ培地中で6時間、WT及び突然変異体hCGとともにインキュベートした。培地中に放出されたプロゲステロンの量を、ラジオイムノアッセイにより測定した(CTプロゲステロンキット、ICNBiomedicals,Inc.,Costa Mesa,CA)。
【0096】
受容体結合アッセイ
hTSHアナログの受容体結合活性を、可溶化ブタ甲状腺膜から125I−bTSHを置き換えるその能力により、アッセイした224。ヒトTSH受容体との選択アナログの結合活性を、JP09細胞を用いて試験した。hCGアナログのMA−細胞との、そしてヒトLH受容体で一時的にトランスフェクト処理したCOS−7細胞との結合活性を、前記24のように125I−hCG及びアッセイ培地を用いて測定した。
【0097】
FRTL−5細胞におけるチミジン取込み刺激
ラット甲状腺細胞(FRTL−5)の増殖を、前記22のようにモニタリングした。
【0098】
マウスにおけるT4分泌の刺激
WT及び突然変異体TSHのin vivo生物活性を、マッケンジーのバイオアッセイ22,25の変法を用いて測定した。WT及び突然変異体TSHを、6日間、飲料水中に3μg/mlのT3を投与することにより予め内因性TSHを抑制した雄アルビノSwiss Cr1:CF−1マウス中に腹腔内投与した。6時間後に眼窩洞から血液試料を採取し、血清T4及びTSHレベルをそれぞれ化学発光アッセイ(Nichols Institute)により測定した。
【0099】
本出願を通して、種々の刊行物を参照した。ある刊行物は括弧内に番号を付けて示した
。全参照文献に番号を振って、下記に列挙する。本発明が属する分野の状態をより詳細に説明するために、これらの記載内容は、参照により、本明細書中に含める。
【0100】
本発明の範囲及び精神を逸脱しない限り、種々の修正及び変更をなし得ることは、当業者には明らかである。本発明の他の実施態様は、本出願中に開示した本発明の明細及び実行を考慮すれば、当業者には明らかになる。説明及び実施例は、例示のためだけのものであり、本発明の真の範囲及び精神は以下の請求の範囲に示されるものとする。
【0101】
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、27の異なる種からのα−サブユニットの関連一次配列の比較を示す。(a)GenBank、SWISS−PROTおよびPDBデータバンクから取得した、チンパンジー、オランウータン、テナガザルおよびヒヒ(下線)のゲノムDNAのPCR増幅断片のシーケンシングから得られたサブユニット配列を整列させた。配列の番号は、ヒトα−サブユニット配列のものに対応する。横線(‐‐‐)は、ヒトα−サブユニットのものと同一のアミノ酸残基を示す。異なる種間での保存されたリジン残基が太字で示されている。本研究で決定された霊長類配列には下線を施した。ヒト、チンパンジーおよびオランウータンのα−サブユニット配列は、種々の脊椎動物種における相対的に高度の類似性に拘わらず、この領域に塩基性アミノ酸を含有しない配列である。(b)この領域に作られるヒト配列の突然変異は、すべての非ヒト哺乳類配列中に存在する単一および多数のLys残基の導入を含んだ。さらに、残基13、16および20のアラニンへの突然変異を用いて、Gln13、Pro16およびGln20の役割を調べた。
【図2a】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(a,b)CHO−JP09細胞におけるcAMP刺激。データは、3回(a)および2回(b)繰り返した代表的な実験からの3重の測定値の平均±SEMを示す。
【図2b】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(a,b)CHO−JP09細胞におけるcAMP刺激。データは、3回(a)および2回(b)繰り返した代表的な実験からの3重の測定値の平均±SEMを示す。
【図2c】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(c,d)CHO−JP09細胞に対する受容体結合活性。それぞれ図2aおよび図2bの場合と同一の突然変異体を試験した。値は、2回繰り返した一実験からの4重の測定値の平均±SEMである。
【図2d】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(c,d)CHO−JP09細胞に対する受容体結合活性。それぞれ図2aおよび図2bの場合と同一の突然変異体を試験した。値は、2回繰り返した一実験からの4重の測定値の平均±SEMである。
【図2e】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(e)FRTL−5細胞におけるチミジン取込み刺激。値は、2回繰り返した一実験からの4重の測定値の平均±SEMである。
【図2f】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(f)マウスにおけるT4分泌の刺激。各データポイントは、2回繰り返したそれぞれの実験の4〜5匹の動物からの値の平均±SEMを示す。
【図2g】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(g)CHO−hTSH細胞におけるcAMP刺激。データは、3回繰り返したそれぞれの実験からの3〜4重測定値の平均±SEMを示す。
【図2h】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(h)CHO−JP09細胞における受容体結合活性。データは、3回繰り返したそれぞれの実験からの3〜4重測定値の平均±SEMを示す。
【図2i】図2は、最も効力のあるhTSHアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。(i)マウスにおけるT4分泌の刺激。各データポイントは、2回繰り返したそれぞれの実験の4〜5匹の動物からの値の平均±SEMを示す。
【図3a】図3は、最も効力のあるhCGアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。MA−10細胞におけるプロゲステロン産生刺激(a)および受容体結合アッセイ(b)。データは、データは、3回繰り返したそれぞれの実験からの3重測定値の平均±SEMを示す。プロゲステロンの相対的最大産生レベルを表IIに、WT−hCGで得られた値の%として示す。
【図3b】図3は、最も効力のあるhCGアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。MA−10細胞におけるプロゲステロン産生刺激(a)および受容体結合アッセイ(b)。データは、データは、3回繰り返したそれぞれの実験からの3重測定値の平均±SEMを示す。プロゲステロンの相対的最大産生レベルを表IIに、WT−hCGで得られた値の%として示す。
【図3c】図3は、最も効力のあるhCGアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。hLH受容体を発現するCOS−7細胞におけるcAMP刺激(c)および受容体結合アッセイ(d)。データは、2回繰り返したそれぞれの実験からの3重測定値の平均±SEMを示す。
【図3d】図3は、最も効力のあるhCGアナログの生物活性および受容体結合活性を示す。hLH受容体を発現するCOS−7細胞におけるcAMP刺激(c)および受容体結合アッセイ(d)。データは、2回繰り返したそれぞれの実験からの3重測定値の平均±SEMを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型ヒト黄体形成ホルモンまたは野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトLHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該α−サブユニットは位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で少なくとも3つの塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項2】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11、13及び20に存在する請求項1の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項3】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、14及び20に存在する請求項1の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項4】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、16及び20に存在する請求項1の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項5】
α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で少なくとも4つの塩基性アミノ酸を含む請求項1の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項6】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11、13、16及び20に存在する請求項5の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項7】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13、14、16及び20に存在する請求項5の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項8】
α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される位置で5つの塩基性アミノ酸を含む請求項5の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項9】
β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を含むようにさらに修飾された請求項1〜8のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項10】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項9の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項11】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項9の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項12】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項9の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項13】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項9の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項14】
塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項1〜13のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSHのα−サブユニットをコードする核酸。
【請求項16】
請求項15の核酸を含むベクター。
【請求項17】
請求項16のベクターを含む宿主。
【請求項18】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に5つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項19】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に4つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項20】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に3つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項21】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に2つ未満のアミノ酸置換を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項22】
α−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に対応する野生型ヒトLHまたはFSHと同一のアミノ酸配列を有する請求項1〜14のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項23】
野生型ヒト黄体形成ホルモンまたは野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトLHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該α−サブユニットは位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される少なくとも1つの位置で塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項24】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置11に存在する請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項25】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置13に存在する請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項26】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置14に存在する請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項27】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16に存在する請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項28】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置20に存在する請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項29】
塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項23〜28のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項30】
α−サブユニットが位置11、13、14、16及び20から成る群から選択される少なくとも2つの位置に塩基性アミノ酸を含むようにさらに修飾された請求項23の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項31】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16及び20に存在する請求項30の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項32】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置16及び13に存在する請求項30の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項33】
α−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置20及び13に存在する請求項30の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項34】
塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項30〜33のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項35】
β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸をさらに含むようにさらに修飾された請求項23〜34のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項36】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項35の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項37】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項35の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項38】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項35の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項39】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項35の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項40】
請求項23〜34のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSHのα−サブユニットをコードする核酸。
【請求項41】
請求項40の核酸を含むベクター。
【請求項42】
請求項41のベクターを含む宿主。
【請求項43】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に5つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項44】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位
置に4つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項45】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に3つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項46】
さらにα−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に2つ未満のアミノ酸置換を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項47】
α−サブユニットの位置11、13、14、16及び20以外の位置に対応する野生型ヒトLHまたはFSHと同一のアミノ酸配列を有する請求項23〜39のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項48】
野生型ヒト黄体形成ホルモンまたは野生型ヒト卵胞刺激ホルモンと異なる修飾ヒト黄体形成ホルモン(LH)または修飾ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)であって、該修飾ヒトLHまたはFSHはα−サブユニットおよびβ−サブユニットを含み、該β−サブユニットの位置58、63及び69から成る群から選択される少なくとも1つの位置に塩基性アミノ酸を含む、修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項49】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58、63及び69に存在する請求項48の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項50】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置58に存在する請求項48の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項51】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置63に存在する請求項48の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項52】
β−サブユニットの塩基性アミノ酸が位置69に存在する請求項48の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項53】
塩基性アミノ酸がリジン及びアルギニンから成る群から選択される請求項48〜52のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSH。
【請求項54】
適切な量の請求項1〜14,18〜39,43〜53のいずれか1項の修飾ヒトLHまたはFSHを含む、生殖を補助するための医薬。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図2g】
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【図2h】
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【図2i】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公開番号】特開2008−79619(P2008−79619A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317316(P2007−317316)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【分割の表示】特願2007−124785(P2007−124785)の分割
【原出願日】平成8年5月8日(1996.5.8)
【出願人】(502006782)アメリカ合衆国 (47)
【Fターム(参考)】