説明

糖化最終生成物に親和性を有するペプチド、およびそれを用いた吸着体

【課題】 体液(例えば血液、血漿など)に存在する糖化最終生成物を選択的に吸着除去することにより、糖尿病性腎症等の疾患を改善する目的で使用される吸着体、および前記吸着体を用いた吸着装置が求められている。糖化最終生成物に対して優れた親和性を有するペプチド、および前記ペプチドを水不溶性担体に固定した吸着体を提供することを目的とする。
【解決手段】 糖化最終生成物(AGE(Advanced Glycation End Products))に親和性を有するペプチド、AGEに対して親和性を有する吸着体、および吸着装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液(例えば血液、血漿など)に存在する糖化最終生成物を選択的に吸着除去することにより、糖尿病性腎症等の疾患を改善する目的で使用される吸着体、および前記吸着体を用いた吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖化最終生成物はAGE(Advanced Glycation End Products)と呼ばれ、糖尿病性腎症、動脈硬化症、透析アミロイドーシス、腎不全、老化等に関与していると考えられている。AGEの例としては、ペントシジン、クロスリン、フルオロリンク、ピロピリジン、カルボキシメチルリジン、ピラリン等の化合物が挙げられる(非特許文献1を参照)。AGEは様々な疾患に関与すると考えられていることから、AGEの産生を抑制する薬剤の開発や、血液中のAGE濃度を低下させる手法の開発が求められている。
【0003】
AGEに親和性のある蛋白質としてAGE受容体(RAGE)が知られ、RAGE遺伝子はクローニングされている(非特許文献2を参照)。また、RAGEのアミノ酸配列のうちAGEとの親和性を有する領域が、アミノ酸配列23番目〜120番目のVドメインと呼ばれる細胞外ドメインであること、特に細胞外ドメインの中のアミノ酸配列23番目〜52番目の領域であることが示唆されている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】米国特許公報 6、555、651号
【特許文献2】米国公開特許 US2001/53357号
【特許文献3】日本公開特許 特開2004−57536号
【特許文献4】日本公開特許 特開2004−306499号
【特許文献5】日本公開特許 特開2004−306500号
【非特許文献1】DOJIN News No.106(2003年)1〜8ページ
【非特許文献2】Jounal of Biological Chemistry(1992年)267巻、14987〜14997ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、RAGEを形成する部分ペプチドをAGE吸着リガンドとして利用しようとした場合のAGE吸着性能は不明である。また、AGEを吸着するリガンドとなるペプチドを合成する場合、ペプチドのアミノ酸数が多いと合成および精製が困難になるという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、AGEに対して優れた親和性を有するペプチド、および前記ペプチドを水不溶性担体に固定した吸着体を提供することを目的とする。また、前記吸着体を有する吸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
鋭意検討の結果、RAGEのうちの、特定の部分ペプチドが、AGEに対して親和性を有する。よって、本発明が提供するのは以下の通りである:
[1]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチド;
(ここで、X1=C、K、または欠失
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。ただし、アミノ酸配列AQNITARIGEPLVLKCKGAPKKPPQRLEWKLN(配列番号1)およびその部分配列を除く。
【0007】
[2]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17 を含むペプチド;
(ここで、
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失)。ただし、アミノ酸配列AQNITARIGEPLVLKC(配列番号2)およびその部分配列を除く。
[3]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26 を含むペプチド;
(ここで、
X7=C、Kまたは欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失)。ただしアミノ酸配列RIGEPLVLKCKGAPKKPPQ(配列番号3)およびその部分配列を除く。
[4]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチド;
(ここで、
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。ただしアミノ酸配列CKGAPKKPPQRLEWKLN(配列番号4)およびその部分配列を除く。
[5]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X27−[X28−X29−X30−X31]nを含むペプチド;
(ここで、
X27=C、またはK
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、かつ
nは2以上の整数である)。
[6]
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:[X28−X29−X30−X31]n−X32からなるペプチド;
(ここで、
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、
X32=C、またはK、かつ
nは2以上の整数である)。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドであって、N末端アミノ酸残基に、アセチル基、またはビオチン基が結合したことを特徴とするペプチド。
[8]
[1]〜[6]のいずれかに記載のペプチドであって、C末端アミノ酸残基にアミノ基が結合したことを特徴とするペプチド。
[9]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、X1=C、K、または欠失
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。
該アミノ酸配列は好ましくは、CAQNITARIGEPLVLKCKGAPKKPPQRLEWKLN(配列番号5)およびその部分配列である。該アミノ酸配列は好ましくはまた、LEWK(配列番号6)およびLEWKLN(配列番号7)である。
[10]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失)。該アミノ酸配列は好ましくは、AQNITARIGEPLVLKC(配列番号2)およびその部分配列である。
[11]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X7=C、Kまたは欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失)。該アミノ酸配列は好ましくは、CRIGEPLVLKCKGAPKKPPQ(配列番号8)およびその部分配列である。
[12]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。該アミノ酸配列は好ましくは、CKGAPKKPPQRLEWKLN(配列番号4)およびその部分配列である。
[13]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X27−[X28−X29−X30−X31]nを含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X27=C、またはK
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、かつ
nは2以上の整数である)。該アミノ酸配列は、好ましくは、CLEWKLEWK(配列番号9)である。
[14]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:[X28−X29−X30−X31]n−X32を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、
X32=C、K、かつ
nは2以上の整数である)。該アミノ酸配列は好ましくは、LEWKLEWKC(配列番号10)である。
[15]
[9]〜[14]いずれかに記載の吸着体であって、ペプチドのN末端アミノ酸残基に、アセチル基、またはビオチン基が結合したことを特徴とする吸着体。
[16]
[9]〜[14]のいずれかに記載の吸着体であって、ペプチドのC末端アミノ酸残基にアミノ基が結合したことを特徴とする吸着体。
[17]
[9]〜[14]いずれかに記載の吸着体であって、前記水不溶性担体が多孔質であることを特徴とする吸着体。
[18]
[9]〜[14]いずれか記載の吸着体であって、前記水不溶性担体が親水性であることを特徴とする吸着体。
[19]
糖化最終生成物に親和性を有する吸着装置であって、ここで該吸着装置は、[9]〜[18]いずれかに記載の吸着体を含み、前記吸着体が液体の入口、出口を有する容器内に含まれ、かつ前記吸着体が前記容器の外へ流出することを防ぐ防止手段が備えられている、吸着装置。
[20]
前記吸着体と接触する液体が、血液、血漿、血清からなる群から選択されることを特徴とする[19]に記載の吸着装置。

ここで、それぞれのアルファベットはアミノ酸の一文字表記である(P=プロリン、G=グリシン、A=アラニン、V=バリン、L=ロイシン、I=イソロイシン、C=システイン、K=リジン、R=アルギニン、H=ヒスチジン、Q=グルタミン酸、N=グルタミン、D=アスパラギン酸、E=グルタミン酸、W=トリプトファン、Y=チロシン、F=フェニルアラニン、T=トレオニン、S=セリン)。
【0008】
本発明によれば、AGEに対して親和性の高いペプチドが得られる。本発明によれば、AGEに親和性を有するリガンドのアミノ酸の数が少ないので、高次構造が変化する等の影響が緩和される。また、本発明によれば、AGEに対して親和性を有する化合物がペプチドであるので、高温耐性を有する。ここにいう高温耐性とは、約50℃以上、好ましくは約100℃、およびより好ましくは約121℃以上に暴露された場合、AGEに対する親和性が実質的に低下しないことを意味する。好ましくは、本発明のペプチドまたは吸着体は、蒸気滅菌等、好ましくは高圧蒸気滅菌しうる。その後においてもAGEへの親和性が低下することを緩和しうる。ここにいう高圧蒸気殺菌は、例えば121℃において15分間行う。
【0009】
さらには、ペプチドが少ない、好ましくは約16残基以下であるので、ペプチドを合成する際に不純物が少なくて済み、さらには求めるペプチドの収率、回収率等の点で有利である。さらに、ペプチド作製に伴うコストの低減を図ることができる。
【0010】
なお、本発明のペプチドは、部分的にAGEと類似の構造を有する、3−デオキシグルコソン、メチルグリオキサール、グリオキサール、グリセルアルデヒド、グリセルアルデヒド 3−リン酸等のAGE前駆体や、糖化蛋白質に親和性を有しうる。
【0011】
その機能に影響を及ぼすことなく、ペプチドまたはタンパク質中のアミノ酸位置を、保存的な手法で交換することが可能なことは、当業者には公知である。本発明の場合、「保存的」交換の典型的な例としては、以下のグループ: グループI:Leu、Ile、Val、Met、His、Trp、Tyr、Phe、 グループII:Glu、Gln、Asp、Asn、 グループIII:Ser、ThrグループIV:Lys、Arg;の中での交換を意味するものである。その機能に影響を及ぼさない場合、ペプチドまたは蛋白質中のアミノ酸のうち1または数個を、置換、欠失および/又は付加してもよい。
【0012】
また、本発明によれば、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の、塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸の割合が高くなるようにペプチドを設計でき、そのためペプチドの合成と精製が容易になるという利点を有する。また、N末端アミノ酸残基および/またはC末端アミノ酸残基がシステインまたはリジンであるので、システインのSH基、またはリジンのアミノ基を用いて、共有結合による水不溶性担体への固定化が容易である。
【0013】
好ましくはnが2以上の整数である。この場合、AGEと親和性を有する領域が複数存在するので、AGEとの親和性が向上し、より多くのAGEを吸着できる。
【0014】
また、本発明は、N末端アミノ酸残基に、アセチル基、またはビオチン基が結合したことを特徴とする糖化最終生成物に親和性を有するペプチドに関する。本明細書では、ペプチドまたは吸着体におけるペプチドは、ペプチドを構成する全部または一部のアミノ酸が、アミノ基またはカルボキシル基において、任意の置換基、例えばアセチル基等の置換基によって修飾されたものも含む。
【0015】
本発明によれば、エンドペプチダーゼ等の蛋白質分解酵素等の作用によって、N末端のアミノ酸残基が脱離する等のペプチド分解作用を抑制することができる。
【0016】
さらに、本発明は、C末端アミノ酸残基が、アミノ基またはカルボキシル基において、任意の置換基、例えばアミノ基で置換されたことを特徴とする糖化最終生成物に親和性を有するペプチドに関する。
【0017】
C末端のアミノ酸残基が例えばシステインであると、特に高温条件下においてラセミ化され、ペプチドが不均一になりやすいが、C末端のアミノ酸をアミノ基で保護することにより不均一になることを抑制できる。ペプチドは1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0018】
本明細書で使用するように、「部分配列」は、アミノ酸配列の文脈では、あるアミノ酸配列の一方または両方の端の、1または2以上のアミノ酸を、切断して得られる配列を意味する。そのような部分配列は、オリジナル配列が有する機能と同等の機能を有する限り、本発明の目的のために使用し得る。
【0019】
本発明のペプチドは、自体公知の方法にしたがって製造できる。化学的方法、例えばFmoc法またはtBoc法を使用する合成法、または生物学的方法、例えば大腸菌等の微生物を使用する遺伝子組み換え技法によって、目的のペプチドを生産できる。本発明では、ペプチドが比較的短いため、化学的方法が簡便である。本発明はまた、上記本発明のペプチドまたは吸着体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明のペプチドはそれ自体、AGEに対する吸着体として、使用しうる。また、本発明のいずれかのペプチドを水不溶性担体に固定した糖化最終生成物に親和性を有する吸着体に関する。同様に、ペプチドは1種または2種以上を水不溶性担体に固定化することもできる。水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機-有機、有機-無機などの複合担体等が挙げられる。
なお、水不溶性担体の形態としては、ビーズ状、線維状、膜状、中空糸膜状等から選ぶことができるが、体外循環を行う際に体液の流通面の点で有利であることから、ビーズ状が特に好ましい。ビーズ状の平均粒径は扱いやすいという点で10〜2500μmのものが好ましく、25〜800μmのものが特に好ましい。
【0021】
なお、水不溶性担体は表面に官能基が存在していると、リガンドの固定化に好都合である。官能基としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、サクシニルイミド基、酸無水物基等が挙げられる。なお、架橋剤としてグルタルアルデヒド等を用いてもよい。
【0022】
なお、水不溶性担体としては硬質担体、軟質担体のいずれも用いることができる。体外循環治療用の吸着材としてカラムに充填して使用する際に、担体の強度が弱いと、通液する際に目詰まりを生じる恐れがある。そこで、担体には十分な機械的強度が求められるので、硬質担体であることがより好ましい。
【0023】
このとき、水不溶性担体は、表面積が大きいことが好ましいため、多孔質であることが好ましい。水不溶性担体が、適当な大きさの細孔を多数有する構造が好ましい。また、多孔質の排除限界分子量は、AGEを効率良く吸着するため、AGEの分子量より大きいことが好ましい。なお、排除限界分子量が大きすぎる場合には担体の強度が低下し、かつ表面積が減少するため、排除限界分子量は25万以上500万以下であることがより好ましい。
【0024】
さらに、水不溶性担体が親水性であると、非特異的吸着が比較的少なくて好ましい。水不溶性担体としては、セルロース、キトサン、およびデキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラス等からなる水不溶性担体が挙げられる。市販品としては多孔質セルロース担体であるGCL2000m、エポキシ基で活性化されたポリメタクリルアミドであるオイパーギットC250L、臭化シアン活性化Sepharose等が挙げられる。なお、上述の水不溶性担体はそれぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合してもよい。
【0025】
なお、水不溶性担体の多孔質の構造としては、吸着体の単位体積あたりの吸着能から考えて、表面多孔性よりも全多孔性が好ましい。さらには、空孔容積が20%以上であり、比表面積が3m2/g以上であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の吸着体を有し、前記吸着体が液体の入口、出口を有する容器内に含まれ、かつ前記吸着体が前記容器の外へ流出することを防ぐ防止手段が備えられている糖化最終生成物に親和性を有する吸着装置に関する。
【0027】
このようにすると、吸着装置を体外循環回路に組み込むことができ、患者の体液から効率よくオンラインでAGEを除去することが可能であり、操作も簡単で好ましい。
【0028】
さらに、本発明は、吸着体と接触する液体が、体液、例えば血液、血漿、血清からなる群から選択されることを特徴とする。本発明はまた、哺乳動物対象のAGE介在性疾患、例えば糖尿病、糖尿病性腎症、動脈硬化症、透析アミロイドーシス、腎不全、老化等を処置する方法であって、ここで必要のある哺乳動物対象に由来する体液を、本発明のペプチドまたは吸着体と接触させることを含む方法を提供する。哺乳動物対象は、好ましくはヒト患者であるが、ヒト以外の対象も可能である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、AGEに対して親和性の高いペプチドが得られる。また、AGEに対して親和性を有する化合物がペプチドであるので、高圧蒸気滅菌等を行うことによってAGEへの親和性が低下することを緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、AGEを吸着除去する目的で体外循環を行う際に用いられる吸着カラムの概略断面図である。図1において、吸着カラム7は、血液等の液体の流出口1および流入口2、AGEに対する吸着体3、AGEに対する吸着体3の流出を防止する第1のフィルター4および第2のフィルター5、流出口1および流入口2を有し、AGEに対する吸着体3を封入するカラム6から構成される。カラム6の形状および材質は特に限定はないが、カラム内にAGEに対する吸着体を均一に詰めることができ、また、血液や血漿等の体液を効率よくAGEに対する吸着体と接触させることができるので、カラムの容量が20〜400mL、カラムの直径が2〜10cmである筒状容器が好ましい。
【0031】
AGEに対する吸着体3については、AGEに対して親和性を有するペプチドを水不溶性担体に固定化したペプチド固定化担体を利用することができる。
【0032】
本発明のペプチドまたは吸着体の、AGEに対する吸着能は、例えば以下のように評価する。
(1)カルボキシメチルリジンに対する吸着能の評価
AGE吸着能の評価は、AGEの一種であるカルボキシメチルリジンへの吸着能として評価を行う。本発明のペプチド固定化担体の各50μLに対して、糖尿病患者血清300μLをそれぞれ加えて、37℃で2時間振とうする。上清のカルボキシメチルリジン濃度(Ia)を、抗カルボキシメチルリジン抗体(和光純薬)を用いたELISA法によって求める。同様にして糖尿病患者血清の元のカルボキシメチルリジン濃度(Ib)を求め、次式に従ってペプチド固定化担体によるカルボキシメチルリジン吸着量を評価する。
吸着率(%)={(Ib−Ia)/Ib}x100
本発明のペプチドまたは吸着体は、AGEの一種であるカルボキシメチルリジンに対して十分高い親和性を有し得る。
(2)AGEに対する吸着能の評価
ペプチド固定化担体各50μLに対して、糖尿病患者血清300μLをそれぞれ加えて、37℃で2時間振とうする。上清のAGE濃度を、抗AGE抗体(和光純薬)を用いたELISA法によって求める。同様にして糖尿病患者血清の元のAGE濃度を求め、ペプチド固定化担体によるAGE吸着量を評価する。本発明のペプチドまたは吸着体は、AGEに対して十分高い親和性を有し得る。
(3)ペントシジンに対する吸着能の評価
AGE吸着能の評価は、AGEの一種であるペントシジンへの吸着能として評価を行う。作製されるペプチド固定化担体の各50μLに対して糖尿病患者血清300μLをそれぞれ加えて、37℃で2時間振とうする。上清のペントシジン濃度を、抗ペントシジン抗体(和光純薬)を用いた競合ELISA(Enzyme Linked Immunosorbent Assay)法によって求める(腎と透析(1999年)47巻、868ページ 参照)。同様にして糖尿病患者血清の元のペントシジン濃度を求め、ペプチド固定化担体によるペントシジン吸着量を評価する。
本発明のペプチドまたは吸着体は、ペントシジンに対して十分高い親和性を有し得る。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)臭化シアン(CNBr)活性化Sepharoseによる吸着体の作製
1−1.ペプチドリガンドの合成
アミノ酸配列が、
C−A−Q−N−I−T−A−R−I−G−E−P−L−V−L−K−C−K−G− A−P−K−K−P−P−Q−R−L−E−W−K(配列番号11)
であるペプチドを、Fmoc法にて化学合成した。得られたペプチドは0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解後、高速液体クロマトグラフィーにて逆相カラム(μBondasphere C18;日本ウォーターズ)を用いて精製した。これを以下、ペプチド11という。
【0035】
同様にして、アミノ酸配列が、
C−L−E−W−K−L−E−W−K(配列番号9)
であるペプチドをFmoc法にて化学合成し、精製した。これを以下、ペプチド9という。
【0036】
1−2.ペプチド固定化担体の作製
臭化シアン(CNBr)活性化Sepharose 4B(排除限界分子量約2,000万;アマシャム バイオサイエンス社)1gを少量の1mM塩酸水溶液で15分間膨潤させ、1mM塩酸水溶液、さらにカップリングバッファー(0.5M塩化ナトリウム、0.1M炭酸水素ナトリウム;pH8.3)で洗浄した。カップリングバッファー1mLに、合成したペプチド(ペプチド11および9)を溶解し、上記のように洗浄したCNBr活性化Sepharose 4Bを添加して25℃で2時間反応させた。この操作によって、CNBr基で活性化されたSepharose 4B担体と、ペプチド11および9との間に共有結合が形成される。カップリングバッファーで洗浄後、ブロッキングバッファー(0.1Mトリス−塩酸緩衝液;pH8.0)を添加して、室温で2時間反応した。次に、後処理バッファー1(0.5M塩化ナトリウム、0.1M酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液;pH4.0)、および後処理バッファー2(0.5M塩化ナトリウム、0.1Mトリス−塩酸緩衝液;pH8.0)で交互に3回ずつ洗浄し、AGE吸着体であるペプチド固定化担体(Sepharose 4B−ペプチド11、およびSepharose 4B−ペプチド9)を得た。
【0037】
(実施例2)
GCL2000mによる吸着体の作製
2−1.ペプチドリガンドの合成
アミノ酸配列が、
A−Q−N−I−T−A−R−I−G−E−P−L−V−L−K−C−NH2(配列 番号2)
であるペプチドを、Fmoc法にて化学合成した。なお、ラセミ化を防ぐため、C末端のシステイン(C)のカルボキシル基をアミノ化してアミドとした。得られたペプチドは0.1%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解後、高速液体クロマトグラフィーにて逆相カラム(μBondasphere C18;日本ウォーターズ)を用いて精製した。これを以下、ペプチド2という。
【0038】
同様にして、アミノ酸配列が、
C−R−I−G−E−P−L−V−L−K−C−K−G−A−P−K−K−P−P− Q(配列番号8)
C−K−G−A−P−K−K−P−P−Q−R−L−E−W−K−L−N(配列番号 4)
であるペプチドをFmoc法にて化学合成し、精製した。これらを以下、それぞれペプチド8およびペプチド4という。
【0039】
2−2.セルロース担体の活性化
セルロース系多孔質硬質ゲルであるGCL2000m(排除限界分子量300万;チッソ)90mLに、水90mL、2M水酸化ナトリウム60mLを加え、40℃に予備加温した。ここにエピクロルヒドリン21mLを加え、40℃において1時間攪拌した。反応終了後、ガラスフィルター上において水で十分洗浄し、エポキシ活性化セルロース担体を得た。
【0040】
2−3.ペプチド固定化担体の作製
2−1において合成したペプチド(ペプチド2、ペプチド8、ペプチド4)各0.5mgを0.05Mホウ酸緩衝液(pH10)0.5mLにそれぞれ溶解し、0.01N水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に再調整後、全量を1.0mLとした。このペプチド溶液を、1−2で作製したエポキシ活性化セルロース担体0.4mLにそれぞれ加えて、37℃で16時間振とうした。この操作によって、エポキシ基で活性化されたセルロース担体と、ペプチド2、ペプチド8、ペプチド4との間に共有結合が形成される。反応終了後、十分量のPBS溶液で洗浄し、AGE吸着体であるペプチド固定化担体(GCL2000m−ペプチド2、GCL2000m−ペプチド8、およびGCL2000m−ペプチド4)を得た。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のAGEに対する吸着装置の一実施例における概略断面図
【符号の説明】
【0042】
1 流入口
2 流出口
3 AGEに親和性を有するペプチド
4、5 フィルター
6 カラム
7 吸着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチド;
(ここで、X1=C、K、または欠失
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。ただし、アミノAQNITARIGEPLVLKCKGAPKKPPQRLEWKLNおよびその部分配列を除く。
【請求項2】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17 を含むペプチド;
(ここで、
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失)。ただし、アミノ酸配列AQNITARIGEPLVLKCおよびその部分配列を除く。
【請求項3】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26 を含むペプチド;
(ここで、
X7=C、Kまたは欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失)。ただしアミノ酸配列RIGEPLVLKCKGAPKKPPQおよびその部分配列を除く。
【請求項4】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチド;
(ここで、
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。ただしアミノ酸配列CKGAPKKPPQRLEWKLNおよびその部分配列を除く。
【請求項5】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:X27−[X28−X29−X30−X31]nを含むペプチド;
(ここで、
X27=C、またはK
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、かつ
nは2以上の整数である)。
【請求項6】
糖化最終生成物に親和性を有するペプチドであって、以下のアミノ酸配列:[X28−X29−X30−X31]n−X32からなるペプチド;
(ここで、
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、
X32=C、またはK、かつ
nは2以上の整数である)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドであって、N末端アミノ酸残基に、アセチル基、またはビオチン基が結合したことを特徴とするペプチド。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のペプチドであって、C末端アミノ酸残基にアミノ基が結合したことを特徴とするペプチド。
【請求項9】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、X1=C、K、または欠失
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、S、または欠失
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、かつ
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失
X33=N、Q、D、E、または欠失)。
【請求項10】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X2=A、G、V、L、Iまたは欠失
X3=Q、N、D、Eまたは欠失
X4=N、Q、D、E、または欠失
X5=I、P、G、A、V、L、または欠失
X6=T、W、Y、F、またはS
X7=A、P、G、V、L、I、または欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失)。
【請求項11】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X7−X8−X9−X10−X11−X12−X13−X14―X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X7=C、Kまたは欠失
X8=R、K、または欠失
X9=I、L、G、A、Vまたは欠失
X10=G、L、A、V、Iまたは欠失
X11=E、Q、N、D、または欠失
X12=P、G、A、V、L、I、または欠失
X13=L、G、A、V、I、または欠失
X14=V、L、G、A、I、または欠失
X15=L、G、A、V、I、または欠失
X16=K、R、H、または欠失
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失)。
【請求項12】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X17−X18−X19−X20−X21−X22−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X32−X33 を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X17=C、Kまたは欠失
X18=K、R、H、または欠失)
X19=G、A、V、L、Iまたは欠失
X20=A、G、V、L、Iまたは欠失
X21=P、G、A、V、L、I、C、または欠失
X22=K、R、H、または欠失
X23=K、R、H、または欠失
X24=P、G、A、V、L、I、または欠失
X25=P、G、A、V、L、I、または欠失
X26=Q、N、D、E、または欠失
X27=R、K、H、または欠失
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH
X32=L、G、A、V、I、または欠失、かつ
X33=N、Q、D、E、または欠失)。
【請求項13】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:X27−[X28−X29−X30−X31]nを含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X27=C、またはK
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、かつ
nは2以上の整数である)。
【請求項14】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着体であって、以下のアミノ酸配列:[X28−X29−X30−X31]n−X32を含むペプチドを水不溶性担体に固定化した吸着体;
(ここで、
X28=L、G、A、V、またはI
X29=E、D、N、またはQ
X30=W、Y、F、T、またはS、
X31=K、R、またはH、
X32=C、K、かつ
nは2以上の整数である)。
【請求項15】
請求項9〜14いずれかに記載の吸着体であって、ペプチドのN末端アミノ酸残基に、アセチル基、またはビオチン基が結合したことを特徴とする吸着体。
【請求項16】
請求項9〜14のいずれかに記載の吸着体であって、ペプチドのC末端アミノ酸残基にアミノ基が結合したことを特徴とする吸着体。
【請求項17】
請求項9〜14いずれかに記載の吸着体であって、前記水不溶性担体が多孔質であることを特徴とする吸着体。
【請求項18】
請求項9〜14いずれか記載の吸着体であって、前記水不溶性担体が親水性であることを特徴とする吸着体。
【請求項19】
糖化最終生成物に親和性を有する吸着装置であって、ここで該吸着装置は、請求項9〜18いずれかに記載の吸着体を含み、前記吸着体が液体の入口、出口を有する容器内に含まれ、かつ前記吸着体が前記容器の外へ流出することを防ぐ防止手段が備えられている、吸着装置。
【請求項20】
前記吸着体と接触する液体が、血液、血漿、血清からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の吸着装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−63024(P2006−63024A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248192(P2004−248192)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】