説明

糖尿病の治療又は予防のためのジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としての1,2,4−オキサジアゾール誘導体

本発明は、新規1,2,4−オキサジアゾール誘導体に関する。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、1,2,4−オキサジアゾール誘導体を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療における1,2,4−オキサジアゾール誘導体及び該組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な1,2,4−オキサジアゾール誘導体に関する。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、1,2,4−オキサジアゾール誘導体を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療における1,2,4−オキサジアゾール誘導体及び該組成物の使用も対象とする。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の要因から生じる疾患プロセスであり、絶食状態における、又は経口グルコース負荷試験中のグルコース投与後における、高血漿グルコース濃度又は高血糖を特徴とする。持続的高血糖又は放置されている高血糖は、高い早発罹患率及び死亡率と関連がある。異常なグルコースホメオスタシスは、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、他の代謝病並びに血行力学的疾患と直接的にも間接的にも関連することが多い。従って、2型真性糖尿病患者は、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含めて、大血管及び微小血管の合併症のリスクが特に高い。従って、グルコースホメオスタシス、脂質代謝及び高血圧の治療管理は、真性糖尿病の臨床管理及び治療にきわめて重要である。
【0003】
一般に認められている糖尿病の形態には2つある。1型糖尿病、即ちインスリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンを殆ど又は全く産生しない。2型糖尿病、即ち非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)においては、患者は、非糖尿病性対象と同じか、さらにはそれよりも高い血漿インスリンレベルを有することが多い。しかし、これらの患者は、主要なインスリン感受性組織である、筋肉、肝臓及び脂肪組織において、グルコース及び脂質代謝に対するインスリン刺激効果に抵抗性を示し、血漿インスリンレベルが高くても、明白なインスリン抵抗性を克服するのには不十分である。
【0004】
インスリン抵抗性は、主としてインスリン受容体の数が減少するためではなく、まだ解明されていないポストインスリン受容体結合の欠陥による。インスリン応答性に対するこの抵抗性によって、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵のようなインスリンによる活性化が不十分になり、脂肪組織における脂肪分解のインスリンによる抑制が不適当になり、肝臓におけるグルコース産生及び分泌のインスリンによる抑制が不適当になる。
【0005】
2型糖尿病に対して利用可能な治療は、長年実質的に変わっておらず、限界のあることが認識されている。運動及び食餌カロリーの低減によって糖尿病症状は劇的に改善されるが、殆ど体を動かさない生活様式に浸り、特に飽和脂肪を多量に含む食物を過剰に消費しているために、この治療のコンプライアンスはきわめて低い。すい臓β細胞を刺激してより多量のインスリンを分泌させるスルホニル尿素(例えばトルブタミド及びグリピジド)若しくはメグリチナイドを投与して、及び/又はスルホニル尿素若しくはメグリチナイドが無効になったときにインスリンを注射して、インスリンの血漿中濃度を上昇させることによって、真正のインスリン抵抗性組織を刺激するのに十分高いインスリン濃度を得ることができる。しかし、インスリン又はインスリン分泌促進物質(スルホニル尿素又はメグリチナイド)の投与によって血漿グルコースの危険なほどの低レベルが生じ得、より高い血漿インスリンレベルのために高レベルのインスリン抵抗性が生じ得る。ビグアナイドはインスリン感受性を増大させ、高血糖をある程度改善する。しかしながら、2種類のビグアナイド、即ちフェンホルミンとメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び悪心/下痢を惹起し得る。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用が少なく、2型糖尿病の治療に処方されることが多い。
【0006】
グリタゾン(即ち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の多数の症候を寛解させる可能性がある最新のクラスの化合物である。これらの薬剤は、2型糖尿病の幾つかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感受性を実質的に増大させ、低血糖を起こさずに高い血漿グルコース濃度をある程度又は完全に改善する。現在市販されているグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、主としてPPAR−ガンマサブタイプの作動物質である。PPAR−ガンマアゴニズムは、一般に、グリタゾンによって観察されるインスリン増感化を向上させると考えられる。2型糖尿病の治療用に試験されているより新しいPPAR作動物質は、アルファ、ガンマ若しくはデルタサブタイプ又はこれらの組合せの作動物質であり、多くの場合においてグリタゾンとは化学的に異なる(即ち、これらはチアゾリジンジオンではない)。重大な副作用(例えば、肝臓毒性)がトログリタゾンなどのグリタゾンの一部で発生している。
【0007】
この疾患を治療するさらに別の方法はまだ研究中である。最近導入された、又はまだ開発中の新しい生化学的アプローチとしては、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)及びタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を用いた治療などが挙げられる。
【0008】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(「DP−IV」又は「DPP−IV」)酵素の阻害剤である化合物も、糖尿病、特に2型糖尿病の治療に有用であり得る薬物として研究されている。例えば、国際公開第97/40832号、同98/19998号、米国特許第5,939,560号、Bioorg. Med. Chem. Lett., 6:1163−1166(1996)及びBioorg. Med. Chem. Lett., 6:2745−2748(1996)を参照されたい。2型糖尿病の治療におけるDP−IV阻害剤の有用性は、DP−IVが、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及び胃抑制性ペプチド(GIP)をインビボで容易に不活性化するという事実に基づく。GLP−1及びGIPはインクレチンであり、食物が消費されるときに産生される。インクレチンはインスリンの産生を刺激する。DP−IVが阻害されるとインクレチンの不活性化が低下し、これは、すい臓がインスリン産生を刺激する際のインクレチンの有効性を高めることになる。従って、DP−IVを阻害すると血清インスリンレベルが高くなる。インクレチンは、有利なことに、食物が消費されるときにのみ体によって産生されるので、DP−IV阻害は、食間などの不適な時間にインスリンレベルを上昇させて過度の低血糖(低血糖症)をもたらすとは予想されていない。従って、DP−IVを阻害することによって、インスリン分泌促進物質の使用に伴う危険な副作用である低血糖症のリスクを増大させることなしに、インスリンが増加すると予想される。
【0009】
DP−IV阻害剤は、本明細書で考察するように他の治療上の有用性も有する。DP−IV阻害剤は、特に糖尿病以外の有用性については、これまで大規模に研究されなかった。糖尿病並びに潜在的には他の疾患及び症状の治療に関する改善されたDP−IV阻害剤を見出し得る新しい化合物が求められている。2型糖尿病の治療に対するDP−IV阻害剤の治療上の可能性は、Exp. Opin. Invest. Drugs, 12:87−100(2003)中のD.J. Drucker及びExp. Opin. Ther. Patents, 13:499−510(2003)中のK. Augustyns等に考察されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規な1,2,4−オキサジアゾール誘導体に向けられている。該誘導体は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病などジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用である。本発明は、これら化合物を含む薬剤組成物、並びにジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の予防又は治療における、これら化合物及び該組成物の使用にも向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害剤として有用である1,2,4−オキサジアゾール誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式Iによって示され、又は薬剤として許容されるその塩である。
【0012】
【化12】

【0013】
式中、
各nは独立に0、1又は2であり、
m及びpは各々独立に0又は1であり、
XはCH、S、CHF又はCFであり、
W及びZは各々独立にCH、CHF又はCFであり、
は水素又はシアノであり、
はアリール又はヘテロアリールであり(式中、アリール及びヘテロアリールは、非置換であるか、又は1個〜5個のR置換基で置換されている。)、
は、
水素、
1−10アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されており、
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されており、
及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から各々独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成しており(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換されている)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されており、
各Rは水素又はRである。
【0014】
本発明の化合物の一実施形態においては、*印の付いた炭素原子は、式Iaの立体化学配置を有する。
【0015】
【化13】

【0016】
式中、W、X、Z、m、p、R、R及びRは上記の通りである。
【0017】
本発明の化合物のこの実施形態の一クラスにおいては、Rに結合し、**印の付いた炭素原子は、式Ibの立体化学配置を有する。
【0018】
【化14】

【0019】
式中、W、X、Z、m、p、R、R及びRは上記の通りである。
【0020】
本発明の化合物の第2の実施形態においては、式Icに示す通り、mは1であり、pは0である。
【0021】
【化15】

【0022】
式中、W、X、R、R及びRは上記の通りである。
【0023】
この実施形態の一クラスは、*印の付いた炭素原子及び**印の付いた炭素原子が式Idの立体化学配置を有する化合物を包含する。
【0024】
【化16】

【0025】
式中、W、X、R、R及びRは上記の通りである。
【0026】
本発明のこのクラスの化合物のサブクラスにおいては、Rは水素であり、WはCHであり、XはS、CH、CHF又はCFである。
【0027】
本発明の化合物の第3の実施形態においては、式Ieに示す通り、Rは水素であり、XはCHFであり、m及びpは0である。
【0028】
【化17】

【0029】
式中、R及びRは上記の通りである。
【0030】
この実施形態の一クラスは、*印の付いた炭素原子が式Ifの立体化学配置を有する化合物を包含する。
【0031】
【化18】

【0032】
式中、R及びRは上記の通りである。
【0033】
本発明の化合物の第4の実施形態においては、Igに示す通り、Rは水素であり、m及びpは1である。
【0034】
【化19】

【0035】
式中、W、X、Z、R及びRは上記の通りである。
【0036】
この実施形態の一クラスは、*印の付いた炭素原子が式Ihの立体化学配置を有する化合物を包含する。
【0037】
【化20】

【0038】
式中、W、X、Z、R及びRは上記の通りである。
【0039】
このクラスのサブクラスにおいては、W及びZはCHであり、XはCHF又はCFである。
【0040】
本発明の化合物の第5の実施形態においては、
は、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
2−6アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されている。
【0041】
本発明の化合物のこの実施形態の一クラスにおいては、Rは、
1−3アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
CH−C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、
CONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択される。
【0042】
本発明の第6の実施形態は、構造式Iiの化合物を包含する。
【0043】
【化21】

【0044】
式中、XはCH、S、CHF又はCFであり、
W及びZは各々独立にCH、CHF又はCFであり、
は、非置換アリールであるか、又は1個〜3個のR置換基で置換されたアリールであり、
は、
メチル、
エチル、
プロピル、
2−メチルプロピル、
プロペニル、
CH−シクロプロピル、
CH−(1−メチルシクロプロピル)、
2−ヒドロキシエチル、及び
2,2−ジフルオロプロピル
からなる群から選択され、
各Rは、
ハロゲン、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
SONR
SO
NRSO、及び
ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択される。
【0045】
この実施形態の一クラスにおいては、Rは、
2−(トリフルオロメトキシ)フェニル、
4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、
3,5−ジクロロフェニル、
2,4−ジクロロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,5−ジフルオロフェニル、
2−フルオロフェニル、
4−フルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
4−クロロフェニル、
2−(トリフルオロメチル)フェニル、
3−(トリフルオロメチル)フェニル、
4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−クロロ−4−フルオロフェニル、
2−クロロ−4−ブロモフェニル、
4−(メチルスルホニル)フェニル、
4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル、
4−(アミノスルホニル)フェニル、
4−[シクロプロピルアミノ)スルホニル]フェニル、
4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル、
2−フルオロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−クロロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−フルオロ−4−(アミノスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(アミノスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(テトラゾル−1−イル)フェニル、及び
2−クロロ−4−(テトラゾル−5−イル)フェニル
からなる群から選択される。
【0046】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤として有用である本発明の化合物を例示するための非限定的な例は、以下の化合物、又は薬剤として許容されるその塩である。
【0047】
【化22】



【0048】
本明細書では以下の定義を適用することができる。
【0049】
「アルキル」及びアルコキシ、アルカノイルなどの接頭語「アルク(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を特に定義しない限り、線状でも分枝状でもよい炭素鎖及びその炭素鎖の組合せを意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。指定炭素原子数が例えばC3−10である場合には、アルキルという用語は、シクロアルキル基、及びシクロアルキル構造と結合した線状又は分枝アルキル鎖の組合せも含む。炭素原子数を指定しないときには、C1−6とする。
【0050】
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基は、他に断らない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、他に定義しない限り、飽和である。
【0051】
「アルコキシ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−10アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数[即ち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]の直鎖又は分枝鎖アルコキシドを指す。
【0052】
「アルキルチオ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数[即ち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルフィドを指す。
【0053】
「アルキルアミノ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数[即ち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルアミンを指す。
【0054】
「アルキルスルホニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数[即ち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホンを指す。
【0055】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数[即ち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル]の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖エステルを指す。
【0056】
「アリール」とは、炭素環原子を含む単環又は多環式芳香族環構造を意味する。好ましいアリールは6〜10員の単環式又は二環式芳香族環構造である。フェニル及びナフチルは好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0057】
「複素環」及び「ヘテロシクリル」とは、(さらに硫黄の酸化型、即ちSO及びSOを含めて)O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の非芳香族環又は環構造を意味する。複素環の例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリンなどが挙げられる。
【0058】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む芳香族複素環又は部分芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールは、アリール、シクロアルキル、非芳香族複素環などの他の環に縮合したヘテロアリールも含む。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンズオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリルなどが挙げられる。ヘテロシクリル基及びヘテロアリール基の場合には、1〜3環を形成する3〜15原子を含む環及び環構造が含まれる。
【0059】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。塩素及びフッ素が一般に好ましい。アルキル基又はアルコキシ基上でハロゲンで置換するときにはフッ素が最も好ましい(例えばCFO及びCFCHO)。
【0060】
本発明の化合物は1個以上の不斉中心を含むことができ、従って、ラセミ体及びラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。特に本発明の化合物は、式Ia、Ib、Id、If及びIhにおいて*印の付いた炭素原子並びに式Ib及びIdにおいて*印及び**印の付いた炭素原子に不斉中心を有する。さらに別の不斉中心は、R置換基が結合した炭素原子など、分子上の様々な置換基の性質に応じて存在することができる。かかる各不斉中心は、2種類の光学異性体を独立に生じ、混合物として、また、純粋な化合物又はある程度精製された化合物として、考えられる光学異性体及びジアステレオマーの全てが本発明の範囲内にあるものとする。本発明は、これらの化合物のかかる異性体の全てを包含するものとする。
【0061】
本明細書に記載する化合物の一部はオレフィン二重結合を含み、別段の指定がないかぎり、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0062】
本明細書に記載する化合物の一部は、1個以上の二重結合の移行を伴う異なる水素結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトンとそのエノール形はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は本発明の化合物に包含される。
【0063】
式Iは、好ましい立体化学配置のない化合物クラスの構造である。式Iaは、これらの化合物が調製されるアルファ−アミノ酸のアミノ基が結合した炭素原子における好ましい立体化学配置である。式Ibは、これらの化合物が調製されるアルファ−アミノ酸のアミノ基が結合した炭素原子における、また、R置換基が結合した不斉炭素原子における、好ましい立体化学配置である。
【0064】
これらのジアステレオマー又はそのクロマトグラフィー分離物は、当分野で知られているように、本明細書に開示する方法を適切に改変することによって個別に合成することができる。それらの絶対立体配置は、絶対配置が知られている不斉中心を含む試薬を必要に応じて用いて誘導体化された結晶性生成物又は結晶性中間体のx線結晶学によって決定することができる。
【0065】
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々の鏡像異性体を単離することができる。この分離は、当分野で周知の方法によって実施することができる。例えば、化合物のラセミ混合物を、鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別結晶、クロマトグラフィーなどの標準方法によって個々のジアステレオマーに分離することができる。カップリング反応は、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の形成であることが多い。次いで、ジアステレオマー誘導体は、付加した鏡像異性残基を開裂することによって純粋な鏡像異性体に転化することができる。これらの化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用したクロマトグラフィー法によって直接分離することもできる。これらの方法は当分野で周知である。
【0066】
或いは、化合物の任意の鏡像異性体は、立体配置が既知である光学的に純粋な出発材料又は試薬を用いて、当分野で周知の方法による立体選択的合成によって得ることができる。
【0067】
本明細書では構造式Iの化合物という表記は、薬剤として許容される塩も含み、遊離化合物の前駆体若しくは薬剤として許容されるそれらの塩として使用されるときには、又は他の合成操作においては、薬剤として許容されない塩も含むものとすることを理解されたい。
【0068】
本発明の化合物は、薬剤として許容される塩の形で投与することができる。「薬剤として許容される塩」という用語は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。「薬剤として許容される塩」という用語に包含される塩基化合物の塩とは、その遊離塩基を適切な有機酸又は無機酸と反応させることによって一般に調製される本発明の化合物の無毒の塩を指す。本発明の塩基化合物の代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシナート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、粘液酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩などが挙げられるが、これらだけに限定されない。また、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、薬剤として許容されるその適切な塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含めた無機塩基から誘導される塩などが挙げられるが、これらだけに限定されない。特に好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン、環式アミン、塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。
【0069】
また、本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合には、メチル、エチル、ピバロイルオキシメチルなどのカルボン酸誘導体又は酢酸エステル、マレイン酸エステルなどアルコールのアシル誘導体の薬剤として許容されるエステルを使用することができる。徐放性製剤又はプロドラッグ製剤として使用するために溶解性又は加水分解特性を改変する当分野で公知のエステル基及びアシル基が含まれる。
【0070】
溶媒和化合物、特に、構造式Iの化合物の水和物も本発明に含まれる。
【0071】
本発明は、実施例及び本明細書に開示する化合物を使用することによって例示される。
【0072】
本化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害を必要とする哺乳動物などの患者において、本化合物の有効量を投与することを含む、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害方法に有用である。本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤として本明細書に開示する化合物の使用に向けられていいる。
【0073】
ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を本発明の方法によって治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又は他のウシ科、ヒツジ科、ウマ科、イヌ科、ネコ科、げっ歯類若しくはネズミ種を含めて、ただしこれらだけに限定されない哺乳動物を治療することができる。しかし、本方法は、鳥類(例えば、ヒヨコ)などの他の種においても実施することができる。
【0074】
本発明は、さらに、本発明の化合物と薬剤として許容される担体又は希釈剤とを組み合わせることを含む、ヒト及び動物におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害する医薬品を製造する方法にも向けられている。より具体的には、本発明は、哺乳動物において高血糖、2型糖尿病、肥満及び脂質障害からなる群から選択される症状の治療に使用する医薬品の製造における構造式Iの化合物の使用を対象とする。前記脂質障害は、異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される。
【0075】
本方法における治療対象は、一般に、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害が求められるオス又はメスの哺乳動物、好ましくはヒトである。「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって求められる、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する本化合物の量を意味する。
【0076】
本明細書では「組成物」という用語は、指定成分を指定量で含む生成物及び各指定成分を指定量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。薬剤組成物に関係するかかる用語は、活性成分と担体を構成する不活性成分とを含む生成物並びに任意の2種類以上の成分の組合せ、複合若しくは集合から、又は1種類以上の成分の解離から、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的若しくは間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。従って、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物と薬剤として許容される担体とを混合することによって調製される任意の組成物を包含する。「薬剤として許容される」とは、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合性があり、かつそのレシピエントに無害でなければならないことを意味する。
【0077】
化合物の「投与」及び又は化合物を「投与すること」という用語は、治療を必要とする個体に本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを与えることを意味すると理解すべきである。
【0078】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての本発明による化合物の有用性は、当分野で公知の方法によって実証することができる。阻害定数は次のようにして求められる。DP−IVによって開裂されて蛍光性AMC脱離基を放出する基質Gly−Pro−AMCを用いた連続蛍光定量アッセイを使用する。この反応を記述する動力学的パラメータは、K=50μM、kcat=75s−1、kcat/K=1.5×10−1−1である。典型的な反応は、全反応体積100μl中に酵素約50pM、Gly−Pro−AMC 50μM及び緩衝剤(100mM HEPES、pH7.5、0.1mg/ml BSA)を含む。AMCの遊離を96ウェルプレート蛍光光度計によって励起波長360nm及び発光波長460nmで連続してモニターする。これらの条件下ではAMC約0.8μMが25℃30分で生成する。これらの試験に使用した酵素は、バキュロウイルス発現系(Bac−To−Bac、Gibco BRL)において産生される(膜貫通領域及び細胞質拡張部分(cytoplasmic extension)が除外された)可溶性ヒトタンパク質であった。Gly−Pro−AMC及びGLP−1の加水分解速度定数は未変性の酵素の文献値と一致することが判明した。化合物の解離定数を測定するために、阻害剤のDMSO溶液を酵素と基質を含む反応物に添加した(最終DMSO濃度は1%である。)。全ての実験を、上記標準反応条件を用いて室温で実施した。解離定数(K)を求めるために、競合阻害に対するミカエリス−メンテンの式に非線形回帰することによって反応速度を当てはめた。解離定数の再現誤差は一般に2倍未満である。
【0079】
特に、以下の実施例の化合物は、上述のアッセイにおいてジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害する活性を有し、IC50は一般に約1μM未満であった。かかる結果は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤として使用される本化合物の固有の活性を示している。
【0080】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素(DP−IV)は、広範囲の生物学的機能に関係する細胞表面タンパク質である。これは、広い組織分布(腸、腎臓、肝臓、すい臓、胎盤、胸腺、ひ臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ様及び骨髄細胞、血清)を有し、異なる組織及び細胞タイプ発現レベルを有する。DP−IVはT細胞活性化マーカーCD26と同一であり、多くの免疫調節性ペプチド、内分泌ペプチド及び神経ペプチドをインビトロで開裂することができる。これは、ヒト又は他の種における様々な疾患プロセスにおけるこのペプチダーゼの潜在的役割を示唆している。
【0081】
従って、本化合物は以下の疾患、障害及び症状の予防又は治療方法において有用である。
【0082】
II型糖尿病及び関連障害:インクレチンGLP−1及びGIPがDP−IVによってインビボで急速に不活性化されることは十分に確立されている。DP−IV(−/−)欠損を用いた研究及び予備臨床試験によれば、DP−IV阻害によってGLP−1及びGIPの定常状態濃度が増加し、耐糖能が改善する。GLP−1及びGIPとの類似性から、グルコース調節に関与する他のグルカゴンファミリーペプチド(例えば、PACAP)もDP−IVによって不活性化される可能性がある。DP−IVによるこれらのペプチドの不活性化は、グルコースホメオスタシスにおいてもある役割を果たし得る。従って、本発明のDP−IV阻害剤は、2型糖尿病の治療並びに(代謝症候群としても知られる)X症候群、反応性低血糖及び糖尿病性異脂肪血症を含めて2型糖尿病を伴うことが多い多数の症状の治療及び予防に有用である。以下に考察する肥満は、本発明の化合物による治療に応答し得る2型糖尿病に付随して見られることが多い別の症状である。
【0083】
以下の疾患、障害及び症状は2型糖尿病に関係し、従って本発明の化合物を用いた治療によって治療し、管理し、又はある場合には予防することができる:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)すい炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)並びにインスリン抵抗性が一要素である他の障害。代謝症候群としても知られるX症候群においては、肥満は、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、高血圧及び高い心血管リスクを増進すると考えられる。従って、DP−IV阻害剤は、この症状に付随する高血圧の治療にも有用であり得る。
【0084】
肥満:DP−IV阻害剤は肥満の治療に有用であり得る。これは、食物摂取及び胃内容排出に対して認められたGLP−1及びGLP−2の抑制効果に基づいている。ヒトにおけるGLP−1の外部からの投与は、食物摂取を有意に減少させ、胃内容排出を遅延させる(Am. J. Physiol., 277:R910−R916(1999))。ラット及びマウスにおけるGLP−1のICV投与も食物摂取に対して大きな効果がある(Nature Medicine, 2:1254−1258(1996))。この摂食阻害はGLP−1R(−/−)マウスでは認められない。これは、これらの効果が脳GLP−1受容体によって仲介されることを示唆している。GLP−1との類似性から、GLP−2もDP−IVによって調節される可能性がある。GLP−2のICV投与も、GLP−1で観察された効果と同様に食物摂取を阻害する(Nature Medicine, 6:802−807(2000))。また、DP−IV欠損マウスを用いた研究によれば、これらの動物は食餌誘発性肥満及び関連する病態(例えば、高インスリン血症)に抵抗性がある。
【0085】
成長ホルモン欠乏症:DP−IV阻害は、下垂体前葉からの成長ホルモン放出を刺激するペプチドである成長ホルモン放出因子(GRF)がDP−IV酵素によってインビボで開裂されるという仮説に基づいて、成長ホルモン欠乏症の治療に有用であり得る(国際公開第00/56297号)。以下のデータは、GRFが内因性基質である証拠を提供する。(1)GRFはインビトロで効率的に開裂されて不活性生成物GRF[3−44]を生成する(BBA 1122:147−153(1992))。(2)GRFは血漿中でGRF[3−44]に急速に分解される。これはDP−IV阻害剤diprotin Aによって防止される。(3)GRF[3−44]はヒトGRFトランスジェニックブタの血漿中に存在する(J. Clin. Invest., 83:1533−1540(1989))。従って、DP−IV阻害剤は、成長ホルモン分泌促進物質に対して考えられる同じ範囲の適応症に有用であり得る。
【0086】
腸の傷害:腸の傷害の治療にDP−IV阻害剤を使用できる可能性は、DP−IVの内因性基質候補であるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸管上皮に対して栄養効果を発揮し得ることを示した研究結果から示唆される(Regulatory Peptides, 90:27−32(2000))。GLP−2の投与は、げっ歯類において小腸を大きくし、結腸炎及び腸炎のげっ歯類モデルにおいて腸の傷害を軽減する。
【0087】
免疫抑制:DP−IV阻害は、DP−IV酵素をT細胞活性化及びケモカインプロセシングに関係付ける研究並びにDP−IV阻害剤の効力を疾患のインビボモデルに関係付ける研究に基づいて、免疫応答の調節に有用であり得る。DP−IVは、活性化された免疫細胞の細胞表面マーカーであるCD26と同一であることが判明した。CD26の発現は、免疫細胞の分化及び活性化状態によって調節される。CD26はT細胞活性化のインビトロモデルにおいて同時刺激分子として機能することが一般に受け入れられている。多くのケモカインは、非特異的アミノペプチダーゼによる分解からそれらをおそらく保護するために最後から2番目の位置にプロリンを含む。これらの多くはDP−IVによってインビトロでプロセシングされることが判明している。幾つかの場合(RANTES、LD78−ベータ、MDC、エオタキシン、SDF−1アルファ)においては、開裂は、化学走性及びシグナル伝達アッセイにおける活性を変化させる。受容体選択性も一部の場合(RANTES)には改変されると考えられる。DP−IV加水分解の予測産物を含めて多くのケモカインの複数のN末端開裂型がインビトロでの細胞培養系において同定された。
【0088】
DP−IV阻害剤は、移植及び関節炎の動物モデルにおいて効果的な免疫抑制薬であることが判明した。DP−IVの不可逆的阻害剤であるプロジピン(Pro−Pro−ジフェニル−ホスホナート)は、ラットにおいて7日から14日の心臓同種移植片生着を倍加することが判明した(Transplantation, 63:1495−1500(1997))。DP−IV阻害剤はラットにおけるコラーゲン及びアルキルジアミン誘発性関節炎において試験され、このモデルにおいて後足の膨潤の統計的に有意な低下を示した[Int. J. Immunopharmacology, 19:15−24(1997)及びImmunopharmacology, 40:21−26(1998)]。DP−IVは、リウマチ様関節炎、多発性硬化症、グレーブス病及び橋本甲状腺腫を含めて多くの自己免疫疾患において増加する(Immunology Today, 20:367−375(1999))。
【0089】
HIV感染症:DP−IV阻害は、HIV細胞の侵入を阻止する多くのケモカインがDP−IVの基質候補であるので(Immunology Today 20:367−375(1999))、HIV感染症又はAIDSの治療又は予防に有用であり得る。SDF−1アルファの場合には、開裂は抗ウイルス活性を減少させる(PNAS, 95:6331−6(1998))。従って、DP−IV阻害によるSDF−1アルファの安定化によってHIV感染力が減少すると予想される。
【0090】
造血:DP−IV阻害は、造血に関与し得るので、造血の治療又は予防に有用であり得る。DP−IV阻害剤Val−Boro−Proは、シクロホスファミド誘発性好中球減少症のマウスモデルにおいて造血を刺激した(国際公開第99/56753号)。
【0091】
ニューロン障害:DP−IV阻害は、様々なニューロンプロセスに関係する幾つかのペプチドがDP−IVによってインビトロで開裂されるので、様々なニューロン障害又は精神障害の治療又は予防に有用であり得る。従って、DP−IV阻害剤は、ニューロン障害の治療において治療上の利点を有し得る。エンドモルフィン−2、ベータ−カゾモルフィン及びサブスタンスPは全てDP−IVのインビトロでの基質であることが判明した。いずれの場合においても、インビトロ開裂は効率が高く、kcat/Kは約10−1−1以上である。ラットにおける鎮痛の電撃ジャンプ試験モデルにおいて、DP−IV阻害剤は、外因性エンドモルフィン−2の存在とは無関係に有意な効果を示した(Brain Research, 815:278−286(1999))。DP−IV阻害剤の神経保護効果及び神経再生効果は、この阻害剤が運動ニューロンを興奮毒性細胞死から保護することができ、MPTPと同時に投与したときにドーパミン作動性ニューロンの線条体神経支配を保護することができ、MPTP治療後に治療投与したときに線条体神経支配密度の回復を促進できることでも証明された[Yong−Q. Wu, et al., ”Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl Peptidase−IV In Vitro and In Vivo,” Int. Conf. On Dipeptidyl Aminopeptidases:Basic Science and Clinical Applications, September 26−29,2002(Berlin, Germany)参照]。
【0092】
不安:生来DP−IVを欠くラットは抗不安表現型を有する(国際公開第02/34243号;Karl et al., Physiol. Behav. 2003)。DP−IV欠損マウスもporsolt及び明/暗モデルを用いて抗不安表現型を有する。従って、DP−IV阻害剤は、不安及び関連障害を治療するのに有用であると証明することができる。
【0093】
記憶及び認知:GLP−1作動物質は、During等(Nature Med. 9:1173−1179(2003))によって実証された通り、学習(受動的回避、モリス水迷路)及びニューロン傷害(カイニン酸誘発性ニューロンアポトーシス)の各モデルにおいて有効である。これらの結果は、学習及び神経保護におけるGLP−1の生理学的役割を示唆している。DP−IV阻害剤によるGLP−1の安定化は類似の効果を示すと予想される。
【0094】
腫瘍浸潤及び転移:DP−IV阻害は、DP−IVを含めて幾つかのエクトペプチダーゼ(ectopeptidase)の発現の増加又は減少が正常細胞から悪性表現型への転換中に認められたので(J. Exp. Med., 190:301−305(1999))、腫瘍浸潤及び転移の治療又は予防に有用であり得る。これらのタンパク質の上方制御又は下方制御は、組織及び細胞タイプに特異的であると考えられる。例えば、CD26/DP−IV発現の増加がT細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球性白血病、細胞由来甲状腺癌、基底細胞癌及び乳癌で認められた。従って、DP−IV阻害剤はかかる癌腫の治療に有用であり得る。
【0095】
良性前立腺肥大症:DP−IV阻害は、BPH患者の前立腺組織においてDP−IV活性の増加が認められるので(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 30:333−338(1992))、良性前立腺肥大症の治療に有用であり得る。
【0096】
精子の運動性/オスの避妊:DP−IV阻害は、精液においては精子の運動性に重要な前立腺由来の細胞小器官である前立腺体(prostatosome)がきわめて高いレベルのDP−IV活性を有するので(Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 30:333−338(1992))、精子の変化する運動性及びオスの避妊に有用であり得る。
【0097】
歯肉炎:DP−IV阻害は、DP−IV活性が歯肉溝液において見られ、一部の研究では歯周病の重症度と相関するので(Arch. Oral Biol., 37:167−173(1992))、歯肉炎の治療に有用であり得る。
【0098】
骨粗しょう症:DP−IV阻害は、GIP受容体が骨芽細胞中に存在するので、骨粗しょう症の治療又は予防に有用であり得る。
【0099】
本発明の化合物は、以下の症状又は疾患の1つ以上の治療又は予防に有用である:(1)高血糖、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)すい炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、(25)2型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏、(27)好中球減少、(28)ニューロン障害、(29)腫瘍転移、(30)良性前立腺肥大症、(32)歯肉炎、(33)高血圧、(34)骨粗しょう症並びにDP−IV阻害によって治療又は予防することができる他の症状。
【0100】
本化合物は、さらに、他の薬剤と組み合わせて、上記疾患、障害及び症状の予防又は治療方法に有用である。
【0101】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬物が有用になり得る疾患又は症状の治療、予防、抑制又は寛解に1種類以上の他の薬物と併用することができる。薬物の併用は、各薬物単体よりも安全又は有効である。かかる他の薬物は、そのために一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、かかる他の薬物と式Iの化合物とを含む単位剤形の薬剤組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物と1種類以上の他の薬物とを異なる重複スケジュールで投与する療法も含むことができる。また、1種類以上の他の活性成分と併用するときには、本発明の化合物と他の活性成分とを各々を単体で使用するときよりも低用量で使用することができると考えられる。従って、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含む薬剤組成物を含む。
【0102】
構造式Iの化合物と併用して投与することができ、別個に投与することも、同じ薬剤組成物として投与することもできる他の活性成分の例は、
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(b)(i)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)などのPPARγ作動物質並びにKRP−297、ムラグリタザールなどのPPARα/γ二重作動物質及びフェノフィブリック酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)などのPPARα作動物質を含めた他のPPARリガンド、(ii)メトホルミン、フェンホルミンなどのビグアナイド及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤を含めたインスリン増感剤、
(c)インスリン又はインスリン模倣物、
(d)スルホニル尿素並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びナテグリニド、レパグリニドなどのメグリチナイドなどの他のインスリン分泌促進物質、
(e)(アカルボース、ミグリトールなどの)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(f)国際公開第98/04528号、同99/01423号、同00/39088号及び同00/69810号に開示されたものなどのグルカゴン受容体拮抗物質、
(g)GLP−1、エキセンディン4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、国際公開第00/42026号及び同00/59887号に開示されたものなどのGLP−1模倣物及びGLP−1受容体作動物質、
(h)GIP、国際公開第00/58360号に開示されたものなどのGIP模倣物及びGIP受容体作動物質、
(i)国際公開第01/23420号に開示されたものなどのPACAP、PACAP模倣物及びPACAP受容体作動物質、
(j)(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリック酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)などのPPARα作動物質、(v)KRP−297、ムラグリタザールなどのPPARα/γ二重作動物質、(vi)ベータ−シトステロール、エゼチマイブなどのコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミベ(avasimibe)などのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、(viii)プロブコールなどの抗酸化剤などのコレステロール降下剤、
(k)国際公開第97/28149号に開示されたものなどのPPARδ作動物質、
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はY拮抗物質、CB1受容体逆作動物質及び拮抗物質、β3アドレナリン受容体作動物質、メラノコルチン受容体作動物質、特にメラノコルチン−4受容体作動物質、グレリン拮抗物質、(ボンベシン受容体サブタイプ−3作動物質などの)ボンベシン受容体作動物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などの抗肥満化合物、
(m)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(n)アスピリン、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アザルフィジン、選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤などの炎症用薬剤、
(o)ACE阻害薬(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル(tandolapril))、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬などの血圧降下剤、
(p)グルコキナーゼ活性化物質(GKA)、
(q)グルカゴン受容体拮抗物質、
(r)11β−水酸化ステロイドデヒドロゲナーゼ1型の阻害剤、及び
(s)トルセトラピブなどのコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤
などであるが、これらだけに限定されない。
【0103】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としては、国際公開第02/076450号(2002年10月3日)、国際公開第03/004498号(2003年1月16日)、国際公開第03/004496号(2003年1月16日)、欧州特許第1 258 476号(2002年11月20日)、国際公開第02/083128号(2002年10月24日)、国際公開第02/062764号(2002年8月15日)、国際公開第03/000250号(2003年1月3日)、国際公開第03/002530号(2003年1月9日)、国際公開第03/002531号(2003年1月9日)、国際公開第03/002553号(2003年1月9日)、国際公開第03/002593号(2003年1月9日)、国際公開第03/000180号(2003年1月3日)、国際公開第03/082817号(2003年10月9日)及び国際公開第03/000181号(2003年1月3日)に開示された阻害剤が挙げられる。具体的なDP−IV阻害剤化合物としては、イソロイシンチアゾリジド(isoleucine thiazolidide)(P32/98)、NVP−DPP728、LAF 237などが挙げられる。
【0104】
構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物としては、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY又はY拮抗物質、カンナビノイドCB1受容体拮抗物質又は逆作動物質、メラノコルチン受容体作動物質、特に、メラノコルチン−4受容体作動物質、グレリン拮抗物質、ボンベシン受容体作動物質、メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体拮抗物質などが挙げられる。構造式Iの化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の総説については、S. Chaki et al., ”Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,” Expert Opin. Ther. Patents, 11:1677−1692(2001)、D. Spanswick and K. Lee, ”Emerging antiobesity drugs,” Expert Opin. Emerging Drugs, 8:217−237(2003)及びJ.A. Fernandez−Lopez, et al., ”Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,” Drugs, 62:915−944(2002)を参照されたい。
【0105】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5拮抗物質としては、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及び国際公開第01/14376号(2001年3月1日)に開示された物質、GW 59884A、GW 569180A、LY366377及びCGP−71683Aとして識別される具体的化合物などが挙げられる。
【0106】
式Iの化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1受容体拮抗物質としては、国際公開第03/007887号、リモナバントなどの米国特許第5,624,941号、SLV−319などの国際公開第02/076949号、米国特許第6,028,084号、国際公開第98/41519号、国際公開第00/10968号、国際公開第99/02499号、米国特許第5,532,237号及び米国特許第5,292,736号に開示された物質などが挙げられる。
【0107】
構造式Iの化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体作動物質としては、国際公開第03/009847号(2003年2月6日)、国際公開第02/068388号(2002年9月6日)、国際公開第99/64002号(1999年12月16日)、国際公開第00/74679号(2000年12月14日)、国際公開第01/70708号(2001年9月27日)及び国際公開第01/70337号(2001年9月27日)に開示された物質、J.D. Speake et al., ”Recent advances in the development of melanocortin−4 receptor agonists,” Expert Opin. Ther. Patents, 12:1631−1638(2002)に開示された物質などが挙げられる。
【0108】
糖尿病治療用グルコキナーゼ(GKA)の安全で有効な活性化物質の潜在的有用性は、J. Grimsby et al., ”Allosteric Activators of Glucokinase:Potential Role in Diabetes Therapy,” Science, 301:370−373(2003)に考察されている。
【0109】
本発明の化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、本発明の化合物に加えてかかる他の薬物を含む薬剤組成物が好ましい。従って、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物に加えて1種類以上の他の活性成分も含む薬剤組成物を含む。
【0110】
本発明の化合物と第2の活性成分との重量比は変動し得るものであり、各成分の有効量によって決まる。一般には、各々の有効量を使用する。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と組み合わせるときには、本発明の化合物と他の薬剤の重量比は、一般に約1000:1から約1:1000であり、好ましくは約200:1から約1:200である。本発明の化合物と他の活性成分との組合せも一般に上記範囲内にあるが、各場合において各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0111】
かかる組合せにおいては、本発明の化合物と他の活性薬剤を別々に又は一緒に投与することができる。また、1種の成分の投与は、他の薬剤の投与前、投与と同時、投与後とすることができる。
【0112】
本発明の化合物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射若しくは注入、皮下注射又は移植片)、吸入噴霧、経鼻、経膣、経直腸、舌下又は局所的投与経路で投与することができ、各投与経路に適切な、薬剤として許容される従来の無毒の担体、アジュバント及びビヒクルを含む適切な単位用量製剤中に単独で又は一緒に処方することができる。本発明の化合物は、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの温血動物の治療に加えてヒトにおける使用に有効である。
【0113】
本発明の化合物を投与するための薬剤組成物は、好都合には単位用量の形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。全ての方法は、1種類以上の副成分を構成する担体と活性成分を会合させる段階を含む。一般に、これらの薬剤組成物は、液体担体、微粉担体又はその両方と活性成分を均一かつ十分に会合させ、次いで、必要に応じて、その生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。薬剤組成物においては、活性な目的化合物は、疾患プロセス又は症状に所望の効果をもたらすのに十分な量で含まれる。本明細書では「組成物」という用語は、指定成分を指定量で含む生成物及び各指定成分を指定量で組み合わせて直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0114】
活性成分を含む薬剤組成物は、経口用途、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性若しくは油性懸濁液剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤又はシロップ剤若しくはエリキシル剤に適切な剤形とすることができる。経口用組成物は薬剤組成物製造分野で公知の任意の方法によって調製することができ、かかる組成物は、薬剤的に優れた口当たりの良い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種類以上の薬剤を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適切である、薬剤として許容される無毒の賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとすることができる。錠剤は被覆されていなくてもよく、又は消化管内での崩壊及び吸収を遅らせ、それによって長時間の持続作用をもたらす公知の技術によって被覆することもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を使用することができる。これらは、米国特許第4,256,108号、同4,166,452号及び同4,265,874号に記載の技術によって被覆して、放出を制御する浸透圧治療錠剤(osmotic therapeutic tablet)を形成することもできる。
【0115】
経口製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤又は活性成分が水若しくは油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセル剤とすることができる。
【0116】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の製造に適切な賦形剤と混合された活性材料を含む。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然リン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキサイドと脂肪酸の縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートなど脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、又は脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。水性懸濁液剤は、1種類以上の防腐剤、例えば、エチル又はn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤及びスクロース、サッカリンなどの1種類以上の甘味剤を含むこともできる。
【0117】
油性懸濁液剤は、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油又は流動パラフィンなどの鉱物油中に活性成分を懸濁させることによって調剤することができる。油性懸濁液剤は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含むことができる。上述したものなどの甘味剤、及び香味剤は、口当たりの良い経口製剤を提供するために添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0118】
水を添加することによって水性懸濁液剤を調製するのに適切な分散性散剤及び顆粒剤によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種類以上の防腐剤と混合された活性成分が提供される。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上述のものによって例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤が存在してもよい。
【0119】
本発明の薬剤組成物は水中油型乳剤の形とすることもできる。油層は、植物油、例えばオリーブ油若しくは落花生油、鉱物油、例えば流動パラフィン又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴム又はトラガカントゴム、天然リン脂質、例えばダイズ、レシチン、及び脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。乳剤は甘味剤及び香味剤を含むこともできる。
【0120】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースと一緒に処方することができる。かかる製剤は、粘滑薬、防腐剤、香味剤及び着色剤を含むこともできる。
【0121】
薬剤組成物は、無菌注射用水性又は油脂性懸濁液剤の形とすることができる。この懸濁液剤は、上述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の技術によって処方することができる。無菌注射用製剤は、非経口的に許容される無毒の希釈剤又は溶媒、例えば1,3−ブタンジオール溶液の無菌注射液又は懸濁液とすることもできる。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。また、従来、無菌不揮発性油が溶媒又は分散媒体として使用されている。このため、合成モノ又はジグリセリドを含めてあらゆる無刺激性不揮発性油を使用することができる。また、オレイン酸などの脂肪酸も注射用製剤に使用される。
【0122】
本発明の化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形で投与することもできる。常温では固体であるが直腸温度では液体であり、従って直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって、これらの組成物を調製することができる。かかる物質はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0123】
局所に使用する場合は、本発明の化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、液剤、懸濁液剤などが使用される。(本願では局所適用は洗口及びうがいを含むものとする。)。
【0124】
本発明の薬剤組成物及び方法は、さらに、上述の病的症状の治療に通常適用される、本明細書に記載の他の治療上活性な化合物を含むことができる。
【0125】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害を必要とする症状の治療又は予防においては、適切な投与量レベルは、一般に、約0.01〜500mg/kg患者体重/日であり、これを単一又は複数回投与することができる。投与量レベルは、好ましくは約0.1〜約250mg/kg/日、より好ましくは約0.5〜約100mg/kg/日である。適切な投与量レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日又は約0.1〜50mg/kg/日とすることができる。この範囲内で投与量を0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kg/日とすることができる。経口投与の場合には、本組成物は、治療すべき患者に対する投与量の症候性調節のために、活性成分の1.0〜1000mg、特に活性成分の1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgを含む錠剤の形で好ましくは提供される。本化合物は毎日1回から4回、好ましくは毎日1回又は2回の投与計画で投与することができる。
【0126】
真性糖尿病及び/又は高血糖又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物が指定される他の疾患を治療又は予防するときには、本発明の化合物を約0.1mg〜約100mg/キログラム動物体重の1日用量、好ましくは単回の1日量、又は1日2回〜6回の分割用量、又は徐放製剤で投与するときに一般に満足のいく結果が得られる。殆どの大型哺乳動物の場合、全1日量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人の場合には全1日量は一般に約7mg〜約350mgである。この投与計画は、最適な治療応答を得るために調節することができる。
【0127】
しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的用量レベル及び投与頻度は変わることがあり、使用する具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用期間、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食餌、投与形式及び時間、排出速度、薬物組合せ、特定の症状の重篤度並びに治療を受ける患者を含めて様々な要因に応じて決まることを理解されたい。
【0128】
本発明の化合物は、式IIの中間体などのアルファ−アミノ酸中間体と式IIIの中間体などの置換複素環式中間体とから標準ペプチドカップリング条件を用い、次いで脱保護して調製することができる。
【0129】
【化23】

【0130】
式中、m、p、W、X、Z、R、R及びRは上記の通りであり、Pはtert−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などの適切な窒素保護基である。或いは、式Iの化合物は、中間体(式IVの化合物など)から、N,N−カルボニルジイミダゾールなどの標準的ペプチドカップリング試薬を用いてカルボン酸を活性化し、続いてアミドキシムVと縮合させ、当業者に周知の条件下で環化することによって調製することができる。脱保護すると式1の化合物が得られる。
【0131】
【化24】

【0132】
本発明の化合物を調製する幾つかの方法を以下のスキーム及び実施例に示す。出発材料を、当分野で既知の手順又は本明細書に示す手順に従って作製する。
【0133】
【化25】

【0134】
式IIIの化合物は市販されており、文献公知であり、又は当業者に周知の様々な方法によって好都合に調製することができる。XがCHFであり、W及びZがCHである中間体IIIを調製する1つの好都合な方法をスキーム1に示す。それ自体は文献公知である、又は当業者に周知の様々な方法によって好都合に調製することができる、適切に保護したアルコール1は、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄(DAST)、三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄(16)などのフッ素化試薬で処理すると、脱保護後にフルオロ中間体IIIaを生成する。
【0135】
【化26】

【0136】
XがCFであり、W及びZがCHである中間体IIIを調製する方法をスキーム2に示す。適切に保護したアルコール2を、当業者に既知の様々な方法によって対応するケトン3に酸化する。ケトン3をDASTなどのフッ素化試薬で処理すると、脱保護後にジフルオロ中間体IIIbが生成する。
【0137】
【化27】

【0138】
式IIの化合物は文献公知であり、又は当業者に周知の様々な方法によって好都合に調製することができる。かかる一方法をスキーム3に示す。4などの市販アスパラギン酸誘導体から出発し、エステル化と、それに続く例えばヨードメタンによるアルキル化とによってジエステル中間体が生成する。これを水素化分解条件下で選択的に脱保護して中間体5を得ることができる。式5の中間体とアミドキシムVとをカップリングさせ、続いて加熱条件下で環化してアミドキシム中間体を得る。これを、例えば水酸化リチウムを用いて、鹸化して構造IIの中間体を得ることができる。次いで、中間体IIとIIIを標準ペプチドカップリング条件下で、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドと1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(EDC/HOBT)又はO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートと1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HATU/HOAT)を用いて、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタンなどの溶媒中で周囲温度で3〜48時間カップリングさせてN−保護アミド中間体を得る。中間体IIIを塩酸塩、トリフルオロ酢酸塩などの塩にすることができる場合もあり、その場合には、塩基、一般にN,N−ジイソプロピルエチルアミンをカップリング反応に添加することが好都合である。次いで、保護基を、例えばBocの場合にはトリフルオロ酢酸又はメタノール性塩化水素を用いて除去して、所望のアミンIを得る。生成物は、必要に応じて、再結晶、粉砕、分取薄層クロマトグラフィー、Biotage(登録商標)装置などのシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー又はHPLCによって望ましくない副生物から精製する。HPLCによって精製した化合物は、対応する塩として単離することができる。中間体の精製も同様に実施する。
【0139】
【化28】

【0140】
或いは、本発明の化合物は、スキーム4に示す通り、オキサジアゾールと第三級アミド官能基の導入順序を逆にすることによって調製することもできる。即ち、6などの市販N−保護アスパラギン酸誘導体を、例えばO−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)などの標準的ペプチドカップリング試薬を用いてアミンIIIと反応させて、7などのアミド中間体を形成させることができる。続いて、生成した式7の中間体を1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のリチウム塩、カリウム塩などの強塩基で処理し、続いてヨウ化メチルなどのハロゲン化アルキルと反応させて、式8の中間体を得る。例えば水酸化リチウムで中間体8を鹸化して、式IVの中間体を得る。
【0141】
式8の中間体は、例えば置換基Rを操作することによって、さらに改変できる場合もある。Rは、置換されていてもよいアルケニル基を含む。これらの操作としては、当業者に一般に知られている還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解反応などが挙げられるが、これらだけに限定されない。1つのかかる例においては、スキーム5に示す通りに、例えば臭化アリル、臭化メタリルなどの不飽和ハロゲン化アルキルを用いて、式7の中間体をアルキル化して構造8bの中間体を得ることによって式IVの中間体を調製することができる。接触水素化によって構造9の中間体を得る。これを水酸化リチウムで加水分解してさらに別の式IVの中間体を形成することができる。
【0142】
【化29】

【0143】
或いは、式Iの化合物は、スキーム6に示す通りに、式8の中間体から調製することができる。8bを例えば水酸化リチウムで鹸化して、対応するカルボン酸を得る。これを式Vのアミドキシムとカップリングさせ、続いて加熱条件下で環化して式10のオキサジアゾール中間体を得る。中間体10は、当業者に周知の条件下で、最も好都合にはジアゾメタン及び酢酸パラジウム(II)を用いて、アルケニル側鎖をシクロプロパン化することによってさらに合成することができる。窒素保護基を脱保護すると、本発明の化合物のさらに別の例が得られる。
【0144】
【化30】

【0145】
別の置換基を含む本発明の化合物は、スキーム7に示す経路によって調製することもできる。即ち、Rが水素原子である式10の中間体中のアルケニル側鎖を酸化開裂し、続いて生成カルボン酸をアルコールに還元し、続いて脱保護して、式Iの別の化合物を得る。
【0146】
【化31】

【0147】
【化32】

【0148】
アミドキシムVは、当業者に周知の幾つかの経路によって調製することができる。最も好都合には、ニトリル11とヒドロキシルアミンをメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール性溶媒中で還流温度で3〜48時間反応させてアミドキシム中間体Vを得る。
【0149】
当業者には容易にわかるように、アスパラギン酸由来の出発物質4及び6は、どちらの鏡像異性体でも容易に入手可能なので、上記合成順序は、鏡像異性的に純粋な形の化合物Iを調製するために使用することができる。また、4、7などの中間体のアルキル化は完全に立体選択的ではない場合もあるので、上記合成順序はジアステレオマー生成物の混合物を与える場合もある。この混合物は、必要に応じて、当業者に周知の標準クロマトグラフィー方法によって都合よく分離することができる。
【0150】
上述の反応スキームを実施する順序は、反応を促進し、又は望ましくない反応生成物を回避するために変更し得る場合もある。以下の実施例によって、本発明をさらに理解することができるはずである。これらの実施例は説明のためにのみあり、本発明を限定するものと決して解釈すべきではない。
【0151】
中間体1
【0152】
【化33】

【0153】
(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した22L三口丸底フラスコに(3R)−3−ヒドロキシピロリジン425g(4.88mol)、ジクロロメタン8L及びトリエチルアミン1L(7.17mol)を仕込んだ。溶液を氷浴で5〜10℃に冷却し、次いで反応温度を20℃未満に維持しながらクロロギ酸ベンジル1000g(5.86mol)を約1.5時間にわたって滴下した。反応混合物を氷浴中で追加の時間撹拌し、次いで氷浴を除去し、反応混合物を周囲温度に終夜加温した。この混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液約15Lを含む大きな抽出装置にあけた。水相をジクロロメタン各2Lで2回逆抽出した。混合有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮してオレンジ色のオイルを得た。粗製材料をジクロロメタンにとり、50%酢酸エチル/へキサン中で前充填された5kgのシリカゲルカラムにかけ、50%酢酸エチル/へキサン8L、75%酢酸エチル/へキサン16L、次いで100%酢酸エチル/へキサンで溶出させて黄色オイルの標記化合物を得た。これを静置すると結晶化した。
【0154】
段階B:ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した5L三口丸底フラスコに三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄375mL(2.84mol)及びジクロロメタン400mLを仕込んだ。溶液を−78℃に冷却した。この溶液に、反応温度を−70℃未満に維持しながら、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート304g(1.37mol)の400mLジクロロメタン溶液を添加漏斗から2時間にわたって添加した。反応混合物を撹拌し、周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、氷、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に慎重に分割添加した。混合物を酢酸エチル8Lで抽出した。有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して褐色のオイルを得た。フラッシュクロマトグラフィーによって(シリカゲル、10〜30%酢酸エチル/へキサン勾配で溶出させて)精製すると褐色オイルの標記化合物が生成した。
【0155】
段階C:(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
ベンジル(3S)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート(249g、1.11mmol)をエタノール2.3Lに溶解し、次いで水115mL、続いて炭素担持10%パラジウム30gを添加した。混合物を水素40psi(0.3MPa)下で約24時間振とうした。さらに触媒10g、次いで5gを添加した。混合物を水素40psi(0.3MPa)下で終了するまで撹拌した。混合物をろ過し、ろ過ケーキをエタノールで洗浄した。混合ろ液及び洗浄液を濃塩酸185mLで処理し、濃縮して無色オイルとした。残渣をトルエンと共沸させ、次いでジエチルエーテル2Lを添加した。オイルが結晶化するまでイソプロピルアルコールを添加した。混合物を周囲温度で週末をかけて熟成させた。結晶を収集し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥させて標記化合物を得た。[α]=+8.64(c=4、メタノール)。
【0156】
中間体2
【0157】
【化34】

【0158】
(3R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した22L三口丸底フラスコに、ベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート(中間体1、段階A)422g(1.91mol)、トルエン12L、トリフェニルホスフィン751g(2.86mol)及び氷酢酸164mL(2.86mol)を仕込んだ。生成混合物を周囲温度で撹拌し、次いで冷水浴を用いて内部温度を28℃未満に維持しながらアゾジカルボン酸ジエチル500g(2.87mol)を添加漏斗から約30分間添加した。反応物を周囲温度で終夜撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をジエチルエーテル6Lを用いて粉砕した。固体をろ過除去し、ジエチルエーテルで十分洗浄した。ろ液とエーテル洗液を混合し、濃縮すると、固体を含む濃厚な黄色オイルとなった。フラッシュクロマトグラフィーによって(シリカゲル、5%酢酸エチル/へキサン及び10%〜30%の酢酸エチル/へキサン勾配で順次溶出させて)精製すると淡黄色オイルの標記化合物が生成した。
【0159】
段階B:ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート
ベンジル(3S)−3−アセトキシピロリジン−1−カルボキシラート427g(1.62mol)を含む20L三口丸底フラスコに無水エタノール4L、続いて水酸化カリウム101g(1.57mol)の約400mL水溶液を添加した。約15分後、反応混合物を水8Lに注ぎ、酢酸エチル8Lで抽出した。次いで、水層を追加の酢酸エチル4Lで抽出した。混合有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して濃厚なオイルと固体を得た。
【0160】
段階C:ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート
中間体1、段階Bに概説した手順に基本的に従って、ベンジル(3S)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート366g(1.62mol)を標記化合物に転化した。
【0161】
段階D:(3R)−3−フルオロピロリジン塩酸塩
中間体1、段階Cに概説した手順に基本的に従って、ベンジル(3R)−3−フルオロピロリジン−1−カルボキシラート222g(1.0mol)を標記化合物に転化した。[α]=−8.61(c=4、メタノール)。
【0162】
中間体3
【0163】
【化35】

【0164】
3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
段階A:ベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、凝縮器及び窒素バブラーを装備した12L三口丸底フラスコにベンジル(3R)−3−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシラート(中間体1、段階A)351g(1.61mol)、ジクロロメタン6L、モレキュラーシーブ粉末500g及びN−メチルモルホリン−N−オキシド400g(3.41mol)を仕込んだ。生成した懸濁液を周囲温度で撹拌し、これに過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム12.9g(0.0367mol)を添加した。反応温度を冷水浴を用いて30℃以下に維持した。混合物を周囲温度で2時間撹拌した。混合物をシリカゲル5kgの充填物上に注ぎ、10%酢酸エチル/ジクロロメタンを用いて溶出させてオレンジ色オイルの標記化合物を得た。
【0165】
段階B:ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシラート
機械撹拌機、熱電対、添加漏斗及び窒素バブラーを装備した12L三口丸底フラスコにベンジル3−オキソピロリジン−1−カルボキシラート292g(1.33mol)及びジクロロメタン3Lを仕込んだ。撹拌溶液に、冷水浴を用いて内部温度を25℃未満に維持しながら、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄530mL(4.0mol)を約3時間にわたって周囲温度で滴下した。混合物を周囲温度で終夜撹拌した。混合物を氷及び固体炭酸水素ナトリウムを含む大きな抽出装置に注いだ。次いで、酢酸エチル8リットルを添加し、混合物を炭酸水素ナトリウムを用いて塩基性にした。有機層を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、濃縮して褐色オイル309gとした。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、10%〜20%酢酸エチル/へキサン勾配)によって精製して標記化合物を得た。
【0166】
段階C:3,3−ジフルオロピロリジン塩酸塩
中間体1、段階Cに概説した手順に基本的に従って、ベンジル3,3−ジフルオロピロリジン−1−カルボキシラート242g(1.00mol)を標記化合物に転化した。H NMR(500MHz, CDOD):δ 3.7(t, 2H)、3.6(t, 2H)、2.55(m, 2H)。
【0167】
中間体4
【0168】
【化36】

【0169】
4−フルオロピペリジン塩酸塩
段階A:ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシラート
1L丸底フラスコにベンジル4−オキソ−1−ピペリジンカルボキシラート12.64g(51.4mmol)及びジクロロメタン300mLを仕込んだ。撹拌溶液に三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄19mL(102.8mmol)を添加漏斗から−78℃で約1時間にわたって添加した。反応混合物を周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に慎重に分割添加した。混合物をジクロロメタン(3×300mL)で抽出した。混合有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で1回、10%塩酸で2回及び飽和塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(勾配、へキサンから65%酢酸エチル/へキサン)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0170】
段階B:4−フルオロピペリジン塩酸塩
ベンジル4−フルオロ−1−ピペリジンカルボキシラート(5.5g、23.2mmol)をエタノール80mLに溶解し、炭素担持20%水酸化パラジウム1.0g(乾燥量基準)を混合物に添加した。混合物を水素40psi(0.3MPa)下で約12時間振とうし、次いでセライトパッドによってろ過し、メタノール100mLで洗浄した。混合ろ液及び洗液を1M塩酸のジエチルエーテル溶液60mLで処理し、濃縮してワックス状白色固体とした。この固体を減圧乾燥させて固体の標記化合物を得た。この固体をさらに精製せずに使用した。H NMR(CDCl):δ 4.95(d, J=47.4Hz, 1H)、3.70(br s, 1H)、3.34−3.27(m, 4H)、2.29(dt, J=37.1, 12.3Hz, 2H)、2.16(br s, 2H)。
【0171】
中間体5
【0172】
【化37】

【0173】
3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
段階A:1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン
250mL丸底フラスコに1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン3.0g(12.5mmol)及びジクロロメタン80mLを仕込んだ。撹拌溶液に三フッ化[ビス(2−メトキシエチル)アミノ]硫黄4.6mL(25mmol)を添加漏斗から−78℃で約3時間にわたって添加した。反応混合物を周囲温度に終夜徐々に加温した。反応混合物を、水及び炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を含む大きな抽出装置に(慎重に)分割添加した。混合物をジクロロメタン80mLで3回抽出した。混合有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、水及び飽和塩水で連続洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(勾配、へキサンから80%酢酸エチル/へキサン)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 242.1(M+1)。
【0174】
段階B:3−フルオロアゼチジントリフルオロ酢酸塩
1−ベンズヒドリル−3−フルオロアゼチジン(1.7g、7.04mmol)をエタノール60mL及び炭素担持20%水酸化パラジウム500mg(乾燥量基準)に溶解した。混合物を水素40psi(0.3MPa)下で約12時間振とうした。混合物をセライトパッドに通してろ過し、ろ過ケーキをメタノール100mLで洗浄した。混合洗液をトリフルオロ酢酸10mLで処理し、濃縮して2種類のオイルを得た。そのうち高濃度の方が所望のフルオロアゼチジン塩である。混合物をそれ以上精製しなかった。H NMR(CDCl) δ 5.45−4.30(dm, J=56.7Hz, 1H)、4.46−4.38(m, 2H)、4.24−2.17(m, 2H)。
【0175】
中間体6
【0176】
【化38】

【0177】
2−クロロ−N’−ヒドロキシ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]ベンゼンカルボキシミドアミド
段階A:N−(3−クロロ−4−シアノフェニル)メタンスルホンアミド
4−アミノ−2−クロロベンゾニトリル(5.02g、32.9mmol)のジクロロメタン(80mL)撹拌溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(17.0mL、97.8mmol)及び塩化メタンスルホニル(3.0mL、38.8mmol)を−78℃で添加した。次いで、反応物を室温に徐々に加温した。室温で12時間撹拌後、反応物を1N塩酸でクエンチした。有機相を減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0178】
段階B:2−クロロ−N’−ヒドロキシ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]ベンゼンカルボキシミドアミド
段階Aの生成物(0.13g、0.565mmol)のエタノール(3mL)撹拌溶液にヒドロキシルアミン(50%水溶液、1.0mL)を添加した。反応物を90℃で2時間加熱した。次いで、反応物を濃縮して所望の生成物を得た。
【0179】
中間体7
【0180】
【化39】

【0181】
2−フルオロ−N’−ヒドロキシ−4−(メチルスルホニル)ベンゼンカルボキシミドアミド
段階A:2−フルオロ−1−メトキシ−4−(メチルチオ)ベンゼン
4−ブロモ−2−フルオロアニソール(5.0g、24.4mmol)のTHF(100mL)撹拌溶液にn−ブチルリチウム(23mL、1.6Mへキサン溶液、36.8mmol)を−78℃で添加した。−78℃で1時間撹拌後、二硫化ジメチル(11mL、12.2mmol)を添加し、次いで反応物を室温に徐々に加温した。室温で12時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。残渣を次の段階にそのまま使用した。
【0182】
段階B:2−フルオロ−1−メトキシ−4−(メチルスルホニル)ベンゼン
段階Bの生成物(557mg、3.24mmol)のジクロロメタン(15mL)撹拌溶液にm−クロロ過安息香酸(2.19g、12.7mmol)を添加した。室温で2時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機相を1N水酸化ナトリウム水溶液と塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、75:25へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の化合物を得た。
【0183】
段階C:2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェノール
段階Bの生成物(480mg、2.35mmol)のジクロロメタン(10mL)撹拌溶液に三臭化ホウ素(12.0mL、1.0Mジクロロメタン溶液、12.0mmol)を−78℃で添加した。次いで、反応物を室温に徐々に加温した。室温で12時間撹拌後、反応物を減圧濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の化合物を得た。
【0184】
段階D:2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニルトリフルオロメタンスルホナート
段階Cの生成物(425mg、2.24mmol)のピリジン(8mL)撹拌溶液に無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.5mL、7.02mmol)を0℃で添加した。0℃で3時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸に注いだ。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0185】
段階E:2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)ベンゾニトリル
段階Dの生成物(662mg、2.06mmol)のDMF(8mL)撹拌溶液にシアン化亜鉛(951mg、8.1mmol)を添加し、次いで反応物を80℃で12時間加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、塩水に注いだ。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0186】
段階F:2−フルオロ−N’−ヒドロキシ−4−(メチルスルホニル)ベンゼンカルボキシミドアミド
段階Eの生成物(0.29g、0.144mmol)のエタノール(15mL)撹拌溶液にヒドロキシルアミン(50%水溶液、3.0mL)を添加した。反応物を90℃で3時間加熱した。次いで、反応物を濃縮して所望の生成物を得た。
【0187】
中間体8
【0188】
【化40】

【0189】
2−クロロ−4−メチルスルホニル−N’−ヒドロキシベンゼンカルボキシミドアミド
段階A:2−クロロ−4−(メチルスルホニル)ベンズアミド
2−クロロ−4−メチルスルホニル安息香酸(20g、86mmmol)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(11.5g、100mmol)のジクロロメタン300mL溶液にEDC(19.8g、100mmol)を添加し、生成混合物を室温で8時間撹拌した。次いで、混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液100mLでクエンチし、次いで水200mLで希釈した。次いで混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、有機層を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各100mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製エステルを得た。次いで、このエステルをジオキサン200mLに溶解し、次いで水酸化アンモニウム100mLで処理した。2時間撹拌後、反応混合物を減圧濃縮し、酢酸エチル700mLで希釈し、次いで飽和塩水(2×200mL)で洗浄した。次いで有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して第一級アミドを得た。これをさらに精製せずに使用した。
【0190】
段階B:2−クロロ−4−(メチルスルホニル)ベンゾニトリル
段階Aの第一級アミドの一部(7.97g、34mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド80mL溶液を塩化シアヌール(7.56g、41mmol)で処理し、溶液を室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を水400mLで希釈し、酢酸エチル(4×150mL)で抽出した。次いで、混合有機層を0.5N炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩水(各2×100mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製ニトリルを得た。これをさらに精製せずに使用した。
【0191】
段階C:2−クロロ−4−メチルスルホニル−N’−ヒドロキシベンゼンカルボキシミドアミド
段階Bのニトリルを1:1エタノール/50%ヒドロキシルアミン水溶液100mLに溶解し、次いで12時間加熱還流した。溶媒蒸発後、残渣を酢酸エチル400mLに溶解し、次いで飽和塩水(150mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して標記化合物を得た。これをさらに精製せずに使用した。LC/MS 449.05(M+1)、451.03(M+3)。
【0192】
(実施例1)
【0193】
【化41】

【0194】
1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソヘキシル]ピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階A:メチル(3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−オキソ−4−ピロリジン−1−イルブタノアート
N−BOC−L−アスパラギン酸β−メチルエステル(15.1g、61.0mmol)のDMF(50mL)撹拌溶液にEDC(14.1g、73.7mmol)、HOBT(9.96g、73.7mmol)、ピロリジン(10.2mL、122.4mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(21.0mL、120.8mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機相を1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液及び塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の化合物を得た。
【0195】
段階B:メチル(2S)−2−[(1S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル]ペンタ−4−エノアート
段階Aの生成物(2.05g、6.83mmol)のTHF(30mL)撹拌溶液にカリウムヘキサメチルジシラジド(30.0mL、0.5Mトルエン溶液、15.0mmol)を−78℃で添加した。生成混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いで、臭化アリル(3.0mL、34.7mmol)を添加した。−78℃で2時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(30:70へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物(反応の主要なジアステレオ異性体)を得た。
【0196】
段階C:メチル(2S)−2−{(1S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル}ペンタノアート
段階Bの生成物(1.54g)の酢酸エチル(30mL)撹拌溶液に炭素担持5%パラジウム(298mg)を添加した。反応混合物を水素(1atm(0.1MPa))下で室温で2時間撹拌し、次いでセライトパッドによってろ過し、濃縮して所望の生成物を得た。
【0197】
段階D:(2S)−2−{(1s)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル}ペンタン酸
段階Cの生成物(1.5g)のTHF(30mL)と水(10mL)の撹拌溶液に水酸化リチウム(720mg、30.0mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物を1N塩酸でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮して所望の生成物を得た。
【0198】
段階E:1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソヘキシル]ピロリジン
段階Dの生成物(146.9mg、0.45mmol)のジクロロメタン(5mL)撹拌溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(157.6mg、0.97mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、2,4−ジクロロベンズアミドキシム(318.8mg、1.56mmol)を添加した。室温で2時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を無水硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。次いで、残渣をトルエン10mLに溶解し、110℃で12時間加熱した。トルエンを減圧除去し、次いで残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0199】
段階F:1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソヘキシル]ピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階Eの生成物のジクロロメタン5mL撹拌溶液にトリフルオロ酢酸1mLを添加した。周囲温度で1時間後、溶液を減圧濃縮して所望の生成物を得た。LC/MS 398.9(M+1)。
【0200】
(実施例2)
【0201】
【化42】

【0202】
1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]ピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階A:メチル(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチル−4−オキソ−4−ピロリジン−1−イルブタノアート
実施例1、段階Aの生成物(2.2g、7.33mmol)のTHF(30mL)撹拌溶液にリチウムヘキサメチルジシラジド(16.0mL、1M THF溶液、16.0mmol)を−78℃で添加した。生成混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いで、ヨードメタン(2.8mL、45.0mmol)を添加した。−78℃で2時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(30:70へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物(反応の主要なジアステレオ異性体)を得た。
【0203】
段階B:(2S,3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−メチル−4−オキソ−4−ピロリジン−1−イルブタン酸
段階Aの生成物(0.404g、1.29mmol)のTHF(30mL)と水(10mL)の撹拌溶液に水酸化リチウム(96.0mg、4.0mmol)を添加した。室温で3時間撹拌後、反応物を1N塩酸でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮して所望の生成物を得た。
【0204】
段階C:1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]ピロリジン
段階Bの生成物(132.0mg、0.44mmol)のジクロロメタン(5mL)撹拌溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(148.0mg、0.91mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、2−クロロ−N’−ヒドロキシ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]ベンゼンカルボキシミドアミド(中間体6、145.0mg、0.55mmol)を添加した。室温で2時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。次いで、有機相を無水硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。残渣をトルエン10mLに溶解し、110℃で12時間加熱した。トルエンを減圧除去し、次いで残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30:70へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0205】
段階D:1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]ピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階Cの生成物(7mg)のジクロロメタン5mL撹拌溶液にトリフルオロ酢酸1mLを添加した。周囲温度で1時間後、溶液を減圧濃縮して所望の生成物を得た。LC/MS 430.2(M+1)。
【0206】
(実施例3)
【0207】
【化43】

【0208】
(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−4−シクロプロピル−3−[3−[2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階A:メチル(3S)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−4−オキソブタノアート
N−BOC−L−アスパラギン酸β−メチルエステル(10.04g、40.6mmol)のDMF(50mL)撹拌溶液にEDC(9.42g、49.1mmol)、HOBT(6.60g、48.9mmol)、(3S)−3−フルオロピロリジン塩酸塩(中間体1、7.59g、60.7mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(21.0mL、120.8mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機相を1N塩酸、1N水酸化ナトリウム水溶液及び塩水で順次洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、50:50へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の化合物を得た。
【0209】
段階B:メチル(2S)−2−[(1S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル]ペンタ−4−エノアート
段階Aの生成物(4.51g、14.2mmol)のTHF(150mL)撹拌溶液にカリウムヘキサメチルジシラジド(65.0mL、0.5Mトルエン溶液、32.5.0mmol)を−78℃で添加した。生成混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いで、臭化アリル(6.2mL、71.7mmol)を添加した。−78℃で2時間撹拌後、反応物を塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(30:70へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物(反応の主要なジアステレオ異性体)を得た。
【0210】
段階C:(2S)−2−[(1S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル]アミノ]−2−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル]ペンタ−4−エン酸
段階Bの生成物(1.57g、4.358mmol)のTHF(30mL)と水(20mL)の撹拌溶液に水酸化リチウム(1.2g、50.0mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物を1N塩酸でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を塩水で洗浄し、減圧濃縮して所望の生成物を得た。
【0211】
段階D:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソヘキサ−5−エン−1−イル]−3−フルオロピロリジン
実施例2、段階Cに記載の手順に基本的に従って、標記化合物を段階Cの生成物及び中間体7から調製した。
【0212】
段階E:(3S)−1−[(2S,3S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−4−シクロプロピル−3−[3−[2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]−3−フルオロピロリジン
段階Dの生成物(158mg、0.29mmol)のエーテル(30mL)撹拌溶液にジアゾメタン溶液(40mL、N−メチル−N−ニトロソ尿素2gから調製)及び酢酸パラジウム(59.7mg、0.26mmol)を0℃で添加した。0℃で1時間撹拌後、反応物を酢酸1mLでクエンチした。溶媒を減圧除去し、残渣を分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、30:70へキサン/酢酸エチル)によって精製して所望の生成物を得た。
【0213】
段階F:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−4−シクロプロピル−3−[3−[2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階Eの生成物(85mg)のジクロロメタン5mL撹拌溶液にトリフルオロ酢酸1mLを添加した。周囲温度で1時間後、溶液を減圧濃縮して所望の生成物を得た。LC/MS 450.1(M+1)。
【0214】
(実施例4)
【0215】
【化44】

【0216】
2S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル]−2−シアノピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階A:4−ベンジル1−メチル(3S)−3−メチル−L−アスパルタート
BOC−L−アスパラギン酸4−ベンジルエステル(20g、62mmol)をメタノール300mLに溶解し、0℃に冷却した。トリメチルシリルジアゾメタン(130mL、260mmol、2Mへキサン溶液)を、黄色が持続するまで分割添加した。室温に加温後、溶液を減圧濃縮した。この粗製材料をTHF 225mLに溶解し、カニューレによってカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(433mL、217mmol、0.5Mトルエン溶液)の撹拌溶液に−78℃で添加した。混合物にヨウ化メチル(13.5mL、217mmol)を30分間添加し、得られたスラリーを−78℃で1時間撹拌した。反応物を、塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチした。有機相を分離し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。混合有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。Biotage(登録商標)システムを用いたフラッシュクロマトグラフィー(勾配、へキサンから30%酢酸エチル/へキサン)によって精製して所望の生成物を得た。LC/MS 374.2(M+23)。
【0217】
段階B:1−メチル(3S)−3−メチル−L−アスパルタート
段階Aから得られた化合物(7.3g、21mmol)をメタノール60mLに溶解し、炭素担持20%水酸化パラジウム(乾燥量基準)0.8gを溶液に添加した。反応フラスコに窒素を流し、水素(40psi(0.3MPa))下で3時間撹拌した。次いで、反応混合物をセライトパッドによってろ過し、メタノール100mLで洗浄した。混合ろ液及び洗浄液を減圧濃縮して生成物を得た。これを次の段階にそのまま使用した。LC/MS 284.0(M+23)。
【0218】
段階C:メチル(2S,3S)−2−[(tert−ブチルカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]ブタノアート
段階Bから得られた粗製酸(5.4g、21mmol)のジクロロメタン150mL溶液に中間体8(6.1g、25mmol)及びEDC(7.9g、41mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物をジクロロメタンで希釈し、有機相を水及び飽和塩水で各2回順次洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮して粗生成物を得た。これを、Biotage(登録商標)システム(勾配、40%〜100%酢酸エチル/へキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。次に、純粋な物質をトルエン250mLに溶解し、反応混合物を48時間加熱還流し、室温に冷却した。溶媒を減圧除去し、残渣を、Biotage(登録商標)システム(勾配、20%〜80%酢酸エチル/へキサン)を用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製して純粋な生成物を得た。LC/MS 374.0(M+1−BOC)。
【0219】
段階D:(2S,3S)−2−[(tert−ブチルカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]ブタン酸
段階Cから得られたエステル(1g、2.11mmol)の0℃テトラヒドロフラン:水4:1 50mL撹拌溶液に水酸化リチウム一水和物(0.3g、6.33mmol)の8mL水溶液を添加した。0℃で1時間撹拌後、THFを減圧蒸発させて除去し、2N塩酸10mLを添加した。水溶液を酢酸エチルで3回抽出した。混合有機層を飽和塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮して生成物を得た。これを精製せずに次の段階に使用した。LC/MS 360.0(M+1−BOC)。
【0220】
段階E:1−((2S,3S)−2−[(tert−ブチルカルボニル)アミノ]−3−{3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル}ブタノイル)−L−プロリンアミド
段階Dから得られた粗製酸(0.15g、0.33mmol)のジクロロメタン5mL溶液にL−プロリンアミド(0.057g、0.49mmol)、HOAt(0.090g、0.66mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.17mL、0.99mmol)及びHATU(0.25g、0.66mmol)を添加した。室温で12時間撹拌後、反応物をジクロロメタンで希釈した。有機相を0.5N炭酸水素ナトリウム水溶液で2回及び飽和塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、0.1%TFAを含む10−90%アセトニトリル/水)によって精製して標記化合物を得た。LC/MS 556.2(M+1)。
【0221】
段階F:(2S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソブチル)−2−シアノピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階Eのカップリング生成物(0.129g、0.23mmol)のDMF2mL撹拌溶液に塩化シアヌール(0.052g、0.28mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、反応物を酢酸エチルで希釈した。有機溶液を0.5N炭酸水素ナトリウム水溶液で2回及び飽和塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて脱水し、減圧濃縮した。粗製材料をジクロロメタン4mLとトリフルオロ酢酸4mLに溶解した。反応物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、残渣をHPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、0.1%TFAを含む10−90%アセトニトリル/水)によって精製して標記生成物を得た。LC/MS 438.0(M+1)。
【0222】
(実施例5)
【0223】
【化45】

【0224】
(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−5−ヒドロキシ−1−オキソペンチル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階A:(3S)−1−[(2S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−1−オキソヘキサ−5−エン−1−イル]−3−フルオロピロリジン
実施例3、段階Cに記載の通り調製したジアステレオマー混合物としての2−[(1S)−1−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル]ペンタ−4−エン酸(360mg、1.1mmol)の10:1 ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド11mL溶液に中間体8(572mg、2.3mmol)及びEDC(422mg、2.2mmol)を添加した。生成溶液を室温で48時間撹拌し、次いで濃縮し、酢酸エチル100mLで希釈した。生成混合物を0.5N炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩水(各2×50mL)で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製カップリング生成物を得た。この材料をトルエン20mLとN,N−ジメチルホルムアミド2mLに溶解し、次いで150℃に30時間加熱した。トルエンを蒸発させた後、材料を酢酸エチル100mLで希釈し、次いで飽和塩水(3×50mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。この材料を分取TLC(60%酢酸エチル/へキサン)によって精製して、純粋な生成物をジアステレオマー混合物として得た。LC/MS 457.3(M−Boc+1)、459.3(M−Boc+3)。
【0225】
段階B:(4S)−4−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−5−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−5−オキソペンタン酸
段階Aの生成物(221mg、0.4mmmol)の4:1 tert−ブタノール/水50mL溶液に炭酸カリウム(69mg、0.4mmol)、過ヨウ素酸ナトリウム(870mg、4.0mmol)及び過マンガン酸カリウム(8mg、0.05mmol)を添加した。生成した淡紅色スラリーを室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を亜硫酸水素ナトリウム飽和水溶液10mLでクエンチし、次いで1N塩酸80mLで希釈した。次いで、混合物を酢酸エチル(3×75mL)で抽出し、有機層を1N塩酸及び飽和塩水(各2×50mL)で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製酸を得た。これをさらに精製せずに使用した。LC/MS 575.3(M+1)、577.2(M+3)。
【0226】
段階C:(3S,4S)−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−5−[(3S)−3−フルオロピロリジン−1−イル]−5−オキソペンタン−1−オール
段階Bから得られた酸の0℃テトラヒドロフラン50mL溶液をN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.13mL、0.8mmol)及びクロロギ酸イソブチル(0.1mL、0.8mmol)で処理し、次いで0℃で撹拌した。15分後、混合物に水素化ホウ素ナトリウム(100mg、2.6mmol)、続いてエタノール10mLを添加すると、生成溶液は激しく泡立った。混合物を室温に60分間加温し、次いで1N塩酸100mLで希釈し、次いで酢酸エチル各80mLで3回抽出した。各有機相を混合し、1N塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液及び飽和塩水(各80mL)で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムを用いて脱水し、ろ過し、減圧濃縮して粗製アルコールを得た。この材料を分取TLC(5%メタノール/ジクロロメタン)によって精製して、純粋なアルコールを(3S)ジアステレオマーと(3R)ジアステレオマーの混合物として得た。ジアステレオマー混合物を分取キラルODカラム(80%イソプロパノール/ヘプタン)によって分離して、(分離条件下で最も移動しない)所望の(3S)ジアステレオマーを得た。LC/MS 461.3(M−tBu+1)、463.2(M−tBu+3)。
【0227】
段階D:(3S)−1−[(2S,3S)−2−アミノ−3−[3−[2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾル−5−イル]−5−ヒドロキシ−1−オキソペンチル]−3−フルオロピロリジン、トリフルオロ酢酸塩
段階Cの生成物(50mg、0.089mmol)を1:1トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン10mLに溶解し、60分間撹拌し、次いで濃縮した。粗製材料を逆相HPLC(YMC Pro−C18カラム、勾配溶出、0.1%TFAを含む10〜90%アセトニトリル/水)によって精製して、無色結晶性固体の標記化合物を得た。LC/MS 461.3(M+1)、463.2(M+3)。
【0228】
実施例1〜5に概説した手順に基本的に従って、表1〜3に記載の実施例を調製した。
【0229】
【表1】



【0230】
【表2】

【0231】
【表3】

【0232】
薬剤処方例
経口薬剤組成物の具体的な実施形態として、100mg効力の錠剤は、本発明化合物のいずれか100mg、微結晶セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mg及びステアリン酸マグネシウム4mgで構成される。活性微結晶セルロースとクロスカルメロースを最初に混合する。次いで、混合物をステアリン酸マグネシウムによって潤滑性をもたせ、圧縮成型して錠剤にする。
【0233】
特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者は、手順及びプロトコルの様々な手直し、変更、改変、置換、削除又は追加を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくなし得ることを理解されたい。例えば、本発明の上記化合物による適応症のいずれかについて治療を受ける哺乳動物の応答性は変異し得るので、本明細書に示す特定の投与量以外の有効投与量を適用する場合もある。観察される特異的な薬理学的応答は、選択する特定の活性化合物に応じて、薬剤担体が存在するかどうかによって、また、使用する製剤タイプ及び投与方法に応じて変わることがあり、薬理学的応答におけるかかる予想される変動又は差異も本発明の目的及び実施によって企図される。従って、本発明は以下の特許請求の範囲によって定義され、かかる特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【化1】

(式中、
各nは独立に0、1又は2であり、
m及びpは各々独立に0又は1であり、
XはCH、S、CHF又はCFであり、
W及びZは各々独立にCH、CHF又はCFであり、
は水素又はシアノであり、
はアリール又はヘテロアリールであり(式中、アリール及びヘテロアリールは、非置換であるか、又は1個〜5個のR置換基で置換されている。)、
は、
水素、
1−10アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
2−10アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され(式中、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されている。)、
各Rは、
ハロゲン、
シアノ、
ヒドロキシ、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
(CH−NR
(CH−CONR
(CH−OCONR
(CH−SONR
(CH−SO
(CH−NRSO
(CH−NRCONR
(CH−NRCOR
(CH−NRCO
(CH−COOH、
(CH−COOC1−6アルキル、
(CH−アリール(式中、アリールは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−ヘテロシクリル(式中、ヘテロシクリルは、非置換であるか、又はオキソ、ヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択され、
中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されており、
及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から各々独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成しており(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
各Rは、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換されている)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されており、
各Rは水素又はRである。)
【請求項2】
*印の付いた炭素原子が式Iaの立体化学配置を有する、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
に結合し、**印の付いた炭素原子が、式Ibの立体化学配置を有する、請求項2に記載の化合物。
【化3】

【請求項4】
式Icに示される通り、mが1であり、pが0である、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
*印の付いた炭素原子及び**印の付いた炭素原子が式Idの立体化学配置を有する、請求項4に記載の化合物。
【化5】

【請求項6】
が水素であり、WがCHであり、XがCH、CHF又はCFである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式Ieに示される通り、Rが水素であり、XがCHFであり、m及びpが0である、請求項1に記載の化合物。
【化6】

【請求項8】
*印の付いた炭素原子が式Ifの立体化学配置を有する、請求項7に記載の化合物。
【化7】

【請求項9】
式Igに示される通り、Rが水素であり、m及びpが1である、請求項1に記載の化合物。
【化8】

【請求項10】
*印の付いた炭素原子が式Ihの立体化学配置を有する、請求項9に記載の化合物。
【化9】

【請求項11】
W及びZがCHであり、XがCHF又はCFである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
2−6アルケニル(式中、アルケニルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
(CH−C3−6シクロアルキル(式中、シクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
(CHCOOH、
(CHCOOC1−6アルキル、
(CHCONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択され(式中、R中の任意のメチレン(CH)炭素原子が、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及び(非置換又は1個〜5個のハロゲンで置換された)C1−4アルキルから独立に選択される1個〜2個の基で置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
が、
1−3アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン若しくはヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている。)、
CH−C3−6シクロアルキル、
COOH、
COOC1−6アルキル、
CONR(式中、R及びRは、水素、テトラゾリル、チアゾリル、(CH−フェニル、(CH−C3−6シクロアルキル及びC1−6アルキルからなる群から独立に選択され(式中、アルキルは、非置換であるか、又はハロゲン及びヒドロキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されており、フェニル及びシクロアルキルは、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)、
又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒にアゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルホリンから選択される複素環を形成している(式中、複素環は、非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜5個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)。)
からなる群から選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
構造式Iiである請求項1に記載の化合物。
【化10】

(式中、XはCH、S、CHF又はCFであり、
W及びZは各々独立にCH、CHF又はCFであり、
は、非置換アリールであり、又は1個〜3個のR置換基で置換されたアリールであり、
は、
メチル、
エチル、
プロピル、
2−メチルプロピル、
プロペニル、
CH−シクロプロピル、
CH−(1−メチルシクロプロピル)、
2−ヒドロキシエチル、及び
2,2−ジフルオロプロピル
からなる群から選択され、
各Rは、
ハロゲン、
1−6アルキル(式中、アルキルは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
1−6アルコキシ(式中、アルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)、
SONR
SO
NRSO、及び
ヘテロアリール(式中、ヘテロアリールは、非置換であるか、又はヒドロキシ、ハロゲン、COH、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されている(式中、アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、又は1個〜5個のハロゲンで置換されている。)。)
からなる群から独立に選択される。)
【請求項15】
が、
2−(トリフルオロメトキシ)フェニル、
4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、
3,5−ジクロロフェニル、
2,4−ジクロロフェニル、
2,4−ジフルオロフェニル、
3,5−ジフルオロフェニル、
2−フルオロフェニル、
4−フルオロフェニル、
2−クロロフェニル、
4−クロロフェニル、
2−(トリフルオロメチル)フェニル、
3−(トリフルオロメチル)フェニル、
4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、
2−クロロ−4−フルオロフェニル、
2−クロロ−4−ブロモフェニル、
4−(メチルスルホニル)フェニル、
4−[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル、
4−(アミノスルホニル)フェニル、
4−[シクロプロピルアミノ)スルホニル]フェニル、
4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−フルオロ−4−(メチルスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(メチルスルホニル)フェニル、
2−フルオロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−クロロ−4−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル、
2−フルオロ−4−(アミノスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(アミノスルホニル)フェニル、
2−クロロ−4−(テトラゾル−1−イル)フェニル、及び
2−クロロ−4−(テトラゾル−5−イル)フェニル
からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
【化11】


からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項18】
哺乳動物において高血糖、2型糖尿病、肥満及び脂質障害からなる群から選択される症状の治療に使用する医薬品の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記脂質障害が、異脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項18に記載の使用。

【公表番号】特表2007−536234(P2007−536234A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511466(P2007−511466)
【出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/015133
【国際公開番号】WO2005/108382
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】