糖尿病性創傷の治癒
本発明は、糖尿病に関連する創傷の治癒を亢進する方法を提供し、治療を要する対象に対し有効な量の1つ以上の特定のヒドロキシルアミン誘導体を投与することを含む。また、本発明は、特定のヒドロキシルアミン誘導体又はそれらの医薬として許容される塩を、任意的に1つ以上の追加的な治療剤と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。特定の組成物及び方法において、前記追加的な治療剤は、第二のヒドロキシルアミン誘導体又はその医薬として許容される塩である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により援用される2007年5月4日に出願された米国出願第60/927,603号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
米国の人口の6.3%である1820万人が糖尿病に罹患しており、毎年130万人が新たに糖尿病と診断されている。病的な代謝条件に加え、糖尿病は、創傷治癒の低下のため、非外傷性肢切断の主要な原因の一つである。
【0003】
治癒に対する糖尿病の影響は様々であり、多因子性であり、複雑であり、及び相互関連しており、そしてその障害の根底の機構は、不明な部分が多い。糖尿病において、炎症、肉芽形成(granulation)、組織形成、上皮再形成、血管形成、及びリンパ管形成等の、創傷治癒の相における多くの過程が損なわれる(Falanga, V, Lancet 2005, 366: 1736-1743)。糖尿病患者における創傷治癒の低下に寄与するもう一つの因子は、循環の阻害である。ストレプトゾトシン(STZ)処理により再現された1型糖尿病モデルマウス対象は、血圧により誘導される血管拡張が阻害された。従って、内皮機能不全も、糖尿病性潰瘍の形成及び/又は治癒の阻害の根底をなす因子の一員とみなされる(Sigaudo-Roussel et al, Diabetes 53 : 1564-1569, 2004)。更に、通常の創傷治癒における場合と比較して不十分な血管形成が部分的な原因である微小循環の阻害が、創傷治癒の阻害に寄与し得る。恐らくそのために、血管形成を推進する増殖因子及び薬剤が、糖尿病性創傷治癒を補助することが報告されている。例えば、Saaristo et al. , Am. J. Pathol. 2006, 169 : 1080-1087は、血管内皮増殖因子が糖尿病マウスモデル系における創傷治癒を改善したことを報告した。
【0004】
また、糖尿病性創傷は、炎症性細胞の機能の阻害、サイトカイン/増殖因子の分泌の低下、及び炎症相の延長により特徴付けられる(Wetzler, C. et al, J. Invest. Dermatol. 2000, 115:245-253)。
【0005】
足部潰瘍等の糖尿病性創傷のもう一の相様は、その神経障害である。これらの組織は、通常の神経支配を欠損しており、そして、糖尿病の直接の効果とは別に、神経の麻痺した組織が創傷治癒の阻害を被るという証拠が存在する(Smith, P.G. and Liu, M., Cell Tissue Res. 2002 Mar;307(3):281-91 Epub 2002 Feb 5)。神経成長因子等の増殖因子による処置は、創傷治癒を促進する手段であると提案されている。
【0006】
これらの幾つかの生物学的知見は糖尿病患者の治療において助けとなり得るが、例えば安定性、調製物のバッチ間一定性、又は大量入手可能性等に関して問題が無いとは言えない。故に、創傷治癒を亢進するのに有用な小分子の需要が存在する。更に、創傷治癒の阻害を含む糖尿病に伴う多発性症状の因果関係が未だに不明であり、そしてある因子が全体として創傷治癒に対して甚だしく顕著であり得るかが不明であるため、創傷を治癒する処置の方法が強く望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、治療を要する、即ち、例えば糖尿病に伴う足部潰瘍等の進行性の創傷を受けた対象に、効果的な量の1つ以上の特定のヒドロキシルアミン誘導体を投与することを含む、糖尿病に伴う創傷の治癒を亢進する方法を提供する。本発明の方法の実施に有用な特定のヒドロキシルアミン誘導体は、基本的に限定するものではないが、米国特許第5,147,879号、米国特許第6,143,741号、米国特許第6,653,326号、米国特許第6,649,628号、米国特許第6,384,029号、米国特許第5,328,906号、米国特許第5,296,606号、米国特許第5,919,796号、米国特許第6,002,002号、米国特許第6,180,787号、米国特許第6,384,029、及び米国特許公開公報第2005/0043295号において既に記載されているものを含む。
【0008】
本発明の方法における使用のために好ましい化合物は、
N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル) プロポキシ]-3 ピリジン-カルボキシイミドイル塩化物(ビモクロモル(bimoclomol))、
【0009】
【化1】
【0010】
N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル(arimoclomol))、
【0011】
【化2】
【0012】
5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン(iroxanadine))、
【0013】
【化3】
【0014】
及び、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ]2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物(化合物1(Compound 1))
【0015】
【化4】
である。
【0016】
である。
【0017】
上記化合物のいずれかの構造は、幾何異性体(即ち、E、Z)及び光学活性異性体(即ち、R、S)を含む、その化合物の全ての立体化学的形態を含むことが意図される。本化合物の単独の立体化学異性体の他に鏡像異性体及びジアステレオマーの混合物も、本発明の範囲内にある。特に断りの無い限り、下に描かれている式は、1つ以上の同位体標識された原子が存在する点のみが異なる化合物、及び先述したもののいずれの医薬として許容される塩の全てをも含むことが意図されている。
【0018】
上記化合物のいずれも、単独で、又は組み合わせられて、並びに糖尿病及び糖尿病に伴って発生する病態を処置するための1つ以上の追加的な治療剤と組み合わせられて使用され得る。好ましい追加的な治療剤が供給される。
【0019】
より一般的には、本発明の方法のある態様は、式(I)又は式(II):
【0020】
【化5】
【0021】
[式中、
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリールにおいて及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール部分であり;
Zは共有結合、酸素又はNR3であり;
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、又はアリールにおいて及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルであり;
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
Xは、式(I)においてはハロゲン若しくは置換されたヒドロキシ、又はアミノ、一置換されたアミノ若しくは二置換されたアミノ基であり、式(II)においては酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり;
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール及び/又はアルキル部分を有するアラルキル、アシル、又は置換されたアシル基である]
で表される化合物、それらの医薬として許容される塩、又はそれらの水和物を含む医薬組成物を使用することによっても実施され得る。
【0022】
特定の態様において、本発明の方法は、1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体と組み合わせて1つ以上の追加的な治療剤を投与することを含む。好ましい態様において、前記方法は、アリモクロモルとイロキサナジンとの組合せを投与することを含む。もう一つの態様において、前記追加的な治療剤は、糖尿病に伴う症状を緩和する薬剤又は糖尿病性創傷から生ずる合併症を処置若しくは防止する薬剤である。具体的な態様において、前記追加的な治療剤は、抗炎症剤、抗生物質、抗真菌剤、抗細菌剤、成長因子、ホルモン、及び神経保護薬から選択される。
【0023】
また、本発明は、糖尿病性創傷の治療のための本発明に係る1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体を含む、そして任意的に、追加的な治療剤又は薬剤を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
特定の好ましい態様によると、本発明に係る医薬組成物は、当業者に知られ、及び許容される治療的環境下で、経口投与、局所投与、非経口投与、腹腔内投与、膣内投与、直腸内投与、又は任意の他の所望の投与経路により投与される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】実験タイムコースにかけてのマウスの体重の変化を示す。パネルAは、ホモ接合糖尿病マウスにおけるデータを示し、そしてパネルBはヘテロ接合、無症候マウスに置けるデータを示す。
【0026】
【図1B】実験タイムコースにかけてのマウスの体重の変化を示す。パネルAは、ホモ接合糖尿病マウスにおけるデータを示し、そしてパネルBはヘテロ接合、無症候マウスに置けるデータを示す。
【0027】
【図2A】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0028】
【図2B】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0029】
【図2C】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0030】
【図2D】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0031】
【図2E】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0032】
【図2F】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0033】
【図3A】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0034】
【図3B】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0035】
【図3C】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0036】
【図3D】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0037】
【図3E】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0038】
【図3F】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0039】
【図3G】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0040】
【図3H】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0041】
【図3I】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0042】
【図4A】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0043】
【図4B】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0044】
【図4C】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0045】
【図5A】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0046】
【図5B】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0047】
【図5C】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0048】
【図5D】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0049】
【図5E】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0050】
【図5F】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0051】
【図6】期間中(0〜20日)10mg/kg IPのイロキサナジンを1日2回全身投与したマウスとコントロールビヒクルを投与したマウスとの創傷治癒データを比較したものを表す。
【0052】
【図7】アリモクロモル(4%w/v水溶液、カルボキシメチルセルロースと共に)の局所投与を受けたマウスの創傷治癒データを示す。
【0053】
発明の詳細な説明
1.定義
便宜のため、本明細書、実施例、及び添付した態様において採用された特定の用語をここに集める。特段定義されていない限り、本明細書中で使用される技術及び学術用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるのと同一の意味を有する。
【0054】
「ある(a)」及び「ある(an)」という冠詞は、1つ以上(即ち少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の目的語を指すものとして本明細書中で使用される。例えば、「ある要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0055】
「含む(including)」という用語は、「限定的ではないが含む」という句と相互置換が可能なものとして本明細書中で使用される。
【0056】
「又は(or)」という用語は、本明細書中で、特に前後において明確に示していない限り、「及び/又は(and/or)」という用語を意味するものとして使用され、及びこれと相互置換が可能なものとして使用される。
【0057】
「〜等(such as)」という用語は、本明細書中で、「限定的ではないが〜等」という句を意味するものとして使用され、及びこれと相互置換が可能なものとして使用される。
【0058】
「障害(disorders)」及び「疾患(diseases)」という用語は包括的に使用され、そして身体の任意の部分、器官若しくは系(又はそれらの任意の組み合わせ)の、通常の構造又は機能からの任意の逸脱を指す。特定の疾患は、生物学的、化学的及び物理的な変化を含む特異的な症状及び兆候により明らかになり、そしてしばしば限定的ではないが、人口統計学的、環境的、職業的、遺伝的、及び病歴的要因を含む、様々な他の要因と関連する。特定の特異的な兆候、症状、及び関連する要素は、重要な診断情報を取得する様々な方法を通じて定量化され得る。
【0059】
「予防的な」又は「治療的な」処置という用語は、1つ以上の本発明に係る組成物を対象に投与することを指す。望ましくない状態の所見(例えば、宿主動物の症状又は他の望ましくない病態)に先立ち投与されるとき、その処置は予防的、即ち宿主動物において望ましくない状態が発症するのを防止、即ち防御するのに寄与するものである。一方、望ましくない状態の所見の後に投与されるとき、その処置は治療的である(即ち、望ましくない状態又はその副次的な影響の減退、改善、又は進行の防止を意図する)。
【0060】
「治療的効果」という用語は、動物において、具体的には哺乳類において、より具体的にはヒトにおいて、医薬活性物質(単数又は複数)により引き起こされる、局所的又は全身的な効果を指す。故に、前記用語は、疾患の診断、治癒、軽減、治療若しくは防止において、又は動物若しくはヒトの望ましい物理的若しくは精神的発達及び状態の亢進において使用されることが意図される。「治療的に有効な量」という句は、任意の処置に適用され得る合理的な利益/リスク比において、一定の局所的又は全身的効果をもたらすような物質の量を意味する。特定の態様において、ある化合物の治療的に有効な量は、その治療指数、溶解度、及びそれらに類するものに依存しうる。例えば、本発明に係る方法により見出された特定の化合物は、そのような処置に適用され得る合理的な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与され得る。
【0061】
「有効な量」という用語は、少なくとも1つの望ましい結果をもたらすのに適切な投与量及び投与計画で対象に投与されるときの治療剤の量を指す。
【0062】
本発明に係る方法により処置されるべき「対象」又は「患者」は、ヒト又はヒト以外の動物のいずれを意味し得て、好ましくは哺乳動物である。
【0063】
「ある障害を処置する必要がある対象」という用語は、その障害、指示的な症状、若しくはその障害に関連する代理マーカーを有すると診断された、又はその障害を有すると疑われる対象である。
【0064】
本明細書全体にかけて、「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等の変体は、言及される整数又は複数の整数の群を含むが、他のいずれの整数又は複数の整数の群を排除しないことを暗示すると理解され得る。
【0065】
「アルキル」という用語は、1〜21個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。「短鎖アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を指す。短鎖アルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル基を含む。好ましくは、前記短鎖アルキルは、1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、及びヘキシル基からなる群から選択される。「長鎖アルキル」は、9〜21個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。長鎖アルキル基の例には、限定されないが、ノニル、で知る、生んで知る、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、及びヘンエイコシル(heneicosyl)基が含まれる。好ましくは、前記長鎖アルキルは、9〜17個の炭素原子を含み、そしてノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、及びヘプタデシル基からなる群から選択される。
【0066】
「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含む、単環式の、非芳香族の、炭化水素環系(ring system)を指す。「短シクロアルキル(Short cycloalkyl)鎖」は、3〜8個の炭素原子を含むシクロアルキル基を指す。例としては、限定的ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が含まれる。好ましくは、前記シクロアルキル基は、3〜7個の炭素原子を含み、そしてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルからなる群から選択される。
【0067】
「アリール」という用語は、6、10、12、又は14個の炭素原子を含む単環式又は多環式環系であり、その環系の少なくとも1つの環が芳香族であるものを指す。アリール環系の例は、限定されないが、フェニル、ナフチル、ペンタレニル、アントラセニル基を含む。好ましくは、前記アリール基は、フェニル又はナフチル基である。
【0068】
「アラルキル」という用語は、アルキル基の1つ以上の水素原子が1つ以上のアリール基(radical)で置換されたアルキル基を指す。アルキル基の例は、限定されないが、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、1-フェニル-エチル、2-フェニルエチル、2-ベンズヒドリル-エチル、3-フェニルプロピル、1-メチル-2-フェニル-エチル、1-フェニルブチル、4-トリチルブチル、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、及び6-フェニルへキシル基を含む。好ましくは、前記アラルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、フェニル基で置換された低級アルキル基である。好ましいアラルキル基は、限定されないが、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、及び1-メチル-2-フェニルエチル基を含む。
【0069】
「複素環式」という用語は、1〜15個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子を含み、任意的に不飽和結合を含むが芳香族ではない単環系を指す。ヘテロ原子は、独立して硫黄、窒素、又は酸素である。例としては、限定されないが、アジリジニル-、アゼチニジル-、オキサジラニル-、ピロリジニル-、イミダゾリジニル-、ピラゾリジニル-、ペルヒドロ-チアゾリル-、ペルヒドロ-イソキサゾリル-、ピペリジニル-、ピペラジニル-、ペルヒドロ-ピリミジニル-、ペルヒドロ-ピリダジニル-、モルホリニル-、ペルヒドロ-1H-アゼピニル、オキサゾリル、及びイソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル-等)が含まれる。好ましくは、前記複素環は3〜8員環系である。より好ましくは、前記前記複素環は、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む、5〜6員環である。
【0070】
「ヘテロアリール」という用語は、1〜15個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子を含む単環系又は多環系であり、それらの環系の少なくとも1つが芳香族であるものを指す。ヘテロ原子は、硫黄、窒素、又は酸素である。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、不飽和の3〜8員環である。より好ましくは、前記ヘテロアリール環は、5〜6員環の、1〜4個のNを含有する不飽和単環式複素環基である。例としては、限定されないが、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル基及びそのN-オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、並びにジヒドロトリアジニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1〜5個のN原子を含む多環式環である。例としては、限定されないが、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イドキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリジル、テトラゾロピリダジニル、及びジヒドロ-トリアゾロピリダジニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、不飽和環、1〜2個の酸素原子、及び1〜3個のN原子を含む多環式環である。例としては、限定されないが、ヘンゾキサゾリル及びベンゾキサジアゾリルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個のN原子を含む単環式の3〜8員環であり、より好ましくは5〜6員環である。例としては、限定されないが、チアゾリル、1,2-チアゾリル、チアゾリニル、及びチアジアゾリルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1個の硫黄原子又は1個の酸素原子を含む、3〜8員の、より好ましくは5〜6員の単環式環である。例としては、限定されないが、チエニル及びフラニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリールは、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む二環式環である。例としては、限定されないが、ベンゾチアゾリル及びベンゾチアジアゾリルが含まれる。
【0071】
「アシル」基という用語は、短鎖アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、短鎖アルコキシ-カルボニル(例えば、メトキシ-カルボニル、エトキシ-カルボニル、プロポキシ-カルボニル、ブトキシ-カルボニル、tert-ブトキシ-カルボニル等)、短鎖アルキル-スルホニル(例えば、メチル-スルホニル、エチル-スルホニル等)、アリール-スルホニル(例えば、フェニル-スルホニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等)、アリール-(短鎖アルカノイル)(例えば、フェニル-アセチル、フェニル-プロピオニル等)、シクロ-(短鎖アルキル)-(短鎖アルカノイル)(例えば、シクロヘキシル-アセチル等)、アリール-(短鎖アルコキシ)-カルボニル(例えば、ベンジルオキシ-カルボニル等)、アリール-カルバモイル(例えば、フェニル-カルバモイル、ナフチルカルバモイル等)、シクロアルキル-カルバモイル(例えば、シクロヘキシル-カルバモイル等)、ヘテロ-単環式スルホニル(例えば、チエニル-スルホニル、フリル-スルホニル等)であり得るアシル基を指す。アシル基は、上記のような1〜3個の置換基で任意的に置換され得る。
【0072】
「末端アミノ-アルキル(terminal amino-alkyl)」基という用語は、そのアルキル鎖の末端の位置において置換されたN原子を含み、その位置において、アルキル鎖が任意的に1つ以上の置換基で、好ましくは1つ以上のハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、ヒドロキシル基又はアシル化ヒドロキシル基で置換された、短鎖アルキル基である。好ましくは、1つ又は2つの短鎖アルキル基と、前記「アルキル」の定義は、上記のものと同様である。アルキル鎖のω-位におけるN原子は、1つ又は2つの短鎖アルキル置換基、好ましくはメチル-、エチル-、tert-ブチル等で、シクロアルキルカルバモイル-(例えば、シクロヘキシル-カルバモイル-等)で置換され得る。好ましくは、前記N分子は、1〜4個の窒素原子を含む飽和複素環基の部分であり得て、そしてアジリジニル、アゼチジニル、オキサジラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ペルヒドロ-チアゾリル、ペルヒドロ-イソキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、ペルヒドロ-ピリミジニル、ペルヒドロ-ピリダジニル、モルホリニル、及びペルヒドロ-1H-アゼピニルからなる群から選択される。前記ω-位におけるN原子は、アリール基(例えば、フェニル等)で置換され得て、そして短鎖アルキル置換基により第四級化(quaternarize)し、又は更に酸化し得る。
【0073】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、又はIを指す。
【0074】
「任意的に置換された」アリール又はアルキルという用語は、1つ以上の置換基を有するアリール-又はアルキル基を指す。置換基の例としては、限定されないが、シアノ、ヒドロキシル、短鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等)、短鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチロキシ、tert-ペンチロキシ、へキシロキシ等)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル等)、ニトロ、アミノ、モノ-(短鎖アルキル)-置換アミノ(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル)-アミノ等、ジ-(短鎖アルキル)-置換アミノ(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ等)、モノハロゲン、ジハロゲン、若しくはトリハロゲン(短鎖)-アルキル(例えば、クロロメチル、2,2-ジクロロエチル、トリフルオロメチル等)、又はハロゲン原子(例えば、フルオロ-、クロロ-、ブロモ-、及びヨウ素分子)が含まれる。
【0075】
「吸収可能である(bioavailable)」という用語は、少なくとも一定の量の特定の化合物が体循環中に存在していることを意味する。経口的な吸収可能性の正式な計算は、F値("Fundamentals of Clinical Pharmacokinetics," John G. Wegner, Drug Intelligence Publications; Hamilton, 111. 1975)の観点から記述される。F値は、静脈注射後の体循環(例えば血漿)中の親薬物の濃度と、静脈内の経路ではない投与後の体循環中の親薬物の濃度との比率から求められる。故に、本発明の範囲内にある経口吸収可能性は、静脈内投与と比較された、経口投与後の血漿中で検出され得る親薬物の量の比率又はF値を意図する。
【0076】
「処置する(treating)」又は「処置(treatment)」という用語は、哺乳類、特にヒトにおける病態、疾患若しくは障害の少なくとも症状の面における緩和若しくは軽減、又は病態、疾患若しくは障害に関連した確認可能な測定の改善を意味することが意図される。
【0077】
「医薬として許容される誘導体」という用語は、レシピエントに対する投与に応じて、本発明に係る化合物、又はその代謝物若しくは残留物(residue)を提供し得る、本発明に係る化合物の医薬として許容される任意の塩、エステル、又はそのようなエステルの塩、又は他の関連する任意の化合物を指す。
【0078】
2.態様
本発明は、処置を要する対象、即ち、例えば足部潰瘍等の糖尿病に併発する創傷が発生した対象に、有効な量の1つ以上の特定のヒドロキシルアミン誘導体を投与することを含む、糖尿病に付随する創傷の治癒を亢進する方法に関する。本発明に係る方法を実施するために有用なヒドロキシルアミン誘導体は、例えば、
米国特許第5,147,879号、米国特許第6,143,741号、米国特許第6,653,326号、米国特許第6,649,628号、米国特許第6,384,029号、米国特許第5,328,906号、米国特許第5,296,606号、米国特許第5,919,796号、米国特許第6,002,002号、米国特許第6,180,787号、米国特許第6,384,029及び米国特許公報第2005/0043295号において既に記載されているものを含む。
【0079】
一の態様において、本発明に係る方法は、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-3ピリジン-カルボキシイミドイル-塩化物(ビオクロモル):
【0080】
【化6】
【0081】
を投与する工程を含む。
【0082】
ビオクロモルは、米国特許第5,147,879号に記載されており、そして類似化合物の分野の当業者に周知の方法により調製され得る。特に、本明細書中に参照により援用される米国特許第6,180,787号を参照されたい。ビオクロモルは、ラセミ混合物である。
【0083】
もう一の態様において、本発明に係る方法は、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル)、
【0084】
【化7】
【0085】
を投与する工程を含む。
【0086】
本明細書の他の部分において記載されているように、アリモクロモルは、糖尿病に苦しむ患者を処置するために使用され得る。特に、本発明は、創傷治癒を亢進するためのアリモクロモルの使用を記載する。
【0087】
アリモクロモルは、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。例えば、米国特許第6,649,628号及びPCT公開WO 01/79174(これらは本明細書中に参照により援用される)を参照されたい。アリモクロモルは、(+)鏡像体である。
【0088】
本発明に係るなおももう一の態様は、5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン)
【0089】
【化8】
【0090】
を活用する。
【0091】
イロキサナジン及び関連する化合物は、PCT公開WO 98/06400及び米国特許第6,384,029(これらは本明細書中に参照により援用される)において既に記載されており、そして、例えばこれらの公報に記載される、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。イロキサナジンは、特に虚血後の還元相中で、内皮細胞をストレスから保護するその作用により既に認識されている。Kabakov et al, Cell. Mol. Life Sci 61(2004) 3076-3086を参照されたい。
【0092】
本発明に係る方法の実施に有用なもう一の化合物は、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ-2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物(化合物1)
【0093】
【化9】
【0094】
である。
【0095】
化合物1は、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。例えば、本明細書中に参照により援用される、米国特許第6,649,628号及びPCT公開WO 01/79174号を参照されたい。化合物1は、例えば、上記参照中のアリモクロモルを調製する方法を、例えばCN-ピリジンの代わりにCF3-シアノベンゼンから開始し、そしてtert-ブチルアミンでピペリジンを置き換えること等によっても調製され得る。
【0096】
これらの化合物は、内皮細胞の保護を亢進(イロキサナジン)するものとして又は糖尿病性及び他の神経症を緩和(アリモクロモル)するものとして既に記載されている。糖尿病に苦しむ患者における創傷治癒を亢進するためのこれらの化合物の新規な用途が、本発明としてここに記載される。
【0097】
特定の態様において、アリモクロモル、イロキサナジン、及び化合物1の、単独若しくはそれぞれの組み合わせ、又は他の治療剤の組み合わせは、糖尿病性創傷の治癒の亢進に有効であることが見出される。好ましい態様において、単離されたアリモクロモル、イロキサナジン、及び化合物1の、単独若しくはそれぞれの組み合わせ、又は他の治療剤の組み合わせは、創傷治癒を亢進するために、糖尿病に苦しむ対象に投与される。
【0098】
より一般的には、本発明の特定の態様は、式(I)又は式(II):
【0099】
【化10】
【0100】
で表される化合物、及びそれらの医薬として許容される塩を含む医薬組成物を使用して遂行され得る。ここで、式(I)及び(II)で表されるそれぞれの化合物において:
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール基であり;
Zは共有結合、酸素又はNR3であり;
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、又はアリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
式(I)のXはハロゲン若しくは置換されたヒドロキシ若しくはアミノ、一置換されたアミノ又は二置換されたアミノ基であり、そして、式(II)のXは酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり;そして
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール及び/若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アシル又は置換されたアシル基である。
【0101】
上記化合物のいずれの式も、幾何異性体(即ちE、Z)及び光学活性異性体(即ちR、S)を含む、その化合物の全ての立体化学的形態を含むことが意図される。本化合物の単独の立体異性体の他、鏡像混合物及びジアステレオマー混合物も、本発明の範囲内である。特段主張されていない限り、本明細書中に描かれる式は、1つ以上の同位体標識原子が存在する点のみ異なる化合物をも含むことを意味する。例えば、水素がジュウテリウム若しくはとリチウムで置換された点、又は炭素が13C-若しくは14C-標識炭素で置換された点以外は前記式と同一の式で表される化合物は、本発明の範囲内である。
【0102】
幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、ヒドロキシル基と直接接触する炭素において「R」配置を有する。幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、ヒドロキシル基と直接接触する炭素において「S」配置を有する。
【0103】
幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、炭素-窒素二重結合を中心として「E」配置を有する。幾つかの態様において、式(I)又は(II)は、炭素-窒素二重結合を中心として「Z」配置を有する。
【0104】
一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、そしてXはハロゲンである。本態様の幾つかの側面において、Xはクロロ又はブロモである。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(v)S-含有ヘテロアリール基、及び(vi)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、又は好ましくはアルコキシである1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の他の側面において、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ及びニトロからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む、置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aはピリジルである。本態様の更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0105】
Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである、式(I)で表される化合物は、それぞれが本明細書中に参照により援用される米国特許第5,147,879号、5,328,906号、及び第5,296,606号に記載されている。これらの化合物は、前記米国特許において記載される手順により、好ましくは適切なハロゲン化水素(hydrohalide)の存在下で関連する誘導体をジアゾ化する(XがNH2であるとき)ことにより調製され得る。開始化合物は、例えばハンガリー特許第177.578号(1976年)に記載される既知の手順等により、即ち、式(1)(R1=R2=H)で表されるアミドキシム:
【0106】
【化11】
【0107】
と、例えば式(2)で表される反応性誘導体:
【0108】
【化12】
【0109】
等とを、塩基の存在下で共役させることにより収得され得て、そして通常は単離又は精製をすること無くジアゾ化され得る。前記末端基A及びRは、更に必要に応じてアミド化(amidify)又は誘導体化(derivatize)され得る。
【0110】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、Xは置換されたヒドロキシ基のO-Qであり、ここでQは置換された、若しくは置換されていないアルキル又はアラルキル基である。本態様の一の側面において、Qは直鎖又は分岐鎖アルキルである。本態様の一の側面において、Aはアリール又はヘテロアリールであり;そしてRは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノアルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、AはN-含有複素芳香族基である。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基(i)〜(iv)のいずれも、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0111】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、XはO-Qであり、Zは共有結合であり、そしてRは-CH2-CH(OH)-R"である。前記化合物は、ヒドロキシ基を通じて環化し、それは式(I'):
【0112】
【化13】
【0113】
で表され:R"は直鎖又は分岐鎖アルキル及び置換された直鎖又は分岐鎖アルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R"は、任意的にそのアミノ基が置換される末端アミノ-アシルである。本態様の幾つかの側面において、R"は、C1〜5直鎖又は分岐鎖アルキルでそのアミノ基が置換される末端アミノ-アルキルである。幾つかの側面において、R"は、アミノ基が一置換又は二置換される末端アミノ-アシルであり、ここでアミノ置換基は、互いに独立して、1つ又は2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はシクロアルキルであり得て、あるいは2つのアミノ置換基が隣接するN-原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成し得る。幾つかの側面において、前記複素環式環は、任意的に追加的なヘテロ原子を含む、5〜7員環である。幾つかの側面において、Aは、フェニル、置換されたフェニル、N-含有ヘテロアリール、置換されたN-含有ヘテロアリール、S-含有ヘテロアリール、及び置換されたS-含有ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0114】
Zが共有結合であり、そしてXがO-Qである式(I')で表される化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第2385/1992号に記載されている。これらの化合物は、Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである式(I)で表される化合物から、例えばアルコキシドとの反応、又はアルカリ閉環(alkaline ring closure)等の、式(I')で表される化合物をもたらすハンガリー特許出願第2385/1992号に記載される手順により生産され得る。
【0115】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、そしてXはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、独立して、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルであり、あるいはR1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって飽和した3〜7員の複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、R1及びR2は、飽和した3〜7員の複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノ-アルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの態様において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本発明の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(v)S-含有ヘテロアリール基、及び(vi)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又は1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは1つ以上のアルコキシ基で置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、及びアシルアミノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を含む、置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0116】
Zが共有結合であり、そしてXがNR1R2である式(I)で表される化合物は、それぞれが本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許第177578号(1976年)及び米国特許第6,653,326号において開示される。これらの化合物は、塩基の存在下で、式(II)で表される化合物の反応性誘導体により、式(I)(R'= R2=H)で表される化合物の置換されていないアミドキシキムをアルキル化することにより合成され得る。
【0117】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、XはNR1R2であり、そしてRは-CH2-CH(OH)-R"である。その化合物は、NR1R2基を通じて環化し、そして式(I''):
【0118】
【化14】
【0119】
で表され、ここでR''は、直鎖若しくは分岐鎖アルキル又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキルである。R1は、水素、置換されていない又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、置換されていないアラルキル、並びにアリール-及びアルキル部分で置換されたアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、 (i)アリール又は置換されたアリール;(ii)ナフチル;(iii) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(iv)S-含有ヘテロアリール基;及び(v)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。幾つかの側面において、Aは、1つ以上のアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ又はニトロ基を含む、置換されたフェニルである。更なる側面において、R''は、(i)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル、及び(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)のいずれかは、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。幾つかの態様において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)は、二置換されたアミノ部分を有し、ここでそれらの置換基は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成する。幾つかの態様において、前記複素環式環は5〜7員であり、場合によっては追加的なヘテロ原子を含む。幾つかの側面において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)において、前記アミノ-置換基は、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基又はシクロアルキルである。
【0120】
式(I'')で表される化合物は、Zが共有結合であり、そしてXが=NR1R2であり(ここでR1は上記式(I'')で表される化合物に関連して定義されたものであり、R2はHである)、Rが--CH2--CHY5--R"である(ここで、は例えばハロゲン原子のような離脱基である)、式(I)で表される開鎖化合物を使用して、N(4)--C(5)間の原子を閉環することにより、調製され得る。そのような誘導体は、例えば塩化チオニル又は五塩化リン等の無機ハロゲン化剤を用いて、対応するY5=OHである化合物から収得され得る。前記ハロゲン化は、例えばベンゼン、クロロホルム、テロラヒドロツラン(tetrahydroturane)等の存在下又は非存在下で、通常は沸騰させることにより実行され得る。例えば塩化チオニルの蒸発等により過剰の薬剤を除去した後、例えばt-ブタノール中のカリウムブトキシド等の強塩基処理による単離又は精製後、又はそれらを行わず、粗ハロゲン誘導体は環状化され、最終的に標準的な手順(抽出、再結晶化等)により単離及び精製される式(I'')で表される化合物が得られる。
【0121】
一の態様によると、式(I)で表される化合物において、Zは酸素であり、XはO-Qであり、ここでQはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aがアルキル又は置換されたアルキルであるとき、それは1〜4個の炭素原子を含む。幾つかの側面において、Aは、C1-4アルキル又は置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。
【0122】
Zが酸素であり、そしてXがO-Qである式(I)で表される化合物は、O-置換された式(6)で表されるヒドロキシルアミン(例えば、Ger. Off. 2,651,083(1976年)):及び式(7)で表されるオルソエステル:
【0123】
【化15】
の反応により調製され得る。
【0124】
濃縮は、薬剤それ自体を溶媒として、好ましくは沸騰させることにより実行され得る。蒸発後、その生産物は、アミン機能が側鎖R中に存在するとき、酸付加塩の形態で、結晶化により単離され得る。
【0125】
一の態様によると、式(I)で表される化合物において、Zは酸素であり、XはNR1R2であり、そしてR1及びR2は、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、及び置換されたアリールからなる群から独立して選択され、又はR1及びR2はそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成する。幾つかの側面において、R1及びR2は、5〜7員の飽和複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アルキル又は置換されたアルキル;(iii)アラルキル又は置換されたアリール及び/若しくは置換されたアルキル部分を有するアラルキル;及び(iv)アリール又は置換されたアリールからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル又は置換されたフェニルである。
【0126】
式(I)で表される化合物は以下に記載されるように調製され得て、それらの方法は、Xの性質、即ちXが修飾されていないアミノ(NH2)であるか、又は置換されたアミノ官能基(amino functionality)であるかに依存する。
【0127】
XがNH2である式(I)で表される化合物は、式(6)で表されるヒドロキシルアミンを、式A--O--CN(例えば、Chem. Ber. 98, 144 (1965)を参照されたい)で表される有機シアン酸塩に添加することにより調整され得る。その反応は、好ましくは不活性の有機溶媒中で、通常は室温で実行される。その単離は、通常はクロマトグラフィー精製を必要とする。
【0128】
Xが一置換されたアミノ基(例えばNHR1)である式(I)で表される化合物は、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は炭酸ナトリウム等の無機塩基の存在下で、ベンゼン、テトラヒドロツラン等の中で、式(9):
【0129】
【化16】
【0130】
で表される既知のハロホルムイミデート(haloformimidate)(例えば、Houben-Weil, "Methoden der Organischen Chemie," Band E/4, p.544 (1983)を参照されたい)及び式(6)で表される化合物から調製され得て、その後通常の検査及び精製手順がなされる。
【0131】
Xが二置換されたアミノ基である式(I)で表される化合物は、式5で表される第二級アミンと、Zが酸素でありXがO-Qである式(I)で表される化合物(上記方法により調製され得る)とを反応させることにより調製され得る:
【0132】
【化17】
【0133】
これらのアミノ化反応は、例えばエタノール等の極性有機溶媒中で、必要な場合は還流することにより遂行される。
【0134】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキルであり;並びにXはNR1R2であり、ここでR1及びR2はH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アリール又は置換されたアリール、シクロアルキルからなる群から選択され、あるいはR1とR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成する。
【0135】
本態様の幾つかの側面において、Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキル、アリール、及び置換されたアリール基からなる群から選択される。幾つかの側面において、R1及びR2は、飽和した5〜7員の複素環式環を形成する。本態様の更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノ-アルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0136】
ZがNR3であり、そしてXがNR1R2である式(I)で表される化合物は、上記化合物(即ちZが酸素であり、XがNR1R2である式(I)で表される化合物)の群に属する対応するイソ尿素(isourea)誘導体を、アンモニア又は第一級若しくは第二級アミンを用いてアミノ分解することにより生産され得る。前記反応は、好ましくは、例えば水又はエタノール等の極性溶媒中で、過剰のアミンを使用して実行され得る。あるいは、式(10):
【0137】
【化18】
【0138】
で表されるハロホルムアミド(Houben-Weil "Methoden der Organischen Chemie," Band E/4, page 553 (1983))は、有機又は無機塩基の存在下で、式(6)で表される化合物と反応し得て、同様にこの群の化合物がもたらされる。
【0139】
前記反応は、不活性の有機溶媒中で、通常は室温で実行され得る。
【0140】
Rが式(b):
【0141】
【化19】
【0142】
で表される基であり、Rがアシルである式(I)で表される化合物は、R7として水素を含む対応化合物をエステル化することにより調製され得る。それらのアルキル又はアリールエステルは、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、酸塩化物又は無水物を使用することにより収得され得る。
【0143】
しかしながら、上記化合物の群は、以下の構造:
【0144】
【化20】
【0145】
{式中、
R1はH又はC1-5アルキルであり、
R2はH、C1-5アルキル、OHで置換されたC3〜8シクロアルキル若しくはフェニル又はフェニルであり、あるいはR1及びR2が、隣接する窒素原子と一緒になって、任意的に1つ以上の追加的なN、O、又はS原子(単数又は複数)を含み、ベンゼン環で縮合され得る、5〜8員飽和又は不飽和環を形成し、
R3はH、又は任意的に1つ以上のハロ若しくはC1-4アルコキシで置換されるフェニル、ナフチル、若しくはピリジニルであり、
Aは式(a)、
【0146】
【化21】
【0147】
[式中、
はH又はフェニルであり、
はH又はフェニルであり、
Mは0、1、又は2であり、そして
Nは0、1、又は2である]
で表される基である}
で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含まないことを理解されたい。
【0148】
もう一の態様によると、本発明は、式(II)で表される化合物を提供する。本態様の一の側面において、式(II)の化合物において、Zは共有結合であり、そしてXは酸素である。本態様の更なる側面において、Aは、(i)アルキル、アラルキル、又は置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)N-含有ヘテロアリール基;及び(iv)S-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル、又は1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロアルキル、及びアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0149】
更なる側面において、Rは、(i)末端アミノ-アルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0150】
更なる側面において、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。
【0151】
この群に属する化合物は、本明細書中に参照により援用される、ハンガリー特許出願第2385/1992号に開示されている。これらの化合物は、本明細書中に記載される方法に従い調製され得て、最も好ましくは、それらは式(6)の構造を有するO-置換されたヒドロキシルアミン誘導体(例えば、Ger. Off. 2,651,083 (1976)も参照されたい)を、式(11):
【0152】
【化22】
【0153】
の構造を有する酸塩化物でアシル化することにより収得され得る
【0154】
また、この経路は、R1が水素以外であり、開始材料として式(6)の代わりに式(12):
【0155】
【化23】
【0156】
で表される化合物を使用する化合物の調製にも採用され得る。
【0157】
もう一の態様によると、式(II)で表される化合物において、Zは化学結合であり;XはNR4であり、ここでR4はH、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール若しくは置換されたアルキル基を有するアラルキル、シクロアルキルからなる群から選択されるものであり;そしてR4はアルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくは置換されたアルキルを有するアラルキルからなる群から選択されるものである。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv)N-含有ヘテロアリール基;及び(v)S-含有ヘテロアリール基である。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、1つ以上のアルコキシ基により置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロアルキル、及びニトロからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0158】
幾つかの態様において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0159】
これらの化合物は、式(13):
【0160】
【化24】
【0161】
で表されるN,N'-二置換アミドキシムを式(2)で表される化合物でO-アルキル化することにより(反応条件は、Zが共有結合であり、XがNR1R2である式(I)で表される化合物の調製の項を参照されたい)、又は式(12)で表されるN,O-二置換を式(16):
【0162】
【化25】
【0163】
で表されるハロゲン化イミドイルでO-アシル化することのいずれかにより調製され得る。
【0164】
前記反応は、不活性溶媒中で、好ましくは有機又は無機酸捕捉剤(scavenger)の存在下で実行され得る。
【0165】
Rが式(b)
【0166】
【化26】
【0167】
で表される基であり、Rがアシルである化合物は、R7として水素を含む対応化合物をエステル化することにより調製され得る。それらのアルキル又はアリールエステルは、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、酸塩化物又は無水物を使用することにより収得され得る。
【0168】
一の態様によると、式(II)で表される化合物において、Zは酸素であり、そしてXは酸素である。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分で置換されたアラルキルからなる群から選択される。幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分A)を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本態様の幾つかの側面において、は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又はアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。
【0169】
本態様によると、前記化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第1756/95号(1995年6月15日に出願された)に記載されている。これらの化合物は、式(6)又は式(12)の構造を有するヒドロキシルアミンを、Zが共有結合であり、そしてXが酸素である式(II)で表される化合物の合成の項において記載されたものと同様な、単純な酸塩化物の場合と同様の方法で、式(14)の構造を有するクロロ蟻酸エステルでアシル化することにより調製され得る。前記反応は、無機又は有機塩基の存在を要し、そして例えばクロロホルム等の不活性溶媒中で実行され得る。副産物の塩は、例えば水による抽出等の方法により除去され、そして前記生産物は、有機溶媒から単離される。
【0170】
なおももう一の態様において、式(II)で表される化合物において、Zは酸素であり;XはNR4であり、ここでR4は、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール若しくは置換されたアルキル基を有する置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、及び置換されたヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、置換されていない、又は置換されたフェニルである。
【0171】
本態様の幾つかの側面において、Rは、アルキル鎖中にヒドロキシ又はアシロキシ基を適宜含み、そして任意的にアミンの窒素が置換され、ここで前記アルキル鎖が好ましくは3〜8個の炭素原子を含むω-アミノアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R'は、置換されていてもいなくともよいアルキル、アリール、又はアラルキル基からなる群から選択される。
【0172】
本態様によると、Xが酸素であり、XがNR1R2である式(I)で表されるこれらの化合物は、同様に、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は例えば炭酸ナトリウム等の無機塩基の存在下で、ベンゼン又はテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中で、式(9)の構造を有するハロホルムイミデート及び式(12)の構造を有する化合物から調製され得て、その後通常の検査及び精製手順がなされる。
【0173】
もう一の態様において、式(II)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくは置換されたアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択され;そしてXは酸素である。本態様の幾つかの側面において、Aは、
(i)アラルキル又は置換されたアルキル若しくはアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)N-含有ヘテロアルキル基;(iv) 直鎖又は分岐鎖のアルキル又は置換されたアルキル;及び(v)シクロアルキル基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又は1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、及びニトロ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、aが(iv)であるとき、前記アルキル基は、4〜12個の炭素原子を含む。
【0174】
本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。幾つかの態様において、R1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アリール、置換されたアリール、アシル、及び置換されたアシル基からなる群から選択される。
【0175】
本態様によると、これらの化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第1756/95号に記載されており、そして、式(6)又は式(12)の構造を有するヒドロキシルアミン化合物と、式(15):
【0176】
【化27】
【0177】
構造を有するイソシアン酸塩とを、不活性溶媒中で、通常それらの混合物を室温で2〜24時間単に攪拌して反応させることにより調製され得る。最後に、それらの生産物は溶媒の蒸発後に単離され得る。幾つかの側面において、前記生産物は、結晶化により単離され得る。
【0178】
もう一の態様において、式(II)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキルであり;XはNR4であり、ここでR4はH、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル基を有するアラルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;並びにR'はアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアラルキル、アリール及び置換されたアリールからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R3は、水素、アルキル、及び置換されたアルキルからなる群から選択され;R4は、水素又はアリール基であり;そしてAは、アルキル、置換されたアルキル、アリール及び置換されたアリール、又はアリール及び/若しくはアルキル部分において置換され得るアラルキルからなる群から選択されるものである。更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0179】
本態様によると、前記化合物は、対応するイソ尿素誘導体(Zが酸素であり、XがNR4である式(II)で表される化合物)を、第一級若しくは第二級アミン又はアンモニアでアミノ分解することにより調製され得る。前記反応は、好ましくは例えば水又はエタノール等の極性溶媒中で、過剰のアミンを使用して実行され得る。あるいは、前記化合物は、式(10)で表されるハロホルムアミジン(haloformamidine)を、式(12)で表される化合物と、有機又は無機塩基の存在下で、不活性溶媒中で、通常はそれらの沸点で反応させることにより調製され得る。
【0180】
一の態様によると、本発明は、
Xがハロゲンであり;
Zが化学結合であり、そして
Aが、Y1がハロ、アルコキシ、ニトロ基及びハロアルキル基からなる群から選択され;そしてnが1、2、若しくは3であり;又はベンゼン環で縮合され得るO-含有ヘテロアルキル、S-含有ヘテロアルキル、若しくはN-含有ヘテロアルキル基である式(a)で表される基であり;そして
Rが、R5及びR6が、互いに独立してH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され、又はR5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成し;Y6が-OR7であり、ここでR7はH又はアシル基であり;kは1、2、又は3である式(b)の構造を有する基であり、
Aがピリジル又はナフチル、又は式(a)で表される基であるときに限っては、Y1はハロ又はアルコキシ、そしてR7はH以外である、
式(I)で表される化合物を提供する。これらの化合物は、任意的に、Aとして、N-第四級C1-4アルキルを有するN-含有複素芳香族基、又は前記N-含有複素芳香族基のオキシド、並びに/又は末端基R6及びR7により形成される環がN-酸化飽和複素環式環であるRを含み得る。
【0181】
本態様の幾つかの側面において、Xはクロロ又はブロモである。本発明の幾つかの側面において、Y1は1〜4個の炭素原子を含むハロアルキルである。他の態様において、Y1は、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、C1-4アルキルである。他の態様において、R5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、好ましくは形成される環は5〜7員複素環式環である。幾つかの態様において、R7は、アルキルカルボニル、置換されたアルキルカルボニル、アリールカルボニル、又は置換されたアリールカルボニル、及びアミノアシル、又は置換されたアミノアシルからなる群から選択される。
【0182】
本態様の幾つかの側面において、Aは、YIがトリフルオロメチルである式(a)で表される基である。本態様の幾つかの側面において、Xはハロであり、Aはピリジルであり、Zは化学結合であり、そしてRは、R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択され、又はR5及びR6が隣接するN原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、Y6はR7がアミノアシルである-OR7であり、kが1、2、若しくは3であり、そしてmが1、2、若しくは3である式(b)で表される基である。幾つかの側面において、R5及びR6は、独立してC1-4アルキル又はシクロアルキルである。他の側面において、R5及びR6は、隣接するN原子と一緒になって、飽和5〜7員複素環式環を形成する。本態様のそれぞれの側面によると、それらの化合物は光学的に活性であり得る。
【0183】
本態様によると、これらの化合物は、それぞれ本明細書中に参照により援用される米国特許第5,147,879号;第5,398,906号;及び第5,996,606号に記載されるものに似た手順を使用して調製され得る。例えば、R5及びR6のいずれも水素でない化合物は、米国特許第5,147,879号;第5,328,906号;及び第5,296,606号に記載されている手順と同様に、相当するNH2誘導体(即ち、Zが共有結合であり、そしてXがNH2である式(I)で表される化合物)を、適切なハロゲン化水素中でジアゾ化することにより調製され得る。また、前記開始化合物は、例えば本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許第177578号に記載されている既知の手順によっても、即ち式(1)のR1及びR2がHである式(1)の構造を有するアミドキシムを、例えば式(2)の構造を有する反応誘導体と、塩基の存在下で共役させることによっても収得され得て、そして通常は、単離又は精製をせずにジアゾ化され得る。
【0184】
あるいは、R7がHでありmが1である化合物において、その化合物は、式(3)で表されるオキシラン(oxyrane)と式(4)で表されるアミンとを反応させることにより調製され得る。また、本手順は、R5がHである化合物の調製にも使用され得る。
【0185】
あるいは、Rが式(b)で表され、そしてR7がアシル基である化合物において、それらの化合物は、R7がHである対応化合物をエステル化することにより調製され得る。アルキル又はアリールエステルは、酸塩化物又は無水物を用いて、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、場合によっては二相系中で水性無機塩基を使用するショッテン・バウマン(Schotten-Bauman)法により収得され得る。アミノアシルエステルの調製において、カルボキシル-活性化N-保護化アミノ酸誘導体(carboxyl-activated N-protected amino acid derivative)(例えば活性エステル)は、ペプチド化学から一般的に知られる手順における試薬として使用され得る。また、この共役は、塩基(例えばトリエチルアミン)の存在も必要である。生産物の単離及び精製は、標準的な調製技術を使用することにより遂行され得る。最終調製物は、しばしば適切な有機又は無機酸との塩の形態で存在し得る。キラルアミノ酸から開始する場合、生産物はしばしばR基の中に第二のキラル中心を有するジアステレオマーであり得る。単離の過程で、これらのジアステレオマーはしばしば分離され、そしてその生産物は立体化学的に純粋な形態(stereo-pure form)で収得され得る。
【0186】
式(I)で表される化合物のなおももう一の態様において、
Zは化学結合であり、
Xはハロであり、
Aは式(c)で表される基であり、Rは式(d):
【0187】
【化28】
【0188】
[式中、
分子中に少なくとも1つ存在するべきY2及びY3の1つ又は両方が酸素、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル又は置換されたアルキルであり、
kが1、2、又は3であり;そして
mが1、2、又は3である]
で表される基である。Y2及びY3は点線をもって付される。本態様の幾つかの態様において、Xはクロロ又はブロモである。前記化合物が一価又は二価のカチオンであるとき、そのアニオンは、1つ又は2つのハロゲン化物イオンである。本態様の幾つかの側面において、前記アニオンはヨウ化物イオンである。
【0189】
本態様によると、前記化合物は、例えばN-酸化(N-oxidation)又は第四級化(quaternerization)等による、置換されていない前駆体における末端ピリジン及び/又はピペリジン基を化学修飾することにより調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は、不活性溶媒中で過酸を用いて酸化することにより調製され得る。本態様の更なる側面において、前記過酸は、置換された過ベンズ酸である。本態様の更なる側面において、前記不活性溶媒は、クロロホルム又はジクロロメタンである。いずれの酸化可能な基(oxidizable group)も存在しているとき、使用される試薬の量に依存して一酸化物又は二酸化物が形成され得る。酸化反応の最後に、過剰の試薬は分解され、その生産物は蒸発により単離される。本態様の他の側面において、前記化合物は、第四級化により調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は、ハロゲン化アルキルを用いた第四級化により調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記ハロゲン化アルキルはヨウ化メチルである。本態様の更なる側面において、前記化合物は、適切な溶媒中で前記試薬を還流することにより調製され得る。幾つかの側面において、前記溶媒はアセトンである。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は媒体に不溶であり、そして単純な濾過により単離され得る。
【0190】
式(I)で表される化合物のなおももう一の態様において、
Zは化学結合であり、
Aはアルキル、置換されたアルキル、フェニル、1つ以上の置換基を有する置換されたフェニル、ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアルキル基、及び硫黄含有ヘテロ芳香族基からなる群から選択されるものであり;
XはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであり、及びR1及びR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し得るものであり;
Rは、式(e)
【0191】
【化29】
【0192】
[式中、
R5及びR6は、水素、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであり、あるいはR1及びR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、そこに追加的な原子及び置換基を含み得るものであり;
Y4は、H、アルキル、及び1〜4個の炭素原子を有する置換されたアルキルからなる群から選択されるものであり;
Y5は、H、アルキル、及び1〜4個の炭素原子を有する置換されたアルキルからなる群から選択されるものであり;又は、R7がH若しくはアシルであるOR7であり;
Kは1、2、又は3であり;そして
mは1、2、又は3である]
で表される基であり;
Aが、置換されていない、又はハロゲン若しくはアルコキシで置換されたフェニル、あるいはアルコキシで置換されたフェニルアルキル、あるいはピリジル基であり、そしてR7がHである場合に限り、R1及びR2の少なくとも1つはH以外であり、あるいはAが置換されていないフェニル、又はハロゲンで置換された、若しくはアルコキシで置換されたアルコキシフェニルアルキルで置換されたフェニルであるとき、あるいはピリジルであるとき、並びにR1及びR2のそれぞれがHであるとき、R7はH以外である。
【0193】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又はフェニルである。幾つかの側面において、Aがフェニルアルキルであるとき、そのフェニルは、1つ以上のアルコキシ基で置換され得る。幾つかの側面において、前記アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有する。他の側面において、Aは、1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルである。幾つかの側面において、前記置換基は、アルキル、好ましくは1〜4この炭素原子を有するアルキル若しくはハロアルキル、ハロ、アシルアミノ、又はニトロ基からなる群から選択される。他の側面において、Aは、ピロリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、及びチエニルからなる群から選択される。幾つかの側面において、Aがヘテロアリール基であるとき、それは1つ以上のアルキル、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルで置換され得る。
【0194】
本態様の幾つかの側面において、R1及びR2は、互いに独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。他の側面において、R1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になったとき、それらは飽和5〜7員複素環式環を形成する。
【0195】
本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。他の側面において、R5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって環を形成するとき、その環は飽和5〜7員複素環式環であり、そこには追加的な原子及び置換基が含まれ得る。この側面において、前記置換基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり得る。
【0196】
本態様によると、XがNH2である化合物は、上述の手順と同様に、式(1)のR1及びR2がHである式(1)で表される対応化合物と、式2で表される化合物とを反応させることにより調製され得る。式2で表されるアルキル化剤は、ヒドロキシル及び/又はアミノ置換基を含み得る。前記反応においては、無機又は有機塩基が存在し、好ましい態様でアルコール性アルコラート溶液(alcoholic alcoholate solution)が、媒体及び基剤として使用されることが望まれる。前記化合物は、適切な有機又は無機酸との塩として単離され得る。
【0197】
本態様によると、R1及びR2のいずれか1つ以上がH以外である化合物は、2つの方法により調製され得る。第一の方法において、R1及び/又はR2において所望される置換基を有する式(1)で表されるアミドキシムが、上記項において記載された手順と同様に、式(2)で表される反応化合物と反応させられ得る。開始材料として使用される式(1)で表される置換されたアミドキシムは、文献により既知である。例えば、本明細書中に参照により援用されるChem. Rev. 62, 155-183 (1962)を参照されたい。
【0198】
第二の方法において、Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである式(I)で表される化合物中のハロゲン原子の、式(5)で表されるアミンによる置換も、同様の化合物をもたらし得る。R基(Y4 =OH)においてOH置換基を有する誘導体の場合、このヒドロキシル基は、式(F)で表される環状誘導体の形成が所望される場合を除き、置換反応前には保護され、置換反応後には脱保護される。保護において、例えばテトラヒドロピラニル基等のアセチル型保護基が最も適切であることが確認されている。前記保護は、保護されていない化合物をジヒドロピランと反応させ、その後ハロゲン/アミン転移することにより実行される。この反応は、通常例えばアルコール等の溶媒中で還流することを要する。最終的に、前記生産物の脱保護は、例えばp-トルエンスルホン酸の存在下でのエタノール溶液の沸騰等による、酸性処理により達成され得る。
【0199】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物は、Y5がアシロキシ基であるものを含む。それらは、Y5がOHである対応化合物をアシル化することにより調製され得て、この方法は文献により既知(例えば、ハンガリー特許第177578号)であり、又は本発明中に記載されている。前記反応は、R7がアシル基である類似ハロ誘導体において記載されるものと同様に達成され得る。
【0200】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物には、Zが酸素であるか、又はR3が置換されていない、若しくは置換されたアルキル基であるNR3であり;Xが、R1及びR2が水素、置換されていない若しくは置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキル基からなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって任意的に1つ以上のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和複素環式環を形成するものも含まれる。本態様によると、Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキル基からなる群から選択される。本態様の更なる態様によると、Rは、R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものである、式(b)で表される基である。この態様によると、Y6は、H、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である。
【0201】
本態様の一の側面において、R1及びR2は、互いに独立してフェニルである。他の側面において、R1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって環を形成するときは、その環は任意的に1つ以上のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの側面によると、Aはフェニル又は置換されたフェニル基である。幾つかの側面によると、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。あるいは、幾つかの側面によると、R5及びR6はそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員環を形成し、その環は5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの態様によると、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0202】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物には、
Zが酸素であり、
Xが、Qが置換されていない若しくは置換されたアルキル又は置換されていない、若しくは置換されたアラルキル基である-ORであり、
Aが置換されていない若しくは置換されたアルコキシ基又は置換されていない若しくは置換されたアラルキル基であり、そして、
Rが、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0203】
本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらが結合する窒素原子と一緒になったとき、3〜7員の複素環式環を形成し、好ましくはその環は、5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0204】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物には、
Aが置換されていない若しくは置換されたアリール、N-含有複素芳香族基、及びS-含有複素芳香族基からなる群から選択されるものであり、
Zは化学結合であり、
Xは、QがC1-4アルキルである-OQであり、そして
Rは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0205】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルである。他の側面において、Aはピリジルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって、5〜7員の複素環式環を形成する。
【0206】
本態様によると、これらの化合物は、Xがハロである式(X)で表される対応化合物と対応アルコラートとを、好ましくは前記アルコラートに対応するアルコール中で、好ましくは還流することにより反応させることにより調製され得る。前記反応混合物は、当該技術分野で既知の方法により処理され得て、そしてその生産物はクロマトグラフィー又は塩形成により単離され得る。
【0207】
なおももう一の態様において、式(II)で表される化合物は、
Xが酸素であり、
Aは、C1-2O直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、置換されていない若しくは置換されたアラルキル、ナフチル、及びN-含有複素芳香族基からなる群から選択され、
Zが化学結合であり、
R'は、水素、C1-4アルキル及びアラルキルからなる群から選択され、
Zは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がHである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3であり、
Aがアルキル以外であり、そしてR1がHである場合に限り、Y6はHである
ものを含む。
【0208】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又はハロフェニルである。他の側面においてAはピリジルである。本態様の幾つかの側面において、R'はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、独立して選択されるC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員飽和複素環式環を形成する。
【0209】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Zが共有結合、酸素、及びR3が水素又は置換されていない若しくは置換されたアルキル基であるNR3基からなる群から選択され、
Xが、R4が水素、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換された若しくは置換されていないアラルキルからなる群から選択される=NR4である
ものも含まれる。本態様によると、
Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、置換されていない若しくは置換されたアラルキル、及びシクロプロピルからなる群から選択され、
R'は置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキルから選択され、
Rは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0210】
本態様の幾つかの側面において、R4はフェニル又はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル、置換されたフェニル、及びフェニルアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R'はフェニル又はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員の飽和複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0211】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Xが酸素であり、
Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアラルキルであり、
Zが酸素であり、
R'はアルキル又はアラルキルであり、好ましくはフェニルアルキルであり、
Rは、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がH又はアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である、
式(b)で表される基である
ものも含まれる。幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって、5〜7員の複素環式環を形成する。幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0212】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキルである。幾つかの側面において、R'はフェニルアルキルである。
【0213】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、Xが酸素であり、Zが=NHであるものも含まれる。
【0214】
一の態様によると、式(II)で表される化合物は、
Aが置換されていない若しくは置換されたアルキル、シクロアルキル、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rは式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH又は-OHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものを含む。
【0215】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、置換されていないフェニル、又はハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ若しくはニトロで置換されたフェニルである。他の側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員の飽和複素環式環を形成する。
【0216】
一の態様によると、式(II)で表される化合物は、
Aが、式(A)
【0217】
【化30】
【0218】
[式中、
Y1はハロアルキルであり、
Nは1、2、又は3である]
で表される基であり、
R’はHであり、そして
Rは式(b)で表される基であるり
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH又は-OHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものを含む。
【0219】
本態様の幾つかの側面において、Y1はトリフルオロメチルである。他の側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものである。
【0220】
一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Aが、置換されていないフェニル、ハロ若しくはニトロで置換されたフェニル、及びN含有ヘテロアリールからなる群から選択され、
R1がHであり、そして
R''が、アミノ基が一置換若しくは二置換された末端アミノ-アルキルであり、そのアルキル鎖が1〜5個の炭素原子を有し、そしてそれらのアミノ置換基が、互いに独立して1つ若しくは2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルであるか、あるいはそれらのアミノ置換基が、それらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の、好ましくは5〜7員の飽和複素環式環を形成し、あるいはそのN-第四級C1-4アルキル誘導体であり、
Aが3-ピリジルであるときに限り、R''が1-ピペリジニルメチルではない、
式(I'')で表される環状化合物も含まれる。
【0221】
上記ヒドロキシルアミン誘導体は、例えば、塩酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩等の、医薬として許容される塩の形態であり得る。特定の態様において、前記塩は、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、又はリンゴ酸塩である。
【0222】
上記いずれかの化合物は、糖尿病性創傷の処置のために、単独で、又は1つ以上の追加的な治療剤と任意的に組み合わせられて使用され得る。上記いずれかの化合物において、例えばアルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン等の特定の化学的特性を共有する属(genus)であるとして示され、又は記載されている部分であっても、それぞれがその属の他のメンバーから区別され、そして分けられることが意図される。
【0223】
他の態様において、本発明に係る方法は、糖尿病性創傷に苦しむ対象に対して1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体及び1つ以上の追加的な治療剤を投与することを含む。特定の態様において、前記追加的な治療剤は、抗炎症剤、解熱剤、抗生物質、高真菌剤、高ウイルス剤、成長因子、ホルモン、及び神経保護剤を含む。
【0224】
抗炎症剤及び/又は解熱剤は:非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、アミノアリールカルボン酸誘導体、例えばエンフェナム酸(enfenamic acid)、エトフェナム酸塩(etofenamate)、フルフェナム酸、(flufenamic acid)、イソニキシン(isonixin)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefanamic acid)、ニフルミン酸(niflumic acid)、タルニフルミン酸塩(talniflumate)、テロフェナム酸塩(terofenamate )、及びトルフェナム酸(tolfenamic acid)等; アリール酢酸誘導体、例えばアセメタシン(acemetacin)、アルクロフェナク(alclofenac)、アムフェナク(amfenac)、ブフェナマク(bufexamac)、シンメタシン(cinmetacin)、クロピラク(clopirac)、ジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium)、エトドラク(etodolac)、フェルビオナク(felbinac)、フェンクロフェナク(fenclofenac)、フェンクロラク(fenclorac)、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク(fentiazac)、グルカメタシン(glucametacin)、イブフェナク(ibufenac)、インドメタシン(indomethacin)、イソフェゾラク(isofezolac)、イソキセパック(isoxepac)、ロナゾラク(lonazolac)、メチアジン酸(metiazinic acid)、オキサメタシン(oxametacine)、プログルメタシン(proglumetacin)、スリンダク(sulindac)、タイラミド(tiaramide)、トルメチン(tolmetin)及びゾメピラク(zomepirac)等; アリール酪酸誘導体、例えばブマジゾン(bumadizon)、ブチブフェン(butibufen)、フェンブフェン(fenbufen)及びキセンブシン(xenbucin)等; アリールカルボン酸誘導体、例えばクリダナク(clidanac)、ケトロラク(ketorolac)及びチノリジン(tinoridin)等;アリールプロピオン酸、例えばアルミノプロフェン(alminoprofen)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ブクロキソン酸(bucloxic acid;カルプロフェン(carprofen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、イノdプロフェン(indoprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン(naproxen)、オキサプロジン(oxaprozin)、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジン酸(protizinic acid)、スプロフェン(suprofen)及びタアプロフェン酸(tiaprofenic acid)等;ピラゾール、例えばジフェナミゾール(difenamizole)及びエピリゾール(epirizole);ピラゾール、例えばアパゾン(apazone)、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、フェプラゾン(feprazone)、モフェブタゾン(mofebutazone)、モラゾン(morazone)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、フェニブタゾン(phenybutazone)、ピペブゾン(pipebuzone)、プロピフェナゾン(propyphenazone)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、スクシブゾン(suxibuzone)、及びチアゾリノブタゾン(thiazolinobutazone)等;サリチル酸誘導体、例えばアセトアミノサロールacetaminosalol)、アスピリン(aspirin)、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム(calcium acetylsalicylate)、ジフルニサル(diflunisal)、エテルサラート(etersalate)、フェンドザル(fendosal)、ゲンチジン酸(gentisic acid)、サリチル酸グリコール(glycol salicylate)、サリチル酸イミダゾール(imidazole salicylate)、リシンアセチルサリチル酸(lysine acetylsalicylate)、メサラミン(mesalamine)、サリチル酸モルホリン(morpholine salicylate)、1-ナフチルサリチル酸(1-naphthyl salicylate)、オルサラジン(olsalazine)、パルサルミド(parsalmide)、アセチルサリチル酸フェニル(phenyl acetylsalicylate)、サリチル酸フェニル(phenyl salicylate)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミンo−酢酸(salicylamine o-acetic acid)、サリチル硫酸(salicylsulfuric acid)、サルサラート(salsalate)、及びスルファサラジン(sulfasalazine)等; チアジンカルボキシアミド(thiazinecarboxamide)、例えばドロキシカム(droxicam)、イソキシカム(isoxicam)、ピロキシカム(piroxicam)、及びテノキシカム(tenoxicam)等;その他、例えばアセトアミドカプロン酸(acetamidocaproic acid)、s-アデノシルメチオニン(s-adenosylmethionine)、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸(3-amino-4- hydroxybutyric acid)、アミキトリン(amixetrine)、ベンダザク(bendazac)、ベンジダミン(benzydamine)、ブコローム(bucolome)、ジフェンピラミド(difenpiramide)、ジタゾール(ditazol)、エモルファゾン(emorfazone)、グアイアズレン(guaiazulene)、ナブメトン(nabumetone)、ニメスリド(nimesulide)、オルゴテイン(orgotein)、オキサセプロール(oxaceprol)、パラニリン(paranyline)、ペリソキサル(perisoxal)、ピフォキシム(pifoxime)、プロクアゾン(proquazone)、プロキサゾール(proxazole)及びテニダップ(tenidap);並びにそれらの医薬として許容される塩;ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド;並びに他の鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン(acetaminophen)、及び鎮静剤(opiate)であり得る。
【0225】
ステロイド性抗炎症治療剤(グルココルチコイド)には、限定されないが、21-アセトキシプレフネノロン(21-acetoxyprefnenolone)、アルクロメタゾン(alclometasone)、アルゲストン(algestone)、アミシノニド(amicinonide)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデゾニド(budesonide)、クロロプレドニゾン(chloroprednisone)、クロベタゾール(clobetasol)、クロベタゾン(clobetasone)、クロコルトロン(clocortolone)、クロプレドノール(cloprednol)、コルチコステロン(corticosterone)、コルチゾン(cortisone)、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコルト(deflazacort)、デソニド(desonide)、デソキシメタゾン(desoximetasone)、デキサメタメタゾン(dexamethasone)、ジフロラゾン(diflorasone)、ジフルコルトロン(diflucortolone)、ジフルプレドネート(difluprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン(flumehtasone)、フルニソリド(flunisolide)、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオコルトロン(fluocortolone)、フルオロメトロン(fluorometholone)、酢酸フルペロロン(fluperolone acetate)、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニゾロン(fluprednisolone)、フルラドレノリド(flurandrenolide)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ホルモコルタル(formocortal)、ハルシノニド(halcinonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol priopionate)、ハロメタゾン(halometasone)、酢酸ハロプレドン(halopredone acetate)、ヒドロコルタマート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、エタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン(meprednisone)、メチオプレドニゾロン(methyolprednisolone)、フロ酸モメタゾン(mometasone furoate)、パラメタゾン(paramethasone)、プレドニカルバート(prednicarbate)、プレドニゾロン(prednisolone)、25-ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン(prednisolone 25-diethylaminoacetate)、リン酸ナトリウムプレドニゾン(prednisone sodium phosphate)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルタール(tixocortal)、トリアムシノロン(triamcinolone)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)、トリアムシノロンヘキサセトニド(triamcinolone hexacetonide)、及びそれらの医薬として許容される塩が含まれる。アスピリン、アセトアミノフェン等の鎮痛剤及び/又は解熱剤の投与量は、当業者に既知であり得て、80mg〜250mgの範囲内であり得る。NSAIDの投与量は、当業者に既知であり得て、80mg〜500mgの範囲内であり得る。
【0226】
特定の態様において、追加的な治療剤は、抗生物質であり得る。そのような抗生物質は、潰瘍等の糖尿病性創傷がしばしば化膿するものである場合に特に有効である。抗生物質は、ベータ-ラクタム類(beta-lactams)、セファロスポリン類(cephalosporins)、カルバセフェム類(carbacephems)、セファマイシン類(cephamycins)、カルバペネム類(carbapenems)、モノバクタム類(monobactams)、キノロン類(quinolones)、テトラサイクリン類(tetracyclines)、アミノグリコシド類(aminoglycosides)、マクロライド類(macrolides)、グリコペプチド類(glycopeptides)、クロラムフェニコール類(chloramphenicols)、グリシルサイクリン類(glycylcyclines)、リコサミド類(licosamides)、及びフルオロキノロン類(fluoroquinolones)等の種類であり得る。抗生物質の例には、アミカシン(amikacin)、アモキシシリン(amoxicillin)、アンピシリン(ampicillin)、アキセチル(axetil)、アジスロマイシン(azithromycin)、アズロシリン(azlocillin)、アズトレオナム(aztreonam)、カルベニシリン(carbenicillin)、セファクロル(cefaclor)、セファマンドール蟻酸ナトリウム(cefamandole formate sodium)、セファゾリン(cefazolin)、セフェピン(cefepime)、セフェタメト(cefetamet)、セフェキシム(cefixime)、セフメタゾール(cefmetazole)、セフォニシド(cefonicid)、セフォペラゾン(cefoperazone)、セフォタキシム(cefotaxime)、セフォテタン(cefotetan)、セフォキシチン(cefoxitin)、セフポドキシム(cefpodoxime)、セフプロジル(cefprozil)、セフスロジン(cefsulodin)、セフタジジム(ceftazidime)、セフチゾキシム(ceftizoxime)、セフトリアキソン(ceftriaxone)、セフロキシム(cefuroxime)、セファレキシン(cephalexin)、セフェロチン(cephalothin)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)、シノキサシン(cinoxacin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クリンダマイシン(clindamycin)、クロキサシリン(cloxacillin)、共アモキシクラブラン酸塩(co-amoxiclavulanate)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、ソキシサイクリン(doxycycline)、エノキサシン(enoxacin)、エリスロマイシン(erythromycin)、エリスロマイシンエストレート(erythromycin estolate)、エリスロマイシンエチル蟻酸塩(erythromycin ethyl succinate)、グルコヘプタン酸エリスロマイシン(erythromycin glucoheptonate)、ラクトビオン酸エリスロマイシン(erythromycin lactobionate)、ステアリン酸エリスロマイシン(erythromycin stearate)、エタムブトール(ethambutol)、フレロキサシン(fleroxacin)、ゲンタマイシン(gentamicin)、イミペネム(imipenem)、イソニアジド(isoniazid)、カナマイシン(kanamycin)、レボフロキサシン(levofloxacin)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロレアカルベフ(loracarbef)、メロペネム(meropenem) メチシリン(methicillin)、メトロニダゾール(metronidazole)、メズロシリン(mezlocillin)、塩酸ミノサイクリン(minocycline hydrochloride)、ムピロシン(mupirocin)、塩酸モキシフロキサシン(moxifloxacin hydrochloride)、ナフシリン(nafcillin)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ネチルミシン(netilmicin)、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン(oxacillin)、ペニシリンG(penicillin G)、ピペラシリン(piperacillin)、ピラジナミド(pyrazinamide)、リファブチン(rifabutin)、リファムピシン(rifampicin)、リファムピンメトロニダゾール(rifampinmetronidazole)、リメトプリム-スルファメトキサゾール(rimethoprim-sulfamethoxazole)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、ストレプトマイシン(streptomycin)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、シネルシド(synercid)、テイコプラニン(teicoplanin)、テリスロマイシン(telithromycin)、塩酸テトラサイクリン(tetracycline hydrochloride)、チカルシリン(ticarcillin)、トブラマイシン(tobramycin)、トリエトプリム(trimethoprim)、バンコマイシン(vancomycin)、ピペラシリンとタゾバクタム(tazobactam)との組み合わせ、並びにそれらの誘導体及び/又は医薬として許容される塩が含まれる。
【0227】
幾つかの態様において、前記追加的な薬剤は抗真菌化合物であり、その例として、遊離塩基あるいは様々な医薬として許容される塩及びエステルとして存在する、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸、及びクロルヘキシジン(N,N''-bis(4-クロロフェニル)3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデ-カネジイミドアミド(canediimidamide))が挙げられる。幾つかの態様において、前記のような活性薬剤は、1つ以上の塩素化フェノール類であり、それらの多くが抗菌、抗細菌、抗ウイルス、若しくは抗真菌活性、又はそれらの幾つかを組み合わせて有するものである。本発明により使用され得る塩素化フェノール類化合物は、限定されないが、パラクロロメタキシレノール、ジクロロメタキシレノール、トリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2ヒドロキシジ-フェニルエーテル)、2-クロロフェノール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール、2,4-ジクロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノール、2,3,4,6-テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、4-クロロレゾルシノール、4,6-ジクロロレゾルシノール、2,4,6-トリクロロレゾルシノール、アルキルクロロフェノール類(p-アルキル-o-クロロフェノール類、o-アルキル-p-クロロフェノール類、ジアルキル-4-クロロフェノール、及びトリ-アルキル-4-クロロフェノールを含む)、ジクロロ-m-キシレノール、クロロクレゾール、o-ベンジル-p-クロロフェノール、3,4,6-トリクロロフェノール、4-クロロ-2-フェニルフェノール、6-クロロ-2-フェニルフェノール、o-ベンジル-p-クロロフェノール、及び2,4-ジクロロ-3,5-ジエチルフェノールを含む。好ましい塩素化フェノール類は、トリクロサン及びパラクロロメタキシレノールを含む。
【0228】
更に、幾つかの態様において、前記追加的な薬剤は、1つ以上の第四級アンモニウム化合物(例えば、モノマー性及びポリマー性第四級アンモニウム化合物等)であり、それらの多くが抗菌、抗細菌、抗ウイルス、若しくは抗真菌活性、又はそれらの活性の幾つかを組み合わせて有するものである。第四級アンモニウム化合物の例には、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、他のベンザルコニウム若しくはベンゼトニウムのハロゲン化物、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、N-ミリスチル-N-メチルモルホリニウムメチル硫酸塩、ポリ[N-[3-(ジメチルアンモニオ)プロピル]-N'-[3-(エチレンオキシエチレンジメチルアンモニオ)プロピル]尿素二塩化物]、アルファ-4-[1-tris(2-ヒドロキシエチル)塩化アンモニウム-2-ブテニル]-オメガ-tris(2-ヒドロキシエチル)塩化アンモニウム、ポリ[オキシ-エチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)-エチレン二塩化物]、エチルへキサデシルジメチルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルベンジル塩化アンモニウム、ジメチルベンジル塩化アンモニウム、及びセチルジメチルエチル臭化アンモニウムが含まれる。一の好ましい第四級アンモニウムは、塩化ベンザルコニウムである。
【0229】
他の態様において、前記追加的な治療剤は、神経保護剤から選択される。なぜなら、糖尿病性創傷は部分的に組織の神経衰弱に起因するためである。適切な神経保護剤には、ドネペジル(donepezil)、メマニン(memanine)、ニモジピン(nimodipine)、リルゾール(riluzole)、リバスチグミン(rivastigmine)、タクリン(tacrine)、TAKl 47、キサリプロデン(xaliproden)、及びそれらの混合物が含まれる。また、神経増殖因子も、追加的な治療剤として添加され得る。
【0230】
なおも他の態様において、前記追加的な治療剤は、例えばヒト血小板由来増殖因子-BB(2型糖尿病患者の下肢潰瘍を処置するための0.01%ゲル製剤であるべカプレルミン(becaplermin)として市販される)、血管内皮増殖因子、及び顆粒球コロニー刺激因子等の成長因子である。
【0231】
前記ヒドロキシルアミン誘導体は、任意の適切な手段により個体に提供され得て、好ましくは指向性投与(例えば創傷若しくは周辺組織への注射によるような局所的投与)又は全身投与(例えば、非経口若しくは経口投与)でなされ得る。前記化合物は、静脈内、皮下、筋肉内、眼窩内、眼科的、心室内、頭蓋内、嚢内(intracapsular)、髄腔内、嚢内(intracisternal)、腹腔内、口腔、直腸、膣、鼻腔内、又はエアロゾル投与等により、非経口的に提供され得る。好ましい態様によると、本発明に係る医薬組成物は、経口投与される。もう一の好ましい態様において、前記医薬組成物は、軟膏、パッチ/薬用包帯(medicated bandage)として、又は創傷部位に直接注射することにより局所的に投与される。
【0232】
担体材料と組み合わせられ得て単一の剤形を形成する前記化合物及び前記追加的な薬剤のいずれの量も、処置される宿主及び投与の具体的な方式に依存して変化し得る。好ましくは、本発明に係る組成物は、0.01〜1g/体重kg/日の間、好ましくは0.1〜300mg/体重kgの間の用量で投与され得るように製剤化されるべきである。前記化合物の用量は、患者の病態及び病状、並びに必要な1日用量に依存する。ヒトの処置において、経口1日用量は、好ましくは10〜300mgである。これらの用量は単位剤形において投与されるが、特定の場合、特に経口投与においては、各日の分の用量が2〜3個のより小さい用量に分割され得る。
【0233】
本発明に係る組成物において、本発明に係る複数の化合物は、組み合わせられたものと相互に相乗的に作用し得て、そして追加的な治療剤の存在下で更に相乗的に作用し得る。従って、そのような組成物中の化合物(単数又は複数)及び追加的な治療剤(単数又は複数)の量は、その治療剤のみを利用する単一治療において必要とされるよりも少量であり得る。そのような組成物において、0.1〜1g/体重kg/日の用量の追加的な治療剤が投与され得る。
【0234】
また、いずれかの特定の患者のための特定の用量及び治療計画が、採用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食生活、投与の時間、排出の速度、薬物の組み合わせ、及び処置を行う医師の判断、及び処置される特定の疾患の進行度を含む、様々な要因に依存し得ることも理解されたい。実施例におけるマウスに使用される用量のヒト相当分は、個々の患者の全体的生理状態(体重、年齢等)及びその創傷の状況に応じた投与量を調製するための信頼出来る開始点(starting point)として機能し得る。また、化合物の用量は、特定の化合物がその組成物中にあるか否かにも依存し得る。加えて、その有効量は、他の事象の中で、その化合物の体積、その化合物の生分解性、その化合物の生物活性、及びその化合物の生体利用効率に基づくものであり得る。その化合物が迅速に分解しないものであり、体内に吸収され、利用され得て、そして高い活性を有するとき、それが有効であるのにより少量で十分であり得る。対象に対して適切である実際の用量は、例えば一般的な開始点の情報を得た医師又は獣医師等の当業者による日常的な作業として、容易に判定され得る。
【0235】
前記化合物は、時間、日、週、月、年単位で送達され得て(例えば徐放製剤で)、又は1回送達であり得る。前記送達は、例えば静脈内送達等の、一定期間にかけての持続的送達であり得る。本明細書中に記載される方法の一の方法において、前記治療組成物は、1日あたり少なくとも1回投与される。一の態様において、前記治療組成物は毎日投与される。一の態様において、前記治療組成物は1日置きに投与される。一の態様において、前記治療組成物は、6〜8日ごとに、より具体的には毎週投与される。
【0236】
本発明に係る方法の一の態様は、本明細書中に記載の治療組成物を、徐放製剤の形で投与することである。そのような方法は、治療的に有効な用量のヒドロキシルアミン誘導体がその対象に持続的に送達されるような徐放性カプセル、坐薬、又はコーティングされた移植可能な医療用装置を移植することを含む。徐放性は、その目的で設計及び製剤化されたパッチを使用して達成することも出来る。前記ヒドロキシルアミン誘導体は、一定期間にかけてその薬剤又はペプチドの徐放性を許容するカプセルを介して送達され得る。放出制御又は徐放性組成物は、脂溶性デポー(例えば、脂肪酸、蝋、油脂等)の形での製剤を含む。ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン等)でコーティングされた粒状組成物も、本発明に包含される。徐放製剤若しくは装置、又は任意の局所製剤は、その組成物を安定化するための、又は皮膚若しくは粘膜等の生理的障壁を浸透するための組成物を追加的に含み得る。追加的な成分の例としては、任意の生理的に許容される界面活性剤(detergent)、又は例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒等が含まれる。
【0237】
本発明のもう一の側面は、糖尿病性創傷の治癒を亢進するためのヒドロキシルアミン誘導体を含む医薬組成物を提供する。そのような組成物は、ヒドロキシルアミン誘導体及び医薬として適切な担体を含む。
【0238】
それらの材料は、所望の投与経路に適合するように製剤化される。前記製剤は、医薬として許容される緩衝剤、安定化剤、局所麻酔薬、及び当業者に周知のそれらに類する薬剤を含む適切な賦形剤を含み得る。非経口投与において、例示的な製剤は滅菌溶液又は懸濁液であり得て;経口投与においては、シロップ、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、又は口当たりの良い溶液であり得て;吸入による投与においては、微結晶粉末、又は噴霧に適した溶液であり得て;膣内又は直腸内投与においては、ペッサリー、坐薬、クリーム又は発泡体であり得る。好ましい製剤は、経口投与のための製剤である。もう一の好ましい製剤は、局所投与のためのものである。
【0239】
これらの医薬組成物において使用され得る、適切な医薬として許容される担体は、限定的ではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩若しくは電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースを基礎とする物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含む。幾つかの態様において、前記医薬として許容される担体は、ステアリン酸マグネシウムである。通常許容され、及び使用される追加的な医薬賦形剤は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Gennaro, A., ed.), Mack Pub., 1990において見出される。
【0240】
実施例において記載されているように、本発明に使用可能な化合物は、糖尿病性創傷の動物モデルに投与された。それらの結果は、イロキサナジン及びアリモクロモルが、経口的に又は局所的に投与されたときに、糖尿病性創傷の治癒過程を促進することを示した。
【0241】
以下の実施例は、開示される本発明の例示であることを意図する。それらの実施例は限定的ではなく、そして当業者は、他の態様も開示される本発明の範囲内にあることを認識し得る。
【実施例】
【0242】
実施例1
db遺伝子をホモ接合で有するマウスは、本質的に個体を糖尿病に導く、中枢レプチン満腹受容体(central leptin satiety receptor)の欠損を呈するため、インスリン耐性糖尿病及び肥満を発症する。前記db/dbマウスは、糖尿病ではないマウスと比較して、創傷の治癒が遅延することが既に示されている。
【0243】
BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jホモ接合マウスは、自然発生的な糖尿病突然変異(Leprdb)を担持し、そして3〜4週齢辺りで特定可能な肥満を呈する。10〜14日で血漿中のインスリンの、そして4〜8週で血糖の上昇が始まる。ホモ接合突然変異マウスは、多食症であり、多渇症であり、そして多尿症である。C57BLKSをバックグラウンドとするこれらのマウスは、血糖の制御出来ない上昇、膵島のインスリン生産ベータ細胞の深刻な減少、及び10月齢以内の死亡を呈する。末梢神経障害及び心筋疾患が顕著であり、代謝効率が上昇し、そして創傷治癒が遅延する。前記BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jマウスは、糖尿病の特徴的な創傷治癒についてのよく特徴付けられたモデルを表す。
【0244】
70頭の雄BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jホモ接合マウスが、その手順の開始に先立ち、7日の間、順化を意図して飼育され、そして取り扱われた。0日、8週齢において、マウスの体重は26.1〜41.2gであり、コントロールとして、20頭の雄BKS.Cg-m +/" Leprdb/Jヘテロ接合マウスが同様に取り扱われた。0日、8週齢において、これらのマウスの体重は19.6〜25.1gであった。マウスは、それぞれが10頭のマウスから構成されるグループ(1)〜(9)に分けられた。
【0245】
0日において、グループA〜I(n=80)の各マウスに2つの全層創傷(full-thickness wound)が付けられた。グループ(1')及び(2')は後から到着したマウスで構成され、そしてそれらは14日後に前記実験手順に付された、即ちグループ(1')及び(2')(第2のdb/-コントロールの一時的コホート(temporal cohort)、n=10)において、14日目に同一の創傷手順がなされた。
【0246】
創傷手順
各マウスは約5〜10分間イソフルラン容器中に置かれた。各マウスは剃毛され、そして残った体毛を除去するのに脱毛クリーム(Nair)が用いられた。(体毛除去は、グループ(1)〜9においては創傷手順直前に、そしてクループ(1')及び(2')においては創傷の前日になされた)。創傷を付ける領域は70%アルコール及びノルバサン(Nolvasan)溶液で拭かれた。そして各マウスにブプレモルフィリンが注射され、そして創傷を付ける前に前記イソフルラン容器に戻された。創傷部位は、マウスの左背側及び右背側の2つの円形の領域をマークするインクスタンプと1cmのパンチ生検を使用して輪郭をとられた。前記創傷は、皮膚を鉗子で持ち上げ、湾曲したメッツェンバウムバサミを使用して、テンプレートに従い切ることにより付ける。ブプレノルフィンは、0.05〜0.1mg/kg SCの用量で投与される。それらの創傷は、Tegaderm包帯(dressing)で包まれ、その包帯は創傷を測定する間3日おきに、又は必要なときに交換された。
【0247】
皮膚に創傷を付けた直後に、その創傷の周辺の輪郭を透明な紙の上にとる(本手順において、マウスはイソフルラン麻酔を使用して動かないようにされた)ために、初期の創傷が細かいポイントメーカー(point maker)を使用することにより透写され、そして創傷の大きさは3日おきに透写された。その創傷が閉口しつつあるとき、サイズの評価は2日おきに実施され、そして必要とみなされる場合は毎日実施された。輪郭は、下記のコンピューター画像解析ソフトウェアを使用して、デジタル化、定量化、及び解析がなされた。
【0248】
前記マウスにおいて、創傷を付けられた日から、表1に記載された1日用量で投与が開始された。研究指揮者及び依頼者により創傷が閉口したものと判定されるまで、それらのマウスは日常的な処置を受け続けた。血中グルコースレベルは、最初に投与が予定された日に先立ちグルコメーターにより測定され、そしてその後は毎週、尾部の切り傷により回収された血液を使用して測定された。体重は、処置に先立って測定が開始され、毎週測定された。臨床的観察は、毎週実施された。
【0249】
【表1】
【0250】
創傷が閉口したとき、それらのマウスはCO2吸入によりサクリファイスされた。血液は末端心穿刺(terminal cardiac puncture)により回収され、そして血清に加工された。左右の創傷領域は、切り出され、そして標識が付けられたカセット内に置かれ、そして10%中性緩衝ホルマリンの瓶の中に入れられた。
【0251】
表2に示されるスケジュールに従い、データが収集される。
【0252】
【表2】
【0253】
正確を期するため、生のデータが再確認された(読まれ、そして理解された)。透明な紙上の創傷の透写図は、intuos.3アートパッドを使用して、Scion Image(Alpha 4.0.3.2)内に電子的に透写された。デジタル画像透写図は、周辺の長さ及び面積を測定するためにScion中で解析され、そして次元は、既知の次元を有する参照円のデジタル透写図と統一された。閉口のパーセントは、0日の創傷サイズ(0%閉口)を基準として、周辺の長さ及び面積のいずれにおいても計算された。同じマウスにおける創傷の閉口は、一定の関連性を有していた(ピアソン相関係数=0.71)。よってマウスは、閉口時間の中央値(実験単位として創傷が使用された)を除いて、全ての解析のための実験単位として使用された。
【0254】
14日目における閉口%を比較するためにANOVA分散試験が使用され、そしてdb/dbビヒクルコントロール(グループ(3))とペアワイズ比較をするためにスチューデントt検定が使用された。
【0255】
(1)各マウスにおける第一の創傷の閉口の、又は(2)各マウスにおける両方の創傷の閉口のエンドポイントを使用した閉口の時間は、比例ハザードモデルを使用した、JMP 6.0.0における生存率分析により解析された。前記比例ハザードモデルは、生存時間における説明変数の効果を試験するための特殊な半パラメーターモデルである(Cox, D.R., J. Royal Stat. Soc. Ser. B (Methodol), 1972, 34(2): 187-220)。各番号の集団の生存時間は、それ自身のハザード関数の後に要約されている。
【0256】
比例ハザードモデルは、半パラメーター的、即ち非パラメーター的側面とパラメーター的側面とのいずれも有する。不特定の任意のベースラインハザード関数を含む点において非パラメーター的であるが;共変量のパラメトリック形式を推測できるために、パラメーター的でもある。前記ベースラインハザード関数は、一般ハザード関数を与えるためのモデルの(時間依存的な)共変量の関数により見積もられる。カプラン・マイヤー分析と異なり、比例ハザードはパラメーターの推定値を計算し、そしてそれぞれの共変量における誤差を標準化する。説明変数と関連する回帰母数(β)及びそれらの標準誤差は、最尤法(maximum likelihood method)を使用して推定される。条件付き危険率(conditional risk ratio)(又は危険率)及びその信頼限界も、パラメーターの推定値から計算される。
【0257】
比例ハザードにおける生存推定値は、経験法(empirical method) (Lawless, J.L., "Statistical Models and Methods for Lifetime Data" John Wiley & Sons, Hoboken, New Jersey, 1982)を使用して算出され、そしてそれは生存関数S(t)の経験蓄積ハザード関数推定値であるH(t)を表し、そしてそれは、ハザード関数と一緒に、S0=exp(-H(t))と表記され得る(JMP 6.0.0 Help)。
【0258】
Spruance et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48, 2782- 279 (2004)によると、危険率は、治療試験により明らかにしようとする問題が、どの程度の処置がその疾患の期間を短縮し得るかという点である場合に、その結果を記述するためにも使用され得る。しかしながら、相対的リスクの1つの類型である前記危険率は、試験されている処置によりある疾患の期間がどの程度短縮したかを常に正確に描写するものではない。対象に対する利益の大きさを測定するために、例えば偽薬群及び薬物群の中央時間の比率等の、時間対イベントの曲線から得られる、時間を基礎としたパラメーターがより有用である。前記危険率は、治療下にある患者がより早く治癒する確率であるが、それはいかに早くこのイベントが生じ得るかについてのいずれの情報も伝えない。
【0259】
それぞれの創傷が閉口する中央値は、Analyze-it(登録商標)(vsn 1.73)を使用して測定された。この解析のために、実験単位として創傷が使用された。閉口時間の中間値の比較は、非パラメーター的中間値試験を使用してなされた。
【0260】
各動物のいずれの創傷も完全に閉口する平均時間は、実験単位としてマウスを使用して測定された。閉口時間の平均値の比較には、スチューデントt検定が使用された。
【0261】
閉口の速度は、製剤中にエタノール(EtOH)が含まれる期間(0〜8日)にかけて、その直後の期間(9〜12日)と比較して解析された。12日を越える更なる解析は、先入観を伴ったものとなり得る。なぜなら、14日を越えると数頭のマウスにおいて、創傷が完全な閉口に達し始めていたからである(閉口の速度が0まで減少する)。
【0262】
到着が遅れたために実験動物の半分が異なる時間に処置を受けた2つのヘテロ接合マウス群(グループ(1)及び(1')、グループ(2)及び(2'))は、各時間グループの実験の終了した後に組み合わせられた。それらの結果の図及び表において、これらのグループは、単純にグループ(1)及びグループ(2)と称される。
【0263】
本研究プロトコルから外れた計画外のマウスの死亡が9例確認されたが、それでも研究を完遂することが出来る90%の対象を生かすことが出来た。9つの死亡例の内8例は、イロキサナジンの最高用量(200mg/kg)を投与したグループ(グループ(2)及びグループ(8))において発生した。最高用量を投与したグループにおいてまとまって死亡例が発生したことは、この用量が最大耐量(MTD)を上回り、そしてLD50に達していた場合があることを示す。既に判定されているマウスにおけるイロキサナジンの急性経口LD50は3800mg/kgである。更に、ラットにおける亜慢性試験は、「副作用確認されない」レベル(NOAEL)は400mg/kgであることを示唆している。この予期せぬ毒性は、恐らく前記化合物がエタノールと共に投与されたためであると思われる。
【0264】
最高用量のイロキサナジン処置した糖尿病動物を除き、体重への顕著な影響は確認されなかった。図1A及びBを参照されたい。体重は、創傷が閉口するまで毎日測定された。グループ平均値の急変(増大/減少)は、創傷が閉口したときにされる安楽死(グループあたりの個体数の減少)の結果として生じる生存バイアスの結果であり得る。
【0265】
ANOVAの結果は、14日目における閉口のパーセンテージ(図2B〜E)、創傷治癒の中央値(図5A)、及び創傷が付けられた後に完全に治癒するまでの平均時間(図5B)において、糖尿病の動物では顕著な差異が存在しているが、糖尿病ではないコントロールではそうならないことを示唆した。また、時間に対する創傷の周辺の長さ(図2A)又は面積(図2F)の解析を参照されたい。これは、処置を受けた群において創傷の治癒が促進されていることを示唆する。
【0266】
加えて、生存解析においても、処置群に割り振られた個体における創傷の閉口が促進する可能性が高くなることが示唆された(図4A〜C)。パネル4A及び4Bは両方の創傷が閉口する確率を、パネル4Aはグラフとして、及びパネル4Bは数値として示し、並びにパネルCは、ホモ接合の糖尿病コントロール(グループ3)に対する、最初の創傷が閉口する確率を示す。これらの結果は、比例ハザードモデルを使用して解析された。両方の創傷の閉口において、糖尿病マウス(グループ(4)〜(8))において、用量依存的な態様で、閉口の確率とイロキサナジン投与との間の正の相関の傾向が存在した。また、アリモクロモルも、創傷が閉口(グループ9)する確率の増大において有効であることが示された。
【0267】
創傷が閉口する中央時間及び平均時間は、図5A〜Fに示されている。1つの各創傷の閉口する中央時間を、パネル5Aではグラフ的に、パネル5Bは数値的に示す。パネル5C及び5Dは、両方の創傷が閉口する平均時間を示す。これらの結果は、創傷が閉口する平均時間の有効な短縮を示すイロキサナジンの治癒の確率と同じ傾向を追う。
【0268】
パネル5Eは、実験期間中の2つの期間における創傷の治癒の速度を示す。早期(0〜8日)の間に、試験化合物はエタノールに入った状態でマウスに投与されるため、試験化合物の用量の変化に合わせてエタノールの用量も変化する。最後の第三の実験(9〜12日)は、エタノールを含まずに実行される。用量依存的な作用は明確ではないが、イロキサナジン又はアリモクロモルのいずれかが投与されたグループにおいて、創傷の閉口速度が統計的に関連性のある増大を示した。これらの結果は、図5Fの箱髭図においても示されている。各グループの左側の線のダイヤモンド型は、平均及び平均の周囲の信頼区間を示す。ダイヤモンドから垂直に伸びる線は、パラメーター的パーセンタイル範囲(parametric percentile range)を示す。各グループの右側のボビン型は、割れ目において中央値を、ボビン型の上端及び下端として上及び下四分位を、そして傾斜した部分として中央値の周囲の信頼区間を示す。点線は、上及び下四分位の1.5四分位範囲(IQR)内の最も近い観察を結ぶ。十字(+)及び小円(o)は、前記四分位から1.5IQR(近い外れ値)及び3.0IQR(遠い外れ値)以上において観察された、可能な外れ値(outlier)を示す。凡例の垂直線は、非パラメーター的パーセンタイル範囲を示す。
【0269】
実施例2
上記実施例1において記載された創傷が付けられた上記ホモ接合糖尿病マウスは、イロキサナジン又はアリモクロモルの局所投与により処置された。アリモクロモルの4%w/v水溶液が、創傷部位に局所的に個別に投与された。イロキサナジンの経口投与量は、IP, b.i.d.で10mg/kgであり、比較的低濃度であった。
【0270】
両方向ANOVAにより解析されたとき、経口投与によるイロキサナジンの全身投与は、若干の遅延の後、治癒の中期において治癒の促進を示す傾向があった(図6)。アリモクロモルによる処置は、アリモクロモルの局所投与を受けた創傷の治癒の促進を明確に示した。
【0271】
故に、本明細書中に記載されるヒドロキシルアミン化合物又は組成物が投与されたとき、糖尿病に苦しむ対象における創傷治癒プロセスが、統計的に顕著に促進する。
【0272】
本明細書中に含まれるいずれの特許及び非特許文献も、その全てにおいて本明細書中に参照により援用される。
【0273】
前記態様は例示のみを目的として提示されるものであり、限定を意図するものではない。当業者にあっては、本発明に従い、前記包括的な開示の範囲内で追加的な態様が検討されること、及び前記非限定的な実施例によりいかなる場合も権利範囲の除外を意図することはないことを認識し得る。
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により援用される2007年5月4日に出願された米国出願第60/927,603号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
米国の人口の6.3%である1820万人が糖尿病に罹患しており、毎年130万人が新たに糖尿病と診断されている。病的な代謝条件に加え、糖尿病は、創傷治癒の低下のため、非外傷性肢切断の主要な原因の一つである。
【0003】
治癒に対する糖尿病の影響は様々であり、多因子性であり、複雑であり、及び相互関連しており、そしてその障害の根底の機構は、不明な部分が多い。糖尿病において、炎症、肉芽形成(granulation)、組織形成、上皮再形成、血管形成、及びリンパ管形成等の、創傷治癒の相における多くの過程が損なわれる(Falanga, V, Lancet 2005, 366: 1736-1743)。糖尿病患者における創傷治癒の低下に寄与するもう一つの因子は、循環の阻害である。ストレプトゾトシン(STZ)処理により再現された1型糖尿病モデルマウス対象は、血圧により誘導される血管拡張が阻害された。従って、内皮機能不全も、糖尿病性潰瘍の形成及び/又は治癒の阻害の根底をなす因子の一員とみなされる(Sigaudo-Roussel et al, Diabetes 53 : 1564-1569, 2004)。更に、通常の創傷治癒における場合と比較して不十分な血管形成が部分的な原因である微小循環の阻害が、創傷治癒の阻害に寄与し得る。恐らくそのために、血管形成を推進する増殖因子及び薬剤が、糖尿病性創傷治癒を補助することが報告されている。例えば、Saaristo et al. , Am. J. Pathol. 2006, 169 : 1080-1087は、血管内皮増殖因子が糖尿病マウスモデル系における創傷治癒を改善したことを報告した。
【0004】
また、糖尿病性創傷は、炎症性細胞の機能の阻害、サイトカイン/増殖因子の分泌の低下、及び炎症相の延長により特徴付けられる(Wetzler, C. et al, J. Invest. Dermatol. 2000, 115:245-253)。
【0005】
足部潰瘍等の糖尿病性創傷のもう一の相様は、その神経障害である。これらの組織は、通常の神経支配を欠損しており、そして、糖尿病の直接の効果とは別に、神経の麻痺した組織が創傷治癒の阻害を被るという証拠が存在する(Smith, P.G. and Liu, M., Cell Tissue Res. 2002 Mar;307(3):281-91 Epub 2002 Feb 5)。神経成長因子等の増殖因子による処置は、創傷治癒を促進する手段であると提案されている。
【0006】
これらの幾つかの生物学的知見は糖尿病患者の治療において助けとなり得るが、例えば安定性、調製物のバッチ間一定性、又は大量入手可能性等に関して問題が無いとは言えない。故に、創傷治癒を亢進するのに有用な小分子の需要が存在する。更に、創傷治癒の阻害を含む糖尿病に伴う多発性症状の因果関係が未だに不明であり、そしてある因子が全体として創傷治癒に対して甚だしく顕著であり得るかが不明であるため、創傷を治癒する処置の方法が強く望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、治療を要する、即ち、例えば糖尿病に伴う足部潰瘍等の進行性の創傷を受けた対象に、効果的な量の1つ以上の特定のヒドロキシルアミン誘導体を投与することを含む、糖尿病に伴う創傷の治癒を亢進する方法を提供する。本発明の方法の実施に有用な特定のヒドロキシルアミン誘導体は、基本的に限定するものではないが、米国特許第5,147,879号、米国特許第6,143,741号、米国特許第6,653,326号、米国特許第6,649,628号、米国特許第6,384,029号、米国特許第5,328,906号、米国特許第5,296,606号、米国特許第5,919,796号、米国特許第6,002,002号、米国特許第6,180,787号、米国特許第6,384,029、及び米国特許公開公報第2005/0043295号において既に記載されているものを含む。
【0008】
本発明の方法における使用のために好ましい化合物は、
N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル) プロポキシ]-3 ピリジン-カルボキシイミドイル塩化物(ビモクロモル(bimoclomol))、
【0009】
【化1】
【0010】
N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル(arimoclomol))、
【0011】
【化2】
【0012】
5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン(iroxanadine))、
【0013】
【化3】
【0014】
及び、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ]2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物(化合物1(Compound 1))
【0015】
【化4】
である。
【0016】
である。
【0017】
上記化合物のいずれかの構造は、幾何異性体(即ち、E、Z)及び光学活性異性体(即ち、R、S)を含む、その化合物の全ての立体化学的形態を含むことが意図される。本化合物の単独の立体化学異性体の他に鏡像異性体及びジアステレオマーの混合物も、本発明の範囲内にある。特に断りの無い限り、下に描かれている式は、1つ以上の同位体標識された原子が存在する点のみが異なる化合物、及び先述したもののいずれの医薬として許容される塩の全てをも含むことが意図されている。
【0018】
上記化合物のいずれも、単独で、又は組み合わせられて、並びに糖尿病及び糖尿病に伴って発生する病態を処置するための1つ以上の追加的な治療剤と組み合わせられて使用され得る。好ましい追加的な治療剤が供給される。
【0019】
より一般的には、本発明の方法のある態様は、式(I)又は式(II):
【0020】
【化5】
【0021】
[式中、
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリールにおいて及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、又は置換されたヘテロアリール部分であり;
Zは共有結合、酸素又はNR3であり;
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、又はアリールにおいて及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルであり;
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
Xは、式(I)においてはハロゲン若しくは置換されたヒドロキシ、又はアミノ、一置換されたアミノ若しくは二置換されたアミノ基であり、式(II)においては酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり;
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール及び/又はアルキル部分を有するアラルキル、アシル、又は置換されたアシル基である]
で表される化合物、それらの医薬として許容される塩、又はそれらの水和物を含む医薬組成物を使用することによっても実施され得る。
【0022】
特定の態様において、本発明の方法は、1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体と組み合わせて1つ以上の追加的な治療剤を投与することを含む。好ましい態様において、前記方法は、アリモクロモルとイロキサナジンとの組合せを投与することを含む。もう一つの態様において、前記追加的な治療剤は、糖尿病に伴う症状を緩和する薬剤又は糖尿病性創傷から生ずる合併症を処置若しくは防止する薬剤である。具体的な態様において、前記追加的な治療剤は、抗炎症剤、抗生物質、抗真菌剤、抗細菌剤、成長因子、ホルモン、及び神経保護薬から選択される。
【0023】
また、本発明は、糖尿病性創傷の治療のための本発明に係る1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体を含む、そして任意的に、追加的な治療剤又は薬剤を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
特定の好ましい態様によると、本発明に係る医薬組成物は、当業者に知られ、及び許容される治療的環境下で、経口投与、局所投与、非経口投与、腹腔内投与、膣内投与、直腸内投与、又は任意の他の所望の投与経路により投与される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】実験タイムコースにかけてのマウスの体重の変化を示す。パネルAは、ホモ接合糖尿病マウスにおけるデータを示し、そしてパネルBはヘテロ接合、無症候マウスに置けるデータを示す。
【0026】
【図1B】実験タイムコースにかけてのマウスの体重の変化を示す。パネルAは、ホモ接合糖尿病マウスにおけるデータを示し、そしてパネルBはヘテロ接合、無症候マウスに置けるデータを示す。
【0027】
【図2A】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0028】
【図2B】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0029】
【図2C】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0030】
【図2D】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0031】
【図2E】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0032】
【図2F】イロキサナジン(群1、4〜8)、アリモクロモル(群2、9)が投与された、又は薬剤非投与(群3)のいずれかのときの創傷治癒の評価を示す。パネルAは、ホモ接合マウスにおける周辺の閉口(closure of the perimeter)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示し、そしてパネルB及びCは、ホモ接合マウスにおける14日間のANOVA解析の結果(Global p=0.003)を示す。パネルBはグラフとして、そしてパネルCは数値として表されている。パネルD及びEはヘテロ接合(糖尿病無症候)コントロール群における結果を示し、パネルDはグラフとして、そしてパネルEは数値として表されている。パネルFは、創傷領域の閉口(closure of the area of the wound)のパーセンテージを比較することによる治癒の評価を示す。
【0033】
【図3A】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0034】
【図3B】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0035】
【図3C】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0036】
【図3D】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0037】
【図3E】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0038】
【図3F】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0039】
【図3G】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0040】
【図3H】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0041】
【図3I】マウスと閉口した創傷との比率を示すKaplan-Meier曲線を示し、及びそれらに関する。パネルAは、ヘテロ接合のコントロール群と処理群との比較であり;パネルBはヘテロ接合のコントロール群とホモ接合のコントロール群との比較であり;パネルC〜Gはホモ接合の様々な濃度のイロキサナジンで処理した群とコントロール群との比較であり;及びパネルHはホモ接合の様々な濃度のアリモクロモルで処理した群とコントロール群との比較である。パネルIは、それらの結果を数値で表したものである。
【0042】
【図4A】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0043】
【図4B】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0044】
【図4C】各マウスにおける創傷が閉口するまでの時間の危険率(hazard ratio)、即ち、創傷の閉口の(各マウスにおける両方の創傷が閉口する)確率を示す。パネルA及びBは、両方の創傷が閉口するまでのデータを示しており、パネルAはグラフとして、及びパネルBは数値として表されている。そしてパネルCは、第一の創傷におけるデータを示す。
【0045】
【図5A】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0046】
【図5B】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0047】
【図5C】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0048】
【図5D】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0049】
【図5E】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0050】
【図5F】創傷が閉口するまでの時間を示す。パネルA及びBは、非パラメトリック解析により解析された、各創傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルAはグラフトして、おしてパネルBは数値として表している。パネルC及びDは、t-試験解析により解析された、両方の傷が閉口するまでの平均時間を示しており、パネルCはグラフとして、そしてパネルDは数値として表されている。パネルEは、0〜8日と9〜12日の2つの群として解析された、全ての群における創傷の率を表す。0〜8日の間の処置はサンプル中にエタノールを含み、そして9〜12日の間の処置はエタノールを含まなかった。パネルFは、各創傷が閉口するまでの時間の中央値及び平均値を箱髭図として表したもの及びグラフ表現の説明である。
【0051】
【図6】期間中(0〜20日)10mg/kg IPのイロキサナジンを1日2回全身投与したマウスとコントロールビヒクルを投与したマウスとの創傷治癒データを比較したものを表す。
【0052】
【図7】アリモクロモル(4%w/v水溶液、カルボキシメチルセルロースと共に)の局所投与を受けたマウスの創傷治癒データを示す。
【0053】
発明の詳細な説明
1.定義
便宜のため、本明細書、実施例、及び添付した態様において採用された特定の用語をここに集める。特段定義されていない限り、本明細書中で使用される技術及び学術用語は、本発明が属する分野の当業者により通常理解されるのと同一の意味を有する。
【0054】
「ある(a)」及び「ある(an)」という冠詞は、1つ以上(即ち少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の目的語を指すものとして本明細書中で使用される。例えば、「ある要素」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0055】
「含む(including)」という用語は、「限定的ではないが含む」という句と相互置換が可能なものとして本明細書中で使用される。
【0056】
「又は(or)」という用語は、本明細書中で、特に前後において明確に示していない限り、「及び/又は(and/or)」という用語を意味するものとして使用され、及びこれと相互置換が可能なものとして使用される。
【0057】
「〜等(such as)」という用語は、本明細書中で、「限定的ではないが〜等」という句を意味するものとして使用され、及びこれと相互置換が可能なものとして使用される。
【0058】
「障害(disorders)」及び「疾患(diseases)」という用語は包括的に使用され、そして身体の任意の部分、器官若しくは系(又はそれらの任意の組み合わせ)の、通常の構造又は機能からの任意の逸脱を指す。特定の疾患は、生物学的、化学的及び物理的な変化を含む特異的な症状及び兆候により明らかになり、そしてしばしば限定的ではないが、人口統計学的、環境的、職業的、遺伝的、及び病歴的要因を含む、様々な他の要因と関連する。特定の特異的な兆候、症状、及び関連する要素は、重要な診断情報を取得する様々な方法を通じて定量化され得る。
【0059】
「予防的な」又は「治療的な」処置という用語は、1つ以上の本発明に係る組成物を対象に投与することを指す。望ましくない状態の所見(例えば、宿主動物の症状又は他の望ましくない病態)に先立ち投与されるとき、その処置は予防的、即ち宿主動物において望ましくない状態が発症するのを防止、即ち防御するのに寄与するものである。一方、望ましくない状態の所見の後に投与されるとき、その処置は治療的である(即ち、望ましくない状態又はその副次的な影響の減退、改善、又は進行の防止を意図する)。
【0060】
「治療的効果」という用語は、動物において、具体的には哺乳類において、より具体的にはヒトにおいて、医薬活性物質(単数又は複数)により引き起こされる、局所的又は全身的な効果を指す。故に、前記用語は、疾患の診断、治癒、軽減、治療若しくは防止において、又は動物若しくはヒトの望ましい物理的若しくは精神的発達及び状態の亢進において使用されることが意図される。「治療的に有効な量」という句は、任意の処置に適用され得る合理的な利益/リスク比において、一定の局所的又は全身的効果をもたらすような物質の量を意味する。特定の態様において、ある化合物の治療的に有効な量は、その治療指数、溶解度、及びそれらに類するものに依存しうる。例えば、本発明に係る方法により見出された特定の化合物は、そのような処置に適用され得る合理的な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与され得る。
【0061】
「有効な量」という用語は、少なくとも1つの望ましい結果をもたらすのに適切な投与量及び投与計画で対象に投与されるときの治療剤の量を指す。
【0062】
本発明に係る方法により処置されるべき「対象」又は「患者」は、ヒト又はヒト以外の動物のいずれを意味し得て、好ましくは哺乳動物である。
【0063】
「ある障害を処置する必要がある対象」という用語は、その障害、指示的な症状、若しくはその障害に関連する代理マーカーを有すると診断された、又はその障害を有すると疑われる対象である。
【0064】
本明細書全体にかけて、「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」等の変体は、言及される整数又は複数の整数の群を含むが、他のいずれの整数又は複数の整数の群を排除しないことを暗示すると理解され得る。
【0065】
「アルキル」という用語は、1〜21個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素を指す。「短鎖アルキル」は、1〜8個の炭素原子を含むアルキル基を指す。短鎖アルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチル基を含む。好ましくは、前記短鎖アルキルは、1〜6個の炭素原子を含み、そしてメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、及びヘキシル基からなる群から選択される。「長鎖アルキル」は、9〜21個の炭素原子を含むアルキル基を意味する。長鎖アルキル基の例には、限定されないが、ノニル、で知る、生んで知る、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、及びヘンエイコシル(heneicosyl)基が含まれる。好ましくは、前記長鎖アルキルは、9〜17個の炭素原子を含み、そしてノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、及びヘプタデシル基からなる群から選択される。
【0066】
「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含む、単環式の、非芳香族の、炭化水素環系(ring system)を指す。「短シクロアルキル(Short cycloalkyl)鎖」は、3〜8個の炭素原子を含むシクロアルキル基を指す。例としては、限定的ではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル基が含まれる。好ましくは、前記シクロアルキル基は、3〜7個の炭素原子を含み、そしてシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルからなる群から選択される。
【0067】
「アリール」という用語は、6、10、12、又は14個の炭素原子を含む単環式又は多環式環系であり、その環系の少なくとも1つの環が芳香族であるものを指す。アリール環系の例は、限定されないが、フェニル、ナフチル、ペンタレニル、アントラセニル基を含む。好ましくは、前記アリール基は、フェニル又はナフチル基である。
【0068】
「アラルキル」という用語は、アルキル基の1つ以上の水素原子が1つ以上のアリール基(radical)で置換されたアルキル基を指す。アルキル基の例は、限定されないが、ベンジル、ベンズヒドリル、トリチル、1-フェニル-エチル、2-フェニルエチル、2-ベンズヒドリル-エチル、3-フェニルプロピル、1-メチル-2-フェニル-エチル、1-フェニルブチル、4-トリチルブチル、1,1-ジメチル-2-フェニルエチル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、及び6-フェニルへキシル基を含む。好ましくは、前記アラルキル基は、1〜4個の炭素原子を含み、フェニル基で置換された低級アルキル基である。好ましいアラルキル基は、限定されないが、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、及び1-メチル-2-フェニルエチル基を含む。
【0069】
「複素環式」という用語は、1〜15個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子を含み、任意的に不飽和結合を含むが芳香族ではない単環系を指す。ヘテロ原子は、独立して硫黄、窒素、又は酸素である。例としては、限定されないが、アジリジニル-、アゼチニジル-、オキサジラニル-、ピロリジニル-、イミダゾリジニル-、ピラゾリジニル-、ペルヒドロ-チアゾリル-、ペルヒドロ-イソキサゾリル-、ピペリジニル-、ピペラジニル-、ペルヒドロ-ピリミジニル-、ペルヒドロ-ピリダジニル-、モルホリニル-、ペルヒドロ-1H-アゼピニル、オキサゾリル、及びイソキサゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,4-オキサジアゾリル-等)が含まれる。好ましくは、前記複素環は3〜8員環系である。より好ましくは、前記前記複素環は、1〜2個の酸素原子及び1〜3個の窒素原子を含む、5〜6員環である。
【0070】
「ヘテロアリール」という用語は、1〜15個の炭素原子及び1〜4個のヘテロ原子を含む単環系又は多環系であり、それらの環系の少なくとも1つが芳香族であるものを指す。ヘテロ原子は、硫黄、窒素、又は酸素である。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、不飽和の3〜8員環である。より好ましくは、前記ヘテロアリール環は、5〜6員環の、1〜4個のNを含有する不飽和単環式複素環基である。例としては、限定されないが、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル基及びそのN-オキシド、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、並びにジヒドロトリアジニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1〜5個のN原子を含む多環式環である。例としては、限定されないが、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イドキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリジル、テトラゾロピリダジニル、及びジヒドロ-トリアゾロピリダジニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、不飽和環、1〜2個の酸素原子、及び1〜3個のN原子を含む多環式環である。例としては、限定されないが、ヘンゾキサゾリル及びベンゾキサジアゾリルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個のN原子を含む単環式の3〜8員環であり、より好ましくは5〜6員環である。例としては、限定されないが、チアゾリル、1,2-チアゾリル、チアゾリニル、及びチアジアゾリルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリール基は、1個の硫黄原子又は1個の酸素原子を含む、3〜8員の、より好ましくは5〜6員の単環式環である。例としては、限定されないが、チエニル及びフラニルが含まれる。好ましくは、前記ヘテロアリールは、1〜2個の硫黄原子及び1〜3個の窒素原子を含む二環式環である。例としては、限定されないが、ベンゾチアゾリル及びベンゾチアジアゾリルが含まれる。
【0071】
「アシル」基という用語は、短鎖アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル等)、短鎖アルコキシ-カルボニル(例えば、メトキシ-カルボニル、エトキシ-カルボニル、プロポキシ-カルボニル、ブトキシ-カルボニル、tert-ブトキシ-カルボニル等)、短鎖アルキル-スルホニル(例えば、メチル-スルホニル、エチル-スルホニル等)、アリール-スルホニル(例えば、フェニル-スルホニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等)、アリール-(短鎖アルカノイル)(例えば、フェニル-アセチル、フェニル-プロピオニル等)、シクロ-(短鎖アルキル)-(短鎖アルカノイル)(例えば、シクロヘキシル-アセチル等)、アリール-(短鎖アルコキシ)-カルボニル(例えば、ベンジルオキシ-カルボニル等)、アリール-カルバモイル(例えば、フェニル-カルバモイル、ナフチルカルバモイル等)、シクロアルキル-カルバモイル(例えば、シクロヘキシル-カルバモイル等)、ヘテロ-単環式スルホニル(例えば、チエニル-スルホニル、フリル-スルホニル等)であり得るアシル基を指す。アシル基は、上記のような1〜3個の置換基で任意的に置換され得る。
【0072】
「末端アミノ-アルキル(terminal amino-alkyl)」基という用語は、そのアルキル鎖の末端の位置において置換されたN原子を含み、その位置において、アルキル鎖が任意的に1つ以上の置換基で、好ましくは1つ以上のハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、ヒドロキシル基又はアシル化ヒドロキシル基で置換された、短鎖アルキル基である。好ましくは、1つ又は2つの短鎖アルキル基と、前記「アルキル」の定義は、上記のものと同様である。アルキル鎖のω-位におけるN原子は、1つ又は2つの短鎖アルキル置換基、好ましくはメチル-、エチル-、tert-ブチル等で、シクロアルキルカルバモイル-(例えば、シクロヘキシル-カルバモイル-等)で置換され得る。好ましくは、前記N分子は、1〜4個の窒素原子を含む飽和複素環基の部分であり得て、そしてアジリジニル、アゼチジニル、オキサジラニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ペルヒドロ-チアゾリル、ペルヒドロ-イソキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、ペルヒドロ-ピリミジニル、ペルヒドロ-ピリダジニル、モルホリニル、及びペルヒドロ-1H-アゼピニルからなる群から選択される。前記ω-位におけるN原子は、アリール基(例えば、フェニル等)で置換され得て、そして短鎖アルキル置換基により第四級化(quaternarize)し、又は更に酸化し得る。
【0073】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、又はIを指す。
【0074】
「任意的に置換された」アリール又はアルキルという用語は、1つ以上の置換基を有するアリール-又はアルキル基を指す。置換基の例としては、限定されないが、シアノ、ヒドロキシル、短鎖アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等)、短鎖アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチロキシ、tert-ペンチロキシ、へキシロキシ等)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル等)、ニトロ、アミノ、モノ-(短鎖アルキル)-置換アミノ(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル)-アミノ等、ジ-(短鎖アルキル)-置換アミノ(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジペンチルアミノ、ジヘキシルアミノ等)、モノハロゲン、ジハロゲン、若しくはトリハロゲン(短鎖)-アルキル(例えば、クロロメチル、2,2-ジクロロエチル、トリフルオロメチル等)、又はハロゲン原子(例えば、フルオロ-、クロロ-、ブロモ-、及びヨウ素分子)が含まれる。
【0075】
「吸収可能である(bioavailable)」という用語は、少なくとも一定の量の特定の化合物が体循環中に存在していることを意味する。経口的な吸収可能性の正式な計算は、F値("Fundamentals of Clinical Pharmacokinetics," John G. Wegner, Drug Intelligence Publications; Hamilton, 111. 1975)の観点から記述される。F値は、静脈注射後の体循環(例えば血漿)中の親薬物の濃度と、静脈内の経路ではない投与後の体循環中の親薬物の濃度との比率から求められる。故に、本発明の範囲内にある経口吸収可能性は、静脈内投与と比較された、経口投与後の血漿中で検出され得る親薬物の量の比率又はF値を意図する。
【0076】
「処置する(treating)」又は「処置(treatment)」という用語は、哺乳類、特にヒトにおける病態、疾患若しくは障害の少なくとも症状の面における緩和若しくは軽減、又は病態、疾患若しくは障害に関連した確認可能な測定の改善を意味することが意図される。
【0077】
「医薬として許容される誘導体」という用語は、レシピエントに対する投与に応じて、本発明に係る化合物、又はその代謝物若しくは残留物(residue)を提供し得る、本発明に係る化合物の医薬として許容される任意の塩、エステル、又はそのようなエステルの塩、又は他の関連する任意の化合物を指す。
【0078】
2.態様
本発明は、処置を要する対象、即ち、例えば足部潰瘍等の糖尿病に併発する創傷が発生した対象に、有効な量の1つ以上の特定のヒドロキシルアミン誘導体を投与することを含む、糖尿病に付随する創傷の治癒を亢進する方法に関する。本発明に係る方法を実施するために有用なヒドロキシルアミン誘導体は、例えば、
米国特許第5,147,879号、米国特許第6,143,741号、米国特許第6,653,326号、米国特許第6,649,628号、米国特許第6,384,029号、米国特許第5,328,906号、米国特許第5,296,606号、米国特許第5,919,796号、米国特許第6,002,002号、米国特許第6,180,787号、米国特許第6,384,029及び米国特許公報第2005/0043295号において既に記載されているものを含む。
【0079】
一の態様において、本発明に係る方法は、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-3ピリジン-カルボキシイミドイル-塩化物(ビオクロモル):
【0080】
【化6】
【0081】
を投与する工程を含む。
【0082】
ビオクロモルは、米国特許第5,147,879号に記載されており、そして類似化合物の分野の当業者に周知の方法により調製され得る。特に、本明細書中に参照により援用される米国特許第6,180,787号を参照されたい。ビオクロモルは、ラセミ混合物である。
【0083】
もう一の態様において、本発明に係る方法は、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル)、
【0084】
【化7】
【0085】
を投与する工程を含む。
【0086】
本明細書の他の部分において記載されているように、アリモクロモルは、糖尿病に苦しむ患者を処置するために使用され得る。特に、本発明は、創傷治癒を亢進するためのアリモクロモルの使用を記載する。
【0087】
アリモクロモルは、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。例えば、米国特許第6,649,628号及びPCT公開WO 01/79174(これらは本明細書中に参照により援用される)を参照されたい。アリモクロモルは、(+)鏡像体である。
【0088】
本発明に係るなおももう一の態様は、5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン)
【0089】
【化8】
【0090】
を活用する。
【0091】
イロキサナジン及び関連する化合物は、PCT公開WO 98/06400及び米国特許第6,384,029(これらは本明細書中に参照により援用される)において既に記載されており、そして、例えばこれらの公報に記載される、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。イロキサナジンは、特に虚血後の還元相中で、内皮細胞をストレスから保護するその作用により既に認識されている。Kabakov et al, Cell. Mol. Life Sci 61(2004) 3076-3086を参照されたい。
【0092】
本発明に係る方法の実施に有用なもう一の化合物は、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ-2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物(化合物1)
【0093】
【化9】
【0094】
である。
【0095】
化合物1は、類似化合物の分野における当業者に周知の方法により調製され得る。例えば、本明細書中に参照により援用される、米国特許第6,649,628号及びPCT公開WO 01/79174号を参照されたい。化合物1は、例えば、上記参照中のアリモクロモルを調製する方法を、例えばCN-ピリジンの代わりにCF3-シアノベンゼンから開始し、そしてtert-ブチルアミンでピペリジンを置き換えること等によっても調製され得る。
【0096】
これらの化合物は、内皮細胞の保護を亢進(イロキサナジン)するものとして又は糖尿病性及び他の神経症を緩和(アリモクロモル)するものとして既に記載されている。糖尿病に苦しむ患者における創傷治癒を亢進するためのこれらの化合物の新規な用途が、本発明としてここに記載される。
【0097】
特定の態様において、アリモクロモル、イロキサナジン、及び化合物1の、単独若しくはそれぞれの組み合わせ、又は他の治療剤の組み合わせは、糖尿病性創傷の治癒の亢進に有効であることが見出される。好ましい態様において、単離されたアリモクロモル、イロキサナジン、及び化合物1の、単独若しくはそれぞれの組み合わせ、又は他の治療剤の組み合わせは、創傷治癒を亢進するために、糖尿病に苦しむ対象に投与される。
【0098】
より一般的には、本発明の特定の態様は、式(I)又は式(II):
【0099】
【化10】
【0100】
で表される化合物、及びそれらの医薬として許容される塩を含む医薬組成物を使用して遂行され得る。ここで、式(I)及び(II)で表されるそれぞれの化合物において:
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール基であり;
Zは共有結合、酸素又はNR3であり;
R3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、又はアリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
式(I)のXはハロゲン若しくは置換されたヒドロキシ若しくはアミノ、一置換されたアミノ又は二置換されたアミノ基であり、そして、式(II)のXは酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり;そして
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール及び/若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アシル又は置換されたアシル基である。
【0101】
上記化合物のいずれの式も、幾何異性体(即ちE、Z)及び光学活性異性体(即ちR、S)を含む、その化合物の全ての立体化学的形態を含むことが意図される。本化合物の単独の立体異性体の他、鏡像混合物及びジアステレオマー混合物も、本発明の範囲内である。特段主張されていない限り、本明細書中に描かれる式は、1つ以上の同位体標識原子が存在する点のみ異なる化合物をも含むことを意味する。例えば、水素がジュウテリウム若しくはとリチウムで置換された点、又は炭素が13C-若しくは14C-標識炭素で置換された点以外は前記式と同一の式で表される化合物は、本発明の範囲内である。
【0102】
幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、ヒドロキシル基と直接接触する炭素において「R」配置を有する。幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、ヒドロキシル基と直接接触する炭素において「S」配置を有する。
【0103】
幾つかの態様において、式(I)又は(II)で表される化合物は、炭素-窒素二重結合を中心として「E」配置を有する。幾つかの態様において、式(I)又は(II)は、炭素-窒素二重結合を中心として「Z」配置を有する。
【0104】
一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、そしてXはハロゲンである。本態様の幾つかの側面において、Xはクロロ又はブロモである。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(v)S-含有ヘテロアリール基、及び(vi)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、又は好ましくはアルコキシである1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の他の側面において、Aは、アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルコキシ及びニトロからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む、置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aはピリジルである。本態様の更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0105】
Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである、式(I)で表される化合物は、それぞれが本明細書中に参照により援用される米国特許第5,147,879号、5,328,906号、及び第5,296,606号に記載されている。これらの化合物は、前記米国特許において記載される手順により、好ましくは適切なハロゲン化水素(hydrohalide)の存在下で関連する誘導体をジアゾ化する(XがNH2であるとき)ことにより調製され得る。開始化合物は、例えばハンガリー特許第177.578号(1976年)に記載される既知の手順等により、即ち、式(1)(R1=R2=H)で表されるアミドキシム:
【0106】
【化11】
【0107】
と、例えば式(2)で表される反応性誘導体:
【0108】
【化12】
【0109】
等とを、塩基の存在下で共役させることにより収得され得て、そして通常は単離又は精製をすること無くジアゾ化され得る。前記末端基A及びRは、更に必要に応じてアミド化(amidify)又は誘導体化(derivatize)され得る。
【0110】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、Xは置換されたヒドロキシ基のO-Qであり、ここでQは置換された、若しくは置換されていないアルキル又はアラルキル基である。本態様の一の側面において、Qは直鎖又は分岐鎖アルキルである。本態様の一の側面において、Aはアリール又はヘテロアリールであり;そしてRは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノアルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、AはN-含有複素芳香族基である。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基(i)〜(iv)のいずれも、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0111】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、XはO-Qであり、Zは共有結合であり、そしてRは-CH2-CH(OH)-R"である。前記化合物は、ヒドロキシ基を通じて環化し、それは式(I'):
【0112】
【化13】
【0113】
で表され:R"は直鎖又は分岐鎖アルキル及び置換された直鎖又は分岐鎖アルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R"は、任意的にそのアミノ基が置換される末端アミノ-アシルである。本態様の幾つかの側面において、R"は、C1〜5直鎖又は分岐鎖アルキルでそのアミノ基が置換される末端アミノ-アルキルである。幾つかの側面において、R"は、アミノ基が一置換又は二置換される末端アミノ-アシルであり、ここでアミノ置換基は、互いに独立して、1つ又は2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はシクロアルキルであり得て、あるいは2つのアミノ置換基が隣接するN-原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成し得る。幾つかの側面において、前記複素環式環は、任意的に追加的なヘテロ原子を含む、5〜7員環である。幾つかの側面において、Aは、フェニル、置換されたフェニル、N-含有ヘテロアリール、置換されたN-含有ヘテロアリール、S-含有ヘテロアリール、及び置換されたS-含有ヘテロアリールからなる群から選択される。
【0114】
Zが共有結合であり、そしてXがO-Qである式(I')で表される化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第2385/1992号に記載されている。これらの化合物は、Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである式(I)で表される化合物から、例えばアルコキシドとの反応、又はアルカリ閉環(alkaline ring closure)等の、式(I')で表される化合物をもたらすハンガリー特許出願第2385/1992号に記載される手順により生産され得る。
【0115】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、そしてXはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、独立して、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルであり、あるいはR1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって飽和した3〜7員の複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、R1及びR2は、飽和した3〜7員の複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノ-アルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの態様において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本発明の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(v)S-含有ヘテロアリール基、及び(vi)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又は1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは1つ以上のアルコキシ基で置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、ニトロ、及びアシルアミノ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を含む、置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0116】
Zが共有結合であり、そしてXがNR1R2である式(I)で表される化合物は、それぞれが本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許第177578号(1976年)及び米国特許第6,653,326号において開示される。これらの化合物は、塩基の存在下で、式(II)で表される化合物の反応性誘導体により、式(I)(R'= R2=H)で表される化合物の置換されていないアミドキシキムをアルキル化することにより合成され得る。
【0117】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物において、Zは共有結合であり、XはNR1R2であり、そしてRは-CH2-CH(OH)-R"である。その化合物は、NR1R2基を通じて環化し、そして式(I''):
【0118】
【化14】
【0119】
で表され、ここでR''は、直鎖若しくは分岐鎖アルキル又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキルである。R1は、水素、置換されていない又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、置換されていないアラルキル、並びにアリール-及びアルキル部分で置換されたアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、 (i)アリール又は置換されたアリール;(ii)ナフチル;(iii) ベンゼン環で縮合され得るものを含む、N-含有ヘテロアリール基;(iv)S-含有ヘテロアリール基;及び(v)O-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。幾つかの側面において、Aは、1つ以上のアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ又はニトロ基を含む、置換されたフェニルである。更なる側面において、R''は、(i)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル、及び(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)のいずれかは、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。幾つかの態様において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)は、二置換されたアミノ部分を有し、ここでそれらの置換基は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成する。幾つかの態様において、前記複素環式環は5〜7員であり、場合によっては追加的なヘテロ原子を含む。幾つかの側面において、末端アミノアルキル基(i)又は(ii)において、前記アミノ-置換基は、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基又はシクロアルキルである。
【0120】
式(I'')で表される化合物は、Zが共有結合であり、そしてXが=NR1R2であり(ここでR1は上記式(I'')で表される化合物に関連して定義されたものであり、R2はHである)、Rが--CH2--CHY5--R"である(ここで、は例えばハロゲン原子のような離脱基である)、式(I)で表される開鎖化合物を使用して、N(4)--C(5)間の原子を閉環することにより、調製され得る。そのような誘導体は、例えば塩化チオニル又は五塩化リン等の無機ハロゲン化剤を用いて、対応するY5=OHである化合物から収得され得る。前記ハロゲン化は、例えばベンゼン、クロロホルム、テロラヒドロツラン(tetrahydroturane)等の存在下又は非存在下で、通常は沸騰させることにより実行され得る。例えば塩化チオニルの蒸発等により過剰の薬剤を除去した後、例えばt-ブタノール中のカリウムブトキシド等の強塩基処理による単離又は精製後、又はそれらを行わず、粗ハロゲン誘導体は環状化され、最終的に標準的な手順(抽出、再結晶化等)により単離及び精製される式(I'')で表される化合物が得られる。
【0121】
一の態様によると、式(I)で表される化合物において、Zは酸素であり、XはO-Qであり、ここでQはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aがアルキル又は置換されたアルキルであるとき、それは1〜4個の炭素原子を含む。幾つかの側面において、Aは、C1-4アルキル又は置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。
【0122】
Zが酸素であり、そしてXがO-Qである式(I)で表される化合物は、O-置換された式(6)で表されるヒドロキシルアミン(例えば、Ger. Off. 2,651,083(1976年)):及び式(7)で表されるオルソエステル:
【0123】
【化15】
の反応により調製され得る。
【0124】
濃縮は、薬剤それ自体を溶媒として、好ましくは沸騰させることにより実行され得る。蒸発後、その生産物は、アミン機能が側鎖R中に存在するとき、酸付加塩の形態で、結晶化により単離され得る。
【0125】
一の態様によると、式(I)で表される化合物において、Zは酸素であり、XはNR1R2であり、そしてR1及びR2は、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール、及び置換されたアリールからなる群から独立して選択され、又はR1及びR2はそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成する。幾つかの側面において、R1及びR2は、5〜7員の飽和複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アルキル又は置換されたアルキル;(iii)アラルキル又は置換されたアリール及び/若しくは置換されたアルキル部分を有するアラルキル;及び(iv)アリール又は置換されたアリールからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル又は置換されたフェニルである。
【0126】
式(I)で表される化合物は以下に記載されるように調製され得て、それらの方法は、Xの性質、即ちXが修飾されていないアミノ(NH2)であるか、又は置換されたアミノ官能基(amino functionality)であるかに依存する。
【0127】
XがNH2である式(I)で表される化合物は、式(6)で表されるヒドロキシルアミンを、式A--O--CN(例えば、Chem. Ber. 98, 144 (1965)を参照されたい)で表される有機シアン酸塩に添加することにより調整され得る。その反応は、好ましくは不活性の有機溶媒中で、通常は室温で実行される。その単離は、通常はクロマトグラフィー精製を必要とする。
【0128】
Xが一置換されたアミノ基(例えばNHR1)である式(I)で表される化合物は、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は炭酸ナトリウム等の無機塩基の存在下で、ベンゼン、テトラヒドロツラン等の中で、式(9):
【0129】
【化16】
【0130】
で表される既知のハロホルムイミデート(haloformimidate)(例えば、Houben-Weil, "Methoden der Organischen Chemie," Band E/4, p.544 (1983)を参照されたい)及び式(6)で表される化合物から調製され得て、その後通常の検査及び精製手順がなされる。
【0131】
Xが二置換されたアミノ基である式(I)で表される化合物は、式5で表される第二級アミンと、Zが酸素でありXがO-Qである式(I)で表される化合物(上記方法により調製され得る)とを反応させることにより調製され得る:
【0132】
【化17】
【0133】
これらのアミノ化反応は、例えばエタノール等の極性有機溶媒中で、必要な場合は還流することにより遂行される。
【0134】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキルであり;並びにXはNR1R2であり、ここでR1及びR2はH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、アリール又は置換されたアリール、シクロアルキルからなる群から選択され、あるいはR1とR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成する。
【0135】
本態様の幾つかの側面において、Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキル、アリール、及び置換されたアリール基からなる群から選択される。幾つかの側面において、R1及びR2は、飽和した5〜7員の複素環式環を形成する。本態様の更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノ-アルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換される。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0136】
ZがNR3であり、そしてXがNR1R2である式(I)で表される化合物は、上記化合物(即ちZが酸素であり、XがNR1R2である式(I)で表される化合物)の群に属する対応するイソ尿素(isourea)誘導体を、アンモニア又は第一級若しくは第二級アミンを用いてアミノ分解することにより生産され得る。前記反応は、好ましくは、例えば水又はエタノール等の極性溶媒中で、過剰のアミンを使用して実行され得る。あるいは、式(10):
【0137】
【化18】
【0138】
で表されるハロホルムアミド(Houben-Weil "Methoden der Organischen Chemie," Band E/4, page 553 (1983))は、有機又は無機塩基の存在下で、式(6)で表される化合物と反応し得て、同様にこの群の化合物がもたらされる。
【0139】
前記反応は、不活性の有機溶媒中で、通常は室温で実行され得る。
【0140】
Rが式(b):
【0141】
【化19】
【0142】
で表される基であり、Rがアシルである式(I)で表される化合物は、R7として水素を含む対応化合物をエステル化することにより調製され得る。それらのアルキル又はアリールエステルは、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、酸塩化物又は無水物を使用することにより収得され得る。
【0143】
しかしながら、上記化合物の群は、以下の構造:
【0144】
【化20】
【0145】
{式中、
R1はH又はC1-5アルキルであり、
R2はH、C1-5アルキル、OHで置換されたC3〜8シクロアルキル若しくはフェニル又はフェニルであり、あるいはR1及びR2が、隣接する窒素原子と一緒になって、任意的に1つ以上の追加的なN、O、又はS原子(単数又は複数)を含み、ベンゼン環で縮合され得る、5〜8員飽和又は不飽和環を形成し、
R3はH、又は任意的に1つ以上のハロ若しくはC1-4アルコキシで置換されるフェニル、ナフチル、若しくはピリジニルであり、
Aは式(a)、
【0146】
【化21】
【0147】
[式中、
はH又はフェニルであり、
はH又はフェニルであり、
Mは0、1、又は2であり、そして
Nは0、1、又は2である]
で表される基である}
で表されるヒドロキシルアミン誘導体を含まないことを理解されたい。
【0148】
もう一の態様によると、本発明は、式(II)で表される化合物を提供する。本態様の一の側面において、式(II)の化合物において、Zは共有結合であり、そしてXは酸素である。本態様の更なる側面において、Aは、(i)アルキル、アラルキル、又は置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)N-含有ヘテロアリール基;及び(iv)S-含有ヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル、又は1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロアルキル、及びアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0149】
更なる側面において、Rは、(i)末端アミノ-アルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0150】
更なる側面において、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。
【0151】
この群に属する化合物は、本明細書中に参照により援用される、ハンガリー特許出願第2385/1992号に開示されている。これらの化合物は、本明細書中に記載される方法に従い調製され得て、最も好ましくは、それらは式(6)の構造を有するO-置換されたヒドロキシルアミン誘導体(例えば、Ger. Off. 2,651,083 (1976)も参照されたい)を、式(11):
【0152】
【化22】
【0153】
の構造を有する酸塩化物でアシル化することにより収得され得る
【0154】
また、この経路は、R1が水素以外であり、開始材料として式(6)の代わりに式(12):
【0155】
【化23】
【0156】
で表される化合物を使用する化合物の調製にも採用され得る。
【0157】
もう一の態様によると、式(II)で表される化合物において、Zは化学結合であり;XはNR4であり、ここでR4はH、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール若しくは置換されたアルキル基を有するアラルキル、シクロアルキルからなる群から選択されるものであり;そしてR4はアルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくは置換されたアルキルを有するアラルキルからなる群から選択されるものである。本態様の幾つかの側面において、Aは、(i)アラルキル又は置換されたアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)ナフチル;(iv)N-含有ヘテロアリール基;及び(v)S-含有ヘテロアリール基である。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、1つ以上のアルコキシ基により置換されたフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、ハロアルキル、及びニトロからなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、Aはピリジルである。
【0158】
幾つかの態様において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0159】
これらの化合物は、式(13):
【0160】
【化24】
【0161】
で表されるN,N'-二置換アミドキシムを式(2)で表される化合物でO-アルキル化することにより(反応条件は、Zが共有結合であり、XがNR1R2である式(I)で表される化合物の調製の項を参照されたい)、又は式(12)で表されるN,O-二置換を式(16):
【0162】
【化25】
【0163】
で表されるハロゲン化イミドイルでO-アシル化することのいずれかにより調製され得る。
【0164】
前記反応は、不活性溶媒中で、好ましくは有機又は無機酸捕捉剤(scavenger)の存在下で実行され得る。
【0165】
Rが式(b)
【0166】
【化26】
【0167】
で表される基であり、Rがアシルである化合物は、R7として水素を含む対応化合物をエステル化することにより調製され得る。それらのアルキル又はアリールエステルは、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、酸塩化物又は無水物を使用することにより収得され得る。
【0168】
一の態様によると、式(II)で表される化合物において、Zは酸素であり、そしてXは酸素である。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分で置換されたアラルキルからなる群から選択される。幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;及び(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分A)を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。本態様の幾つかの側面において、は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又はアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。
【0169】
本態様によると、前記化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第1756/95号(1995年6月15日に出願された)に記載されている。これらの化合物は、式(6)又は式(12)の構造を有するヒドロキシルアミンを、Zが共有結合であり、そしてXが酸素である式(II)で表される化合物の合成の項において記載されたものと同様な、単純な酸塩化物の場合と同様の方法で、式(14)の構造を有するクロロ蟻酸エステルでアシル化することにより調製され得る。前記反応は、無機又は有機塩基の存在を要し、そして例えばクロロホルム等の不活性溶媒中で実行され得る。副産物の塩は、例えば水による抽出等の方法により除去され、そして前記生産物は、有機溶媒から単離される。
【0170】
なおももう一の態様において、式(II)で表される化合物において、Zは酸素であり;XはNR4であり、ここでR4は、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール若しくは置換されたアルキル基を有する置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、及び置換されたヘテロアリール基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aは、置換されていない、又は置換されたフェニルである。
【0171】
本態様の幾つかの側面において、Rは、アルキル鎖中にヒドロキシ又はアシロキシ基を適宜含み、そして任意的にアミンの窒素が置換され、ここで前記アルキル鎖が好ましくは3〜8個の炭素原子を含むω-アミノアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R'は、置換されていてもいなくともよいアルキル、アリール、又はアラルキル基からなる群から選択される。
【0172】
本態様によると、Xが酸素であり、XがNR1R2である式(I)で表されるこれらの化合物は、同様に、有機塩基(例えばトリエチルアミン)又は例えば炭酸ナトリウム等の無機塩基の存在下で、ベンゼン又はテトラヒドロフラン等の不活性溶媒中で、式(9)の構造を有するハロホルムイミデート及び式(12)の構造を有する化合物から調製され得て、その後通常の検査及び精製手順がなされる。
【0173】
もう一の態様において、式(II)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール若しくは置換されたアルキル部分を有するアラルキルからなる群から選択され;そしてXは酸素である。本態様の幾つかの側面において、Aは、
(i)アラルキル又は置換されたアルキル若しくはアリール部分を有するアラルキル;(ii)アリール又は置換されたアリール;(iii)N-含有ヘテロアルキル基;(iv) 直鎖又は分岐鎖のアルキル又は置換されたアルキル;及び(v)シクロアルキル基からなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又は1つ以上の置換基を有するフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル又は置換されたフェニルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル、及びニトロ基からなる群から選択される1つ以上の置換基を含む置換されたフェニルである。本態様の他の側面において、aが(iv)であるとき、前記アルキル基は、4〜12個の炭素原子を含む。
【0174】
本態様の幾つかの側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。幾つかの態様において、R1は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アリール、置換されたアリール、アシル、及び置換されたアシル基からなる群から選択される。
【0175】
本態様によると、これらの化合物は、本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許出願第1756/95号に記載されており、そして、式(6)又は式(12)の構造を有するヒドロキシルアミン化合物と、式(15):
【0176】
【化27】
【0177】
構造を有するイソシアン酸塩とを、不活性溶媒中で、通常それらの混合物を室温で2〜24時間単に攪拌して反応させることにより調製され得る。最後に、それらの生産物は溶媒の蒸発後に単離され得る。幾つかの側面において、前記生産物は、結晶化により単離され得る。
【0178】
もう一の態様において、式(II)で表される化合物において、ZはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有するアラルキルであり;XはNR4であり、ここでR4はH、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、及び置換されたアリール又は置換されたアルキル基を有するアラルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;並びにR'はアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、置換されたアリール又は置換されたアルキル部分を有する置換されたアラルキル、アリール及び置換されたアリールからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R3は、水素、アルキル、及び置換されたアルキルからなる群から選択され;R4は、水素又はアリール基であり;そしてAは、アルキル、置換されたアルキル、アリール及び置換されたアリール、又はアリール及び/若しくはアルキル部分において置換され得るアラルキルからなる群から選択されるものである。更なる側面において、Rは、(i)末端アミノアルキル、(ii)一置換又は二置換されたアミノ部分を有する末端アミノ-アルキル;(iii)置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキル;(iv)一置換又は二置換されたアミノ部分を有し、かつ置換されたアルキル部分を有する末端アミノアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、Rが(iv)であるとき、前記アルキル基は、ヒドロキシ又はアシロキシ基で置換されたものである。本態様の幾つかの側面において、前記末端アミノ-アルキル基は、炭素原子が3〜8個のアルキル部分である。
【0179】
本態様によると、前記化合物は、対応するイソ尿素誘導体(Zが酸素であり、XがNR4である式(II)で表される化合物)を、第一級若しくは第二級アミン又はアンモニアでアミノ分解することにより調製され得る。前記反応は、好ましくは例えば水又はエタノール等の極性溶媒中で、過剰のアミンを使用して実行され得る。あるいは、前記化合物は、式(10)で表されるハロホルムアミジン(haloformamidine)を、式(12)で表される化合物と、有機又は無機塩基の存在下で、不活性溶媒中で、通常はそれらの沸点で反応させることにより調製され得る。
【0180】
一の態様によると、本発明は、
Xがハロゲンであり;
Zが化学結合であり、そして
Aが、Y1がハロ、アルコキシ、ニトロ基及びハロアルキル基からなる群から選択され;そしてnが1、2、若しくは3であり;又はベンゼン環で縮合され得るO-含有ヘテロアルキル、S-含有ヘテロアルキル、若しくはN-含有ヘテロアルキル基である式(a)で表される基であり;そして
Rが、R5及びR6が、互いに独立してH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され、又はR5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員の複素環式環を形成し;Y6が-OR7であり、ここでR7はH又はアシル基であり;kは1、2、又は3である式(b)の構造を有する基であり、
Aがピリジル又はナフチル、又は式(a)で表される基であるときに限っては、Y1はハロ又はアルコキシ、そしてR7はH以外である、
式(I)で表される化合物を提供する。これらの化合物は、任意的に、Aとして、N-第四級C1-4アルキルを有するN-含有複素芳香族基、又は前記N-含有複素芳香族基のオキシド、並びに/又は末端基R6及びR7により形成される環がN-酸化飽和複素環式環であるRを含み得る。
【0181】
本態様の幾つかの側面において、Xはクロロ又はブロモである。本発明の幾つかの側面において、Y1は1〜4個の炭素原子を含むハロアルキルである。他の態様において、Y1は、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、C1-4アルキルである。他の態様において、R5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、好ましくは形成される環は5〜7員複素環式環である。幾つかの態様において、R7は、アルキルカルボニル、置換されたアルキルカルボニル、アリールカルボニル、又は置換されたアリールカルボニル、及びアミノアシル、又は置換されたアミノアシルからなる群から選択される。
【0182】
本態様の幾つかの側面において、Aは、YIがトリフルオロメチルである式(a)で表される基である。本態様の幾つかの側面において、Xはハロであり、Aはピリジルであり、Zは化学結合であり、そしてRは、R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択され、又はR5及びR6が隣接するN原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、Y6はR7がアミノアシルである-OR7であり、kが1、2、若しくは3であり、そしてmが1、2、若しくは3である式(b)で表される基である。幾つかの側面において、R5及びR6は、独立してC1-4アルキル又はシクロアルキルである。他の側面において、R5及びR6は、隣接するN原子と一緒になって、飽和5〜7員複素環式環を形成する。本態様のそれぞれの側面によると、それらの化合物は光学的に活性であり得る。
【0183】
本態様によると、これらの化合物は、それぞれ本明細書中に参照により援用される米国特許第5,147,879号;第5,398,906号;及び第5,996,606号に記載されるものに似た手順を使用して調製され得る。例えば、R5及びR6のいずれも水素でない化合物は、米国特許第5,147,879号;第5,328,906号;及び第5,296,606号に記載されている手順と同様に、相当するNH2誘導体(即ち、Zが共有結合であり、そしてXがNH2である式(I)で表される化合物)を、適切なハロゲン化水素中でジアゾ化することにより調製され得る。また、前記開始化合物は、例えば本明細書中に参照により援用されるハンガリー特許第177578号に記載されている既知の手順によっても、即ち式(1)のR1及びR2がHである式(1)の構造を有するアミドキシムを、例えば式(2)の構造を有する反応誘導体と、塩基の存在下で共役させることによっても収得され得て、そして通常は、単離又は精製をせずにジアゾ化され得る。
【0184】
あるいは、R7がHでありmが1である化合物において、その化合物は、式(3)で表されるオキシラン(oxyrane)と式(4)で表されるアミンとを反応させることにより調製され得る。また、本手順は、R5がHである化合物の調製にも使用され得る。
【0185】
あるいは、Rが式(b)で表され、そしてR7がアシル基である化合物において、それらの化合物は、R7がHである対応化合物をエステル化することにより調製され得る。アルキル又はアリールエステルは、酸塩化物又は無水物を用いて、第三級アミン又は無機塩基の存在下で、好ましくは不活性溶媒中で、場合によっては二相系中で水性無機塩基を使用するショッテン・バウマン(Schotten-Bauman)法により収得され得る。アミノアシルエステルの調製において、カルボキシル-活性化N-保護化アミノ酸誘導体(carboxyl-activated N-protected amino acid derivative)(例えば活性エステル)は、ペプチド化学から一般的に知られる手順における試薬として使用され得る。また、この共役は、塩基(例えばトリエチルアミン)の存在も必要である。生産物の単離及び精製は、標準的な調製技術を使用することにより遂行され得る。最終調製物は、しばしば適切な有機又は無機酸との塩の形態で存在し得る。キラルアミノ酸から開始する場合、生産物はしばしばR基の中に第二のキラル中心を有するジアステレオマーであり得る。単離の過程で、これらのジアステレオマーはしばしば分離され、そしてその生産物は立体化学的に純粋な形態(stereo-pure form)で収得され得る。
【0186】
式(I)で表される化合物のなおももう一の態様において、
Zは化学結合であり、
Xはハロであり、
Aは式(c)で表される基であり、Rは式(d):
【0187】
【化28】
【0188】
[式中、
分子中に少なくとも1つ存在するべきY2及びY3の1つ又は両方が酸素、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル又は置換されたアルキルであり、
kが1、2、又は3であり;そして
mが1、2、又は3である]
で表される基である。Y2及びY3は点線をもって付される。本態様の幾つかの態様において、Xはクロロ又はブロモである。前記化合物が一価又は二価のカチオンであるとき、そのアニオンは、1つ又は2つのハロゲン化物イオンである。本態様の幾つかの側面において、前記アニオンはヨウ化物イオンである。
【0189】
本態様によると、前記化合物は、例えばN-酸化(N-oxidation)又は第四級化(quaternerization)等による、置換されていない前駆体における末端ピリジン及び/又はピペリジン基を化学修飾することにより調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は、不活性溶媒中で過酸を用いて酸化することにより調製され得る。本態様の更なる側面において、前記過酸は、置換された過ベンズ酸である。本態様の更なる側面において、前記不活性溶媒は、クロロホルム又はジクロロメタンである。いずれの酸化可能な基(oxidizable group)も存在しているとき、使用される試薬の量に依存して一酸化物又は二酸化物が形成され得る。酸化反応の最後に、過剰の試薬は分解され、その生産物は蒸発により単離される。本態様の他の側面において、前記化合物は、第四級化により調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は、ハロゲン化アルキルを用いた第四級化により調製され得る。本態様の幾つかの側面において、前記ハロゲン化アルキルはヨウ化メチルである。本態様の更なる側面において、前記化合物は、適切な溶媒中で前記試薬を還流することにより調製され得る。幾つかの側面において、前記溶媒はアセトンである。本態様の幾つかの側面において、前記化合物は媒体に不溶であり、そして単純な濾過により単離され得る。
【0190】
式(I)で表される化合物のなおももう一の態様において、
Zは化学結合であり、
Aはアルキル、置換されたアルキル、フェニル、1つ以上の置換基を有する置換されたフェニル、ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアルキル基、及び硫黄含有ヘテロ芳香族基からなる群から選択されるものであり;
XはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、H、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであり、及びR1及びR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し得るものであり;
Rは、式(e)
【0191】
【化29】
【0192】
[式中、
R5及びR6は、水素、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又は置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであり、あるいはR1及びR2は、それらと結合する窒素原子と一緒になって飽和3〜7員複素環式環を形成し、そこに追加的な原子及び置換基を含み得るものであり;
Y4は、H、アルキル、及び1〜4個の炭素原子を有する置換されたアルキルからなる群から選択されるものであり;
Y5は、H、アルキル、及び1〜4個の炭素原子を有する置換されたアルキルからなる群から選択されるものであり;又は、R7がH若しくはアシルであるOR7であり;
Kは1、2、又は3であり;そして
mは1、2、又は3である]
で表される基であり;
Aが、置換されていない、又はハロゲン若しくはアルコキシで置換されたフェニル、あるいはアルコキシで置換されたフェニルアルキル、あるいはピリジル基であり、そしてR7がHである場合に限り、R1及びR2の少なくとも1つはH以外であり、あるいはAが置換されていないフェニル、又はハロゲンで置換された、若しくはアルコキシで置換されたアルコキシフェニルアルキルで置換されたフェニルであるとき、あるいはピリジルであるとき、並びにR1及びR2のそれぞれがHであるとき、R7はH以外である。
【0193】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル又はフェニルである。幾つかの側面において、Aがフェニルアルキルであるとき、そのフェニルは、1つ以上のアルコキシ基で置換され得る。幾つかの側面において、前記アルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有する。他の側面において、Aは、1つ以上の置換基を有する置換されたフェニルである。幾つかの側面において、前記置換基は、アルキル、好ましくは1〜4この炭素原子を有するアルキル若しくはハロアルキル、ハロ、アシルアミノ、又はニトロ基からなる群から選択される。他の側面において、Aは、ピロリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、及びチエニルからなる群から選択される。幾つかの側面において、Aがヘテロアリール基であるとき、それは1つ以上のアルキル、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキルで置換され得る。
【0194】
本態様の幾つかの側面において、R1及びR2は、互いに独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキルである。他の側面において、R1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になったとき、それらは飽和5〜7員複素環式環を形成する。
【0195】
本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立して1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。他の側面において、R5及びR6がそれらと結合する窒素原子と一緒になって環を形成するとき、その環は飽和5〜7員複素環式環であり、そこには追加的な原子及び置換基が含まれ得る。この側面において、前記置換基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり得る。
【0196】
本態様によると、XがNH2である化合物は、上述の手順と同様に、式(1)のR1及びR2がHである式(1)で表される対応化合物と、式2で表される化合物とを反応させることにより調製され得る。式2で表されるアルキル化剤は、ヒドロキシル及び/又はアミノ置換基を含み得る。前記反応においては、無機又は有機塩基が存在し、好ましい態様でアルコール性アルコラート溶液(alcoholic alcoholate solution)が、媒体及び基剤として使用されることが望まれる。前記化合物は、適切な有機又は無機酸との塩として単離され得る。
【0197】
本態様によると、R1及びR2のいずれか1つ以上がH以外である化合物は、2つの方法により調製され得る。第一の方法において、R1及び/又はR2において所望される置換基を有する式(1)で表されるアミドキシムが、上記項において記載された手順と同様に、式(2)で表される反応化合物と反応させられ得る。開始材料として使用される式(1)で表される置換されたアミドキシムは、文献により既知である。例えば、本明細書中に参照により援用されるChem. Rev. 62, 155-183 (1962)を参照されたい。
【0198】
第二の方法において、Zが共有結合であり、そしてXがハロゲンである式(I)で表される化合物中のハロゲン原子の、式(5)で表されるアミンによる置換も、同様の化合物をもたらし得る。R基(Y4 =OH)においてOH置換基を有する誘導体の場合、このヒドロキシル基は、式(F)で表される環状誘導体の形成が所望される場合を除き、置換反応前には保護され、置換反応後には脱保護される。保護において、例えばテトラヒドロピラニル基等のアセチル型保護基が最も適切であることが確認されている。前記保護は、保護されていない化合物をジヒドロピランと反応させ、その後ハロゲン/アミン転移することにより実行される。この反応は、通常例えばアルコール等の溶媒中で還流することを要する。最終的に、前記生産物の脱保護は、例えばp-トルエンスルホン酸の存在下でのエタノール溶液の沸騰等による、酸性処理により達成され得る。
【0199】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物は、Y5がアシロキシ基であるものを含む。それらは、Y5がOHである対応化合物をアシル化することにより調製され得て、この方法は文献により既知(例えば、ハンガリー特許第177578号)であり、又は本発明中に記載されている。前記反応は、R7がアシル基である類似ハロ誘導体において記載されるものと同様に達成され得る。
【0200】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物には、Zが酸素であるか、又はR3が置換されていない、若しくは置換されたアルキル基であるNR3であり;Xが、R1及びR2が水素、置換されていない若しくは置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキル基からなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって任意的に1つ以上のヘテロ原子を含む3〜7員の飽和複素環式環を形成するものも含まれる。本態様によると、Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキル基からなる群から選択される。本態様の更なる態様によると、Rは、R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものである、式(b)で表される基である。この態様によると、Y6は、H、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である。
【0201】
本態様の一の側面において、R1及びR2は、互いに独立してフェニルである。他の側面において、R1及びR2がそれらと結合する窒素原子と一緒になって環を形成するときは、その環は任意的に1つ以上のヘテロ原子を含む5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの側面によると、Aはフェニル又は置換されたフェニル基である。幾つかの側面によると、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。あるいは、幾つかの側面によると、R5及びR6はそれらと結合する窒素原子と一緒になって3〜7員環を形成し、その環は5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの態様によると、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0202】
もう一の態様によると、式(I)で表される化合物には、
Zが酸素であり、
Xが、Qが置換されていない若しくは置換されたアルキル又は置換されていない、若しくは置換されたアラルキル基である-ORであり、
Aが置換されていない若しくは置換されたアルコキシ基又は置換されていない若しくは置換されたアラルキル基であり、そして、
Rが、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0203】
本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらが結合する窒素原子と一緒になったとき、3〜7員の複素環式環を形成し、好ましくはその環は、5〜7員の飽和複素環式環である。幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0204】
もう一の態様において、式(I)で表される化合物には、
Aが置換されていない若しくは置換されたアリール、N-含有複素芳香族基、及びS-含有複素芳香族基からなる群から選択されるものであり、
Zは化学結合であり、
Xは、QがC1-4アルキルである-OQであり、そして
Rは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0205】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルである。他の側面において、Aはピリジルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって、5〜7員の複素環式環を形成する。
【0206】
本態様によると、これらの化合物は、Xがハロである式(X)で表される対応化合物と対応アルコラートとを、好ましくは前記アルコラートに対応するアルコール中で、好ましくは還流することにより反応させることにより調製され得る。前記反応混合物は、当該技術分野で既知の方法により処理され得て、そしてその生産物はクロマトグラフィー又は塩形成により単離され得る。
【0207】
なおももう一の態様において、式(II)で表される化合物は、
Xが酸素であり、
Aは、C1-2O直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、置換されていない若しくは置換されたアラルキル、ナフチル、及びN-含有複素芳香族基からなる群から選択され、
Zが化学結合であり、
R'は、水素、C1-4アルキル及びアラルキルからなる群から選択され、
Zは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がHである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3であり、
Aがアルキル以外であり、そしてR1がHである場合に限り、Y6はHである
ものを含む。
【0208】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニル又はハロフェニルである。他の側面においてAはピリジルである。本態様の幾つかの側面において、R'はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、独立して選択されるC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員飽和複素環式環を形成する。
【0209】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Zが共有結合、酸素、及びR3が水素又は置換されていない若しくは置換されたアルキル基であるNR3基からなる群から選択され、
Xが、R4が水素、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換された若しくは置換されていないアラルキルからなる群から選択される=NR4である
ものも含まれる。本態様によると、
Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、置換されていない若しくは置換されたアラルキル、及びシクロプロピルからなる群から選択され、
R'は置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアリール、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキルから選択され、
Rは、式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がH若しくはアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものも含まれる。
【0210】
本態様の幾つかの側面において、R4はフェニル又はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、Aは、フェニル、置換されたフェニル、及びフェニルアルキルからなる群から選択される。本態様の幾つかの側面において、R'はフェニル又はフェニルアルキルである。本態様の幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員の飽和複素環式環を形成する。本態様の幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0211】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Xが酸素であり、
Aは、置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていない若しくは置換されたアラルキルであり、
Zが酸素であり、
R'はアルキル又はアラルキルであり、好ましくはフェニルアルキルであり、
Rは、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がHであるか、又はR7がH又はアシルである-OR7であり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である、
式(b)で表される基である
ものも含まれる。幾つかの側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって、5〜7員の複素環式環を形成する。幾つかの側面において、R7は、置換されていない又は置換されたアルキルカルボニル又はアリールカルボニルである。
【0212】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキルである。幾つかの側面において、R'はフェニルアルキルである。
【0213】
なおももう一の態様によると、式(II)で表される化合物には、Xが酸素であり、Zが=NHであるものも含まれる。
【0214】
一の態様によると、式(II)で表される化合物は、
Aが置換されていない若しくは置換されたアルキル、シクロアルキル、及び置換されていない若しくは置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rは式(b)で表される基であり、
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH又は-OHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものを含む。
【0215】
本態様の幾つかの側面において、Aはフェニルアルキル、置換されていないフェニル、又はハロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ若しくはニトロで置換されたフェニルである。他の側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって5〜7員の飽和複素環式環を形成する。
【0216】
一の態様によると、式(II)で表される化合物は、
Aが、式(A)
【0217】
【化30】
【0218】
[式中、
Y1はハロアルキルであり、
Nは1、2、又は3である]
で表される基であり、
R’はHであり、そして
Rは式(b)で表される基であるり
R5及びR6がH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、及びシクロアルキルからなる群から互いに独立して選択されるものであるか、又はR5及びR6がそれらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものであり、
Y6がH又は-OHであり、
kが1、2、又は3であり、そして
mが1、2、又は3である
ものを含む。
【0219】
本態様の幾つかの側面において、Y1はトリフルオロメチルである。他の側面において、R5及びR6は、互いに独立してC1-4アルキルである。他の側面において、R5及びR6は、それらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の飽和複素環式環を形成するものである。
【0220】
一の態様によると、式(II)で表される化合物には、
Aが、置換されていないフェニル、ハロ若しくはニトロで置換されたフェニル、及びN含有ヘテロアリールからなる群から選択され、
R1がHであり、そして
R''が、アミノ基が一置換若しくは二置換された末端アミノ-アルキルであり、そのアルキル鎖が1〜5個の炭素原子を有し、そしてそれらのアミノ置換基が、互いに独立して1つ若しくは2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルであるか、あるいはそれらのアミノ置換基が、それらと結合するN原子と一緒になって3〜7員の、好ましくは5〜7員の飽和複素環式環を形成し、あるいはそのN-第四級C1-4アルキル誘導体であり、
Aが3-ピリジルであるときに限り、R''が1-ピペリジニルメチルではない、
式(I'')で表される環状化合物も含まれる。
【0221】
上記ヒドロキシルアミン誘導体は、例えば、塩酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩等の、医薬として許容される塩の形態であり得る。特定の態様において、前記塩は、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、又はリンゴ酸塩である。
【0222】
上記いずれかの化合物は、糖尿病性創傷の処置のために、単独で、又は1つ以上の追加的な治療剤と任意的に組み合わせられて使用され得る。上記いずれかの化合物において、例えばアルキル、ヘテロアルキル、ハロゲン等の特定の化学的特性を共有する属(genus)であるとして示され、又は記載されている部分であっても、それぞれがその属の他のメンバーから区別され、そして分けられることが意図される。
【0223】
他の態様において、本発明に係る方法は、糖尿病性創傷に苦しむ対象に対して1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体及び1つ以上の追加的な治療剤を投与することを含む。特定の態様において、前記追加的な治療剤は、抗炎症剤、解熱剤、抗生物質、高真菌剤、高ウイルス剤、成長因子、ホルモン、及び神経保護剤を含む。
【0224】
抗炎症剤及び/又は解熱剤は:非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、アミノアリールカルボン酸誘導体、例えばエンフェナム酸(enfenamic acid)、エトフェナム酸塩(etofenamate)、フルフェナム酸、(flufenamic acid)、イソニキシン(isonixin)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、メフェナム酸(mefanamic acid)、ニフルミン酸(niflumic acid)、タルニフルミン酸塩(talniflumate)、テロフェナム酸塩(terofenamate )、及びトルフェナム酸(tolfenamic acid)等; アリール酢酸誘導体、例えばアセメタシン(acemetacin)、アルクロフェナク(alclofenac)、アムフェナク(amfenac)、ブフェナマク(bufexamac)、シンメタシン(cinmetacin)、クロピラク(clopirac)、ジクロフェナクナトリウム(diclofenac sodium)、エトドラク(etodolac)、フェルビオナク(felbinac)、フェンクロフェナク(fenclofenac)、フェンクロラク(fenclorac)、フェンクロジン酸(fenclozic acid)、フェンチアザク(fentiazac)、グルカメタシン(glucametacin)、イブフェナク(ibufenac)、インドメタシン(indomethacin)、イソフェゾラク(isofezolac)、イソキセパック(isoxepac)、ロナゾラク(lonazolac)、メチアジン酸(metiazinic acid)、オキサメタシン(oxametacine)、プログルメタシン(proglumetacin)、スリンダク(sulindac)、タイラミド(tiaramide)、トルメチン(tolmetin)及びゾメピラク(zomepirac)等; アリール酪酸誘導体、例えばブマジゾン(bumadizon)、ブチブフェン(butibufen)、フェンブフェン(fenbufen)及びキセンブシン(xenbucin)等; アリールカルボン酸誘導体、例えばクリダナク(clidanac)、ケトロラク(ketorolac)及びチノリジン(tinoridin)等;アリールプロピオン酸、例えばアルミノプロフェン(alminoprofen)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ブクロキソン酸(bucloxic acid;カルプロフェン(carprofen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルビプロフェン(flurbiprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、イノdプロフェン(indoprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン(naproxen)、オキサプロジン(oxaprozin)、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジン酸(protizinic acid)、スプロフェン(suprofen)及びタアプロフェン酸(tiaprofenic acid)等;ピラゾール、例えばジフェナミゾール(difenamizole)及びエピリゾール(epirizole);ピラゾール、例えばアパゾン(apazone)、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、フェプラゾン(feprazone)、モフェブタゾン(mofebutazone)、モラゾン(morazone)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、フェニブタゾン(phenybutazone)、ピペブゾン(pipebuzone)、プロピフェナゾン(propyphenazone)、ラミフェナゾン(ramifenazone)、スクシブゾン(suxibuzone)、及びチアゾリノブタゾン(thiazolinobutazone)等;サリチル酸誘導体、例えばアセトアミノサロールacetaminosalol)、アスピリン(aspirin)、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム(calcium acetylsalicylate)、ジフルニサル(diflunisal)、エテルサラート(etersalate)、フェンドザル(fendosal)、ゲンチジン酸(gentisic acid)、サリチル酸グリコール(glycol salicylate)、サリチル酸イミダゾール(imidazole salicylate)、リシンアセチルサリチル酸(lysine acetylsalicylate)、メサラミン(mesalamine)、サリチル酸モルホリン(morpholine salicylate)、1-ナフチルサリチル酸(1-naphthyl salicylate)、オルサラジン(olsalazine)、パルサルミド(parsalmide)、アセチルサリチル酸フェニル(phenyl acetylsalicylate)、サリチル酸フェニル(phenyl salicylate)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミンo−酢酸(salicylamine o-acetic acid)、サリチル硫酸(salicylsulfuric acid)、サルサラート(salsalate)、及びスルファサラジン(sulfasalazine)等; チアジンカルボキシアミド(thiazinecarboxamide)、例えばドロキシカム(droxicam)、イソキシカム(isoxicam)、ピロキシカム(piroxicam)、及びテノキシカム(tenoxicam)等;その他、例えばアセトアミドカプロン酸(acetamidocaproic acid)、s-アデノシルメチオニン(s-adenosylmethionine)、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸(3-amino-4- hydroxybutyric acid)、アミキトリン(amixetrine)、ベンダザク(bendazac)、ベンジダミン(benzydamine)、ブコローム(bucolome)、ジフェンピラミド(difenpiramide)、ジタゾール(ditazol)、エモルファゾン(emorfazone)、グアイアズレン(guaiazulene)、ナブメトン(nabumetone)、ニメスリド(nimesulide)、オルゴテイン(orgotein)、オキサセプロール(oxaceprol)、パラニリン(paranyline)、ペリソキサル(perisoxal)、ピフォキシム(pifoxime)、プロクアゾン(proquazone)、プロキサゾール(proxazole)及びテニダップ(tenidap);並びにそれらの医薬として許容される塩;ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド;並びに他の鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン(acetaminophen)、及び鎮静剤(opiate)であり得る。
【0225】
ステロイド性抗炎症治療剤(グルココルチコイド)には、限定されないが、21-アセトキシプレフネノロン(21-acetoxyprefnenolone)、アルクロメタゾン(alclometasone)、アルゲストン(algestone)、アミシノニド(amicinonide)、ベクロメタゾン(beclomethasone)、ベタメタゾン(betamethasone)、ブデゾニド(budesonide)、クロロプレドニゾン(chloroprednisone)、クロベタゾール(clobetasol)、クロベタゾン(clobetasone)、クロコルトロン(clocortolone)、クロプレドノール(cloprednol)、コルチコステロン(corticosterone)、コルチゾン(cortisone)、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコルト(deflazacort)、デソニド(desonide)、デソキシメタゾン(desoximetasone)、デキサメタメタゾン(dexamethasone)、ジフロラゾン(diflorasone)、ジフルコルトロン(diflucortolone)、ジフルプレドネート(difluprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコルト(fluazacort)、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン(flumehtasone)、フルニソリド(flunisolide)、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオコルトロン(fluocortolone)、フルオロメトロン(fluorometholone)、酢酸フルペロロン(fluperolone acetate)、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニゾロン(fluprednisolone)、フルラドレノリド(flurandrenolide)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ホルモコルタル(formocortal)、ハルシノニド(halcinonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol priopionate)、ハロメタゾン(halometasone)、酢酸ハロプレドン(halopredone acetate)、ヒドロコルタマート(hydrocortamate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、エタボン酸ロテプレドノール(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン(meprednisone)、メチオプレドニゾロン(methyolprednisolone)、フロ酸モメタゾン(mometasone furoate)、パラメタゾン(paramethasone)、プレドニカルバート(prednicarbate)、プレドニゾロン(prednisolone)、25-ジエチルアミノ酢酸プレドニゾロン(prednisolone 25-diethylaminoacetate)、リン酸ナトリウムプレドニゾン(prednisone sodium phosphate)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルタール(tixocortal)、トリアムシノロン(triamcinolone)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)、トリアムシノロンヘキサセトニド(triamcinolone hexacetonide)、及びそれらの医薬として許容される塩が含まれる。アスピリン、アセトアミノフェン等の鎮痛剤及び/又は解熱剤の投与量は、当業者に既知であり得て、80mg〜250mgの範囲内であり得る。NSAIDの投与量は、当業者に既知であり得て、80mg〜500mgの範囲内であり得る。
【0226】
特定の態様において、追加的な治療剤は、抗生物質であり得る。そのような抗生物質は、潰瘍等の糖尿病性創傷がしばしば化膿するものである場合に特に有効である。抗生物質は、ベータ-ラクタム類(beta-lactams)、セファロスポリン類(cephalosporins)、カルバセフェム類(carbacephems)、セファマイシン類(cephamycins)、カルバペネム類(carbapenems)、モノバクタム類(monobactams)、キノロン類(quinolones)、テトラサイクリン類(tetracyclines)、アミノグリコシド類(aminoglycosides)、マクロライド類(macrolides)、グリコペプチド類(glycopeptides)、クロラムフェニコール類(chloramphenicols)、グリシルサイクリン類(glycylcyclines)、リコサミド類(licosamides)、及びフルオロキノロン類(fluoroquinolones)等の種類であり得る。抗生物質の例には、アミカシン(amikacin)、アモキシシリン(amoxicillin)、アンピシリン(ampicillin)、アキセチル(axetil)、アジスロマイシン(azithromycin)、アズロシリン(azlocillin)、アズトレオナム(aztreonam)、カルベニシリン(carbenicillin)、セファクロル(cefaclor)、セファマンドール蟻酸ナトリウム(cefamandole formate sodium)、セファゾリン(cefazolin)、セフェピン(cefepime)、セフェタメト(cefetamet)、セフェキシム(cefixime)、セフメタゾール(cefmetazole)、セフォニシド(cefonicid)、セフォペラゾン(cefoperazone)、セフォタキシム(cefotaxime)、セフォテタン(cefotetan)、セフォキシチン(cefoxitin)、セフポドキシム(cefpodoxime)、セフプロジル(cefprozil)、セフスロジン(cefsulodin)、セフタジジム(ceftazidime)、セフチゾキシム(ceftizoxime)、セフトリアキソン(ceftriaxone)、セフロキシム(cefuroxime)、セファレキシン(cephalexin)、セフェロチン(cephalothin)、クロラムフェニコール(chloramphenicol)、シノキサシン(cinoxacin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クリンダマイシン(clindamycin)、クロキサシリン(cloxacillin)、共アモキシクラブラン酸塩(co-amoxiclavulanate)、ジクロキサシリン(dicloxacillin)、ソキシサイクリン(doxycycline)、エノキサシン(enoxacin)、エリスロマイシン(erythromycin)、エリスロマイシンエストレート(erythromycin estolate)、エリスロマイシンエチル蟻酸塩(erythromycin ethyl succinate)、グルコヘプタン酸エリスロマイシン(erythromycin glucoheptonate)、ラクトビオン酸エリスロマイシン(erythromycin lactobionate)、ステアリン酸エリスロマイシン(erythromycin stearate)、エタムブトール(ethambutol)、フレロキサシン(fleroxacin)、ゲンタマイシン(gentamicin)、イミペネム(imipenem)、イソニアジド(isoniazid)、カナマイシン(kanamycin)、レボフロキサシン(levofloxacin)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロレアカルベフ(loracarbef)、メロペネム(meropenem) メチシリン(methicillin)、メトロニダゾール(metronidazole)、メズロシリン(mezlocillin)、塩酸ミノサイクリン(minocycline hydrochloride)、ムピロシン(mupirocin)、塩酸モキシフロキサシン(moxifloxacin hydrochloride)、ナフシリン(nafcillin)、ナリジクス酸(nalidixic acid)、ネチルミシン(netilmicin)、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン(oxacillin)、ペニシリンG(penicillin G)、ピペラシリン(piperacillin)、ピラジナミド(pyrazinamide)、リファブチン(rifabutin)、リファムピシン(rifampicin)、リファムピンメトロニダゾール(rifampinmetronidazole)、リメトプリム-スルファメトキサゾール(rimethoprim-sulfamethoxazole)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、ストレプトマイシン(streptomycin)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、シネルシド(synercid)、テイコプラニン(teicoplanin)、テリスロマイシン(telithromycin)、塩酸テトラサイクリン(tetracycline hydrochloride)、チカルシリン(ticarcillin)、トブラマイシン(tobramycin)、トリエトプリム(trimethoprim)、バンコマイシン(vancomycin)、ピペラシリンとタゾバクタム(tazobactam)との組み合わせ、並びにそれらの誘導体及び/又は医薬として許容される塩が含まれる。
【0227】
幾つかの態様において、前記追加的な薬剤は抗真菌化合物であり、その例として、遊離塩基あるいは様々な医薬として許容される塩及びエステルとして存在する、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸、及びクロルヘキシジン(N,N''-bis(4-クロロフェニル)3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデ-カネジイミドアミド(canediimidamide))が挙げられる。幾つかの態様において、前記のような活性薬剤は、1つ以上の塩素化フェノール類であり、それらの多くが抗菌、抗細菌、抗ウイルス、若しくは抗真菌活性、又はそれらの幾つかを組み合わせて有するものである。本発明により使用され得る塩素化フェノール類化合物は、限定されないが、パラクロロメタキシレノール、ジクロロメタキシレノール、トリクロサン(2,4,4'-トリクロロ-2ヒドロキシジ-フェニルエーテル)、2-クロロフェノール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール、2,4-ジクロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノール、2,3,4,6-テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、4-クロロレゾルシノール、4,6-ジクロロレゾルシノール、2,4,6-トリクロロレゾルシノール、アルキルクロロフェノール類(p-アルキル-o-クロロフェノール類、o-アルキル-p-クロロフェノール類、ジアルキル-4-クロロフェノール、及びトリ-アルキル-4-クロロフェノールを含む)、ジクロロ-m-キシレノール、クロロクレゾール、o-ベンジル-p-クロロフェノール、3,4,6-トリクロロフェノール、4-クロロ-2-フェニルフェノール、6-クロロ-2-フェニルフェノール、o-ベンジル-p-クロロフェノール、及び2,4-ジクロロ-3,5-ジエチルフェノールを含む。好ましい塩素化フェノール類は、トリクロサン及びパラクロロメタキシレノールを含む。
【0228】
更に、幾つかの態様において、前記追加的な薬剤は、1つ以上の第四級アンモニウム化合物(例えば、モノマー性及びポリマー性第四級アンモニウム化合物等)であり、それらの多くが抗菌、抗細菌、抗ウイルス、若しくは抗真菌活性、又はそれらの活性の幾つかを組み合わせて有するものである。第四級アンモニウム化合物の例には、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、他のベンザルコニウム若しくはベンゼトニウムのハロゲン化物、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、N-ミリスチル-N-メチルモルホリニウムメチル硫酸塩、ポリ[N-[3-(ジメチルアンモニオ)プロピル]-N'-[3-(エチレンオキシエチレンジメチルアンモニオ)プロピル]尿素二塩化物]、アルファ-4-[1-tris(2-ヒドロキシエチル)塩化アンモニウム-2-ブテニル]-オメガ-tris(2-ヒドロキシエチル)塩化アンモニウム、ポリ[オキシ-エチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)-エチレン二塩化物]、エチルへキサデシルジメチルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩、ジメチルエチルベンジル塩化アンモニウム、ジメチルベンジル塩化アンモニウム、及びセチルジメチルエチル臭化アンモニウムが含まれる。一の好ましい第四級アンモニウムは、塩化ベンザルコニウムである。
【0229】
他の態様において、前記追加的な治療剤は、神経保護剤から選択される。なぜなら、糖尿病性創傷は部分的に組織の神経衰弱に起因するためである。適切な神経保護剤には、ドネペジル(donepezil)、メマニン(memanine)、ニモジピン(nimodipine)、リルゾール(riluzole)、リバスチグミン(rivastigmine)、タクリン(tacrine)、TAKl 47、キサリプロデン(xaliproden)、及びそれらの混合物が含まれる。また、神経増殖因子も、追加的な治療剤として添加され得る。
【0230】
なおも他の態様において、前記追加的な治療剤は、例えばヒト血小板由来増殖因子-BB(2型糖尿病患者の下肢潰瘍を処置するための0.01%ゲル製剤であるべカプレルミン(becaplermin)として市販される)、血管内皮増殖因子、及び顆粒球コロニー刺激因子等の成長因子である。
【0231】
前記ヒドロキシルアミン誘導体は、任意の適切な手段により個体に提供され得て、好ましくは指向性投与(例えば創傷若しくは周辺組織への注射によるような局所的投与)又は全身投与(例えば、非経口若しくは経口投与)でなされ得る。前記化合物は、静脈内、皮下、筋肉内、眼窩内、眼科的、心室内、頭蓋内、嚢内(intracapsular)、髄腔内、嚢内(intracisternal)、腹腔内、口腔、直腸、膣、鼻腔内、又はエアロゾル投与等により、非経口的に提供され得る。好ましい態様によると、本発明に係る医薬組成物は、経口投与される。もう一の好ましい態様において、前記医薬組成物は、軟膏、パッチ/薬用包帯(medicated bandage)として、又は創傷部位に直接注射することにより局所的に投与される。
【0232】
担体材料と組み合わせられ得て単一の剤形を形成する前記化合物及び前記追加的な薬剤のいずれの量も、処置される宿主及び投与の具体的な方式に依存して変化し得る。好ましくは、本発明に係る組成物は、0.01〜1g/体重kg/日の間、好ましくは0.1〜300mg/体重kgの間の用量で投与され得るように製剤化されるべきである。前記化合物の用量は、患者の病態及び病状、並びに必要な1日用量に依存する。ヒトの処置において、経口1日用量は、好ましくは10〜300mgである。これらの用量は単位剤形において投与されるが、特定の場合、特に経口投与においては、各日の分の用量が2〜3個のより小さい用量に分割され得る。
【0233】
本発明に係る組成物において、本発明に係る複数の化合物は、組み合わせられたものと相互に相乗的に作用し得て、そして追加的な治療剤の存在下で更に相乗的に作用し得る。従って、そのような組成物中の化合物(単数又は複数)及び追加的な治療剤(単数又は複数)の量は、その治療剤のみを利用する単一治療において必要とされるよりも少量であり得る。そのような組成物において、0.1〜1g/体重kg/日の用量の追加的な治療剤が投与され得る。
【0234】
また、いずれかの特定の患者のための特定の用量及び治療計画が、採用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食生活、投与の時間、排出の速度、薬物の組み合わせ、及び処置を行う医師の判断、及び処置される特定の疾患の進行度を含む、様々な要因に依存し得ることも理解されたい。実施例におけるマウスに使用される用量のヒト相当分は、個々の患者の全体的生理状態(体重、年齢等)及びその創傷の状況に応じた投与量を調製するための信頼出来る開始点(starting point)として機能し得る。また、化合物の用量は、特定の化合物がその組成物中にあるか否かにも依存し得る。加えて、その有効量は、他の事象の中で、その化合物の体積、その化合物の生分解性、その化合物の生物活性、及びその化合物の生体利用効率に基づくものであり得る。その化合物が迅速に分解しないものであり、体内に吸収され、利用され得て、そして高い活性を有するとき、それが有効であるのにより少量で十分であり得る。対象に対して適切である実際の用量は、例えば一般的な開始点の情報を得た医師又は獣医師等の当業者による日常的な作業として、容易に判定され得る。
【0235】
前記化合物は、時間、日、週、月、年単位で送達され得て(例えば徐放製剤で)、又は1回送達であり得る。前記送達は、例えば静脈内送達等の、一定期間にかけての持続的送達であり得る。本明細書中に記載される方法の一の方法において、前記治療組成物は、1日あたり少なくとも1回投与される。一の態様において、前記治療組成物は毎日投与される。一の態様において、前記治療組成物は1日置きに投与される。一の態様において、前記治療組成物は、6〜8日ごとに、より具体的には毎週投与される。
【0236】
本発明に係る方法の一の態様は、本明細書中に記載の治療組成物を、徐放製剤の形で投与することである。そのような方法は、治療的に有効な用量のヒドロキシルアミン誘導体がその対象に持続的に送達されるような徐放性カプセル、坐薬、又はコーティングされた移植可能な医療用装置を移植することを含む。徐放性は、その目的で設計及び製剤化されたパッチを使用して達成することも出来る。前記ヒドロキシルアミン誘導体は、一定期間にかけてその薬剤又はペプチドの徐放性を許容するカプセルを介して送達され得る。放出制御又は徐放性組成物は、脂溶性デポー(例えば、脂肪酸、蝋、油脂等)の形での製剤を含む。ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン等)でコーティングされた粒状組成物も、本発明に包含される。徐放製剤若しくは装置、又は任意の局所製剤は、その組成物を安定化するための、又は皮膚若しくは粘膜等の生理的障壁を浸透するための組成物を追加的に含み得る。追加的な成分の例としては、任意の生理的に許容される界面活性剤(detergent)、又は例えばジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶媒等が含まれる。
【0237】
本発明のもう一の側面は、糖尿病性創傷の治癒を亢進するためのヒドロキシルアミン誘導体を含む医薬組成物を提供する。そのような組成物は、ヒドロキシルアミン誘導体及び医薬として適切な担体を含む。
【0238】
それらの材料は、所望の投与経路に適合するように製剤化される。前記製剤は、医薬として許容される緩衝剤、安定化剤、局所麻酔薬、及び当業者に周知のそれらに類する薬剤を含む適切な賦形剤を含み得る。非経口投与において、例示的な製剤は滅菌溶液又は懸濁液であり得て;経口投与においては、シロップ、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、又は口当たりの良い溶液であり得て;吸入による投与においては、微結晶粉末、又は噴霧に適した溶液であり得て;膣内又は直腸内投与においては、ペッサリー、坐薬、クリーム又は発泡体であり得る。好ましい製剤は、経口投与のための製剤である。もう一の好ましい製剤は、局所投与のためのものである。
【0239】
これらの医薬組成物において使用され得る、適切な医薬として許容される担体は、限定的ではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸塩等の緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩若しくは電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド性シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースを基礎とする物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂を含む。幾つかの態様において、前記医薬として許容される担体は、ステアリン酸マグネシウムである。通常許容され、及び使用される追加的な医薬賦形剤は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences (Gennaro, A., ed.), Mack Pub., 1990において見出される。
【0240】
実施例において記載されているように、本発明に使用可能な化合物は、糖尿病性創傷の動物モデルに投与された。それらの結果は、イロキサナジン及びアリモクロモルが、経口的に又は局所的に投与されたときに、糖尿病性創傷の治癒過程を促進することを示した。
【0241】
以下の実施例は、開示される本発明の例示であることを意図する。それらの実施例は限定的ではなく、そして当業者は、他の態様も開示される本発明の範囲内にあることを認識し得る。
【実施例】
【0242】
実施例1
db遺伝子をホモ接合で有するマウスは、本質的に個体を糖尿病に導く、中枢レプチン満腹受容体(central leptin satiety receptor)の欠損を呈するため、インスリン耐性糖尿病及び肥満を発症する。前記db/dbマウスは、糖尿病ではないマウスと比較して、創傷の治癒が遅延することが既に示されている。
【0243】
BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jホモ接合マウスは、自然発生的な糖尿病突然変異(Leprdb)を担持し、そして3〜4週齢辺りで特定可能な肥満を呈する。10〜14日で血漿中のインスリンの、そして4〜8週で血糖の上昇が始まる。ホモ接合突然変異マウスは、多食症であり、多渇症であり、そして多尿症である。C57BLKSをバックグラウンドとするこれらのマウスは、血糖の制御出来ない上昇、膵島のインスリン生産ベータ細胞の深刻な減少、及び10月齢以内の死亡を呈する。末梢神経障害及び心筋疾患が顕著であり、代謝効率が上昇し、そして創傷治癒が遅延する。前記BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jマウスは、糖尿病の特徴的な創傷治癒についてのよく特徴付けられたモデルを表す。
【0244】
70頭の雄BKS.Cg-m +/+ Leprdb/Jホモ接合マウスが、その手順の開始に先立ち、7日の間、順化を意図して飼育され、そして取り扱われた。0日、8週齢において、マウスの体重は26.1〜41.2gであり、コントロールとして、20頭の雄BKS.Cg-m +/" Leprdb/Jヘテロ接合マウスが同様に取り扱われた。0日、8週齢において、これらのマウスの体重は19.6〜25.1gであった。マウスは、それぞれが10頭のマウスから構成されるグループ(1)〜(9)に分けられた。
【0245】
0日において、グループA〜I(n=80)の各マウスに2つの全層創傷(full-thickness wound)が付けられた。グループ(1')及び(2')は後から到着したマウスで構成され、そしてそれらは14日後に前記実験手順に付された、即ちグループ(1')及び(2')(第2のdb/-コントロールの一時的コホート(temporal cohort)、n=10)において、14日目に同一の創傷手順がなされた。
【0246】
創傷手順
各マウスは約5〜10分間イソフルラン容器中に置かれた。各マウスは剃毛され、そして残った体毛を除去するのに脱毛クリーム(Nair)が用いられた。(体毛除去は、グループ(1)〜9においては創傷手順直前に、そしてクループ(1')及び(2')においては創傷の前日になされた)。創傷を付ける領域は70%アルコール及びノルバサン(Nolvasan)溶液で拭かれた。そして各マウスにブプレモルフィリンが注射され、そして創傷を付ける前に前記イソフルラン容器に戻された。創傷部位は、マウスの左背側及び右背側の2つの円形の領域をマークするインクスタンプと1cmのパンチ生検を使用して輪郭をとられた。前記創傷は、皮膚を鉗子で持ち上げ、湾曲したメッツェンバウムバサミを使用して、テンプレートに従い切ることにより付ける。ブプレノルフィンは、0.05〜0.1mg/kg SCの用量で投与される。それらの創傷は、Tegaderm包帯(dressing)で包まれ、その包帯は創傷を測定する間3日おきに、又は必要なときに交換された。
【0247】
皮膚に創傷を付けた直後に、その創傷の周辺の輪郭を透明な紙の上にとる(本手順において、マウスはイソフルラン麻酔を使用して動かないようにされた)ために、初期の創傷が細かいポイントメーカー(point maker)を使用することにより透写され、そして創傷の大きさは3日おきに透写された。その創傷が閉口しつつあるとき、サイズの評価は2日おきに実施され、そして必要とみなされる場合は毎日実施された。輪郭は、下記のコンピューター画像解析ソフトウェアを使用して、デジタル化、定量化、及び解析がなされた。
【0248】
前記マウスにおいて、創傷を付けられた日から、表1に記載された1日用量で投与が開始された。研究指揮者及び依頼者により創傷が閉口したものと判定されるまで、それらのマウスは日常的な処置を受け続けた。血中グルコースレベルは、最初に投与が予定された日に先立ちグルコメーターにより測定され、そしてその後は毎週、尾部の切り傷により回収された血液を使用して測定された。体重は、処置に先立って測定が開始され、毎週測定された。臨床的観察は、毎週実施された。
【0249】
【表1】
【0250】
創傷が閉口したとき、それらのマウスはCO2吸入によりサクリファイスされた。血液は末端心穿刺(terminal cardiac puncture)により回収され、そして血清に加工された。左右の創傷領域は、切り出され、そして標識が付けられたカセット内に置かれ、そして10%中性緩衝ホルマリンの瓶の中に入れられた。
【0251】
表2に示されるスケジュールに従い、データが収集される。
【0252】
【表2】
【0253】
正確を期するため、生のデータが再確認された(読まれ、そして理解された)。透明な紙上の創傷の透写図は、intuos.3アートパッドを使用して、Scion Image(Alpha 4.0.3.2)内に電子的に透写された。デジタル画像透写図は、周辺の長さ及び面積を測定するためにScion中で解析され、そして次元は、既知の次元を有する参照円のデジタル透写図と統一された。閉口のパーセントは、0日の創傷サイズ(0%閉口)を基準として、周辺の長さ及び面積のいずれにおいても計算された。同じマウスにおける創傷の閉口は、一定の関連性を有していた(ピアソン相関係数=0.71)。よってマウスは、閉口時間の中央値(実験単位として創傷が使用された)を除いて、全ての解析のための実験単位として使用された。
【0254】
14日目における閉口%を比較するためにANOVA分散試験が使用され、そしてdb/dbビヒクルコントロール(グループ(3))とペアワイズ比較をするためにスチューデントt検定が使用された。
【0255】
(1)各マウスにおける第一の創傷の閉口の、又は(2)各マウスにおける両方の創傷の閉口のエンドポイントを使用した閉口の時間は、比例ハザードモデルを使用した、JMP 6.0.0における生存率分析により解析された。前記比例ハザードモデルは、生存時間における説明変数の効果を試験するための特殊な半パラメーターモデルである(Cox, D.R., J. Royal Stat. Soc. Ser. B (Methodol), 1972, 34(2): 187-220)。各番号の集団の生存時間は、それ自身のハザード関数の後に要約されている。
【0256】
比例ハザードモデルは、半パラメーター的、即ち非パラメーター的側面とパラメーター的側面とのいずれも有する。不特定の任意のベースラインハザード関数を含む点において非パラメーター的であるが;共変量のパラメトリック形式を推測できるために、パラメーター的でもある。前記ベースラインハザード関数は、一般ハザード関数を与えるためのモデルの(時間依存的な)共変量の関数により見積もられる。カプラン・マイヤー分析と異なり、比例ハザードはパラメーターの推定値を計算し、そしてそれぞれの共変量における誤差を標準化する。説明変数と関連する回帰母数(β)及びそれらの標準誤差は、最尤法(maximum likelihood method)を使用して推定される。条件付き危険率(conditional risk ratio)(又は危険率)及びその信頼限界も、パラメーターの推定値から計算される。
【0257】
比例ハザードにおける生存推定値は、経験法(empirical method) (Lawless, J.L., "Statistical Models and Methods for Lifetime Data" John Wiley & Sons, Hoboken, New Jersey, 1982)を使用して算出され、そしてそれは生存関数S(t)の経験蓄積ハザード関数推定値であるH(t)を表し、そしてそれは、ハザード関数と一緒に、S0=exp(-H(t))と表記され得る(JMP 6.0.0 Help)。
【0258】
Spruance et al., Antimicrob. Agents Chemother., 48, 2782- 279 (2004)によると、危険率は、治療試験により明らかにしようとする問題が、どの程度の処置がその疾患の期間を短縮し得るかという点である場合に、その結果を記述するためにも使用され得る。しかしながら、相対的リスクの1つの類型である前記危険率は、試験されている処置によりある疾患の期間がどの程度短縮したかを常に正確に描写するものではない。対象に対する利益の大きさを測定するために、例えば偽薬群及び薬物群の中央時間の比率等の、時間対イベントの曲線から得られる、時間を基礎としたパラメーターがより有用である。前記危険率は、治療下にある患者がより早く治癒する確率であるが、それはいかに早くこのイベントが生じ得るかについてのいずれの情報も伝えない。
【0259】
それぞれの創傷が閉口する中央値は、Analyze-it(登録商標)(vsn 1.73)を使用して測定された。この解析のために、実験単位として創傷が使用された。閉口時間の中間値の比較は、非パラメーター的中間値試験を使用してなされた。
【0260】
各動物のいずれの創傷も完全に閉口する平均時間は、実験単位としてマウスを使用して測定された。閉口時間の平均値の比較には、スチューデントt検定が使用された。
【0261】
閉口の速度は、製剤中にエタノール(EtOH)が含まれる期間(0〜8日)にかけて、その直後の期間(9〜12日)と比較して解析された。12日を越える更なる解析は、先入観を伴ったものとなり得る。なぜなら、14日を越えると数頭のマウスにおいて、創傷が完全な閉口に達し始めていたからである(閉口の速度が0まで減少する)。
【0262】
到着が遅れたために実験動物の半分が異なる時間に処置を受けた2つのヘテロ接合マウス群(グループ(1)及び(1')、グループ(2)及び(2'))は、各時間グループの実験の終了した後に組み合わせられた。それらの結果の図及び表において、これらのグループは、単純にグループ(1)及びグループ(2)と称される。
【0263】
本研究プロトコルから外れた計画外のマウスの死亡が9例確認されたが、それでも研究を完遂することが出来る90%の対象を生かすことが出来た。9つの死亡例の内8例は、イロキサナジンの最高用量(200mg/kg)を投与したグループ(グループ(2)及びグループ(8))において発生した。最高用量を投与したグループにおいてまとまって死亡例が発生したことは、この用量が最大耐量(MTD)を上回り、そしてLD50に達していた場合があることを示す。既に判定されているマウスにおけるイロキサナジンの急性経口LD50は3800mg/kgである。更に、ラットにおける亜慢性試験は、「副作用確認されない」レベル(NOAEL)は400mg/kgであることを示唆している。この予期せぬ毒性は、恐らく前記化合物がエタノールと共に投与されたためであると思われる。
【0264】
最高用量のイロキサナジン処置した糖尿病動物を除き、体重への顕著な影響は確認されなかった。図1A及びBを参照されたい。体重は、創傷が閉口するまで毎日測定された。グループ平均値の急変(増大/減少)は、創傷が閉口したときにされる安楽死(グループあたりの個体数の減少)の結果として生じる生存バイアスの結果であり得る。
【0265】
ANOVAの結果は、14日目における閉口のパーセンテージ(図2B〜E)、創傷治癒の中央値(図5A)、及び創傷が付けられた後に完全に治癒するまでの平均時間(図5B)において、糖尿病の動物では顕著な差異が存在しているが、糖尿病ではないコントロールではそうならないことを示唆した。また、時間に対する創傷の周辺の長さ(図2A)又は面積(図2F)の解析を参照されたい。これは、処置を受けた群において創傷の治癒が促進されていることを示唆する。
【0266】
加えて、生存解析においても、処置群に割り振られた個体における創傷の閉口が促進する可能性が高くなることが示唆された(図4A〜C)。パネル4A及び4Bは両方の創傷が閉口する確率を、パネル4Aはグラフとして、及びパネル4Bは数値として示し、並びにパネルCは、ホモ接合の糖尿病コントロール(グループ3)に対する、最初の創傷が閉口する確率を示す。これらの結果は、比例ハザードモデルを使用して解析された。両方の創傷の閉口において、糖尿病マウス(グループ(4)〜(8))において、用量依存的な態様で、閉口の確率とイロキサナジン投与との間の正の相関の傾向が存在した。また、アリモクロモルも、創傷が閉口(グループ9)する確率の増大において有効であることが示された。
【0267】
創傷が閉口する中央時間及び平均時間は、図5A〜Fに示されている。1つの各創傷の閉口する中央時間を、パネル5Aではグラフ的に、パネル5Bは数値的に示す。パネル5C及び5Dは、両方の創傷が閉口する平均時間を示す。これらの結果は、創傷が閉口する平均時間の有効な短縮を示すイロキサナジンの治癒の確率と同じ傾向を追う。
【0268】
パネル5Eは、実験期間中の2つの期間における創傷の治癒の速度を示す。早期(0〜8日)の間に、試験化合物はエタノールに入った状態でマウスに投与されるため、試験化合物の用量の変化に合わせてエタノールの用量も変化する。最後の第三の実験(9〜12日)は、エタノールを含まずに実行される。用量依存的な作用は明確ではないが、イロキサナジン又はアリモクロモルのいずれかが投与されたグループにおいて、創傷の閉口速度が統計的に関連性のある増大を示した。これらの結果は、図5Fの箱髭図においても示されている。各グループの左側の線のダイヤモンド型は、平均及び平均の周囲の信頼区間を示す。ダイヤモンドから垂直に伸びる線は、パラメーター的パーセンタイル範囲(parametric percentile range)を示す。各グループの右側のボビン型は、割れ目において中央値を、ボビン型の上端及び下端として上及び下四分位を、そして傾斜した部分として中央値の周囲の信頼区間を示す。点線は、上及び下四分位の1.5四分位範囲(IQR)内の最も近い観察を結ぶ。十字(+)及び小円(o)は、前記四分位から1.5IQR(近い外れ値)及び3.0IQR(遠い外れ値)以上において観察された、可能な外れ値(outlier)を示す。凡例の垂直線は、非パラメーター的パーセンタイル範囲を示す。
【0269】
実施例2
上記実施例1において記載された創傷が付けられた上記ホモ接合糖尿病マウスは、イロキサナジン又はアリモクロモルの局所投与により処置された。アリモクロモルの4%w/v水溶液が、創傷部位に局所的に個別に投与された。イロキサナジンの経口投与量は、IP, b.i.d.で10mg/kgであり、比較的低濃度であった。
【0270】
両方向ANOVAにより解析されたとき、経口投与によるイロキサナジンの全身投与は、若干の遅延の後、治癒の中期において治癒の促進を示す傾向があった(図6)。アリモクロモルによる処置は、アリモクロモルの局所投与を受けた創傷の治癒の促進を明確に示した。
【0271】
故に、本明細書中に記載されるヒドロキシルアミン化合物又は組成物が投与されたとき、糖尿病に苦しむ対象における創傷治癒プロセスが、統計的に顕著に促進する。
【0272】
本明細書中に含まれるいずれの特許及び非特許文献も、その全てにおいて本明細書中に参照により援用される。
【0273】
前記態様は例示のみを目的として提示されるものであり、限定を意図するものではない。当業者にあっては、本発明に従い、前記包括的な開示の範囲内で追加的な態様が検討されること、及び前記非限定的な実施例によりいかなる場合も権利範囲の除外を意図することはないことを認識し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病に関連する創傷の治癒を亢進する方法であり、これを必要とする対象に有効な量の化合物を投与することを含み、ここで前記化合物は、式(I)、(II)、若しくは(I'')
【化1】
で表される1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体、若しくはそれらの塩、又はそれらのいずれかの光学的に活性な立体異性体であり、ここで、
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール基であり、
Zは共有結合、酸素又はNR3であり、ここでR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、並びにアリール及び/又はアルキル部分において置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
式(I)のXはハロ又は置換されたヒドロキシ又はアミノ、一置換されたアミノ又は二置換されたアミノ基であり、そして
式(II)のXは酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり、そして
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アシル又は置換されたアシル基であり、
そして式(I)で表される化合物が式(I'')で表される分子内環構造を任意的に含み、それにより糖尿病に関連する創傷の治癒を亢進又は推進する前記方法。
【請求項2】
前記化合物が式(I)で表され、ここで
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、そして
(a)Zは共有結合であり、そしてXはハロゲンであり;又は
(b)Zは共有結合であり、そしてXは置換されたヒドロキシ基--OQであり、
ここでQは炭化水素であり;又は
(c)Zは共有結合であり、そしてXはNR1R2であり、ここで
R1及びR2は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルであり、又は
R1及びR2はそれらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員を含む飽和環を形成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rは1つ以上のアミノ又はアルキル基が任意的に置換された末端アミノ-アルキル(terminal amino-alkyl)であり、3〜8個の炭素原子を含み、そして直鎖または分岐鎖である前記アルキル鎖がヒドロキシ又はアシロキシで置換され得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rはアミノが一置換又は二置換された末端アミノ-アルキルであり、そのアミノ置換基が、互いから独立して、1つ又は2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はシクロアルキルであり、又は前記2つのアミノ置換基がそれらと結合している窒素と一緒になって、追加的なヘテロ原子(単数又は複数)を含み得る3〜7員飽和複素環を形成する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
Zは共有結合であり、そして
Xはハロであり、そして
Aはアラルキル、1つ以上のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール又はヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
Aが:
(a)置換されていない、若しくは1つ以上のアルコキシ置換基を有し得る置換されたフェニルアルキル、
(b)フェニル、
(c)1つ以上のハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、又はニトロで置換されたフェニル、
(d)ナフチル、
(e)ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアリール、又は
(f)S-含有若しくはO-含有ヘテロアリール
である、態様5に記載の方法。
【請求項7】
Zは共有結合であり、そして
Xは式--OQで表される置換されたヒドロキシであり、ここでQは直鎖若しくは分岐鎖であり、そしてQは置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていないアラルキル、又は1つ以上のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルであり、そして
Aはヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項8】
Zは共有結合であり、
Xは--NR1R2であり、
R1及びR2は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖の置換されていないアルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルであり、あるいは
R1及びR2はそれらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の飽和環を形成し、そして
Aはアラルキル、1つ又は両方のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、置換されていない、又は置換されたアリール、あるいはヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Aが、
(a)フェニルアルキル、
(b)フェニル部分において1つ以上の置換基を任意的に有するフェニルアルキル、
(c)フェニル、
(d)1つ以上のアルキル、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、又はアシルアミノで置換されたフェニル、
(e)ナフチル、
(f)ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアリール、又は
(g)S-含有若しくはO-含有ヘテロアリール
である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、式(I)
【化2】
{式中、
a)Xはハロ、Zは化学結合、そして
a1)Aは式(a)
【化3】
[式中、
Y1はハロ、アルコキシ、ハロアルキル、又はニトロであり、そしてnは1、2、若しくは3であり、又はベンゼン環により縮合され得るO-含有ヘテロアリール、S-含有ヘテロアリール、若しくはN-含有複素芳香族であり、又はN--C1-4アルキル第四級誘導体(quaternary derivative)、若しくはそのN-オキシドである]
で表される基であり、
Rは式(b)
【化4】
[式中、
R5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6は-OR7であり、ここでR7はH又は置換されていない若しくは置換されたアルキルカルボニル、アリールカルボニル若しくはアミノアシルであり、kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、又はN--C1-4アルキル第四級誘導体、若しくはそのN-オキシドである]
で表される基であり、
Aがピリジルであるとき、又はY1がハロ若しくはアルコキシである式(a)で表される基であるときに限っては、R7はH以外であり、あるいは
a2)Aは式(c)
【化5】
で表される基であり、
Rは式(d)
【化6】
で表される基であり、
そしていずれか1つが本分子中に必ず存在する追加的な置換基であるY2及びY3は酸素又はC1-4アルキルであり、
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、
本化合物が一価若しくは二価のカチオンであるとき、そのアニオンは1つ又は2つのハロゲン化物イオンである、あるいは
b)Aは置換されていない若しくは置換されたアリール、又はN-含有複素芳香族若しくはS-含有芳香族であり、
Zは化学結合であり、CはOQであり、ここでQはC1-4アルキルであり、そしてRは式(b)で表される基であり、ここでR5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6はHであり、そして
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である}
で表される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記部分Aが式(a)で表される基であり、そしてY1がC1-4ハロアルキルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、ヒドロキシルアミン誘導体の光学的に活性な立体異性体であり、ここで、
Xはハロであり、
Zは化学結合であり、そして
Rが式(b)で表される基であり、ここでR5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6は−OR7であり、ここでR7はアミノアシルであり、そして
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、式(I)で表される化合物であり、ここで、
XはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、独立してH、又は置換されていない若しくは置換された直鎖若しくは分岐したアルキル、又はシクロアルキルであり、又はR1及びR2は、それらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の複素環を形成し、
Aは、置換されていない、又は1つ以上のアルコキシで置換されたフェニルアルキル、フェニル、1つ以上のハロ、アルキル、若しくはハロアルキル、又はアシルアミノで置換されたフェニル、あるいはニトロ、あるいはベンゼン環で縮合され得る置換されていない若しくは置換されたN-含有複素芳香族、あるいはS-含有ヘテロアリールであり、ここで前記ヘテロ原子は、1つ以上のアルキル置換基(単数又は複数)を有し得て、
Zは化学結合であり、そして
Rは式(e)
【化7】
[式中、
R5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、又はシクロアルキルであり、又は
R5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、それが追加的なヘテロ原子(単数又は複数)及び任意的なC1-4アルキル置換基(単数又は複数)を有し得て、
Y4はH又は置換されていない若しくは置換されたC1-4アルキルであり、
Y5はH又は置換されていない若しくは置換されたC1-4アルキル、又は--OR7であり、ここでR7はH又はアシルであり、
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、
R7がHであるときに限っては、R1及びR2の少なくとも1つはH以外であり、そしてR1及びR2がそれぞれHであるときに限っては、R7はH以外である]
で表される基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
副段落(a)において、Aがフリル、チエニル、ピリジル、キノリル又はイソキノリルである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
副段落(b)において、Aがフェニル又はピリジルである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
Aがピロリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、又はチエニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-3 ピリジン-カルボキシイミドイル-塩化物(ビモクロモル(bimoclomol))、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル(arimoclomol))、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ]2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物、及び5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン(iroxanadine))、若しくはそれらの医薬として許容される塩、又はそれらの光学的に活性な立体異性体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、単離されたN-[2-ヒドロキシ-3-(1-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル)、若しくはその医薬として許容される塩、又はそのいずれかの光学的に活性な立体異性体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
追加的な治療剤の投与を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
第二のヒドロキシルアミン誘導体の投与を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒドロキシルアミン誘導体がアリモクロモルであり、そして前記第二のヒドロキシルアミン誘導体がイロキサナジンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記追加的な治療剤が、抗炎症剤、抗生物質、及び神経保護剤からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が全身投与される、請求項1〜22にいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が経口投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が非経口的に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が局所的に投与される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が徐放装置(sustained release device)を介して投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための全身投与に適する医薬組成物。
【請求項29】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための経口投与に適する医薬組成物。
【請求項30】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための非経口投与に適する医薬組成物。
【請求項31】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための局所投与に適する医薬組成物。
【請求項32】
請求項1に記載される単離された化合物を、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するためにその化合物を持続的に放出するために含む医薬組成物。
【請求項33】
請求項1に記載される化合物を、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するためにその化合物を持続的に放出するために含む装置。
【請求項34】
前記化合物がイロキサナジンである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【請求項35】
前記化合物がアリモクロモルである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【請求項36】
前記化合物が化合物1である、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【請求項1】
糖尿病に関連する創傷の治癒を亢進する方法であり、これを必要とする対象に有効な量の化合物を投与することを含み、ここで前記化合物は、式(I)、(II)、若しくは(I'')
【化1】
で表される1つ以上のヒドロキシルアミン誘導体、若しくはそれらの塩、又はそれらのいずれかの光学的に活性な立体異性体であり、ここで、
Aはアルキル、置換されたアルキル、アラルキル、アリール及び/若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール又は置換されたヘテロアリール基であり、
Zは共有結合、酸素又はNR3であり、ここでR3は、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、並びにアリール及び/又はアルキル部分において置換されたアラルキルからなる群から選択され、
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、
式(I)のXはハロ又は置換されたヒドロキシ又はアミノ、一置換されたアミノ又は二置換されたアミノ基であり、そして
式(II)のXは酸素、イミノ、又は置換されたイミノ基であり、そして
R'は水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリール、アラルキル、置換されたアリール若しくはアルキル部分を有するアラルキル、アシル又は置換されたアシル基であり、
そして式(I)で表される化合物が式(I'')で表される分子内環構造を任意的に含み、それにより糖尿病に関連する創傷の治癒を亢進又は推進する前記方法。
【請求項2】
前記化合物が式(I)で表され、ここで
Rはアルキル又は置換されたアルキルであり、そして
(a)Zは共有結合であり、そしてXはハロゲンであり;又は
(b)Zは共有結合であり、そしてXは置換されたヒドロキシ基--OQであり、
ここでQは炭化水素であり;又は
(c)Zは共有結合であり、そしてXはNR1R2であり、ここで
R1及びR2は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキルであり、又は
R1及びR2はそれらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員を含む飽和環を形成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rは1つ以上のアミノ又はアルキル基が任意的に置換された末端アミノ-アルキル(terminal amino-alkyl)であり、3〜8個の炭素原子を含み、そして直鎖または分岐鎖である前記アルキル鎖がヒドロキシ又はアシロキシで置換され得る、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rはアミノが一置換又は二置換された末端アミノ-アルキルであり、そのアミノ置換基が、互いから独立して、1つ又は2つの直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はシクロアルキルであり、又は前記2つのアミノ置換基がそれらと結合している窒素と一緒になって、追加的なヘテロ原子(単数又は複数)を含み得る3〜7員飽和複素環を形成する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
Zは共有結合であり、そして
Xはハロであり、そして
Aはアラルキル、1つ以上のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、アリール、置換されたアリール又はヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
Aが:
(a)置換されていない、若しくは1つ以上のアルコキシ置換基を有し得る置換されたフェニルアルキル、
(b)フェニル、
(c)1つ以上のハロ、アルコキシ、ハロアルコキシ、又はニトロで置換されたフェニル、
(d)ナフチル、
(e)ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアリール、又は
(f)S-含有若しくはO-含有ヘテロアリール
である、態様5に記載の方法。
【請求項7】
Zは共有結合であり、そして
Xは式--OQで表される置換されたヒドロキシであり、ここでQは直鎖若しくは分岐鎖であり、そしてQは置換されていない若しくは置換されたアルキル、置換されていないアラルキル、又は1つ以上のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキルであり、そして
Aはヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項8】
Zは共有結合であり、
Xは--NR1R2であり、
R1及びR2は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖の置換されていないアルキル、置換された直鎖若しくは分岐鎖アルキル、又はシクロアルキルであり、あるいは
R1及びR2はそれらに結合している窒素と一緒になって、3〜7員の飽和環を形成し、そして
Aはアラルキル、1つ又は両方のアリール若しくはアルキル部分において置換されたアラルキル、置換されていない、又は置換されたアリール、あるいはヘテロアリールである、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
Aが、
(a)フェニルアルキル、
(b)フェニル部分において1つ以上の置換基を任意的に有するフェニルアルキル、
(c)フェニル、
(d)1つ以上のアルキル、ハロ、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、又はアシルアミノで置換されたフェニル、
(e)ナフチル、
(f)ベンゼン環で縮合され得るN-含有ヘテロアリール、又は
(g)S-含有若しくはO-含有ヘテロアリール
である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が、式(I)
【化2】
{式中、
a)Xはハロ、Zは化学結合、そして
a1)Aは式(a)
【化3】
[式中、
Y1はハロ、アルコキシ、ハロアルキル、又はニトロであり、そしてnは1、2、若しくは3であり、又はベンゼン環により縮合され得るO-含有ヘテロアリール、S-含有ヘテロアリール、若しくはN-含有複素芳香族であり、又はN--C1-4アルキル第四級誘導体(quaternary derivative)、若しくはそのN-オキシドである]
で表される基であり、
Rは式(b)
【化4】
[式中、
R5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6は-OR7であり、ここでR7はH又は置換されていない若しくは置換されたアルキルカルボニル、アリールカルボニル若しくはアミノアシルであり、kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、又はN--C1-4アルキル第四級誘導体、若しくはそのN-オキシドである]
で表される基であり、
Aがピリジルであるとき、又はY1がハロ若しくはアルコキシである式(a)で表される基であるときに限っては、R7はH以外であり、あるいは
a2)Aは式(c)
【化5】
で表される基であり、
Rは式(d)
【化6】
で表される基であり、
そしていずれか1つが本分子中に必ず存在する追加的な置換基であるY2及びY3は酸素又はC1-4アルキルであり、
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、
本化合物が一価若しくは二価のカチオンであるとき、そのアニオンは1つ又は2つのハロゲン化物イオンである、あるいは
b)Aは置換されていない若しくは置換されたアリール、又はN-含有複素芳香族若しくはS-含有芳香族であり、
Zは化学結合であり、CはOQであり、ここでQはC1-4アルキルであり、そしてRは式(b)で表される基であり、ここでR5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6はHであり、そして
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である}
で表される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記部分Aが式(a)で表される基であり、そしてY1がC1-4ハロアルキルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、ヒドロキシルアミン誘導体の光学的に活性な立体異性体であり、ここで、
Xはハロであり、
Zは化学結合であり、そして
Rが式(b)で表される基であり、ここでR5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はシクロアルキルであり、又はR5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、
Y6は−OR7であり、ここでR7はアミノアシルであり、そして
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3である、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、式(I)で表される化合物であり、ここで、
XはNR1R2であり、ここでR1及びR2は、独立してH、又は置換されていない若しくは置換された直鎖若しくは分岐したアルキル、又はシクロアルキルであり、又はR1及びR2は、それらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の複素環を形成し、
Aは、置換されていない、又は1つ以上のアルコキシで置換されたフェニルアルキル、フェニル、1つ以上のハロ、アルキル、若しくはハロアルキル、又はアシルアミノで置換されたフェニル、あるいはニトロ、あるいはベンゼン環で縮合され得る置換されていない若しくは置換されたN-含有複素芳香族、あるいはS-含有ヘテロアリールであり、ここで前記ヘテロ原子は、1つ以上のアルキル置換基(単数又は複数)を有し得て、
Zは化学結合であり、そして
Rは式(e)
【化7】
[式中、
R5及びR6は独立してH、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル、又はシクロアルキルであり、又は
R5及びR6はそれらに結合している窒素と一緒になったとき、3〜7員の飽和複素環を形成し、それが追加的なヘテロ原子(単数又は複数)及び任意的なC1-4アルキル置換基(単数又は複数)を有し得て、
Y4はH又は置換されていない若しくは置換されたC1-4アルキルであり、
Y5はH又は置換されていない若しくは置換されたC1-4アルキル、又は--OR7であり、ここでR7はH又はアシルであり、
kは1、2、若しくは3であり、そしてmは1、2、若しくは3であり、
R7がHであるときに限っては、R1及びR2の少なくとも1つはH以外であり、そしてR1及びR2がそれぞれHであるときに限っては、R7はH以外である]
で表される基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
副段落(a)において、Aがフリル、チエニル、ピリジル、キノリル又はイソキノリルである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
副段落(b)において、Aがフェニル又はピリジルである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
Aがピロリル、ピリジル、イソキノリル、キノリル、又はチエニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-3 ピリジン-カルボキシイミドイル-塩化物(ビモクロモル(bimoclomol))、N-[2-ヒドロキシ-3-(l-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル(arimoclomol))、N-[3-(l,l-ジメチルエチル)アミノ]2-ヒドロキシプロポキシ]-3-トリフルオロメチルベンゼン-カルボキシイミドイル塩化物、及び5,6-ジヒドロ-5(l-ピペリジニル)-メチル-3-(3-ピリジル)-4H-l,2,4-オキサジアジン(イロキサナジン(iroxanadine))、若しくはそれらの医薬として許容される塩、又はそれらの光学的に活性な立体異性体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、単離されたN-[2-ヒドロキシ-3-(1-ピペリジニル)プロポキシ]-ピリジン-1-オキシド-3-カルボキシイミドイル塩化物(アリモクロモル)、若しくはその医薬として許容される塩、又はそのいずれかの光学的に活性な立体異性体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
追加的な治療剤の投与を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
第二のヒドロキシルアミン誘導体の投与を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒドロキシルアミン誘導体がアリモクロモルであり、そして前記第二のヒドロキシルアミン誘導体がイロキサナジンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記追加的な治療剤が、抗炎症剤、抗生物質、及び神経保護剤からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が全身投与される、請求項1〜22にいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物が経口投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が非経口的に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記化合物が局所的に投与される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記化合物が徐放装置(sustained release device)を介して投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための全身投与に適する医薬組成物。
【請求項29】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための経口投与に適する医薬組成物。
【請求項30】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための非経口投与に適する医薬組成物。
【請求項31】
請求項1に記載される単離された化合物を含み、ここで前記化合物が、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するための局所投与に適する医薬組成物。
【請求項32】
請求項1に記載される単離された化合物を、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するためにその化合物を持続的に放出するために含む医薬組成物。
【請求項33】
請求項1に記載される化合物を、糖尿病の対象において創傷の治癒を亢進するためにその化合物を持続的に放出するために含む装置。
【請求項34】
前記化合物がイロキサナジンである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【請求項35】
前記化合物がアリモクロモルである、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【請求項36】
前記化合物が化合物1である、請求項28〜33のいずれか1項に記載の医薬組成物又は装置。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図3G】
【図3H】
【図3I】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2010−526144(P2010−526144A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507431(P2010−507431)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/005794
【国際公開番号】WO2008/137149
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(506149900)シトルックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/005794
【国際公開番号】WO2008/137149
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(506149900)シトルックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】
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